ラブライブ!~蓮ノ空との新たなる日常~   作:薮椿

399 / 588
 虹ヶ咲のアニメが決まって小説の執筆意欲も上がったので投稿!


煩悩退散の試練

「零君、はいこれ」

「あん? なんだこれ?」

 

 

 秋葉からいきなり渡されたのは女性モノのブレスレットだ。オシャレに全く興味のない俺だが、見た目だけでもかなりの高級品だと分かる。水のようにしなやかな曲線美を描き、一粒一粒のダイヤでチェーンが形成されている。女性がこれを身に着けているだけでそこそこのステータスになること間違いなしだろう。

 

 

「男がこれを着けるのはハードルが高いだろ……」

「だからスクールアイドルのみんなにプレゼントしてあげて。ほら、同じのいくつか用意してあるから」

「こんな高そうなものをそんなにも? そりゃお前の財力があれば買えると思うけど……」

 

 

 秋葉は箱から俺に手渡したブレスレットと同じものを複数個取り出す。1個だけでも相当な金額になると思うのだが、コイツはこれでも世界を股にかける研究家。それでしこたま貯めた金があれば高級品の大量買いなど造作もないだろう。

 

 そんなことより、いきなりどうして俺にこれを渡してきたのかが気になるところだ。また何か妙なことを企んでいなければいいのだが……。

 

 

「あっ、その顔は怪しんでるね? 大丈夫、この前海外で有名な研究者同士の会食があって、その時にお土産として貰ったものだから」

「そういや数日いなかったなお前。でもいいのかよ?」

「私も零君と一緒でオシャレには興味ないからさ、どうせならスクールアイドルのみんなに着けてもらった方がいいかなぁと思って。でも残念ながら零君の知り合い全員分ないから、そこは誰に渡すか見極めてね」

「そりゃまた修羅場を生みそうな……」

 

 

 とは言ってもお土産を持て余すのは勿体無いので、出会った女の子に先着であげるとしよう。スクールアイドルの知り合いが多すぎるから、逆に全員に上げようと思っても手間になるだけだから。

 

 

「じゃあ私はまた部屋に籠るから、修羅場をどう乗り越えたかだけまた教えてね♪」

「相変わらず人の不幸は蜜の味なのなお前……」

 

 

 この時はまだ知らなかった。秋葉の笑みが黒く染まっていることに――――――

 

 

 

 

~※~

 

 

 

 

「これ、本当にことりにくれるの……?」

「あぁ、余り物だからな」

「零くんの贈り物ってだけでも嬉しいよ! ありがとう!」

「そりゃどうも。ほら海未、お前にもやるよ」

「わ、私にもですか!? ありがとう、ございます……」

 

 

 秋葉からブレスレットの詰め合わせを受け取った翌日、俺はことりと海未と一緒にライブ用品の買出しに出かけていた。そのついでにブレスレットを渡したのだが、予想以上にコイツらの反応がいい。そういや付き合い始めてからここ数年あまりプレゼントを渡したことがなかった気がするな。だからこそコイツらにとっては物珍しく、恋人からのプレゼントが嬉しいのだろう。こういう反応が見られるのであれば己の懐を割いてももっとみんなに貢ぐのもやぶさかでないかもしれない。

 

 ブレスレットが気に入ったのか、2人は早速身に着ける。コイツらの容姿がいいってこともあるだろうけど、やはりお高いアクセサリーは女性に映える。2人はそこまで装飾品をジャラジャラと付けるタイプじゃないけど、装備したブレスレットを完全に自分の一部として取り込んでいる。俗に言われる『服やアクセサリーに着られている』ではない。ま、そこはさすが伝説のスクールアイドルってところか。

 

 

「そういえば、明日は零くんの家にお泊り会だね。楽しみだなぁ~♪」

「μ'sのみんなで泊まりに来るのは4年ぶりだもんな。今回は秋葉もいるし、厄介事に巻き込まれなきゃいいけど……」

「私は皆さんが飲み過ぎないように制止させるだけで手いっぱいになりそうです……」

「そりゃご苦労さん。俺もハメを外しすぎないように善処するよ」

「えぇ~せっかくみんなで集まるんだし、ハメ外すどころか逆にヤらなきゃ勿体ないよ――――ひゃぅっ!?」

「な、なんだよ急に変な声出して……」

「な、なんだろうねぇ……あはは」

 

 

 明日のお泊り会でテンションが上がっているせいか下ネタもド直球だけど、なんだ最後の卑猥な声は……。しゃっくりのようには聞こえないし、なんならことりの顔がじんわりと紅い。コイツもしかして良からぬ妄想をしているのか? 往来のど真ん中だがコイツならありえる。来年には海外で働くっていうのに、こんな発情期が服を着て歩いてるような奴を海の向こうへ出せんのか……?

 

 

「ことりはまたそんなことを……。私の目が黒い間は淫らなことは許しませんから」

「そんなこと言っちゃって、海未ちゃんも期待してるんじゃないの? ほら、この前お出かけした時に新しいパジャマを買って気合入ってたしね♪」

「え゛っ、み、見ていたのですか……!?」

「零くんに見てもらいたいんでしょ? ことり的にはもうちょっと露出が高いパジャマにすれば零くんが襲ってくれると思うなぁ~」

「そんな目的で買ったのではありません――――ひぅっ!?」

「お前まで何だよいきなり……」

「い、いえ……」

 

 

 今度は海未がしゃっくりに似た声を上げる。しかも周りの人が一瞬こちらを振り向くくらいには声量がある。顔を赤く染めた女の子が淫猥な声を上げ、その近くには若い男。周りの人から見たら痴漢されていると思われても仕方ないから困る。逆に俺以外の奴に触られたのかと思ったが、ものの見事に周りにいるのは女性ばかり。よほどのレズじゃなければそんなことは起きないとは思うが……。

 

 

「お前ら顔赤くなってるけどどうした? よもやこんなとこで発情してんじゃねぇだろうな?」

「そ、そんなことは決して!! でもこの感じは一体……」

「私は零くんと一緒にいる時ならいつでも――――ふゅっ♡」

「なんだよそのマヌケな声は!? どんどん顔赤くなってんぞ大丈夫か?」

「れ、零くんの顔が近いよぉ……ひゃんっ♡」

 

 

 ことりは奇妙な声を上げながら目をぐるぐる回し気絶しそうになる。なんか内股になってるし、一体何が起こってるんだ? 冗談で発情しているだなんだの言ったけどもしかして本当に本当……? だとしたらとんだ脳内ラブホテルだ。いくら恋愛百戦錬磨の俺でも痴女を更生させる腕はない。コイツ早く何とかしないとってセリフを言えなくなったのはいつからだっけか……。

 

 

「おい海未、お前もまさか……」

「な゛っ!? ことりと一緒にしないでください不名誉です!!」

「それはちょっと、いやかなり酷くない海未ちゃん……」

「あなたのように所かまわず破廉恥なことを考えているような人と一緒にされる身にもなってください!」

「お前も相当煩悩に支配されてきたと思うけどな。高校時代は俺が触ろうとするとすぐ手を出してきたのに」

「セクハラされそうになったら誰でも防衛するでしょう……」

「でも今は満更でもないんだよね海未ちゃん♪ 零くんと触れ合うのに慣れちゃったんだよね? どうしてかなぁ~♪」

「そ、そんなどうしてって――――ひゃぁ♡」

「またか……」

 

 

 俺たちも大学4年生だ。それに5年も付き合っていれば身体の付き合いってのもあるだろう。恐らくそのことを思い出し、自分で自分を辱めているに違いない。とんだ自爆だが、ぶっちゃけ海未も最近妄想癖に囚われることが多くなってきた。まあ脳内ラブホが幼馴染だったら少なからず影響を受けるよな……南無阿弥陀仏。

 

 

「あっ、パンツが濡れ……零くん、ちょっとお花摘みに行ってくるね」

「わ、私も少し……」

「あ、あぁ……」

 

 

  顔を赤くしたままトイレに行くって、それトイレで何をするのかを宣言してるようなものじゃん。表情も蕩けていたのでもう何が起こっているのかさっぱりだ。女の子の日にしては何やら気持ちよさそうだったし……。

 

 

「あれ? アンタこんなところで何してんの?」

「あん……? にこ?」

「お兄様!?」

「あっ、おにーちゃんだ!」

「こころとここあまでいんのか」

 

 

 唐突に矢澤3姉妹とエンカウント。街中でコイツらと遭遇するなんて珍しい。こころとここあに出会う時は大抵俺のベッドの中だからな。ていうか最近それ以外の出会い方をしていない気がする。コイツらも高校生と中学生になったから手を出してもロリコン犯罪者になることはないが、この2人のやんちゃさを相手にすると今でも精神力が擦り減る。逆に姉のにこが落ち着いて見えるから不思議なもんだ。

 

 

「そういやライブの買出しに行くって言ってたわね。ていうかまだ何も買ってないじゃない。もう日が落ちそうなのに大丈夫なの?」

「まあ色々あってな……。そうだ、お前にもこれやるよ」

「これって……ブレスレット? アンタがプレゼントなんて珍しいじゃない……」

「嬉しいなら嬉しいって言えよ。顔に出てるから」

「フ、フンッ! ま、まぁそれなりにいいモノっぽいわね。このにこに合うものを見繕うなんて上出来だわ。ほら、着けてあげたわよ」

「はいはい似合ってる似合ってる――――ん?」

「「じぃ~~~~」」

 

 

 にこの後ろからこころとここあが俺をジト目で見つめてくる。そりゃ一緒にいる別の女にプレゼントを渡して自分だけ渡されないのは嫉妬を感じちゃうか。

 

 

「なんだ、お前らも欲しいのか?」

「欲しい!!」

「欲しいです」

「でもお前らは俺の彼女じゃないが?」

「でもおにーちゃんのおち〇ちん舐めたことあるよ?」

「お兄様におち〇ちんを舐めさせられたこともあります」

「お前らはそれで彼女扱いされてもいいのか……」

 

 

 ここで大声でツッコミを入れてしまうと逆に怪しまれるので、敢えて冷静に対処することであたかも何もなかったかのようにこの場を収めることができる。そもそも俺がコイツらに淫行を指示したのは4、5年前なのでもう時効だろう。

 

 

「アンタねぇ、この子たちに変なことをするのはやめなさい。なんのためににこが身代わりになってると思ってんの?」

「なにお前、俺にこころとここあを近付けさせないために俺と付き合ってんの??」

「お姉様はそんなことを言っていますが、夜はお兄様のことを考えて情事に耽っているのです」

「おねーちゃん隠れてやってるみたいだけど、エッチな声漏れちゃってるもんね♪」

「ア、アンタたち聞いてたの!? そ、そんな零のことなんて――ひぅ♡」

「そうそうそんな声!」

 

 

 にこもことりと海未と同じく話している最中に絶頂を迎えたかのような表情になった。どいつもこいつも人の往来の真ん中で発情しやがって、もっとスクールアイドルとしてモラルを持って欲しいもんだ。妹たちに自分の情事がバレていたことに対する恥ずかしさなのかは知らないけど、アパートのあんな狭い部屋でバレていないと本気で思っていたのだろうか。しかも妹たちから最初にその話を聞いたのはそれこそ4、5年前だから今更感が強い。てか今までずっとオカズは俺だったのかこの淫乱ツインテは……。

 

 

「お姉様がお兄様を想う気持ちはそれだけではありませんよ。お兄様に似たキャラが出てくる薄い本を隠し持っていたり」

「ひゃっ♡」

「アイドルの練習で疲れた時であっても、お兄様の名前を呼んで1人での情事を欠かさない」

「ひぃぅ♡」

「それにおねーちゃんがとっても嬉しそうな日は、大抵おにーちゃんとエッチをした日なんだよね! その日は夜ご飯がご馳走になるから私嬉しいんだ♪」

「ひゃぁっ♡」

「にこの奴、物凄くダメージを受けてるけど……?」

「お姉様がエッチなことを考えている時はまさにそういう顔になりますね」

 

 

 にこは肩で息をしている。妹たちに自分の行動パターンを全て把握されているだけでなく、俺の目の前で暴露するんだから堪ったものではないだろう。もはやオーバーキルも甚だしく、もう俺と目を合わせようともしない。

 

 それにしても今日は出会う女の子がみんな発情モードに入っている。しかも俺がブレスレットをあげた奴ばかり……って、あっそうかなるほど、事の真実がだんだんわかってきた気がするぞ。せっかくだから実験してみようか。

 

 

「こころ、ここあ、お前らにもこれやるよ」

「えっ、いいの!? ありがとうおにーちゃん!」

「ありがとうございます。大切にしますね」

 

 

 2人は早速俺から貰ったブレスレットを装着する。それが自分の性欲を無自覚に助長させる魔道具であることも知らずに……。

 

 

「ねぇねぇおにーちゃん。久しぶりにおにーちゃんの家でお泊りした~い! 明日μ'sのみんなが集まるんでしょ? 私たちも行ってい~い?」

「別にいいけど、勝手にベッドに潜り込んだり風呂に突撃してくるのはなしな」

「えぇ~!? じゃあ何のためにお泊りするのか分からないよ!」

「目的が不純すぎるんだよ」

「そんなことを言いながら、お兄様だって期待しているのではありませんか? お姉様たちとは恋人同士、つまり最近はノーマルなエッチしかしていないはずです。でも私たちはお姉様の妹。自分の恋人の妹とエッチ、背徳的で興奮しませんか?」

「まぁするかしないかで言えばするかも」

「ですよね! お兄様の裏の欲求を満たせるのは私たちだけですから――――あっ♡ きゅ、急に身体が熱く……」

「やっぱりお前もか。ここあは……うん、聞くまでもなかったな」

「お、おにーちゃん……なんか身体がウズウズするよぉ……」

 

 

 案の定この2人も腕輪の魔力によって自身の性的欲求を増幅させられていた。思った通り、性的なことを考えると己の欲情が膨れ上がるみたいだ。赤みがかった頬、蕩けている表情、荒い息、脚を内股にして震わせている。もはや自分は痴女です襲ってくださいと宣言しているようなものだ。しかも見た目は完全にロリ体型の少女であるため犯罪臭しかしない。それを真顔で眺めている俺が一番ヤバい奴なのかもしれないが……。

 

 そしてブレスレットの正体と効果はコイツらの反応通り。そりゃそうだ、秋葉が何の企みもなしにこんな高級品を渡すはずがない。スクフェスの一件以降その悪魔的な性格も丸くなったと思ったけど、やはり心の奥底に眠る本性は隠しきれなかったか。

 

 

「ちょっと、妹たちに何したのよ……」

「別に俺からは何もしてねぇよ。コイツらがただ淫乱だっただけだ。お前の教育不足が招いた出来事だから悔い改めろ」

「はぁ、はぁ……私もさっきから身体の至る所が疼いて仕方ないんだけど……」

「あまり息を荒くするな。周りから変な目で見られるだろ」

「おに~ちゃ~ん……私のここ、触って……?」

「おい、シャツを捲るな」

 

 

 矢澤姉妹の血筋が故か胸は小さいのだが、ちっぱいが故の服を捲る動作は中々に唆る。服を捲り上げる過程で引っかかるものがないというのは視覚的な刺激があると思うんだ。俺だけかもしれないけど。

 そんなことはどうでもいいとして、事実確認が済んだ以上コイツらに恥辱を与え続ける必要はないのだが、どうもこのまま眺めて虐めたくなってくるのがドSの性だ。周りの目は確かに気になるけど、野外プレイの一貫と考えればコイツらにとっても逆に快感を覚えるかもしれない。疑われたら最悪AVの撮影と偽って誤魔化せばなんとかなるだろう。

 

 

「はいはい、流石にもう許してあげてよね」

「秋葉……」

 

 

 女の子たちが往来の真ん中で性に溺れるところを鑑賞しようと思ったら、突然秋葉が現れてにこたちからブレスレットを取り上げてしまった。その瞬間にみんな顔色が良くなったので、あの腕輪が如何に強い効果を発揮していたのかが分かる。もはや大人の玩具のレベルを超えてるな。

 

 気付けば、色欲に囚われトイレに籠っていたことりと海未の姿もあった。どうやら秋葉によってブレスレットを取り外され調子が戻ったらしい。

 

 

「いやまさか腕輪の効果を知ったのにも関わらず、たくさんの人がいる中で女の子に配るとは思ってなかったよ。私のことを悪魔とか呼んでおきながら、零君だって相当だよね。さっきもみんなの様子を眺めて楽しんでたでしょ?」

「お前の実験に付き合ってやったんだ。性欲を強制的に滾らせたコイツらがどうなるのか、経過観察ってやつだよ」

「そのせいでことりは替えの下着を買いに行くことになっちゃったよ……。濡れちゃったパンツ……いる?」

「いらない」

「今なら海未ちゃんのも一緒にあげちゃうよ?」

「ことり!? 私を巻き込まないでください!!」

「お前も濡らしたのか。澄ました顔をしながら意外と淫乱だったんだな……」

「違います!!」

 

 

 だがこのブレスレットは装着者の隠れた性欲を増大させるもの。つまり元から淫らな心を持っていなければ効果が現れることはない。だが海未にはその効果がことりと同じくらいに現れた。つまりそういうことだろう。

 

 

「いやぁみんなゴメンね。こういうAVグッズって高値で取引できるから、ついつい開発に力が入っちゃって! なんたって零君の周りにはいい実験台――――反応がいい女の子たちばかりだから、発明意欲が上がっちゃうよ♪」

「今俺たちをいいように扱っていることを隠しきれてなかったからな……?」

「でも最後の実験がまだ残ってるんだよねぇ……。ってことで、零君も着けてみて」

「はぁ!?」

「そうよそうよ! にこたちのあんな姿を見たからには、アンタも同じ目に遭いなさい!」

「零君が性に塗れて悶えてるところ、ことり見てみたいなぁ~」

「妥当な罰ではありますね」

「お兄様、ご武運を」

「おにーちゃん頑張れ~!」

 

 

 なにこの流れ?? これが同調圧力ってやつなのか?? そもそもの話、男が色欲に溺れている姿を見て何が楽しいってんだ。女の子が性に悶え苦しむ姿こそ絵になるのに、男の俺がそんな姿を晒したところで何の価値もない。

 だがコイツらは本気だ。それにこのブレスレットを作ったのは秋葉であって俺も被害者と言えば被害者側なのだ。なのになぜ罰ゲームって扱いになってるんだよ……。

 

 

「はい、隙あり」

「おい秋葉!? や、やば……」

「ほら零君、ことりとたくさん夜を過ごした時のことを思い出してみて……ね?」

「お兄様、欲望に任せて私たちに至るところを舐めるよう命令した時のこと、思い返してください」

「気持ちよかったでしょ? おにーちゃん♪」

 

 

 くっ、コイツらあの手この手で俺の性欲を高ぶらせようとしてきやがる。考えまいとしても逆に妄想が捗ってしまうのが人間というもの。俺の脳内には彼女たちとの背徳的な情事シーンが次々と浮かび上がってくる。そのシーン1つ1つが自慰行為のネタになるくらいは濃密で、思い出すだけでもムラっけが湧いて来た。

 

 なるほど、コイツらが味わったのはこの感覚か。いや、下着を濡らすくらいだから腕輪の威力は計り知れなかっただろう。俺も遂にもがき苦しむ時が来るのか――――――って、あれ?

 

 

「何をその平気そうな顔は。零、アンタ何も感じないの?」

「あぁ、全く」

「おかしいですね。零と言えば性の権化と言える存在。そんなあなたが何も感じないなんて……」

「俺を蔑むのはいいが、そんな俺と付き合ってるのはお前だからな……」

「も、もしかして零くん……勃起不全?」

「ちげぇよ! 人並みに性欲あるわ!」

 

 

 もしかしてこれって女の子にしか効果がないのか? だが秋葉がそんなミスをするとは思えない。まぁ女の子が恥辱に苦しむ様を見る方がAV的にも絵になるし、これでも何ら問題はないが。

 

 

「ふむふむ、なるほどねぇ……」

「ん? お前のミスじゃないのか?」

「私がそんなミスするわけないじゃん。これはね、零君の性欲がブレスレットの魔力を凌駕し過ぎてるんだよ。そもそもあなたの性欲が元々大き過ぎるせいで、魔力で性の感情を増幅させるも何もないってことだね。つまり、零君の存在自体が犯罪ってことだね」

「零くん……」

「おいことりが引いてるんだけど!? コイツに引かれるくらいの性欲してるってこと俺!?」

「そういうこと! やっぱり零君と一緒にいると実験が捗るね。こんな想定外の事態に出くわすなんて研究者として楽しいのなんのって! よしっ、それじゃあこのブレスレットの改良に取り掛かるからみんなまたね♪」

「ちょっ、おいっ! 行っちゃった――――って、お前らドン引きするのやめろ!!」

 

 

 俺の無尽蔵たる性欲の強さを前にことりたちは一歩ずつ俺から離れていく。あれだけコイツらの性の乱れに文句を言っておきながら、当の本人が一番不潔だったんだからそりゃこうもなるのは仕方ないけどさ……。

 

 あぁなるほど、これが俺への罰ゲームってことね……って、なんか理不尽!?

 




 虹ヶ咲のアニメのキャラデザ、普通に可愛くて今から期待が高まってます!
 この小説では既に零君との絡みがありますが、アニメを見ればまたキャラ1人1人の性格を熟知できると思うので、また違ったストーリーを展開できるかもしれません。
あと何気にあなたちゃん(高咲 侑)も可愛いので気になっていたり……

 とりあえず虹ヶ咲のアニメが始まるまでに400話に到達したいので、月末までには400話記念回を出せるよう努力します!

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。