ラブライブ!~蓮ノ空との新たなる日常~   作:薮椿

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 お待たせしました!

 今回は同じラブライブ小説『ラブライブ!平凡と9人の女神たち』の作者様である、ちゃん丸さんとの合同企画となります!

 さてコラボ小説の内容ですが、μ'sとの絡みというよりかはこちらの主人公である零君と、向こうの主人公である達也君の絡みを中心にしているので、そこら辺の掛け合いを楽しんでもらえればと思いっています!


 ちなみ設定としては、『新日常』の設定(全員の学年が1つずつ上)を使用しているのでちゃん丸さんのコラボ小説とは若干設定が違うのでご注意ください。


【特別コラボ企画】零の達也変態化計画!?

 

「さて達也、これからどうしようか……」

「お前の姉さんの仕業だろ……」

「俺は人間、アイツは異星人、そこのところOK?」

「はぁ~……そんな冗談言っている場合じゃないだろ」

 

 

 はい!!またしても俺たちは秋葉の罠に引っかかってしまいました!!ハハハハハハ!!ハハハ……はぁ~……

 簡単に今の状況を説明すると、俺が達也で達也が俺になっている。つまり身体はそのままで中身が入れ替わっているってやつだな。実は以前同じことが穂乃果と海未の間で起こったことがあり、その時はいかにも怪しい機械だったので今後はそれに警戒をしていたのだが、今回ばかりは手口が巧妙だった。

 

 部室に置いてあったのは2つのスマートフォン……に擬態したアイツの発明品。俺と達也がそれぞれそのスマートフォンに触れてしまったせいで、俺たちの精神だけが入れ替わってしまった。全く、どんな改造をしたらこんなことができるんだよ……

 

 

「おい零、こっちのスマホの画面が映ったぞ」

「ん?通話中になってる、いつもみたいに文字表示じゃないのか」

 

 

 いつもだったら画面に煽りの文を含めた文字を流すのに、今回はご丁寧に向こうから挨拶に来たってわけか。俺たちがあっさりと罠に引っかかってさぞご満悦だろう。でもμ'sのみんなの身代わりになったと思えばそれはそれで安心できる。怒りは収まらないが、今はそれで喜んでおこう。そうしなければ精神が持たない。

 

 

『はろ~♪零君、達也君♪調子はいかがかね?』

「よくないですよ!!どうなってるんですかこれ!?」

「御託はいい。元に戻る方法だけを教えてサッサと消えろ」

 

 

 相変わらずコイツは人を苛立たせるのだけは一級品だな。ここまでウザイ声で人を煽ることができるコイツの能力、もう一周回って俺にも習得させて欲しいと思ってしまう。どうして俺の姉妹はこうも対人間に特化した生物なんだよ……

 

 

『まぁそうカッカなさんな♪この放課後さえバレずに切り抜ければ元に戻るから☆』

「イマイチ信用できないんですけど……」

『信用してもらえないならそれでも結構!!一生元に戻れなくなるだけだからね♪』

「鬼かあなたは!!全然面白くもなんともないですよ!!」

『えっ、私は面白いよ?』

「えぇ~……」

「やめろ達也。コイツに付き合っていたら俺たちが先に野垂れ死ぬぞ」

 

 

 秋葉から繰り出される煽りボキャブラリーは決して尽きることがない。電話越しでもこの威力、実際に対面した時の恐ろしさは、あの台風の目と言われた楓の怯え具合を見れば分かってもらえるだろう。スルーしておくのが精神衛生上最も都合がいい。

 

 

「ちなみに、バレたらどうなる……?」

『それはバレてからのお楽しみだよ♪ウフフフフフ……』

「こわっ!!電話越しからでも黒いオーラ伝わってくる……!!」

「それが秋葉の特性だからな」

『お互いのポジションが入れ替わってるんだし、たまには違う目線でμ'sのみんなを見てみたら?それじゃあ健闘を祈る!!ばぁい♪』

 

 

 秋葉は最後にそれらしい適当な理由を付けて通話を切りやがった。

 今回は爆発するようなオチではないと思うけど、用心することに越したことはない。このスマホは一応誰の手にも届かぬよう俺の手で封印しておくか。これでまた誰かが入れ替わろうものなら、本格的に誰が誰だか分からなくなってしまう。

 

 

「どうする零、みんなにこのことを伝えるか?」

「いや、秋葉の言っていることは嘘かもしれないけど本当かもしれない。別に男同士で入れ替わってるんだ、そこまで不自由はないだろう」

「すごく冷静だな。俺はお前がこれほど頼もしい奴だと思ったことがないよ」

「まぁ、幼少期からアイツに色々仕込まれていたしな……」

 

 

 そもそもアイツの下で育ってきたのにも関わらず、今生きていること自体が奇跡に等しい。流石のアイツも人を殺めるようなモノは作らないだろうが、基本自分が楽しめればいいというスタンスだから危険なことに変わりはない。

 

 

「それにだ!!俺になったということは、変態行為が合法的にできるってことなんだぞ!!」

「合法的ってなんだよ!?お前いつもそれで制裁食らってるだろうが!!」

「でもバレないようにするには変態行為をするしかない!!俺が変態行為をしていなかったらそれこそ怪しまれるぞ。だから見せてもらおう、お前がμ'sのみんなをどれだけ愛しているのかを!!愛しているのなら変態行為もできるはずだ!!」

「楽しそうだなお前……」

「楽しまなきゃこんなのに付き合ってられるか!!」

「不本意だけど仕方がないのか?でもバレたら何が起こるか分からないしな……」

 

 

 実は達也の奴、合宿にマイカメラを持参して水着姿のμ'sを盗撮していたという前科がある。しかもにこと凛だけは避けて……やっぱりどんな男も女の子のおっぱいに目が行ってしまう変態なんだよな。達也にも変態の素質は十分にあるということだ。

 

 

「おっ、穂乃果たちの声が聞こえてきたぞ!!準備はいいな達也!!」

「じゅ、準備!?まず何をすればいい!?」

「とりあえず穂乃果に抱きついとけ。そしてお前が変態だと思うセリフを言ってみろ」

「お前……俺で楽しんでないか?」

「さぁね♪ほらアイツらが来るぞ!!」

 

 

 俺からみんなにセクハラできないのは残念だけど、ここは親友の勇姿をしかと見届けてやろう。達也!!今までお前が溜めてきた欲求をさらけ出す時だ!!男なら、やらねばならない時が絶対に来る!!そう、今がその時だ!!俺にお前の欲望を見せてみろ!!

 

 

「零君、たっちゃん!!遅くなってゴメン!!」

「掃除に意外と手間取ってしまいまして……」

「ついでに生徒会の書類も運んでたからね」

 

 

 まずは3年生組の穂乃果、海未、ことりが部室にやって来た。第一の標的はコイツらだ!!今から達也にヤられるとも知らないで、ノコノコと部室に入ってくるとは不注意過ぎるな。また俺が調教してやらねぇと……

 

 

「あれ?零くんもたっくんもどうしたの?」

「やけに静かですね」

「さっきから2人共黙っちゃって……もしかして喧嘩!?喧嘩はダメだよ!!」

 

(おい達也!!あらぬ誤解が生まれているぞ、早くやれ!!)

(このままだと穂乃果たちを悲しませてしまう……零の思惑に乗るのは癪だけど、やるしかない!!)

 

 

 俺と達也はアイコンタクトで会話をしている。それだけでも通じ合えるのは変態ゆえのシンパシーだな。

 

 そして遂に決心が着いたのか、俺となっている達也は穂乃果にどんどん近づいていく。口を軽くパクパクさせていることから、穂乃果を抱きしめてどんな変態語録を言うのかをシミュレーションしているのだろう。くくく……黙って見ているだけでもおもしれぇええええ♪

 

 そして俺となっている達也は穂乃果の目の前に到着し、そしてそのまま彼女を抱きしめた。

 

 

「れ、零君!?そっちから抱きついてくるなんて珍しいね!?」

 

(や、柔らかい!!穂乃果の身体すごく柔らかい!!女の子ってこんなにも抱き心地がよかったのか!?これは零がセクハラをする気持ちが何となく分かったような気がする。全身に伝わる温もり、女の子特有のいい香り、これはクセになる!!)

 

 

「ほ、穂乃果!!」

「は、はい!!」

 

 

 ウブかお前ら……ことりも海未も目を丸くして驚いてるぞ。俺はそんなことではキョドらないっての。でもそんな達也からどんな変態語録が飛び出すのか、見せてもらおうじゃねぇの。

 

 

「穂乃果、お前の胸……また大きくなった?」

「えっ!?う、うん!!少しだけね♪」

 

 

 変態初心者かお前は!!俺がいつも言っているありふれたセリフを言いやがって!!そこは『ちょっと小腹が空いたから、穂乃果のほむまん(意味深)でも頂こうかな?』ぐらい言えよ!!くくく……でも笑いがとまらねぇ!!腹が痛くなってきやがった!!

 

 

(零の奴……後ろを向いてるけど笑ってるのバレバレだからな!!こっちはどれだけ恥ずかしい想いで言ったと思ってるんだ!!)

(いやぁ悪い悪い!!あまりにもお前がキョドってるからな)

 

「零、私の目の前でそのようなことをするとは……いい度胸ですね?」

「い、いや海未……これはだな」

「ん?れ、零君……?もう離しちゃうの?」

「あら?今日は意外と聞き分けがいいですね。頭でも打ちましたか?」

「ヒドイな!!これがいつもの……お、俺なんだよ!!」

 

 

 おいおいもう穂乃果を離しちまったのか!?あのまま抱きしめ続けないと俺じゃないってことがバレるだろうが!!それに相変わらず海未に怒られるとドMになって縮こまるんだから……でもそれもそれで面白いけどな!!

 

 

「たっくん……?さっきから後ろを向いてどうしたの?具合でも悪い?さっきからずっとお腹抱えてるよ」

「別になんともないぞ。今日も零がバカなことしてるなぁって思って」

「そう?でも本当に具合が悪かったら言ってね?」

「あぁ、ありがとうことり」

 

 

 達也となっている俺だが、正直アイツを演じるのは俺にとって造作もない。だってどこを取っても平凡野郎なんだから、極めて普通の男子高校生になっていればそれでいい。俺のことは置いておいて、問題はアイツだ。この調子で残りのメンバーも騙し続けられるのだろうか?

 

 

「こんにちは~♪」

「お疲れ様です」

「あっ、お兄ちゃん先に来てたんだ♪」

 

 

 次に入ってきたのは亜里沙、雪穂、楓の1年生組だ。この流れで都合がいいのか悪いのか、どちらにせよ達也の内心はビクビクだろう。でもこの俺がしおらしくしていたら逆に不審な目で見られるかもしれない。しょうがねぇ、コイツらも騙すしかないようだな。

 

(達也!!亜里沙だ、次は亜里沙を狙え!!)

(馬鹿言え!!天使にセクハラなんてできるわけないだろ!!)

(亜里沙や雪穂はいいが、楓は察しがいい。このままだとアイツにバレちまうぞ!!)

(くそっ……もうどうにでもなれ!!)

 

 

 達也が亜里沙の方へ向き直った。やるのか……?ついに天使に手を出してしまうのか!?普段可愛がっている後輩にどう手を出すのか!?少なくとも今後俺への風評が乱れることだけはやめてくれよ。もう乱れてる?そんな馬鹿なぁ~~♪

 

 

「亜里沙!!」

「は、はい!!なんでしょうか零くん!?」

 

 

 なんでいちいち名前を呼ぶんだよ……それにしても俺となった達也が亜里沙に近づいた瞬間、雪穂の目が鋭くなりやがった。もう俺って亜里沙に近づくだけで雪穂に怒られるのかよ……後輩を可愛がれないなんて厳しい世の中になったもんだ。女子高校生の1人や2人手を出せないなんて……

 

 そして達也は亜里沙の脇の下に腕を通して、ギュッと抱きついた――――って穂乃果の時と全く同じじゃん!!少しはパターン変えろよ!?これだから日常的にセクハラをしていない奴は!!見てられないけど達也の姿じゃあ動けねぇ!!

 

 

「れ、れ、零くん……!?」

 

(こ、これは!?抱き枕かなにかか!?穂乃果もそうだったけど、亜里沙からはそれ以上にあま~い匂いがする!!しかも俺の身体にすっぽりと収まる超ピッタリサイズ!!こんな抱き枕だったら全財産注ぎ込んでも買ってしまうぞ!?)

 

「やっぱり亜里沙の目は綺麗だな。吸い込まれそうだよ!!む、胸も大きいし言うことなしだな!!」

「えっ……あ、ありがとうございます」

 

「「「「「……」」」」」

 

 

 下手くそぉおおおおおおおおお!!胸のことを言うなら序盤の目のくだりはいらん!!女の子は一直線に褒められるのが好きなんだ!!だから『またおっぱい大きくなった?ちょっと先輩が揉んで確かめてあげよう♪』ぐらいじゃないと喜ばないって!!しかも穂乃果たち無言だし!!このままだとバレるぞ?亜里沙もいつもと違う俺に少し戸惑ってるし……

 

 あ゛ぁあああああ!!自分で自分の姿を見ているから俺にもダメージが来る!!あまりにも俺の姿をした達也がウブだから来るもどかしさのダメージと、単純に面白くて腹に来るダメージ両方だ!!

 

 

(零……お前笑ってんじゃねぇよ!!)

(達也が変態初心者過ぎて笑えるんだよ!!くくく……)

(元に戻ったら絶対にシバく……)

 

「達也、さっきから部室の隅っこで何をしているのです……?」

「たっくんやっぱり具合悪いの?」

「気にすんなって!!それより零を亜里沙から引き剥がさなくていいのか……?」

 

 

 危ない危ない……俺はあまり目立つような行動を避けた方がいいな。でもこの全身から込み上げてくる笑いをどう発散したらいい?もういっそのこと達也の格好でアイツの変態行為に参加しても面白いかもしれない。そうしたらピンクの雰囲気と喘ぎ声が漂う卑猥な空間になっちまうな。

 

 

「ねぇお兄ちゃん♪」

「な、なんだ楓?」

 

 

 ヤバイ!!達也(俺の姿)が楓に目を付けられた!!もしかしてさっきのやりとりで全部バレちまったのか!?達也、死んでもいいからこの状況を切り抜けろ!!骨だけは俺の庭に埋葬してやるから!!

 

 

「昨日私が作ったハンバーグ、どうだった?」

「えぇ~っと、それは……」

 

(そういえば、零は楓が作る飯は超美味いって言ってたな……じゃあここで答えるべきは!!)

(そうだそれでいい、昨日の晩飯はハンバーグだったからな――――って、ん?違う、待て!!これは罠だ!!)

 

「あぁ美味かったよ。最高だった!!」

「ふ~ん……」

 

 

 こ、これは……確実にバレた!!確かに俺たちの昨日の晩飯はハンバーグだった。だけど問題はそこじゃない、昨日晩飯を作ったのは俺だ!!楓は作っていない!!完全にカマをかけられた!!

 

 でも時すでに遅し……楓は達也(俺の姿)を見てニヤニヤしている。もう完全にバレたな――――ってアレ?バレたのに何も起こらない……やっぱり秋葉の虚言だったか。でも面白いからこのまま続けさせよう!!達也はバレたことに気がついていないみたいだし♪

 

 

「達也せんぱぁ~い♪」

「な、なんだ楓?」

「昨日のハンバーグ美味しかったんですよぉ~♪わ・た・しが作ったハンバーグ♪」

「そうか……そりゃあよかったな」

「はい♪私の愛をたぁ~ぷりと込めましたからねぇ~~」

 

 

 コイツ……明らかに俺が達也になっていると分かってて言ってやがるな。でもそれを穂乃果たちに言わない辺り、恐らくコイツもコイツで楽しんでいるのだろう。もうこなったらヤケだ!!達也に変態初心者を脱却させるため、無理矢理演技を続けさせてやる!!

 

 

「よ~し!!やっと練習だにゃ~!!」

「遅れてゴメンなさい!!」

「あら、もうみんな集まっているのね」

 

 

 次に部室へ入ってきたのは凛、花陽、真姫の2年生組だ。1年前から俺の変態行為を受けてきたコイツらなら、もうセクハラされることには慣れているだろう。だから達也が変態初心者を脱却するためのいい礎となる。ここで狙うべきは……花陽だといい声が聞けそうだけど難易度が低いな。凛もあまり抵抗しないから、達也のいい反応が見られないい。だとしたら……

 

 

(達也、次は真姫だ!!アイツのツンデレを乗り越えてこそ真の変態になれるぞ!!)

(まだ続けるのかよ!?それに俺は変態になんてなりたくない!!)

(もう変態の領域に足を突っ込んだ時点で辞めることなんでできないんだ、諦めろ。それに女の子の身体に興味がないことはないだろ?しかもあのμ'sのみんなの身体だぞ?)

(…………ま、まぁ多少はある)

(よし決まりだ、行ってこい!!)

 

 

 男なら女性の神秘に憧れないはずがない。達也、お前の抱いているのは決して欲望に塗れた想いじゃない。人間として、いや生物としてごく自然な欲求なんだ。だから恥じることはない。そんな羞恥心や罪悪感などを捨てた奴だけが変態への道を開拓することができるんだ!!だからお前も俺の境地へと辿り着いてみせろ!!

 

 達也は真姫の元へカツカツと近づいていく。ていうか、また同じパターンなの?たまには後ろから抱きついて、ガバッと胸を揉むぐらいはしていいんじゃねぇの。このμ'sに対する愛情表現の方法が、俺と達也の違いなのかもな。アイツは優しくソフト、俺が激しく濃厚。

 

 

 そして達也は真姫の後ろからガバッと覆い被さるように抱きついた。お前の認識では、セクハラ行為=抱きつくことなのかよ……欧米に行ったら大変だな。

 

 

「真姫!!」

「な、ななな、なによ急に!?」

 

(普段からお嬢様気質全開の真姫を、こうして俺の手で好きにできるなんて!?ちょっとばかりゾクゾクしてきた……あの真姫を俺が手篭めにできるのか。零の変態行為を認めたくないけど、この背徳感は堪らないな)

 

「お前、やっぱりいい胸してるよな。大き過ぎず小さ過ぎず……まさに美乳。惚れ惚れするよ!!」

「な゛っ、あっ、な、なによ……別にそんなことを言われたって嬉しくもなんともないんだから!!」

 

 

 おっ、真姫の奴顔真っ赤にして喜んでるじゃん。ツンデレの『嬉しくない』は『嬉しい』ってことだからな。ここまで来て達也もある程度できるようになってきたじゃないか。

 でもさっきから女の子の胸ばかり褒めすぎて、セリフがマンネリ化しているぞ。なにも女の子の魅力をおっぱいだけじゃない。例えば真姫ならその綺麗な脚!!特に太もも!!それを『舐めさせて』と言えるようになれば真の変態だ!!

 

 

「今日の零くん……なにかおかしくないかにゃ?」

「そうだね、開口一番にあんなことをいう人じゃないと思うけど……達也くん、何か知ってる?」

「変態行為に理由なんていらない。そこに女の子がいる、それだけで十分なんだよ」

「達也くんもおかしいにゃ!?」

 

(あぁ……凛と花陽にまで誤解されてる……)

(ドンマイ☆)

(お前なぁ……でも俺がここまでやってるんだ、お前もバレないようにしろよ)

 

 

 ゴメン達也!!もう楓にはバレてる!!なぜ公にしないのかは分からないが、とりあえず見逃してくれているのならこのまま続行するしかない。もうみんな揃いつつあるし、変態初心者脱却の修行ももう時期終わるだろう。

 

 

「達也君」

「ん?どうした雪穂?」

「なんか今日の零君おかしくないですか?いつもとは違ってセクハラ発言がぎこちないというか……慣れてないって感じがしますけど」

「しょうがないだろ、初心者なんだから」

「はぁ……?」

 

 

 俺たちとμ'sのみんなのイチャコラ具合は、達也がノーマルだとしたら俺はアブノーマル。それが絶対領域なのだが、達也はその領域を今乗り越えようとしている。この世界にまた1人、変態仲間が増えるのは喜ばしいことだ。大いに歓迎してやろう!!

 

 

「にっこにこにーー♪の矢澤にこ、ただいまご到着よ♪」

「にこっち、今日は随分とやる気やね。さっきの講義までは抜け殻みたいやったのに」

「だったら私たちも負けないようにしないとね♪」

 

 

 最後に大学生組である、にこ、希、絵里のご来襲。さぁ達也、お前がこれまでに培ってきた変態行為と変態語録を駆使して、大学生どもを手篭めにする時だ!!年上にこそ力を発揮できれば本物の変態だぞ!!

 

 

(絵里だ、最後に絵里を狙うんだ!!)

(待て待て!!まだにこや希の方が難易度は低いだろ!!なぜ変態否定派の絵里を標的にするんだ!?)

(お前……自ら難易度の低い方を選んでどうする。変態ってのはいつの日も困難を乗り越えなければ成立しない。セクハラするにもある程度の勇気と覚悟は必要だろ?つまりそういうことだ)

(マジかよ……)

(絵里のおっぱいはな、大きくて柔らかいぞ)

(な゛っ!?ほ、本当に!?)

 

 

 おっと!!達也のマインドが揺らいでるぞ!!やっぱり女の子のおっぱいが嫌いな男なんていないんだ!!どれだけ平静を装っていても、女性の神秘を目の当たりにすればそんな理性なんて一発で崩れ去る。男なんて所詮そんなものなんだよ。

 

 達也は最後の決心を固めたのか、今度はそっと絵里の"後ろ"に回り込んだ。やっとワンパターンから解放されたか。女の子だって同じプレイばかりじゃ飽きてくるだろうから、たまには別の攻め方をしてみるのも一興だ。これ、変態上級者からの豆知識な。

 

 

「絵里!!」

「きゃあっ!!零!?」

 

 

 おおっ!!アイツ、後ろから思いっきり抱きつきやがった。その勢いと潔さを見る限り、もうほとんど俺と全然変わらない変態さだ。自分の親友がここまで成長してくれて俺は嬉しいよ!!さて、あとはどんなセリフを吐くかだが……

 

 

(確かに柔らかい!!今腕で絵里の胸を押し上げているけど、実際に手で揉まなくてもその大きさ、形、柔らかさ、すべての要素が俺の腕を通して伝わってくる!!こ、これが女性の神秘……零が伝えようとしていたのはこれか!!今だけはアイツを認めざるを得ない!!)

 

 

「え、絵里はやっぱりスタイル抜群だな!!いつもいつもその身体に目が行ってしまうよ。練習中に胸が揺れているところがエロいっていうか、女性の神秘を感じられてすごく感動する!!さらに料理も上手で家庭的、まさに男として理想のお嫁さんだ!!」

 

「「「「「「「「「「「「……」」」」」」」」」」」」

 

 

 ちょっと待ってくれ……いいセリフだが、もはやそれは告白だぞ!?!?みんな口を開けて唖然としてんじゃねぇか!!どうするんだよこの空気!?こんな時こそ達也となった俺がなんとかしないと――――って、いつもの達也だったらどう乗り切っていた!?ダメだ、肝心な時にコイツに成りきれない!!

 

 

「ちょっとちょっとなにさっきの告白!?穂乃果にはあんなに熱い言葉掛けてくれなかったのに!!」

「ことりにも!!ことりにも同じこと言ってよ!!」

「凛も凛も!!絵里ちゃんだけズルいにゃーー!!」

「それだったらにこにも言いなさいよ!!」

 

 

「えぇっ!!待ってくれ!!俺はただ零が言いそうなことを慎重に選んでだな……」

「おい馬鹿、名前を言うなって!!あっ……」

 

 

「待って下さい。さっきの会話、どこかおかしくなかったですか……?」

 

 

 海未の言葉に、騒ぎかけていたμ'sの面々が一斉に押し黙った。みんなは『確かに……』と言わんばかりの顔で首を傾げている。海未や真姫は『もう分かった』ような顔をして達也の姿になっている俺を睨みつけてきた。楓は腹を抱え、声が漏れないよう口に手を当て大爆笑している。楽しんでるな、アイツ……

 

 そして遂に真姫が口を開いた。

 

 

「達也、零。もしかしてあなたたち……入れ替わってる?」

「はぁ?んなわけねぇだろ……どこに証拠がある?なぁ零?」

「あ、あぁそうだな、そうだよ……ははは」

 

 

「残念だけど、もうはっきりとしています」

 

「はい……?」

 

 

 どうやら海未は確信を持っているようだ。でもここで引けば入れ替わっていること認めることになってしまう。不本意だけど海未の言葉に耳を傾けるしかない。ある程度のポーカーフェイスを保っているつもりだが、達也……汗かいてるぞ。やっぱり女の子に責められることには弱いんだな。この天然タラシドM野郎め……

 

 

「2人は気づいてないかもしれませんが、実は口調が少し違うところがあるんですよ」

「なんだと……?」

「達也君は割と普通の喋り方、言い換えれば標準語に近いです。でも零は違う。例えば『○○じゃない』を『○○じゃねぇ』、『○○なわけがない』を『○○なわけねぇ』といった感じに、たまに汚い言葉遣いになることがあるんですよ」

「俺って話し方綺麗だったんだ……」

「俺よりかはってことだろう」

 

 

 海未の指摘が的確だったというか、自分の知らない特徴を知ったため素直な感想が口から出てしまった。意外と気づかないもんだなぁ~喋り方って。裏を返せばμ'sのみんながしっかり俺たちを見てくれているということだ。それはそれで嬉しかったり。

 

 でも今は……

 

 

「じゃあたっちゃんが零君で……」

「零くんがたっくんってことだね♪」

「さぁ、そろそろ覚悟はいいですか2人共……」

 

 

 これは……まさか伝説のあのオチでは!?3年生組の怒りが次第に強くなってきている!?でもセクハラしてたのって、俺じゃなくて達也じゃね?俺、今回はワルクナイヨ……

 

 

「花陽も……今日はお遊びが過ぎると思います!!」

「零くんはもちろんだけど、まさか達也くんまでエッチだとは思わなかったにゃ……」

「達也までみんなにセクハラをしてたなんてね……」

 

 

 あの温厚な花陽にまで怒られるとは!?達也が暴走したせいだぞ!!だから俺だけは見逃してくれないかなぁ~~なんて思ったり……無理ですか?

 

 

「お兄ちゃん、私にバレてもなお騙し続けるなんて度胸あるねぇ~♪たっちゃん先輩もご愁傷様でぇ~す♪」

「た、達也さんだったんですね。抱きついたのは……は、ハラショーーー!!」

「2人共最悪です……見損ないました、軽蔑します、この変態魔人」

 

 

 楓の奴、"たっちゃん先輩"なんて呼び方で煽りを入れるんじゃねぇよ!!そして顔を真っ赤にする亜里沙に、俺たちをゴミのような目で見る雪穂。特に雪穂の罵倒ボキャブラリーがまた火を吹いている。

 

 

「さっきの告白は嬉しいけど、よくよく考えればただのセクハラ発言よね……」

「零君はいつものことやけど、たまには達也君をイジメるのもいいかも♪」

「さっきの告白、にこにもう一度言いなさいよ!!」

 

 

 怒りと喜びを顕にする大学生組。希はここ最近で一番いい顔をしている。そして1人だけ論点がズレているロリっ子。セクハラされるのはいいのかよ……

 

 

「よし達也、今までセクハラした分みんなにやられてこい!!」

「なぜ!?!?」

 

 

 

 

「「「「「「「「「「「「どっちも悪い!!!!」」」」」」」」」」」」

 

 

「「はい……」」

 

 

 

 

 そしてそこから俺たちの記憶は消え、気づいたらμ'sの練習は終わっていた。

 最近殴られることが多いような気がする。別に俺はμ'sのみんなにボコボコにされたいM体質じゃないよ、達也じゃあるまいし……

 

 

 ちなみに身体はあのあとすぐに戻った。すぐに戻るんだったらあんなに頑張らなくてもよかったんじゃあ……でも変態初心者の達也が面白かったから別にいいか!!アイツも貴重な体験ができてさぞ嬉しかっただろう。伝説のオチも体感できたしな……

 

 

 

 

~※~

 

 

 

 

~舞台裏~

 

 

「お兄ちゃんもたっちゃん先輩も災難だったねぇ~~私の人生で一番の大爆笑だったよ♪ありがとう!!楽しませてもらったよ♪」

「確かに大変だったが、達也のウブさは本面白かった!!本当に腹がちぎれるかと思ったぞ!!今思い出しても笑いが……くくく」

 

「やっぱりお前ら神崎兄妹に関わるとロクなことがない!!もう帰る!!」

 

 




 いかがだったでしょうか?ちゃん丸さんの小説はアニメの展開通りにクソ真面目(褒め言葉です!!)に進行しているので、こちらは自分の小説らしく"変態さ"を追求してみました。追求した結果、達也君には零君がいつもμ'sにしているセクハラ行為と、この小説では定番の"いつものオチ"を体験してもらいました(笑)

 実はコラボ小説を執筆するに辺り、一番書きたかったのは達也君と楓の絡みだったりします。実際に書いてみると絡みは少なかったのですが、個人的にはこの2人が巡り合えただけでも嬉しかったです!

 この場をお借りして、ちゃん丸さんには多大な感謝を!!ありがとうございました!
始まりはTwitterでのおふざけの流れ(煽り文あり)からの提案だったのですが、快く引き受けてくださって変に舞い上がっていました(笑)
こちらの小説の投稿と同時に向こうの小説も投稿されるので、これほど自分の小説投稿が楽しみと思ったことはありません!

 ただし1つ謝らなければならないことがありまして、それは達也君を変態に仕立て上げてしまったことですかね(笑)
ここまで別作品の主人公を無下に扱う小説はないと思います。それがこの小説『新日常』なんですけどね!


 それではまた次回!!次は今回の変態回と雰囲気がガラリと変わる、亜里沙の個人回の予定です。


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