ラブライブ!~蓮ノ空との新たなる日常2~   作:薮椿

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 後書きに、にじよんアニメ(この小説ver)の超短編(第4~7話)を掲載しています。
 是非最後までご覧ください!


白銀色(プラチナシルバー)の恋慕

 ヘッドホンから流れてくる音楽を、俺は目を瞑って聴き入れる。

 もう5年以上もスクールアイドルと関わりのある俺だけど、正直なところ音楽にそれほど興味があるわけではない。だから名曲を聴いたとしてもどこがどういいのかなんて指摘できるはずもなく、雰囲気で自分の好みかどうかを決めてしまいがちだ。ただ素人なんてそんなもので、格付けでよくある高級ワインと安物ワインの見分けなんて一般人の俺たちからしたら全く分からないのと同じだ。結局こういうのは知識がないとな。

 

 曲の流れが止まる。ヘッドホンを外して目を開けると、ミアがこちらをじっと見つめていた。

 

 

「どうだった? ボクの新曲」

「いいんじゃねぇの。素人だからどこがいいとか悪いとか全く指摘できねぇけど」

「絶対音感持ちなのに?」

「そりゃそうだけど、残念ながら知識がなさ過ぎて音が不快かどうかくらいしか見破ることは出来ねぇよ。しかもお前がそんな曲を作るとは思えねぇし、俺からアドバイスできることなんてたかが知れてるっつうの」

 

 

 今日の舞台は虹ヶ咲女子寮のミアの部屋。新曲ができたからと半ば強引に連れてこられ、こうして改善点や感想を求められている。ぶっちゃけ俺に聴くよりも同好会の誰かに聴かせた方が効果的な気もするけど……。

 

 

「零に聴いてもらいたかったんだよ。ボクの、自分のライブで披露する曲なんだから……」

「だからそのライブを一番観てもらいたい人に聴いて欲しいってことか」

「っ……そ、そうだよ!! 悪いか!?」

「逆ギレすんなよ……。つうかこういう時って、一番聴いてもらいたい人にはライブ当日に聴かせるもんじゃねぇの? ネタバレしていいのかよ」

「Don't worry。ここからブラッシュアップするし、それに今聴いている曲がステージの上だとボクのライブと合わせてどう輝くのか、ずっと楽しみにさせられるだろ。余計に待ちきれなくなるかもしれない」

 

 

 確かにそういったサプライズもあるか。どんな曲が披露されるのかではなく、聴いたことのある曲がコイツのパフォーマンスと共にどう着色されるのかが気になる、みたいな。ただそれはネタバレをしたとしても盛り上げる自信のある奴にしかできねぇことだけどな。コイツもコイツで澄ました顔をしているようで実は結構な自信家なので、こういったサプライズの方法を取ったのだろう。妙なプライドの高さもランジュに似ており、自分を強く表に出すか出さないかの違いなだけで意外と留学生は似た者同士なのかもしれない。

 

 

「俺のための曲って考えると、さっきのが超いい曲に思えてきた」

「現金だな……」

「それくらい楽しみだってことだよ。お前の術中にハマっちまったな」

「本当にそう思ってる? いつも胡散臭いんだよ、お前が負けを認めるような発言をする時って。なんかわざとらしく負けてあげましたって感じがしてさ」

 

 

 そりゃね、格上が格下に合わせるのは普通ってことだよ。って言うと絶対にウザがられるので敢えて口には出さない。この前のかすみたちの妊娠ドッキリもそうだけど、最初は相手に合わせておいて後から全て自分の手のひらの上でしたってネタバレをするのが物凄い快感でゾクゾクするんだ。侑からもよく趣味が悪いって言われるけど、そもそも俺に見透かされる行動をするお前らが悪いといつも言ってやっている。

 

 

「じゃあ苦手なことってないのか? 苦手とは行かなくても、これはそこまで得意じゃないとか」

「そうだな。強いて挙げればゲームかな、テレビゲームの方」

「えっ? そうなの?」

「あぁ、今の若い男ならガキの頃からやってる人は多いと思うけど、生憎俺は普通じゃない人生を送って来たからさ」

「何をしてたんだ?」

「女の子たちと遊んでた」

「…………」

「自分から聞いておいてそんな目で見るなよ……」

 

 

 遊んでたと言っても別に援助交際とかしていたわけではなく、高校時代は健全にμ'sの奴らとの付き合いで忙しかっただけだ。なんにせよ9人もいたし、翌年には3人増えたし、それだけ女の子が増えたら自分1人でゲームをする時間なんて早々取れない。そのせいでゲーセンの単純なゲームはともかく、コントローラーを手に持ってピコピコするテレビゲームはあまり得意ではなく、プロゲーマーと肩を並べる実力を持つ璃奈にようやく食いつける程度だ。それでも食いつける程の実力はあるのかよって思われるかもしれないけど……。

 

 

「だったらゲームで勝負しよう。ボクが最近ハマってるのは――――」

「オイちょっと待て。さっきの話聞いてたか? 苦手だって言ってんだけど??」

「ボコボコにしたんだよ。いつもその得意顔でやきもきさせられてるから復讐したい。いつも前触れなくサラッとキザなことばかり言って、どれだけ心を掻き乱されてることか……」

「欲望たらたらだな……。つうかやきもきしてんのはお前の恋愛耐性が低いからじゃねぇのか……」

「Noisy! ほら早くこれ持つ!」

 

 

 無理矢理コントローラーを渡してきたミア。都合が悪くなったら有無を言わせず強制的に押し通ろうとするもんなコイツ。そういうところがまだ14歳の子供なんだよ。他の奴らに自分の意見を押し通す時も『自分は高校3年生で先輩』だとよく小物みたいな主張しているので、大人びているように見えて中身はしっかりお子様なんだよな。そういうところがコイツの可愛いところなので否定はしないけど。

 

 ミアが取り出したのは某有名レースゲームのソフトだ。もう何十年も前の機種から継続的に発売している人気シリーズではあるのだが、先述の通り俺はあまりプレイ経験がない。その事実をさっき話したばかりなのに自分の土俵にこっちを引きずり上げるなんて血も涙もねぇな。

 

 

「昔ちょっとだけやったことがある気がするぞこれ。アイテム運の零ってよく呼ばれてたな」

「それ暗に運だけの雑魚って言われてるだけだろ……」

「まあ久しぶりだからお手柔らかに頼むよ。操作方法とか知らねぇけど」

「簡単だから大丈夫。運だけマンのようなクソ雑魚でも勝てるゲームだ」

 

 

 コイツ、俺に勝てると分かった瞬間にイキリ散らかしてんな……。

 ちなみに勝負前から遠吠えを上げるのはコイツに限った話ではなく、かすみや侑も俺が少しでも日和った発言をすると煽ってくる傾向にあったりする。まあそういう奴らに限って毎回俺に分からされるので、自信満々の奴を叩き潰す快感というサディストな俺にとってはむしろカモだけどな。ただテレビゲームで勝てるかは怪しいけど……。

 

 

「そうだ。勝った方は負けた方に1つ好きなことを命令できるルールを追加しよう」

「段々と横暴になって来たなお前……」

「逃げるのか?」

「やっすい挑発だな……。まあもし仮にお前が負けて、そのプライドが粉々になる屈辱を味わうことが怖くないのであればそれでいいよ」

「分かった。遂に零の敗北に打ちひしがれる姿が見られるのか……。作曲やライブ以外でここまでワクワクすることはないね!」

「お前も相当性格ひん曲がってんな……。後悔だけはすんなよ」

 

 

 俺にあからさまに不利な条件で早速レースを開始する。2人しか人間がいないのでCPU入りのレースではあるが、初心者を前にしてミアは何故かそのCPUのレベルをMAXにする始末。しかも本人はやり込んでいるためか当然1位独走。100人が見たら100人が分かる雑魚狩り。ま、強い奴が弱い奴を叩きのめして絶頂気分になるのは対戦ゲームの本質だしな。たまにはコイツに勝ちの余韻に浸らせてやっても――――――

 

 

「負けた……。ボクが……!?」

「アイテムつえーなこのゲーム。逆転要素が多くてパーティゲームとしてよくできてる」

 

 

 天は二物を与えずと言うが、あらゆる天才的な実力だけでなく運までも与えられてしまったようだ。

 そして床に手と膝をついて項垂れるミア。ここまで綺麗な即堕ち2コマは久しぶりに見た。あれほど後悔するなって言ったのに……。

 

 

「これは何かの間違いだ……。タイムアタックもネット対戦もあれだけやり込んだボクが、こんな運だけマンに負けるなんて……」

「ドンマイ。まあ生きてりゃいつかいいこともあるさ」

「その上から目線の慰めやめろ!! もう1回だもう1回!!」

「いいのか? 粉々になったプライドの破片が、今度は文字通り粉末になっちまうぞ」

「実力は運を上回る!!」

 

 

 女子高生(14歳だから実質中学生)を涙目にさせる22歳男性って、もうこれ犯罪じゃないか……? 最悪児童ポル……いやなんでもない。

 だが瞼を腫らして涙目になっているミアの表情はかなり唆られる。さっきまでイキリ散らかしていたメスガキの悔しがる姿をもっと見たいと思うし、もっとイジメたいと思ってしまう可愛さがある。しかもこっちを超睨んできてるけど、そのナマイキな上目遣いも男の情欲を刺激するって気づいてないっぽいなこれ。これだから持ち前の天性の才能と実力、そして運で女の子を分からせるのはやめらんねぇな。

 

 そしてミアの泣きの1回により再度レースをすることになった。

 その結果は――――

 

 

「ウソ……また負けた!? 運がこんなに続くなんてありえない……!!」

「もう諦めろ。この世には逆立ちをしたって覆せない『差』ってものがあるんだよ」

「ただ運が良かっただけのくせに……」

「負け惜しみはやめろ。結局は目の前の現実こそが全てだ。この世は結果なんだよ」

「くっ……」

 

 

 目を赤くして、涙目+ツリ目でベッドに腰を掛ける俺を見上げる形で睨みつけてくる。自分の中のサディスト精神がゾクゾクと刺激され、もう女の子のこの表情を見るために生きてるって感じがするよ。

 

 

「はぁ……。もうやめだ。ほら、晩御飯食べに行くぞ」

「どこへ行くんだ。勝った方は負けた方に命令させることができるんだよな?」

「う゛っ……」

「勝負を諦めたふりをして逃げようたって無駄だ。俺が女の子を好きにできる権利を手放すわけねぇだろ」

 

 

 今日はやたらと自分の口が達者になっているが、あれだけ俺を刺激させるような言葉を放って無様に敗北している姿を見せつけたんだ、そりゃこうもなるって。ただこっちの方が俺の本性だったりするんだけどさ。

 

 

「なにをする気だ……?」

「そうだな。せっかくの個室だし――――こっち来い」

「うわっ!?」

 

 

 俺はミアの手を引いてベッドの上に仰向けで寝かせた。もちろん彼女は何が起こったのかと驚いているようで、瞬きを繰り返して俺を見つめている。

 そして状況を理解したのか徐々に顔を赤らめていく。自分の部屋のベッドに、しかも男に押し倒されるなんて意識せざるを得ないだろう。俺もベッドに腰を掛けながらこちらを見つめる彼女と目線を合わせ続けた。するとミアは恥じらいを感じたのか全身を少し縮こませる。ただ制服のスカートを履いたままなので、もうその奥の下着が見えそうなくらいに捲れあがっているのだが敢えて言わなかった。

 

 しかしこうして見ると、コイツって結構スタイルいいな。14歳でありながらも出るところは出ていて、引き締まっているところはしっかり引っ込んでいる。本人は曲作りやゲーム好きのためインドア派、しかもハンバーガーやピザなどを好むジャンクフーダーなのにも関わらず、下手に肉が付いたりせずにここまでのスタイルを維持できているのは奇跡だ。これもユナイテッドステイツ女性特有の体質なのかもしれない。海外って謎に抜群ボディの女性多いもんな。

 

 ミアのカラダを見ながらそんなことを考えていたのだが、当の本人はまだ戸惑いを隠せていないらしい。そりゃ男に押し倒されるなんて初めての経験だろうから仕方ないか。

 ただベッドに押し倒すだけ押し倒して俺から何もしかけてこないのが気になったのか、ようやくその重い口を開く。

 

 

「襲うのか? ボクを……」

「お前こそ結構満更でもなさそうだけど?」

「驚きすぎて逆に落ち着いてるだけだ。そうか、これが璃奈たちが言っていた零の本性なのか……」

「アイツら何でも喋るな……。どんな尾ひれが付けられてるのやら……」

「聞かされてた通りだよ。『零さんはご主人様気質だから、その嗜虐心をくすぐってあげると途端に猛獣になる』って」

「なんか自分の取扱説明書みたいな感じであまり聞きたくねぇな……」

 

 

 俺の悦ばせ方を知ってそれを利用するのは歩夢たちの得意技でもある。俺のことをひたすら持ち上げて、如何に自分たちに好かれているのか事実を述べて優越感に浸らせようとしてくる。そうなると俺のSっ気のある血が騒いでしまい、いつの間にか襲ってしまっているというのがいつもの流れだ。

 

 今回も似たようなことが発生しており、煽って来たメスガキを分からせ、そして罰ゲームで好きにできるという嗜虐心が昂ることが起きたことによる。いつも強気なミアがここまでしおらしくなっていることから、女の子から見たら今の俺の勢いは猛獣なのかもしれない。

 

 

「本当に強引だな。今も、あの時も……」

「あの時の強引さは純粋な気持ちだったから、今のとはちょっと違うな」

 

 

 ミアが俺に対して語る『あの時』とは、コイツが自分を人前で魅せることに対してコンプレックスがあり、それを俺に打ち明けたあの時のことだ。とは言っても俺がやったことは、コイツの手を握って璃奈の元へ連れて行っただけなんだけどな。しかし当の本人はそれでも恩義を感じてくれているらしい。

 

 

「どうして出会って間もないボクのためにそこまでしてくれるんだって聞いたら、なんて言ったと思う?」

「覚えてねーよ」

「『笑顔が見たいから、ただそれだけだよ』だってさ。たったそれだけの理由で人の心に土足で踏み入って、あんなに真剣になって、こっちの手を取って、導いてくれて……」

 

 

 俺との『あの時』はミアにとっては大切な思い出になっているようで、今押し倒されているなんてことも忘れて過去に浸っているようだ。

 俺が彼女の手を引いたのは、彼女から誰かの曲を作ることしか自分の人生はないと、ある種の悲壮感を感じたからだ。本人は悟られまいと隠していたようだけど、常日頃のドライな態度を見ていれば自然に気づく。諦めムードが漂ってはいたが、何かしらの未練がずっと残り続けてそれに自分を押さえつけられているような、そんな感じがしたんだ。全然笑顔を見せない彼女のことがずっと気になっていた。俺が彼女の手を取る理由はそれだけで十分だったんだ。

 

 

「そう考えると、こうしてお前の部屋で2人きりってのも当時だと考えられなかったな。あからさまにウザがられてたし」

「そりゃ男に付き纏われたら女性なら誰でも嫌悪するって」

「別にストーカーしてたわけじゃねぇよ。ただ全然笑ってくれないから気になってただけだ」

「それだよそれ。ボクを笑わせるためだけに、そこまで自分の時間を他人に注げるんだなって話」

「お前にとっては些細なことだと思うかもしれないけど、俺からしてみれば重要なことなんだよ」

「好きなんだな、女の子の笑顔が」

「そうだけど、ちょっと違うな。俺が好きなのは俺が惹かれた女の子の笑顔だよ。好きな奴の笑顔のためだから頑張れるんだ」

「えっ……? それって……」

 

 

 ミアの顔面が茹で上がる。

 俺は誰しもに手を差し伸べるほどのお人好しではない。ただの利己主義、自分が好きになった奴の笑顔が見たいという、自己満足な理由だ。コイツはぶっきらぼうでクールを装っていて、心の奥底に何かしらの苦しみを抱え込んでいたから、それを解放してやれば笑顔が見られる。そう思ったんだよ。他人のためってより自分のためで、自分のために動いていたらいつの間にか相手を救っていた。いつもそんな感じだ。

 

 

「でも零自身がどう思っているにせよ、強引でも手を繋いで引っ張ってくれる積極さにみんなが惹かれてるんだと思う。安心できるんだ、その大きな手に包まれると。恐らく栞子も、ランジュも、そしてボクも……」

「ミア……」

「手、繋いでもいい?」

「あぁ……」

 

 

 俺が返答するのと同時にこちらの手を握って来たミア。もう最初から握る気満々だったんじゃねぇか……。

 ベッドに腰かけている男と仰向けで倒れている女の子が手を繋ぎ合っている謎の構図。でも彼女は微笑みを見せている。どうやら『あの時』から俺と手を繋ぐ行為に対して高鳴りを感じるようで、以前ハンバーガー祭りに行った時に人混みの中で手を繋いだ時も同じ反応をしていた。人前に出ず1人で作曲活動をすることに人生を捧げようとしていたから、人の温もりに敏感になっているのかもしれないな。

 

 

「いいよ」

「ん?」

「襲っても、別にいい。こっちからの同意があれば、やってもいいんだろ?」

 

 

 自分のカラダを差し出してきたミア。ベッドの上で制服を乱れさせ、スカートが捲れ太ももを晒し、それでいて雌の表情となってこちらを見つめる女の子を相手に我慢できる男がいるだろうか。女性慣れしている俺であってももうベッドに腰を掛けているだけでは衝動が収まらず、彼女の身体の上で四つん這いになった。もちろん手を繋いだままで。

 

 自分から誘ってきたくせにまだ恥ずかしいのか一瞬だけ目を逸らすが、すぐにまた俺と向き合った。どうやら襲われる覚悟を決めたようだ。

 

 

「脱がすのか、これから……」

「馬鹿、まだ早い。お前が大切だからこそ、そういうのは順序立てないとな」

「でも繋がりたいんだ、もっと。零と」

「だったら、やることは1つだろ」

「うん……。来て……」

 

 

 俺は彼女の唇に自分の唇を押し当てた。まだ中学生相当の女の子の小さな唇なので、下手にがっついたら唇全体を飲み込んでしまいそうだ。彼女がある程度こちらに身を委ねていることもあり、勢いを誤ると捕食しかねない。だから敢えて力を抜いて押し潰さないようこちらから唇を絡ませる。女の子の上から自分の想い、熱気、想い、唾液、様々なモノを流し込むのは快感の一言。彼女もそれを丁寧に受け止めており、お互いの唇の接着面が結合し合って熱くなっているものの、俺と繋がっている喜びを感じているようだった。

 

 お互いに手を繋ぎ、指を絡ませたままキスをする。こっちが強く吸い付けば、彼女もそれに反応して指を強く握ってくる。

 

 一通り口付けお互いの想いを伝えあった後、唇を離す。

 

 するとすぐに自分が物凄い汗をかいているのが分かった。いつも通りみんなとキスをすると発症する症状であり、俺の中になる女の子からの愛を受け止めるキャパシティが大きくなることに伴う副作用みたいなものだ。ただ昨日栞子とキスをして同じ症状を患ったばかりなので、こうも連日高熱のダメージを受けるとそろそろこの身体もヤバいかもしれない。でも女の子との愛を確かめ合うのを後回しにしたくない。お互いに相手を求める最高のタイミングは今この瞬間しかないんだから。

 

 

「はぁ……はぁ……。キスってこんなに疲れるのか……」

「悪い。気分が昂って思わずがっついっちまった。これでも力を抜いたつもりなんだけどな」

「いいよ、ボクが求めたことだから。それにこうしてまた繋がることができて、幸せって言葉を初めて実感できた気がするよ。自分だけの殻に閉じこもっていた時とは違う、とても開放的な気分だ」

「それだよ、その顔。お前の幸福に満ちた表情こそ俺の見たかった顔だ」

 

 

 この表情を見るために『あの時』コイツの手を握ったようなものだからな。満足しているのはむしろ俺の方かもしれない。

 

 

「よし、そろそろ飯でも食いに行くか」

「待って。もうちょっとその……零の味を味わっていたい。残ってるから、キスの感覚……」

 

 

 それ俺の唾液が口内に残ってるってことか。頬を紅くしてロマンティックな雰囲気を醸し出してるけど――――

 

 

「変態だな、お前も」

「う、うるさいっ!!」

 

 

 顔を真っ赤にして全力で否定してきた。

 いい表情だ。これからももっと見せてくれよ、お前の魅力(カオ)を。

 

 




 今回はミア編の最終章でした!
 前回の栞子回と同じく前半は日常パート、後半はお真面目パートだったのですが、意外と日常パートの仲睦まじさも気に入っていたりします(笑) むしろ私は日常系の方が本職なので、そっちの方が書きやすかったり……。

 後半パートについては、やっぱり年齢が中学生の女の子の唇を奪ったという背徳感が私は好きです(笑) 元々そういった特殊性癖の持ち主なので、真面目な純愛よりかは零君が言っていたようなご主人様気質のハーレム展開が好みですね!

 次回はランジュ編となります!
 ちなみにキスノルマは残るは次のランジュと……あと1人歩夢だけになりました。
 恐らく3月末には虹ヶ咲編2も完了できる予定なので、是非最後までお楽しみいただければと思います!




 以下、にじよんアニメ4~7話(この小説ver)の小ネタの超短編。


~第4話:小さい頃~

「お兄さんの幼稚園時代ってどんな感じだったんですか?」
「ん? やたらと女の子におままごとに誘われたり、お弁当を作って来てくれたり、身の回りの世話をしてくれたり、まあ色々あったな」
「今と状況変わらない!!」


~第5話:歌~

「歩夢たちからお兄さんは歌も上手いって聞きましたけど、ちょっと聞かせてくださいよ~♪」
「そんな笑顔でお願いされても、人前で歌うのは苦手だから無理だ」
「えぇ~!? 笑顔作ったの損したぁ~」
「魂胆が見え見えなんだよ。それに俺の歌を聞くのはやめておいた方がいい。歌い終わったら歩夢たちいつも昇天してるから」
「それトリップしてるんじゃ……」


~第6話:ゲーム~

「この璃奈のゲーム、結構ムズイな」
「もしかしてお兄さん、ゲームは得意じゃなかったり? あのお兄さんが??」
「なんだその煽りは……」
「これならお兄さんに勝てる。ようやく私がお兄さんに上に立つ時が……!! うぉおおおおおおおおおおっ!! 絶対に極めるよこのゲーム!!」
「普段どれだけ俺に抑圧されてたんだよ……」


~第7話:ババ抜き~

「お兄さんババ抜き強すぎ! ゲームは苦手じゃなかったんですか!?」
「人と向かい合ってするゲームは得意だ。表情や目線で相手の心情を読み取れば余裕余裕」
「なんかメンタリストみたいですね……」
「なんならさっきのババ抜きも、お前の瞳にカードの絵柄が映ってたからな」
「はぁ? そんなの見えるわけが――――」
「だってカードが映るくらい綺麗だし、お前の眼。吸い込まれるように見入っちまう」
「な゛っ……!? も、もうっ、いつもすぐそんなことを言うんだから……」


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