ラブライブ!~蓮ノ空との新たなる日常2~   作:薮椿

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混戦ナイトプール!(後編)

「で? して欲しいの? 私たちに協力」

 

 

 七海は小悪魔的な笑みを浮かべてこちらを煽る。

 俺が気付いていない何かに気付いているのか、それともただ面白がっているだけなのか。そもそも協力したとして、小学校を卒業したての男にこの問題を解決する力があると思っているのか。様々な疑問が浮かぶが、あまり悠長に迷っている暇はない。

 

 俺はスクールアイドル病の調査のため秋葉の勧めでこのナイトプールに来たのだが、何故か蓮ノ空メンバー含む女性客(というか俺以外は全員女性)がみんな酩酊状態となってしまった。しかも何故か俺に桃色光線を放っており、頬も赤く息も少し切れているので酩酊というよりも発情しているに近いかもしれない。酔ってセクハラのハードルが緩くなるようなあの状態と似たようなものか。

 

 そんな中、偶然にも遭遇したのはLiellaの澁谷かのんとその親友の七草七海。この2人は特に変化はなさそうで、その理由は知らないけど動けるのであればこの事態の解決のため協力して欲しい。

 しかし、素直に首を縦に振らないのが七海の悪ふざけが過ぎるところ。それが現在繰り広げられている会話だ。正直面倒ったらありゃしないのだが、コイツが何やら俺の知らないことに気付いているらしいので何とか情報を引き出したい。

 

 

「一応聞くけど、状況は分かってんだろうな?」

「分かってるって。だから秘密にしてるんだよ。知ってる? 秘密ってのはね、知ってる側が知らない側より優位に立てるんだよ。今はその優越感を味わってるんだ。それこそアタシの嗜虐心を刺激するスパイス、気持ちいいよ」

「趣味わりぃな」

「なんとでも言って。この状況をなんとかしなきゃいけないのはキミでしょ? アタシはその子たちがどうなっても問題ないもん」

 

 

 その子たちってのは花帆たちのことだ。ちなみにまだ花帆に後ろから抱き着かれて、というよりのしかかられている。水着のせいで意外にも大きかったその胸が後頭部にダイレクトヒットしているのだが、今はそれを享受するような状況ではない。

 

 

「零クンとってもいい匂い。いつもそうだけど、今日は一段と濃いって言うか……」

「なにきめぇこと言ってんだ。早く離れろ」

「ルリも、零くんのこの香りをダンボールの中に持ち帰りたいなぁ……。そうしたらすぐ充電が終わるかも……」

「変態っつうんだぞそれ」

「零さんの香りで身も心も穏やかになっている気がします。これは気持ちいいですね……」

 

 

 もはやツッコミを入れることすら面倒になって来た。こんな変態発言、正常状態のコイツらなら絶対に言わないはずだ。だけど今は雰囲気が浮ついているのでまともな思考回路ではないのだろう。目もぼんやりとした目付きをしてるし、そのせいでずっとニヤけてるし、スクールアイドル病とは別の意味でヤバいことになっている。

 

 

「次に部室に置くルームフレグランスは零君の香りにしましょう。それで練習も捗ると思うわ……」

「うん、それで零も抱き枕になってくれたらお昼寝も捗る……」

「美容促進に効果があって、私たち今よりもっともっと可愛く綺麗になっちゃうね……」

 

 

 この光景を撮影して後で見せたら悶絶して気絶するんじゃねぇかこれ。それくらいキャラ崩壊が進んでいる。そうさせるくらいの何かがこのプールにあるってことだけど、それがなんなのか全く分からない。それかコイツらが潜在的に匂いフェチだったとか。女子高は当然周りが女子ばかりだし、しかもあんな牢獄のような学校にいるから男との接触はほぼない。だから男の匂いに慣れてなくて敏感だとか、そんな話ある……?

 

 

「えぇっと、あらぬ方向に話が進んでるような気がするけど……。だから七海ちゃん、勿体ぶらずに協力した方がいいと思うよ……?」

「別に勿体ぶってなんかないけどね。この子が協力して欲しいって言えば協力するよ?」

「どうせ対価を求めてくるんだろ」

「アタシのこと理解してるんだねぇ。なんでだろうねぇ」

「お前の性格なんてちょっと話しただけで分かる。ガキだからってあまりナメんなよ」

「ふふっ」

 

 

 なんだよその見透かしたような笑みは。

 まさかコイツ、ヤツとグルじゃねぇだろうな。いや花帆たちの様子がおかしくなった時はその余裕そうな顔が崩れ珍しく驚いていたので、一応コイツも巻き込まれた側なのだろう。ただそれでも速攻で状況を把握して解決の糸口も見つけてるようなので、流石はヤツから英才教育を受けただけのことはある。

 

 

「零君できるの? ここのみんなを助けること……」

「あん? できるできねぇの問題じゃない。やるんだよ。てかこのまま放って帰る奴の方がどうかしてるだろ」

「凄い自信。でもこのやってくれそうな雰囲気は本当に先生みたい……」

「なるほどね。じゃあ教えたげるよ、この状況の原因ってやつ」

「えっ、どうしたのいきなり協力的になって……」

「この子のことが気に入った、それだけ」

「もう、相変わらず気分屋なんだから……」

 

 

 俺はそれなりに緊急事態だと思っているのだが、雰囲気はかなり緩いんだよな。花帆たちも他の女性客もみんなふわふわしているってのもあるだろうし、かのんや七海も特に焦りと言ったものは見られない。俺が最近色んな事に巻き込まれ過ぎて神経を尖らせすぎているだけかもな。まぁ今回も面倒なことには変わりないけど、これでどうやって花帆たちの傷の位置を探れっつうんだよ。アイツ何か考えがあるのか?

 

 ただ、なんだかんだ話は先に進みそうだ。今も目をとろんとさせたまま何やら妄想に夢中になっているコイツらをずっとこのままでいさせるのも不憫だし、早くこの問題を解決してやらないとな。

 

 

「この施設、ずっとすご~くいい匂いが充満してるんだよね。その正体は――センセーの匂いだよ」

「先生の……? そういえばそんな感じかも……」

「しかも結構濃い、ね。しかもその匂いってのは特別で、嗅いだら最後センセーに絶対的な愛を誓わされるほど魅了されちゃうんだよ。ただでさえデフォルトでそれなのに、より濃くなった香りを嗅がされたらどうなるとおもう?」

「えっ、じゃあまさかここにいる人たちがふわふわしてるのって……」

「その匂いのせいだろうね」

「でもどうして私たちだけは平気なの?」

「センセーの匂いに慣れてるからだよ。ここ数年隣でずっと嗅いでいたからね、そりゃ耐性もできるって話」

「嗅いでって、別に意識してやってことないって!」

「別に慌てることじゃないのに、何を想像したのかなぁ」

 

 

 俺ってそんなに匂うのか? 普段は妹の楓から『自分の兄を最高級の兄として育て上げる』ための施策として、色々とファッションやらスキンケアやらいわゆる男特有の不快感を消すことを強いられていた。だがここ2週間は蓮ノ空で生活していたのでそのあたりも疎かになっている。だから俺の匂いが濃くなって、それを秋葉が採取して今の状況になってる……とか?

 

 てかよく考えてみたら、コイツらはこの施設に蔓延している匂いを『先生』のものと認識している。だがこの匂いに理性を壊されてるこのプールの客、そして花帆たちは俺に向けて熱い視線を送っている。となると『先生』=『ガキの姿の俺』って式が導き出されるのでは……? コイツらが気付ているのかは分からないが俺から言う必要はない。黙っておこう。

 

 

「それで? 原因は分かったけど対処はどうすりゃいんだ? 匂いの発生源は分かるか?」

「ライトボールに混じってプールに浮いている大きな風船があるでしょ? そう、あのパフェとかプリンとかスイーツを模した子供っぽいバルーンがね」

「あぁ、あれがどうかしたか?」

「この香りの発生源はアレだよ。アレからセンセーの匂いがプンプンする、強烈に。あのバルーンを割って水に沈めればこの香りは収まるんじゃない。多分ね」

 

 

 ナイトプールの陽キャ感を出したかったのか、プール内の至るところに浮いているライトボール以上の大きさを持つスイーツを形どったバルーンが置いてある。どうやらそれが俺の匂いを巻き散らす犯人らしい。

 

 つうか強烈って、やっぱり臭い……?

 

 

 

 

~※~

 

 

 

 

「割れねぇし……」

 

 

 近づいてみると意外とバルーンが大きくて、それでいて固い。こんなのからどうやって匂いを巻き散らして浮かせてるんだと技術力の疑問が出てくるが、秋葉のことだから俺たちには考えもつかない技術を使っているのだろう。

 

 その疑問はさて置き、そこらの適当な鉄の棒で簡単に割れるだろうと思っていたが前述の通り固くて割れない。俺がガキの姿になっているが故にパワー不足なのも影響しているだろう。

 かのんと七海に応援を頼みたいが、実はさっき女性客たちの目の色が変わって俺が襲われそうになってしまったこともあり、その客たちの足止めをしてもらっている。子供の姿で大勢の女性に揉みくちゃにされたら脱出できねぇからな。

 

 つまるところ、1人でバルーンを割れなくて困ってるところだ。

 でも俺の匂いの影響を受けてない奴なんてもう――――

 

 その時、棒を持つ俺の手に別の手が被さった。

 

 

「えっ、綴理?」

「このケーキの風船を割るの? ケーキカットみたい……」

「お前顔赤いけど大丈夫か?」

「大丈夫~。この風船割りたいんでしょ? 一緒にやろ~」

「声が酔ってる……。そんなので力出せんのかよ」

 

 

 どうやら手を貸してくれるらしい。ただ声もヘロヘロで身体もふらふらしている。コイツの声色はいつも緩いが、今回は更に緩く、今にもその声が溶けそうなくらいだ。

 

 

「これ、結婚式のケーキ入刀みたいだね~」

「だったらどうなんだよ」

「ボク、れいとならいいかなぁ~って思っただけ。れいと一緒にいるのは楽しいし、いつもきらきらして心が熱くなる。ボクはたまに自分が自分のままでいいのか迷うけど、れいはそれを忘れさせてくれる……」

「なに……?」

「じゃあやろうか。せ~の」

「へ? いきなり!?」

 

 

 唐突に自分語りをしたと思ったら、その直後に棒を握る俺の手を握った自分の手に力を入れて大きく振りかぶった。

 そして、その勢いのまま目の前のケーキのバルーンを入刀、ではなく撲殺する。酔った勢いで力が入っていたのもあってか、バルーンは大きな音を立てて破裂した。

 

 

「うぐっ!?」

「お、おいっ!?」

 

 

 その音に驚いたのか綴理は反射的に俺に抱き着いた。この小さな体でいきなり倒れてきた人間、しかも高身長の彼女を支え切れるはずもなく、俺は彼女を受け止めた後――――一緒にプールへと落下した。

 水の音が響き、俺たちは水中に放り出される。当然息継ぎの準備なんてしていなかったのですぐに上がらないと危険だが、無意識に目を半開きにしてしまう。もちろん水に浸されて眼球が圧迫されるが、その瞬間に視界にあるものが飛び込んできた。

 

 綴理の下の水着がズレて太ももが見えている。熱かったってのもあるだろうし、さっきの騒ぎでズレたのだろう。

 その内股、下手をすれば性器が見えてしまいそうなくらいの内側にあった――――例の傷が。

 

 さやかの傷と同じく奇抜な造形をしており、丸の中に二本線が入って、その円形の左右の外側にも線が飛び出すように傷が付いている。まるで鳥のくちばしと羽のようだ。

 

 こんな状況で偶然にも綴理の傷の位置が特定できた。今あの傷に触れればさやかの時のように熱が発生する前に事象を解決できるかもしれない。

 そう思って手を伸ばそうとしたが、水に落ちた際に身体の酸素を一気に持ってかれた影響で息継ぎできず限界だった。頭から突っ込んだせいで体勢も整える必要があるし、これだとコイツを連れてここから上がるだけで精一杯だろう。

 

 俺は綴理の手を強く握った。

 その直後、俺たちの身体が勢いよく救い上げられる。

 

 

「がはっ!? はぁ、はぁ……」

「大丈夫!?」

「慈……」

 

「綴理!? 大丈夫!?」

「こず……? う、うん……」

 

 

 俺は慈に、綴理は梢によって引き上げられたようだ。急に水中から救い出されたので外界の空気が一気に体に流れ込んできて、思わず咳が出てしまった。

 見れば、花帆たち1年生もプールに入って俺たちのことを心配している様子だった。

 

 

「つうかお前ら、酔い覚めたのかよ?」

「う~ん、どうなってたかは覚えてないけど、なんか気分がふわっふわしてたのは覚えてるかな」

「あなたたたちが水に沈んだのを見たら頭が覚醒して、(わたくし)たちもプールに飛び込んだの」

「水を浴びたらあたしたちも目が覚めちゃった。何をしてたのかあまり覚えてないけど、零クンと綴理センパイが危ないと思ったことだけは覚えてるよ」

「そうか。だったらさっきまでのことは思い出さねぇ方がいいかもな」

 

 

 俺に遠慮なく抱き着いていたとか知ったら、コイツらのちっぽけな羞恥心が爆発してしまうに違いない。気になってるけど恋愛的距離はまだ離れている男に対し、その距離を大股のスキップで飛ばすくらい俺にベタベタくっついてきたからな。それがコイツらの潜在的に秘めている想いなのだろうが、本当はまだ気持ちを伝える覚悟がないのに客観的にそんな話を聞かされたら堪ったものではないだろう。

 

 

「ボクたち、どうしてプールに入ってるんだっけ?」

「えぇっと、かのんさんと七海さんと出会って……」

「一緒にご飯を食べて、その後は……ルリもあんま覚えてないや」

「みんなで遊んでたんだよ」

「そうだったかしら。でもまた零君に助けられたような気がするわね」

「あたしも、そんな感じがします! 零クン零クン、何があったのか教えてよ~」

 

 

 今回に限っては助けようとはしてたけど、全員が一気に水を浴びて正気に戻ったので結果オーライに終わった。しかも誰かの手を借りないと風船を1つ割ることもできなかったので、子供の姿をここまでのデメリットに感じたのは初めてかもしれない。

 

 

「だから遊んでただけだって。興奮し過ぎで忘れちまったんじゃねぇの」

「そんなウソがめぐちゃんたちに通用するか~!! うりうり~!!」

「おい抱きしめんな! ガキ扱いすんじゃねぇ!」

「だってこうして見ると、やっぱりカッコよくも見えるし可愛くも見えるな~愛おしいなぁ~って。ほらほら水に沈めちゃうぞ~♪」

「瑠璃乃! お前の幼馴染だろなんとかしろ!」

「ふえぇっ!? って、零くんルリの手掴まないでよ!? こうなったらめぐちゃんごとまとめて沈めてやる!」

「るりちゃん!? ぶくぶくぶく……」

 

 

 慈がじゃれてきて、俺が瑠璃乃の手首を掴んだら今度は瑠璃乃が慈を道連れにして3人で水中に沈み込む。

 せっかく救出してくれたのになんでまた振り出しに戻したのか意味不明だが、『みらくらぱーく!』の2人にほぼ密着される形で沈んでしまったために水中でも体温は暖かかった。

 

 それだけではない。この騒ぎで2人の水着が緩み、そのおかげで確認することができた。

 2人の身体に刻み込まれた傷。まさかこんな形で目視できるなんて僥倖も過ぎるが、残念ながら2人に手を繋がれているせいでその傷に触れることはできない。触れば一発で傷口を塞げるのに勿体ない反面、綴理の時もそうだが安易に女の子の敏感な部分に触れるのはコイツらに申し訳ないという気持ちもある。昔みたいに何でも欲情して手を出すようなガキじゃないんでね。

 

 ちなみに傷の場所は、慈は胸の横でもはや横乳に触れそうな場所。水着で隠れていたがズレたことで見えるようになった。瑠璃乃は胸の下で、これも真面目に見ようと思えば上の水着を全て外してもらう必要があるくらい双丘に近い場所だ。傷の形もそれぞれ細長い丸に直線状の傷がついているのと、長方形に三本線が入っているのとでこれまた奇抜な形をしている。だからこそ間違いない、これこそがスクールアイドル病の傷だろう。

 

 

「なにをしているんですか……」

 

 

 3人で浮き上がったのもつかの間、さやかに呆れた目線で見下される。その言葉は俺が一番言いたいけどな……。

 

 その時、プールサイドから七海とかのんの声が聞こえてきた。

 

 

「お~い、なにイチャついてんの? こっちのこと忘れてない? 男狂いになった肉食女たちを必死で食い止めてたってのに、そっちは自分の使命も忘れて自分の女と酒池肉林ですか。いいご身分ですねぇ」

「コイツらが勝手にじゃれてきただけだ」

「風船が1個割れたからかは知らないけど、他のお客さんも少し落ち着いたみたい。でもまだぼんやりしている人もいるから、早く他の5個も割らないと……」

「あぁ、そうだな」

 

 

 その後は俺の匂いを放っていると思われる他のバルーンも割った。1個目は綴理に手伝ってもらったから、残りは他の5人に1つずつ手伝ってもらって破壊した。なぜこんなことをするのか知らないためか花帆たちは不思議そうな表情だったけど、特に理由は話していない。

 

 そして、苦労の甲斐あってコイツらも他の客も完全に正気を取り戻したようで、さっきまで起こっていた酩酊ゾンビ状態がなかったかのような活気が戻っていた。どうやらその時の記憶はうろ覚えですら思い出せないほどらしく、もはや消されてると言っても過言ではない。ただ、さっきも言ったけど思い出さない方がいいのかもしれないな。

 

 そんなことよりも、今回はかなりの収穫があった。綴理、慈、瑠璃乃の3人の身体の傷を発見することができたからだ。ぶっちゃけどれも偶然見つけたようなものだけど、プールで普通に遊んでいては見つからないような箇所に傷があったので、もしかしたらこのような騒動を起こしたのは秋葉がここまで読んでいたからかもしれない。だとしてももっと穏便な方法があるだろとは思うけど……。

 

 

「あまり途中のことは覚えていないのですが、色々あったみたいですね……」

「うん。大変だったけど、梢ちゃんたちが気にすることじゃないよ」

「そう、ですか……」

「そうだ、Liella時代の話を聞きたいって言ってたよね。思い出話とかでよければみんなにお話ししようかな」

「澁谷ちゃん、相変わらずしんみりした空気を変えるのが上手いねぇ」

「そういうこと言わなくていいの」

「じゃあじゃあ、あっちで聞かせてください! 星が一望できる場所があるみたいですから!」

 

 

 そんなこんなで事態は全部丸く収まった……のかな? 結局この2人に俺の正体がバレてるのかそうでないのかは最後まで分からずだが、俺の身体に変化もないのでこちらから下手に根回しを入れる必要もないか。ただでさえ今日は疲れたんだ、これ以上気を張るようなことはしたくない。

 

 みんなで星空が良く見える場所へ移動する途中、その後ろでかのんと七海が俺に聞こえないように会話していた。

 

 

「ねぇ七海ちゃん」

「ん?」

「プールに充満していた匂いって先生と同じ匂いだったんだよね? でもさっきみんなの目はあの子に向いていた。それってどういう――――」

「おっと、それ以上はダメ。いつもは脳が足りてないくせに、ここぞとばかりに察するのは澁谷ちゃんのキャラじゃないよ」

「たまには脳を回転させないと腐るとか言ってなかったっけ……?」

「そうだっけ。ま、誰にでも事情はあるってことだよ」

「……?」

 

 

 かのんは首を傾げ、七海は俺の背中を見ながら笑みを向けた。

 




 零君の正体に勘付かれてしまったのかはどうかは彼女たちのみぞ知る……
 なんにせよ発情ゾンビ事件も、正体バレを指摘される危機も、スクールアイドル病の傷の調査も苦労ありながらも終えたのは彼の実力か強運か。どちらかと言えば主人公補正のラッキーが多かったような気がします。


《次回以降のロードマップ(予定)》
・綴理の個人回(前後編)
・瑠璃乃の個人回(前後編)
・慈の個人回(前後編)
・ゲスト回(3回目)
・梢の個人回(前後編)
・沙知絡みのプチ長編(3話程度)
・花帆の個人回(前後編)
・最終回(2~3話程度)

 順番は前後するかもしれませんが、次回は綴理回の予定です。





【キャラ設定集】
零から蓮ノ空キャラへの呼称
・日野下花帆 → 花帆
・村野さやか → さやか
・乙宗梢   → 梢
・夕霧綴理  → 綴理
・大沢瑠璃乃 → 瑠璃乃
・藤島慈   → 慈

蓮ノ空キャラから零への呼称(零への好感度 0~100で50が普通)
・日野下花帆 → 零クン  (95→96)
・村野さやか → 零さん  (93→94)
・乙宗梢   → 零君   (75→76)
・夕霧綴理  → れい   (81→82)
・大沢瑠璃乃 → 零くん  (85→86)
・藤島慈   → 零    (76→77)

スクールアイドル病を治療済
・村野さやか

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