ラブライブ!~μ's&Aqoursとの新たなる日常~   作:薮椿
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 今回はスクフェス編の1周年記念としまして特別編です!
 まさか1年半前のあの話に登場したキャラをまた登場させることになるとは……。でもいいキャラしてるんで何気に大好きなんですよね(笑)


※今回の話の時系列は、合宿編より前の話となります。


【スクフェス編1周年記念】淫乱幽霊再降臨!

 幽霊は科学的に証明されていないというのが通説だが、霊感の概念は立証されているらしく、本当に幽霊を目撃できる人もいるらしい。"存在する"ということの証明は可能であり、簡単なもので言えば写真さえあれば一応証拠にはなる(最近は加工が容易、かつ巧妙にできるので決定的ではない)。だが"存在しない"を証明するのは極めて難しく、絶対に存在しない、確率はゼロなどの確固たるエビデンスを提示しないと"存在しない"の証明にはならない。そのため証明はほぼ不可能だったりする。

 

 そう考えると、"存在する"ものの証明は"存在しない"ものの証明より非常に楽だ。最悪、この目で実際に見れば証拠にはなる。目で見たものの情報をまとめ、他の事例と照らし合わせ、合致するものがあれば調査の活路が開く。単純に考えて、目に見える形のものの方が証明は楽だと直感的に分かってもらえると思う。

 

 さて、いきなりどうしてこんな話をしているのかと言うと――――――いるんだよ。

 目の前に幽霊が、しかも気持ちよさそうにぷかぷか浮いている。しかも俺にはこの幽霊に見覚えがあった。

 

 下半身が一反木綿のようになっていること以外は、見た目は普通の女の子だ。その名は本城愛莉(ほんじょうあいり)。俺が教育実習生の頃、浦の星で心霊現象が多発している情報を受け、Aqoursと一緒に裏山を調査している時に出会った子である。幽霊になって人間の前に現れた理由は、生前にカッコいい男と性行為ができなかったからという何とも欲深い理由だった。その欲が暴走して成仏できず、当時はAqoursに次から次へと憑依して、彼女たちの身体で俺と性行為をしようとしていたのだ。しかし俺がAqoursに抱いている想いを伝えたら心中を察してくれたようで、気持ちがすっきりしたのかその場で成仏した。

 

 だが、コイツはこの場にいる。

 俺の部屋の中に、ニッコリと微笑みながら存在していた。

 

 

「成仏したんじゃなかったのか……」

「あの時はそうだったんですけど、欲求不満で天国から戻ってきました! えへっ♪」

「ノリが軽るすぎんだろ……」

 

 

 天国がどんなところかは知らないが、そんなどうでもいい理由で天界から現世に戻って来られるとは案外ルールが緩いのかもしれない。それも含めて天国は楽園って言われる所以か? だがいくらなんでも無法主義が過ぎるような気もするが……。

 

 

「天国って遊べるところが少ないんですよ。私は生前でできなかった不純なお遊びがしたかったのに、それはもう普通の娯楽ばかりで……。子供のお遊戯場じゃないんですし、もっとこう性欲を滾らせる施設が欲しいんですよ!!」

「こんなことを言うのは不謹慎かもしれないけど、死んでるくせに煩悩湧き立ちすぎだろ……。天国や天使のイメージが崩れるっつうの」

「天使なんていい人を装ってるだけで、裏で何を考えてるのか分からない腹黒ばかりですよ。ほら、南ことりさんだってそうでしょ?」

「確かにアイツは世間から天使と呼ばれてるが、実際には――――って、どうしてお前がことりのこと知ってんの!?」

「天国は下界のあらゆることが分かっちゃうんですよ! 人のドロドロしたドス黒い本心とか」

「なんか、天国にいるだけで気分が重くなりそうだな……」

 

 

 人の心を覗き見れるのはいいが、愛莉の言う通り人間なんて裏で何をしているのか分からないもの。もし天国で地球上の人間全員の心を覗き見ることができたとしたら、覗き見ている方が気分を害されてしまいそうだ。それくらい欲深いからな、俺たち人間は。

 

 まあ今は天界の事情よりも、楽しそうにぷかぷか浮いているコイツをどうしてやるかが問題だ。最初に出会った時もそうだったけど、恐らく自分の欲求が満足しない限り成仏しないだろう。それに早いところ天国に戻ってもらわなければ、俺の私生活は全てコイツに晒されることになる。そうなればもちろんプライベートなんてクソくらえなので、早急に愛莉に満足して帰ってもらうしかない。

 

 つうか、目の前に幽霊が現れたっていうのに冷静だよな俺。2回目だとしてもこの落ち着き具合は、普段から厄介事に巻き込まれているからこそ成長した精神ゆえなのだろう。そんな成長をしたところで自慢にもならねぇけどな……。

 

 

「どうせ自分が満足するまで帰らないんだろ? だったら早く望みを言え。手っ取り早く成仏させてやるから」

「おっ、やっぱり察しがいいですね! それこそ私が見込んだ、生前にセックスしたかった相手です!」

「そんな見込みされても嬉しくねぇよ!! いいから、早くお前のやりたいことを言え」

「さっきから早く早くって、早漏は嫌われますよ?」

「次から次へと……」

 

 

 相変わらずと言うべきか、愛莉は淫語を恥もせずド直球に放ってくる。いくら他人から変態と罵られる俺でも、笑顔で淫語を口にするなんてとてもじゃないけどできない。ことりでももう少しだけオブラートに包むため、下手をしたら俺が出会った中で一番公然猥褻人間かもしれない。まあ出会った頃から人間ではないけどさ……。

 

 

「私の望みはですね――――――お風呂に入りたいです! あなたと一緒に!」

「は……? 風呂?」

「何言ってんだお前みたいな顔しないでくださいよぉ~。幽霊はご存知の通り霊体ですから、身体が汚れるとかそんな心配は必要ないんです。だからお風呂に入らなくてもいいのですが、やっぱりお風呂の気持ちよさを思い出しちゃうとどうしても入りたくなっちゃうんですよね!」

「風呂だったら俺の家じゃなくて、自分の家の風呂に入ればいいだろ? 霊体なら誰にもバレないし、どうせなら高級ホテルの風呂とかにすればいいんじゃね?」

「いいや、私はセックス相手とお風呂に入るのが夢だったんです! 寝室でしっぽりしてから、穢れた身体をお風呂でしっかり洗い流す。う~ん、想像だけでもドキドキします!」

 

 

 なんつうか、コイツの感情の豊かさを見ていると、会話をしているのが幽霊だとは到底思えない。しかも霊体だと言っても、見た目が僅かに半透明になっているだけで普通に接している分には特に気にならない。下半身が一反木綿状態になっていることを除けば、外見は普通の女の子なのだ。

 

 だからこそ、コイツの望みが如何に欲望に塗れていようとも、その願いはできるだけ叶えてやりたいと思う。性格は難ありの彼女だけど、幽霊になったのは別に本意ではない。不慮の事故で亡くなってしまい普段の生活の暖かさが分からなくなったと言うのであれば、ここで望みを受け入れてやるのが筋だろう。まあこれも、楓が雪穂と亜里沙と外出して家にいないからこそできる判断だけどな。アイツが家にいたとしたら、俺と他の女が自宅の風呂で混浴するなんて絶対に認めないだろうから。ブラコンのアイツのことだから、そんなことが起こりでもしたら相手を殺してでも阻止するかもしれない。

 

 

「分かったよ。一緒に入ればいいんだろ?」

「えっ、本当にいいんですか? ダメ元だったんですけど、やっぱり男に対しては押してみるものですね♪」

「人が同情してやってんのにお前って奴は……」

「冗談ですよ冗談! 零さんと混浴なんて、夢のまた夢でしたから叶うとは思ってなくて」

「ま、幽霊のお前からしたら本当に夢だろうからな」

「だから一緒に入りましょ? マットも持ってきてるんで!」

「…………おい、ただの混浴だろ?」

「それは後のお楽しみです♪」

 

 

 ただ一緒に風呂に入るだけかと思っていたが、俺の想定していた目的と愛莉の目的が違う気がするぞ……。

 そんな感じで幽霊の女の子と混浴するという、奇妙な日常が幕を開けた。冒頭の幽霊が存在するか否かの問題に対して愛莉の入浴シーンを盗撮して提出すれば、これほど幽霊の証明になることはないだろう。まあ上半身は普通の女の子なので、信じてもらえるかどうかは別だけど。

 

 

 

 

~※~

 

 

 

 

 真昼間にお互いに裸となり、マットが敷かれている風呂場で混浴。もう字面だけでも相当危険な香りだが、実際にその状況になってみると想像以上に緊張してしまう。

 その理由として、愛莉の身体付きがエロい、それに尽きていた。最初に出会った時もそうだったのだが、彼女が来ている服は幽霊らしく真っ白な薄着の袴に三角巾、ただそれだけである。つまり身体のラインがモロに現れ、元々胸や尻の大きい愛莉のわがままな肢体をより一層浮き彫りにしているのだ。そんな彼女が服を脱いでバスタオルを纏っている姿を見ると、もう相手が幽霊とか関係なく興奮してくる。こんな身体を持っていてかつ美少女なのに、生前に性行為の1つもしていなかったのか……。まあ、純潔に越したことはないけどね。

 

 ちなみに現在の状況だが、俺は愛莉に導かれるままに椅子に座らされ、彼女に背中を洗ってもらっている。近くにマットも敷いてあるため、もう完全にソープ現場にしか見えない。自宅でこんなことをしてるなんて楓にバレたらどんな仕打ちを受けるか分かったもんじゃねぇな……。

 

 

「痒いところはありませんか?」

「美容室じゃねぇんだから……。それに痒いってより力が弱いから、もうちょっと強くしてもいいぞ」

「なんだ、渋ってたように見えましたけど意外とノリノリですね!」

「経緯はなんであれ、女の子に背中を流してもらうのは役得だろ? それにお前はこうでもしないと成仏しないだろうし、だったらいっそのこと俺も楽しんだ方がいいに決まってる」

「その往生際の良さも好きですよ!」

「人外に好かれてもな」

「ひどーい! 確かに私は死んでいるので体温はないですけど、こうして触れることはできるんですからね!」

 

 

 幽霊はあらゆるものをすり抜ける描写をアニメや漫画でよく見かけるけど、一体どういう仕組みなんだろうな? あらゆるものをすり抜けられるとしたら、今の愛莉みたいに俺の背中を洗うなんて行為はできないと思うんだけど。しかし、こうして幽霊と一緒に混浴していること自体が異常なので、細かいことはいいんだよ感覚でスルーしておく方がいいのかもしれない。

 

 

「さて、いい感じに身体も綺麗になりましたし、マットに寝転がってください?」

「えっ、マジでやんの??」

「ここへ来て今更何を言ってるんですか! やる、いや、ヤるんですよ! これが私の夢、思春期女子の夢なんですから!!」

「今すぐ全世界の思春期女子に謝れ!!」

「この世は弱肉強食なんですよ! 平和そうに見えますけど、その実、知識や技術が蔓延し過ぎて積極的にそれを活用しない者は次々と廃れていく過酷な時代なんです。だから私は積極的になります。零さんとセックスするために!!」

「それらしいことを言っても無駄だし、それに諦めたんじゃなかったのかその野望!?」

 

 

 もはや女の子が『セックス』と連呼しても不思議に思わないこの世の中が心配になってくるよ。今は昔と違ってインターネットでその手の知識はいくらでも得られるから、学校で性教育なんてしなくても子供たちは勝手に性知識を会得する。まあそれを拗らせた末路が目の前の淫乱幽霊ちゃんな訳だが、まさか本当に本番をしようと考えていたとは……。一緒に混浴するだけで満足するって言ってなかったっけ?

 

 

 その時だった、家の廊下から女の子の声が聞こえてきた。

 

 

『おにーちゃーん! いないのー?』

 

 

「な゛ぁ!? か、楓?」

「およ? 妹さん、帰ってきちゃいましたね……って、今日はお出かけして夜まで帰ってこないはずでは?」

「そのはずだったんだけど、どうして……」

 

 

 廊下から聞こえてきたのは楓の声だった。さっき愛莉が言った通り、楓はシスターズの面子と一緒に外出をしているはずだったのに……何故ここにいる? アイツの外出を見超して愛莉の要望を飲んだっていうのに、これでは俺が他の女の子と混浴していることがバレてしまう。家での楓は俺と2人きりでいることに至高の喜びを感じているので、例えμ'sであっても自宅の風呂を安易に貸したりしない。

 

 そんな楓にこんな状況を見られたら…………死!!

 

 

『あっ、お兄ちゃんお風呂に入ってるの?』

 

 

 俺の匂いを嗅ぎつける能力が犬以上の楓は、一瞬にして俺の居場所を見抜きやがった。奴は既に脱衣所にいるため、今から風呂場を抜け出すことは困難。仕方ないからここから応戦するしかない。適当な会話で時間を引き延ばしさえすれば、幽霊の彼女は壁をすり抜けて脱出できるだろう。

 

 

「おい、時間を稼ぐから早く家の外へ出ろ。霊体ならすり抜けられるだろ?」

「じ、実はすり抜けるためにはあの喪服が必要なんです……」

「そっか、今はバスタオル1枚だったな……。分かった、だったら湯船に浸かってろ。風呂場の扉は少し透けてるから、人影が2つあったら楓にバレちまう」

「わ、分かりました!」

 

 

 最初から俺の計画は破綻したが、楓を風呂場に入れなければいいだけの話だ。つまり後は、楓を脱衣所から追い出すことができれば俺の勝ち。なぁに、断然俺が有利の試合じゃないか。八百長を疑われてもおかしくないくらいにな。

 

 それからすぐに俺は風呂場のドア越しに楓に話しかけた。

 

 

「どうして帰ってきたんだ? 今日は雪穂たちと買い物に行くはずだったんじゃないのか?」

『それがね、雪穂も亜里沙も突然ファッション雑誌の仕事が入っちゃったんだよ。だから午前中で解散したの』

「なるほど、それは災難だったな。今日は早起きだったみたいだし、自分の部屋で仮眠を取ったらどうだ?」

『…………うん、そうさせてもらおうかな』

 

 

 勝った。楓が自室に籠っている間に愛莉をここから連れ出せば、俺が女の子を風呂場に連れ込んでいたという事実は揉み消せる。家の中であればエンカウントするにしても楓のみ。つまり、彼女さえ欺けば俺の完全勝利って訳だ。

 

 だが、風呂場のドアから楓の人影が消えない。アイツはまだその場にいるみたいだけど、一体なにしてんだ?

 

 

『ねぇ、どうしてこんな時間にお風呂入ってるの? まだお昼だよ……?』

「えっ、ま、まぁ気分だよ気分」

『お兄ちゃん、な~んか様子おかしいよね? 普段昼寝をしない私に対して、仮眠を勧めるなんて普通はしないもん。それはお兄ちゃんが一番よく知っているはずなのに、どうしてかなぁ?』

「だから気分だよ気分……」

『そう……。だったら、どうして女性モノの下着がここにあるの? これ、私のじゃないよね……? ねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇ??』

「え゛っ……?」

 

 

 じょ、女性モノの下着って、まさか……?

 誰のモノかはすぐに想像できたが、確認のため小声で愛莉に囁く。

 

 

「お前、幽霊のくせにいっちょ前に下着なんて着けてたのかよ!」

「幽霊だって女の子なんです! 可愛い下着も付けたくなりますよ!」

「気持ちは分からなくもないけど……」

「ほら、幽霊って基本あの質素な白い服を着ないといけないので、ファッションとして着飾れる部分が下着しかないんですよ」

「ま、今更グダグダ言っても仕方ねぇか……」

 

 

 ここで愛莉を追及しても、楓に下着が見つかってしまった事実はもう拭えない。さっきから俺にとって不利な状況ばかり続くが、そんな最悪を回避してこそ主人公ってもんだろ? もはや楓は持ち前のヤンデレ成分が身体中を駆け巡り、人も笑って殺せるような悪魔の子になってるに違いない。いいだろう、そんな大ボスを倒してこの場を切り抜けた時の達成感を大いに感じてやる。

 

 

 だが――――――

 

 

『ほら、早く開けてよ。いるんでしょ、女狐が……』

「い、いや……」

『どうして鍵が掛かってるのかなぁ……? たかがお風呂に入るだけなのに、おかしいよねぇ……』

 

 

 楓の口調が荒くなった。しかも風呂場のドアを壊す勢いで蹴っている。その衝撃音が風呂場に鳴り響き、俺の緊張も最高潮に達していた。

 もはや病み度がMAXになった楓を止めることができないと悟り、俺は敷かれていたマットをできるだけ小さく折って風呂場の端に隠す。そうすれば俺の身体が邪魔でマットはバレないはずだ。まあそんなことをしたとしても、湯船にいる愛莉を見たら楓は発狂するどころの騒ぎでは済まないと思うが、その怒りを少しでも鎮めるための苦肉の策だった。

 

 楓はドアを蹴る力をどんどん強めていき、蹴り上げ音の他にドアが軋む音まで聞こえてくる。つまり、ドアの耐久も限界だと言うことだ。

 

 そして――――――

 

 

『お兄ちゃんを誑かすクソ女は誰だぁああああああああああああああああああああああああああああ!!」

 

 

 遂に風呂場のドアが蹴破られた。

 終わった。ドアを蹴破るくらいの狂ってるんだ、愛莉と一緒に混浴してる状況なんて見たら逆に発狂して気絶するかもしれない。もう、そうなることに賭けるしかなかった。

 

 だが、楓の表情は怒りからしかめっ面に変わっていく。

 

 

「…………あれ? お兄ちゃん1人?」

「はぁ?」

 

 

 何言ってんだコイツ? どう見ても湯船に女の子がいるだろ。現に今も愛莉がのんびりと湯船に浸かっているのだが……って、こんな状況なのにすげぇ余裕かましてんな。目の前で起こっていることなど無視して、ドラマの入浴シーンのように手でお湯を自分の肩に流す。そんなリラックスしている場合ではないのに、愛莉は全く動じない。楓も不思議そうな顔で風呂場を見回すだけだ。

 

 楓が突然帰宅してきたパニックで忘れていたが、そういや愛莉は普通の女の子じゃないんだった。そう考えたらこの奇妙な状況にも納得がいく。

 

 

「窓から逃げたの?」

「風呂場の窓は人が抜け出せるような大きさじゃないだろ」

「確かに、じゃあそこに置いてある下着は?」

「この前、練習終わりに穂乃果たちが遊びに来ただろ? その時にシャワーを浴びて、そのまま忘れていったんだよ」

「そういやそんなこともあったね……。ゴメン、ドア壊しちゃった」

「いいよ別に。勘違いされるようなことをした俺のせいだしな」

「お兄ちゃん、相変わらず優しいね……愛してるよ♪ あっ、そうだお昼ごはんまだだよね? せっかく帰ってきたんだし、私が作ってあげるね!」

「あぁ、ありがとう。頼んだ」

 

 

 楓は()()()()()()()()()を見て状況を理解したのか、さっきの怒りとは裏腹の笑顔でこの場を去っていた。

 危なかった……。最近穂乃果たちが遊びに来ていなかったらさっきの言い訳もできなかったので、最後の最後にツキが回って来たって感じだな。危機一髪とはまさにこのことだ。

 

 そんなことよりもだ、今でも風呂を満喫しているこの淫乱幽霊に問い詰めなければならないことがある。

 

 

「あのさ、俺以外に自分の姿が見えないんだったら先にそう言ってくれよ。無駄に焦っちまっただろ……」

「あははっ! むしろあなたが戸惑う姿を見るためにずっと黙ってたんですから! 面白かったですよ、慌てふためく零さん」

「ふざけんな。こちとら狂気を纏う妹に命を刈り取られそうだったんだぞ……」

「この人には自分の姿を見せることができたり、この人には見せないでおこうとかできるんで、便利ですよこの身体」

 

 

 なんか愛莉を見ていると、幽霊姿も別に悪いことではないと思い込み始めてしまう。天国も猥褻な施設以外の娯楽なら何でも揃ってるみたいだし、意外といいところなんじゃね? 自分の姿を任意で見せる見せないを切り替えられるらしいので、家族には見せて、風呂を覗き見するときは他人に見られないようにするなんて芸当も可能だ。あれ? もしかして肉体よりも霊体の方が快適??

 

 

「とりあえず、穏便に事が済んで良かったよ」

「そうですね。久々に零さんにも会えて面白い姿も見られましたし、満足しました!」

「ということは、成仏してくれるってことか?」

「マットプレイができなかったのは残念ですけど、また天国から降りて来ればいいだけの話ですしね!」

「また来るのかよ……」

 

 

 そんな簡単に天国と現世を行き来できるのなら、本格的に天国に居住を構えた方が良くないか? 天国ってもっとこう女神様とか天使とか格式高い印象があるけど、ここまで放任主義なのはビックリしたよ。

 

 

「それでは、また今度!」

「本当にまた来るつもりなのか……って、おいおいおいおい!!」

「なんですか?」

「なんですかじゃねぇよ! どうして……どうしてバスタオル姿で壁をすり抜けられるんだ!? 白の喪服姿じゃないとダメだって言ってただろ?」

 

 

 愛莉は何事もなかったかのように壁から上半身だけをこちらに向ける。一反木綿のような下半身は風呂の壁の中、つまり、衣服や姿に関係なく霊体は壁をすり抜けられることの証明だった。

 

 ―――――と、言うことは……?

 

 

「あぁ、あれも嘘です。零さんの焦りに焦る可愛い姿を見るためにね♪」

「お、お前って奴は……」

「あっ、もう時間だから帰らないと。天国でお昼ご飯の時間になっちゃいますんで、私はこのへんで! それではアデュー♪」

「おいこら待てやぁああああああああああああああああああああああああああああ!!」

 

 

 幽霊少女、本城愛莉。

 ただの淫乱女子かと思っていたが、秋葉に近い腹黒さを知ってしまった。またあの幽霊、いや悪魔が俺の元へ襲来するとなると、今から気が滅入りそうだ……。

 




 秋葉さんもそうですが、小説内のキャラに人外がいるとネタの範囲が大きく広がるので幽霊ちゃんには感謝しかないです(笑)
最後にまた来るとは言っていましたが、次はいつになることやら……


 少し早いですが、今回はスクフェス編の1周年記念回でした。スクフェス編の記念回なのにμ'sもAqoursも虹ヶ咲も出ていないのは、まあ仕様ってやつです(笑)
スクフェス編は前回の話で虹ヶ咲の秘密が明かされたことで物語が大きく進展しましたが、まだまだ続く予定です。虹ヶ咲のこともそうですが、Aqoursとの恋愛模様もしっかり描いていきますよ! もちろんみんなの先輩であるμ'sにも活躍の場が……?



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