今回は懐かしの4人組で高校の卒業旅行回です。
もちろん時系列はμ's編の終了直後で、それに伴い零君の性格もかなり性欲に従順となっています。Aqours編では少し大人びていたので、改めて昔の零君を見るとちょっと新鮮かも……?
※後書きに第3回のアンケートを設置していますので、是非ご投票をお願い致します!
「わぁ~♪ 写真で見るより綺麗なところだね!」
「そうですね。和の風情がある旅館で、私好みです」
「これもこの旅館の宿泊券をくれたお母さんに感謝しなくちゃ♪」
穂乃果、海未、ことりは目の前の立派な建物を見上げ、口々に感想を漏らす。
俺たち4人は高校の卒業旅行と称して、世界から注目されるほどの高級温泉旅館に来ていた。建物は古来の日本を感じさせる風情のある造りとなっているが、ただ古臭いと片付けることはできないほど外装は綺麗だ。だから下々の高校生が泊まるような旅館でないことは、こうして外から見ているだけでも明らかだった。旅館へ出たり入ったりする人たちはみんな金持ちそうな人ばかりで、駐車場に古風な温泉宿に似合わないリムジンが停めてあることから、この旅館の宿泊客がいかに世間離れしているのか分かるだろう。
そんな高級旅館に俺たちが泊まれる理由は、さっきことりが言っていた通り理事長のおかげだ。どういうルートでこの旅館の無料券を手に入れたのかは知らないが、たかが高校生の卒業祝いに俺たち4人の宿泊券を手配してくれるくらいだから相当太っ腹だ。今まで親鳥だの淫乱母鳥だの言って罵ってきたけど、今回ばかりは足を向けて寝れねぇな。
「なんか、穂乃果たちの場違い感が半端ないね……」
「こんなことなら、もっと正装をしてくるべきでした。着物を着てくるとか……」
「他の客のことなんて、いちいち誰も気にしちゃいねぇよ。ほら、とっとと入るぞ――――って、ことり? ニヤニヤしてんだ気持ち悪い」
「なんでもないよなんでも! ただ4人で温泉旅行なんて初めてだから、テンション上がっちゃって♪」
「ふ~ん……」
なにやらことりの様子がおかしいが、コイツって如何にも旅館とか温泉とかまったりしたところが好きそうだし、楽しみにしている気持ちは分からなくもない。最近まで卒業制作やら卒業式やら、μ'sのラストライブやらで忙しかったので、全てが終わって一息つきたいのは俺も同じだ。そう考えると、もはや卒業旅行ってよりは慰労会だな。
~※~
「お部屋も広~い!! これ、4人で使っちゃってもいいのかな?」
「下手するとそこらのホテルのスイートルームより広いな。逆に居づらくねぇか……?」
建物が立派であれば部屋も豪華で、4人部屋なのにスペースを持て余しているくらいだ。だがこの部屋を景色として眺めたいくらいには内装が整っており、名も分からぬ高級そうな花瓶や花、いくらするのか分からない掛け軸、年季の入ったお高そうな木材で作られたクローゼットとタンス、窓から見える緑の山々等、その素晴らしい光景に一般庶民の俺たちは萎縮してしまいそうだ。
とは言ってもそんなことを感じているのは俺くらいであり、穂乃果は早速畳の上で大の字になって寝転び回ってるし、和のテイストが大好きな海未は部屋の景色を興味津々で眺めている。ことりはことりで備え付けのお菓子とお茶の準備をし始めたりと、さっきまで旅館の外装を見て圧倒されていた奴らとは思えない。これもμ'sの経験で屈強な精神を手に入れたからなのか、それとも俺が堅苦しく思い過ぎているだけなのか……。
「そうだ、温泉に行こうよ温泉! 今日はたくさん歩いて疲れちゃったから、早く汗を流したいんだよ」
「そうですね。夕食までまだ時間もありますし、私も賛成です」
今日の日中帯はほぼ観光で時間を潰したのだが、穂乃果の言う通りほぼ歩きっぱなしで疲労が溜まっている。これほどまでの高級旅館なので1日中ここでまったりしたい気持ちもあったのだが、せっかくの卒業旅行なので4人の思い出作りとして朝から夕まで色んな所を巡ったのだ。それに疲労が溜まった状態で入る温泉もまた格別だから、この計画もこの計画で悪くないだろう。
「決まりだね。それじゃあ早速みんなで大浴場に――――」
「ゴメンね穂乃果ちゃん。この旅館の大浴場は予約制なんだ。ことりたちは予約してないから入れないよ」
「へ……え゛ぇっ!? 穂乃果たち、温泉に入れないの!?」
「それは聞いていた話とは違うような……。ことり、この旅館を予約したのはあなたでしたよね? その時に大浴場も一緒に予約しなかったのですか?」
「心配しないで、大浴場よりももっといいところを貸し切ってあるから♪」
なんか雲行きが怪しくなってないか……? いや俺たちへのサプライズという点では大成功かもしれないが、
「ほら、これ見て!」
「なになに……って、え? まさかこれって……」温泉!?」
「露天風呂ですか……、も、もしかしてこの温泉って!?」
「そう、この部屋の宿泊客専用の露天風呂だよ! だからことりたちの貸切だね♪」
「なるほど、そういうことか……」
ことりに先導されて部屋の窓から外を見てみると、そこには緑の山々を一望できる露天風呂が広がっていた。もちろん他の部屋からは石垣によって隔離されているので、この露天風呂は俺たちが占有できる。だだっ広い部屋に専用の露天風呂とは、この部屋の宿泊代がいくらなのか怖すぎて調べたくねぇな……。
「サプライズも成功したことだし、早速みんなで入ろっか」
「えっ、みんなって、私たち4人でですか!?」
「当たり前だよ、混浴だもん」
「いやいや、男女で時間を分けて入ればいいですよね!?」
「もう海未ちゃん、ことりたち一緒の部屋に泊まってるんだよ? だったら一緒の温泉に入っても同じじゃない?」
「同じではないです!!」
「いいねそれ! 穂乃果もことりちゃんに賛成!」
「ほ、穂乃果!?」
ようやくことりが何を企んでいたのか、その全貌が明らかになったな。それは単純明快で、俺との貸切混浴のシチュエーションを作りたかったからだろう。それに親友の穂乃果と海未を巻き込むところがまた黒い性格が滲み出ているところだが、穂乃果が乗り気になるのは簡単に読めるし、あとは海未を上手く言い包めればそれで解決なんだろう。
現に穂乃果もことり同様に混浴温泉に意気揚々としており、もはや周りに味方がいなくなった海未は戸惑いから抜け出せずにいるようだ。そう、味方は
「零、あなたからも2人に言ってください。卒業式を終えたとはいえ、3月まではまだ高校生。男女で混浴など破廉恥なことは――――」
「いや、別にいいだろ」
「はぁ!? あ、あなたまで……」
「つうかさ、どうして俺が拒否すると思った? お前らと一緒の風呂に入れるなんて、むしろこっちが頼みたいくらいだ」
「あなたって人は相変わらず……!!」
海未は俺を仲間だと思っていたようだが、俺が1人の男だってことを失念していたようだ。俺の性格を考えれば、混浴の誘いを断る理由がないってことくらい想像できただろうに……。
美少女たちと温泉に入れる機会なんて早々ない上に、しかも貸切の露天風呂と来た。そりゃ女の子側から誘われたら断る理由はないだろう。女の子たちと温泉旅行に来ているんだから、そのアドバンテージはしっかり活かさないとな。据え膳食わぬは男の恥とはよく言ったものだが、今がまさにその時だ。ただの観光で思い出作りを終えるなんて、そんな単純でありきたりな思い出はむしろいらない。やっぱ女の子たちと温泉旅行ときたら、こういうイベントがあってこそだろ。
「零君も来てくれるんだ! 零君と一緒にお風呂に入るのって久しぶりだから、穂乃果楽しみだよ♪」
「ことりも! 全てはこの時のために準備してたから、もうワクワクが止まらないよぉ~♪」
「最初からこれが狙いだったのですね……」
「海未ちゃん、今日くらいは思い出作りだと思って一緒に入ろうよ。みんなで入った方が絶対に楽しいよ?」
「それに俺たちはただの男女関係じゃないんだ。付き合ってる仲なんだし、混浴なんて今更だろ」
「それとこれとは話が別です!」
お互いに告白し合って1年、未だに海未は色欲が香る話題が苦手だ。逆に得意になってる穂乃果やことりの方が異常なのかもしれないが、俺たちに囲まれている中でそうやって純情を保っていられるのも珍しい。むしろ高校生活の中でよく染まらなかったと感心するよ。尿意を強制的に感じさせられたり、巨乳にさせられたりと、色々辱めを受けたのにも関わらずだ。
「一緒に入りたいのならあなたたち3人でどうぞ。私は後から1人でゆっくり入りますので」
「えぇ~!? それじゃあみんなで来た意味ないじゃん! タオル巻いてもいいから……ダメ?」
「ということは、あなたはタオルを巻かずに入ろうとしていたのですか……?」
「そ、それはぁ……ほら、湯船に入る時だけ。マナー的にね!」
「全く…………今回だけですよ」
「えっ、いいの?」
意外や意外、穂乃果の押しにもなってない押しが効いたのか、海未の防壁はあっさり陥落した。これ以上抵抗されるなら俺ももう無理強いはしないでやろうと思っていた矢先なので、このチョロさには驚くばかりだ。それとも抵抗しても穂乃果もことりも執拗に誘ってくるため、仕方なく諦めたのかもしれない。俺が言うのもアレだけど、妥当な判断だな。
「いいのか? 穂乃果とことりに何をされるのか分からないぞ?」
「どうせ拒んでも執拗に縋り付いてくるだけなので、もう腹を括りました」
「やっぱりそうか……」
「さっすが海未ちゃん、ことりたちのこと分かってるね♪」
「褒めてもないのにどうして嬉しそうなんですか……。言っておきますが私がいる以上、不純異性交遊と見なされる行為は厳しく取り締まりますので、ご覚悟の上を」
「なるほど、そっちの目的もあったって訳ね……」
「えぇ~でもそれだったら混浴の意味ないよぉ~! せっかくみんなで一緒の温泉に入れるのに……ねぇ、零くん?」
「ここで俺に振る!?」
「ことりにとって、混浴とは如何わしい意味みたいですね……」
そもそもこの卒業旅行かつ温泉旅行を提案してきたのはことりなのだが、恐らくコイツの目的はみんなで混浴することだったのだろう。もちろんただの混浴ではなく、同じ浴場で男女が一緒にいればやることは1つと言わんばかりに不純異性交遊は当たり前だと思っている。そう考えると、露天風呂が専用貸切できるこの部屋を用意した理事長もグルの可能性が高いな。まあ脳内お花畑の親鳥のことだ、どうせ俺とことりが自分の孫を作って帰ってきてくれることでも想像してたんだろ。本当に神聖なる学び舎の長かよアイツ……。
そんな訳で紆余曲折あったが、めでたく(?)4人で混浴することになった。女の子の裸体を見られるだけでも相当な興奮モノだが、それが自分の彼女たちと来たもんだ。今の俺は穂乃果やことりの勢いに押されておとなしいように見えるが、これでもかなり期待が高まってるんだぞ? そりゃ美少女たちと一緒に温泉に入ることができるなんて、男なら誰でも興奮するだろ。高校を卒業した身だが、この調子だとこれからも永遠の思春期のままな気がする……。
「穂乃果もことりも、高校を卒業したのですからもう少し大人になって欲しいものです……」
「そりゃ遠回しに俺に文句を言ってるのか……?」
「あの2人があんな風になったのは零のせいだとは思っていませんが、単純に貞操観念が低いだけのようですね……」
「諦めてんなぁお前……。まあ性欲が強いのも、それはそれで大人になったんじゃねぇか?」
「精神は子供なのに、欲求だけは旺盛って一番タチが悪くないですかそれ……」
海未は混浴をすることになってはしゃいでいる2人を見ながら、もう何もかも諦めたかのように溜息をつく。天真爛漫な穂乃果とおっとり不思議ちゃんのことりを昔から面倒見てきたんだ、そりゃ悟りを開きそうにもなるわな。俺はみんなとつるみ始めて2年だが、あの2人を手懐けられたとは一切思っていない。今の海未でさえそうなんだから、2人を掌握するのは相当時間がかかりそうだ。
「2人共なにしてるの~? 脱衣所はこっちだよ!」
「着替えの浴衣はそこのクローゼットの中に入ってるから、早くおいでよ!」
「ちょ、ちょっと待ってください!? 温泉には一緒に入りますが、脱衣所まで一緒とは聞いてませんよ!?」
「もう海未ちゃんは細かいなぁ~。どうせ温泉で裸を見せるんだから、脱衣所で見せても変わらないよ」
「変わります! それに見せません!!」
「アイツらに抗っても無駄だって分かってるだろ? もう諦めろ」
「そんなことを言って、少し嬉しそうにしてるのは何故ですかね……」
「は、はぁ!? そんなことは……ないぞ? うん」
ヤバい、俺があらぬ妄想をしていることがあっさりバレちまった。この3人は俺といる時間が他のメンバーよりも圧倒的に長いから、もはや俺の思考回路を表情から読むくらい造作もないのだろう。
いやでもさ、温泉で肌色塗れの女の子と混浴するのもいいけど、着ている服が徐々に脱げていき肌色が少しずつ晒される様を見るのもこれまた至高なんだよ! 穂乃果に脱衣所へ誘われた時、真っ先に妄想したのがそのシチュエーションだ。そして、俺にはその光景をまじまじと眺めることができる権利がある。だって3人と付き合ってるんだから、ちょっとくらい欲を出しても……いいよな? むしろ俺だけの特権と言い張ってもいいくらいだ。そのためなら穂乃果とことりの提案に同調するのも厭わない。脳内桃色ちゃんたちと同列になるのは癪だけど、己の色欲には逆らえないのだ。
しかしここまで煩悩に塗れていると、俺もあの2人と同じく大人になれてないなって思うよ。卒業して気分的にハメを外したくなっているのかもしれないが、この調子だと大学に入ってからウェイ系になって盛りまくりそう……。
こうしてことりの計らいで混浴することになった俺たち。
温泉に入る前から騒がしかったが、もちろんこれで終わるはずがないことは容易に想像できる。一体どうなることやら……。
To Be Continued……
この4人でメインを張るのはμ's編の最後以来なので、個人的には超懐かしさを感じました(笑) 4人の会話のテンポといい、仲の良さといい、やっぱりこの4人のお話が一番執筆しやすいです。
次回は今回の波乱を更に上回る、卒業&温泉旅行の後編です。
新たに☆10評価をくださった
星中 凛丸さん
ありがとうございます!
この小説が気に入られましたら、是非お気に入り、感想、評価をよろしくお願いします!
小説を執筆するモチベーションに繋がります!
バンドリ小説『ガールズバンドの子たちに甘やかされる日常』の第2話『Roseliaに甘やかされる』も昨晩投稿されているので、よろしければそちらにも是非お気に入り、感想、評価をよろしくお願いします!
Q3. 幼馴染になって欲しいキャラは?
-
高坂穂乃果
-
南ことり
-
園田海未