「次は服を買いに行こうかな」
「絶え間ねぇな。ちょっとは休んだらどうだ?」
「行きたいところが多いから時間が足りなくなるかもしれないでしょ。門限厳しいんだからウチの寮」
慈の行動スピードは速い。コスメショップに行ったかと思えば目当ての物だけを買って退店し、とある飲食店に訪れたかと思えば限定フラッペ(人気キャラ特典ストラップ付)だけを注文して早食いしてるかのごとく高速で平らげた。その他にも行きたいところが最初から決まっているおかげで次から次へと絶え間なく移動するため、ショッピングモールに来て慈を諭した以降は休憩がなかった。別に疲れたわけではないが、女の子と2人で遊びにでかけてこんなことは初めてだったから少し驚いている。
「いつもこんなに忙しないのか?」
「1人で出かける時はいつもこんな感じだよ。用事は早く終わらせて、後は自分の趣味に時間を充てる。めぐちゃんにはやりたいことがたくさんあるんだから。他の誰かと来てるときは流石にその時間を楽しむけど、アンタだったら理解もあるし私に合わせてくれるでしょ」
「それは信頼してくれてるってことでいいんだよな。都合よく振り回されてるだけのような気もするが」
「それもある。でも嫌いにはならないよね、私のこと」
「はは……」
よく理解してやがる。
女の子と2人でどこかへ出かける時は自分で先導することもたまにあれど、基本は女の子の行きたいところに合わせている。大抵は向こうから誘ってくるので必然的にそうなるのだが、正直女の子が喜びそうなところを熟知しているわけではないというのが最大の理由だ。行きたいところがあるなら相手に察してもらうとかそんなことをせず、素直に自分から言ってもらい決めてもらう。それが俺の考えだ。
「このコンテンツの消費量の速さ。話題作りのためだけにコンテンツを体験してすぐやめる現代の若者と同じだな」
「アンタも現代の若者でしょうが。ていうか私はしっかり楽しんでるけどね。いろいろ経験したいからタイパ重視しつつも速度を意識してるんだよ」
「本人が良ければそれでいいけどさ」
今は基本無料だったり短時間で何でも手を出せる社会なので、話題作りや承認欲求のために少し触れて辞める奴が後を絶たない。それに関しては本人の自由なので肯定も否定もしないが、自分はそういった素早い行動にあまりついていけないので歳を取ったと感じてしまい勝手に自滅する。そりゃ元の俺も十分にまだ若者だと思うけど慈たちとは一回り世代が違う。その世代間のギャップで遂に自分も歳の恐怖を感じるようになってしまった。老けたな俺も。
「よし、それじゃあ服を買いに行くよ。せっかくだから私に似合う服の1つや2つ選んでもらおっかな」
「欲しいのがあるから行くんじゃねぇのかよ」
「それはそれ、これはこれ。もしかしてファッションセンスに自信がないのかなぁ~?」
「んな挑発には乗らねぇよ」
「普段から女子に囲まれた生活を送ってるんだから、異性の服であっても少しくらいセンスあるでしょ」
「囲まれてるって、学校だからみんな制服なんだけど……」
「御託はいいから行くよ」
無理矢理話をぶった切りやがった。女の子と付き合うことが多いが特に服のセンスがあるわけでもないので、思いつくのは『可愛い』とか『綺麗』とか小並感ばかりだ。女の子のファッションを評価できるほど目は肥えてない。
ただ着替えをするとなるとチャンスかもしれない。
俺が慈とここへ来た目的はただ単にコイツとの日常を楽しむってのもそうだけど、スクールアイドル病の治療が最優先の目的だ。症状として現れる身体の傷の位置はナイトプール事件の時に確認している。あとは俺がそれに触れるだけでコイツのスクールアイドル病は治せるのだが、そのためには他の奴らと同様にコイツの肌を直接指で触る必要がある。ただいきなりそんなことをしたら確実に不審がられるので合法的に肌が露出させる場面を作るのが必須条件だ。だから服を買いに行けば必然的に試着もするので、そこがチャンスだと思った。
とは言いつつも、試着室に一緒に入れでもしない限りは指で触れるどころの話じゃないけどな。それは後で考えるか……。
~※~
正直に言ってしまうと、自分の服をあまり自分で選んだことがない。女の子に選んでもらったり、楓が似合うと思って買ってきたりと俺のファッションセンスは全て女性によって形成されている。だから誰かのファッションを評価することが苦手なんだ。
とは言え、男女2人で出かけてるんだから女の子側が男に意見を求めてくるのは明白。俺もそれに角が立たないような回答をする必要があるためある程度は女心は理解しているつもりだ。これまでたくさんの女の子と付き合ってきて『ある程度』って、如何に女心が複雑かが分かってもらえるだろう。つうか人の心なんてソイツにしか分からねぇよ。服の感想もその子の雰囲気に合うようなことしか言えない。
「せっかくブティックに来たんだし、キミの服を私がコーディネートしてあげよう!」
「どうして大賀美口調なんだよ。てか何故?」
「一度でいいから男の子の服を選んでみたかったの。ルリちゃんや綴理のコーディネートはしたことあるけど、そもそも男子と遊びに行く経験なんてなかったからね」
「お前のことだ、言い寄ってくる奴なんていくらでもいたんじゃねぇのか」
「いたよ。でも私に見合う男じゃないと判断して全員即パス」
「じゃあ俺はお前のお眼鏡に唯一かなったってことでいいのか?」
「まぁね」
慈は言葉が刺々しいこともあるけど、その節々で好意の波動を感じるような発言も多い。今みたいに暗に俺のことを認めていたり、『好き』と直接言わないけど『男』として見ていたり、最初出会った頃の懐疑的な反応は一切なくなっている。しかも以前のナイトプールの時のように密着して一緒に写真を撮ったりすることもあるなど、一般的に『男』に向ける好意ともまた別。やはり特別な存在として見られているのだろう。でなきゃ2人で遊びに誘ったりしないか。
「だったらお前の服は俺が選んでやるよ。買いたいのがあるのとは別にな」
「えっ、アンタが?」
「俺が選んだのは俺が払ってやるよ」
「それはいいんだけど、さっきはあまり乗り気じゃなかったように思えるから」
「自分はお前の男なんだって自覚したら、ちょっとは彼氏面してみたくなったんだよ」
「付き合ってる前提でお互いへの服選びってコト? ふ~ん、いいじゃん」
出会った頃だったら彼氏面することすら拒否されただろうが、今ではこのように乗り気だ。このやり取りも傍から見たら恋人同士にしか思えないだろうが、どちらかと言えば俺の背丈がガキだから姉弟と勘違いされるかもしれない。なんにせよ慈を上手くレールに乗せられたのでこっちのものだ。
服を選ぶと言っても彼氏面したいからってのが理由じゃない。さっきも言った通り今回の目的はスクールアイドル病の解消。だから肌を露出させる必要があるわけで、だから脱がせるしかない。でも試着室に一緒に入るわけにはいかないから、合法的に肌が見えるような服を選んで試着させればお披露目の際に傷の位置が目視できるわけだ。そこからどう触れるのかは別問題として、まずは俺が触れられるタイミングを作るところからだ。
そんなわけで慈の服を選ぶために女性服コーナーに来たのだが、意外と露出の高い服も多く取り揃えている店なので作戦は上手く行きそうだ。コスプレっぽい衣装も多いので普通のブティックとは違ってアングラ方面にも片足を突っ込んでいるらしい。
ただ何もない平日とは言えども客はいるので、際どい女性服を物色する変態がいると思われないかだけ心配だ。ただこの姿なので『子供がやってること』として見逃されるかもしれない。他人に警戒心を抱かれないところは子供のいいところだな。
そうして服を選んで試着室の前で待つ。
少しして慈も俺に似合う服を持って合流した。
「ねぇ、ちゃんと選んでくれた?」
「本気だ。俺のセンスをフルに駆使してお前に合う最高のものを持ってきたつもりだよ」
「なんか表面積薄くない? まさかクールな雰囲気のくせに性欲旺盛の悪ガキだったの……?」
「んなわけねぇだろ。お前自分の身体に自信があるんだろ? だったらこういうのもいいんじゃねぇかなって思っただけだよ。ま、他の奴にはあまり見せられないかもしれないけど」
「じゃ、じゃあ自分だけに見せる用ってこと……? ホントに彼氏面しちゃってる……?」
「どうせ俺よりいい男なんて現れねぇよ。だからお前への独占欲を発揮しても問題ないってことだ」
「あっそ……」
慈は頬を紅くしながらそっぽを向く。
無理に着替えさせようとして強めに押してみたが、ちょっとクサすぎたか……? でも拒否されないあたりやはり俺に対する好感度は高いようだ。ここまで順調にコミュニケーションを重ねてきた成果だろう。
こうして見ると女の子の好意を利用して操っているように思えて悪い奴、と見なされるかもしれない。だけど慈に似合う服で露出の高いものっていうのはあながち間違っていなくて、今回の目的を達成すると同時に本気でそれが似合うと思っている。コイツのカラダは部内の女子、それどころか女子高生の括りで見ても出るところが出ている、いわゆるワガママボディってやつだ。だから肌を晒しても恥ずかしくないし、むしろ蠱惑的に見えるところが魅力に感じられる。
まあ男がそんな風に捉えているとただの変態にしか思えないが、実際にそう考えを抱いているんだから仕方がない。確かにこの服は普通の比べるとちょっとだけ露出は多い気もするが、それはそれで俺の趣味が入ってるってことで。今はコイツの彼氏役をしてるんだ、コイツをどうコーディネートしようが彼氏の自由だろ。って思い込んでおくことにする。
「着て欲しいの、それ……?」
「あぁ。見てみたいんだ、これを着たお前を」
「そんなに?」
「見るまで帰りたくないって思うくらいには」
「子供か! 子供だったか……。はぁ、着ればいいんでしょ着れば。今の私は彼女だしね。彼氏の要望に素直に応える健気な彼女を演じちゃいますか」
「お前の割り切りのいいところ、結構好きだ」
「そ、そういうのいいから!」
自己肯定感の高い奴って素直に褒められると弱いところあるよな。俺の知ってる女の子の中でもそういった奴は何人かいる。自分が可愛いと自負しているが実際に本当に可愛いため周りも持ち上げる。ただそんな本心とは別に言わされてる感もあり、ある意味で褒め言葉ですら事務的な態度を取られるので、こうして素直な対応をされると逆に困ってしまうのだろう。
慈は躊躇しながらも俺の選んだ服を受け取って試着室に入る。ここには試着室が1つしかなく、他の場所のは全て人が使っていて埋まっていたので俺は外で待機することになった。
こうしたシチュエーションは久しぶりだけど、毎回カーテン1枚を隔てた向こうで女の子がリアルタイムで脱いでいると思うと少し高まるものがある。この歳にもなってこんなことでまだ興奮を煽られるなんて幼稚だと思うかもしれないが、男という性に年齢なんて関係ない。魅力的な子が脱いでいると知ったらそりゃ気にならざるを得ないだろう。
暫し時間が経った。無言で着替えていた慈だが、突然カーテン越しから話しかけてきた。
『ねぇ、想像以上に生地の面積が薄いんだけど……』
「もう着たのか。じゃあ見せてくれ」
『ちょい待ち! 実際に着てみたら超恥ずかしくなってきた……』
「どうせ俺にしか見せないんだから問題ないだろ」
『うぅ……。じゃあこっちも容赦なく子供っぽい服を選んで恥をかかせてやればよかった……』
「男の恥じらいなんて需要ねぇよ。それに俺はお前を辱めたいからその服を選んだんじゃねぇぞ」
『本気で似合ってると思ったからでしょ。趣味がいいんだか悪いんだか。全く……見せるにしてもちょっとだけ、ちょっとだけだからね』
「分かってるよ」
いつも自信家な慈がここまでビビっているのは珍しい。これも恋人ごっこの影響か。
遂に試着室のカーテンが開かれれる。
ノースリーブのキャミソール 。ヘソ出しでショート丈。白無地で柄なしなので色合いだけ見れば地味だが、露出は多めなので大人のおしゃれを演出している。胸元は当然隠れているが周りはガッツリ空いているので、普段から綺麗に手入れをしているであろうきめ細かな白い肌が存分に世に放たれている。ただ確かに言われた通り思った以上に肌が見えており、恥ずかしいと思ってしまう気持ちは理解できた。
下も生足を魅せるようなショートのデニムパンツで、これも肉付きの良い彼女の身体をより際立たせるためのコーディネートだ。脚も露出させた上にへそ出しなので脚の長さがより鮮明となり、そのおかげで彼女のスタイルの良さが一目で分かる。
上下セットで見ると、どちらか言えば持ち前の可愛さを引き立てると言うよりはその肢体に着目した服となっている。個人的な感想だがそっちの方がおしゃれに感じたし、可愛さを強調する私服は何度か見たことがあるのでこれ以上はその特徴を振りまく必要はなく、別の視点で彼女の特徴を活かしたコーデにしてみた。ま、個人的な趣味も含まれてるけどさ。
「そんなに恥ずかしいのか?」
「だっていつもはこんなイケてる格好しないし、流石に肌出すぎでしょ……」
「ライブ衣装は露出あるのを結構着てる印象あるけど」
「ライブはライブ、プライベートはプライベートでしょ。それに……」
「それに?」
「アンタと2人きりで、アンタのために着てるっていうのがその……と、とにかくハズい」
なるほど。恐らく同性の奴らと一緒であればそこまで意識することもないから羞恥心が刺激されることもない。むしろ自分の魅力を同性に思う存分アピールするだろう。
こうやって怖気づいてしまうのも異性であり好感を持っている相手だからこそ意識してしまい恥じらいを感じてしまうから。ライブ衣装は露出が多いものと割り切れるし、なんにせよここまで緊張するのもシチュエーションと意識の差なのだろう。ここまで意識されているとは思っていなかったけど。
そして、目的の傷を見つけることができた。
胸周りの露出が多く、脇下とか何も隠すものがない影響で胸の横にある傷が完璧に目視できている。あとはそれに触れられればいいのだが、コイツが動揺している間に接近してみるか? いや逆に焦らせてしまって試着室に引きこもってしまうかもしれない。だけど病気を解決するタイミングは今しかない。この先コイツが苦しむことになるのであれば少しくらいの恥じらいは我慢してもらおう。
「もうちょっと近くで見させてくれ」
「えっ!? ダ、ダメだって!」
「ちょっとだけだよちょっとだけ」
「ヤリチンが挿れるときのセリフか!!」
「何言ってんだよお前……」
「とにかくダメ――――ん? あ゛っ!?」
「どうした? えっ? うわっ!?」
俺が近づいて更に羞恥の色を濃くする慈だったが、俺の肩越しに遠くを見つめると、目を丸くして突然俺の首根っこを掴んだ。
そして勢いよく俺を試着室に放り込むと、そのまま自分も中にいる状態でカーテンを閉めてしまった。
息も絶え絶えで急に表情も強張っており、一瞬スクールアイドル病の影響で体調が悪くなったのかと思ったが、だったら俺をここに引き込む理由に説明が付かない。一体何があったのだろうか。
「おいどうした?」
「さっき子役時代の友達が店に入って来るのが見えちゃった……。今になってもたまに遊びに行く子だから、男と2人で、しかもこんな露出のある格好をしてるところを見られたら絶対にからかわれる!」
「なるほど。でも別に俺を連れ込む必要はなかっただろ」
「そうだけど、つい……」
「ついって……」
慈は子役時代の活躍もあり、今では流行を流布する立場ってことも相まってスキャンダルとなる種は可能な限り排除したいのだろう。子供姿の俺と一緒にいるだけならそこまで反響はないだろうが、ブティックで露出高めの格好をしてまるで恋人の関係ような振る舞いをすれば例え子供相手でも匂わせになってしまう。友達にバレるくらいなら口止めできそうだが、他人の口からなんてひょんなことでいくらでも情報は漏れる。彼女はそこを警戒したのだろう。
だが、それを回避するために何故か俺を引き込んだことで当然狭い試着室の中で2人きり。しかも何故か向かい合っている。
こうして近くで見ると身体の凹凸が際立つ服のせいで、彼女のスタイルの良さを目に焼き付けられてしまう。閉鎖空間に漂う思春期女子が放つ男を惹きつける甘い香りが鼻をくすぐり、そして未だに頬を染めてこちらを見つめる慈に超絶なる色気を感じていた。身長差でこちらが彼女を下から見上げる構図になるのだが、服のせいもあるだろうが本当に胸が豊満なんだと何よりも強く実感した。もうちょっと近づいたら胸に隠れて顔を見上げられないんじゃないかと思うくらいだ。
慈も思うところがあるようで、俺を連れ込んでしまったとなっても追い出すことはしない。さっきまで恥ずかしいからこの格好を見せたくないと言ってたのに今は俺がここに居ることを許可している。羞恥に折り合いがついたわけではないと思うが、恐らく誰にも邪魔されない2人きりのこの状況を辱めを受けながらも享受しているのだろう。
スクールアイドル病の傷はもう目の前。ハプニングはあったが動くならここしかない。
「慈」
「な、なに?」
「少しだけ触らせてくれ。少しだけだ」
「えっ、そ、その……」
「ダメか?」
「いや、えぇっと……す、少しだけなら……」
露出の多い格好でおさわりの許可を出すなんて完全に閉鎖空間で2人きりという魔力に苛まれているな。
雰囲気の流れってのもあるだろうが、慈が許可を出してくれたのは事実だ。
俺は慈の胸の横にある傷に指を伸ばし、軽く触れた。
すると他の奴らと同じく傷口がみるみるうちに塞がっていき、数秒後には何もなかったかのような綺麗な肌に戻っていた。スクールアイドル病の性質上コイツからその傷を確認することはできないため、コイツらからは俺が何をしたのか全く訳がわからないだろう。
でもそれでいい。顔を見てみるとさっきまで表情に現れていた熱が引いているのが分かったから、それでな。
「そ、それだけ?」
「もっと触って欲しかったか? それとも変なところを触られると思った?」
「そりゃあれだけ真剣な顔をされたら……」
「意外と脳内ピンク色なんだな」
「な゛っ!? ガキのくせに本当に可愛くない……」
どうやら慈はそれなりの行為を覚悟していたみたいだ。この姿になってからはそこまで肉食系を発揮したことがなかったけど、俺が試着室でそんな行為をすると思われていたのか。やはり本性ってのは隠そうと思っても滲み出るものらしい。
なんにせよ、慈のスクールアイドル病は無事に治療が完了した。今回も体調不良になる前に完治して良かったよ。自分の対応が遅れて苦しむコイツらの顔なんて見たくねぇからな。
「なんかやり切ったって顔してない? こっちはまだ戸惑ってるってのに」
「そうか。それだけ意識してくれてんのなら嬉しいよ」
「べ、別にそんな意味じゃないけど……。はぁ、そういうことでいいよもう。その代わり、彼氏面してる悪ガキにはあとでたっぷり彼氏ムーヴしてもらうからね。愛しの彼女をたくさん楽しませること!」
「はいはい。ま、一緒にいるだけで楽しいけどな」
「うぐっ!? そ、そういうのはいいの! 調子狂うわアンタといると」
俺はいつでも素直な気持ちを伝えているのだが、やはり男性経験がない女の子の反応はこんなものだろう。そういう初心な反応を見るのが好きだったりもする。
その後は周りに気付かれないように1人ずつ試着室を出る。落ち着きを取り戻した慈の攻撃は更に激しさを増し、辱めた詫びだの彼氏面するならもっと媚びろだの、相変わらず好き放題やりたい放題。でもその強引さこそ藤島慈という人間。距離感が近いから妙に意識しちまうんだよな俺も。
以降も色んな店を回ったが、いつの間にか向こうから手を握ってくるなど明らかに彼女から距離を縮められていた。
笑顔で俺を引っ張る彼女を見て、俺も柄にもなく子供になっていることも忘れて楽しんだのだった。
慈回の後編でした。
慈に来てもらったのは私が彼女に着せたいと思っていた服だったりします。公式はそろそろスリーサイズを公開して欲しい……。
次回のメインは生徒会です。ということはあの人です。
蓮ノ空編は残り生徒会回、梢個人回、花帆個人回、最終回で終わりになる予定です。あと2か月くらいですが最後までお付き合いください。
【キャラ設定集】
零から蓮ノ空キャラへの呼称
・日野下花帆 → 花帆
・村野さやか → さやか
・乙宗梢 → 梢
・夕霧綴理 → 綴理
・大沢瑠璃乃 → 瑠璃乃
・藤島慈 → 慈
蓮ノ空キャラから零への呼称(零への好感度 0~100で50が普通)
・日野下花帆 → 零クン (96)
・村野さやか → 零さん (94)
・乙宗梢 → 零君 (76)
・夕霧綴理 → れい (95)
・大沢瑠璃乃 → 零くん (96)
・藤島慈 → 零 (77→93 ※気になり過ぎるアイツ)
スクールアイドル病の治療状況
・日野下花帆 → 傷の位置未特定
・村野さやか → 治療済
・乙宗梢 → 傷の位置特定済
・夕霧綴理 → 治療済
・大沢瑠璃乃 → 治療済
・藤島慈 → 治療済