ラブライブ!~蓮ノ空との新たなる日常2~   作:薮椿

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性なる夜と性なる幽霊(前編)

 12月に入ってクリスマスも近くなってきたとある日、今日も今日とてスクールアイドルの練習をしていた。冬の寒さが本格化してきて日が落ちる時間も早いため、練習をするにはあまりいい季節ではない。世間ではもうすぐクリスマスで浮かれ気分になってるけど、外で練習しているかのんたちにとっては寒さと下校時間の早まりによる練習時間の短縮で厳しい環境となっていた。そういった意味では冬の夜ってのはいいことがねぇな。俺も早く家に帰ってこたつむりになりてぇよ。

 

 そんな中、恋から身体の芯から燃え滾らせるような事件が――――

 

 

 

「「「「学校に幽霊が出る!?」」」」

「またかよ……」

 

 

 恋が語った結ヶ丘幽霊騒動に、かのんたち4人は目を見開いて驚いた。どうやら生徒会で議題に上がったらしく、最近生徒たちの間で噂になっているらしい。事の詳細は聞いたことはないが、ぶっちゃけた話またくだらねぇ勘違いか何かだろうよ。

 

 そう、また。音ノ木坂、浦の星、虹ヶ咲と、俺の行く先々で毎回幽霊騒動だの怪現象だの起こっているからもはや恒例行事なのか? 確かに学校には怪談話が付き物だけど、ここまでお約束を守られると何か仕込まれている気がしてならない。別にただ俺の運が悪いからなんだろうけど、毎回毎回巻き込まれるから面倒なんだよな。社会人になってより一層日常に平穏を求めるようになってしまったから、たまには俺の関係ないところで穏便に解決して欲しいもんだ。

 

 

「それなら噂で聞いたことがあるよ。確か校舎裏の古井戸から声が聞こえる……みたいな」

「そういやそんな話が流れてた気がするわね。でもこのご時世に井戸なんて誰も使ってないでしょ? どうしてそんな声が?」

「分かりません。ただ、複数人が聞いたとなれば空耳の類ではないかと」

「それで恋ちゃんは生徒会として調査をしようとしてるってこと?」

「はい。事実ではない噂が広まっているだけかもしれませんが、不安がっている方も多いので生徒会としては見過ごせません」

 

 

 くっだらねぇなオイ。どうせ夜遅くまで部活をやっていた奴らの声が聞こえたとか、そんなところだろ。今は日が落ちるのも早くて部活も早く終了するけど、申請さえ出せば下校時刻以降も活動できるし、どうせ夜まで残るんだったら遅くまで部活してるところも多いからな。ま、学校の怪談にありがちな勘違いパターンだ。

 

 とは言いつつも、本物のガチの幽霊を1人知っていたりする。だから科学的に証明できない現象ってのは実際にあるわけだが、ぶっちゃけ秋葉が周りにいる俺からしたら常識なんてものはあったものじゃない。そう考えると俺の日常ってつくづく非日常だよな……。

 

 

「でしたら可可たちで解決してあげまショウ! スクールアイドルは学校の平和を守る、正義のヒーローなのデスから!」

 

 

 コイツなら絶対にそう言うと思った。てかアイドルの意味を履き違えてるっつうか、面白がって首を突っ込みたがってるとしか思えねぇけどな。とは言ってもこんなお遊びに乗る奴なんて――――

 

 

「おおっ! だったら私も協力するよ!」

「えっ、可可さんも千砂都さんもいいのですか? これはあくまで生徒会の仕事であって、皆さんのお手を煩わせるなんて……」

「そのためにこうして私たちに話したんでしょ? 協力して欲しいって素直に言えばいいのに仕方ない子ね……」

「つ、つまりすみれさんも……?」

「アンタたちだけに任せると変に暴走しそうだし、仕方なくよ仕方なく。まあちょっとは面白そうってのもあるけどね」

 

 

 意外と乗り気な奴らばかりじゃねぇか……。学校の怪談と言えば青春イベントの中でも定番中の定番なので興味が沸く気持ちは分かるけどな。

 だが、既に震えている奴がここに1人。

 

 

「かのんちゃんはどうする?」

「ちーちゃんそんな笑顔を向けて……分かってるよね!? 私がお化け苦手なこと!!」

「大丈夫! 何があっても先生が守ってくれるから!」

「はぁ!? どうして俺まで行くことになってんだ!?」

「アンタこそ何言ってるのよ。生徒が夜まで残る場合は顧問の引率が絶対条件。顧問のくせに忘れたの?」

「じゃあ俺は最初から頭数だったってことかよ……」

「そうですがなにか?」

「恋、お前まで……。ったく……」

 

 

 どうやら俺はパーティの初期メンツだったらしい。調査なんて面倒だからコイツらに任せて帰ろうかと思ってたけど、強制加入イベントにより退路は封じられてしまった。とは言っても夜にコイツらだけ残すのも顧問としてどうかと思うし、万が一なにかあったら示しがつかないから仕方ねぇか。

 

 あとは幽霊って言葉だけでビビり散らかしてるコイツだけだが、別に全員で行く必要はない。むしろ下手に騒がれると足手纏いだから置いていった方がいいだろう。

 

 

「よ~しっ! それでは早速今日から幽霊調査を開始しまショウ!」

「えぇっ!? ちょっと待って私は行くとは一言も!!」

「かのん、可可たちはスクールアイドルなのデスよ? 世界平和のために立ち上がらなくてどうするのデスか!!」

「いやスクールアイドルは何でも屋じゃないし……」

「いつからそんな薄情者になってしまったのデスか!! 可可と共に頂点を目指すと志した時のあの希望と勇気はどこデス!? いい機会なので、これを機にかのんのアガリ癖も直すといいデスよ!」

「えぇぇええっ!?」

「諦めよかのんちゃん。可可ちゃんがこうなったら止まらないから」

「うっ……」

 

 

 もはや勢いだけでよく聞いたら全く意味分かんねぇ説得の仕方だなオイ……。

 どうやら結局全員集合らしい。つうかかのんってこういう多数決でいつもぼっちになって負けてるイメージがあるよな。他が暴走しがちだったり天然だったりするせいなのか、その苦労人っぷりには同情するよ。俺だって昔はやんちゃしてたけど、今では女の子たちの方が勢い強いからな。こう言ってしまうと自分がジジィになったみたいでつれぇ……。

 

 そんなわけで俺たちは幽霊の声が聞こえるという夜を待つことにした。その間も練習を続けていたわけだが、幽霊騒動に興味津々でウッキウキな可可や千砂都とビビってぎこちない動きのかのんでは到底まともな練習になるはずがなく、結局早めに切り上げて部室で時間を潰すことになった。

 

 なんにせよ、面倒な事態にならないことだけを祈るよ。

 

 

 

 

~※~

 

 

 

 

「よしっ、それでは出陣デス!」

 

 

 恐らく生徒は全員帰宅し、今校舎に残っているのは残業している先生くらいなものだろう。とは言ってもさっき職員室に戻ったときに残っていた先生も帰りの支度をしていたから、もう誰も残っていないとみて間違いない。つまり正真正銘ここにいるのは俺たちだけ。つまり俺たち以外の声が聞こえたら怪しいってことだ。

 

 それはそうとして――――

 

 

「可可お前、なんだその装備は……?」

「お鍋の兜、まな板の盾、泡だて器のこん棒デス! 調理室から借りてきマシた! 学校の平和のために戦地へ赴くのデスから当然の装備デス!」

「なにと戦うんだよ……」

「なにをバカやってるんだか。ほら、早くしないと置いていくわよ」

「バカとはなんデスかバカとは――――って、ちょっと待ってくだサイ!! 1人は流石に怖いデスから!!」

 

 

 調理器具を身に纏っているコイツの方が怪しい奴に見えるなこれ……。

 下校時刻は過ぎて教師陣もいないため、当然校舎内は暗い。冬の夜だからもちろん外も暗い。まさにホラーイベントにはうってつけの状況ってわけだ。そんな状況だからかかのんはずっと俺の服の裾を掴んでいるわけだが……。

 

 

「歩きにくいんだけど……」

「我慢してください……ッ!!」

「必死だねぇ……」

 

 

 裾を掴まれているのに彼女がブルブルと震えているのが分かる。嫌なら待っていれば良かったのにと思ったが、1人で部室にいる方が怖いか。だったら帰らせてもよかったんだけど、こうして同行しているってことは本人も好奇心ではないが仲間を放って逃げ出したくはないらしい。

 

 しばらくして校舎裏の古井戸まで辿り着く。今のところ幽霊が出る気配も声も音も何も聞こえない。ただ夜の古井戸は見た目だけでも雰囲気があり、実物を目の前にしてさっきまでテンションの上がっていた可可たちも流石に息を呑んでいるようだ。

 

 試しに古井戸に近づき、その中を懐中電灯で照らしてみる。

 

 

「あれ……?」

「先生? どうかしたのですか?」

「この井戸、やけに底が浅いなって思ってさ。長年蓋もされずに放置されてたから、雨風で塵とか木の枝とかが積もりに積もって底上げされたのか」

「でも謎の声はその井戸からすると連絡がありましたが……」

「やっぱりただの噂だったんじゃねぇかそれ。夜の古井戸って響きだけで大きなバイアスがかかって、噂にあらぬ尾ひれが付いて広まったとかそんな感じだろ」

「そうなのでしょうか……」

「でも何もなかったのならなかったでいいんじゃないかな? 武装して気合を入れていた可可ちゃんには悪いけど」

「こ、これは保険と言いマスか、然るべき武装をしてたまでデス!」

 

 

 確かに何かあった方が顧問として対処をしたり上に報告したり、色々面倒なことが多いからこれで終わってよかったのかもな。こちとら暇じゃねぇし、生徒が遊びで流した可能性もある噂を1つ1つ調査してたら身が持たねぇっつうの。

 

 しばらく井戸の周りを見てみたが特に何も起こらなかったので、みんなにも諦めムードが漂っていた。だからもう切り上げて帰ろうとしていたのだが―――――

 

 

「ひゃああああっ!?」

「な゛っ!? なによかのん! 隣でいきなり叫ぶんじゃないわよビックリするじゃない!」

「な、なんかさっき首筋にヒヤッとした何かが……!!」

「はぁ? 今晩は冷えるし風もあるから寒いのは当たり前でしょ」

「ち、違うもん! 首筋をスッと通り抜けていったと言うか、あれは絶対に風なんかじゃない!!」

「と言われても、別に何もないわよ。ねぇ?」

 

 

 首筋に冷たい何かが触れたと主張するかのんだが、すみれを始めとした他のみんなはその現象は起こっていないようだ。俺も特に何も感じず、ただ単にかのんが叫んだようにしか思えない。コイツ校舎を歩いている時からずっとビビってたし、恐怖に囚われすぎて幻覚を見ているとかじゃねぇだろうな……? ただ嘘をついているような感じでもないし、一体どうなってんだ……?

 

 

「えっ、みんな何も感じなかったの!? 先生はどうですか!?」

「いや俺も……」

「えぇっ!? もしかして私だけ霊感が強いとか……?」

「気のせいだってかのんちゃん。変に意識し過ぎるから――――って、ひゃあっ!?」

「どうしましたか千砂都さん? ひゃうっ!?」

「レンレン!? えっ、こ、この白いものって……!?」

「こ、これは……!?」

 

 

 いつの間にか俺たちの周りに白い霧の球体みたいなものがぷかぷかと浮いていた。それも数個じゃない。無数の霊魂のようなものが宙に蠢いている。そしてそれが俺たちの近くを横切るたびに悪寒が走る。どうやら幻覚でもなんでもなくマジらしい。あれだけ非科学的だの噂だの馬鹿にしてたのに、今回は本当に起っちまうなんてホントに飽きねぇな俺の日常ってやつは。

 

 

「つめたっ!? なんなのよこれ!?」

「お前ら校舎に戻れ! 早く!!」

「先生は!?」

「すぐに追いつくから早く行け!」

「で、でも……」

「俺の言うことを聞け!!」

「「「「「はいっ!」」」」」

 

 

 かのんたちは霊魂の軍団を掻い潜りながら校舎に戻る。とりあえずこれで一安心。俺自身驚いてはいるけど、マジモノの幽霊と相対するのは経験があるためある程度は冷静でいられる。こんな常識ではあり得ない状況でこの場に留まれるのも我ながらヤベぇやつだな、俺って。

 

 念のために目の前の光景を写真と動画に収め、校舎に戻って戦線を離脱する。色々あの現象を調べたいところではあるが、かのんたちが心配そうな顔をしているのでまずはそっちを解決してやらねぇとな。

 

 

「なんて顔してんだ、心配すんな。アイツらぷかぷか浮いてるだけで、特に何もされてねぇからさ」

「でも私たちを逃がすために自分だけ残るなんて無茶な……」

「そうデスよ! アニメや漫画だったら死亡フラグってやつデス!」

「心配かけたのは悪かったよ。でもお前らに何かあったら教師として申し訳立たねぇし、それに教師とか関係なく俺としてもお前ら守りたかったからな。つまりだ、俺のワガママってことで許してくれねぇか?」

「「「「「…………」」」」」

 

 

 コイツら赤面したまま俯いてやがる。また変なこと言っちゃったのか俺……? 確かに女心はくすぐられるかもしれないけど、男としては普通のことを言ってるっつうか、これで恥ずかしがられても困るっつうか。相変わらず羞恥心が弱すぎるぞコイツら……。

 

 

「とにかく、今はあの幽霊だ。そもそもあの正体がなんなのかは分からねぇけど」

「そ、そうですね。まさか例の噂が本当だとは思っていませんでしたが……」

「でもどうすんのよアレ。あんなのがいることが全校に知られでもしたら大騒ぎよ?」

「お祓いとかできないの? ほら、すみれちゃんの家ってお寺でしょ?」

「寺の娘だけどそういうの、信じてなかったから」

「現実主義者っぽいもんねすみれちゃん……」

「だったらどうするのデスかあの幽霊!」

 

 

 久しぶりに秋葉関連以外の超常現象を目の当たりにした気がするな。逆に言えばアイツと一緒にいるおかげで現実離れした意味不明な事象でも驚かなくなっている。俺と一緒にいた歴代の女の子たちも鍛えられ、『秋葉の仕業』と言うだけで不可解な現象も納得できるくらいになってるからな……。

 

 今回はアイツの仕業とは違う。違うならどうしようもないからお手上げ、と言いたいところだが俺の交友範囲を嘗めてもらっちゃ困るぞ。

 

 

「じゃあ会いに行ってみるか? こういうことに詳しい奴に」

「「「「「え……?」」」」」

 

 

 

 

~※~

 

 

 

 

 俺たちは校門まで移動した。それで俺が呼んだとある人物(?)を待っている。

 

 

「ねぇねぇ、幽霊のことに詳しい知り合いって誰のことだろうね?」

「先生は交友関係が広いようですから、霊媒師や巫女など除霊できる方の知り合いがいても不思議ではないと思いますが……」

「ま、どうせ女でしょ。アイツの周り、色んな女の匂いがプンプンするのよね」

「私たちが知らないだけで、虹ヶ咲の人たち以外にもたくさん女性の知り合い多そうだもんね……」

「いつか可可たちが暴いてみせまショウ! 先生の秘密を!」

 

 

 聞こえてるぞお前ら……。

 まあそれはいいとして、そろそろ到着するはずなんだけど……あっ、来た――――空から。

 

 

「零さ~~ん! お久しぶりで~~すっ!」

「来てもらって悪いな、愛莉(あいり)

「「「「「えっ……?」」」」」

 

 

 本城(ほんじょう) 愛莉(あいり)。幽霊だ。もう一度言う、幽霊だ。長い黒髪の大和撫子の美少女なのだが、幽霊だ。

 頭には白の三角巾、そして白の喪服を着ている様はまさに絵本で見る幽霊のよう。しかも脚は一反木綿のようにひらひらとした紙のようになっており、その見た目でザ・幽霊だと分かる。

 

 俺が浦の星の教育実習生だった頃、学校で心霊現象が多発している情報を受け、Aqoursの千歌たちと一緒に裏山を調査している時に出会った子である。幽霊になって人間の前に現れた理由は、生前にカッコいい男と性行為ができなかったからという何とも欲深い理由だった。その欲が暴走して成仏できず、しかも幽霊の身体では生身の人間とでは性行為できないためか、当時は千歌たちに次から次へと憑依して彼女たちの身体で俺と性行為をしようとしていたのだ。しかし俺が千歌たちに抱いている想いを伝えたら心中を察してくれたようで、気持ちがすっきりしたのかその場で成仏した。

 

 ――――と思われたのだが、どうやら俺と性行為したいという欲望は残っていたようで、天国に住んではいるけど未だに成仏しきれていないらしい。俺の自宅にまで現れたことがあるし、霊界と現実を何度も行き来していることからフットワークも軽い。軽いのは俺にすぐ開こうとする股の軽さだけにしておけ。まあそれもそれで問題だけど……。

 

 

「えぇっと、先生? 誰とお話しされているんですか……?」

「えっ、お前ら見えてないのか? おい愛莉、コイツらにも姿を見られるようにできるか?」

「あぁちょっと待ってください。今からスマホで設定解除するので」

「随分と現代的なシステムだな……。つうか天国にスマホあるのかよ」

「当然、この世はIT社会真っ盛りですからね。今や現世と天国を繋ぐ新幹線も通っていて、あらかじめネットで予約すればものの数分で到着できる高速新幹線も手配できるのです! しかもこのスマホで動画視聴やソシャゲなどもプレイできて、もう毎日が楽しくて楽しく仕方がないんですよ♪」

「なんか快適だな死後の世界……」

 

 

 以前会ったときに連絡先を教えてもらったのでまさかとは思ったが、本当に携帯で連絡して来るとは思ってなかったぞ。しかもさっきの霊魂騒動から数十分しか経っておらず、即日急行とは現世と天国って意外と近いのか?? なんか日帰り旅行も余裕そうで生死の境界線が曖昧になるな……。

 

 

「はいっ! これで私の姿があなたたちにも見えるようになったはずです!」

「「「「「う、浮いてる!?」」」」」

「本城愛莉ですっ! 零さんとの関係は……う~ん、セフレ?」

「おいややこしいこと言うな!! ただでさえマジの幽霊だって言うのに余計な情報与えなくていいから!!」

「あれ? ということはセフレだってことは認めてくださるんですね?」

「ちげーよ! んなわけあるか!!」

「「「「「…………」」」」」

「まあこういう反応になるよな……」

 

 

 心霊系の映像や画像は数あれど、自分で経験したことのある人はごく僅かだろう。だからこうして本物の幽霊、しかも日本語達者な霊と出会うというのは本当に現実かと疑うのも無理はない。現にかのんたちは唖然としてるし、ちゃんと説明してやらねぇとな。

 

 というわけで愛莉本人についてと、俺たちが出会った経緯を説明した。当たり前だが現実離れしたことなので最初は半信半疑の様子だったコイツらがだが、疑う疑わない以前に目の前に本物がいるので信じざるを得ない。俺が嘘をつかないという信頼もあってかようやく目の前の現実を受け入れ、幽霊と相対する緊張も解けたようだ。まあ仰々しい見た目ならともかく、人間でもこんな美少女なかなかいないってくらい愛嬌と明るさがあるからな愛莉の奴。

 

 

「それで、愛莉さんとこの幽霊騒動にどう関係が?」

「あぁ。幽霊のことなら幽霊のことに聞くのが一番だと思ってさ。だからコイツを呼んだんだよ」

「えぇえええええっ!? セックスするためじゃなかったんですか!?」

「おいコイツらはそういうことに耐性ないから口を慎め!! つうか呼び出した時にちゃんと目的を話しただろ。なのにわざとらしく言いやがって……」

「セ、セ……!!」

「セッ、セッ……!!」

「セック……!!」

「おい近づいてきてるぞやめろやめろ!! さっきのは何でもないから!!」

 

 

 かのんたちは恋愛下手で、自分の気持ちを口に出す前に羞恥心が暴発して自爆してしまうような奴らだ。そんな奴らがR-18系のネタに耐えきれるとは到底思えず、そういった意味では淫乱幽霊こと本城愛莉と出会わせるのは失敗だったか?? 俺と性行為をすることで成仏を願っている愛莉だが、その欲望は汚らわしいの一言。成仏するための願いと言われれば聞こえはいいが、言ってることはただのド淫乱で本人も度し難い痴女だ。ホントにコイツを呼んで良かったのか……?

 

 

「それにしても幽霊のお知り合いがいるなんて、先生って一体何者なのデスか!?」

「何者って、ちょっと交遊関係が広いだけだよ」

「いや明らかに異常でしょ。どんな人生を送ってたら幽霊をあの世から呼び出せるようになるのよ」

「もしかして……先生もこの世の人じゃないとか!?」

「千砂都お前、その噂だけはややこしくなるから絶対に広めるなよ? 生身で生粋の人間だから……」

 

 

 そりゃ幽霊と知り合いだなんて異常者扱いされてもおかしくねぇよな……。実際に幽霊と友達みたいなことを言い出す奴がいたら俺だったら距離を置いちゃうね。怖いと言うか不気味だから……。

 

 

「それで? 幽霊とか言う得体の知れない奴の助けを借りるのは不服か? 生徒会長さん?」

「い、いえ、私はいいのですが、かのんさんが……」

「えっ?」

「幽霊怖い幽霊怖い幽霊怖い幽霊怖い幽霊怖い幽霊怖い幽霊怖い幽霊怖い幽霊怖い幽霊怖い幽霊怖い幽霊怖い……」

「あちゃー震えちゃってますねぇ~。どうしてこんなことになってるのやら」

「お前だよお前……」

 

 

 コイツを連れてきた俺にも非はあるが、幽霊だけど見た目は超絶美少女なのでコイツで怖がるとは思ってなかったんだ。しかし、ザ・幽霊と言わんばかりの三角巾や白の喪服、一反木綿のようなひらひらとした下半身を見たら流石にホラー嫌いのかのんはビビっちまうか。他の奴らは平然としているので本当にこういうの苦手なんだなコイツ……。

 

 そんなかのんの様子を見てか、愛莉はかのんのところへ浮かびながら近づく。

 

 

「ヒィッ!?」

「そんな怖がらなくても大丈夫ですよ! 私もあなたたちと同じ瑞々しい女子高生なのですから! ま、死んでるので歳を取ってないだけなんですけどね♪」

「ゆ、幽霊ってこんなにもフレンドリーなの……?」

「幽霊にも色々ありますが、ここまで情緒が安定してる幽霊は極僅かですね。まあ死んでる点を除けばあなたたち人間とそう変わりません♪」

「一番重要な点を除かれてもな……」

 

 

 美少女で愛嬌もあってコミュニケーション力も達者。そんな奴が幽霊って信じられないっつうか、見た目を除けば普通の人間に見えるんだよな。てか性行為が目的ならその容姿の良さを振り撒くだけでその辺の男が放っておかないだろうに……。どれだけ男の理想が高かったんだよコイツ……。

 

 

「おい愛莉、そろそろ本題に入らせてくれ。コイツらをあまり遅くまで残したくないしな」

「そーでしたそーでした零さんの依頼で来たんでした! 久しぶりにお会いできたのでテンション上がって忘れちゃいましたよ~♪」

「ったく……」

 

 

 ようやく本題。みんなの口からこの学校で起こっていること、そしてさっき目撃した霊魂らしきものの軍団について話す。

 

 

「ふむふむ。彷徨ってる魂がこの学校に集結してるみたいですねぇ~」

「実は動画を撮ってあるんだ。ちょっと見てくれ」

「えっ、先生いつの間にそんなものを……?」

「お前らが逃げてるときにあの場で撮っておいたんだ。コイツに見せるためにな」

「だから先生だけ来るのが遅かったのですね……。あの霊に何かされたのかと思って心配していました……」

「悪かったよ。でも全部お前らを守るための行動だ、許してくれ」

「うんうん、相変わらず零さんの愛は素晴らしいですねぇ~♪ ということで動画、拝見しますね」

 

 

 愛莉は俺のスマホを覗き込んで動画を確認する。

 動画には井戸の周りに現れた白い霧の球体が無数。そして音声には呻き声のようなものがしっかり録音されていた。流石に動画だからかみんなも怖がらず、逆に興味津々なのか映像に釘付けとなっている。もちろんかのんを除いてだが……。

 

 そして動画を見終わると、愛莉は得意げな顔を浮かべていた。

 

 

「その顔……アイツらの正体とか、どうすればいいのか分かったか?」

「はいっ! あの霊魂たちを成仏させる方法、それは――――」

「「「「「それは……?」」」」」

 

 

「セックスですっ!」

 

 

「「「「「へ……??」」」」」

「おいおい……」

 

 

 不穏な単語を堂々と言い放つ愛莉と唖然とするかのんたち。

 これはまた成仏させるのに苦労しそうだ。色んな意味で……。

 

 

 

 

To Be Continued……

 




 久しぶりに登場した淫乱幽霊こと愛莉。ぶっちゃけると私自身彼女の存在を忘れかけていたのですが、感想欄で名前を出されたので久しぶりに出演させたくなっちゃいました!
 相変わらずの引っ掻き回し能力を発揮する彼女ですが、めちゃくちゃいいキャラをしているので非常に扱いやすいです。下ネタを堂々と発言できる女の子キャラがなんせ中々いないもので、書いていて楽しかったりします(笑)

 ただこの小説特有のオリキャラはぶっ飛んだネタ製造要員の秋葉さん以外は極力出さないように心がけています。この小説を見に来ている方は零君とラブライブの女の子たちとの絡みを見たいはずなので、オリキャラで現作キャラの出番を食いたくはないからです。そしてそれ以上に零君以外の男はほぼほぼ出しません。ハーレム小説ですからね(笑)
 妹の楓だけはこの小説でも人気があると勝手に思っているので、またどこかでメインを張らせてあげたいと思っています。


今回登場した幽霊ちゃんの活躍を見たい方は、以下の話をご覧ください。
・Aqours vs 淫乱幽霊ちゃん(前編)(後編)
・ 【スクフェス編1周年記念】淫乱幽霊再降臨!





【付録】※アニメ虹ヶ咲7話の栞子回を見て思いついた小ネタ

「なるほど、そうやって栞子に加入させたのか。てかそんな大人数で寄ってたかって、人の心に土足で上がり込むなんてお人好し過ぎるだろ。誰に習ったんだか。あ~痒い痒い。痒くなるんだよ、お人好しが余計なお世話してるところを見るのって」
「あの……お兄さん? とりあえず部室に置いてあったブーメラン投げますね」
「なぜ!? てかそんな至近距離で投げたらぶっ刺さるだろ!?」
「いや刺すためですよ」
「なんでだよ!?」
「お兄さんって、たまに訳わからないところで鈍感ですよね……」

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