ラブライブ!~蓮ノ空との新たなる日常2~   作:薮椿

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 侑とμ'sとの邂逅の後編です。
 今回はμ'sメンバー全員が登場します!


【特別編】侑とμ's(後編)

 見る人が見れば、この光景で卒倒してしまうだろう。そもそもこの人たちと同じ空間にいること自体が普通では叶わないことであり、それ故に私は今とてつもない体験をしているのかもしれない。

 十数分前にお兄さんたちと出会った後、穂乃果さんのご厚意でμ'sの皆さんが集まる食事会にお誘いしてもらった。食事会とは言っても上品な感じではなく、至って普通の居酒屋さんでみんなでワイワイお話するだけの、いわゆる飲み会というものだ。高校生の私には馴染みのないイベントだから新鮮で、大人数で盛り上がって食事もできる空間ともなれば居酒屋は持って来いの場所なのだろう。

 

 飲み会が始まってまだ10分も経ってないくらいだけど、場の雰囲気は既に和気藹々としている。久々にμ's全員が集まるということもあってか話題には事欠かないようで、こうして見ると解散したのが4年前とは思えないほどみんな仲が良い。誰かが入り込む余地のない絆の強さをこうして座っているだけでも大いに感じられた。

 

 だからこそ、私のような部外者がこの場にいるのはどうも場違い感が強い。穂乃果さんたちも、そして他の皆さんもさっきご挨拶した時はとても歓迎してくれたけど、やはり久々の再会の場に私がいていいのかと考えてしまう。

 

 とは言っても居づらいということはなかった。何故なら私の隣にはお兄さんが座っており、飲み会が開始されてからずっと隣にいてくれているからだ。恐らくお兄さんは私が肩身の狭い思いをしていることを察知しており、飲み会開始前に座敷のどの席に座るかを決める時も私を隣に導いてくれた。そしてそれからもずっと隣にいることから、なるべく私の側を離れないようにしてくれているんだと思う。こういう細かい気遣いができるところが男らしいっていうか、歩夢たちが惚れちゃう理由が分かるよね。現に私も慣れない空間だけどお兄さんのおかげで安心できてるから、そういった頼りがいのあるところをサラッと見せつけてくるのは本当にズルいよ……。

 

 全く話は変わるけど、μ'sさんって本当に綺麗な人ばかりだ。歩夢たちとは違う大人の魅力があり、個人個人が輝かしく見えて目が焼けてしまいそうになる。伝説のスクールアイドルっていうバイアスが掛かっているとは言えども、ここまで魅力的な女性たちに未だかつて出会ったことがない。女性である私までも惹きつけられるのだからそのカリスマ性は半端ではなく、巷のスクールアイドルたちが目標とする人たちなだけのことはある。やはりレジェンドの名は伊達じゃなかったか……。

 

 

「なんだかずっと緊張してるね。全く、お姉ちゃんが強引に誘うから……」

「えっ、い、いえっ、あのμ'sさんたちと一緒に食事ができて光栄ですっ!」

「あはは、そんなに畏まらなくてもいいよ。周りが勝手にレジェンドだなんだの持ち上げてるだけで、私たちに一切その気はないから」

「は、はぁ……。えぇっと、雪穂さん……ですよね?」

「あっ、ゴメン自己紹介まだだったね。よろしくね、侑ちゃん」

 

 

 ジュースを飲みながら周りを観察していると、穂乃果さんの妹である雪穂さんが隣にやって来た。私が穂乃果さんに無理矢理誘われたと思っているのか、非常に申し訳なさそうにしている。

 

 

「騒がしいでしょみんな。久しぶりに会えてテンションが上がるのは分かるけど、子供じゃないんだからもっと静かにして欲しいよ」

「私はみんなでワイワイするのは好きですけど、雪穂さんはそうではないんですか?」

「自分で言うのもアレだけどドライな性格だから、賑やかなのは似合わないんだよね。だったらどうしてスクールアイドルやってたんだって話だけど……。今思い返してもあんなにキラキラした自分が自分とは思えないよ」

「そんなことないですよ! 私、雪穂さんのステージ大好きでした! 元気よく力強いパフォーマンスをする穂乃果さんと、しなやかで流れる水のようなパフォーマンスをする雪穂さん。姉妹なのに動きが真逆なのがとてもいいコントラストで、動画で見て声を上げちゃうくらい興奮しましたから!」

「おぉぅ、そこまで見られてるとなんだか恥ずかしいな……」

 

 

 μ'sさんの動画はもう何度も何度も視聴を繰り返してるから、この方たち1人1人のダンスの特徴は全て把握済みだ。最初は歩夢たちのマネージャーとしてライブの勉強をするために動画を観始めたんだけど、観続けてる間にいつの間にかファンになってたんだよね。それだけ視聴者を惹きつける魅力がある人たちがμ'sさんなのだ。

 

 

「もうっ、雪穂だけ侑ちゃんとお喋りしてズルい!!」

「うわっ!? えっと、亜里沙さん?」

「うんっ、絢瀬亜里沙です! よろしくね!」

「ズルいって、別にそっちから喋りに来ればいいでしょ」

「そうそう。天下のμ's様を相手にグイグイ行ける人の方が珍しいって」

「あっ、楓さん! お久しぶりです!」

 

 

 今度は亜里沙さんと楓さんが私のところにやって来た。雪穂さんを含めてこの3人はμ'sでも最年少組であり、しかもそれぞれ穂乃果さん、絵里さん、お兄さんの妹であることから『シスターズ』とも呼ばれている。特に雪穂さんと亜里沙さんは読者モデルとしても活躍するくらい世間では有名で、そんな凄い人たちに囲まれていると思うと改めて恐れ多さを感じるよ……。

 

 

「久しぶり? 楓って侑ちゃんと会ったことあるの?」

「前にウチに来たことがあるんだよ。 でもまさかあの時のひよっこマネージャーがお兄ちゃんの右腕になるなんてねぇ……」

「こら楓、怖い顔しないの。ゴメンね、零君に新しい彼女ができることを快く思ってないだけだから」

「か、彼女じゃないです!! パートナーとか、そういった類ですから!!」

「でもどちらかと言えば彼女よりもパートナーの方が関係が深いよね! 一緒に人生を歩む伴侶みたいだもん!」

「は、伴侶って、そんなのじゃないですって!!」

「へぇ、伴侶ねぇ………」

「楓、だから怖い顔しない!」

 

 

 ブラコンの楓さんにお兄さんの話をするのは地雷だったか……!! なんか物凄く睨まれてるし……!!

 とは言えども楓さんがこうなるのは良くあることなのか、雪穂さんは呆れながら注意してるし、亜里沙さんはスルーしている。もう何年も一緒にいるから対応に慣れてしまっているのだろう。そういった仲の良い関係を見ていると場の雰囲気が和やかな理由も分かる。

 

 それにしても私がお兄さんの彼女になったって誤解、μ'sさん全体に広まっていたのか……。それもこれもお兄さんが曖昧に話したせいなんだろうけど、そのせいで私は恥ずかしいのなんのって。お兄さんと私が恋人同士とか……うぅん、やめよう。例え妄想の世界であっても恋人同士っていいなとちょっとで思ったら負けだから。最初から妄想しないに限る。

 

 

「はいはい。だったらもうお兄ちゃんのところに行こっと」

「なんで楓がやさぐれてるの……。というか零君となら家でも一緒にいられるじゃん」

「どこでも一緒にいたいの! でも穂乃果先輩たちがお兄ちゃんに憑りついて全然隣が空かない……」

「あっ、だったら私が別の席に移動します」

「その必要はないよ。侑ちゃんはゲストなんだから、お客様を立たせるわけにはいかないって」

「そうそう! 私も侑ちゃんとたくさんお話したいもん!」

「わっ、亜里沙さん!?」

 

 

 突然亜里沙さんに抱きしめられる。確かまだ未成年だったはずだから酔った勢いではないと思う。ということはこれが亜里沙さんの素ってことか。凄く暖かくてエマさんに抱きしめられているかのような母性を感じちゃう……。ていうかμ'sのメンバーに抱き着かれるなんてファンだったらこのまま昇天しちゃいそうだね……。いや私も平静を装っているように見えて結構ドキドキしてるけどさ……。

 

 

「あら、早速仲良くなってるのね」

「お姉ちゃん! うんっ、侑ちゃんからお話をたくさん聞きたくって!」

「やっぱり歳が近い方が緊張せずにコミュニケーションが取れるんやね。だとしたらウチらはお払い箱?」

「ちょっと年寄り臭い言い方やめなさいよ! アンタと同年齢の私たちまでババ臭く見えちゃうじゃない!」

「むしろにこっちは亜里沙ちゃんたちと混ざっても違和感ないと思うけど?」

「それどういう意味よ!?」

「ふふっ、希とにこの漫才も久しぶりね」

 

 

 確かこの人たちは絵里さん、希さん、にこさんのμ's最年長組だ。最年長って肩書もあるけど、この中では唯一の社会人組でもあるから大人の女性としての魅力を感じられる。愛嬌の最年少組、色気のある最年長組と言ったところか。まだ高校生の私がこんな素敵な人たちの風貌を語るのはおこがましいけどね。

 

 

「なによさっきからじぃ~っと見つめてきて。ははぁ~ん、さては初対面にして私の魅力に憑りつかれちゃったのね。まあ仕方ないか、この宇宙No.1アイドルを生で見られてるんだから」

「は、はいっ! いつもテレビで見てますけど、にこさんのパフォーマンスにはいつも心を奪われてます!」

「えっ、あっ、そう? さ、さすが私ね!」

「あれぇ~にこっちってば素直に褒められて緊張してるん? こんな身近にファンの子ができて嬉しかったり?」

「大学を卒業してからソロでアイドル活動を始めて、そしてあっという間に地上波デビューだもの。それだけの実力と魅力があれば身近にファンも増えるわよ。これも高校性からアイドルにひたむきだった努力の賜物ね」

「ちょっ!? アンタたち昔みたいにもっとからかおうって気概はないわけ!? いつの間にそんな丸くなったのよ!?」

「えぇっと……仲いいですね!」

「さっきの会話をどう聞いたら仲良く見えるのよ……」

 

 

 からかっても和やかな雰囲気になるのはお互いに仲が良い証拠だと思う。にこさんも心なしか楽しそうだし、こういう遠慮のない関係ってなんか憧れるな。私も虹ヶ咲のみんなとは仲が良い寄りの関係だとは思うけど、まだ出会ってから半年くらいしか経ってないから絵里さんたちみたいな結び付きが強い関係性には程遠い。そう言った意味ではμ'sが伝説のスクールアイドルになったのも、こうした絆の強さがあるからだろう。これは私たちも見習わないとね。

 

 

「そういえば侑ちゃんは零君のどこを好きになったん?」

「す、好きぃ!?!? 私は別にお兄さんのことなんて……!!」

「えっ、そうなん? でもパートナーになるくらいだから好きなところはあるんと違う?」

「えっ、そ、それはぁ……」

「こらこらあまり意地悪しない。でも零のどこを気に入ったのかは私も知りたいかも……」

「四六時中アイツといるのは大変でしょ? しかも一緒にいたらいつの間にか好きにさせられてしまうのがタチ悪いのよね……」

「いやだから好きではないんですけど……」

 

 

 なんかいくら否定しても私がお兄さんのことを好きってことで話が進んでしまう。恐らくこの人たちはお兄さんと一緒にいる時間が長いが故に、お兄さんの隣にいる人=お兄さんを好きだという感情を抱いているって感覚なのだろう。どうやらお兄さんの周りにはμ'sさんや歩夢たち以外にも女性がたくさんいるみたいなので、お兄さん界隈ではその方程式が定義になっているのかもしれない。改めて思うけど、とんでもない人たちのコミュニティに紛れ込んじゃったな私……。

 

 こうして見ると、μ'sの皆さんはみんなでお兄さんとお付き合いしてるのに何も後ろめたいことはないみたいだ。私はただ隣にいる宣言をしただけでこんなに羞恥心を感じてるのに……。私のメンタルが弱いだけ?? それとも他の人たちの常識がおかしいだけ?? お兄さんと出会ってから常識と非常識の境目が曖昧になり過ぎて何が正しいのか分からなくなっちゃうよ……。

 

 

「侑ちゃん?」

「うわっ!? えっ、えぇっと、花陽さん……?」

「大丈夫? 何か考え事をしてたみたいだけど……」

「あんなに質問攻めにされたら誰でも疲弊するわよ。修学旅行の女子会じゃないんだから……」

「でもみんなそれだけ侑ちゃんのことが気になってるってことだよね! こんな可愛い子とお友達になれるなんて、凛も嬉しいもん!」

「真姫さんに凛さん……? ゴメンなさい、気付いてなくて!」

 

 

 ぼぉ~っと考え事をしていたら花陽さんたちが来ていたことに気が付かなかった。どうやら心配をかけてしまったようで、せっかくの再会の場なのに私が空気を壊すわけにはいかないよね。なにか別の話題に方向転換しないと……。

 

 

「お、お兄さんって本当に人気者ですよね。さっきから皆さんにずっと話しかけられてますし……」

「あぁ、あれね。みんな久しぶりに好きな人と面と向かって話をする時間ができたから、そりゃこうもなるわよ」

「みんなって真姫ちゃん自身も入ってるよね? ということは、真姫ちゃん珍しくデレてる!?」

「違うわよ! ただの一般的な見解を述べただけだから!」

「あはは……。でも私も真姫ちゃんの言う通りだと思うな。みんな零君と一緒にいる時間が大好きなんだよ」

「どうしてそこまでお兄さんのことを……」

「好きだから! 凛たちは零くんのことが大好きで、零くんも凛たちのことを好きでいてくれるから! 一緒にいたい理由なんてそれだけで十分だよ!」

 

 

 この無理矢理な主張だけど説得力はある感じ、お兄さんみたいだ……。でも結局本人たちが幸せで周りに迷惑をかけていないのであればそれでいいのかもしれない。

 自分が好きだから、で十分……か。凛さんたちはお兄さんの隣にいることに悩む様子は一切ない。むしろ自分たちから攻めて攻めて攻めまくる。そういった図太さがあれば私も羞恥心で悶え苦しむことはなかったのだろう。

 でも、お兄さんの隣にいると決めたことは後悔していない。そしてお兄さんも私をパートナーだと認めてくれた。だからそれを誇りにしていいのかもしれない。そうすれば恥ずかしがったりすることもなく、他の人から質問攻めにあっても悶えることはないだろうから。恐らくμ'sの皆さんはお兄さんの隣にいることがごく普通の日常で、それが日常と思えるほどお兄さんとの時間を大切にしているんだと思う。私もそんな風に、お兄さんの隣に相応しい人間になれるかな? いや、なるんだ。お兄さんと一緒にお互いにお互いの夢を追い続け、叶え続ければきっと……!!

 

 

「おいお前ら、あまり俺の侑をイジメるなよ。年上たちから尋問され続けたら萎縮しちまうだろ」

「ち、違うよ! 私はそんなつもりなくて、ただ侑ちゃんのことが心配で……!!」

「花陽の言う通り。あなたこそもっと彼女のことを見てあげなさいよ」

「大丈夫だって。お前らと話したことで決意できたみたいだし。なぁ?」

「えっ、あ、はいっ!」

「ん? どういうこと??」

「お前らには関係ないことだ」

 

 

 もしかしてお兄さん、私の悩みに気付いてた? だから私をこの飲み会に誘った穂乃果さんを止めなかったのかもしれない。μ'sの皆さんとコミュニケーションを取ることで悩みを解決できると踏んでたのかな? 

 相変わらずお兄さんには何もかも見透かされているようだけど、そうやって絶えず気にかけてくれているという安心感を抱かせるところが女性に好かれる理由なのだろう。お兄さんは私がμ'sの皆さんと話している時も、自身が穂乃果さんたちに囲まれている時も、結局ずっと私の隣を離れることはなかった。そういうところなんだよね、男らしいところって。そして女性はそういった男性のことを好きになる。もしかして私も自覚してないだけでお兄さんにハマってたりするのかな……。

 

 その後は飲み食いしながらμ'sの皆さんとたくさんお話をした。最初はお兄さんとの関係を根掘り葉掘り聞かれたけど、今度は自信を持って『お兄さんのパートナー』であることをここで再宣言をしたことで誤解は解けたようだ。それから色々吹っ切れたためか私から穂乃果さんたちに話しかけることも多くなり、スクールアイドルのいろはや世間話、お兄さんを相手にする大変さ(この話題が一番盛り上がった)など、非常に充実した飲み会だった。もうお兄さんが隣に座っていなくとも緊張しないくらいにはこの輪の一員になっていたと思う。

 

 

 そして、そろそろ飲み会終了が迫ってきた頃――――

 

 

「侑ちゃん」

「穂乃果さん。ことりさんに海未さんも」

「すみません。想像以上に騒がしくなってしまって……」

「いえいえ! 楽しいから全然OKです!」

「あっ、侑ちゃんいい笑顔になったね! ことりたちと会ってから緊張しっぱなしみたいだったから心配してたんだ」

「うんうん、だから飲み会に誘ってみたんだけど、余計に緊張させちゃったかな?」

「そうですね。最初はこんな凄い人たちの中にいていいのかとか、お兄さんとの関係を突っ込まれて恥ずかしかったんですけど、皆さんとお話したことで吹っ切れました。お兄さんとの関係をもっともっと深くして、お兄さんの隣が誰に見られても恥ずかしくないくらい誇りのある居場所になるよう頑張ろうって」

「おぉっ、凄いはこっちのセリフだよ! 私も流石にそこまで考えたことはなかったなぁ」

「零の周りにはそういうストイックさを持つ女性はいないので、だからこそ彼はあなたを気に入ったのかもしれませんね」

 

 

 お兄さんに相棒と唯一認められた存在だって思うとちょっと嬉しくなっちゃうな。これだけ魅力的な女性が周りにたくさんいるのに、私を選んでくれたという特別感。うん、悪くない。って考え方もお兄さんに似てるから、確実に染まっちゃってるなぁ私……。

 

 ちなみにさっきの会話から穂乃果さんたちも私に悩みがあると悟っていたらしい。お兄さんもそうだけど、μ'sの皆さんも鋭いよね。これだけ人を気遣えるのも年の功ってやつなのかな?

 

 

「おい侑、夜も遅くなってきたけど時間は大丈夫か?」

「あっ、お兄さん。はい、今日は大丈夫です」

「とは言っても1人で帰らせられねぇから送ってくよ」

「さっすが零くん紳士的♪」

「うるせぇ普通のことだろ」

「ふふっ、そうですね。お兄さんにとっては普通のことですもんね」

「なに笑ってんだよ……」

「いえ、やっぱりお兄さんはお兄さんだなぁっと思って。よしっ、それではお言葉に甘えさせてもらいますね!」

 

 

 こんなお兄さんだからこそ隣にいたいと思ったのだろう。だからお兄さんの隣にいることは恥ずかしくない。むしろこの人だから、この人の隣じゃないとダメなんだ。それくらいの強い想いを抱いているのだから胸を張ろう。羞恥を感じる必要も、悩む必要もない。お兄さんの隣にいることに自信を持て、私!

 

 そして色々吹っ切れたからか心も軽くなったような気がする。だったらここからはいつも通りいかせてもらおうかな。

 

 

「というわけで飲み会の代金、お兄さんよろしくです!」

「はぁ? どうして俺なんだよ!?」

「ここは男らしいところを見せるべきじゃないですか?」

「うわぁ~そういう『男が払って当たり前』と主張する女が一番嫌われるんだぞ」

「でもお兄さんは私のことを嫌いになったりしませんよね? なんたって相棒なんですから」

「…………お前、段々俺と思考回路が似てきてないか?」

「それもこれもみ~んなお兄さんのせいですよ♪」

 

 

「零君と侑ちゃん、とっても仲良いね!」

「微笑ましい夫婦漫才でずっと見ていられるよ~」

「えぇ。これならこの先も良い関係を保っていけるでしょう」

 

 

 やっぱりお兄さんと何気ない会話をしている時が一番楽しいかも。これでようやくお兄さんの側にいるという自覚が生まれた気がするよ。もう恥ずかしがったりすることはない。

 

 こうして私は、本当の意味でお兄さんと隣に立ったのであった。 

 




 零君の隣に立つことに恥ずかしさを感じていた侑ですが、今回μ'sとの交流もあって本当の意味で彼の隣に立つ決意をしました。これで侑の物語も一旦は区切りとなります。

 そして虹ヶ咲編もこれにて本当に終了となります。来年の春に2期が控えており、アニメには新キャラも登場するのでこの小説でも登場させられたらなぁと思っています。ただ放送に合わせて投稿するかは未定なので、虹ヶ咲編の続きが投稿される時期は気長にお待ちください!
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