ラブライブ!~蓮ノ空との新たなる日常2~   作:薮椿

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1年生ピンチ!超危険な相乗り!

 桜小路きな子です。

 今日はスクールアイドル活動のため、きな子たちLiella1年生組で遠征をしています。山の方の農村からの依頼で、お祭りを盛り上げるためにスクールアイドルが何組か呼ばれてライブを披露しました。先輩たちは全国模試と日程が被ってしまったので不参加で、最初はきな子たちだけでライブできるか不安もあったのですが、無事に大盛況で終えることができて満足したっす!

 

 そんなわけで帰宅することになり、バス停にやって来たきな子たちですが――――

 

 

「おいおい、次のバス1時間半後じゃねぇか!! やっぱり間に合わなかったか……」

「流石はド田舎」

「きな子がお土産のお菓子を大量に買い込むから、走るのが遅くて間に合わなかったんですの」

「そ、それを言うなら夏美ちゃんだって、動画のネタ探しであちこち撮りまくっていて遅刻寸前だったじゃないっすか!」

 

 

 ライブが終わってから、お土産物を見たり自由時間を満喫し過ぎたせいでバスにぎりぎり間に合わずに待ちぼうけになってしまいました。

 実家が山であるきな子が言えたことでもないですが、ここも相当な田舎地方のため公共交通機関が2時間に1本程度のバスしかなく、こうして1本乗り過ごすだけでもかなりの待ち時間になっちゃいます。結ヶ丘という都会の学校に慣れ過ぎたきな子たちにとって、帰宅だけでこの待ち時間は軽い拷問に近いのです……。

 

 

「どうすんだよ! 私、次のスクールアイドルライブのイベントチケットをコンビニで発券しないといけねぇんだぞ!! しかも締め切りまであと2時間! 待ち時間と帰宅時間で確実に過ぎる!!」

「それは事前にやっておけば済む話でしたの」

「どうしてこんなギリギリまで引っ張ったんすか……」

「メイは昔から溜め込みがちだから。夏休みの宿題とか」

「くっ……」

 

 

 どうやらのんびりしている暇はないみたいっす(メイちゃんのみ)。

 ただどれだけ嘆いたとしても、バスが来ないことには帰宅することはできません。タクシーを呼ぶ手もありますが、この山まで来てくれるのかは不明であり、来てくれたとしても料金が半端なく高くなりそうで現実的ではなさそう。もちろん歩きで帰るくらいだったらバスを待って乗った方が早いので、これはもうチケットは諦めるしか……。

 

 

「そういえば、そのスクールアイドルのイベントは私たちも参加しますの。だったら参加者特権で舞台袖から見れば、そもそもチケットなんていらないのでは?」

「私は客席から、真正面から観たいんだよ!! お金も払わず横から盗み見るなんて、スクールアイドルへの冒涜だろ!!」

「「「……」」」

 

 

 メイちゃんのあまりのオタクっぷりに唖然とするきな子たち。いやスクールアイドルに入れ込んでいるのは知っていましたが、同じスクールアイドルなのにわざわざ一般人になって一個人として、ファンとして応援しようとする意気込みに驚き、そして感心もしてしまいました。ここまで熱く語られると、どうにかしてチケット発券期限にまで間に合わせたいと思っちゃうっす。

 

 

「おい四季、お前の発明品で何とかならないのか!? ここから東京まで飛んで帰れる画期的な発明を! そうだ! そういえば春にジェット機を付けた靴を造ってただろ!? それを使えば――――」

「無理。そんな長距離ではバッテリーがもたない。それに今日はライブに来たのだから、余計なものは持ってきてない」

「終わった……」

 

 

 地面にがっくりと項垂れるメイちゃん。『期限までに余裕をもって』というよく聞くワードが体現されて、きな子たちにもいい反面教師になっています。

 ただ、このままだと流石に可哀そうだと思ってしまうのも事実。でも期限は期限、個人の事情で自分だけ後ほど発券なんてどこに連絡してもできるはずがなく、メイちゃんの自業自得とは言えども何故かきな子まで途方に暮れそうです。

 

 さっきからずっとバス停の前にいるのですが、ここまで通過する車も一切なし。もし東京に帰る車がいたら相乗りをお願いできるかもしれないっすけど、そんな都合良くは――――

 

 

 その時、車のクラクションが後ろから聞こえました。

 きな子たちは揃って後方へ振り返ります。

 

 

「あなたたち、もしかしてバスに乗り遅れて絶望してる? 良かったら乗ってく?」

 

 

 車の運転席の窓から顔を出したのは、パッと見ただけでも分かる美人さんでした。

 

 

 

 

~※~

 

 

 

 

「なるほどねぇ、それで地面にキスしそうなくらいに項垂れてたってわけか」

 

 

 お姉さんも東京に帰る途中とのことだったので、ついでに乗せてもらうことになりました。現在は信号もない山の道を軽やかに進行中です。

 この調子であればチケットの発券期限の時間には間に合うため、さっきまでこの世の終わりを迎えるといわんばかりの顔をしていたメイちゃんの表情は一転、頬の緩みを隠し切れないほどの満面の笑みとなっています。

 

 なお、この車が意外と広く、3列シートで1列が2人掛け。前の運転席にお姉さん、2番目のシートにきな子と夏美ちゃん、最後尾にメイちゃんと四季ちゃんが乗っています。

 

 

「それにしても、どうして私たちがバスに乗り遅れて困ってるって分かったのですの?」

「バスの出た時間がさっきだし、それでバス停で手と膝をついてる人がいたら、そりゃ乗り過ごして落胆してるとしか思えないでしょ」

「それでも、きな子たちが東京に帰る人っていうのは分からない気が……」

「あなたたちみたいなキラキラした女の子、あんな田舎にいるわけないじゃん。それに私が用事で行っていたところの近くでスクールアイドルのイベントがあるって聞いてたから、東京から来たスクールアイドルの子たちなんじゃないかと思ってね。ここは山と言っても東京からアクセスいいし、来るならそこからかなぁと」

「おぉっ! お姉さん凄いっす!」

「まぁ頭だけは良いから洞察力はあるかもね。弟には敵わないけど」

 

 

 ちょっとした情報からそこまで分かるなんて、まるで先生みたい……。先生もきな子たちの一挙一動から心まで読めるくらいに洞察力が鋭くて、先輩たちからは逆にストーカー染みていて怖いことがあると言われるくらいっすから。

 

 そんなお姉さんの見た目は、四季ちゃんが科学室で着ているような白衣を纏っていて如何にも研究者って感じがします。綺麗な黒髪でスタイルの良い美人さんで、自分にこんなお姉さんがいたら会う人会う人に自慢できること間違いなし。さっき弟さんがいると言っていたので、その弟さんはさぞこのお姉さんのことを誇りにしていると思うっす。

 

 そして他愛もない世間話をしながらも、車は信号のない道をどんどん進んでいきます。

 そんな中、お姉さんの携帯が鳴る。お姉さんはきな子たちに断りを入れると、スマホスタンドに装着されているスマホを操作して通話モードに切り替えました。

 

 お姉さんとの雑談が一旦途切れる。その機会を待っていたのか、四季ちゃんは前の席にいるきな子と夏美ちゃんを巻き込んで小声で話しかけてくる。

 

 

「この人、ちょっと怪しい」

「えっ、怪しいってどういうことっすか?」

「なんか笑顔が胡散臭いというか、人間観察が趣味の私の目からして、この人はそう簡単に信用してはいけないとセンサーが反応してる」

「それは四季の感情ですの……」

「そうそう、お前の勘違いだ。私の危機を救ってくれた人が悪い奴なわけないだろ」

「それもメイの感情ですの……」

 

 

 四季ちゃんの言わんとしていることは何となく分からないこともないです。このお姉さん、人当たりも良くていい人には見えるのですが、どうも笑みに黒色が見え隠れしているような感じがします。人を見た目だけで決めつけるのは良くないと心の中では分かっていつつも、何やら怪しい雰囲気があるのは否めないっす……。だから四季ちゃんもお姉さんが会話に参加していない今を見計らってきな子たちに話しかけてきたのかもしれません。

 

 

「感情だけじゃない。見て、この座席と座席の間。赤い液体がついてる。それに夏美ちゃんが座っているドアと窓の淵、メイが座っている足元、そこにもある。他にも色んなところに」

「ホントだ。ちょっとネバついてる……?」

「拭き取ってあるみたいだけど、この見る者の嗜虐心を駆り立てられる赤色は――――血」

「えぇっ!? どうして車に!?」

「血? ブラッディの……血ですの!?」

「そう」

 

 

 科学に強い四季ちゃんが言うのであれば間違いはない……っすかね? でも透明感のない赤色なので血と言われてみれば確かにそう見えるかも……。

 

 

「こんな座席のあちこちに血が付いてるなんて、そんなヤバい人なのかよあの人……」

「1人で3シートなんて大きな車に乗っているのも怪しい。そして後部の2シートには血が付いてる」

「それってもしかして、血が付いていた何かを後部座席に乗せて運んでいたってことっすか!?」

「じゃあ私たちが今座っているところに……」

「血が付いた何が乗っていたのかもしれませんの……」

 

 

 想像して青ざめるきな子たち。

 そんな中、お姉さんの電話の会話が聞こえてくる。

 

 

「あぁ~あの時ね。起きたら小さくなっていて嘆きそうになってたんだって? でも小さい彼も可愛いじゃん? 愛で殺したくなっちゃうくらいにはね、あはは♪」

 

 

 

「ち、小さくなった……? 細切れにしたってことかよ……」

「それに愛で殺したくなるとも言っていた。つまり愛しすぎるが故に殺意が……ヤンデレ?」

「しかも彼って言ってたっす。つまりその相手は人間……」

「ストップ! そういう猟奇系は苦手なんですの!! 強制的に妄想されるからストップ!」

 

 

 この人が危ないってことが電話の会話の内容から察したきな子たち。研修者っぽい白衣を着ているので、危ない実験をしている人なのではないかと疑います。

 このままこの人に車に乗り続けてもいいのか不安になってきました。東京へ行くとは言っていたものの、本当は実験動物としてどこか研究所にでも連れていくのではないかと危機感を煽られるばかり。下車してやり過ごしたいのは山々ですが、生憎ここは山の中、途中で降りることはできなさそうです。

 

 

「あっ、この道の途中にパーキングエリアっぽいものがあるとマップにありますの。そこでトイレに行きたいと言って外に出れば……」

「このお姉さんからもおさらばできる」

「でもお別れするとして、メイちゃんはチケットの発券に間に合わなくないっすか……?」

「そうだった!」

 

 

 ここでお姉さんをエスケープすると、今度はメイちゃんの目的が果たせなくなってしまうジレンマ。でも自分たちの身の心配には変えられません。でもこのままメイちゃんの目的を捨てるしかないのかと、きな子たちに迷いが生まれます。

 

 

「そうだ、先生。先生に電話して来てもらうのはどうっすか?」

「でも今日は先輩たちの模試の監督で駆り出されてるんだろ? 来てくれるのかよ」

「もうこの時間だと終わってるはず」

「だったら次のパーキングで降りて、先生を呼んで隠れてますの」

 

 

 作戦が決まりました。先生なら何とかしてくれると、きな子たちの思いは一致です。

 あとは無事に見つからずに隠れ切ることができるかどうか……。

 

 

 

 

~※~

 

 

 

 

『なに? 悪い奴の車に乗ってた?』

 

 

 パーキングに立ち寄り、お手洗いに行きたいとウソをついて4人でお姉さんから逃げてきました。軽食を奢ってくれるとも言われたのですが、その優しさも自分への疑いを少しでも減らすための策略に見えて仕方ありませんでした。

 

 今はお姉さんから隠れつつ、夏美ちゃんの携帯で先生に電話で連絡をしています。

 

 

『お前らの勘違いなんじゃねぇの? もし仮に危ない奴だとしたら、普通に考えて余計な奴を乗せねぇだろ』

「でもあのお姉さんとっても怪しい雰囲気っす! 笑顔が何というか、黒い……?」

「ちょっと腹立つ感じの笑顔でもあるな」

「それに言ってましたの。『彼』なる人物を小さくしたとか、愛で殺したいとか……」

『愛で、殺す……?』

「ヤンデレかメンヘラか。拗らせすぎて、誰かを手にかけたようにしか思えない。座席に血もあった」

『えっ、マジかよ……』

 

 

 電話をスピーカーにしつつ、みんなで先生に状況を伝えます。もちろんお姉さんに見つからないよう、常に周りを警戒しながら……。

 先生はきな子たちが言ったことに対して最初は疑いを持っていたものの、話を聞くうちに声色も深刻になっていました。どうやら事の重大さが伝わったようで良かったっす。

 

 

『分かったよ。そこならバイクを飛ばせば30分くらいで着く。それまでどこかに隠れてろ』

「バイクって、車で迎えに来てくれよ! 私たち乗って帰れないだろ!」

『故障したから修理に出してんだよ。大丈夫、俺と合流すれば後はなんとかするって』

 

 

 やっぱり先生が来てくれる安心感は地球上の誰よりも一番っす。最初きな子たちだけでイベントに参加するとなった時も、先生が引率しないだけで心配事が増えたくらいっすから……。

 

 先生が駆けつけてくれる間も、もちろんきな子たちはお姉さんから隠れ続ける必要があります。お手洗いに行くと言ってからもう相当の時間が経っており、きな子たちがウソをついたことはお姉さんも分かっているはずです。

 できるだけ動かずに4人で固まっていますが、高速道路のパーキングエリアではないので敷地がそれほど広くなく、ちょっとでも丹念に探されると見つかってしまう可能性は高いです。見つかってしまったら、またあの怪しい笑顔で車に乗せられる未来が……!!

 

 そうやって隠れている間にも先生と連絡は取りあっています。

 

 

『その女ってどんな奴なんだ? 特徴はあるか?』

「人当たりはいいですの。私たちが無警戒で車に乗り込んでしまうくらいには」

「含みのある笑みを見せることが多い。そのせいで怪しいオーラを醸し出してるけど……」

「それと白衣っぽいものを着てたぞ。外行きの服にしてはおかしくないかアレ」

「あとは、とっても美人さんっす! あの人がいい人で、自分の姉だったらみんなに自慢できます!」

『そ、そうか。結構特徴的だなソイツ……』

 

 

 こうしてお姉さんの情報を口に出してみると、改めてあの人が美人で怪しい魔性の女性ってことがよく分かります。もしかして、きな子たちのようにその魅力に騙された人たちがあの人の実験台に……。もしかしたら座席に付いていたの血も……!? あぁ~ダメっすダメっす! 想像したらダメっす!

 

 また暫し時が経ち、そろそろ先生が到着する時間となりました。このまま見つからなければそのまま逃げ出せますが――――

 

 

「おい、あの人こっちに来てるぞ!」

「やっぱり探し回ってるみたいですの……」

 

 

 残念ながらそう簡単にはいかないようで、お姉さんがキョロキョロと周りを見ながらこちらに歩いてくるのが見えました。このままだと、きな子たちが隠れているところがバレて連れ戻されるのでは……!?

 

 

『お前ら今どこに隠れてんだよ?』

「駐車場やレストランから離れているトイレの中っす。あまり人がいなかったのでここでいいかなと思って……」

「ここ、掃除したばかりなのかアルコールの匂いが凄い。科学室の薬品を思い出す」

『薬品? そういやさっき白衣を着てるって……。怪しい雰囲気で、姉だったら自慢したくなるような美人……』

「おいこっちに入ってきそうだぞ! とりあえず個室に隠れよう」

 

 

 1つの個室に4人で隠れます。息を殺し、あわよくばこのトイレから離れてくれればラッキーと思いつつ、だが無慈悲にもそのお姉さんはきな子たちがいるトイレに入ってきました。

 1つ1つの個室のドアにノックして回るお姉さん。何も言わないあたりがより不気味さを増しています。中にいるのがバレないように注意していますが、遂にきな子たちのいる個室の前にお姉さんが……!!

 

 

「どうすればいいんですの……!?」

『個室にいるなら、声を変えて入ってますって1人ずつ言えばいいだろ。ちょっと話しただけだったら、声色なんて大して覚えてねぇだろうし』

 

 

 気が動転しているせいか、先生のアドバイスが何かおかしいことにもこの時のきな子たちは気づきませんでした。

 お姉さんがドアをノックして――――

 

 

「入ってるっす」

「入ってる」

「入ってるっつうの!」

「入ってますの」

 

 

 少し間がありましたが、お姉さんはノックするのをやめてトイレの外に出て行ったようでした。すぐに出ると鉢合わせる可能性があるため、少し待ってからみんなで個室から出ます。

 しかし、ここで1つさっきのおかしな点に気付きます。

 

 

「ちょっと待つっす! きな子たち、同じ個室に4人でいたっすよ!?」

『だろうな。夏美の携帯と通話してるから、4人別の個室に入ってたらさっきのアドバイスをお前らみんなが聞けるわけねぇし』

「おいこれからどうするんだよ!」

『外のトイレだったら窓があるだろ。そこから外に出ろ』

 

 

 先生のアドバイスの意図は不明でしたが、とりあえず次の指示に従います。入口が見張られている可能性があるので、4人で窓から脱出します。

 

 

「次はどうするっすか??」

『そうだな。もうすぐその女が――――お前らの目の前に来るんじぇねぇか?』

「「「「えっ……!?」」」」

 

 

「やっほ! 随分と探したよ。逃げ出すなんて――――悪い子たちだねぇ♪」

 

 

「ちょっと先生!?」

「どういうことだよこれ!?」

 

 

「大丈夫。ソイツ、俺の姉だから」

 

 

「「「「えっ!?」」」」

 

 

 きな子たちの後ろから先生が現れました。

 姉って、もう何がなんだかどういうことっすかぁ~っ!?

 

 

 

 

~※~

 

 

 

 

 なんと、お姉さんは先生のお姉さんの秋葉さんだったらしいっす。驚きすぎて4人でしばらく唖然としていました。

 そして現在、先生のバイクをトランクに乗せて秋葉さんの車でみんなで揃って帰宅中。その間に色々と気になっていることを先生たちに聞いてみました。

 

 

「この座席に付いた血はなんだったんですの?」

「それは血に似た液体なだけ。実験で使おうと思って積んでたんだけど、持ち出すときにちょっと垂れちゃってね。1人で大きな車に乗ってるのも、山の方の実験施設に行くために薬品とか色々詰め込むためだよ」

「じゃあ小さくなったとか、殺したいほど愛でたいっていうのは?」

「この前の実験で零君を幼児化させただけ。それはもう可愛すぎて、抱きしめ殺しそうになったってことだよ」

「だけって言い方もおかしいけどな」

「先生の子供姿、見てみたいかも」

「そうだな。今度アルバムとか見せてくれよ」

「…………いたんだよなぁお前らも」

 

 

 好きな男性を細切れにして自分のモノにしたいほど好きなのかと思っていましたが、どうやらきな子たちの勘違いだったようです。侑さんの時もそうですが、きな子たち勘違い癖がかなり甚だしい様な気も……。

 

 

「それにしても、この子たちがLiellaの1年生ちゃんなんだね。しばらく結ヶ丘に行ってないから、Liellaに新しい子が入ったことは知ってたけど顔は知らなかったよ」

「お前、きな子たちが入学してから一回も授業に来てねぇじゃねぇか」

「えっ、秋葉さんって先生だったんすか?」

「非常勤講師だけどね。去年はちょくちょくそっちに行ってから、かのんちゃんたちは私を知ってるはずだよ」

 

 

 そりゃきな子たちが知らないわけっす……。先生にお姉さんがいること自体は知っていましたが、まさかこんな形で初対面することになるなんて……。

 

 

「さっき運転中に楓ちゃんから電話がかかってきてね。帰る途中で買い物を頼まれていたからその念押しと、この前零君を子供にしちゃった時のことを追求されちゃって」

「その時の会話でコイツらが変に勘違いしたってことか……」

 

 

 恥ずかしい……。秋葉さん自体は普通に会話をしていただけで、結局はきな子たちが変な方向に妄想をしてしまったせいでこんなことに……。

 

 

「それにしても、この人が秋葉さんか。先生が言ってたこと、大体合ってるかも」

「へぇ、零君が私のことを? なんて言ってたの?」

「おいその話はいいだろ」

「悪魔っぽくて」

「笑顔が黒くて」

「雰囲気も怪しくて」

「危険な人だって」

「ふ~ん……。今度はどんな姿になってみたい?」

「んだよそれ!? いい大人が根に持つんじゃねぇよ!!」

 

 

 仲がいいのか悪いのか。でも先生のお姉さんだし、根は良い人なん……っすよね??

 

 

 ちなみに、メイちゃんのチケット発券はギリギリ間に合いました。これで万事解決、でいいっすよね??

 




 ようやく秋葉さん登場!
 どうやら普段から怪しい雰囲気を漂わせているようで、きな子たちが勘違いするのも無理はないかも……

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