ラブライブ!~蓮ノ空との新たなる日常2~   作:薮椿

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 今回から『Liella編』の第二章が開幕します!
 結局やることはいつも通りですが、キャラも変われば雰囲気もガラッと変わるもの。またお付き合いいただけると嬉しいです!



Liella編2
Welcome to the NEXT LIVE!


 教師生活2年目も、既に夏から秋に代わりつつある季節となった。

 流石に社会人の日常も1年半が経過すると今の生活にとことん馴染むようになり、1年目の春と比べると大人として色々と成長できている……と思う。大学時代も年下の子に勉強やら何やら教えることは多かったけど、これだけの多くの人数を一度に指導するのはもちろん初めてなので、これでも最初は不安がないわけではなかったんだ。ただそれなりにお嬢様寄りの学校で生徒の治安も良かったためか、教師ボイコットによる学級崩壊みたいなことが起きなくて助かったよ。まあ漫画やアニメで見るような素行不良な奴は現実にはあまりいなんだろうけどさ。

 

 ただ、そうやって平穏な日常を過ごしているとどうしても気が抜けてしまう。社会人生活にも慣れてきた今だからこそ、どうしたら効率良くハメを外せるのかも自然と覚えてきやがった。そしてそれを一度身に沁みついてしまうとどうも本気を出すことができなくなる。つまりサボっちまうってことだ。まあ俺の場合は普段の素行は悪いが結果を出す人間なので、理事長からは特に注意を受けていない。むしろあのババアこそ秋葉を使って俺をここに呼んだ噂があるので、いくら俺の素行が悪くて手放したくても手放せねぇだろうけどな。

 

 もちろんやることはやっている。とある連中による執拗な顧問の勧誘によってとある部活の顧問にさせられてからというもの、教師だけでなく部の仕事まで降りかかってきて迷惑ったらありゃしない。まあ練習メニューなどの各種調整は教育という名目でアイツらに丸投げしているため、俺がやってることと言ったら理事長への活動報告くらいだけどな。まぁそれもサボりがちだけど……。

 

 そして、その部活も今年度から新入生が4人も加入してノリにノっている。ただそれだけ俺が面倒を見る奴の数が増えるわけだが……。

 

 

「あっ、先生こんなところにいたっすか!」

「あん……?」

 

 

 休憩室で適当に時間を潰しているところを、茶髪でおさげをした地味めな女の子に見つかった。

 桜小路きな子。今年度から結ヶ丘に入学した新入生の1人であり、俺が顧問をするスクールアイドル部の新入部員でもある。道民から上京した田舎っ娘であり、『~っす』という語尾が特徴的。大らかで明るく人当たりも柔らかでおっとりとしている。勉強も運動も特筆すべき点はないが、それを自覚しているので、スクールアイドルとして活動することで自分を変えようと頑張っている健気な子だ。

 

 

「理事長が探してたっすよ。部活の月次報告資料がまだ自分のところに上がってこないって言ってました」

「それをどうしてお前が連絡して来るんだ」

「理事長がきな子たちスクールアイドル部に先生を探すように頼んできたっす。携帯に連絡を入れても返事がないからって」

「ったく、自分の生徒をコキ使うなんて偉くなったもんだな」

「いや理事長なのでこの学校で一番偉いっすけどね……」

 

 

 一番偉いのなら資金難で学校の存続不可の状況に陥るなっての。もう去年の話で解決していることだが、新設校なのに金の問題が浮上するってマネジメントどうなってたんだよ。

 そもそもあのババア、俺が教師としてこの学校に入った時から挨拶運動のために朝早くに駆り出したり、親友の娘のことが心配だからとか言って生徒会の様子見を押し付けたり、今の様にスクールアイドル部にすら干渉してきやがる。そんな面倒な奴に関わりたくねぇっつうの。

 

 

「きな子ー。先生いたか――――って、いるじゃん!」

「メイちゃん! 四季ちゃんに夏美ちゃんも、先生確保したっす!」

「ナイス。これで夏美ちゃんにハイスピードシューズを履かせて、学校中を探し回させずに済む」

「なにを安心した風を装っているんですの。さっきまでじゃんけんに負けた私にノリノリで靴を履かせようとしてたくせに」

「賑やかになりやがったな……」

 

 

 そしてぞろぞろと集結する1年生組。

 米女メイ。新入生の1人であり、きな子と同じくスクールアイドル部の新入部員である。斜に構えた、一見とっつきにくい不良っぽい女の子。そのせいか周りから怖がられることも多いが、実はスクールアイドルを含め可愛いモノ好きという非常に女の子らしい性格である。ただ好きな気持ちを素直に表すことができず、素直になれないツンデレさを持ち合わせている純情な子だ。

 

 若菜四季。同じく新入生の1人でスクールアイドル部。無口であまり人に接することがなく、一人遊びが大好き。性格は冷静沈着。ミステリアスな雰囲気で感情を口にすることは少ないが、親しい人に対する熱量は人一倍強い。科学部との兼部であり、普段は表情が乏しくて言葉も総じて片言である。時折怪しい発明品を披露していることから、秋葉を思い起こさせるのでちょっと警戒してしまう。

 

 鬼塚夏美。もう紹介するまでもなく新入生でスクールアイドル部員。お嬢様育ちなのか口癖なのか、それともキャラづくりなのかは不明だが、語尾に『ですの、ますの』などを付ける。髪色は金色で、毛先にピンクのグラデーションがかかっている派手な見た目。それもそのはず動画配信サイトエルチューブの動画配信者であり、自身の人気を上げることに関しては余念がない。明るくて前向き、流行に敏感で、行動力があり何でも挑戦してみるタイプの女の子。目的のためには手段を選ばない所もあり、裏から手を回す作戦を考えることもしばしば。まあ大抵上手く行かずに貧乏くじを引かされるんだけども。

 

 以上が今年スクールアイドル部に入部した新入生4人である。どいつもこいつも個性が強く、ただでさえ騒がしかった部もより一層の活気に満ち溢れているのが現状だ。手のかかる奴しかいないけど、それはそれでいつも通りの俺の日常だからもはや気負うこともない。むしろスクールアイドルになるような奴らだから4人共容姿も良く、余裕で一般の女子高生以上の魅力を持っているから、男としてはそんな子たちを指導できるなんて勝ち組と思われるかもしれないな。まあそれも俺のいつもの日常なんだけども。

 

 

「ほら先生、早く理事長のところに戻らねぇと。このままだとスクールアイドル部が活動停止になっちまう」

「はぁ? なんだよそれ」

「理事長が言ってた。すぐに先生を見つけないと部活動停止の処分を下さないといけないかもって――――笑顔で」

「んだよそれ。どうせ俺を引きずり出すための嘘だよウソ。なりふり構ってねぇなアイツも」

「理事長をアイツ呼ばわりって相当抑圧されてるっすね……」

「新任の頃から相当イジメられてるからな」

「これがブラック企業の実態!? このネタを今すぐに動画に……は、流石にリアリティがありすぎて笑えませんの……」

 

 

 いつか絶対に下剋上をして立場を逆転してやるからそう思え。そうやって反乱を企てなければならないあたりブラックな職場だと思われがちだが、学校の雰囲気も生徒も他の教師も悪くないので、やっぱり懸念はあの意地悪理事長くらいなんだよな。まあ意地悪とは言っても秋葉の息がかかってるわけだし、それだけ俺に期待してるってことなんだろうけどさ。向こうも向こうで面白がって、俺も俺でなんだかんだ楽しくやってるから、その余裕そうな様子を見て俺に仕事を振ることに味を占めているのかもしれない。困ったもんだよ。

 

 

「先生って最近やさぐれ気味じゃないっすか? 授業以外の時は気ダルそうにしていると言うか、なんだか覇気がないって言うか」

「教師生活も1年半経って慣れたし、新入生の顔も性格も大体覚えて、お前ら新入部員とも馴染んだ。そりゃもう気を張る要素がなくてサボりがちになるって。むしろこっちの俺の方が素と言った方がいいかもな」

「意外。私を勧誘した時はあんなに情熱的だったのに」

「だったら私もそうですの。ここにいるみんなで北海道に行った時に、熱い気持ちで本心を引きずり出されましたの」

「私だって一緒だ。先生から『スクールアイドル好きってことを隠しても無駄だ。やりたいことを隠すのももっと無駄だ。お前自身の抱く情熱が全部教えてくれてんだ! いくら隠しても隠し切れないお前のオーラが俺にはっきりと!』って」

「そんなの一字一句覚えてんじゃねぇよ……」

 

 

 コイツらの先輩のかのんたちもそうだけど、俺に言われたことを一言一句違わず覚えているのはやめて欲しい。下手な発言をしたら忘れた頃に蒸し返されて、最悪黒歴史になったりそれで脅されたりされかねないから。あまりクサいセリフを吐くのは柄じゃねぇけど、熱くなってしまうとどうしても思い浮かんだ言葉がそのまま口に出てしまうことがままある。そして後からその言葉をかけた相手に掘り返されて、今みたいな羞恥プレイに遭うわけだ。

 

 コイツらがここまで俺の言葉を覚えているのも無理はない。多感な時期である思春期に1世代上のお兄さんポジションである俺に自分の悩みを解決してもらったら、そりゃ誰でも脳裏と記憶にそのことが刻み込まれるだろう。魅力的な男性に熱い言葉をかけられて、記憶に残らない思春期女子はいないってことだ。つまりコイツらが過去を蒸し返すのも結局は俺のせいってことか……。

 

 

「でもきな子は先生のおかげで今スクールアイドルをやれているっす。自分を変えるきっかけをくれた先生には感謝してもしきれないし、あの時の言葉だってきな子の心にずっと残ってるので……」

「「「………」」」

「な、なんっすかみんな!? じっとこっちを見つめて……」

「いや、不意打ちで告白するなんて中々に大胆だと思いまして……」

「きな子ってそういうところあるよな。天然で毒舌を発揮するところとか、逆に想いをドストレートに伝えるところとか」

「それがきな子ちゃんのいいところだと思う。いい告白だった」

「こ、告白じゃないっす!! 気が抜けている先生を元気づけようと思って、それ以上でもそれ以下でもないっす!!」

 

 

 いや明らかに他意がありまくりだろ。さっきから頬を染めて俺の方をちらちら見て来るし、何かしら別に思うところがあるに違いない。幾多の女の子と恋愛をしてきた俺であればその気持ちが何なのかは察しが付くが、本人がまだその気でないみたいなので敢えて黙っておいてやるか。

 

 

「それを言うならメイちゃんだって、先生の前だと一回り女の子っぽくなってるっす!」

「は、はぁ!? どこがどう見てそうなってんだ!? あぁ!?」

「追い込まれるとそうやって得意の威圧で無理矢理押し切ろうとするのがメイの性格。そして可愛いところ」

「つまりこうして圧をかけているってことは、きな子が言っていることは図星ってことですの。確かに単純で分かりやす――――」

「夏美! 今すぐここに埋めてやろうか……」

「顔が真っ赤で無理して怒り顔を作ってるのがバレバレですの」

「うきぃいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!」

 

 

 なんだその呻き声はサルかよ。

 ただ不良っぽい見た目のメイが案外普通の女の子っぽい反応をするってのはその通りだ。羞恥心を感じたらそれを隠すために言葉も態度も普段の一回り荒くなる。しかもすぐに表情に出るので夏美が言っていた通り単純で分かりやすい。それ故に可愛いと言われてしまう。だからこそ1年生の中では一番乙女と言われてるのかもしれない。

 

 

「んなこと言ったら四季だって、先生に本心を見抜かれて頬がぐちゃぐちゃに緩んでたの知ってるぞ!」

「っ!? そ、そんな事実はない」

「いいや、私はよぉ~く覚えてる。今まで幾多の告白を受けても一切靡かなかったお前が、初めて男に心を開いた瞬間なんだから」

「そ、それは男に惹かれたのではなく先生だったからで――――!?」

「それより具体的になりすぎて余計に自爆してますの……」

「澄ました顔をしてるっすけど、四季ちゃんもこちら側みたいでなんか嬉しいっす!」

「くっ、そろそろ禁断の記憶削除のクスリを試薬させるときが来たかも……」

 

 

 物騒なことはやめてくれよ……。

 四季も四季で手のかかる奴だった。なんせ表情変化が璃奈と同じくらいになさ過ぎて、本心に潜り込むまでに相当苦労した覚えがある。その分それなりに仲良くなった後は向こうから色々と話してくれたもあって、今の様に恥ずかしがる顔など表情変化も僅かだが見られるようになった。璃奈もそうだけど、無表情キャラが感情的になる瞬間はいいよな。

 

 

「全く、皆さん仮にもアマチュアでもアイドルなのですから、スキャンダルはほどほどにしないとダメですの。いつ私の動画にネタとして投稿されるとも知らずに……」

「夏美ちゃん、北海道のことを棚に上げる気? 先生と2人きりで話していた時、私たちが手を差し伸べたとき、その時の顔を今でも覚えてるから」

「う゛っ!? あの時はこれからの自分の晴れ舞台を想像して思わず有頂天に……」

「いや、涙を流してたっす」

「あぁ、いつものイキリ顔が崩れてただのオンナだったぞ」

「先生が自分が夢を持つ後押しをしてくれたって、ずっと感謝して涙してたのきな子たち忘れないっすから」

「むしろ夏美ちゃんのその素顔を動画化した方が再生数が増えるかもしれない」

「うっ、ぐぐぐ……」

 

 

 さっきから人を散々煽っておいて、いざ自分に矛先が向くとポンコツになるのはネタなのか……?

 夏美は俺の出会った子の中では珍しい悩みを持っており、やりたいことがあっても手が届かないから夢を持つことを諦めた女の子だった。そしてコイツを後押しするために1年生だけの合宿にお邪魔したことがある。そのことはまた追々話そうとは思うが、確かに初めて打ち込みたい夢を持ったコイツが泣いてたことは事実だ。まあそれをきな子たちに見られていたので、蒸し返されたら今の様に唸るしかないみたいだけど……。

 

 そんな感じで全員が平等に集中砲火を受けた。4人共スクールアイドル部に入る前に何かと一悶着あり、そのせいで俺のお節介が自制を無視して発揮された結果が今に至る。かのんたちもそうだったけど、みんな入部の話に曰くつきなのは何故なんだよって話。そのせいで全員に対して何かと気に掛けるハメになっちゃったので、1人くらい何の悩みもなくスッと入部をして俺に楽させて欲しかったよ。

 

 

「あっ、先生いたぁ!!」

 

 

 耳に響くこの声。休憩室の入り口に目を向けて見ると、スクールアイドル部の部長となった千砂都がこちらを覗き込んでいた。そして後ろにかのん、可可、すみれ、恋の2年生組が全員揃っており、ぞろぞろと中に入って来た。これで9人全員がこの場に集結したことになる。しなくてもいいけど……。

 

 

「先生どこへ行っていたのデスか! 理事長さんがずっと探していて、可可たちにも探すのをお願いされたマシタ」

「ちょっと休憩してただけだって。少しいなくなっただけで騒ぎ過ぎだっつうの」

「でも理事長も心配しておられました。部活動の報告がまだ上がってこないから、もしかしたら体調不良なのかもしれないって」

 

 

 それはお前たちに俺を探す依頼を押し付けるためのババアの策略だよ。俺に何かあったと思えばお前らが乗ってこないわけねぇからな。

 つうか何かと監視して来るのは誰の命令だ? どうせ秋葉なんだろうけど、また変なことを企んでないといいが……。

 

 

「てかアンタたち、先生を見つけたのならサッサと連絡しなさいよ」

「夏美ちゃんが暴走するからっす」

「いやきな子こそ火種だっただろ」

「それを言うなら火を拡大させたメイこそ黒幕」

「集中放火してきた皆さん全員が悪いんですの」

「えぇっと、先生……?」

 

 

 かのんがたじたじになりながらこちらを見つめる。

 てか俺だって誰のせいとか知らねぇよ。コイツら全員が勝手に暴走して、勝手に俺との過去を思い出し、そして勝手に恥ずかしがっていただけだ。去年のかのんたちもそうだったけど、この学校の生徒は漏れなく恋愛系に弱いのか??

 

 

「分かった!」

「ちぃちゃん?」

「つまり先生がきな子ちゃんたちを垂らしていたってことだよ!」

「「「「あぁ~」」」」

「納得すんな2年共」

 

 

 かのんたちは俺の本性も過去も知っている。だから千砂都が放った簡単な名(迷)推理だけでさっきこの場で何が起きていたのかも察したようだ。

 いや原因は俺が見境なく女の子に寄り添おうとしているからかもしれないけど、コイツらが羞恥心に弱くなったらさっきみたいな集中砲火合戦にはなってねぇからな?

 

 

「とにかく、先生が見つかったのならみんなにも報告しよっか」

「みんな?」

「はい。友達にも連絡をして、一緒に先生を探してもらっていたので」

「1人探すためだけにどれだけ話を大きくしてんだよ」

「みんなそれだけ先生のことが好きだってことデスよ!」

「好きなんだったら、それこそ俺の好きにさせてくれ……」

 

 

 俺が女の子のたくさんいる現場にいると、やたらと女の子側から構ってくるのが常だ。それは過去の学生時代でも教師時代の今でも変わらないが、生徒1人1人に指導する立場である今の方がその傾向は強い。やはり個々人の面倒を見てやってるからこそ好意を寄せられるのか。その人数が学院の生徒となると数は膨大になる。なるほど、だから俺を探すのに協力してる奴らが多いのか。それだけの人数が目を光らせてるとなると、もしかしてもう俺の安息の場所はなかったりする……??

 

 

「あっ、かのんちゃん! センセー見つかったんだね!」

「七海ちゃん! うん、ここでサボってたみたい」

「なるほど。センセー、あまりかのんちゃんたちを困らせたらダメですよ」

「七草……?」

「どうかしましたか?」

「いやなんでも。余計なお世話だ」

「つれなーい! じゃあみんなにもセンセー見つかったって伝えておくね!」

「うん、ありがとう」

「先生もまた! フフッ♪」

「あ、あぁ……」

 

 

 休憩室にひょっこり現れたのは、かのんの友達である七草七海だ。μ'sの穂乃果の友達にヒフミトリオという仲良し3人組がいたのだが、ソイツらと同じくかのんたちスクールアイドルをサポートにも大いに貢献している奴らの1人だ。

 

 だけど――――

 

 

「なぁかのん。七草ってイメージ変わったか? 前までは三つ編みだったのに今は髪を伸ばしてツインテールになってるし、制服も結構着崩していて、かなりイマドキ女子っぽくなってるっつうか……」

「そうですね。2年生になってから凄く明るくなった気がします。去年の時も十分に明るかったですけど、今はなんと言うか、ちょっと掴めない不思議な感じになっていると言いますか……。上手く表現できないですけど……」

 

 

 ここから立ち去るときの俺の向けられた、あの妖艶で小悪魔的な笑み。まるでこちらを見透かしているかのような、ただの笑顔ではない。去年はどちらかと言えば地味っぽい子だったのに、この4月からイケイケ女子っぽくなっている。もしかしたら何か裏が……?

 

 ――――って、考えすぎか。華の女子高生がイメチェンのために容姿や性格を変えてみるのは良くある話だ。それは大体中学から高校に上がった時など学校が変わった時に起こるもので学年が変わって起きるのは珍しいが、さほど気にすることでもないだろう。思春期だからこそ今の一瞬をイメチェンして楽しみたいってのもあるだろうしな。

 

 

「あっ、あのウィーン・マルガレーテがライブ動画を投稿していマス! おぉっ、やっぱり凄いパフォーマンス力デス!」

「どれ、私にも見せて見なさいよ」

「私も、私も見たい!」

「んな凄いのか、ソイツ。お前らがよく話題に出してるけど」

「先生も一度見て見るといいデス! ほらっ!」

 

 

 可可がスマホをこちらに突き付けてきたので、そこに流れている動画を鑑賞してみる。

 以前コイツらが話題に出していたことは知っているが、スクールアイドルのライブ動画なんて日常的に見ないのでその実力がどれほどのものかは全く知らない。そもそも今までたくさんのスクールアイドルと関わってきている俺からしたら、生半可なライブでは感動もしないがな。

 

 ――――なんてイキリっぷりを披露したが、即堕ち2コマだった。

 その動画は確かに俺をも惹きつける魅力があった。一言で表すなら『エレガント』。上品で優雅、気品のあるしなやかなパフォーマンスに俺としたことが釘付けとなってしまう。最近活動を始めたらしいのだが、もう初心者とは思えないそのライブに俺も、そしてコイツらも魅了されてしまっていた。自分と関わりのある奴らのライブであれば感動したことは何度もあるが、全く知らない奴のライブにここまで引き込まれるのは初めてだ。まるで俺をピンポイントで狙い撃ちしているかのような歌、ダンス、演技、音楽の雰囲気。たまたまか、まぁそうだろうけど、ここまで俺の気を惹ける奴がいるとは偶然は恐ろしいな。

 

 

「ウィーンさんの動画を見てたら、きな子もやる気上がってきたっす!」

「あぁ、これだけのライブをされたら黙っちゃいられねぇな」

「次の大会ではこの人よりも上に立つことで、私の実力と魅力をたっぷりと見せつけてやりますの」

「私じゃなくて、私たちでしょ。でもこんな素敵なライブを魅せられたら、燃える」

 

「おぉ~凄い。1年生たちがやる気満々だぁ!」

「このメンバーであれば、去年敵わなかった優勝が見えてくるかもしれませんね」

「だったら私たちも、1年生のやる気に置いていかれないようにうかうかしていられないわね」

「今年は絶対に頂点に立ちまショウ、かのん!」

「うんっ!」

 

 

 熱くなってきたな。

 教師生活にも慣れ、新入生たちとの交流にも慣れて気が抜けていたけど、ウィーン・マルガレーテのライブ映像とコイツらのやる気に触発されて俺も少し熱くなっちまった。可可たちに無理矢理やらされている顧問だけど、やるからには教え子たちをラブライブの優勝に導いてやりたい。そう思うと秘めていた情熱が湧き上がってくる。

 

 冷めていた心が一気に燃え上がった。やっぱりいいな、スクールアイドルって。魅力のある可愛い女の子たちが最高のステージで競い合う。今回は俺が息のかかったコイツらをその舞台の頂点に立たせてやる。そのためにはかのんたち2年生とはもちろん、1年生たちとももっともっと交流をして絆を深めていかないといけないな。

 

 

 新たな目標に想いを馳せて、ここから俺の教師生活本当の2年目が始まった。

 目の前にいる新たな女の子たちとの恋物語。そして、まだ俺の知らないところの恋模様も、もう既に動き出していた。

 




 そんなわけで『Liella編2』が始動しました!
 スパスタ2期の放送からかなり間が空いてしまいましたが、そのおかげで『虹ヶ咲編2』進行中にこの章をどのようなストーリーにしようか構想を練ることができたので、この充電期間は無駄じゃなかったと思います。

 前回でメインを張っていたかのんたちはもちろんですが、今回は2期生たちをバリバリに活躍させていく予定です。
 そんな感じで今回は顔見せ回でしたが、2期生以外にも零君が気にしている女の子が2人ほどいました。今後の展開にご期待ください!



 以下、この小説でのアニメ展開の扱いについて。
 アニメについて突っ込むところがあるので、不快に感じた方がいらっしゃったらゴメンなさい!

 ご存じの方も多いと思いますが、スパスタはアニメ展開が雑と言われるほどの評価で、pixiv百科事典にも炎上騒動がまとめられるほどでした。
 もちろん私もアニメ展開には思うところが多々あったので、この小説ではあるアニメのストーリーをやや改変しようと思います。ただ、この小説自体がアニメから逸脱したオリジナルストーリーなのはいつものことなので、その改変内容を知らなくても楽しめるようにはする予定です。

 改変内容自体は零君が女の子たちの悩み解決をしたのはいつものこととして、今回の場合は夏美の勧誘に2期生が手を差し伸べたことなど、軽くですが自分が納得のいくストーリーになるようにアニメ展開は捻じ曲げる予定です。
 まあこの小説を今まで読んでいる方であれば、多少の改変はもはや気にならないかもしれませんね(笑) そもそもμ's12人ですし(笑)


 以下、上記を踏まえたキャラの紹介です。

《神崎零》
 いつも通りの主人公で、性格もいつも通りです。

《澁谷かのん》
 アニメでは声優も認めるほど教祖化していましたが、この小説では引っ込み思案と優柔不断な性格は初期の彼女からあまり変わらないようにします。あと零先生への依存度が高い。

《唐可可》
 すみれイジリがかなり酷かったですが、この小説では軽口を叩き合う微笑ましい仲に。なんだかんだ2人で一緒に出掛けたりもするらしい。

《嵐千砂都》
 アニメだとかのん信者感が凄かったですが、部長にもなったということで、この小説では自己主張が強めになります。

《平安名すみれ》
 この小説ではアニメよりもカリスマ性が高く、それなりのインフルエンサーになっているらしい。

《葉月恋》
 ゲーム好きになったのはこの小説としてはいいキャラ付けなのですが、生徒会長としての活躍がアニメで少なかったので、この小説ではその設定も活かしたい。

《桜小路きな子》
《米女メイ》
《若菜四季》
 特に変更なし。強いて挙げれば四季メイの活躍がアニメで少なかったので、この小説では活躍させてあげたい。

《鬼塚夏美》
 アニメだと結構な問題児。ただそういう子ほどこの小説ではネタとして輝ける。それでも夢を持つ人たちの気持ちは汲み取ってあげられる優しい子にしたい。

《ウィーン・マルガレーテ》
 零と面識はないが、何故か彼の情熱を呼び覚ますパフォーマンスを披露した。何故かは不明。零自身も何か感じるところがあるらしい。アニメだとキツイ性格だけど、この小説では気高いけどそれなりに温和にしたい。

《七草七海》
 アニメだと『ナナミ』だが漢字名を付与。アニメだとただの三つ編みモブだったが、この小説では赤髪のツインテールで超絶美少女となったり、笑顔が不敵だったり謎多き女の子。




 またキャラの設定に追加があれば更新していきます。
 それでは、新章もよろしくお願いします!
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