侑に(オレンジジュースを)ぶっかけられて頭からベトベトになった俺は、歩夢に教えてもらったシャワー室へとやって来た。応急処置としてタオルで拭いてはみたものの、糖分たっぷりのジュースを被ったせいか髪のベタ付きが半端ない。そのため早急に洗い流したいのだが、そもそも女子高のシャワー室を男の俺が使うのもどうかと思う。まぁ歩夢が言うにはこの時間になれば生徒はほとんど帰っていないらしいから一応大丈夫っぽいが……。
一流の高校はシャワー室も豪華で、まるで高級ホテルのバスルームのような内装だ。運動部が使うことを想定されてか大人数で一気に入れる広さとなっており、お高そうなバスタオルやシャンプーまで用意されている。食堂の充実具合や彼方曰く寝床になる場所も多いので、もうこの学校に住んだ方が生活水準が上がる気がするぞ。
そしてこれだけ豪華だと人っ子一人いないこの場所を占有できるのはテンションが上がるというもの。適当に脱いで意気揚々とシャワールームへとお邪魔する。
もちろんシャワールーム自体も広く、浴場のように身体を洗うところまで備わっているため湯船がない銭湯のような感じだ。もちろん肝心のシャワーは個室として十数個並んでいる。個室の背は高く、湯気を逃がすため上方は空いているが下はほとんど空いていない。いないとは思うが下から覗く奴対策だろう。ちなみに男子大学生の俺が個室に入っても全身が隠れるくらいなので程よいプライベート空間となっている。
「とっとと入ってとっとと出るか。普通に気が引けるし……」
例え誰もいない貸切状態であっても女子高のシャワールームに居座るのは流石の俺でも難易度が高い。思春期時代であれば性欲に従って素直に喜んでいたんだろうが、大人になってまで下心丸出しなわけがないだろう。だからここは大人としての節度を持ってサッサと用事を済ませて帰りたいところだ。節度のある大人だったらそもそも女子高のシャワーなんて浴びないとか反論は受け付けないから。
――――なんてのは余計なフラグになると分かり切っている。そして俺のそんな予感は当たる。
ほら、もうシャワールームのドアが開く音がしたぞ。ヤバいとは思いつつもこのようなお約束展開には慣れているので半ば諦めムードだ。このままでは女子高のシャワールームに忍び込んだ犯罪者として通報され兼ねないので、こうなったら入ってきた女の子を力技で俺に懐柔させるしかない。ちょっと恋に落ちてもらえば俺のことを許してくれるはずだ。でもできるのか? シャワールームに入っていきなり口説き落とすなんて暴挙……。いや、やるしかないか。
そして遂に、女の子が更衣室からシャワールームに入って来た――――って!?
「愛、せつ菜……?」
「えっ、零さん!? ちょちょちょっ!? 零さんがこんなところに!?」
「ふぇっ!? 零さんどうしてシャワールームに!?」
入って来たのは愛とせつ菜だった。当たり前だが2人はここにいてはならぬ存在の目撃に驚き、そのせいで声がやや裏返っていた。シャワーを浴びる前から顔を赤くしているが、バスタオル1枚の姿を男に晒しているのだからそりゃそうなるだろう。そういやコイツらの脱いだ姿を見るのは初めてだったな。初めて裸を見せるのがまさかこんな形になるとは2人も思っていなかっただろう。
でもとりあえず、見知らぬ子じゃなくて安心したよ。全く知らない子だったら犯罪者扱いされないために速攻で壁に追い込んで口説き落とし、この罪をチャラにしてもらうよう仕向けるつもりだったから。
「あの……零さん? どうしてホッとした表情をしているのでしょうか……」
「いや、入って来たのがお前らで良かったなって」
「えっ、もしかして愛さんたちの裸を見るために待ち伏せしてたの!? 変態さんなのは知ってたけどまさか女子高のシャワールームに忍び込むなんて……」
「勝手に誤解すんな! 侑にジュースをぶっ掛けられてシャワーを浴びに来ただけだ!」
「な~んだ、てっきり女子高にテンションが上がって我慢できなくなったのかと思ったのに……」
「どうしてちょっと残念そうなんだよ……」
思春期時代の俺は女の子の裸を見るだけでも鼻血を出すほど性的興奮に弱く、性欲の暴走も自分で抑えられなかったのはよく覚えている。だが今の俺の周りにはたくさんの女の子たちがいて、ぶっちゃけお願いすれば風呂でも何でも付き合ってくれる子も多い。つまりそれが日常になって女の子に耐性が付いたのだ。だから女子高で可愛い女の子をたくさん見たくらいで性欲が高鳴るなんて不純な欲求は持ち合わせていない。一言で言えば成長したんだよ、俺もな。
「そういうお前らはどうしてここにいるんだ? 歓迎会の準備をしてるって聞いたけど?」
「あぁ……アタシとかすかすがお互いにイタズラし合ってたら、買ってきたペットボトルのジュースが落ちていることに気付かずかすかすが踏みつけちゃって……」
「その中身が愛さんと、そして何故か近くにいた私に向かって噴き出しちゃいまして……」
「いや本当にゴメンせっつー!! 零さんの歓迎会をするってなって思わず舞い上がっちゃったから……」
「いえ、私も今晩零さんと一緒にいられると思って活気づいていましたから。お互い様です」
どうやら事の発端は俺と全く同じ出来事らしい。つうか俺がシャワー室にいるってことを歩夢は知っていたはずなのに、どうして2人を止めなかったんだ……? なんにせよこの場で出会ってしまった以上は済んだことを追及しても仕方がないのでまずは今を切り抜けるか。
「目的が同じなら早くシャワーを浴びてここから出るぞ。万が一誰かに見つかったりしたら面倒だ」
「そうだ話し込んでる場合じゃない! もうすぐバスケ部の子たちがここに来るよ! ていうかもう脱衣所にいるんじゃないかな?」
「は、はぁ!? 歩夢がこの時間は誰も来ないって言ってたけど!?」
「そういうことですか……。歩夢さんは運動部じゃないから知らないと思いますが、運動部の方たちは割と遅い時間でもシャワーを浴びに来るんです。練習の片付けなどをしていると部活の終了時間よりも後になることはむしろ普通なので……」
「じゃあこんなところでグズグズしてる場合じゃ――――」
やはりフラグというものは回収するもの。主人公の身には逐一騒動が舞い込む運命らしい。
脱衣所からたくさんの女の子の声が聞こえてきた。どうやら愛の言う通りバスケ部が練習終わりにシャワーを浴びに来たらしい。シャワールームから外に出るにはもちろん脱衣所を通らなければならないので、もはやここに監禁状態となるのは確定だ。1人2人くらいなら口説き文句で落とせば問題ないと思っていたが、多人数で来られたらもうどうしようもない。どうする……? 間もなくアイツらがここに入ってくるぞ……。
「ど、どうしますか!? このままでは零さんが見つかってしまいます!?」
「零さんこっち来て! 早く!」
「お、おいっ!?」
愛が俺の手を引っ張り個室に入ったのとバスケ部の面々がシャワールームに入って来たのはほぼ同時だった。あと少し愛の判断が遅れたら間違いなくここで見つかって人生終了の道を辿っていただろう。
ただ今はそれ以上に気になることがあった。
「運よく隠れられたのはいいんだけど、どうしてお前らまで一緒の個室に入ってんだ……!?」
「だって零さんを隠すのに精一杯だったから……!!」
「愛は俺の手を引いてくれたから分かるけど、なんでせつ菜まで……!!」
「私も気が動転していたんです!!」
何故か愛とせつ菜まで同じ個室に入っていた。シャワーが置かれているだけの個室なのでもちろん1人が入れるくらいの広さしかない。そこに3人が押し込まれたら俺たちの体勢がどうなっているかはもうお察しのこと、3人で身体を寄せ合うしかない。しかも俺たちはみんなバスタオル1枚の状態で、大切な部分は隠れているもののこれだけ密着すればお互いの体温や身体付きを自分の身体で感じることができる。左右から愛とせつ菜に抱き着かれるように密着されている状態だが、この状況は流石に性欲コントロールできるようになった俺でも耐えきれる自信がなかった。
「ひゃぅっ!? れ、零さんあまり動かないでください。そ、その……零さんの腕が私の胸に……」
「悪かったからあまりデカい声出すな……!! 気付かれるだろ……!!」
「そんなことを言われましても、零さんとこうしてタオル1枚で抱き着いているというだけでも私は……私は今にも……」
「顔真っ赤じゃねぇか興奮してんのか?? ちょっとは抑えろ……!!」
せつ菜はもう興奮が爆発寸前のようで、欲望の糸がはち切れようとしていた。想いの人に抱き着くってだけでも相当胸を焦がす行為なのだが、増してタオル1枚でほぼ裸同然で密着しているため興奮が止まないのも無理はない。だがここで見つかってしまうと俺が女の子2人を個室に連れ込んでいるヤベー奴としか思われないし、そこからどんな処遇が待っているかも想像できない。だからここは何としても耐え抜いて欲しい。
とは言いつつも、俺自身もずっと我慢できるかと言われたらそれは怪しい。今日初めて気付いたのだが――――――せつ菜って意外と胸大きいんだなって。小柄なのにここまで大きいのはAqoursの花丸と似たような体型なのだが、肉付きが良くて柔らかい身体をしている花丸とは違ってせつ菜はスレンダーなので余計に胸の大きさが目立つ。ロリ巨乳という類ではないが、背が低い子+巨乳はそれだけで唆られる。その胸がタオル1枚を隔てて俺の腕に押し付けられているこの状況、男として情欲が湧きたたないわけがないだろう。
1人用の個室に3人が入っているすし詰め状態のため、少し身体を動かすだけでも相手の身体の感触が分かる。だからこそ敏感な部分に触れてしまい声を上げる可能性も高い。多少騒いでいてもシャワーや換気の音である程度はかき消されるのは幸いだが、その安寧もいつまで続くか分からない。俺たちからここを出る選択肢はないのでバスケ部の連中が全員出て行くのを待つしかないか……。
「あっ、ん……!! ちょっと零さん動き過ぎ……!!」
「お前らがもぞもぞ動くからだろ……!! そんな程よく成熟した身体を押し付けられて冷静でいられるかって」
「何考えてるのこんな状況で!? 相変わらずエッチなんだから……!!」
「男だから仕方ねぇだろ……!! ていうかもう少し声を抑えろ……!!」
「零さんに触られて我慢しろって方が無理だから……!!」
「えっ、零さん愛さんを触ったのですか……!?」
「自然と触れただけだ……!!」
せつ菜のスタイルも良いが、愛のスタイルは高校生離れし過ぎだ。このウエストの細さでこのバストサイズは反則級で、バスタオル1枚ではもはや隠し切れないアダルティックな身体は俺の性的欲求を煮え上がらせる。ぶっちゃけ今すぐにでも抱きしめたい。抱きしめてその身体の隅々まで感じたい欲求に駆られる。コイツの身体を一言で言えば、そう、エロ過ぎる。下品な言葉だけどこの言葉が一番似合うのが宮下愛だ。
「あれぇ~? その声、もしかして愛? そこにいるの?」
ヤバい、気付かれた!? 確かに個室のドアが1つだけ閉まっていれば誰かがいるなんてすぐに分かるし、さっき俺が愛に触れた時にコイツがそれなりの声を上げたので気付かれるのも無理はない。僥倖なことに3人が入っているとは思われていないので、ここは怪しまれないためにも俺は愛に目配せをして外の連中に応答するように伝えた。
「そ、そうだよ愛さんだよ!!」
「なにその挨拶……。いるならいるって言ってくれたらいいのに」
「あはは、ゴメンゴメン! 考え事をしてた――――ひゃぁああああっ!?」
「えっ、どうしたの急に??」
「な、何でもない何でもない……アハハ」
「零さんどうしてシャワーを……!? いきなりお湯がかかったからビックリしたじゃん……!!」
「シャワールームにいるのにシャワーの音が聞こえてないと不自然だろ」
「それはそうだけど……」
「3人で同じシャワーを浴びるって、なんだか変な感じがしますね……」
何とかバスケ部の連中を誤魔化すことはできたが、シャワーを流したのは諸刃の剣だ。シャワー音が聞こえないと不思議に思われるけど、密着し合っているこの体勢でシャワーを流すのは背徳感が増す。具体的に言えば、俺から見たら水も滴るいい女2人が目の前に、コイツらから見たらいい男がいるわけだ。ただでさえタオル1枚の密着で興奮状態になっているのにも関わらず、こんな濡れ場のような状況になれば余計な雑念と色欲に苛まれる。これは我慢できずにコイツらを襲っても仕方ないで済むだろ……。
水に濡れた女の子ってのは艶やかで、男の汚い本能が疼いてしまう。男女の身長差から俺がコイツらを見る時は必然的に見降ろす形になるのだが、バスタオル1枚で巻かれた身体が水に濡れている様は何とも絵になりつつも、度し難い性的興奮を煽られる。見降ろしているせいで胸の谷間も丸見えで、シャワーのお湯が谷間に滴り落ちる様子は見ているだけでも背徳的だ。今すぐにでもその谷間に手を突っ込みたくなる。愛もせつ菜もいい胸をしているため直接触れたらさぞ気持ちいいことだろう。
俺たちの興奮レベルがみるみる上がっている中、またバスケ部の子たちの声が聞こえてきた。
「そういえば今日学校に超イケメンの男の人が来てたって噂知ってる?」
「あぁその話ね! 実は友達がその人を見かけた時に写真を撮ってて、さっき写真を見せてもらったんだけど想像以上にカッコよくて震えちゃったよ♪」
「えっ、後で私にも見せてよ! 聞くところによると元生徒会長の中川さんが逢引してたって……」
「もしかして付き合ってたりするのかな? 堅物そうなのに結構やることはやってるんだねぇ~」
「あ~あ、私もあんなイケメンと付き合いたいなぁ~」
「ダメです!!」
「「えっ?」」
「おいっ……!!」
せつ菜の奴、気でも狂ったか!? せっかくここまで俺たちの存在を隠しきれていたのに、いきなりアイツらの会話に割り込むなんて正気の沙汰とは思えないぞ……!!
せつ菜の謎行動に焦る俺と愛だが、当の本人は俺の腕をより一層強く抱きしめてこちらに身体を寄せてくる。何を考えているのかはさっぱりだが、まずはこのピンチを切り抜けなければ。愛に目配せをしてみるが流石に声色が違うので声では誤魔化しきれないと言いたげな様子だ。どうする……!?
「す、すみません!! スクールアイドル部の優木せつ菜です。あ、愛さんが頭からシャワーを浴びせてきたので思わず驚いてしまいまして……。大きな声を出して申し訳ございません」
「そ、そうなんだよ! ゴメンねせっつー!」
「えぇっと、せつ菜ちゃんがいるのはいいんだけど、2人で1つのシャワーを使ってるの……?」
「えっ、あ、うん、愛さんたち仲がいいから。ねぇせっつー♪」
「は、はいっ! スクールアイドル部の絆は誰にも負けません!」
まさか個室に2人で入っていることを堂々と暴露するとは大胆だなコイツら……。でもあれこれ対応策を考えるよりかは愛とせつ菜が同室にいるって事実を他の奴らに植え付けておいた方が今後怪しまれることもなくなる。その点ではいい作戦だったのかもしれない。あとはスクールアイドル部の部員同士がレズビアンだと思われなければいいんだけど……。
とにかくバスケ部の子たちは納得したようで、それ以上の追及はなかった。もしかして女子高では2人で同じシャワーを浴びるなんて日常茶飯事だったりするのか? アニメや漫画だと女子高の生徒の百合百合しさはよくある設定だが、この学校はお嬢様学校って感じでもないので大丈夫……だと思いたい。
「おいせつ菜、どうして急に叫んだんだよ? 心臓止まるかと思ったぞ……」
「すみません……。でも零さんを取られてしまいそうだったので思わず……」
「そうか、意外と可愛いところあるんだなお前」
「か、かわっ!?」
「だから大声出すな」
「す、すみません……」
なんとも分かりやすい嫉妬だが、大好きなモノに一途な性格のコイツだからこそ他の奴らに安々と俺を取られたくなかったのだろう。元生徒会長でしっかりしてそうで意外と子供っぽい言動もあるんだよなコイツ。それがせつ菜の可愛いところなんだけどさ。
「安心しろ、俺はお前ら一筋だ。俺のことをただカッコいいからだとか、外見で近寄ってくる奴を相手にはしない。俺が本気になるのは俺を本気で好きになってくれた奴らだけだ」
「そ、そうですよね! 私、零さんのこと本気で大好きですから!」
「あ、あぁ、ありがとな」
「せっつーだけズルい! 愛さんも好き♪」
「お前まで――――って、どうして抱き着く……!?」
「えへへ、せっかくこういう状況なんだからもうとことん楽しんじゃおうと思って!」
「正気かよ……」
せつ菜だけではなく愛も俺の腕に絡みついてきた。個室に飛び込んだ直後は恥ずかしがっていたのに急に積極的になりやがってからに。虹ヶ咲の面々は元からアプローチが強い傾向にあったが、まさか俺がまともに抵抗できないこの体勢で仕掛けてくるとは……。
2人は俺の腕を自分の胸で挟み込むようにして密着してきた。そのせいか身体に巻き付けてあるバスタオルがズレて今にも剥がれそうで、古語で言う『ポロリ』現象が起きようとしている。コイツらはもはや自分が今どんな姿を晒しているのか気にしていない。ただただ俺という存在に寄り添って自分の欲求を最大限に高めているだけだ。
未だに俺たちのいる個室のシャワーはお湯を噴射し続けている。ドアを隔てた向こうにバスケ部の連中がいるため騒ぎ立てたらダメだってことは分かってるけど、水も滴るいい身体をした女の子たちがタオル1枚で俺に好意を伝えて抱き着いて来るこの構図。そうだ、これに興奮しない奴はいない。複数の女の子から求められているこの状況にゾクゾクするほどの愉悦を感じるぞ。騒いではいけないという制約がなければ自分から理性を断ち切ってしまうところだ。
「愛? まだシャワー浴びてるの?」
「あっ、う、うん。中々汗の粘り気を洗い流せなくってさぁ~。しっかり洗わないと肌へのダメージとか半端ないし……」
「相変わらずそういったケアもマメだねぇ~。私たちは先に上がるから、またバスケのヘルプお願いね!」
「もちっ! じゃあまた!」
よしっ、何とか切り抜けた。バスケ部の子たちは次々とこのシャワー室を出て行く。あとは脱衣所からいなくなるタイミングを愛とせつ菜に窺わせて、誰もいなくなったタイミングで俺が脱出するだけだ。
「ふぅ、どうやら零さんがいることだけはバレずに済んだみたいですね」
「ヒヤヒヤしたけど、愛さんは何だかんだ楽しかったよ。それにいっぱいドキドキさせてもらっちゃったしね!」
「俺はお前らが大きな声を出すたびにドキドキしたぞ……。しかも思いっきり抱き着いてきやがって。あそこで俺が暴走したらどうするつもりだったんだよ……」
「その時はその時で、愛さんは零さんになら別にいいかなぁ~って……」
「そうですね。零さんがお相手であればむしろ大歓迎と言いますか……」
愛もせつ菜も俺に襲われることに対してやぶさかでないようだが、言っている本人たちも恥ずかしいのか頬を紅潮させて女々しく俯いている。未だシャワーでの熱気が冷め上がらぬ中、お互いに濡れた身体、タオル1枚で佇む男女がいる状況。男としてこの後に取るべき行動は1つしかないのではなかろうか。据え膳食わぬは男の恥と言った言葉があるが、まさに今それを実行すべき完璧なシチュエーションが整っている。
常識とか倫理観とか全てを投げ捨ててでも男を見せる、それが俺にとって最善の――――――
そう決心し、俺は一歩踏み出す。2人は身体をビクッとさせるが逃げるようなことはせず、ただ女の顔をしながら俺を待っている。手を伸ばせば2人のバスタオルを引き剥がせる。そしてその勢いで押し倒すこともできる。ここまで来たらもうやるしか――――
「いや~零れたジュースに足を滑らせて転んじゃうとか、かすみんなんてドジっ子! でもそんなお茶目なところが可愛かったり――――えっ??」
「「えっ!?」」
「か、かすみ……!?」
突然シャワールームのドアが開き、かすみがバスタオル1枚で乱入してきた。思わぬ来客に俺たちはもちろん、何故か女子高のシャワールームにいる俺の存在を見てかすみはあんぐりを口を開けて驚く。しかも俺が手を伸ばして今にも愛とせつ菜に触れようとしている、まさにその光景を目撃したものだからなおさら衝撃的だろう。
そしてかすみはまさか俺がいるとは思っていなかっただろうから、バスタオルで身体をそこまで隠してはいなかった。そして驚いた衝撃でそのタオルが手から滑り落ち――――
「あ゛っ……あ゛っ……!!」
「かすかす!? 立ったまま気絶してる――――って、バスタオルずり落ちちゃう!!」
「早くタオルを抑えないと見えちゃいますよ!! 零さん、ここはかすみさんの名誉のために何卒見ないでいただけると!! とりあえず私たちで何とか……!!」
「おーいかすかす戻ってこーい!! ダメだ、かすかすって言葉にすら反応しない! いつもだったら全力でツッコミを入れてくるのに!?」
「あは、あはは、あははははは、あはははははははははははは!!」
「かすみさん!? かすみさーーーーーん!!」
結局かすみの乱入により俺たちの興奮は冷めた。女子高での不祥事を回避できて助かったと言うべきなのか、それとも惜しかったと思うべきなのか……。どちらにせよあまりにも完璧なタイミングで入って来たお前が優勝だよかすみ。ネタ的な意味でも……。
ちなみにこの後かすみには身体を見た責任として1週間毎日デートという拷問を計画されそうになった。そもそもコイツの身体、見えそうで見えていなかったんだけどな……。
To Be Continued……
そもそも女子高のシャワールームに入るって発想自体が度胸の塊なので、やはり零君はこの小説の主人公です(笑) 所々自分の性欲に従順になっていますが、鼻血を出していた小説序盤と比べると成長はしている……のかな?
そして今回をもって歩夢と侑が皆勤賞じゃなくなりました。特に歩夢がオチを担当することが多かったので、その点ではいつもの光景が見られなくて残念かも……?
よろしければお気に入り、感想、高評価をよろしくお願いします!
今後の小説執筆の糧となります!