今回は侑視点でお送りします。
とある日の放課後、私は職員室へ次のライブのための事務手続きを行い同好会の部室へ向かっていた。
今日はお兄さん――――神崎零さんが歩夢たちの練習を見てくれる日。お兄さんは何回か虹ヶ咲に来てみんなの練習を見てくれているけど、私には到底できない指導で歩夢たちをスキルアップさせている。流石はμ'sのマネージャーでAqoursの顧問をやっていただけのことはある。悔しいけど私のマネジメント力ではお兄さんは敵わないことを実感した。だからこそお兄さんから多くのことを吸収したいので、歩夢たちだけではなく間接的に私の指導にもなっているんだよね。お兄さん自身は気付いてないだろうけど、そこのところだけは感謝してるよ。
今日もお兄さんの隣で色々学ばせてもらおうと思いつつ部室の前に到着する。
すると、部室のドアに耳を当てている怪しい子――――三船栞子ちゃんがいた。なんかそわそわしているみたいだけど、一体何があったんだろう……?
「栞子ちゃん? そんなところでどうしたの?」
「ひゃいっ!? ゆ、侑さんでしたか……」
「驚かせちゃってゴメンね。でも何をしていたのか気になっちゃって。中に入らないの?」
「そ、それが……。ちょっとこちらに……」
栞子ちゃんに手を引かれ、一旦部室から離れた私たち。何が何だか分からないけど、栞子ちゃんの顔がやたら赤い。いつも誠実な態度で取り乱すことはあまりない子なんだけど、今は見ただけで動揺しているのが分かる。さっき部室を覗いていたのと関係があるのかな……?
「部室に入ろうとした時に零さんたちの声が聞こえてきたのですが……」
「お兄さんもう来てたんだ。他には誰がいたの?」
「声を聞く限り、果林さん、エマさんがいたと思います」
「あっ、もしかしてお兄さんがセクハラ発言をしていたとか? お兄さんだったらあり得るもんね」
「えぇっと、その……うぅ……」
「もっと顔赤くなった!? 大丈夫栞子ちゃん!?」
栞子ちゃんは手で顔を覆ってしまう。そこまで恥ずかしがるってことは、やっぱり私の勘が当たっているのかもしれない。お兄さんってそれなりに真面目でそれなりに頼りになることもあるけど、それ以上に変態さんなんだよね。でも知能指数の低いセクハラ発言はしないような人なので、また言葉巧みに女の子を引っ掛けている可能性は高い。初対面だった遥ちゃんの心すら奪ってしまったあの人のことだ、あり得る……。
「それで? お兄さんたちは何の話をしてたの?」
「それがその……零さんが揉みたいと……」
「は?」
「零さんが果林さんとエマさんのを……揉みたいと」
「は……????」
なるほど、お兄さんならド直球でそういうこともいいそうだ。だからこれは日常茶飯事、今更何も気にすることは――――――って、そんなわけあるかぁあああああああああああああ!! さっき知能指数が低いセクハラ発言はしないって言ったけど、思いっきりしてるじゃん! ちょっと褒めてあげた私の気遣いを返してよ!! それに人様の学校にまで来て生徒に堂々とセクハラ発言とか頭おかしいよ絶対! いやあの人は元からおかしいけどさ!!
「よしっ、引っぱたいてくる!!」
「待ってください侑さん!! 落ち着きましょう!!」
「離して栞子ちゃん!! あのドセクハラ痴漢魔に一発浴びせてやるぅうううううううううううううう!!」
「あの零さんのことです! 何か崇高なお考えがあってこその発言なのでは!?」
「いやそれはあの人のことを無駄に信用し過ぎでしょ!? ただの変態ナルシスト野郎だよあの人!」
「それこそ無駄に蔑み過ぎなのでは……」
私は栞子ちゃんに後ろから羽交い締めにされて部室への突撃を阻止される。
どうやら私と栞子ちゃんではお兄さんに対する見方が違うらしい。確かに私も言い過ぎたかもしれないけど、栞子ちゃんも大概褒め過ぎだと思うよ……?
とりあえず一旦落ち着こう。ただでさえいつもお兄さんに手玉に取られちゃうのに、我を忘れてたらそれこそ玩具にされてしまう。お兄さんに対抗するにはまず冷静に情報収集をするしかない。
そのため部室のドアに耳を傾け、お兄さんのセクハラ発言が聞こえたら現場を取り押さえて突撃する。よしこれだ。
私と栞子ちゃんはドアに耳を当てて中の会話を盗聴する。
『最近モデルの仕事が忙しくて、ここがよく張るのよ。どうしたものかしら……』
『だから俺が揉んでやるって言ってんだろ? 俺がやると気持ち良すぎて昇天しそうだってもっぱらの噂だ』
『私も零さんにそのぉ……揉んで欲しいです! ダメ……ですか?』
『もちろん。エマは体型的にも揉み甲斐がありそうだな、任せておけ』
「本当に揉むつもりなの……? 部室で女の子の……胸を!? しかも果林さんとエマさんのって、同好会の中でもトップ2の大きさを持つ胸を……!?」
「どうしましょう侑さん……。止めるべきなのでしょうか? でも胸の大きい女性にとって胸部が張るのは辛いことと聞きますし、それを零さんが解決してくださるのなら……」
「でもここ学校だよ!? 部室だよ!? 秩序ってものがあるでしょ生徒会長さん!!」
「それはそうですが……。しかし果林さんやエマさんも零さんに全て委ねようとしていますし……」
「本人たちの同意があるからいいってことかなぁ……う~ん納得いかないぃいいいいいいいいい!!」
このままお兄さんの欲望が全てまかり通ってしまうのが癪で、これを許してしまうと今後も同じような暴挙に出かねない。だから災いの芽は早期に潰す。歩夢たちが既にお兄さんの手に落ちている以上、あの人のことを
そしてまた部室からお兄さんたちの会話が聞こえてくる。
『零さん凄く自信満々ですけど、もしかしてそういった資格とか持っているんですか?』
『流石に免許皆伝クラスではないけど、μ'sやAqoursの連中には好評だぞ? これでもお手伝いの立場だったり顧問だったりしたからな』
『そこまで自慢されると期待しちゃうわね。これで治らなかったらどうしてあげようかしら』
『安心しろ。俺の手で極上の快楽を与えてやる』
『私、マッサージされることに弱いので思わず声を上げちゃうかも……』
「胸を揉む資格……。お手伝いと顧問の立場を思う存分に利用……。そして女性に性的快楽を与える技術……やはり零さん、タダモノではありませんね」
「納得してどうするの!! もうただのセクハラじゃん!! それを堂々と誇示するお兄さんはやっぱりお兄さんだよ!!」
「極上の性的快楽……零さんが与えてくれる……あっ、な、何でもありません!!」
「栞子ちゃん想像してたよね!? 妄想の中でお兄さんが出てきてたでしょ絶対に!!」
「そ、それはその……うぅ……」
栞子ちゃんも完全にお兄さんの手に落ちちゃってるよ……。やっぱり私がこの流れに一石を投じるしかない。このままだと由緒正しきスクールアイドルの部室がお兄さんの手によって破廉恥な現場に塗り替えられちゃうから!!
『あっ、んっ……』
『おいエロい声が漏れてるぞ……』
『仕方ないじゃない。気持ちいいんだから……』
「果林さん!? 今さっき変な声聞こえてきたよね!?」
「はい……。聞くだけでも気持ちよさそうな声で、一体中でどんなことをしているのでしょうか……?」
『ひゃっ、零さんの手付き、いいですぅ……』
『もうちょっと声抑えてくれ。勘違いされるだろ……』
『そ、そんなこと言ったってぇ……んんっ』
「今度はエマさんの声ですね。聞いているこっちまでドキドキしちゃいます……。それほどまでに零さんの胸部を揉んでもらうのが気持ちよいのでしょうか……」
「騙されちゃダメだよ栞子ちゃん! お兄さんはそうやってみんなを手玉に取ろうとしているんだから!!」
私たちは息を飲みながらドアに耳を当ててお兄さんたちの会話を聞く。もはや声だけを聞けば年齢制限を付けざるを得ないほどのシチュエーションが繰り広げられている。このまま黙って見逃すのも1つの手だけど、お兄さんを調子に乗らせて歩夢たちにまで手を出されたら堪ったものじゃない。だったらここで私が――――叩く!!
と思った矢先、突然部室のドアが開け放たれる。
「「ひゃぁ!?!?」」
ドアにもたれ掛かってた私と栞子ちゃんはそのまま部室へと倒れ込む。
見上げると、そこにはお兄さんが怪訝そうな顔で私たちを見下していた。
「お前ら部室の前でコソコソ何やってんだ……」
「お兄さん!?」
「零さん……。ど、どうして私たちがいるって……」
「そりゃあれだけ騒いでたら誰でも分かるだろ……」
私たちはお兄さんが差し伸べてくれた手を握って立ち上がる。さっきまで欲望に忠実なセクハラ魔だったのに要所要所で優しくしてくるから困ったものだよ。
部室の雰囲気に大人の色気が漂っているのかと思ったけど、見た感じそうではなさそうだった。果林さんもエマさんもきょとんとした顔でこっちを見つめてくるし……。いやさっきまでおかしなことをしてたのはそっちじゃんと言いたくなるけど、盗聴していた私たちも私たちだから何も言えないよね……。
しかし同好会の部室で破廉恥行為を許すわけにはいかない。ここは相手の非を追及する覚悟で切り込もう。まあさっきの状況を自分の口から説明するのはとても恥ずかしいんだけど……。
「お兄さん、さっきその……果林さんとエマさんのむ、胸を触ってました……よね?」
「はぁ? してねぇけど」
「でもさっきお二人の気持ちよさそうな声が外に聞こえてきて……ねぇ栞子ちゃん?」
「はい。お二人が張っていると仰っていたので、零さんがそれを解決するために胸部を……その、揉んでいたのではと思いまして……」
「何言ってんだお前ら。揉んでたのは『肩』だぞ?」
「「へ……??」」
か、肩……? 胸じゃなくて……? ということは……勘違い!?!?
あ゛ぁ゛ぁ゛ぁああああああああああ!? 顔が熱くなってきた!! ていうかそうだよ、最初から胸を揉んでるなんて一言も言ってなかったもん!! 私たち勝手に勘違いしてたってこと超恥ずかしいんだけど!?!?
横にいる栞子ちゃんも全く同じことを考えていたようで、茹で上げられたように顔が真っ赤になっていた。
「なるほど、お前らは俺たちの会話だけを聞いて俺がコイツらの胸を揉んでいたと思ったわけか。とんだ淫乱だな、悔いて恥じろ」
「ち、違うんです!!」
「いいや違わないね。お前らは立派に脳内ラブホテルを建設してるよ。さぞ立派で豪華なホテルなんだろうなぁ」
「からかわないでくださいよ!! あぁ~もう恥ずかしい……!!」
「す、すみません侑さん! 私が早とちりしたばかりに……」
「二人とも思春期ねぇ~。初々しくて可愛がりたくなっちゃう♪」
「その……2人共妄想豊かだね! スクールアイドルはイマジネーションが大切だから恥ずかしがる必要はないよ、うんっ!」
「エマさんのフォローが一番心に来る!!」
こうして私たちは他のみんなが来るまでお兄さんと果林さんに弄りに弄られ、エマさんによる心を砕く悪意なきフォローに滅多打ちにされた。
私も栞子ちゃんも元々こんな破廉恥なことを考える性格じゃなかったのに、これもお兄さんに出会ったせいだ。そうだよ全部お兄さんのせいだよ!! こうするしか心の安寧を保てないのでそう思っておこう……。
~※~
例の事件から数日後が経った。私は今日も同好会の部室へと向かっているんだけど――――部室の前に歩夢がいる。しかもドアに耳を当てて……なんかデジャヴ?
歩夢は私に気付くと、慌てた様子でこちらに駆け寄ってきた。
「侑ちゃん大変だよ!!」
「な、なに急に……」
歩夢は私の両肩をがっちりと掴み詰め寄ってくる。相当切羽詰まっている様子だけど何かあったのかな……?
「そ、そのぉ……いきなり変なこと聞いちゃうんだけど……」
「歩夢の質問なら何でも答えてあげるよ。なに?」
「侑ちゃんってその……週に何回するの?」
「えっ、するって何を?」
「オ、オ……」
「お?」
「オ、オナニー……」
「ぶっ!?!? は、はぁ!?!?」
「ち、違うのこれはえぇっと身辺調査みたいなもので……」
身辺調査どころか猥談でしょこれ!? あの歩夢の口からそんな言葉が飛び出すなんて想像もしてなかったから思わず吹き出しちゃったよ。本人も一応恥ずかしいと思ってはいるようで、耳まで真っ赤にしてもじもじしている。そんなに恥ずかしいなら聞かなかったらいいのにどうしたんだろう……。
「ど、どうしてそんなことを聞くの……?」
「部室に入ろうとしたら中から声が聞こえてきてね。その……愛ちゃんと璃奈ちゃんがオナニー……自慰行為って言うんだっけ? それをたくさんしてるって……」
「え゛っ!? 流石にそれはないんじゃないかなぁ? ほら聞き間違いとかさ」
「だって零さんとそういう話をしていたから気になっちゃって……」
「またあの人か……」
お兄さんがいたら猥談が発生する可能性はあるから歩夢が気にするのも分かる。でもお兄さんは大学生だよ? 男子大学生が女子高生とオナニー……この言葉恥ずかしいな、自慰行為の話をするなんて普通に犯罪でしょ。しかもお兄さんがそんな知能指数の低いセクハラ発言はしないような人――――って、なんか前も同じような流れだった気がする……。
「自慰行為をたくさんし過ぎてオナニー中毒になってるんだって! 今の子ってやってる人の方が多いのかな!?」
「だから私に回数を聞いたんだね……。その回答に関してはノーコメントだけど」
「どうして!? なんでも答えるって言ったよね!?」
「いや親しき中にも礼儀ありだよ!? 今日の歩夢怖いよ!?」
「そ、そうだね、とりあえず落ち着くよ……。落ち着いて外から零さんたちの会話を聞こう」
「それはそれでどうかと思うけど……」
歩夢は再び部室のドアに耳をくっつけて中の会話を盗み聞きする。そして歩夢に手招きされて何故か私まで同じことをさせられているんだけど……。もう私、お兄さんと同じくらい巻き込まれ体質になっている気がするよ……。
ドアに耳を当てると、部室の中から会話が聞こえてきた。
『愛はたくさんやってそうだな』
『
『私も最近ハマちゃった。先週はほぼ毎日やってる』
『りなりーが他の子と楽しそうにしてると愛さんも嬉しいよ! 零さんはどうなの?』
『俺はあまりそういうのはやらねぇな。そもそも中学から今まで続いてる方が凄いだろ』
「ほら侑ちゃん聞いたよね!? 愛ちゃんが
「ちょっと変な想像しないでよ私まで想像しちゃうじゃん!? それにしても最近はみんなやってるって、それが普通なのかな……」
オナニー中毒、略してオナ中。これは聞いてはいけない会話を聞いているような気がする。でも私も歩夢も顔を真っ赤にしつつもドアに耳を傾けるのをやめなかった。背徳に愉悦を感じるとはまさにこのことなのかもしれない。人の性事情に足を踏み入れてはならないと分かっているのに、興味本位で相手のプライベートを知りたいと思うのは私たちがまともな興奮状態ではないからだろうな……。
『へぇ~意外! 零さんならやってると思ってた!
『そりゃいるにはいたけど、あの頃の俺は騒がしいのは嫌いで1人が好きだったからな。今みたいに親しい女の子はあまりいないんだよ』
『じゃあ逆に今は誰かと一緒にやったりしないの? μ'sとかAqoursのみんなとか』
『やってる。物凄くやってる。夜の時間が枯れ果てるくらいにはな』
「れ、零さん!? μ'sやAqoursの皆さんとその……オ、オナニーを一緒にやっているってこと!? しかも一晩中!? 零さんとお付き合いするってことはそういうことにも慣れないといけないんだ……」
「歩夢落ち着いて! もうお兄さんってば、部室でなんて話をしてるのかなぁ……。それに女の子と一緒にやってるってことは、それもう自慰じゃなくて普通の……いやなんでもない」
「ど、どうしよう侑ちゃん!! 私も毎日やって零さんに見合うような性欲を身に着けた方がいいのかな!?」
「やらなくていいから!! それにスクールアイドルがそんな発言しちゃダメ!! あぁ~もうお兄さんのせいで歩夢がこんなことに……」
お兄さんが虹ヶ咲に来てから歩夢はとてもイキイキとし始めたけど、同時に隠れていた破廉恥な思考が少しずつ表に出るようになってきた。でもそのおかげで今まで以上に表情豊かになったし、スクールアイドルの練習もより一層気合が入っている。幼馴染としては喜ばしいことなんだけど、スクールアイドルとしてはあるまじき性的欲求が見え隠れしているのが心配でならないよ……。それは歩夢に限った話ではなくてみんなそうなんだけど……。
『そういや
『あっ、それなら私も紹介したい子がいる。
『お前ら人のことを勝手に喋り過ぎだろ……。ま、美人か美少女なら会ってやってもいいけどな』
『じゃあ決まりだね!』
「
「だから想像しないの!! 愛ちゃんも同じようなグループに入ってるみたいだし、最近はみんなで報告し合ったりするのが流行ってるのかな……。ほら、特に愛ちゃんは若い子の流行に敏感だから」
「みんながやっているのなら、私たちもやるしかない……よね?」
「私
「侑ちゃん。幼馴染として私と侑ちゃんはいつも一緒だよね!」
「さっきまで顔真っ赤にして恥ずかしがってたのにここだけ満面の笑顔にならないでよ!! とても胡散臭いんだけど!!」
ダメだ、歩夢がみんなの圧力に屈しようとしている。まあ向こうはそんなつもりで会話をしてないと思うから歩夢の勝手な自爆なんだけど……。
そしてこのままだと私まで
と煩悩に支配されていると、突然部室のドアが開け放たれる。
「「ひゃぁ!?!?」」
ドアにもたれ掛かってた私と歩夢はそのまま部室へと倒れ込む。
見上げると、そこにはお兄さんが怪訝そうな顔で私たちを見下していた――――って、あれ? 前もこんな感じだったような……。
「お前ら部室の前でコソコソ何やってんだ……」
「お兄さん!?」
「零さん……。ど、どうして私たちがいるって……」
「そりゃあれだけ騒いでたら誰でも分かるだろ……。しかも前も同じことをやらなかったか?」
私たちはお兄さんが差し伸べてくれた手を握って立ち上がる。これも前回と全く同じで―――――ん? 展開が同じ? 待って、ということは歩夢が聞いた
「あ、あの、零さん!! ちょっと聞きたいことがあるんですけど……」
「何をしていたのか聞きたいのは俺の方なんだけど、まぁいいや言ってみろ」
「待って歩夢! 多分私たちの勘違いで――――」
「そ、その……オ、オナニーする子が好きなんですか!?」
「はぁ!?」
「「えっ……?」」
「あちゃ~……」
お兄さんと愛ちゃんは歩夢の爆弾発言に目を丸くして驚き、璃奈ちゃんは仰天表情のボードを顔の前に掲げていた。そりゃいきなり歩夢から自慰行為の話を持ち出されたら誰でもそんな反応になっちゃうよね……。だってお兄さんたちは
「だって零さんたち、さっき
「もしかしてお前、オナニー中毒と勘違いしてんのか? お前の脳内も相当極まってんな……」
「えっ……え!?」
「もしかしてもしかしなくても歩夢勘違いしちゃってる系? 私たちの言ってた
「え゛っ……!?」
「私も愛さんも最近同じ中学の子とビデオ通話することがあって、零さんとはその話をしてた。でも歩夢さんと侑さんはアッチの意味で捉えちゃったってことだよね。うん……とっても思春期」
「あ゛ぁ……あ゛ぁ゛ぁ゛ぁぁあああああああああああああ!!!!」
「歩夢が壊れた!?」
歩夢は全てを知った直後、まるでショートした機械のように頭から煙を出して謎の奇声を上げた。スクールアイドルとは思えないほどの汚い声で、どれだけ歩夢の心が乱されているのか分かる。お兄さんたちは普通の話題で普通に会話をしていただけなのに、自分が勝手に猥談だと勘違いして、しかも好きな人に対して自慰行為をする女子は好きかを質問する始末。これだけ重なれば心が壊れる要因としては十分だよね……。私も一部絡んでるから全くの他人事ではないんだけど……。
「2人共見かけによらずえっちぃ子だったんだねぇ~♪ 愛さん2人のことがもっと好きになっちゃったよ!」
「好きになる要素あった!? それに私は歩夢に乗せられただけで……」
「お前、この前もエロいこと考えてたよな? 認めろ、それはお前の性格だ。このむっつりめ」
「ち、ちがぁああああああああああああああう!! 私は……私は!!」
「安心して侑さん。どんな侑さんでも私たちはずっと友達だから」
「その純粋な気遣いやめて!! 余計に恥ずかしいから!!」
「もしもし、建設会社ですか? ラブホテルの建設場所ならここにいい物件があるんですけど」
「なに電話してるんですか!?!?」
そして私たちの痴態は黒歴史として刻み込まれ、同好会に未来永劫語り継がれ……って、そんなのイヤ!! いつか絶対に、絶対に私は破廉恥じゃないってことをお兄さんに証明して見せる!!
ちなみに歩夢は今日一日あまりの羞恥心にずっと気絶していた。まあ歩夢の場合は自業自得……だよね??
こういったすれ違いのネタは大好きなのですが、如何せんこれまでにネタを使い過ぎたせいで1から考えるのが大変で大変で……。できればすれ違い系のネタください(笑)
この章では零と侑のW主人公の予定なので、今後も彼女視点は増えていく予定です。侑視点だと零君ハーレムを客観的に描けるので重宝しています。
もちろんヒロインとしての侑が零君色に染まっていく様子もお楽しみください!
よろしければ小説に感想をお願いします!
虹ヶ咲編に突入以降感想が減ってしまっているので、これまで書いたことのない方や書きたいけど渋ってる方はこの機会に是非!