ラブライブ!~蓮ノ空との新たなる日常~   作:薮椿

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 今回はかなり特殊な回で、これまで零君がお世話になった先生たちが登場します。
 最近の話は騒がしい回が多かったので、今回は落ち着いた日常系……だと思います()


恩師との酒宴

 

 8月某日の夜。俺は東京の某所にある飲み屋が立ち並ぶエリアを練り歩いていた。それほど広くない一本道の両脇に数々の飲み屋が軒を連ねており、お盆シーズンなこともあってかどこもかしこも賑わいを見せている。大人の社交場なので雰囲気は決して良いモノではないが、逆に全体的に浮ついているこの空気が日頃の疲れを癒してくれるのかもしれない。俺は特別日常に疲れているって訳じゃないけど、どことなく世間の堅苦しさとは外れたこのムードは結構好きだったりする。だからと言って酔っ払った勢いで女の子を襲うとか、そんな暴挙に出るつもりはないのであしからず。

 

 何故俺がここへ来ているのかと言うと、珍しい人からのお誘いがあったからだ。学生時代の頃や教師のタマゴになってからは色々お世話になってるけど、プライベートで付き合いがあるかと言われたら否である。だからこそ飲みの誘いが来たことに対して驚いたし、同時にプライベートで話す機会が来てワクワクした。今から会う人たちは学生の頃や仕事の関係でしか会ったことがないから、普段がどんな感じなのか気になってはいたんだ。その中の1人とは様々な確執があったりするのだが、今日は酒の勢いでその人のプライベートも赤裸々にしてやるか。

 

 そう意気込むと同時に目的の飲み屋に辿り着く。

 暖簾を潜り、戸を開けると、店員さんが元気よく出迎えてくれた。そして店の奥の席に待ち合わせしている人たちを見つけたので、その席へと近付く。既にテーブルにはビールジョッキが2本置いてあるところを見ると、俺が来る前から飲み始めていたようだ。

 

 

「いい大人のくせに、俺が来るのを待てなかったんですか……」

「あっ、神崎君。こんばんは」

「やっと来たか。遅いから既に飲み始めているぞ」

「ここら辺にはあまり来たことないから、迷っちゃってすみませんねぇ……」

 

 

 俺を暖かく出迎えてくれたのが山内 奈々子(やまうち ななこ)先生。俺が高校生の頃は音ノ木坂の教師であり、俺や穂乃果たちのクラスの副担任でもあった。今は浦の星女学院で千歌たちの担任をしており、俺の教育実習の指導役だった。つまり俺は人生で二度もお世話になっており、感謝しようにもしきれない存在だったりする。出会った時は新任教師であり、生徒と上手くやっていけるのか不安でビビりまくってたけど、まさかこんな頼りがいのある先生に成長するとはなぁ。もちろん俺の方が年下だけど、先生の成長は子供の成長を見てるみたいだよ。

 

 ちなみにのんびりとした性格と、生徒らと同年代にしか見えない童顔と小柄な体格は昔から変わってない。でも俺たち生徒からすれば、そっちの方がフレンドリーに接することができるから気楽だったりするけどね。

 

 

 そして、開口一番に辛辣な言葉で俺を出迎えたのが笹原 京子(ささはら きょうこ)先生だ。先生とは俺が高校1年~3年までの3年間、ずっとクラスの担任だった謎の腐れ縁がある。男勝りな性格であり、学院の秩序を乱す者は鉄拳制裁するほどの鬼教師。特に常日頃から騒がしい俺や穂乃果たちには非常に手を焼いていた。その性格上、俺を含め生徒たちからは恐怖の対象として見られているが、それが先生の愛であることは俺たちも分かっていて、品行方正な部分はみんなに尊敬されている。

 

 そんな先生なのだが、その容姿だけは抜群に良い。生徒である俺の目線から見ても先生は美人で、綺麗な長い黒髪にスタイル抜群。高校生の思春期男子からしてみれば、先生の外見は日々のオカズにしかならないと言ってもいいくらいだ。その反面、性格はさっき言った通り鬼教師なので、生徒にガチ恋されることはない。まあ生徒に恋される方が迷惑だと思わないのは俺だけかもしれないが、笹原先生の場合は相手を選んでる場合じゃない年齢だしなぁ……。

 

 

「お前、失礼なことを考えてないか……?」

「そ、そんなことないですよ! むしろ先生たちと一緒に飲める機会が来るなんて嬉しいなぁって」

「当たり前ですけど、私が音ノ木坂にいた頃は神崎君も高校生でしたからね。まさかこうして一緒に席を囲む日が来るなんて、私たちも年を取ったなぁと思いますよ」

「私に追い打ちを掛けるとは、言うようになったな奈々子。浦の星で神崎の毒にでも当てられたか?」

「ふぇっ!? そんなつもりはないですって!!」

 

 

 笹原先生が冗談混じりの言動をすることすらも珍しい。だからこそ学生時代からの付き合いで、笹原先生の友人である山内先生も驚いてしまったのだろう。咄嗟の言い訳でも可愛い反応するじゃねぇか先生。

 

 流石に女性の年齢を明かす訳にはいかないが、笹原先生もいい歳だ。そのせいか、結婚していないことにツッコミを入れられると普段以上の鉄拳制裁が待ち受けている。それが魔人と言われる先生の弱点でもあるのだが、その弱点を突くと病院送りにされるため誰もそこを攻め入ろうとはしない。今は幸いにも少し酔っているためか拳は飛んでこないものの、だからと言って下手に探りを入れると腹を抉り取られる可能性があるためここらで弄るのはやめておこう。一応、これでも自分の恩師だしな。

 

 

 とりあえず立ち話もアレなので、俺は山内先生の隣に座った。なぜ笹原先生の隣に行かなかったって? そりゃいつ拳が飛んでくるか分からない戦場に、わざわざ身を置く必要はないからだよ。しかも少し酔いが回っている先生の隣にいたら、いつ理不尽な鉄拳が下されるか分かったものじゃないし。俺の不幸検知センサーが、笹原先生の近くにいてはならないと電波を送ってくれたからかもしれない。

 

 

「それで奈々子、神崎の教育実習はどうだった? どうせ女子生徒に迷惑を掛けてばかりだったと思うが」

「どうして決めつけるんですか……。まあ俺と3年間一緒にいたから、性格は熟知しているとは思いますけど」

「そんな、迷惑だなんて。むしろ要領も良くて明るい人が来たって、先生や生徒たちの間では評判でしたよ?」

「評判? 私がコイツの担任だった頃を思い出すと考えられんな」

「残念でした先生。俺は浦の星の生徒みんなを惚れさせたと言っても過言じゃないですから、ま、女子高の生徒なんで男が物珍しかったってこともあるでしょうが、これも俺の実力です」

「相変わらず、高校時代から女への執着は見苦しいな」

「執着じゃねぇ! 愛だ!!」

「それが見苦しいと言ってるんだ」

「あ、あはは……」

 

 

 こうやって俺の主張をここまで軽くいなすことができるのは、全世界を探しても笹原先生くらいだろう。俺と3年間一緒にいたから対処法が分かっているってのもあるだろうが、実は笹原先生、あの秋葉にも手を焼いていた経験があるのだ。秋葉が音ノ木坂に通っていた頃、アイツのクラスの副担任だったのが先生だ。そのせいで神崎家の姉弟には特に厳しいようで、全くいい迷惑だよ。

 

 会話が賑わってきたところで、俺にもビールが届く。山内先生はいいにしても笹原先生と飲むなんて最初はビビってたけど、やはりこうして飲みの席を囲むと自然に緊張も解れてきた。よしっ、当初の予定通り、この勢いで先生の内部事情を赤裸々にしてやるか。

 

 

「神崎君の飲み物も来たことですし、乾杯しましょうか。それでは乾杯!」

「「乾杯」」

 

 

 なんだろう、この瞬間こそ大人になったって気がする。自分の成長を見つめなおすとどうしても年齢を気にしてしまいナーバスになるけど、こうしてお世話になった人と対等に接することができる瞬間に立ち会うと純粋に嬉しくなってくる。同級生の穂乃果たち、後輩ような千歌たちや歩夢たちとは違い、ここにいる2人はみんな人生の先輩だ。だからなのか、俺もいつも以上に畏まってしまう。以前に何故か俺の犯罪歴が暴露されて今は執行猶予中なので、酔った勢いで先生たちに変なことを言わないようにしないと。まあ畏まっていれば自ずとスキャンダル発言も抑えられるだろう、多分……。

 

 そういや、ビールなんて久々に飲んだな。この前の合宿では未成年の千歌たちもいた手前、大々的な宴会などは開かれなかった。普段から飲むタイプでもないので、酒を摂取するタイミングは飲み会くらいしかないんだ。そのせいか酒をガッツリ飲んだりして酔うことはできず、周りの酔っ払いの世話をするのが飲み会の常となっている。本当に、酔えないってこういうところが辛いんだよな。

 

 

「そういえば高坂さんたち、またスクールアイドルを始めたそうですね。今月末のスクールアイドルフェスティバルに参加するとかどうとか」

「はい。とは言っても、スクフェスに出るためだけの限定復活なんですけど」

「また高坂さんたちの輝いてる姿が見られるなんて、私楽しみです! 笹原先生はどうですか?」

「人生なんて好きなことをやってこそだから、アイツらがやりたいならいいんじゃないか」

「興味なさそうですね笹原先生……」

「そんなことないですよ。確かに笹原先生はぶっきらぼうで言葉にも棘がありますが、μ'sの皆さんにはとても感謝しているんですよ。ね?」

「それを他人に喋るなといつも言ってるだろ……」

「いいじゃないですか。神崎君しかいないんだし♪」

 

 

 いつもの山内先生はおっとりしていて口数もそれほど多くないのだが、今日はやたらテンションが高く饒舌だ。さっきから先生の様子を伺ってるけど、ずっと笑顔なのが少し不気味だし、それに頬がかなり赤いことから既に酔いが回っているのだろう。俺は遅刻してきたから2人がいつから飲み始めているかは知らないが、集合時間的にはまだ15分くらいのはず。つまり山内先生は酒2、3杯で酔っちまったって訳だ。弱すぎるというか、そんな少量で性格が変わるほど酔うなんて酒癖悪すぎじゃねぇか?

 

 それにしても、笹原先生がμ'sに感謝をねぇ? スクールアイドルなんて娯楽染みたことはあまり好きそうには見えないんだが、まさかそこまで興味を示してくれていたとは。高校時代の頃は俺たちのスクールアイドル活動にそこまで干渉せず、逆に咎めることもなかったので、先生がμ'sにどんな印象を抱いているのかは分からなかった。

 そして卒業から4年が経った今明かされる衝撃の事実。堅物なのは見た目や雰囲気だけでなく内面もだったってことか。

 

 

「笹原先生は音ノ木坂のOGなんですよ。だから、音ノ木坂を廃校から救ってくれたμ'sには感謝してるんですよね? でも性格がお察しの通りアレなもので、中々みんなに思いを伝えることはできな――――って、にゃ、にゃにふるんですかぁ~!!」

「余計なことを喋るなと言ったはずだ」

 

 

 笹原先生は右手で山内先生の頬を潰し、ひょっとこ顔にさせる。今まで親友にしか喋ってなかった恥ずかしい事実を教え子に暴露されてんだから、そりゃ笹原先生の気持ちに同情するわ。それよりも、サラッと毒を吐きながらニコニコしている山内先生の方が断然怖くなってきたぞ。勢いで隣に座っちゃったけど厄介絡みしてこねぇだろうな??

 

 

「ぷはっ、と、とりあえず、笹原先生は素直になれないだけで、本当はμ'sのことが大好きなんですよ!」

「つまりツンデレってことか」

「もう4年前の話だからどうでもいいことだ。それにμ's云々よりもお前たちの世話をする方が大変過ぎて、そっちの思い出の方が強く残ってるくらいだ」

「先生とは3年間ずっと一緒だったけど、先生にビビりながらの学生生活はスリリングしかなかったよ」

「それはお前が学校の風紀を乱すことばかりするからだろうが。もう少しまともな生活はできなかったのか」

「いや騒いでたのは穂乃果たちであって、俺はほぼ巻き込まれてただけですから」

「騒動の中心はいつもお前だっただろ? お前がしっかりしていれば高坂たちももっと落ち着いたはずだ」

「なんか理不尽……」

 

 

 騒動の中心ってのは認めざるを得ない事実だけど、それは根本原因ではない。しかし俺も穂乃果たちに便乗して騒がしくしていた一因でもあるから、一概に否定もできないのが何とももどかしいところだ。特にクラスのみんなは俺や穂乃果たちが何か問題を起こし、それで笹原先生に怒られるまでがテンプレパターンとして記憶しているくらいだからな。もうみんなは俺たちが何をしても『またか』とだけ思って見て見ぬふりをすることも多かった。それくらい俺たちの所業はクラス、いや音ノ木坂全体でも日常となっていたのだ。

 

 そして、その捻じ曲がった日常を軌道に戻そうとしていたのが笹原先生。まあ今となっては先生に制裁されるのもいい思い出だ。同じ教師となった立場上、この先もう先生に殴られることはないだろうから。かと言って思い出に一発殴られたいとか、そんなドM思考じゃねぇからな?

 

 

「笹原先生はこれでも神崎君のことをとても気にかけてくれているんですよ? それは今でも変わらずです」

「えっ、今でも? ここ数年間会ったことなかったのに」

「会ってなかったからこそ心配だったんじゃないですか? ね、笹原先生♪」

「奈々子、いい加減にしないと今度は腹を潰して、永久にトイレで吐き続ける人生を歩むことになるぞ……」

「またまたそうやって脅して、素直じゃないんですから♪」

「お前……」

「山内先生、怖いもの知らず過ぎるだろ……」

 

 

 むしろ先輩後輩同士であり親友でもある間柄だからこそ、ここまで笹原先生をからかえるのかもしれない。酔った勢いってのもあるだろうが、俺たちからしてみれば鬼教官である笹原先生を弄るなんて暴挙はもはや神業に近い。それを容易く、しかも怒りの表情が見えているのにも関わらずからかい続けるなんて、もう無謀としか言いようがなかった。山内先生、マジパネェっすわ。

 

 

「神崎君が私のいる浦の星へ教育実習に来るってことを笹原先生に伝えたら、『アイツはこんな性格だからこう指導してやれ』とか、『こういう時に問題を犯しがちだからこう注意しろ』とか、私に詳しく教えてくれたんですよ。笹原先生はまさに神崎君対処マニュアルです!」

「俺は機械の不調とかバグとか、そんな扱いなんですか……」

「違います違います。むしろ自分の子供のように、大切だからこそですよ」

「余計な詮索はするな。ただ問題児が社会でやらかさぬよう、元担任として義務を果たしてるに過ぎない」

「またまたぁ~♪ 神崎君の恋愛事情については黙認してるくせに――――――――ふにゃっ! ま、またぁ~」

「お喋りはそこまでだ」

 

 

 再び笹原先生は右手で山内先生の頬を潰し、ひょっとこ顔にさせる。

 そんなことよりもさっき衝撃的な言葉が飛び出したような気がしたんだが、まさか世間に包み隠しているあの事実を知られちゃってる……!?

 

 

「そんな驚かなくても神崎君が色んな女性と関係を持っていることくらい、あなたを指導している身からすれば分かりますよ」

「マジで……? そんな気付かれることしてたっけな……」

「神崎君に話しかける女の子の様子を見ていれば自ずと察せます。神崎君の周りの女の子はいつも楽しそうで、それでいて青春のオーラって言うんですかね、女の子の恋を感じ取れるんですよ」

「すげぇな先生たち……。でも、笹原先生はそれが分かっていて黙ってたってことですか?」

「言っただろ、人生は楽しんだもの勝ちだと。神聖な学校内での不純交友は認めないが、それ以外なら好きにしてくれたって構わない。それでお前たちが幸せならばな」

「い、意外と懐広いんですね。先生のことちょっと好きになりましたよ」

「な゛ぁっ……!?」

「山内先生? どうしたんですか急に立ち上がって……」

 

 

 笹原先生とのこれまでのコミュニケーションは何だったんだと言わんばかりに、今日の先生は態度が柔らかい。それでいて懐も広く、こんなことなら高校時代に先生の真の性格を知りたかったもんだ。だって高校時代に知っておけば、先生に少し甘えられたかもしれないだろ? そうすれば下手に制裁をもらうこともなかったかも……いや、それはねぇか。むしろ甘えたら甘えたで余計に拳が飛んでくるかもしれないから、あの時はあの時のままでよかったんだろうな。

 

 そして、目下の謎は山内先生だ。さっきから酔いまくって顔が赤いのはご存知通りだが、今はそれ以上に燃え上がっているかのように真っ赤である。しかも吐息をはぁはぁと漏らして、いつものおっとりぽわぽわな雰囲気とは似ても似つかないほどにアダルティだ。背丈も生徒と変わらないほど低く、見ようによってはロリキャラに見える先生が顔を真っ赤にして興奮してるなんて、一部ロリコン界隈の連中が見たら性欲を滾らせそうだ。

 

 

「神崎君が笹原先生のことを好き……!? こ、これってもしかして、教師と生徒の禁断の関係なのでは!? どうしよう、私は笹原先生の親友で、神崎君の指導役。板挟みとなった私は一体どうすればいいのぉ~♪」

「な、何言ってんのこの人!? つうか悩んでる割に楽しそうだなオイ」

「また奈々子の悪い癖が……」

「悪い癖?」

「奈々子は教師や生徒の恋愛とか、世間では認められないような偏った恋愛模様が好きなんだ。一夫多妻制の漫画を勧めてきたり、病みに病んだ女の子を題材とした小説を自分で執筆したりと、お前とはまた別次元での変態だよコイツは」

「ウ、ウソだろ……。だってあの山内先生だぞ? 浦の星では生徒全員から慕われていて、子供っぽくて可愛くて、純粋の塊みたいな先生がそんな……」

「お前も知ってるだろ。表の性格がいい奴ほど裏で何を考えているか分からないってな」

 

 

 それは俺が女の子たちに対して常日頃から思っていることそのものだ。しかし、山内先生はこれまで出会ってきた女性の中で1、2を争うくらいにはキャラ崩壊のギャップが凄い。もちろん酔っ払ってるせいもあるだろうが、それを加味してもこの壊れっぷりは一周回って感心しちゃいそうだ。ここまで自分の偏屈趣味を曝け出せる人はそういないからな。

 

 

「神崎君は笹原先生のどこが好きなったんですか!? やっぱり真面目な性格? それとも綺麗な身体!? 高校生の時にお世話になってから、先生のことが忘れられなかったとか?? 告白はするんですか!!?」

「落ち着いてください! 好きってそういう意味じゃなくて、尊敬の度合いが上がったとか、そっち方面での意味ですから!」

「なんだ、つまんないです」

「冷めるの早いな……」

 

 

 自分の望んだ展開にならなかったことで、一気に熱が冷めた山内先生。落ち着かせることが目的だったのでこれで良かったんだけど、手のひら返しで興味を向けられなくなるとそれはそれでちょっとムカつくよな。まあ教師と生徒の恋愛なんて馬鹿なことはあり得ねぇって。と思ったが、普通にやってんだよなぁ俺。下手に話を拗らせて山内先生が暴走すると面倒なので、これ以上は何も言わないけどね。

 

 

「今日は色々あったけど、先生たちの別の一面が見られて楽しかったです」

「何を言ってるんですか! ここからが本番だって言うのに!」

「本番?」

「はい。神崎君も知らない笹原先生のあ~んなことやこ~んなこと、今日は徹底的に先生を解剖します!」

「奈々子、お前……」

「ちょっ、山内先生そろそろ抑えて。これ以上はマズいって!」

「あとは先生がどうして結婚できないのかとか、この際だから恋愛マスターの神崎君に相談してみるコーナーもアリですねぇ~」

「よし、今日からお前の家はトイレだ。腹の中を全て抉り出して、一生嘔吐が止まらない身体にしてやるからそう思え」

「ふぇっ、どこに連れて行くんですか?? ちょっ、首根っこ掴まないでくださいよぉ!! た、助けて神崎く~ん!!」

「自業自得だ……」

 

 

 これまでは色んな人に『自業自得』という言葉を投げつけらてきたが、まさか俺の口から誰かにその言葉を突きつける時が来るとはな。

 でもこれが大人の飲み会ってものだ。酒が回っていい気分になるのは分かるけど、相手を煽り過ぎたら山内先生のようになるから反面教師にするように。

 

 

 

 つうかあの2人、よく今まで親友でいられたよな……。

 

 




 まさか私もここまで先生たちのキャラを掘り下げるとは思っていませんでしたが、こうしてキャラを濃くすると魅力的に見えちゃいますね! また先生たちで1つお話を作ってみたくなりました!

 ちなみにスクフェス編はこれまでの登場キャラを全キャラ登場させる予定でもあったので、サブキャラであろうとも今回のように活躍の機会を設けたいと思います。Saint Snowと先生たち、詩織さんの話は消化したので、あとは矢澤の姉妹とA-RISEくらいかな?


 次回は虹ヶ咲メンバーである、エマ・ヴェルデちゃん登場です!



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