「全く、かすみんのカラダを見られるなんて特別中の特別なんですから感謝してくださいね!」
「そうは言っても女の子のカラダなんて見慣れてるからなぁ。あまり特別感がないっつうか。それにお前のカラダを見たところで……うん」
「なんですかその悟ったような顔は!? ふ~んだ! どうせかすみんのカラダはちんちくりんの幼児体型ですよぉ~だ!」
「そんなことないよかすかす! だって抱き着きやすい程よい身体で愛でやすいもん!」
「玩具扱い!? ていうかかすかすって呼ばないでください!!」
シャワールームでの乱戦後、俺たちは同好会の部室に向かいながら不機嫌なかすみの愚痴を聞いていた。聞いてやってるとは言っても彼女のご機嫌取りをする気はさらさらない。コイツに対しては煽りに煽ってムキにさせた方が可愛さが光ると分かっているからだ。それは俺だけでなく愛も理解しているようだった。
「そもそも同好会の皆さんのスタイルが良すぎるんですよ! かすみんは歳相応だと思います!」
「それは確かにあるかもな。まぁどんなスタイルにせよ、お前らは俺にさえ需要があればそれでいいんだよ。どうせ俺以外に裸を見せることなんてないんだからな」
「そ、それはそうですけどぉ……。でも零さんはかすみんのカラダ、貧相だと思ってるんですよね……?」
「思ってるけど別に胸が大きいとか小さいとか、そんなことは気にしてねぇよ。そのカラダが『中須かすみ』のものであればどんなスタイルだろうが興奮する自信がある。俺が見たいのは肉体そのものじゃなくて『お前の』カラダなんだから」
「も、もう、何の恥ずかし気もなくそんなことを……」
かすみは頬を染めてそっぽを向く。さっきまで大声で反攻してきたのに今は声も小さく別人のようだ。
ちなみに俺の言ったことは嘘偽りは一切ない。俺が好きなのは女の子のカラダという単純なモノではなく、自分が好きになった奴のカラダなんだ。だからスタイル云々は関係ない。良くあることだと思うが、自分が好意を抱いている女の子であれば容姿やカラダだけではなく、何気ない仕草や声まで魅力的に感じる。俺が好きなのはあくまでそれを全てひっくるめた女の子そのものってことだよ。
「零さんって愛さんたちのこと良く見てるよね。μ'sとかAqoursとか、あんなに可愛い人たちがたくさんいるのに」
「そりゃお前らだってアイツらに負けず劣らず可愛いからに決まってるだろ。自分の大好きなものには全力を注ぐ、せつ菜と同じだな」
「その精神は幼い頃に零さんから教えていただきましたから! お互いがお互いに好きをぶつけ合ってより好きになっていく。なんてハートフルなのでしょう!」
「せつ菜先輩の情熱は結構暴走する時がありますけどね……。間近で声をかけても気付かないこと結構多いですし……」
「う゛っ、それは熱中すると目の前しか見えない私の性格と言いますか……。とにかく反省です……」
「愛さんは好きなことをマシンガントークで話すせっつーのこと好きだよ♪ 誰かが輝いているのを見るのは愛さん大好きだしね」
自分の好きなことに真剣になるのは何も悪いことじゃないだろう。誰かの目を気にして好きなことをやめてしまうよりかは、もはや他人からどう思われようが自分の大好きを貫いた方が人生が豊かになると思っている。だから俺も自分の好きな女の子のために全力になっているわけだ。
そんな会話をしつつ、とうとう同好会の部室の前に到着した。忘れてたけど俺の歓迎会を予定しているみたいで、その会場はこの部室らしい。歩夢たちに学校案内をされて最後に案内されるのがコイツらの部室ってのもおかしな話だよ。普通は最初に紹介されるようなところだけど、これまでに色々あってもう夜も近いからな……。学校案内で1日潰せるくらい話題に事欠かないコイツらとの日常、これからも飽きることはないだろう。
かすみが部室のドアを開ける。部室の光が漏れ出し、俺の目が慣れたその瞬間――――――
「「「「「「「「ようこそ! スクールアイドル同好会へ!」」」」」」」」
同好会メンバーの歓迎の声と同時にクラッカーが鳴らされた。クラッカーから飛び出た花吹雪やリボンが俺の頭にかかる。
色々と思うところはあるのだが、まず感じたことは――――――
「クラッカーって、別にお祝いじゃねぇんだから……」
「いやいや! 私たちにとってはずっと待ち焦がれていたことですから!」
歩夢の言葉にみんなが頷く。確かにコイツらとの過去を思い出せば同好会のみんながどれだけ俺を心待ちにしていたのか分かる。そういった意味で自分たちが今輝いている場所の拠点に俺を招くのは願ってもないことなのだろう。
「ていうかちょっと待って! 愛さんたちもクラッカー鳴らしたかったんだけど!?」
「そうですよ!! かすみんたちが来るまで待っていてくださいよぉ!!」
「私たちも零さんをお出迎えしたかったのに……」
「ゴ、ゴメンね……。零さんが部室に入って来た時に鳴らしたくて……」
「だったら今鳴らしちゃおう! ようこそスクールアイドル同好会へ!! はいパーン!!」
「うぉっ!? 至近距離で鳴らすな!?」
「かすみんだって!!」
「私も失礼します!!」
「だからもっと離れて鳴らせ!!」
シャワールーム混浴組に荒っぽい歓迎をされながらも、歩夢たちに部室の中へと案内される。
部室にしてはやけに広いと思うのは音ノ木坂や浦の星の部室がやたら狭かったからだろうか。部室内の飾り付けのおかげでより豪華に見える。高性能っぽいパソコンがあったり中々にくつろげそうなソファがあったりと、やはり金のある学校は部活への投資も半端ない。そして中央の大きな机にはみんなが作っただろう料理がたくさん並べられていた。俺の歓迎会をするってなったのは突発的なことだったのに、その短時間で飾り付けをして料理も作るなんて熱の込め方が凄まじい。
そうやって感心をしていると、俺のもとに1人歩み寄る。
立ち姿や歩く姿だけでも気品があり、1年生にして生徒会長の任を受け持つ誠実さ。そして同好会メンバーの中で今日俺が唯一会っていないコイツは――――
「よぉ栞子、元気だったか?」
「はい。零さんもお変わりなくお過ごしのことと存じます。この度は本校に足を運んでいただいたのにも関わらず、案内どころかお出迎えすることもできず申し訳ございません」
「いや別に謝ることじゃねぇって。生徒会で忙しかったって聞いてたから仕方のないことだ」
「しかし……」
「自分の職務を途中で放り投げる子に育てた覚えはないぞ。それにこうして歓迎会に参加してくれただけでも嬉しいから」
「あ、ありがとうございます!」
栞子はペコペコと頭を下げて謝ってくるのでその頭を撫でてやると、頬を染めて微笑みながら顔を上げた。生徒会で忙しい中で時間を合わせてくれたんだから、むしろ感謝すべきは俺の方なんだけどな。コイツも堅物だから客人をもてなさないのは生徒会長としての責任とか思っているのだろう。相変わらず堅物な奴だ。
そんな中、俺たちのやり取りを見ていた侑が口を挟む。
「お兄さん、いつの間に栞子ちゃんとも仲良くなってたんですか……。栞子ちゃんの性格的にお兄さんとの相性って良くはないと思ったので……」
「確かに最初は零さんことを警戒していました。歩夢さんたちが男性に現を抜かして練習に身が入らないことを危惧し、一度零さんにお会いして歩夢さんたちとの関係を問い詰めようとしたのです。しかし、私の考えが間違いでした。逆にこの方に教えていただいたのです」
「な、なにを……?」
「そ、それは言えません……」
「どうして顔を赤くしてるの!? 目線も合わせてくれないし!! お兄さん栞子ちゃんに何をしたんですか!?」
「コイツは遊び心ってやつを知らなかったからな、それを教え込んだだけだよ」
「ちなみに聞きますけど、どういう風に……?」
「それは言えない」
「ちょっ、不純異性交遊じゃないですよね!?」
いつも通りツッコミがうるせぇなコイツは。もしかしてコイツも『遊び』ってやつを知らないのか? 俺の周りにいるのであればもっと心の余裕を持たないと一生ツッコミを入れ続けることになって息絶えてしまうぞ。俺の周りにいるってことはそこはもう俺が常識の世界なんだから適応してもらわないとな。
そうやってまたしても侑の好感度を下げている中、場を宥めるためにしずくが割って入った。
「まぁまぁ、今日はパーティーなのでそれくらいにしておきましょう。零さん、こちらへどうぞ」
「いやこんな目立つ席に座らせなくても……」
「今回の主役は零さんなんですから当然です! 私たちはこの時をずっと心待ちにしていたんですから!」
「そりゃお待たせしましたと言わざるを得ない。つうかお前ナチュラルに手を握ってきたな」
「ひゃっ!? い、言わないでください!! これでも一大決心をしての行動ですから!!」
「恥ずかしいならやめりゃいいのに……」
「これも零さんのせいです。演劇部の練習の時に零さんに抱っこされてからというもの、ずっと零さんに触れていたくなって仕方ないんですから……。責任、取っていただけますよね?」
「なんでそうなる!?」
しずくは俺の手を引いてお誕生日席に俺を導いたが。俺が座った後もずっと手を握ったままだった。その理由がさっき演劇部の練習の時に俺が抱き着いたかららしい。その余熱が残っていたと言うことか。別に手を握るくらいはいいんだけど、抱っこされたというフレーズに周りのみんなが一斉にこっちを振り向いたので非常に嫌な予感がする。
そして案の定と言うべきか璃奈が俺に詰め寄ってきた。
「しずくちゃんだけズルい。ここは平等に私にもやるべき」
「あれは演劇の練習でやっただけで本気でやってたわけじゃないぞ?」
「零さんに抱き着いてもらえるのなら何でも同じ。どうしてもやってくれないって言うのなら――――えいっ!」
「うおっ!? り、璃奈!?」
璃奈が正面から飛びついてきたと思ったら、こちらに背を向け脚と脚の間に座りやがった。俺とコイツの対格差のせいか、俺の身体に璃奈がすっぽりと収まる形となる。そうなれば必然的にコイツを抱きしめながら座る体勢になるわけで……。1つの椅子に女の子と一緒に座るこの行為、なんか久しぶりな気がする。
「これで満足。璃奈ちゃんボード、『えっへん』」
「りな子ズルい!! かすみんもかすみんも!!」
「彼方ちゃんも零さんベッドで寝たいなぁ~」
「私もお願いしたらやってくれるかしら……」
「やりたいと思った時から始まっているんだよ、果林ちゃん!」
「それ、エマも同じでしょ? さっきから零さんを見つめてウズウズしてるわよ?」
「そ、それは……。私はいつもみんなを抱きしめる側だけど、零さんには抱きしめてもらいたいなぁ~って……」
各々心中を吐露しているが、璃奈は俺から離れる気が一切ないらしい。俺の身体を背もたれにしてちょこんと座っている。コイツは同好会の中では一番小柄だから一緒に座ること自体は邪魔にはならないが、こうも密着されていると身動きが取れない。本人は嬉しそうに擦り寄ってくるものだから跳ね除けるのは心苦しいし、どうすんだよこれ……。
「一緒に座るの別にいいけど、このままだと飯すら食えねぇな……」
「だったら彼方ちゃんが食べさせてあげるよ~。はい、あ~ん」
「これってピザ? わざわざこのために注文したのか?」
「うぅん、彼方ちゃんが作ったんだよ~。零さんの歓迎会だから張り切っちゃった~」
「見た目に反して料理できたんだな。いや家事ができるってのは知ってたけど、いつもぐぅたらしてるからそうは見えないっつうか……」
「むぅ、そんなことを言うなら彼方ちゃんの実力を見せつけてやるぅ~。えいっ」
「むぐっ――――――ふ、普通に美味い」
「愛情をたっぷり込めたからねぇ~♪」
彼方直々に手作りピザを食べさせてもらったが、専門店に負けず劣らずの美味さだった。いやコイツが込めた愛情の分だけどの店のピザよりも出来栄えが上回っていると言ってもいい。
でもまさか彼方がここまで料理上手だっただなんて。バイトもしてるからやる時はきびきびと動ける奴だとは知ってたけど、俺の超えた舌を唸らせるほどとは恐れ入った。自慢ではないが俺は周りに女の子がたくさんいる環境で生きているから、女の子の手料理をいただく機会は非常に多い。だからちょっとやそっとの飯ではグルメとなった俺の舌と胃袋を満足させることはできないと高を括っていたのだが、やはり愛情のスパイスの力は凄まじいよ。
「あ、あの、零さん……」
「果林? どうしたそんなにしおらしくして」
「もう果林ちゃんってば、せっかく作ったんだから後は零さんに渡すだけだよ!」
「エ、エマ!? そんなに押さないで……」
果林がエマに押されて俺の元へとやってきた。手には綺麗なトッピングが施されたカップケーキを持っている。
「もしかして、それはお前が作ったのか?」
「え、えぇ。エマに教えてもらって作ったんだけど、召し上がってくれるかしら……?」
「なんでそんなに緊張してんだよ。いつもの堂々とした姿はどうした?」
「不安なのよ。上手くできているかどうか……」
「零さんの歓迎会のために果林ちゃん張り切っちゃって、そのせいで力が入り過ぎてカップケーキを何回も焦がしちゃったんですよ♪」
「ちょっとエマそれは言わない約束だって!?」
「果林ちゃんの健気な頑張りをどうしても伝えたくて♪」
「も、もう……」
みんなの前では思う存分にお姉さんキャラを発揮している果林だが、エマの前だけではドジっ子キャラが炸裂するようだ。俺に壁ドンされた時も純情な反応ばかり見せて余裕ってものがゼロだったし、見た目に反して中身は子供っぽいんだよな。その点は見た目が遊んでそうなギャルなのに文武両道の優等生である愛と正反対だ。こういったイロモノ揃いの女の子が集まるからこそスクールアイドルと交流を持つのをやめられないんだよな。
果林はいつまで経ってもカップケーキを渡さないので、エマとじゃれている隙を突いてケーキを奪い一口味見をしてみた。
「れ、零さん!?」
「うん、美味いよ。他所に出しても誇れるレベルだと思うぞ」
「て、手作りなんてあなたにしか作らないわよ……」
「そうだな。これだけ美味いなら他の奴らに食わすのは勿体ない。俺だけのために料理を作ってくれ」
「な゛ッ!? あ、あなたって人はそんなことを平気で……」
そりゃ好きな女を独占するってことは、ソイツが手料理に込める愛情すらも独占できるってことだ。それってとても支配欲が満たされるとは思わないか? 自分のために腕によりをかけて、自分ことだけを想って料理を作ってくれる。そんな最高な愛情表現が他にあるだろうか? いや、ない。
「零さん、次は私の焼いたクッキーをどうぞ!」
「エマも作ってくれたのか。昼に引き続いてサンキューな」
「いえいえ! むしろ零さんの頼みがあればいつでもどこでも作りますので遠慮なく言ってください!」
「じゃあそうだな……毎日味噌汁を作ってくれるか?」
「ふぇっ!? 日本伝統のその言葉、確か意味は――――あっ、えぇぇえええええええええええっ!? こ、ここで告白!?」
「いやそこまで驚かなくても……」
「遂に私が嫁ぐ時が……い、今すぐスイスの家族に報告してきます!!」
「気がはえぇよ!! 軽率な発言をしたことは悪かったから落ち着け、な?」
エマは目を回して気絶しそうになりながらも、スマホを取り出して家族に連絡を取ろうとする。
俺が安直に女心をくすぐる発言をするのはいつものことだけど、まさかここまで信用されるとは思ってもいなかった。確かにエマって人を疑うってことを知らなさそうだし、増して好きな相手に告白紛いな発言を突然されたら(しかもみんながいる前で)気も狂うだろう。俺がいつも相手にしているのが恋人たちだから軽率な発言をしても受け止めてもらえるけど、エマや同好会の奴らからしたらまだ俺の想いが大きすぎて持ちきれないらしい。気を付けなきゃいけないと思いつつも、ウブな反応が見られるのならそれもアリと思ってしまうな。
「お兄さんのためだけにみんなが短時間で歓迎会の準備をして、そしてしっかり開催まで漕ぎ着けるなんて……。お兄さんの人望の厚さが窺い知れますね」
「あぁ、最高だよコイツらも、お前もな」
「えっ? どうして私まで……?」
「だって少なからず歓迎会の準備を手伝ってくれたんだろ? 魔法少女のコスプレまでしてパーティ用の飾り付けまでゲットしようとしてくれたしな。お前からしたら今日まで全く知らなかった男の歓迎会をするってノリ気じゃなかったんじゃないのか?」
「今日1日だけでお兄さんの人柄を知れたので、別にイヤとは思わなかったですけど」
「俺の人柄に惚れるなんてお前も案外チョロいな」
「どうしてそうなるんですか!? 自意識過剰で傲慢、唯我独尊で変態、そんな人のどこに惚れる要素が!? 見ず知らずの私に容赦なく痴漢してきたくせに!?」
「ムキになるな、顔真っ赤だぞ? それに俺はお前のこと気に入ったぞ。俺と似たような欲深い夢を持ってるからそれだけでも親近感が湧く。それにこんな可愛い子に出会えたんだから、今日は来て良かったよ」
「うぅ……あ、歩夢あとはお願い!!」
「えっ!? ちょっと侑ちゃん!?」
侑は顔を赤くしたまま歩夢を俺の前に突き出し、当の本人は部室の奥に引っ込んでしまった。2人きりの時にそこそこ腹を割って話をしたつもりだが、やはりまだ出会って初日だから心の距離はそこまで縮まっていないらしい。逆に痴漢の被害者加害者同士でここまで会話ができる方が凄いかもしれない。俺の人柄で惹かれた云々はともかく、侑自身の素直な気持ちをいつか聞いてみたいもんだ。
「零さん、あまり侑ちゃんをイジメないでくださいね」
「そんなつもりはないんだけど、表情がコロコロ変わって面白いからついつい弄りたくなるんだ。小学生が好きな女の子に対して無自覚に意地悪するのと同じだよ」
「えっ、ということは侑ちゃんのこと好きなんですか!?」
「恋愛的な意味ではまだだな、そもそも出会ったばかりだし。でもアイツいい夢を持ってるから気に入ってはいるよ」
「あの時、零さんと侑ちゃんはその話をしていたんですね……」
「なんだ嫉妬か? 安心しろ、俺はお前らの誰1人として後ろを歩かせるつもりはない。みんなで手を取り合って共に人生を歩むのが俺の夢だ。そのためにお前らのことをもっと良く知りたいと思ったから、今日の学校案内はいい機会だったよ。誘ってくれてありがとな」
「い、いえ! 零さんのお役に立てたのなら光栄です!」
今はこうやって親し気に会話してるけど、意外にも出会ったのは2か月くらい前とそれなりに直近だったりする。だがその時は過去の諸々の事情によりお互い距離を測りかねていたが、スクフェスの一件でそれも全て解決した。つまり本当に心を通わせることができるようになったのは最近のことであり、だからこそこうやって歩夢たちの学校に来てコイツらの日常に触れることが新鮮なんだ。そしてそのおかげで今まで見たことがなかったコイツらの一面を知ることができた。それだけでも今回は収穫だよ。
こう見えて俺も割と一途だから、コイツらが楽しく日常を過ごしているところを垣間見るだけでも嬉しくなってくる。そんな気持ちを抱いて心が暖まって来たせいか、衝動的に一緒に座っている璃奈の頭を強めに撫でてしまう。すると璃奈は何事と言わんばかりの顔でこちらを振り向いた。しかし俺の手が気持ち良かったのかすぐに身を寄せてくる。うん、このペット家で飼っていいかな??
そんなことをしていると、せつ菜がみんなの前に自信あり気に立った。両手には鍋を持っているようだ。
「なんだ、お前も料理作ってくれたのか?」
「はいっ! いつか零さんに召し上がってもらおうと思い秘蔵のレシピを作成していたのですが、今回こそその機会だと思い腕によりをかけました! 実は皆さんにもサプライズをしようと思って内緒で作っていたのです!」
「やけに自信満々だな。そこまで言うのならグルメ舌の俺が味見を……って、どうした璃奈? さっきから震えてるぞ……」
「零さん、ご武運を」
「お、おい! なんなんだ一体……」
璃奈の奴さっきまで俺の膝の上で猫のように丸くなって擦り寄ってきてたのに、せつ菜が鍋を持ってきた瞬間に逃げ出してしまった。見てみれば他のみんなも顔を引きつらせて徐々に俺とせつ菜から距離を取っている。それほどまでにコイツのサプライズが危険なのか? もう今から怖いんだけど……。
「こちらが私の作った特性味噌煮込み鍋です! どうぞ心行くまで味わってください!」
「うっ……こ、こういうことか……」
せつ菜が鍋の蓋を開けた瞬間に事の全容が判明した。この鍋の中――――異様なまでに紫!! もう清々しいくらいに紫!! 味噌なのに紫!! 幸いにも匂いに臭みがないものの見た目で全てがアウトだ。なるほど、コイツはアニメや漫画で良くいるような料理下手キャラ、しかも無自覚にやらかしてしまう系の一番厄介なキャラだ。だから璃奈は逃げ出してみんなも露骨に避けてたのか。つうかせつ菜のこのキャラを知ってたのなら最初から教えろ!!
「私も皆さんのように零さんにあ~んをしてあげたいです! いいですか?」
「い、いや……」
「ダ、ダメ……ですか?」
「ぐっ、そんな目で見るなって……!! あぁもう分かった! 食ってやるから!」
「ありがとうございます! 手料理を零さんに召し上がっていただくこの感覚を、私も体験してみたかったのです!」
「そ、そうか……」
さっき俺は愛情は最高のスパイスだと言った。それが正しければ如何にドギツイ料理だろうとも食えるはずだ。せつ菜が俺のために愛を込めて作ってくれたこの料理。見た目はアレだが味はいいみたいな奇跡が起こるかもしれない。いや、俺は奇跡を呼び起こす男だ。起こすのではなく呼び起こす。今まで幾多の女の子を俺好みに懐柔してきたんだから、その応用でどんな料理でも俺の口に合わせてみせよう。そんな覚悟を持たなくても意外と普通に美味かったりして本末転倒みたいな展開も極僅かに存在するかもしれないしな。
「行きます。はい、あ~ん」
「あ~~ッ―――――――ッッッ!?!?」
その瞬間目の前が真っ暗になった。
「気絶しそうなくらいに喜んでくださるとは! まさか私を喜ばせるためにオーバーリアクションを……? 流石零さんです!!」
「彼方先輩、この前みたいにあの料理に手を加えなかったんですか……?」
「サプライズで作ってたみたいだから知らなかったんだよねぇ~。とりあえず、南無阿弥陀仏……」
死んでねぇ!! けど今にも昇天しそう!!
To Be Continued……
このラブライブ小説全般でそうなのですが、全員集合回は1人1人の出番が少なくなってしまうのがちょっと残念なところです。それでもいつも以上にハーレムを描けるので私は好きですけどね(笑)
私は安直でゴリゴリのテンプレハーレムが大好きなので、今回のようにたくさんの女の子が主人公をおもてなしをしてくれる展開が自分で描いておきながらお気に入りです! この小説を読みに来てくださっている方はハーレム好きだと思うので、この気持ちが分かってもらえる……かな?
次回ですが、今年中にもう1話投稿しようと思っています。アニメは終わっちゃいましたがこの小説はまだまだ続ける予定ですよ!
よろしければお気に入り、感想、高評価をよろしくお願いします!
今後の小説執筆の糧となります!