最後の話は顧問探索回!!μ'sは無事に顧問を見つけれられるのでしょうか……?タイトルを見て『あっ、ネタバレしてる』とか思わないこと!!
「わぁ~!!広くて綺麗なキャンパスだね♪」
「ここが絵里たちの通っている大学か……」
俺と穂乃果は秋葉からの連絡を受け、アイツや絵里たちが通っている大学に来ていた。こうして校門の前に立っているだけで高校の校舎とは全く違う、威厳のある風格が漂ってくる。穂乃果の言う通り外から見ても建物は綺麗だし、緑も多くて空気も澄んでそうだ。ちなみにここが俺や穂乃果たちが目指すべき大学となる。
「でも、μ'sの顧問になってくれる人って誰なんだろうね?」
「さぁな。それに向こうからわざわざコンタクトを取ってくるのも珍しいけどな」
穂乃果たちは『ラブライブ!』出場にあたり、見事ランキング20位以内に入れた(ちなみに2位、1位はA-RISE)ので、改めて申請書を送るつもりだったのだが、今年から部活として活動している場合は顧問の署名が必要になってしまった。顧問がいないアイドル研究部では申請もできないので、学院中の教師にお願いしたのだが生憎手の空いている教師はいなかったのだ。
そこでその旨を知った理事長から彼女の元教え子である秋葉に連絡が入り、見事顧問候補を探し出してくれた。そうは言っても向こうからアイドル研究部の顧問になりたいという依頼が来たらしいのだが。流石にμ'sは有名だから、そんな人も1人や2人はいるだろう。
そして今日はその顧問候補の人がこの大学に来ているということで、リーダーである穂乃果と秋葉の身内である俺が呼ばれたというわけだ。
「顧問か……今更μ'sの顧問になるって依頼してくるなんて、ただ知名度を上げたい奴としか思えねぇぞ。だってμ'sは去年の『ラブライブ!』優勝チームだし」
「か、考え過ぎだと思うよ?それにほら、顧問がいれば指導役の海未ちゃんや絵里ちゃんの負担も減るし!!」
「まぁそりゃあそうだけどよ……」
「零君はいつも考え過ぎなんだよ!!それにその顧問の人がすっごく美人さんだったら、すぐに信用しちゃうでしょ?」
「俺をただの女好きだと思うなよ。俺が好きな女の子はお前らだけだから」
「も、もうっ……バカ」
顔を真っ赤にした穂乃果の頭を撫でてなだめながら、俺たちは大学に足を踏み入れた。撫でられて気持ちいいのか、穂乃果は『ふにゃぁ~』とした表情で俺の腕に絡みついてくる。自分で言うのもアレだけど、ただのバカップルにしか見えねぇ。あまり大学前でイチャつかない方がいいのか?大学はそういう噂ってすぐに広まりそうだし……
そういや大学前に着いたら絵里たちが迎えに来てくれるはずだったんだけど、どこにいる?
「あっ、いたいた!!ゴメン遅れちゃって」
「絵里ちゃん!!大学の前で待っててくれる約束だったでしょ!!」
「ちょっと補講が長引いちゃってね、ゴメンなさい」
「まぁ来てくれたのならそれでいい。希とにこは?」
「2人は先に秋葉先輩の研究室へ行ったわ」
当然だけど、秋葉は今年入学した絵里、希、にこにとって先輩となる。元々知り合いということもあってか、一年生の内から彼女に色々なことを学んでいるらしい。こうして見れば秋葉はいい先輩なんだけどな、どうしていつもはああやって人を不幸に陥れることしかしないんだよ……
「それにしても穂乃果……零にくっつき過ぎじゃない?」
「えぇ~別にいいじゃん!!恋人同士なんだし♪」
「それは絵里も一緒だけどな」
「間違っても、この大学内で9股してるだなんて言わないでよ」
そんなこと言えるわけねぇだろ……社会的にも抹殺されてしまう。しかしそれを容認してくている大人も実は何人かいるんだけど、どうしてそうなったのかは分からん。
大学は高校とは違い休日でも結構人がいる。つまりこうして穂乃果とベタベタくっつきながら歩いているとかなり目立つのだ。それなのにも関わらず、穂乃果はさっきから『えへへ♪』と笑顔で俺の腕に胸を押し当てて絡みついている。こうなったら大っぴらに見せつけてやろうじゃねぇか!!
~※~
「ここが秋葉先輩の研究室よ」
「生徒個人が研究室を持つなんて珍しいな。普通は教授のところに配属されるだろ」
「そうなんだけど、先輩の場合は功績が認められてるからね」
「それで生徒1人に研究室を渡す大学も太っ腹だな」
いつもは馬鹿な発明や研究ばかりしているのだが、こうしてアイツから学ぶとなると秋葉の凄さがよく分かるのだろう。ちなみに俺も罵ってはいるがたまに研究を手伝ってはいるので、アイツの凄さは俺が一番良く知っていると思う。
「ん?どうした穂乃果、ポカーンとして?」
「いや、研究室って言うくらいだからもっと煙がモクモク~ってして、怪しい匂いがするのかと思ったよ!!」
「それはアニメや漫画の見過ぎだろ……」
アニメや漫画などではマッドサイエンティストが緑色と紫色をした怪しい液体同士を調合したりと、確かに研究室と聞いてあまりいい雰囲気とは思えないわな。
「とにかく入りましょ。顧問の人も待たせたら悪いしね」
「そうだな」
「どんな人なんだろうね?楽しみぃ~♪」
研究室の中へ入ると、突然目の前が暗闇に襲われる。そして身体が何者かにガッチリとホールドされ、全身に暖かい人肌を感じた。
「零♪」
「お、おいにこ!!またすぐ抱きついて!?」
「にこちゃんズルい~!!穂乃果も抱きつく!!」
「おい!?」
「いきなり何をしているのよあなたたちは……」
研究室に入った瞬間、俺の懐に向かってにこが飛びついてきた。そして俺を取られたことに嫉妬したのか、穂乃果がにこを押しつぶすような形で抱きついた。つまり俺と穂乃果でにこがサンドイッチされている状態である。もう絵里もツッコむ気力は失せているようだ。
「ちょっ、穂乃果!!苦しいって!!にこを潰す気なの!?」
「あははゴメンゴメン……つい勢いで。にこちゃんちっちゃいし」
「ちっちゃい言うな!!」
だが事実だ……でもそのちっこくて可愛いのがにこの特徴なのであって、別に蔑む要因にはならない。むしろアイドルを目指すなら可愛さというのは1つのチャームポイントだから、その個性が際立っているのなら下手に背が高いよりかはいいんじゃねぇの。背の高いにこなんて想像も付かないし。
「相変わらず零君と穂乃果ちゃん、にこっちの3人はアツアツやなぁ~」
「よう希。この前はお前もアツアツだっただろ」
「そ、そのことは言わないでって言ったでしょ!!もう……」
希が標準語になった時は、大抵顔を真っ赤にして動揺しているから可愛さのゲージが跳ね上がる。それと同時に俺の希を攻めたくなるドSゲージもみるみる上昇していく。いつもは自信満々の奴を屈服させるのは非常に愉快だ。
「はいはい!!イチャイチャするなら外でやろうねぇ~」
「秋葉……」
「秋葉さんこんにちは!!」
「こんにちは穂乃果ちゃん!!今日も元気だねぇ~♪」
「はい!!元気が取り柄ですから!!」
なんか幼稚園児と先生みたいなやり取りだけど、胸の前でグッと拳を握りしめている穂乃果を見ていると、俺たちまで元気を分けてもらえる。俺たちが笑顔でいられるのはコイツの功績が一番なのかもしれないな。
「さて、お集まり頂けたようだね諸君。μ'sのリーダーとμ'sの最年長者3人、そして零君、君たち5人には先んじて顧問を紹介しておこうと思ってね」
「リーダーと最年長者は分かるけど、俺の枠っているのかよ?」
「もちろんいるよ!!まぁ顧問の人を見てもらえれば分かるけど♪」
「はぁ?」
秋葉が座っている大きな机の前に、左から俺、穂乃果、にこ、希、絵里の順番で立たされ話を聞くことになった。顧問って一体誰なんだよ……もしμ'sにちょっとでも害を与えるような奴だったら即排除してやる。事前情報では女性と聞いているから、変な男という可能性はない。
「じゃあまずは顧問の方に入場してもらいましょ~♪」
「えっ!?もう来てるのか!?」
「どんな人だろう!!ワクワク♪」
俺たちは一斉に後ろを向き、扉が開かれるのを今か今かと待っていた。
だが――――
…………
…………
「あれ?入ってこないわね?」
「まさか、トップアイドルのにこたちにビビってるんじゃあ……」
「顧問になる人が?そんなことあらへんと思うけど……」
「みんなどこ見てるの?こっちこっち!!」
「えっ!?」
秋葉の言葉で後ろを見ていた俺たちは前へ向き直る。でも誰もいないぞ……?いるのはこっちを向いてニコニコしている秋葉だけ……ま、まさか!?
「お前……お前が顧問だって言うのか!?」
「だ~いせ~いか~い♪君たちの顧問になりたいと依頼したのは、実は私でしたぁ~♪」
「「「「えぇっ!?!?」」」」
「ここまですべてお前の自演かよ!!」
もしかしたらとは思っていたが、本当にコイツが顧問になろうとしてくるとは!?これには穂乃果たちも目を丸くして驚いている。俺たちの驚いた顔を見るためにここまで引っ張ってたのか……相変わらず性悪だな。
「どうしてお前が顧問に?」
「前からμ'sには興味があってね。特に絵里ちゃんたちが私の研究室に来るようになってからは、あなたたちを本気でプロデュースしたいって思ったの。そこで『顧問がいなくて困っている』って話を耳に挟んだから、これを機にやってみようかなってね♪」
「また俺の時みたいに金稼ぎか?そんなことで顧問になるなら俺が許さねぇぞ」
「違う違う!!これは私の本心。将来零君と結婚するであろう、μ'sのみんなをよく知りたいからね♪」
「け、結婚って……」
ふと穂乃果たちを見てみると、4人共顔を赤面させたままモジモジしている。恐らく『結婚』というワードに引っかかってしまったのだろう、誰も目の照準が合っていない。いくら何でも動揺し過ぎだ……確かに結婚を前提の付き合いだけどさ。
「ほ、穂乃果は秋葉さんに顧問をやってもらってもいいかなぁって思うよ。にこちゃんは?」
「へっ!?に、にこも別にいいわよ。正直大学に入って先輩の印象変わったしね」
「ウチも賛成。初めての人でもないから気兼ねもしなくていいし」
「そうね、私もみんなと同意見。零はどうする?」
穂乃果や大学生組の信頼はかなり厚いようだ。確かに前回俺がスクールアイドルのスカウトを受けた時、コイツの手際は見事の一言だった。金の為なのかは知らないが、秋葉のプロデュース力は目を見張るものがある。実際『ラブライブ!』事務局ともパイプを持っているし、これ以上の顧問は存在しないだろう。
「分かった。ただし、変な素振りを見せたら即解雇な」
「いや~ん♪とてもブラック!!」
「お前……今まで自分がやってきたことを振り返ってみろよ」
とりあえず『ラブライブ!』の申請書に書くために、顧問の名前を借りるだけの存在だ。特に気にする必要もないだろう。それにμ'sのみんなはコイツのことを知っているから、新しい人よりかは接しやすいだろうしな。
「私が顧問になったからには、まずみんなにやってもらいたいことがあるの。それは」
「「「「「それは?」」」」」
「μ'sのみんなは2週間、零君の家で一緒に同棲すること!!!!」
「「「「「えっ…………えぇえええええええええ!?!?!」」」」」
~※~
「以上、顧問となった秋葉からの命令だ」
翌日、俺+μ'sのメンバー12人は部室に集まり、昨日話していた内容を他のメンバーにも伝えた。ただでさえ秋葉が顧問になったことに対して驚いていたのに、そこで同棲と来るとは誰もが思っていなかっただろう。俺だってみんなと同棲をすると思うとドキドキが収まらない。
「どどどど同棲だなんて、男性と1つ屋根の下だなんて破廉恥です!!」
「まぁまぁ海未ちゃん。恋人同士なんだから別にいいじゃん♪ことりは楽しみだなぁ~♪」
「うぅ……でもまぁ零がハメを外さないように私が監視しなければ……」
「それはどうもありがとよ」
これでまた海未に怒られる回数が増えるのか……それはそれで面倒だけど、海未と一緒にいられるという喜びの方が大きいから良しとしよう。そして没落エンジェルのことり。またより一層エッチなことをされそうな気がする。
「あわわわ……零君と同棲!?でも楽しみかも……♪」
「凛は大賛成!!でも2週間じゃ少ないにゃ~」
「わ、私は別にどっちでもいいけどね!!零が同棲して欲しいって言うのならしてあげてもいいわよ?」
「じゃあ是非とも一緒に同棲してくれ」
恥ずかしながらも期待している花陽と初めからハイテンションの凛。そして相変わらず面倒くさい真姫。真姫はこんな賑やかなのは苦手だと思っていたのだが、コイツも変わったな。
「ハラショー!!私も大賛成です!!みんなとずっと一緒だなんて嬉しい♪」
「わ、私は……まぁ別にいっか。亜里沙もこう言ってるし」
「おっ、案外素直だな」
「別に零君と一緒だから嬉しいとかじゃないですから」
「あ、そう……」
意外にも雪穂が乗り気で少し驚いた。大賛成の亜里沙の意見に乗っかっただけなのか、それとも別の感情があるのか……なにはともあれこれで全員と同棲することが決まったな。平静を装っているように見えるが、これでも内心はウハウハなんだぞ!!なんたってこんな美女美少女たちと1つ屋根の下なんだ、手を出し放題じゃないか!!今まで妄想だけで終わらせてきたことがすべて実現可能だ!!
「ちょっと……私の意見は?」
「お前は既に一緒に住んでるだろ」
「私とお兄ちゃんの愛の巣だよ!!他の女を入れるものですか!!」
「逆らうと秋葉が飛んでくるぞ?」
「うぅ……しょうがない、今回だけだからね!!」
台風の目と言われた楓も、秋葉の名前を出せば途端に大人しくなる。楓が唯一恐れている存在だからな。こんな調子で秋葉が顧問に来て大丈夫なのだろうか?その時は俺がフォローを入れてやろう。
「一応理事長に報告に行かないとな。みんなが認めても理事長は反対するかもしれないし」
「じゃあことりも一緒に行くよ。もしかしたら説得しないといけないでしょ?」
「まぁそうだな。その時は頼むぞ」
「うん♪…………心配はいらないと思うけどね」
「何か言ったか?」
「うぅん、別に!!さぁ行こっか♪」
さっきことりは何て言ったんだ?まあ今はどうでもいいか。それよりあとは理事長に許可がもらえるかどうかだな。誠実な人だし、あっさりOKとは言わないと思うけど……その時はその時だ、説得するしかない。
~※~
「いいわよ」
「はい?ちょっともう一度言ってもらってもいいですか?」
「同棲してもいいわよって言ったのよ」
「マジで……?」
まさかの展開が起こった。てっきり反対されるかと思っていたのだが、理事長はあっさりとOKを出したのだ。ことりがニコニコしていることから、コイツは初めからこの結果になることが分かっていたのだろう。この親鳥……まさか娘と同じくふわふわした頭をしてんじゃねぇだろうな。
「むしろ同棲なんてこっちからお願いしたいくらいよ♪娘をよろしくね♪」
「いやいや、アンタ心配じゃないのか!?」
「え?娘の幸せを願うのが親の努めでしょ?それに零君はカッコいいし学業も優秀、運動神経も良くて頑張り屋さん、うん!!文句なし!!」
それでいいのか親鳥……俺はあなたのことをもっと誠実で芯の通った人だと思っていたよ。俺にとっては理想のお姉さんって感じだったのに。男の理想っていうのは尽く崩れるものなんだな……
「ことり、これを機に零君との子供を作っちゃいなさい。そうねぇ~2人ぐらいが理想かしら?」
「おい親鳥テメェ!!」
「うぅん違うよお母さん、2人じゃなくて3人の予定だよ♪」
「まあ♪この歳でもうおばあちゃんか……嬉しいような悲しいような」
もう話に着いて行けないんだがどうしたらいい……?まさか親子揃って妄想癖があったとは……むしろ親鳥がこうだからことりもこうなったのか。
「零くんとの子作り、楽しみだなぁ~♪」
「なんなら今ここでやってもいいのよ?」
「ホントお母さん!?じゃあ零くん……よろしくお願いします♪」
「やらねぇからな!!お前ら変態かよ!?」
「まさかここで娘が子作りする様子を見られるなんて……お母さん嬉しい♪」
「この親鳥――――ってことり!?脱ぐな脱ぐな!!」
まさか南家の女たちがここまで性欲に塗れた人種だったとはな。一年前の天使だったことりと誠実だった理事長は一体どこへ行ったんだよぉーー!!誰か探しに行って返してくれないかなぁ~……?
「この親鳥ぃ~~!!」
「れ、零君ってば、私も狙ってるの……?そんな……親子丼だなんて♪」
「ことりはお母さんと一緒でもOKだよ♪」
「え゛ぇええええい!!帰るぞことり!!」
「ちゅん!?」
「ことりやみんなのことをよろしくね♪」
「へいへい……」
そうやって学校の許可(?)も無事にもらうことができた。こんな人が理事長だなんてこの学院の存続が危ぶまれるが、今は置いておこう。それよりも同棲生活のことだ。これから2週間、μ'sメンバー12人と俺の同棲が始まる。これには俺たちの絆と愛情を深める意図があるのだが、あの秋葉のことだから果たしてどこまで本気なのだろうか?
そしてまた、俺たちの新しい日常の幕が開かれようとしていた。
はい、そういうことで顧問は皆さんのご想像通りだったと思います(笑)
こちらとしても顧問の候補としてオリキャラを新たに作ろうと考えていたのですが、個人的にオリキャラが多過ぎるのは嫌いなので、皆さんが既に慣れ親しんでいる秋葉を抜擢しました。彼女のことを『好きだ』という人が何人いるかは分かりませんが……
個人的にはオリ主以外のキャラ、つまり楓と秋葉もμ'sのメンバーと同じくらい読者の皆さんに好きになってもらえればいいなと思っています。そのためにキャラを濃くしているわけですしね(笑)
そしてその後は少し間を空けて新章に突入します。μ'sのみんなとの同棲生活に零君はどう動くのでしょう?そうは言ってもいつも通りなことには変わりないんですけどね(笑)
この2週間の同棲生活の間に、シスターズの個人回をやる予定です。
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