ラブライブ!~μ's&Aqoursとの新たなる日常~   作:薮椿

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 今回は虹ヶ咲編です!
 新たな真実が発覚するも、やっぱり調子を取り戻した零君は無敵です(笑)


嘘から出た笑顔

 これまでの人生の中で、自分を見つめ直した瞬間は何度もあった。自分は何でもできる、どんな問題が立ちはだかっても立ち止まらない、そう思っていた。

 だが、現実はそこまで甘くない。自分だけではどうにも解決できない問題があり、その時は決まって女の子たちとの向き合い方に苦戦していた。周りから完璧超人と見られている俺だが、自分自身でもそう思っている。だからこそ、自分1人で解決できない問題が発生すると常人以上に悩みの渦に苛まれてしまうのだ。5年前、俺のそんな性格が災いして、ことりに喝を入れられたこともあったっけ。あの温和なことりにビンタされるなんて、昔の俺って相当1人よがりだったんだな……。

 

 それ以降に立ちはだかった壁は、μ'sや秋葉からの助言を得て無事に乗り越えてきた。未熟だった頃とは違い、みんなと手を取り合って前を進んできたんだ。それは俺の問題もそうだし、アイツらの問題でもそうだ。一緒に人生を歩んでいくと決めた()()()()以降、俺たちは運命共同体となった。喜びも悲しみも、幸福も苦難も、全てを分かち合う仲であり、今となってはお互いの表情を見ただけで相手が何を考えているのか分かる、それほどまでに俺たちは一体となっている。だからもうどんな問題が起ころうとも、以前のようにウジウジ悩んだりしないと思っていたのだが……今回はまぁ仕方ないか。まさか俺自身を否定されるとは思ってもなかったからな。

 

 しかし、アイツの描いたシナリオはもうここで終わりだ。正直、アイツがどこまで俺の行動を先読みしているかは分からない。さっき秋葉と対面した時、俺は他人の敷いたレールに乗せられていることに憤って、完全に我を忘れてしまっていた。

 でも、今となってはそんなことは気にしていない。アイツの口車にまんまと乗せられていたが、Aqoursのみんなのおかげでようやく自分を取り戻すことができた。更に自分を見つめ直したことで、俺がやるべきことがちゃんと見出せたものも大きい。今までずっとぼんやりとしていたとある想いがようやく形となり、相手に伝える準備ができたんだ。

 

 そんな覚悟を胸に秘め俺が足を運んだのは、スクフェスに参加するアイドルたちが宿泊しているホテルだ。スクフェスは全国のスクールアイドルが参加している都合上、遠方からも多くのグループが都内に来ている。そのことを考慮してか、スクフェス本社は遠方から参加するスクールアイドルのためにホテルを用意するという、なんとも太っ腹な姿勢を見せていた。遠方からの参加者以外にも、事前人気投票で上位になったグループにはホテルの部屋を用意するなど優遇している。そういった待遇の良さは単純に参加者のモチベに繋がるため、スクフェスに多くのスクールアイドルが参加している要因は公式からの良待遇って面もあるのだろう。

 

 そんな訳でこのホテルにはたくさんのスクールアイドルが宿泊しているのだが、今は予選も終わり普通にスクフェスを楽しんでいる子たちが多いからか中は物静かだ。周りにいる人と言えば受付の人くらいで、スクールアイドルらしき人物は一切いない。このホテルはスクフェス参加者の貸切なので、基本的に一般人は入れないため静かすぎるのは仕方ないか。

 

 ――――え? どうして俺は入れたのかって? そりゃスクールアイドル界隈では『神崎零』という名が通っているので、μ'sやAqoursに挨拶しに来たとか適当に言っておけば顔パスで通してくれた。もちろんμ'sもAqoursも今頃スクフェスのお祭りを楽しんでいる頃なので、ここには誰もいないだろうがな。

 

 そんな嘘を付いてまでこのホテルに忍び込んだ理由は、今回のスクフェスで注目度No.1のグループに会うためだ。ソイツらは他のスクールアイドルを圧倒する実力と魅力がありながらも、それをファンや観客に奮うのではなく、たった1人の男のために自分たちを魅せる。そのためだけに自分たちの人生を捧げており、生きる糧となっているんだ。

 

 

「アイツらの部屋は……25階!? やっぱ人気スクールアイドルは格が違うってか……」

 

 

 学生たちが泊まるホテルにしては高級過ぎると思っていたが、まさか最上階に部屋が用意されているとは……。スクフェス本社もやることが豪快っつうか、まあそれだけこのスクフェスに魂を賭けているってことだろう。だからこそ、イベントを盛り上げてくれる人気No.1のスクールアイドルに対して、最高の待遇を与えるのは必然なのかもしれない。

 

 それにしても、またホテルの最上階か。いや、秋葉も別のホテルだけど最上階の部屋にいたし、その部屋の出来事を思い出すと軽くトラウマになってんだよな。だいぶ吹っ切れたものの、こうしてエレベータに乗りながら階層を示すランプがどんどん最上階へ点滅していく様を見ると、何故か緊張してしまう。一度刻み込まれた心の傷は、そう簡単に癒えないってことか。

 

 

 最上階に到着し、数少ない部屋の中でも最もお高いスイートルームの前に辿り着く。ここまでの状況が秋葉の時と全く同じだが、今日はアイツに乗せられるのではなく、むしろこっちからアイツの敷いたレールを破壊しに来た。この部屋の宿泊者たちには既に連絡済みなので、今頃中でそわそわしている頃だろう。向こうも俺に色々言いたいこともあるだろうし、無駄に待たせて焦らしプレイをするのはやめようか。

 

 

 すると突然、何もしてないのに部屋のドアが開いた。声も発してなければノックもしていないので、ビックリして思わず一歩後退りをしてしまう。

 

 

「あっ、零さん。やっぱりいた!」

「あ、歩夢!? どうして俺がいるって分かった……?」

「いやぁ何と言いますか……本能?」

「なにそれ怖い……」

 

 

 察しが良くて部屋の前に誰かがいると悟ったとか、耳が良くて誰かの足音が聞こえたとか、そういう類ではないってのが一番怖いよホント。虹ヶ咲の子たちが俺を察知する能力に秀でていることは、偶然を装って俺の前に現れた出来事を思い出せば驚くことでもない。しかし、どうにも監視されているようでイマイチ納得できないと言うか、許容はできないよな。

 

 

「悪いな、こんなところに押しかけちまって」

「いえいえ。私たちも、零さんとお話したいと思っていましたから」

「あぁやっぱり?」

「とりあえず、中へどうぞ。2人で立ち話をしてたら、みんなから嫉妬されちゃいますから」

「そんなことで嫉妬すんのかよお前ら……」

 

 

 歩夢たちが俺に並々ならぬ気持ちを抱いていることは知ってるが、仲間に嫉妬するほどの病み成分まで含んでいるとは思わなかったぞ。歩夢やしずくは出会った時からちょっと危ない思考を持ってるとは思っていたけどさ……。シリアスなヤンデレ展開はμ'sの時に見飽きたので、もうやめてくれよ?

 

 冗談はさて置き、歩夢に導かれるまま部屋に入る。部屋には虹ヶ咲のメンバーたちが一堂に会しており、恐らく俺と話をできる機会があると歩夢から聞いて待っていたのだろう。笑顔で歓迎ムード――――と言った和やかな雰囲気ではなく、どちらかと言えばしんみりとした暗いムードが漂っていた。まあ俺がコイツらにした仕打ちを考えれば、みんなが不満に思うのも仕方がないか。

 

 

「お前らから言いたいことがたくさんあるのは分かる。でも、先に俺から謝らせてくれ。ライブ、観に行けなくてゴメン」

 

 

 下手な言い訳なんてしない。μ'sとAqoursを含め、ライブを観に行かなかったのは俺の落ち度だからだ。秋葉のせいで観に行けなかったとか、例え極悪非道なアイツと会っていたとしても、コイツらからしたら関係のないこと。絶対に観に行くと約束していたのにも関わらず、サボってしまったのは完全に俺のせいだ。

 

 Aqoursのみんなにも謝ったし、なんならここへ来る途中にμ'sのみんなにも謝っておいた。俺のためにたくさんの女の子たちが自分を魅せようと必死だったのに、俺はその想いを無碍にしてしまった。特に虹ヶ咲の子たちは今回のライブこそが俺に見せる初の生ライブであり、そして、今まで自分たちが秘めてきた想いを俺に伝える場でもあったんだ。

 そうと知っていたのにも関わらず、俺はその想いに答えられなかった。コイツらがどんなパフォーマンスをしたのか、予選のライブ映像はまだ公開されていないので分からない。例え公開されたとしても、映像で見るのと生で観るのでは気持ちの伝わり方が全然違うだろう。つまり、彼女たちからの告白を蹴ってしまったのと等しい。幾多の女の子から告白されている身からすれば分かる。好きな人に想いを伝えるのって、相当な覚悟がいることを。歩夢たちはその覚悟を持ってスクフェスに臨んだはずだ。だからこそ、彼女たちのライブを観られなかったことが申し訳なさ過ぎて悔やんでいるんだ。

 

 

「あ、あの! そのことについてなんですけど、謝らなければならないのは私たちの方です!」

「えっ、どういうことだ……?」

「零さん、秋葉さんに会いに行ってましたよね?」

「そ、それは……」

「隠さなくても大丈夫です。秋葉さんが何をしたのか、私たち全部知ってますから」

「全部!? 全部って、本当に全部か? お前らは思い出したくないだろうけど、孤児院が火事になったあの事件のことも??」

「はい。秋葉さんが零さんに話したこと、全部です」

 

 

 秋葉が語った、孤児院火事事件の真相。それは、アイツ自身が施設を放火した。それも俺が火の海になった施設から彼女たちを全員助け出す、なんて映画みたいな演出が見たかったからという自分勝手な理由で。俺自身も自分の愉悦のために多少なりとも理不尽な行動を取る時はあるが、秋葉の行動は流石に擁護することはできない。だからこそ、例え姉や妹などの肉親であっても女性に手を出さない俺が、思わずアイツの胸倉を掴むまでに頭に血が上ってしまった。

 

 でも、歩夢たちがそのことを知っていた……? どうしてコイツらがそのことを? となると、その情報を知りながらもずっと黙っていたってことか?? だとしたら、自分たちの住む場所を壊した張本人である秋葉と、どうして一緒に行動している? ダメだ、色んな疑問が次々に浮かんで頭が痛くなっちまう。ここでネタ晴らしをしてくれるってことは話す気になったってことだろうから、1つずつ順番に聞いていくか。

 

 その時、せつ菜が申し訳なさそうに頭を下げてきた。

 

 

「ゴメンなさい! 今まで零さんを騙すようなことをして!!」

「い、いいから頭を上げろ。別に気にしちゃいねぇからさ」

「そう、ですか? 秋葉さんから、零さんが絶望した顔で部屋を出て行ったと聞いてますけど……」

「それは本当のことだ。アイツから事の真相を聞いて、自分を失いかけていたことは事実。でも、今はもう大丈夫だ。何もかも吹っ切れたし、本当の自分を見つけることができたから」

「短い時間でそんなこと……。やっぱり、零さんは凄いですね。私たちは立ち直るまで相当な期間を費やしたのに……」

 

 

 それもこれも、みんなAqoursのおかげかな。俺1人だけでは、襲い掛かってくる重圧に間違いなく屈服してただろうから。

 それにしても、せつ菜たちも真実を知って絶望していた時があったんだな。そりゃ自分たちの住んでいるところを燃やされて、しかも放火の張本人から真実を告げられたら動揺もするよ。むしろ、今こうして秋葉と結託してつるんでいること自体、かなりの度胸だと思う。一体どんな利害の一致があって一緒に行動しているのか気になるな。

 

 すると、いつの間に俺の元へにじり寄っていたかすみが、柄にもない苦い表情で語る。

 

 

「この件に関しては、流石のかすみんも度が過ぎるイタズラだと思ったんですけどね。零さんの気を惹くためには、こうするしかなかったんですよ」

「それが秋葉と一緒に行動していた理由か?」

「はい。秋葉さんから放火の真意を聞いた時は確かに衝撃でしたけど、零さんにその時の記憶がないというのはチャンスだと思ったのも事実なんです。元々孤児院でまともな教育を受けてなかったかすみたちは、こういう手段でしか零さんに好きを伝えられなかったんですよ。ぶっちゃけ、不器用なんですよねかすみたち」

「つまり、お前らは自分たちの思惑でアイツの策略に乗ったと。目を覚ました俺に放火事件の真相を伝えるとパンクする、なんて名目で、ずっと黙っていた訳ね」

「そういうことです」

 

 

 なるほどねぇ。秋葉の言っていた全部嘘って言葉は、本当に1から10まで紛れもなく嘘だったんだな。もはや合宿で語られた事実との整合性は、俺が火の海に飛び込んで取り残されたコイツらを助けたことくらいしかない。その後のことは嘘ばかりだから、よくもまぁ10年以上も騙し続けられたと褒めてやりたいくらいだ。

 

 

「彼方ちゃんも、こんなやり方は汚いと思ったんだけどねぇ……。秋葉さんがどんな人であれ、零さんの記憶がなくなってしまったのはどうにもならなかったから……」

「ま、そうだろうな。そこで秋葉を恨んだところで、昔の状況に戻る訳じゃない。だったらアイツのレールに乗っかってでも、自分たちの想いを具現化しようとしたのか」

「うん。彼方ちゃんたちの想いを1つにして、誰にも内緒で本気のアイドル活動をしてたんだ~」

「なんかもう、アイツに逆らおうとする度胸がすげぇよ」

 

 

 そんな度胸が生まれたのも、俺に対する猛烈な愛が彼方たちにあったからだろう。自分に向けられる愛のことを自分で解説するのはムズ痒いけど、それが事実なんだから仕方ない。秋葉と付き合いが長い楓だってアイツにビビってるのに、ソイツを利用しようなんて無謀な考えが思いつくだけでもレベルが高い。これも放火の現場から無事に生還し、放火の真相を知ったとしても正気を保っていられた精神力の強さ故なのかもしれない。

 

 

「結局ね、愛さんたちも零さんを騙していたってこと。それは時が来たら本気で謝ろうと思ってたんだ」

「別に、どうだっていいよそんなこと。むしろ、お前らが秋葉に一泡吹かせられるなら応援しちゃうね。俺以外にアイツに対抗できる奴らがいるってこと自体が嬉しいからさ」

「あはは! どれだけあの人のことを憎んでるの?」

「憎んではないけど、あの笑顔は憎たらしいよな。だから見てみたいんだよ、あのドヤ顔が赤面して崩れ去る様を」

 

 

 俺は一度たりともアイツを憎んだことや恨んだことはない。それどころか、俺が壁にぶち当たるたびに何かと手助けをしてくれるアイツに感謝してるくらいだ。しかし今回の一件で、手助けすることこそがアイツの作戦であり、神崎零という人間を自分の想い通りに作成することが目的だと言っていた。

 だが、今となってはどうしてあんなに打ちひしがれていたと思うくらいにくだらないことだ。その件に関しては、アイツの前で俺の想像を絶する告白をしてやるかな。

 

 だから、誰に騙されていようが今の俺は何でも許せる。でも虹ヶ咲の子たちは未だに申し訳ないという気持ちがあるようで、特にしずくは俯いたまま暗い表情が消えていない。

 

 

「しずく、そんなに落ち込むな。俺はこんなにも可愛い子たちから好意を持たれているってだけで満足だから」

「か、かわっ……!! ず、ズルいですよいきなりそんなこと……。ずっと嘘を付いてきた私に、そんな言葉をかけられる権利なんて……」

「権利もクソもあるかよ。俺がそう思ったから、相手にその想いを伝える。普通のことじゃねぇか」

「そう、ですかね……? 零さんが許してくださると、なんだかホッとします」

「許すも何も、最初から気にしちゃいねぇけどな」

 

 

 自分たちの最大限を愛する人に魅せるため、敢えて秋葉と結託して俺を騙した。それって、すっごく嬉しいことじゃないか? だって大切な人を騙してまで自分たちの魅力を上げようだなんて、執念と言わんばかりの愛がないとできない行動だろ? それだけ俺のことを考えてくれているんだから、嫌悪する必要なんて一切ない。むしろ自分の全てを捧げようとしてくれる奴らに、心を打たれない方がおかしい。いい子たちだよ、コイツらはさ。

 

 

「おっ、璃奈のボードも笑顔に戻ってるじゃねぇか。俺が部屋に入った時は落ち込んでたのに」

「騙されていた張本人が許すと言ってるんだから、私も納得するしかない。もし嫌われたらどうしようって気持ちを、これまでずっと抱いてたから」

「秋葉を利用しようとしていたお前らでも、そんな後ろめたい心はあったんだな」

「自分たちの道が正しいと思い込んで、なるべく考えないようにはしてた。でも、やっぱり引っかかるものはずっとあった」

「俺が気にしようが気にしまいが、お前らの取った手が正当じゃないってことは事実だしな。ま、今となっちゃどうでもいいことだけど」

 

 

 後ろめたいって気持ちがあったってことは、少なからず自分たちの行動が世間一般で許されることではないと思っていたのだろう。そしてその気持ちを抱き続けていることに、コイツらは悩んでいたらしい。

 でも俺からしてみれば、その気持ちを引き摺ってもらえてよかったと思ってる。だって、人を騙しているのに後ろめたいと思わない方が異常じゃね? それだけコイツらには優しさがあったってことだよ。どこぞの悪魔とは違ってな。

 

 

「エマ……? お前なんだか嬉しそうだな。いいことあった?」

「私からこんなことを言うのはおかしいかもしれませんけど、またこうして零さんと楽しくお喋りできる日が来たので、嬉しくなっちゃって!」

「それは璃奈が言っていた後ろめたい気持ちがあったからか? さっきも言ったけど、もう気にすんな」

「ありがとうございます! そして、ゴメンなさい」

「ちゃんと謝れるのは偉いな。でも俺もライブを観に行かなくて約束を破っちまったから、これでおあいこだ」

 

 

 もはや過去に何があったかなんて、俺たちにとって気にするところじゃない。過去を振り返ったって今は何も変わらない。大切なのは、今を楽しく過ごすことだ。そう考えると、過去に捕らわれて暗くなるなんて馬鹿らしくないか? エマの言う通り、またこうして楽しく会話できるだけでも俺は満足だ。一時の嘘でぽっかりと空いた俺たちの関係も、今こうしてしっかり埋めることができたんだからな。

 

 だからこそ、俺がこれまで抱いていた虹ヶ咲への想いも伝えなければならない。自分の気持ち、そして、コイツらとの未来についても――――

 

 

「そういや果林、お前が別れ際に言ってたあの言葉の意味がようやく分かったよ」

「別れ際と言うと、公園でお話した時のことですか? って、聞こえてたんですかあれ!? 空耳っぽい反応をしていたような……」

「あぁ、聞き間違えかと思って聞き直しただけで、ちゃんと聞こえてたよ。『本当に、ゴメンなさい』って、このことだったんだな」

「はい……。秋葉さんと協力関係にある以上、あの場で真実をバラすことはできませんでした。でも、あまりの後ろめたさについついその言葉が出ちゃいまして……」

「意外とピュアなんだなお前って。ま、大したことじゃなくて良かったよ」

「これを大したことじゃないって、懐が大きすぎますよ全く……フフ」

 

 

 そりゃ懐が大きくないと、大勢の女の子を受け入れることなんてできねぇだろ。例え理不尽を押し付けられたとしても、だったらそれを含めて自分色に染め上げてやる。それこそ、12人の恋人を持つ男の度量ってやつだ。

 

 自分で言うのもアレだけど、完全に本調子に戻ってきたな。歩夢たちの表情にも笑顔が戻り、これで俺を含めメンタルケアは完了って感じか。あとは俺の気持ちをみんなに伝えるだけ。俺の覚悟、感情、想い、その全てを余すことなく暴露するつもりだ。

 

 そう、()()()()()()()()にな――――

 

 

「おい、いい加減に立ち聞きしてないで入って来い。最初からバレバレだっつうの」

 

 

 部屋のドアに向かってそう言い放つと、外にいた人物は観念したのか、部屋の中へと入ってきた。

 

 

「あはは、流石は零君♪ 愛するお姉ちゃんのことなら何でも分かるってことか」

「冗談は顔だけにしておけ……」

 

 

 

「「「「「「「「「秋葉さん!?!?」」」」」」」」」

 

 

 

 

To Be Continued……

 




 どんなアニメや漫画にしろ、思い悩んでいる女の子が問題を乗り越えて笑顔になる瞬間が一番好きな描写です。これまで零君と歩夢たちの間には少々シリアスなムードが漂ったりしていましたが、今回でその問題もなくなり、本当の意味で仲間になれたと思います。

 そして次回、零君が秘めた気持ちを開放する時。
 それは、悪魔と言われたあの人にも…………

 とりあえず、次回でスクフェス編で発覚した全ての問題が解決します。
 物語も本格的にラストスパートです。

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