ラブライブ!~μ's&Aqoursとの新たなる日常~   作:薮椿

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 提供:く○寿司

 今回からまた日常回へと戻ってきました。零君が回転寿司を知らない真姫、絵里、亜里沙を引き連れて、彼女たちの回転寿司処女を破ります!


回転寿司へ行こう!

 

 突然だが、俺、真姫、絵里、亜里沙は最近巷で人気の回転寿司へとやって来ていた。

 

 

「ここが噂の回転寿司……」

「初めて来るわね、ワクワクするわ♪」

「私はお寿司自体をあまり食べたことがないので楽しみです♪」

 

 

 店の前で立ち往生して何とも迷惑な客たち(俺ら)だ。生まれて始めて見る回転寿司に、真姫たちは目を丸くして驚いている。外観だけで驚いていたら、店に入って回っている寿司を見たら衝撃を受けるんじゃないか……

 

 

 そもそもなぜ俺たちがここに来たのかと言うと、昨日テレビで回転寿司特集を見ていた時に、真姫たち3人だけが回転寿司に行ったことがないと仰られたからだ。何とも高貴なご身分ですこと。

 真姫に至っては『回転寿司?寿司って回転させたら美味しくなるの?』と珍しく天然ボケを発揮し、周囲を見事大爆笑させていた。絵里と亜里沙はロシアにいたこともあるから仕方ないが……

 

 日本が世界に誇る食文化を味わったことがないのは勿体無い!!ということなので、翌日俺はこの3人をわざわざ遠くにあるこの有名店まで引っ張ってきたのだ。他の連中はもっと近くの回転寿司に行っている。

 

 

「もう予約の時間だし、入るぞ」

「予約しなければ食べられないほど人気なの?」

「別にそうじゃねぇけど、回転寿司ってのは安いし気軽に食べやすいから、平日でもお客さんがかなり多い。だからそれを見越して、あらかじめ予約を取っておいた方がいいんだよ」

「弱肉強食ってやつですね!!」

「いや、それはちょっと違うぞ亜里沙……」

 

 

 一応μ'sの中では常識人の部類に当てはまる亜里沙だが、姉の絵里同様たまにどこか抜けているときがある。しかも悪気など一切ない天然。"おでん缶=ジュース"だと思っている奴だからな……

 

 

 そして俺たちは自動ドアを通って中に入る。すると隣から――――

 

 

 

 

「「ハラショーーー!!」」

 

 

 

 

「はい、Wハラショー頂きましたぁ~」

「耳痛い……」

 

 

 目の前で皿が回っている光景を目にして驚いたのか、絵里と亜里沙は2人で持ち前のギャグ『ハラショー』を炸裂させた。それは隣にいた真姫の左耳から右耳を通り抜ける。しっかりしてそうなこの2人も、テンションが上がればただの子供だな。

 

 

「零君零君!!すごいです!!お寿司が回ってますよ!!」

「零!!これってどういう仕組み!?どれを取ってもいいの!?」

「落ち着けお前ら!!小学生か!!」

 

 

 亜里沙も絵里も、めちゃくちゃ目が輝いている……まるで新しいおもちゃを買ってもらった子供みたいだ。昨日テレビの映像を見てもの凄く行きたそうな顔をしていたから、実際に見たらそりゃあそうもなるか。だけど見た目に幼さが残る亜里沙はいいとして、スタイル抜群美人の絵里が子供みたいに騒いでいると、傍から見れば非常に滑稽だ。

 

 

「真姫はどうだ?初めて回転寿司に来た感想は?」

「ふんっ、要は味よ。1皿100円だなんて子供騙しに、この私が騙されるわけないでしょ」

「あっそう……」

 

 

 相変わらずのツンデレ属性。口では強がりを言っているものの、その目を見てみるとその輝きは絵里たちに負けずとも劣らない。要するに自分の期待以上でビックリしているということだ。寿司以外に皿を回転させているお店ってないからな。これで真姫も『寿司自体が回転する』のではなくて、『寿司を乗せた皿』が回っていると認識できただろう。

 

 

「平日でも、結構待っている人がいるのね」

「言っただろ、回転寿司ってのは予約しておかないと何時間待たされるか分からねぇって」

「店の外でも待っている人たちがいましたね」

「それぐらい安くて美味いから人気なんだよ。おっ、もう予約の時間だ。行くぞ」

 

 

 

 

~※~

 

 

 

 

「これが回転寿司……本当に目の前でお寿司が回っているのね」

「すごくワクワクしてきました♪」

「雰囲気は悪くないわね」

 

 

 絵里も亜里沙も高ぶるテンションを抑えられていないみたいだ。真姫もさっきまでのツンの要素はどこへ行ったのか、キョロキョロと店全体を見渡して落ち着きがなくなっていた。高校生にもなってこの初々しさが楽しめるとは、ある意味でおめでたい奴らだな。

 

 俺たちはBOX席(いわゆるテーブル席)に座り、おしぼりで手を拭きながら一発目の寿司をどれにするか、個々人狙いを定める。ちなみに席順は俺がレーン側に座り、その隣に真姫、向かいの席のレーン側に亜里沙、その隣に絵里となっている。

 

 

「迷うなぁ~どれにしようかなぁ~?」

「迷うのはいいけど、マナーとして一度取った皿は手放しちゃダメだぞ。取った皿を再びレーンに戻すのもルール違反だからな」

「一度取ったお寿司は責任を持って食べろってことですね!!」

 

 

 亜里沙に食べられる魚はさぞ幸せに違いないだろう。俺がもしさばかれて寿司になったとしたら、せめて美少女の腹の中で消化されてその身体の一部になりたいものだ。

 

 

「でもこれって、自分の食べたいものが流れてこなかったらどうするのよ?」

「その時はこのタブレットで注文できるようになってるんだよ。届くまで多少時間は掛かるけど、確実に自分が欲しいモノを食えるぞ」

「へぇ~、ハイテクなのね」

 

 

 むしろタブレット導入のおかげでお客が無意味に待つ時間が減り、結果的に店の回転率も高くなる。さっきも言ったけど、回転寿司は席に着くまでの待ち時間が非常に長いため、店の回転率は他の飲食店に比べてとても重要だ。

 

 

「とりあえずサッサと注文してしまおう、みんな何食べたい?」

「私は無難にまぐろかしら」

「真姫はまぐろっと……絵里は?」

「初めはサッパリしたものがいいからはまち辺りにしようかしら」

「はまちっと……亜里沙は?」

「お寿司のたまご焼きが大好きなので、それでお願いします!!」

「OK……じゃあ俺はサーモンかな」

 

 

 各々が第一品目を注文する。この注文の品が届くまでの間に、回っている寿司を取って食べておくのがベストだ。でもそれをやってしまうと注文した寿司は第一品目じゃなくなってしまうのだが……

 

 

「もし注文した直後に同じお寿司が流れてきたら、なんか馬鹿らしいわね……」

「残念ながら真姫、それは運だ。そのハラハラを楽しむのも回転寿司の醍醐味の1つなんだよ」

「ハラショー、回転寿司って意外と奥が深いのね」

 

 

 今日だけで何回『ハラショー』と言えば気が済むんだ……俺の予想ではこの先も何回か言うな、絶対。そして段々耳障りになってきて、俺の嫌いな言葉ランキングにランクインするまである。

 

 

「あっ、でも私、わさびが入っていると食べられないんです!!」

「大丈夫、わさびもお茶も全部セルフサービスだから」

「なんだ~よかったぁ~~」

 

 

 10年ぐらい前は基本海鮮のお寿司にはわさび入りが基本で、タブレット注文の際にわさび抜きを選ぶしかそれを回避する方法がなかったけど、今はどこの店も基本はわさび抜きで提供することが多い。これはわさび抜き注文が多かった結果でもあるし、単純に子供はわさび入りで食べないからな。

 

 

「ちょっとなにこれ!?」

「ど、どうしたのよ真姫?」

「ハンバーグってお寿司が回ってる!?」

「ハラショー!!美味しそうですね!!」

 

 

 そりゃあハンバーグなんて普通はお寿司にしないようなモノだから驚くのも無理はない。多分だけど、回転寿司に来たことがない人が一番驚くポイントはそこでじゃないかと思っている。ハンバーグ以外にも牛カルビやイベリコ豚など、店ごとに違うだろうが肉類を寿司にしている店は多い。

 

 

「でも、どうしてお寿司にハンバーグを乗せているのかしら?」

「それは主に子供をターゲットにしているんだよ。特に小さな子供って海鮮類は食べられないから」

「なるほど……」

「それにうどんやそばなどの麺類や、天丼やうな丼と言った丼モノも揃ってるぞ。これは小さな子供だけじゃなくて、そもそも寿司が苦手な人でも大丈夫ってわけだ」

「なんでお寿司が苦手な人がここに来るのよ?」

「店内を見回してみろ、大勢で来ている客が大半だろ?中には付き合いで一緒に来て、あまり海鮮モノが食べられないって人もいるだろうしな。ほら、俺らで言えば凛とかさ」

 

 

 最近はラーメンを提供している店も多いから、海鮮モノが苦手な凛でもみんなと一緒に回転寿司を楽しめるってわけだ。魚は苦手だけど、ハンバーグなど肉類だったら大歓迎だろうし。

 

 

ピンポーン

 

 

「なにこの音?」

「もうすぐ注文した寿司が来るって合図だよ」

「店員さんが運んでくるんですか?」

「まぁ見てな」

 

 

 俺が指を指したのは寿司が回っているレーンの隣、一段上にあるもう1つのレーンだ。そこに3人の目が集中する。

 

 間もなくして、俺の背後から注文した寿司がレーンに乗って、普通に回っている寿司のスピードよりも数倍ものスピードで流れてきた。それに目を丸くして驚く3人だが、すごいのはそれだけではない。そのスピードで流れてきた寿司は、見事俺たちの席の前でピタッと止まったのだ。

 

 

「「ハラショーーー!!」」

「す、すごいわね……」

 

 

 いつもの反応を見せる2人はいいとして、口だけはいつも毒舌な真姫も今回ばかりはその毒舌すらもどこかに置いてきたようだ。このスピードで、しっかりと注文者の席の前で止まることができるのがすごいよな。皿が止まった慣性で乗っている寿司が飛んでいかないか、無駄に期待していたりもする。

 

 

「本当にピタッと止まったわ!!すごいじゃない零!!」

「すごいのは俺じゃないけど……」

「零さんすごいです!!回転寿司がこんなに面白いものだったなんて!!」

「だからすごいのは俺じゃないから!!落ち着けクォーター共!!」

 

 

 これ絶対に過去KKEと言われていたなんて嘘だろ。今の絵里のどこに賢い要素があったんだ……?外見と精神年齢の差が激しすぎる!!亜里沙は可愛げがあるからいいが……もちろん絵里だってめちゃくちゃ可愛いけどね。なんせ見た目がアダルトなもので……

 

 

「これってどういう仕組みなのかしら?」

「詳しくは分からないけど、皿に仕掛けが施されているらしいぞ。時間が経って新鮮味が失われた寿司は、レーンからはじき出されて自動廃棄されるようになってるしな」

「とにかく今は到着したお寿司を食べましょう!!」

「そうね、お腹もペコペコだし」

「よし、それじゃあ――――」

 

 

「「「「いただきます!!」」」」

 

 

 当然だけど、μ'sと同棲生活を始めてからはみんなと一緒に食事の卓を囲むようになった。いつもは俺と楓の2人だけだったので、大勢で食を共にするのはとても新鮮だ。特に同棲生活中はみんなが毎回交代交代で飯を作ってくれるため、毎日の楽しみの1つとなっている。

 

 

「どうだ真姫?」

「ま、まあまあね!!」

 

 

 そう言いながら誰よりも早く完食してるじゃねぇか!?コイツそんなに食べるスピード早かったっけ!?いつもはお高いお寿司を食べているであろうお嬢様の口に合うかどうかは分からなかったが、この食い終わるまでのスピードを見る限り満足しているようだ。それに気に入ったのか、もう次の皿に手を付けようとしている。相変わらず素直じゃないねぇ~~

 

 

「私はあまりお寿司を食べたことなかったんだけど、日本にはまだこんなに美味しいものがあったのね。また今度来ようかしら」

「そりゃあ回転寿司は日本が世界に誇る食文化なんだ。俺も定期的に食べたくなっちまうよ」

 

 

 絵里も回転寿司を大絶賛。回っていない寿司屋に比べれば辛いけど、こうやって楽しんで食べられるという観点では俺たち高校生には特に向いている。さっきのハンバーグやうどんみたいに、子供でも食べられるモノがあるっていうのも人気の秘訣なのだろう。そもそも値段も違うため、こっちの方が気軽に食べに行きやすいしな。

 

 

「たまご焼き美味しいです♪」

「そ、それはよかった……」

 

 

 亜里沙が寿司を食べる姿を見て、少し変な想像をしてしまう。子供みたいにたまご焼きを食べている亜里沙が微笑ましいというのもあるが、どことなエロさを感じるのは自分だけだろうか。あのたまご焼きを恵方巻きに置き換えて想像してみると分かりやすいかもしれない。

 

 その小さな口で大きな恵方巻きを頑張って加えている亜里沙の姿……ゴクリ。俺の恵方巻きも――ってダメだ!!俺はまた天使を妄想で汚してしまうところだった!!今は楽しい楽しいお寿司の時間なのに!!

 

 

「零くん、上にあるガチャポンみたいなのは何ですか?」

「ああ、あれか。あれは机脇にある投入口に、皿を5枚入れるたびに1回引けるんだ。そうは言っても、当たるか当たらないかは運次第だけどな」

 

 

 寿司を食った後の皿は、こうやってゲーム(タブレットでアニメーションが表示されるだけ)を楽しむためのお金替わりになる。これも子供たちが楽しめる要素の1つだ。家族連れに人気なのはこのおかげでもあるだろう。

 

 

 亜里沙は俺たちの皿を回収して投入口に5枚突っ込んだ。タブレットの画面にアニメーションが映る。さてその結果は――――

 

 

 

 

"あたり!!"

 

 

 

「「「「おぉっ!!」」」」

 

 

 まさか一発であたりを引くとは、俺の日頃の行いがいいおかげだな。でもこれは運じゃなくて、3回に1回ぐらいは当たるようにプログラムされていると夢のないことを言ってみたり。

 

 

「おっ、やったじゃん」

「そのカプセルの中には何が入っているのかしら?」

「えぇ~と……あっ、キーホルダーが入ってました!!」

「さっきレジの隣で売っているのをみたけど、結構種類があるみたいね」

「中にはシークレットとかいう激レアなモノまであるらしいな」

 

 

 

 

「じゃあそれを手に入れるまで、みんなでお寿司を食べて食べて食べ尽くしましょう!!零くんもお姉ちゃんも真姫ちゃんももっと食べて食べて!!」

 

 

 

 

「あ、亜里沙……?どうしちゃったの?」

「意外とこういうことで熱くなるのよ、亜里沙って……」

「マジかよ……」

 

 

 高いテンションがより高いテンションとなった亜里沙。なんか目が燃えているんですけど!?!?

 

 そして激レアのキーホルダーを求め、回転寿司を巡る亜里沙の旅は今始まったのだった……意外と亜里沙ってコレクター!?目の色を変えて『零さんもっと食べてください!!あなたは20皿ぐらいでヘコたれる人ではありません!!』と言われるまで暴走してしまった。自分だけデザートのアイスを食べながら……もう俺、亜里沙の悩み解決するのやめようかな?

 

 

 それから俺は21皿でダウン。真姫は7皿、絵里は8皿、亜里沙は4皿+アイス+パフェ+ケーキと、俺の苦労も知らないで大豪遊してやがった。燃えるとここまで厚かましい奴だとは思ってなかったぞ……ちなみに激レアのシークレットレアは出なかった。何の為に頑張ったんだ、俺……

 

 

 

 

「とても美味しかったです!!また来ましょうね、零くん♪」

「あ、あぁ……そうだな……」

 

 

 俺はお腹がパンパンで気持ち悪くなりながらも、天使のような笑顔の亜里沙を見て、『お前はデザートしか食ってねぇだろ!!』――――と心の中でしか言えなかった……

 

 もしかしたら俺、亜里沙に貢がされるかもな……

 

 




 同棲生活中ですが、たまにはこんな日常回もいいですね。

 ちなみにこの話を書こうと思ったきっかけは、この前自分が回転寿司に行ったというそれだけの理由です。ちなみに回転寿司にいる間にこの話の構成を練っていました。外食中でも小説のことを考える、まさに作者の鏡!!

 今回の回転寿司は提供元を参考に話を組みました。皆さんはどんなネタが好きですか?自分は零君と同じくサーモンが大好きで、回転寿司に行くとそればかり食べてます。ちなみにいつもは10皿ぐらいが限界なのですが、この前は12皿+デザートを食べて吐きそうになってました(笑)


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