ラブライブ!~蓮ノ空との新たなる日常2~   作:薮椿

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エンドレスやさぐれモード

 冬の朝ってのは起きるのが億劫でありながら、その寒さが故に一度目覚めてしまえば身が引き締まる。って海未が言っていたのを思い出す。ただそれはド真面目な奴だからこそ身に付く習慣なのであって、朝に弱い俺からしてみれば冬の朝は地獄そのものでしかない。時間が許せばいつまでも布団に潜り込んでいたいのは穂乃果たちのような不真面目組と同じだ。

 

 しかし、社会人になったらそんな甘えは許されない。しかも教師としての立場もあるから生徒にだらしない様子は見せられず、それなりに爽やかな雰囲気を醸し出す必要がある。このご時世、教師の身なりが1つでも整っていないとクレームが付けられる世知辛い世の中なのは息苦しい。個人的にはもっと気楽に生きろとは思うけどな。世間はきちんと整っていないと気が済まない輩の多いこと多いこと。不真面目組所属にとってこれほど肩身が狭い世界はないな。

 

 そんな感じで教師である俺も寒い朝とは言えどもそれなりに身なりは整え、誰から見ても寒さや眠気に負けているようには見えないはずだ。まあ清潔感を保っているのは思春期の女の子たちを相手にするからってのもあるけどな。そりゃ男として女の子によく見られたいのは当然の欲求だろう。

 

 そう、それは教師ではなく生徒でも同じことで――――

 

 

「先生!!」

「可可か。なんだ朝から騒々しい。もうすぐ朝礼始まるぞ」

「か、かのんが……!! かのんが……!!」

「なんだ? また幽霊の噂でも出てビビって気絶したか?」

 

 

 教室へ朝礼へと向かう途中、可可が校則違反余裕のスピードで廊下を駆けてこちらに詰め寄って来た。冬の寒さがあるとは言えども朝はのどかな気分を味わいたいのに騒がしい奴だ。

 つうかコイツいつも『かのん、かのん』って言ってるな。事あるごとにかのんをよいしょして持ち上げているので、どれだけアイツのことが好きなんだって話だ。俺の知っている女の子の中にはそれなりに依存症が高い奴もちらほらいて、妙に百合百合しい奴らもいるから珍しい話ではない。まぁ好意を寄せるのは本人の自由だけど、あまりヤンデレっぽいのは扱いが面倒だからやめてくれよ。

 

 

「かのんが……かのんが……ダウナー系やさぐれヤンキーになってしまいマシタ!!」

「な、なんだ聞くだけでメンドくせぇ属性は!?」

「それはもうこの世のかのんとは思えないくらいの形相デス!! 目が吊り上がって、今にもクラスのみんなをその視線で串刺しにしそうな、そうっ、殺人鬼と化していマス……ブルブル」

「いったん落ち着け。妄想が肥大化し過ぎだ」

 

 

 そこまで自己主張の強くないアイツが不良オーラを周りに巻き散らすなんて想像できねぇんだけど……。作曲の構想を得る際にヨガのポーズをすること以外は割と常識人なので、何の理由もなしに変な奇行に走る奴ではないと思っている。

 だが可可の反応も異常であり、なにか問題が発生していることは間違いないようだ。どうやらクラスのみんなも被害を受けているようだし、ここは教師として何とかする必要があるか。

 

 

「いいから早く来てくだサイ!! ヤンキーかのんを更生させられるのは先生だけなのデスから!!」

「ちょっ、オイ!!!」

 

 

 可可は俺の手を握ってそのまま教室へ向かって走り始めた。

 更生って、俺はカウンセラーじゃねぇんだけど……。確かに過去ヤンデレちゃんたちを相手にしたことはあるにはあるが、最近の女の子はいい子たちばかりなので問題児を相手にするのは久しぶりだったりする。

 

 ったく、朝っぱらから面倒を持ち込むんじゃねぇよ……。

 

 

 

 

~※~

 

 

 

 

 可可に引っ張られて教室にやって来てみると、その雰囲気はいつもの平和なクラスとは一線を画していた。普段はみんな仲が良く和気藹々としているのだが、今は1人の席の周りだけ空いて静まり返っている。その席の子たちは友達に抱き着いていたり、教室の隅で震えていたりとまさに異常事態。今まで平穏しか知らなかった女の子たちの間に突如として割り込んでいた不良により、場の雰囲気が支配されている。空いた席の中で唯一埋まっているその窓際の席にかのんがいた。

 

 実際にこの目で見てみるまであまり信じられなかったが、その鋭い目つきはやさぐれヤンキーそのものだ。いつものアイツも割と女性受けしそうなイケメン美人なのだが、整っている容姿が故か不良の形相もそれなりに様になっている。ただ教室に漂わせるあの不機嫌ですよオーラは明らかにいつものアイツとは違う。まさに一触即発の雰囲気で、今もなんとかアイツの相手をして気を静めようとしているすみれが四苦八苦しているようだった。

 

 

「ちょっ、ちょっとかのん! 何があったのか知らないけどいい加減に機嫌直しなさいよ!」

「あん!?!?」

「う゛っ!? ア、アンタねぇ、いつからそんなキャラになったわけ?」

「いいじゃんもうほっといて!」

「そんな不機嫌オーラ醸し出してる奴と一緒の教室にいられないわよ!!」

 

 

「という感じで、さっきから苦労しているのデス……」

「なるほどな……」

 

 

 かのんの声はかなりドスが効いており、綺麗な歌声を発するあの口から出ている声色とは思えなかった。低い威圧感のある声、吊り上がった目、不機嫌オーラ、もはやヤンキーと呼ばれる要素は全て揃っていると言っても過言ではない。流石のすみれもこのかのんにはたじたじであった。

 

 そんなピリついた空気が流れる中、クラスのみんながようやく俺の存在に気が付く。やさぐれかのんにビビり散らかしていた女の子たちは『先生なんとかしてください!!』やら『かのんちゃんを救ってあげてください!!』などなど、俺を背水の陣の状況で颯爽と現れたヒーローかのような扱いをしてきやがる。まぁこの学校はそれなりに名門っぽいので温室育ちの子も多く、不良みたいな低俗な奴の相手に慣れてないだろうから仕方ねぇか……。

 

 

「よくここまで持ちこたえたな。あとは俺に任せろ」

「遅いわよ。それにしても、もはやスクールアイドルがしていい顔じゃないわねあの子」

「半年くらいアイツを見てきたけど、あぁなることって今まであったのか?」

「不機嫌になったときに声が低くなったりするのは知ってるけど、あそこまでヒドイのは初めて見たわよ」

「もしかしてあれがいつものかのんで、スクールアイドルをやっていたかのんは仮の姿。もしかして本心では、『へっへっへっ。今まで私の遊びに付き合ってくれてありがとよ。スクールアイドル、いいおままごとだった。これから今まで築き上げてきた友情をぶち壊して、破壊の快感を味わってやるぜ』みたいなことを……!?!? そんなかのん認められマセン!!」

「それもう不良の域超えてるじゃない……。そんなわけないでしょ」

「つうかそんな世俗塗れの妄想どこから沸いてくるんだよ……」

 

 

 コイツ海外出身のくせにたまに日本の汚い言葉遣いやオタクの言動を取り入れたりしてるよな。そういやエマも若者の独特な言い回しを覚えてたし、日本が誇るオタク文化が悪い意味で海外出身者に伝染しちゃってる気がするぞ……。

 

 それはともかく、今も現在進行形で不機嫌オーラを放っているアイツを鎮めてやるとするか。ま、俺にちょっと声をかけられるだけで頬を染めるコイツのことだ、いくら不機嫌でも俺と相対すればすぐ元に戻るだろう。

 

 

「おいかのん。そろそろ朝礼始めるから、もうふざけた真似はよせ」

「あん? ほっといて!」

「マジか……。何があったかは知らないけど、あまり周りに迷惑かけるなよ」

「は~い、善処しま~す」

 

 

 意外や意外、俺を目の前にしてもかのんの様子は何も変わらなかった。さっきすみれに応対していた時とドスの効いた声も変わらずで、いつも恋する乙女のような表情をしている女の子とは到底思えない。

 そしてこうして目の前に来て分かったことがあった。今日のかのん、様子だけではなく容姿も普段と異なっている。前髪を上げておでこを全開にしており、何より眼鏡をかけている。どちらかと言えばラフな容姿であり、まるで家でリラックスしているときのような感じだ。思春期女子なら身だしなみを整えて少しでも自分を綺麗に見せようと努力し始める大人の時期であり、加えて自分を見せる対象が俺だったらなおさら努力するはず。しかも女の子って男にあまりおでこを見せたくないと聞いたことがある。自分の魅せ方は人それぞれだけど、自分の負の面をわざわざ大勢の前で晒すのは明らかにおかしい。恥ずかしがり屋な一面を持つコイツならなおさらだ。

 

 それにしても、この様子のかのんをどこかで見たことがあるような……?

 

 

「何か悩み事でもあんのか? それとも虫の居所が悪いだけか?」

「別に。作曲に行き詰ってるとか、そんなことないっつーの」

「なるほど。アイデアが浮かばずイライラするのは分かるけど、とりあえず日中は授業に集中しろ」

「分かってま~す」

 

 

 俺を相手にしてここまでぞんざいな態度を取るって相当精神に来てるってことか? いやしっかり良識は弁えている子だから、いくら自分に悩み事があったとしても相手に当たって不快にさせることはしないはずだ。

 ということは秋葉の仕業で性格変更されてる――――ってのも考えづらい。だったアイツがやることにしては規模が小さすぎる。やるなら学校中の女の子を全員淫乱属性に変更する、みたいにスケールがもっと大きくなるはずだ。ただかのん1人だけをヤンキーに変えるなんてみみっちいことは絶対にしない。生まれたときの付き合いだからな、アイツの思考回路は良く分かってる。

 

 

「先生でも元に戻せないなんて、このままだとかのんが永遠の不良、エターナルヤンキーになってしまいマス!!」

「そうなるともうスクールアイドルは続けられないわね」

「そ、そんな!! かのんがいないLiellaなんて、具なしのナポリタン、バナナ抜きチョコバナナ、ミルク抜きミルクティーみたいなものデス!!」

「全部アンタの好きなモノじゃないの。ていうか抜いたモノが全部メインだし、例え方が下手ね……」

「それくらい可可の中でかのんはメインだと言うことデス!! あ~もうどうしてこんなにダウナー系になってしまって、可可は悲しいデス……およよよよよよ……。か、かの~ん……」

「ちょっ、泣きながら抱き着きつくな!! 暑苦しい!!」

「かのんが可可をここまで拒否するなんて!!」

「アンタのせいで余計に話が拗れてる気がするわ……」

 

 

 可可はかのんの後ろから抱き着いてギャグ風の涙を流す。今のやさぐれかのんにそんなことをしたらそれこそぞんざいに扱われるのは確定で、そう扱われたら扱われたで可可が涙して余計に抱き着く。抱き着かれたせいでかのんが更にやさぐれる。まさに負のループが形成されていた。俺もすみれも止めるのがもう面倒になって来ているのだが、教室でこんなことをやられていては授業もままならないので何とかこの事態を解決する必要がある。

 

 だけどコイツのダウナー気質がどうして治らないのかも分からないし、一体どうすりゃいいんだよ……。

 

 

「あれ? かのんの頭、大きなたんこぶができてマスよ?」

「いたたっ!! ちょっといきなり触らないで痛いんだから!!」

「昨日はそんなものはなかったと思いマスが……」

「今朝、家で頭ぶつけちゃったの! 悪い!?」

「頭をぶつけた……? 家……?」

 

 

 そうだ、家で思い出した。この様子、この容姿、どこかで見たことがあると思ったら家庭訪問をした時だ。家庭訪問とは言ってもコイツの忘れ物を届けに行っただけなのだが、何の連絡もなしに突然行ったものだから、コイツは何の準備もしてないラフな姿となっていた。俺に気付くまでは普段とは違いやる気のない声、低い声色で家族に話しかけており、まさに今のコイツそのものだった。そういや家ではダウナーな性格になるってことを誰かが言ってた気がするな、忘れてたよ。

 

 つまり今のコイツは完全オフモード。そしてそのモードのまま通学してきたってところだろう。

 どうやら自分でオンオフを制御できなくなっており、たんこぶができるほど強く頭を打ったことと関係がありそうだ。こうなったらもうコイツの関係者に直接話を聞いた方が良さそうだな。

 

 流石に澁谷家の連絡先は知らないので、可可を通じてかのんの妹である澁谷ありあに電話を繋いで貰った。

 

 

『あ~家だとお姉ちゃんはよく不良っぽくなりますね。気持ちが沈むと人に見せられないくらいにやさぐれまくりますよ』

「やっぱりか。で? 今朝かのんが頭を強く打ったってのは本当か?」

『はい。店の手伝いをしている時ですね。コーヒー豆が入った袋を棚の上から取り出そうとしたら、どうも手を滑らせてしまったらしくて……』

「その時にその袋が脳天に直撃したってわけか」

『はい。確かその時もお母さんに無理矢理手伝わされてたからか、お姉ちゃん結構なヤンキーになってましたよ』

「なるほど。それで頭を打った反動でオフモードから抜け出せなくなっているのか……」

 

 

 これで人前なのに不良モードになっている理由が分かったな。その理由は完全にギャグだけど、言ってしまえば変に悩み事があって精神がおかしくなったとか、深刻な心配事ではないのは良かったよ。

 

 

「それでコイツを元に戻すにはどうしたらいい? 家だとどうしてるんだ?」

『お姉ちゃんの好きなモノを与えてあげればいいと思います。特にハンバーグが好きなので、食べさせればすぐ尻尾を振ってすぐ笑顔になりますよ』

「慣れてるせかもうペット扱いだな……。でも今は教室だからそんなのはないぞ」

『だったら他にお姉ちゃんの好きなモノ――――あっ、先生自身ですよ!』

「はぁ!?」

 

 

 通話口から突然飛び出してきた衝撃のアイデア。俺自身をあげるって、ちょっとエロい意味に聞こえるのは気のせいか……? てか普通あげるのは女の子の方からだろ……って、今はそんなことどうでもいいか。

 

 

『お姉ちゃんってわっっっっかりやすいくらい先生のことが好きじゃないですか? だから先生から甘々な言葉をかけてあげれば、心がくすぐられてすぐ元に戻りますよ!』

「マジかよ……」

『マジです! いくらやさぐれていても心までは変わってないと思います。いやぁ~恥ずかしさで顔を真っ赤にして悶え苦しむお姉ちゃん、容易に想像出来ちゃいますよ!』

「お前、なんか楽しんでないか……?」

『まあ家ではダウナーになっているところをよく見かけますから、そういった乙女チックなお姉ちゃんを見られるだけでも楽しいんですよ♪』

「小悪魔だなお前……。分かった、適当にやってみるよ」

『この後どうなったかまた聞かせてくださいね!』

「会うことがあればな」

 

 

 そんなこんなで謎にテンションが上がっていたありあとの通話を終えた。

 とりあえずかのんを元に戻す方法は分かったが、甘々な言葉をかけてあげるって……それ愛を囁くってことだろ?? つうか最近そういうの多くね?? ついこの前も幽霊騒動で似たようなことやったばかりなんだけど……。そんな短いスパンで何度も何度も、結局気持ちが変わってなければ同じ言葉しか言えねぇからマンネリなんだよどうすんだこれ。

 

 だがそんなことを言ってられる状況じゃないので仕方ねぇか……。

 

 

「おいかのん」

「なに? まだ何か用?」

 

 

 相変わらずの不機嫌だ。ここまでやさぐれてる奴に甘々な言葉なんて通用するか分からないが、とりあえず自分なりの方法でやってみるしかないか。

 俺はかのんを窓際に追い詰める。ちょうど窓際の席だったので2人だけの空間を作り出すにはうってつけのポジションだ。突然詰め寄られたこと、逃げ場がなくなったことで流石のヤンキーかのんでも驚いているようだった。

 ちなみに教室にいるみんなが黄色い声を上げている。そういや今までとは違ってたくさんの女の子たちに見られてるんだったな。ま、気にしたら負けだから無視だ無視。

 

 

「ちょっと、なにするの」

「いいから戻って来い。俺が好きなのはいつもお前だ。今のお前もワイルドさがあって悪くないが、可愛げはないからな」

「は? 私は私なんだけど、そ、そんな可愛いって……」

「いや可愛いだろ」

「ぐっ、意味分かんないんだけど……」

 

 

 いやいやホントに効果があるとは思ってなかった。意外にもまともな反応を貰えて俺自身が驚いている。やはりいくらやさぐれても心の根底は簡単に変わるものではなく、恋愛経験がなく初心なところは不良になっても残り続けていたようだ。

 

 

「かのん」

「な、なに!? ち、近い……!!」

「俺は透き通った綺麗な声で歌うお前が好きだ」

「ひぃっ!?」

「自己肯定感が低いけど、それを理由に諦めたりしないお前が好きだ」

「んぐっ!?」

「自分の短所を乗り越えて突き進む強さを持ってることも好きだ」

「ひぎゃっ!?」

「そして俺を一途に慕ってくれていることもな」

「んがぁっ!?」

 

 

 なんかダメージを受けてるけど本当に大丈夫か?? 俺の言葉は幽霊騒動の時にコイツに伝えたこととほぼ同じだけど、誉め言葉なんてのは同じ内容を何度聞かされても嬉しいものだからな。その証拠に今もコイツの心に響いているようで、顔がみるみる赤くなっていく。いくらダウナー系ヤンキーだとしても女の子である限りは攻略できるんだよ。

 

 

「だから戻って来い。また綺麗な笑顔を、俺に見せてくれ」

「ひゃぅっ、あっ……せ、せんせぇ……」

「か、かのんの声が!?」

「低音な声色から元に戻ったわね……」

 

 

 さっきまでの低音ボイスはどこへやら、興奮を煽られた影響からか謎に媚びた声になっていた。でもその様子を見る限りではオフモードは解除され、いつもの彼女に戻っているようだ。

 かのんは力が抜けたのか椅子から倒れそうになったので、そっと抱き留めてやる。俺の腕の中で目を細めながら微笑む彼女はいつも以上に美しく、俺も自然と笑みを零してしまった。

 

 全く、面倒をかけさせる。別にこうなったのは事故だから攻めはしないが、女の子に想いを伝えるなんて行為はそう易々とやるものじゃねぇんだよ。これでも一応ムードを大切にする男なんでね。しかも以前は幽霊たちの前だったからいいものの、今回はクラスの女の子たちの真ん前だ。女の子に気持ちを届けるのは慣れてるからとサラッとやってるように見えたかもしれないけど、流石に生身の人間たちに見られるのは恥ずかしさもあった。さっきからずっと黄色い声が聞こえてたしな……。

 

 ただなんにせよこれにて一件落着だろう。コイツまだ目覚めなさそうだし、保健室に送り届けてやればミッションコンプリートだ。

 

 

「むぅ……」

「どうした可可そんな不満そうな顔をして? お前からの依頼はこれで完了のはずだが?」

「かのんだけズルいです……」

「はい?」

「そうね。何がどうって敢えて言わないけどズルいわ」

「すみれ!? って、みんな!?」

 

 

 いつもの日常に戻るかと思っていた矢先、可可とすみれ、そしてクラスの女の子たちが見せる不貞腐れた反応。もしかしてかのんだけにあんなことをやってズルいとか思ってんのかコイツら!? そりゃ別にかのんだけを贔屓するつもりはないが、あくまで応急処置で治療の一環だ。それなのに不貞腐れるなんて、おいおいマジかよ……。

 

 

「このままでは可可たち、授業に集中できマセン!!」

「そうね、教師として生徒の士気を上げるのも仕事なんじゃないの?」

「皆さんもそう思いマスよね?」

『思います!!』

「ま、覚悟することね」

「へ……えぇええええええええええええええっ!?!?」」

 

 

 コイツら、普段は羞恥心が激弱なくせに今回だけは人数が人数のせいか一致団結して強気になってやがる!! えっ、さっきの1人1人にやんのか!? いや無理に決まってんだろいい加減にしろ!?

 

 そんな感じでみんなに詰め寄られそうだったが、全力で説得したことでなんとか難を逃れた。

 この学校の女の子は恋愛下手ばかりだと思っていたが、共謀するとここまで強気になれるんだな肝に銘じておくよ。やはり俺の関わる女の子たちは心の奥底で肉食系の性格を隠し持っているのかもしれない。これからは下手に女の子にお気持ち表明するのは避けるかな……。

 




 やさぐれかのんを勉強するためにアニメの該当シーンを見直したのですが、想像以上に不良っぽくて普通に話のネタが沸いてきました(笑)
女の子がオフの時にラフな格好で、言動も荒っぽくなる様子は意外と好きだったりします。死語ですがギャップ萌えって言うんでしょうかね?



【付録】※アニメ虹ヶ咲11話を見て思いついた小ネタ

「私もたまにテストで赤点になりそうなときがあるのでヒヤヒヤしますよ。でも今回はかすみちゃんも果林さんも無事に切り抜けられて良かったです」
「結構勉強してたもんな。結局アイツら何点だったんだ?」
「かすみちゃんも果林さんも55点で赤点回避でした。かすみちゃんとか55でゴーゴー、つまり幸先がいい点数だってむしろ喜んでましたよ」
「1年生はいいにしても、3年生のこの時期にその点数はヤバくねぇか?」
「言わないであげてください!! それだけは!!」
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