ラブライブ!~蓮ノ空との新たなる日常2~   作:薮椿

443 / 703
 今回は珍しく侑の個人回で彼女視点でのお話です。



高咲侑は自覚する

「零さん! 彼方先輩とエッチしたって本当ですか!? こうなったらかすみんも……!!」

「おいここ部室だぞ!? つうか彼方、あのことをむやみやたらに言いふらすなよ!!」

「え~でも自慢したいじゃ~ん」

「零さん、私の時はそんなロマンティックじゃなかった。今度は兄妹でラブホテルに入ったシチュエーションでエッチしたい」

「愛さんも零さんを家に招待したいな~。今まで学校でしかそういうことをしたことなかったからさ、家ならもっと激しくできるっしょ?」

「分かったからお前らくっつくなって!! もうすぐ練習だろ早く着替えに行け!!」

 

 

 相変わらず同好会のみんながお兄さんとじゃれ合っている。先日『お兄さんに色々なことをされた選手権』が開催されて以降、みんなのお兄さんに対するアプローチがより一層強くなった。最近はお兄さんが部室に来るだけでもこんな感じで、賑やかなのはいいけど話題が話題だからなぁ……。

 

 だからと言って練習が疎かになっているかと言われたらそうではなく、むしろみんなのやる気はこれまでに比べて更に上がっていた。もはやお兄さんという存在だけでみんなのメンタルケアは完璧で、テンションが高すぎて逆に私がみんなのノリについて行けなかったりもする。

 

 それにしても、毎度毎度あそこまでお兄さんにアプローチしてよく飽きないよなぁ~って。別にお兄さんに魅力がないわけじゃないけど、私からしたらあれは過剰すぎるくらい過剰だ。まあこの学園には私のような考えを持っている人がいないから私の方が非常識になるんだけどね……。

 

 

「侑ちゃんどうしたの? ため息なんてついて……」

「いやお兄さんは相変わらずお兄さんだなぁ~って」

「うん……? 侑ちゃんって零さんのこと嫌いなの?」

「えっ? べ、別にそんなのじゃないけど、何て言うか凄く変わった人だから自分の中の常識とか価値観が根底から覆されそうで……。お兄さんがいる日常に慣れてはきてるんだけどね。慣れたら負けな気もするけど……」

「あはは、なんとなく言いたいことは分かるよ。でも零さんのことをもっと知って仲良くなれば、そうやって悩むこともないと思うよ」

「そうなのかなぁ~」

 

 

 思い返してみればお兄さんと一緒にいることは多いものの、プライベートで出かけたことは一度もない。それどころかSNSで連絡し合う時も事務的なことばかりで、他愛もない世間話をするのはこうして学園内で顔を合わせた時、しかも作業の合間合間に少し話すくらいだ。別にお兄さんとの会話に躊躇するとか緊張するとかはなくて、ただ単にそういったビジネスライクの関係なだけ。だからお互いに避けているとかもないから安心して欲しい。

 

 あぁ、なんか最近こうやってお兄さんのことを考える時が多い気がするなぁ。日常的に特定の異性のことを考えるのは『恋』の証ってよく言われるけど、私に限ってそれはないよね。だって今も特別お兄さんを好きだとか思ってないし、思ったこともない。外見はカッコいいし頼りになるとは思うけど、それとこれとは話が別だから。みんながあそこまでお兄さんに惚れる理由が私には分からないってだけだ。

 

 

「そうだ、次の休日だけど侑ちゃん予定空いてる? 気分転換に一緒にお出かけしない? 侑ちゃん最近できた洋服店に行ってみたいって言ってたから、ちょうどいいかなぁって思って」

「お出かけかぁ……。うん、いいね。行こう!」

「決まりだね。じゃあ時間と集合場所はまた連絡するよ」

「うん、よろしく!」

 

 

 そうだよ、たまにはお兄さんのことなんて忘れて休日を謳歌しよう! お兄さんが学園に来てからというもの私の周りではお兄さんがいてもいなくてもこの人の話題に事欠かず、そのせいでお兄さんがいない時でもその影がちらつく始末。

 

 学園は支配されてしまってるけど私の日常だけは完全に浸食されてたまるものか。ずっと脳内にちらつくお兄さんを頭の片隅からすらも消し去って、私のクリーンな日常を守り抜いてみせるぞ!

 

 

 

 

~※~

 

 

 

 

「あれ、侑?」

「お兄さん!?」

 

 

 事前に歩夢から連絡されていた待ち合わせ場所。そこに現れたのは歩夢ではなくお兄さんだった。お互いにプライベートで街中で会うことが今までなかったためか、私もそうだけどお兄さんも驚いているようだ。

 

 でもたまたま通りかかっただけ……だよね??

 

 

「どうしてお前がここにいる? 歩夢に呼ばれて来たんだけど……」

 

 

 ぜっっっんぜん違ったぁあああああああああああああああああ!!

 ていうか歩夢ぅ~騙したなぁあああああああああああああああ!!

 

 と、とりあえず落ち着こう。恐らく歩夢が変な気を使って私とお兄さんをこうして巡り合うよう仕向けたに違いない。お兄さんも歩夢に私と同じ手口で誘い込まれたのだろう。そういえば歩夢『零さんのことをもっと知って仲良くなれば』って言ってたような……。それによく考えてみれば私と歩夢の家って隣同士だから、街中で待ち合わせる意味ないじゃん。完全に騙されたよ……。

 つまり、私とお兄さんがプライベートで一緒に過ごせるように仲介役になったってことか。余計なお世話って言葉をこれほど活躍させられる場面は初めてだよ……。

 

 スマホを見てみると歩夢からメッセージが来ていた。

 

 

『騙すようなことしてゴメンね! でも零さんはとっても素敵な人だから、1日一緒にいれば絶対に印象変わるよ! それで侑ちゃんの悩みが解決すればいいな……』

 

 

 文面を見る限り悪気はないみたいだし、それに私が悩んでいると思って歩夢なりに助けようとしてくれているらしい。悩みというか気になってるくらいで全然深刻じゃないんだけど、ここまで心配をかけちゃった私も悪いよね。

 

 勢いのまま返信しようとしたけど、歩夢の気遣いを好意的に受け取ることにしたので『頑張ってみるよ』の一文だけ書いて送った。

 

 

「お前の反応を見るに、歩夢が狙って俺たちを会わせたみたいだな」

「まぁ、そうですね……」

「どうする? 帰るか?」

 

 

 驚いた、意外と淡々としてるなぁ~って。もしかしたら自分と一緒にいたくないだろうって思われてる?

 別にそんなことはないし、なんならお兄さんのことを知るいい機会だ。巡り合わせは突然だったけど、せっかく2人でお出かけする機会が舞い込んできたんだからそれを利用しない手はない。それに歩夢も私とお兄さんの距離が近づくことを願っているみたいだし、幼馴染の好意を無駄にしないためにもここは流れに乗らせてもらいますかね。

 

 

「いや、行きましょう。私行きたい洋服店があるんですけど、1人でも行くのもアレなので付き合ってください」

「………言っとくけど金は出さねぇからな」

「もちろん分かってますって。むしろそんなことをされたら恋人同士っぽくてイヤじゃないですか? なんとなく」

「可愛く媚びてくれたら考えなくもない」

「ノーセンキュー!」

 

 

 そんな感じでお兄さんとのお出かけが唐突に始まった。

 流石にこれはデート……ではないよね? そう、これは人間観察。お兄さんという珍獣の生態を私が観察して評価するだけだから、決してデートではない。そもそもデートっていうのは恋人同士とかお互いに惹かれ合っている者同士でお出かけすることで、ビジネスライクの関係である私たちには到底似合わない言葉だ。だから断じてデートではない!

 

 そうやって自分に言い聞かせ、私たちの()()()()がスタートした。

 歩き始めるとどちらかが少し前に出たり後ろに下がったり、歩きの()()()()()()()ところが私たちの関係を如実に表している。この調子で今回のお出かけ楽しめるのかな……?

 

 

 

 

~※~

 

 

 

 

「うわっ、意外と高い……。噂には聞いてたけど高校生にはちょっとハードルが高いかなぁ……」

 

 

 お兄さんを引き連れて例の洋服店へとやって来た。早速気になっていたブランドの服を見てるけど、その値段を前にして購入を躊躇われてしまっていた。よくあるんだよね、家でカタログを眺めている時は少々値が張っても買おうと決意を固めているのに、いざ実際の商品を目の前にすると怖気づいてしまう現象。今がまさにそうで、変えないこともないんだけどバイトをしていない自分にとって財布に大きな痛手となる。そう考えると躊躇しちゃうんだよね……。

 

 その時、店に張られていた広告POPが目に入る。そこには『本日限定! 恋人同士でお会計すると全商品30%OFF!』と書かれていた。

 

 

「30%OFFって結構な割引だな。もしかしてあれが適用されれば現実的な値段になって買えるんじゃねぇか?」

「えっ、あっ、そ、そうですけど……。でも私のためにお兄さんに彼氏役をしてもらうのは申し訳ないと言いますか……」

「別にいいぞ」

「ふぇ?」

「会計の時に一緒にいればいいだけだろ? それくらいだったら別にいいだろ。逆にお前はどうなんだよ? フリとは言え俺の彼女役をすることになるんだぞ」

「私は……まぁ、これだけ安くなるのであれば全然やりますよ」

「決まりだな」

 

 

 まさかお兄さんと一緒にお出かけするだけじゃなくて恋人ごっこまですることになるとは……。自慢でもないしむしろ負け組の類なんだけど、私って男の人と2人でショッピングとか、そういう甘酸っぱい青春みたいなことを一切経験したことがないんだよね。だからフリとは言えかなりドキドキしてしまう。店員さんに怪しまれず会計することできるかな……?

 

 そして私は買うか迷っていた洋服を手に取ってレジへと向かう。

 カップルのキャンペーン中に若い男女2人がレジへ来るってことはそういうことだとレジの女性店員さんも全てを察したようで――――

 

 

「お二人は恋人同士ですか?」

「は、はい……」

 

 

 店員さんが明るい笑顔で聞いてくるものだから返事が吃ってしまった。

 恋人のフリをする展開はアニメや漫画でもよくあるけど、いざ自分がその立場になると意外と緊張するなぁ……。逆に女の子とデートをしまくっているお兄さんならこういうのは慣れてそうだ。でもこのキャンペーンを利用しているのは私だし、お兄さんに頼らず自分の力でこの場を切り抜けないと……!!

 

 

「それではキャンペーンの活動の一環として、お二人を撮影しちゃいますね♪ ラブラブっぷりをたっぷり見せつけてください♪ ちなみに拒否されますと割引キャンペーンは適用されませんので♪」

「「はい……??」」

 

 

 私とお兄さんの声がハモる。そりゃそうだ。だって記念撮影が必要とか広告POPには一切明記されていなかったんだから。

 でもここで『本当は偽の恋人で、服を安く買うための嘘だった』なんて店を騙すつもりだったことは口が裂けても言えない。だったら私たちの成すべきことは1つなんだけど、男の人と写真なんて撮ったことないから超緊張する……!! それにラブラブって、一体なにをすればいいの……!?

 

 

「おい、早くこっちに来い」

「きゃっ!? お、お兄さん……? って、えぇぇっ!? こ、こんなくっつかなくても……!!」

「黙ってろ。怪しまれるだろうが」

 

 

 お兄さんに腕を引っ張られたと思ったら、なんと正面からお兄さんに抱き着く形で抱きしめられてしまった。当然男の人とお出かけするのも初めてであれば一緒に写真を撮ったこともなく、そんな青春を置き去りにしてきたような私がいきなり年上の男性と抱き合うだなんて刺激が強すぎる……!!

 

 いつもは女の子にセクハラ紛い、いやセクハラな言動を見せるお兄さんだけど、不思議なことにそんな人に抱きしめられても嫌悪感は全然ない。自分でもどうしてか分からないけど、こうしてお兄さんに包み込まれていると何故か安心できる。そりゃ他の知らない男性に比べたら知っているお兄さんの方が心は許せるけど、なんだろうこの感じ……。

 

 お兄さんの手、意外と大きいんだな……。男性だから当たり前だけど、その手で力強く引っ張られた時は驚きながらも少しドキッとしてしまった。それに私を抱きしめている力も強く、お兄さんに守られているという謎の安心感が生まれている。現にさっき店員さんに写真撮影をすると言われた際はお兄さんも戸惑っていたけど、その後は偽の恋人だと怪しまれないよう臨機応変に対応し始めた。対して私は戸惑いっぱなしだったので、そう言った意味では本当に守ってもらっているのかもしれない。

 

 それになにより、お兄さんって暖かいんだなぁ……。

 

 

「俺に引っ付くのはイヤだと思うけど今だけ我慢しろ。あとで甘いモノでも奢ってやるから」

「そ、そんな! 私がやるって言い出したので何もお兄さんが気を使うことでは……」

「あっ、もうシャッター押されそうだぞ。黙って俺に抱き着いとけ」

「は、はいっ!」

 

 

 いつも強引な言動が多いしなんなら今もそうだけど、だからこそ頼りになるんだよね。今それを存分に理解することができた。今までは贔屓目で魅力があり()()とか頼りになり()()とか言ってたけど、それが確信に変わるなんて思わなかったよ。歩夢たちがお兄さんに惹かれる理由が少しわかった気がするな……。

 

 その後は何事もなく恋人証明の記念撮影をし、無事に服を割引で購入することができた。できたことは非常に喜ばしいけど、それ以上にお兄さんと抱き合っている写真を撮られた衝撃の方が大きかったりもする。しかもその写真まで貰っちゃって、これ絶対に他のみんなには見せられないな……。『なんだかんだ零さんと仲いいじゃん!』ってからかわれそうだし……。

 

 

 

 

~※~

 

 

 

 

「ん! このクレープ美味しいです!」

「そりゃ良かった。お前、歩夢とそういうのを食べてる写真をよく撮ってるから好きだと思ってさ」

 

 

 洋服店を出た後、お兄さんの誘いで大きな公園へとやって来た。そこの出店で売られているクレープが女性に人気らしく、お兄さんの奢りで食べてみたんだけど‥‥…そりゃもう美味しいの一言に尽きる。小学生並みの感想しか出てこないのがその証拠。甘いモノ好きの私にはドストライクのクレープで、永遠のリピーターになってしまいそうなほどだ。

 

 ちなみにお兄さんの奢りと言っても私から強請ったのではなく、さっき無理矢理私を抱きしめたことに対するお詫びらしい。だけど知っての通り抱き着かざるを得ない状況を作ったのは私なので奢ってもらうなんて悪いって言ったんだけど、『だったら男として奢らせてくれ』と割と真剣めに言われて渋々従った。なんか今日のお兄さんって妙に優しいと言うか、男っぽいんだよね。いつもは傲慢で自意識過剰、唯我独尊で高飛車、自己顕示欲の塊で自分が世界で一番偉いと思っているナルシスト、あと変態さんなのに、今日は普通にカッコいいところしか見せていない。なんだかこっちの調子が狂っちゃうよ……。

 

 

「そういえばよくこんな美味しいクレープ屋さん知ってましたね。こういうの好きなんですか?」

「いや、歩夢も甘いモノ好きだろ? だから連れて来てやろうと思ってたんだ。まあ結局アイツの策略のせいでお前を連れてくることになっちまったけどな。でも喜んでくれたのなら俺も嬉しいよ」

「ふ~ん……」

「なんだよ?」

「いや、意外と歩夢とのデートプランを考えていたんだなぁ~と思いまして」

「そりゃ男としてはある程度な。まあいつもは女の子が行きたいところを中心として、俺は付き添いみたいな感じだけどさ」

 

 

 デートをする女の子の好みに合う計画をちゃんと立ててるんだと感心してしまった、上から目線だけど。私の中でのお兄さん像って『俺こそ正義!』みたいな人だから、もっとグイグイ引っ張っていくタイプかと思ってたけどデートの時は女の子に合わせるらしい。そう考えてみると今日もそうで、服選びも手伝ってもらったし、私が甘いモノ好きだと知ってクレープ屋に連れてきてくれた。だけどピンチの時にはしっかりと先導してくれて……って、なにそれ完璧じゃん。これは歩夢たちが惚れるわけだ。

 

 

「それにお前いつも頑張ってるからな、たまには指導者として労ってやらねぇと」

「お兄さんがこんな気遣い上手だなんて、別人を見ているかのようですよ」

「おいおい、俺は可愛い女の子と夢に向かって走る子だけには優しいぞ? お前はそのどちらにも当てはまっている。つまりお前は俺の隣にいるに相応しい奴だってことだ。だからこそ労うんだよ」

「ぷっ、なんですかそれ!」

「笑うところか……? 俺は至って真面目なんだけど……」

「本当に面白くて変な人ですね、お兄さんって♪」

「褒めてんのかそれ……」

「過去にないほど最大級に褒めてますよ!」

 

 

 あぁ、こりゃダメだ。お兄さんとのこのひと時と楽しいと思っている自分がいる。歩夢に騙された後に帰らずお兄さんと出掛けることにしたのはお兄さんの本性を知ろうとしていたからだけど、まさか自分がお兄さんに惹かれて取り込まれてしまうとは……。確かにこれは歩夢たちがお兄さんとのデートを楽しみにする理由が分かる。またデートしたいと思ってしまうよね、これだと。私もそうだもん、不覚にも。

 

 

「褒めるのはいくらでも歓迎だけど、俺のいいところを探そうとするとすぐに惚れるぞ。精々気を付けるんだな」

「それはないですね~。歩夢たちじゃあるまいし」

「そういや秋葉の奴も言ってたよな。お前は俺を好きになる素質がないって。ま、人の気持ちなんて流動的だからいつかは歩夢たちみたいになるかもしれないぞ」

「そうなったら虹ヶ咲学園はもう終わりですね。最後の良心である私までお兄さんのモノになったら、それこそ誰がお兄さんの面倒を見るんだって話ですし」

「面倒って、母さんかよ……」

 

 

 出会ってから早1ヵ月以上、誰がツッコミを入れてきたと思ってるんだこの人は……。私がいなかったらあらゆる話がめちゃくちゃになってたよね絶対に。だから私まで堕ちるようなことはできないし許されない。そう、学園の秩序と常識を1ミリでも死守するためにもね。

 

 そう考えると、お兄さんの側にいるのってなんだかんだ居心地がいいんだと実感する。今でも学園の全ての女の子たちを手にする楽園計画なんて認められないけど、その主がお兄さんなんだったらアリなんじゃないかと思い始めるくらいに……。あぁ、もう完全に毒されてるな私。いつもとは違うお兄さんの一面を知ってしまったせいかもしれない。これだけ女の子のことを考えて大切にできる人なら……ね。

 

 

「どうしたニヤついて気持ち悪い」

「えっ、そんな顔してました?」

「してた。なんか悟ったような感じだったけど」

「あぁ~まぁそうですね。お兄さんってやっぱりお兄さんで、でも私の知らないお兄さんもいたんだなぁ~って」

「なんだよそれ。でもゲシュタルト崩壊しそうなくらい俺のことを考えてくれてたのか。俺を好きでもないお前にしちゃ珍しいな」

「そうですよ珍しいし、迷惑ですよ。ふふっ、本当にいい迷惑……♪」

「ん? 何か言ったか?」

「なんでもないで~~す!」

 

 

 自分の中でお兄さんに対する考えが改まってきている。正直歩夢たちがお兄さんを美化し過ぎていると疑ったこともあったけど、今日だけで印象が大きく変わった。デートの時は女の子に合わせてくれるし、女の子の好みを知ったうえで自分なりの計画も立ててくれるし、いざという時は男を見せてくれるし、何気ない会話でも冗談を言い合いに付き合ってくれるし、一緒にいるだけでも楽しいし――――いやぁこんなことをされたらお兄さん以外の男性とお付き合いできなくなっちゃうなぁ……参った参った。

 

 

 本当に……参ったな。

 

 

「そういや次はどこへ行くんだ。残念ながら俺の用意したプランはここくらいしかないから、お前が決めてくれ」

「そうですね……あっ、そうだ、部屋の模様替えをしたいから、絨毯や壁紙、カーテンも欲しいと思ってたんですよ! それにピアノの練習のために新しい参考書も欲しいし、あとは――――うん、奢ってもらいたいものが多すぎて決められないですね~♪」

「おいっ! さっきは奢る必要はないって言ってただろ!? どうして急に俺の財布に狙いを定めた!?」

「えぇっと、媚びればいいんですよね?」

「へ……?」

 

 

 私は立ち上がると、お兄さんに向かい合った。

 

 

「ほらほら、()()()はまだこれからですよ! 今日は私の満足が行くまでしっかりエスコートしてくださいね!」

 

 

 恐らくこれは媚びではなく本心。認めるしかない、お兄さんに惹かれつつあることを。もちろん好きとかそういうことじゃなくて、人間として、男性として魅力的だからってことだから。これは『恋』ではない……と思う。友達以上、恋人未満。うん、それだ。そうに違いない。

 

 そうなんだけど、私の心はずっと高鳴っていた。

 

 

 お兄さんは小さく微笑んで立ち上がる。

 そして、私とお兄さんは()()()歩き始めた。

 




 変態要素が一切ない綺麗な零君を描いたのって何年ぶりだろう……(笑)
 虹ヶ咲編では歩夢たちが既に零君LOVEモードなので、彼に対する心境の変化を描けるのが侑しかいないんですよね。だからもう1人の主人公としても彼女の存在は貴重です。

 そうは言ってもアニメでイケメンムーヴをしていた侑を女の子として堕としたいだけなんですけどね(笑) でも侑は容姿も可愛いし、そういった展開を望んでいる方は私の小説の読者さんであれば決行を多いと思います。

 そういえば今週末からスーパースターのアニメがスタートしますね。
 ぶっちゃけキャラの情報とか全く仕入れてないので、どんな可愛い子が出てくるのか楽しみです!


高評価をくださった

シロナガシさん

ありがとうございました!
小説が面白いと思った方、是非ご感想や評価をよろしくお願いします!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。