ラブライブ!~蓮ノ空との新たなる日常2~   作:薮椿

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 相変わらず文化祭編はストーリー主体なので、いつもの日常回を期待してくださる方はもう少しお待ちください!



恋色渦巻く文化祭(情愛)

「ウィーン、マルガレーテさん……?」

 

 

 澁谷かのんです。

 先生の居場所を掴めそうだと思った矢先、いきなりのウィーン・マルガレーテさんの登場で私たちは目を丸くした。私はさっき一度会ってるからまだしも、この場にいる恋ちゃんも夏美ちゃんも、表情変化が乏しいあの四季ちゃんまで分かりやすく驚いている。

 

 ウィーンさんはこちらに歩み寄って来ると、四季ちゃん開発のストーカー御用達装置からモニターを取り外す。その画面には、先生が落としたであろう腕時計に付着していた油から割り出した本人の所在が赤く光り点滅していた。

 

 

「この光っている場所にあの人がいるの?」

「あの人っていうのは先生のことだよね……? いるにはいるらしいんだけど、その場所には本来教室とか、人が入れる場所はないって恋ちゃんが……」

「…………」

 

 

 黙ってモニターを見つめたままのウィーンさん。顎に指をあて、何やら考え事をしている様子。

 そんな中、夏美ちゃんたちがウィーンさんに聞こえない程度の小さい声で私に話しかけてくる。

 

 

「どういうことですの?? どうしてウィーン・マルガレーテが先生を探しているんですの……!?」

「知らないよ……。でも先生と会った時、なんか様子がおかしかったんだよね。顔赤かったし」

「まさか、先生のことが好き……とか?」

「えっ、先生とウィーンさんって知り合いなのですか?」

「それは違うと思うよ。少なくとも先生は初対面みたいだし……」

 

 

 先生自身がそう言ってたから間違いないはず。でもウィーンさんの方は先生に対して並々ならぬ興味を抱いているような気がする。私たちと話している時や、文化祭の来場者にサインのファンサービスをしていた時は、どちらかと言えば事務対応的な淡々とした感じだった。

 でも先生を前にすると人が変わったかのように恥ずかしがり、取り乱していた。周りには気付かれないよう頑張って抑え込んでいたみたいだけど、隣にいた私には分かる。先生だけには他の人とは違う感情を抱いているんだと。それは今もそうで、普通の部外者であれば先生を探すのに協力的にはならないはずだから。

 

 そんな考察をしていると、ウィーンさんはモニターから目を離してこちらに向き直る。

 

 

「他のLiellaのメンバーを集めて。今すぐに」

「えっ、みんなを? どうして?」

()()()に対抗するために数の暴力が必要なの。あなたたちだけが向かっても簡単に論破されて、無様に敗北するだけよ」

「どういうこと……?」

「いいから早く。早くしないと――――先生が食べられてしまう」

「ええっ!?」

 

 

 私だけではなく恋ちゃんたちも声を上げる。

 言っていることの意味が分からなくて頭が混乱しそう。先生のところに行けば分かるってことかな……? それでもみんなを集める意味も分からないけど、どうやらウィーンさんが何かを掴んだことは確かだし、協力してくれるのであればそれに乗っかった方がいいよね。それに先生に何か起こっているのであれば早く見つけ出してあげたいもん。

 

 

「それでは私から連絡します」

「うん、お願い」

 

 

 ウィーン・マルガレーテさん。なんだかこうして見ると私たちより断然大人って感じがするね……。先生の前でなければ落ち着いてるし、感情も乱すことなく冷静沈着。雰囲気も結構上品でお堅いから、ステージの上だとあれだけ柔らかくしなやかになるのが今の様子からだと全然想像できないな。

 

 そんなわけで、Liellaメンバーをみんな呼んで先生のところへ行くことになった。

 ウィーンさんは急かしてきたけど、一体何が起こってるんだろう……。

 

 

 

 

~※~

 

 

 

 

 七草は知っていると言った。俺とμ'sの関係も、スクフェスで明かされた俺の失くしていた過去のことも。

 俺に馬乗りになっている七草は目を細めて悪戯に微笑むばかり。今までずっと溜めて来たその話題をいつ解放するのか、タイミングを今か今かと待っていたのだろう。そして2人きりになれるこの時を狙った。誰にも聞かれず、そして俺の驚く顔を見られるこの時を。

 

 

「どうして知っているんだ、俺のことをそこまで……」

「えぇ~? もう質問の回数残ってないんだけどなぁ~」

「いいから言え。もはやお前のお遊びに付き合うつもりはない」

「横暴だね。男らしいとも言える。あんなにたくさんの女の子と付き合える秘訣はそれかぁ」

「それも知ってんのか……」

 

 

 俺が二股どころではない、たくさんの女の子と関係を持っていることさえコイツは知っているようだ。そこまで知っているんだったら、もはや俺のことは1から10まで何もかも把握しているのだろう。

 スクフェス前に歩夢たちと初めて会ったときと同じ感覚に陥る。俺の知らない子が俺のことを熟知しているこのちょっとした恐怖。それが珍しくないあたり、俺の人生ってフリー素材になり過ぎだろ……。

 

 とにかく、俺のことを性的に食いたい衝動でこんなことをしたのではなさそうだ。俺のことを知り尽くしたうえで出入口もなさそうなこんな教室を用意するなんて、コイツもかなり本気の様子。最初は適当に付き合って隙を見て立ち去ろうと思っていたが、どうやら根掘り葉掘り聞き出す必要がありそうだな。

 

 

「もしかして逃げ出そうとしてる?」

「いや、お前のことを知りたくなったからもう少しここにいることにするよ」

「センセーがどれだけここにいられるのかは私次第だけどね。ま、あれだけヤリまくってるセンセーならそう簡単に尽き果てないとは思うけど」

「そんなことまで知ってるのかよ……」

「もちろん! 好きな人のことは何でも知りたいからね」

 

 

 人の過去や性事情まで掘り起こすのは明らかなプライバシー侵害だし、もはやストーカーの類だろ……。

 好きというのは恋愛的な意味だろうか。今の状況は明らかに普通の女の子が好きな人に対して取る行動とは思えないので、どちらかと言えば狂って見える。かのんたちよりずっと前から俺のことを好きだったと言ってたので、コイツにもそれなりの事情があるのだろうか。

 

 

「じゃあもう脱がしちゃっていい? 脱がすね」

「まだ俺の質問に答えてもらってないんだけど……」

「言ったでしょ、もう回数は残ってないって。そうだねぇ、私が満足した後でなら答えたげるよ」

 

 

 好きな男を目の前にして性欲が溜まるとか、思春期男子並みの性欲してやがるなコイツ。このままだと誰かが探しに来てくれるまで時間を稼げそうにない。

 それにしてもアイツおっせぇな。気絶させられる最中、意識が朦朧としながらも何とか腕時計を廊下に残してきたのだが、アイツらもしかして鈍いのか……? 四季の発明品を使えば場所くらいすぐ分かると思ったんだけど……。入り口が隠されている教室っぽいし、もしかしたら探してはいるけど教室が見つからないパターンかもしれない。最悪なのは俺がどこかでサボっていると思われていることだけど、流石に連絡なしで急にいなくなっているのでそれはないよな……?

 

 ただ、その心配は杞憂だったようだ。

 ピンク色のネオンが光るこの薄暗い部屋に、突如として自然光が差し込んできた。七草はここで初めて余裕を崩した顔をしてそちらを振り向く。

 

 

「こんなところに教室があっただなんて、驚きデス……」

「何もない壁が実は回転ドアだっただなんて、まるで忍者屋敷ね」

 

 

「可可と、すみれか?」

 

 

「あっ、あそこに先生がいるっす!」

「ていうかこの教室くらっ!? それにこのピンクのライトはなんだよ!?」

 

 

「きな子にメイまで……」

 

 

「えっ、七海ちゃん!?」

「ホントだ、どうしてここに? ていうかどうして先生に馬乗りに……?」

 

 

「かのんに千砂都……ってか、全員いるのか」

 

 

 まさかのLiella大集合。探してくれているとは思ったが、ここまで大所帯で探してくれていたのか。

 ただ、その後ろにもう1人誰かがいることに気が付いた。ソイツはこちらの様子に気が付くと、先に入って来た可可たちを割って俺たちのいるベッドに歩み寄って来る。

 

 

「まさかこんな教室まで作ってその人を襲うなんて、相変わらず手段を選ばず狡猾ね――――七海」

「マル……」

 

 

 マルとはマルガレーテのことだろうか。ウィーンの方も名前呼びだし、もしかしなくてもコイツら知り合いなのか? かのんたちの乱入で驚いていた七草だったが、ウィーンの顔を見た瞬間に顔をしかめたので、もしかしたら仲がそこまで良くない可能性もある。なんにせよ、コイツらに色々説明してもらう必要があるな。

 

 それ以前に、もう何が何だか分からなくなって頭に『?』マークしか浮かんでいないLiellaの奴らに事情を話さないと、この状況を変に誤解されそうで怖いんだけど……。

 

 

「七海さんとウィーンさんはお知り合いだったのですか!?」

「そもそもこのベッドはなんですの!? それにこのピンクのライト……あっ!?」

「淫靡な雰囲気。手錠で繋がれている男性と、それに馬乗りになっている女性。そこから想像できることは1つ。もしかして私たち、お邪魔? このためにサボってた?」

「んなわけねぇだろ。襲われてるだけだっつうの」

 

 

 ほら、こうやって勘違いされる。そりゃ一目見たらラブホテルのような状況にしか見えないのは仕方ないけど、女子高生と性交する理由で仕事をサボるってもう懲戒免職ものだろ……。

 

 

「この子とは幼馴染よ。生まれた時からずっとね」

「だから『この子』って言い方やめてくれない? そっちは中3、こっちは高2なんだけど」

「ええっ!?」

 

 

 みんなの声が上がる。知り合いどころか出生から時からの幼馴染って、もう肉親みたいなものだ。ただ片や日本人で片や海外の血筋。普通では幼馴染になることなんて難しいはずだが……。

 

 

「そもそも日本(こっち)に来てたんだ」

「えぇ、こっちの『ラブライブ!』に参加するためにね。それでその人に会いに結ヶ丘(ここ)へ来たら行方不明って聞いたから、Liellaの人たちに付き添ってここへ来たのよ。一回逃げちゃったお詫びもしたかったし……」

「ウィーンさん凄いんですよ。何もない教室の壁に回転ドアがあることもすぐに見抜いちゃって」

「この子のことだから、簡単に見つかるような場所にこの人を監禁しない思っただけよ。性格、捻じ曲がってるから」

「じゃあ俺の残した腕時計は、四季の発明品に上手く活用できたみたいだな」

「ナイスプレイ、先生」

「つまんな」

 

 

 親指を上げる四季。露骨に嫌な顔をする七草。さっきまでの余裕はどこへやら、部外者が自分の牙城にあっさり侵入してきてストレスがマッハのようだ。コイツの反応を見るに、ウィーンという変数の登場で自分の完璧な計算が崩れたのだろう。ま、計算高いキャラって大体図式が狂って自滅するパターン多いからな。

 

 

「これだけ役者が揃ったんだ、もうお遊びなしで話してくれてもいいんじゃないか? お前、というかお前とウィーンの事情を。お前もそうだけど、ウィーンも俺に対する意識が他の奴とは全然違うだろ?」

 

 

 そう言うとウィーンは頬を染めて俺から目を逸らす。

 それだよそれ。その反応は初対面の相手に対して明らかにおかしい。ウィーンも七草も俺と会う以前から一方的にこっちを知っていたみたいだし、2人が幼馴染なこともあって何かしらの裏事情があるのだろう。

 

 さっき七草にそのことを聞き出そうとしたが一切口を割らなかった。ただ幼馴染の相方が来て更にかのんたちもいるため、もう数の暴力に追い詰められて今度はコイツが逃げることを許されなくなっている。七草も既に諦めムードのようで、溜息を吐いた。

 

 

「センセーのことを知っていたのは生まれた時からずっと聞かされていたから。私たちを助けてくれた人であり、どれだけ素晴らしい男性なのかってことをね」

「助けた。俺が、お前らを?」

「幼い頃に身に覚えのない女の子たちを助けた、と言えば思い出すんじゃない? 一緒の境遇の人たちがいたでしょ?」

「虹ヶ咲……」

 

 

 虹ヶ咲の初期メンバー、つまり歩夢たちもコイツらと同じ境遇だ。

 幼いアイツらが施設にいた頃、そこで火事が起き、同じく小さかった俺が必死になってアイツらを全員助け出した過去がある。その後事故の反動で俺の記憶はごっそり抜け落ちてしまったのだが、まさかコイツらも……。

 

 

「お前らもあの施設の人間だったのか? でもあの時は歩夢たち(アイツら)ですら幼かったのに、より年下のお前らってまだ生まれてないんじゃないのか?」

「お腹の中にいたのよ、私たち。七海の親と私の親はその頃から知り合いで、だから生まれた時から私たちは交流があった。こうして幼馴染の腐れ縁になるくらいには。ちなみに私の親が日本好きで、だからこの国で私を生んだのよ。七海の母親は施設の職員で、私の別荘がある家の隣だったから、母親同士よく施設で子供たちと一緒に遊んでいたっぽいし」

「じゃあ俺が助け出したのはアイツらだけじゃなくて……」

「お腹に私たちを宿した母たちも救ったのよ」

「そして虹ヶ咲の人たちとは別で、私たちはあの秋葉さんに目を付けられて教育されてきたの」

 

 

 またアイツかよ。もう大体アイツのせいって言っておけば全て納得できるな……。

 そもそも件の火事だってアイツが俺の本領を見るために自分で引き起こしたことだし、そこから俺に助けられた(アイツにとっては予定調和)女の子を拾い上げて好き勝手に教育するとかマッチポンプにも程がある。結局誰も不幸になってないから許したことではあるが、アイツに人生を弄ばれてる感があってすげぇ嫌だな。

 

 

「ちょっ、ちょっと待ってくださいっす! きな子、既に何が何やらで……」

「先生と2人は昔からの知り合いだったってことか……? えっ、え??」

「話が全然見えない」

「私たちにも分かるように説明して欲しいんですの!」

 

 

 そういやかのんたちは俺の過去を知ってるけど、コイツらには何も言ってなかったな。ここまで来て蚊帳の外ってのも申し訳ないあら、もうここで話しておくか。

 そんなわけで俺が俺になった所以である話を聞かせてやった。俺自身は既にその時の記憶はないが、秋葉や虹ヶ咲の面々から聞いた話をタネにしてできる限り詳細に伝えた。ただあまりにも妄想が膨らみ過ぎる内容だったためか、1年生はみんな緊張しっぱなしで、その間は一言も言葉を発しなかった。かのんたち2年生も一度聞いた話ではあるのだが、再び当時の悲惨な現場を想像してしまったようで、みんな険しい顔をしていた。

 

 一通り話したことで、話題は再びこの2人のことに戻る。秋葉(アイツ)が絡んでいるとなると、まだ疑問に残っていたことが自然と糸で繋がった。

 

 

虹ヶ咲(アイツら)と同じ、俺のことを徹底的に叩き込まれたか。被害者だなお前らも」

「私たちはそう思ってないよ。むしろ感謝してるし、命をかけて助けてくれた男性を好きになっちゃうのは当然でしょ。ま、あの胡散臭い女に洗脳教育されたせいってのもあるけどね」

「それでもあなたに恋をしているというのは本当。でも恋愛には条件を課されているから、安易にはあなたに告白できないの」

「条件?」

「私はスクールアイドルになって『ラブライブ!』を優勝すること。そして……」

「私は指定した女の子たちとセンセーを結びつけること。あぁ~メンドくさい!」

 

 

 秋葉は保護した女の子たちに俺のことを骨の髄まで叩き込み、俺以外の男性に見向きもしないような恋心を植え付ける教育しているのは知っていた。恋愛くらい好きにさせてあげればいいのにと思ってしまうが、そういえば虹ヶ咲の奴らもスクールアイドルになって有名になることをアイツに命じられていたのを思い出す。恋愛に条件を課しているのはコイツらだけではないみたいだ。

 

 

「でもどうしてそんなミッションが課されるんだよ?」

「あなたのために、その子の長所を伸ばす形で女としての魅力を上げるのが目的らしわ」

「ホントかよ……。でもお前がスクールアイドルなのに、七草は違うんだな」

「そ、それはぁ……」

「この子、リズム感ないから。だからお得意のコミュニケーションを活かそうと条件に変えられたのよ」

「いや私のリズムは独創的で、誰にも読まれない神秘さがあるだけですぅ~!!」

 

 

 なるほど、リズムが取れないせいでダンスができないのか。意外と子供っぽい理由で微笑ましいが、テストの成績もよく運動もできて、部活のお助けヒーローとも呼ばれているコイツにそんな弱点があったなんて意外だな。あの秋葉ですら矯正できない程なので相当なのだろう。

 

 そんな中、Liellaの奴らは何やら疑問に思うところがあるようで、腑に落ちない難しい顔をしていた。

 代表としてかのんが話す。

 

 

「ねぇ、七海ちゃん。七海ちゃんは先生と誰かを結びつけるのが自分の恋愛のためにやるべきこと、なんだよね?」

「うん」

「その誰かってもしかして――――私たちのこと?」

「へぇ、どうしてそう思ったの?」

「だって七海ちゃん、事あるごとに私たちに先生との関係を聞いてくるでしょ? きな子ちゃんたち後輩にまで。最初は普通に応援してくれているのかと思っていたけど……」

「結局は自分のためにやってたんだって、失望した?」

「そ、そんなことはないけど、ようやく理由が分かってホッとしたって言う方が大きいかな。だって七海ちゃん2年生になってから雰囲気変わって、何考えてるのか分からなくなっちゃったし……」

「それは澁谷ちゃんたちがグズグズしてセンセーとの距離を全然詰めないせいでしょ。だからこっちも強引になるしかなかったんだよ」

「そ、それはゴメン……」

 

 

 つまりかのんたちに発破をかけていたのは単にイタズラではなく、自分が恋愛するためのミッションを達成するためだったのか。恋愛くらい普通にさせてやれよとは思うけど、コイツらも秋葉に保護された恩みたいなのがあるのだろうか。それはもうアイツのオモチャにされているだけような気もするな……。

 

 

「でもだったらどうして裏文化祭なんて言って俺をここに連れ込んだんだよ? 条件を達成するために、こんな無理矢理な方法でなくてもいいだろ」

「だって澁谷ちゃんたちってば、進展が遅すぎてただ煽るだけじゃ効果ないんだもん。だったら『他の雌に取られちゃう!!』って危機感を抱いてもらった方がいいと思ってね。現にもうちょっとで処女破られちゃうところだったよ♪」

「しょ、じょ……!?」

「いやなんでそっちが被害者みたいになってんだ」

「明らかに逆レイプ」

「おい四季……」

 

 

 確かにあの時の七草の目はマジっぽかったから、本当に誰もかもを欺いて自分だけ抜け駆けしたのかと思っていた。一応理由はあったみたいで狂った愛を持っていなくて助かったが、また1人の少女の処女を散らしてしまうのかとちょっと焦ったよ。

 

 

「じゃあ性欲云々言っていたのは演技だったのか? コイツらを焦らせるために仕込んだことなんだろ? 準備をサボってこんな部屋やベッドを用意したり、すげぇ回りくどいけど」

「危機感を持たせるためってのは本当だけど、私自身が先生を欲していることも本当だよ」

 

 

 そりゃそうか。コイツの性格上、ただ我慢して見ているだけってのは性に合わないはずだしな。じゃあコイツらが割り込んでこなかったら相当危なかったってことか。間一髪なんて久々に体験した気がする……。

 

 

「だからぁ、のんびりしていると、痺れを切らした私に先生取られちゃうかもね♪」

 

 

 七草はかのんたちの方へ振り返ると、いつもの悪戯っ子の微笑みを向ける。それに対してかのんたちはその勢いに怖気づいたのか息を呑む。普通なら冗談かと思うけど、男をベッドに押し倒して馬乗りにまでしている奴が放つセリフだから相当な説得力がある。この強行策には相方のウィーンも溜息をつくしかなかった。

 

 そんな感じで遂に本性を現した七草七海。かのんたちの恋愛の後押しをしつつも、同じ意中の相手の略奪も狙う二律背反ポジション。コイツらにとって邪魔者なのか良き理解者になるのか、物凄いトリックスターが来たものだな……。

 

 そしてウィーン・マルガレーテ。コイツらと同じスクールアイドルにして、既に俺のことを好きだと公言した。俺を手に入れるために『ラブライブ!』も狙っているので、コイツらにとっては恋とスクールアイドルで二重の意味でライバルとなる。

 

 七草の言葉の言う通り、もう迷っている時間はなさそうだ。

 




 七海からすると、かのんたちは1年以上も前から零君の前でもじもじするばかりなので、早く進展しろよと言いたくなる気持ちは分からなくもない(笑)

 七海もマルガレーテもアニメとは全然違うキャラ設定にしてみました。もはやオリキャラに近くなってますが……(笑)
 オリキャラは読者さんに受け入れてもらえない可能性が高いのでなるべく出さない方針にしているのですが、まだアニメのキャラを使っているだけ許してください!
 普通に小説を進めるとLiella編の1章と同じ展開になってしまい、描いている私が飽きてしまうのでそこはご了承いただけると嬉しいです。
 ただあまりキャラを濃くし過ぎると目立ち過ぎるため、あくまでメインはLiellaを崩さないようにするつもりです。


 次回で長かった文化祭編もラストとなります。
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