乙宗梢と申します。
本日は土曜日。休日ではありますが、溜まっている資料整理などの雑務を片付けるために部室に来ています。休日出勤だなんて大変だと思われるかもしれませんが、平日は授業はもちろん宿題やスクールアイドルの練習、ライブ計画の立案やスクコネでの配信スケジュールを決めたりなどやるべきことが多いので、単純作業はつい後回しになってしまいます。そのような事情もあり、そういった雑務は休日にやるのが常となっています。
休日に作業をしているからと言っても特に苦痛だと感じたことはありません。むしろこれしか作業がないため集中でき、少なくとも勉強や練習などの疲労がたまっている平日にやるよりかは格段に作業の効率は良いです。それに休日だからと言って何もせず休むだけというのは性に合わないので、単純作業でもこうして手を動かせる方が自分に合っていたりします。
そういう背景もあって部室で黙々と作業中。いつもは1人でやっており、たまに時間が空いている時にさやかさんも応援に来てくれています。ただ本日は別の助っ人が来る予定です。いつも顔を合わせているはずなのに、何故か楽しみにしているのはもしかしたら休日に2人で会うという特別感があるからかもしれません。
彼は休日も忙しそうにしており、私も雑務があるので中々時間を合わせることができなかったのですが、昨日なんと彼の方から作業を手伝いたいと進言されました。もはや部のリーダーとしての立場を確立している彼ですが、こういった細かい作業はやらないタイプなので自ら手伝いを申し出てきたときには驚きました。なんとなくで動くような子ではないので、恐らく何か意図があるのでしょう。
ただ、どんな理由があるにせよ彼と共にいられる時間が増えるのは嬉しい。日に日に増していくこの想いを少しでも形にすることができたなら、とか思ってしまいます。
気が付けばいつの間にかコーヒーの準備をしていました。それだけ彼を迎えるのが楽しみなのか、無意識って怖いですね。
そんな中、部室のドアが開きます。
「あれ、もういるのか」
「おはよう。えぇ、早く目が覚めてしまったから先に始めさせてもらっているわ」
神崎零君の登場。
中学1年生の男の子。何故か女子高であるこの学校に転入してきました。その理由は分からないけれど薄々勘付いてはいます。誰かを助けるためであり、それは恐らく私たち。特に助けを求めるようなことは何もないとは思っているのだけれど、もしかしたら知らず知らずのうちにピンチになっていて彼が救い出してくれているのかもしれない。さやかさんや綴理がそれっぽい経験をしてと言っていたから、その可能性はあります。
彼はテーブルに座らずに部屋の角のソファに深く腰を掛ける。もうそこは彼の指定席になっており、もし空いていたとしても誰も座らないほどに部の中で常識となっています。そのふんぞり返る姿は子供ながらにかわいらしく思えますが、私には男らしく見えます。背丈は瑠璃乃さんよりも少し低く、沙知先輩と同じか下手をしたらそれよりも低いかもしれませんが、普段の自信満々な口調や態度、誰にも物怖じしない姿勢などを見ていると自分よりも圧倒的に大人だと思えてきます。背中を見ていると特に彼が私より遥かに大きな存在だと認識を植え付けられるくらいには……。
「何ジロジロ見てんだ」
「ご、ごめんなさい。いつも通りコーヒーでいいかしら」
「あぁ」
先輩に対してあるまじき強い言葉。別に上下関係を弁えろとは言わないけれど、最低限の礼節すら全くもって存在しないその態度に最初は不満を抱いていました。
だけれどいつからだったでしょうか、そんな彼に惹かれてしまうようになったのは。無礼な態度が男らしい態度に変わり、汚らしい口調が力強い口調に変わるなど、彼の一挙手一投足が好みになるという客観的に見ても異様な思考になっていたのです。花帆さんが私にこっそり『あたし、零クンの命令口調がちょっと好きだったりします。なんかこう、女心にグッときます』と言って最初は彼に洗脳されていると半ば呆れていたのですが、今になって見ると花帆さんの気持ちが少し分かる気がします。
コーヒーを淹れ、ソファの隣にある円形テーブルにコースター置き、その上にマグカップを乗せる。
すると零君はすぐにマグカップを手に取りコーヒーを嗜む。紅茶よりもコーヒーだと彼の言い分1つで実家から色々なコーヒー豆を送ってもらい、更に花帆さんや慈たちがジュースを置くようになってから部室はもう喫茶店かと思うくらい飲み物が充実しています。そんな自由な空間になってしまったのも彼の言葉1つから始まったことですが、改めて彼の影響力は強いと思いました。こうして部室に来た時に私がコーヒーを淹れてあげるのも、もう日常となっています。
「これ飲んだら始めるか。やること何が残ってんだ?」
「ライブ計画書と申請書の作成。これは生徒会に出すものと外部に申請するものの2つね。あとは今月分の経費をまとめたり、次のライブで必要な器具を確認したり、単純な書類仕事まで色々あるわ」
「なんでそれだけの量をお前が全部捌いてんだよ。他の奴らはどうした?」
「いつもはさやかさんが手伝ってくれるのだけれど、今日は用事があって学校の外に出ていて……」
「他の4人は?」
「た、たまに手伝ってくれるわ。それにその4人は動画撮影とか編集とか私のできない仕事もあるし……」
「でも休みにお前だけ出てるってのは作業抱えすぎだろ。まぁお前のことだから周りに言わず抱え込んでるんだろうけどさ。他の奴らは他の作業があるからとか、事務作業は他の奴らには向かないだからとか理由をつけてな。無駄な責任感発揮し過ぎだっつうの」
この何でもかんでもお見通しなのは、もしかしてこっそりこちらを観察しているのではと疑ってしまいます。彼の察する能力によって自分の欠点が暴かれて白日の下に晒されるのは怖いというのは以前に綴理が呟いていたけれど、私も今まさにそれを実感しています。自分の弱さが浮き彫りになってしまう恐怖があるというのは慈も言っていたこと。でも2人はそれを克服したみたいです。私にもできるでしょうか、2人と同じことが……。
「あまり1人で背負い込むなよ。頼られて拒否するような奴らじゃねぇだろアイツら」
「信頼していないわけではないのよ? でも……」
「やっぱお前って頑固だよな。まあいいや、じゃあ始めるか」
「えっ、まだ飲んでいないみたいだけどいいの?」
「そんなしけた面で側に立たれてると美味しく飲めねぇからな」
「そ、そう……」
マグカップを片手にソファから立ち上がる零君。こうして見てみるとやはり背が低くて小学校を卒業したての中学1年生というのは間違っていない。だけれど中身は私に比べて圧倒的に大人で、最初から疑っていた本当に子供なのかという疑念は今になっても消えることはありません。生徒会長の沙知先輩であれば彼がどこから来たのか、どの学校に通っていたのかを知っているかと思って聞いてみましたが、どうやら先輩ですら彼の情報は全く知らない様子。彼の情報は徹底的に秘匿されており、もはや学校のトップですら把握していない状況だとか。
ただ、彼が何者であろうが私も花帆さんたちももはや誰も気にしていません。楽しい日常を一緒に送る仲間として、自分にとてつもない影響と変化を与えてくれる革命者として、そしてこれまでになかった心を熱くする感情を与えてくれる想いの人として、もはや側にいて当然の人になっています。彼が来た直後は彼が何者なのかとみんなと話すことはありましたが、最近は一切なくなりました。彼が何者だろうが今の彼は今の彼。それ良いのです。
~※~
彼のリーダーシップとしての手腕が光り輝いているのは周知の事実ですが、雑務系統の処理効率も良く、目の前の仕事が次々に片付いていきました。
申請書類はパソコンにスキャンしてあっという間に仕上げ(これまで私が手書きしていた時間と比べると比較にすらならない速度で)、ライブの計画は過去の経験から非の打ち所がないスケジュールが組み立てられ、経費管理もパソコンで表計算ソフトを駆使して抜け漏れのない費用管理を実現させました。私のやり方が前時代的過ぎて効率が悪かったというものもありますが、いくら文明の利器を駆使したとしても短時間でここまでの成果を出せるのは彼の能力の高さが故でしょう。
さやかさんといい椎葉さんといい。昨今の若者の情報処理能力の高さにはついていけませんね……。
「まさか午前中にほとんど片付いてしまうなんて、あなたって本当に凄いのね」
「別に普通だよ。つうかお前、最近俺のことを褒めてしかいねぇよな」
「それはあなたの凄いところばかり見せつけられるから……」
「凄い凄いって小学生じゃねぇんだから、もっと語彙力豊富に自尊心が高まるように褒めてくれ」
「えぇっと、とても凄い?」
「おめぇわざとやってんだろ」
「ふふっ。でもあなたの隣にいると学べることが多くて、そのたびに凄いと思っているから今更他の言葉で言い表せないわ」
「つまりそれが最上級の言葉っつうことかよ。随分安っぽいねぇ俺の活躍」
彼の活躍を具体的に並べ出すとそれはもう時間がかかってしまいます。短絡的な誉め方ですが、もちろん尊敬の念は込めています。彼は不満みたいですが……。
彼はこの部に入る売り文句としてコーチのスキルがあると言っていましたが、まさにその通りで、彼がこの部を牛耳るようになってからは何もかもがスムーズに事が進んでいます。練習メニューの見直しによるスキルアップ、ライブ演出や振り付けの提案、雑務処理のスピード等々、彼の成した功績は誰の目から見ても明らかです。
更に、彼の影響は部の活動だけではなく私たち個人にも波及しています。
さやかさんや綴理、瑠璃乃さんや慈。どうやら最近2人きりになる時間があったようで、そこで何を話していたのかは不明ですが、彼と関わった後はみんな決まって清々しい様子になっていました。幽霊騒動で彼の前向きな姿勢と逃げ出さない度胸を目に焼き付け、力強くて男らしいところを印象付けられました。しかし個々人と話す時は非常に温和であり、悩みを引きずり出される多少の辛さはあるもののそれを丁寧に解決に導いてくれる人情の厚さもあります。
認めます。だから私は惹かれてしまったのでしょう。男らしく大人っぽい彼にも、優しく子供っぽい笑みを見せる彼にも。
ただ、そこで1つ不安があります。
それは彼がこの学校からいなくなった場合、私はこの部を彼のように上手く引っ張っていけるかということです。部長は私ですが、今は実質彼が部を牽引していると言っても過言ではありません。彼のおかげで練習の濃度も上がり、ライブの演出面のアドバイスも的確で、ここ最近のライブの盛り上がりにおける一番の要因は彼と言わざるを得ません。それほど彼のマネジメント力は凄まじく、沙知先輩も現部長の私や時期部長候補のさやかさんに『彼がいる間にそのやり口を1つでも多く頭に叩き込め、自らの身体に覚えさせろ』と仰るくらいです。
そう、彼は最近漏らすことがあります。自分がここに居る時間はもう長くない。そもそも目的からして長引かせるわけにはいかないと。
だからいつ彼がいなくなってもいいように、私は彼が勢いづけてくれたこの流れを緩めないようにしなければならない。部長としてそういった責任があると思っています。
幼い頃から夢を見てきたスクールアイドル。最初は親に反対されたけれど、説得の上この学校に入りスクールアイドルになることができました。それから沙知先輩や綴理、慈とは不和があったけれど、花帆さんたち後輩にも恵まれて人間関係も修復し、順風満帆なスクールアイドルライフを送ることができています。その順調な流れを更に上の次元へと押し上げて加速させてくれたのが彼。なんとしても緩めるわけには、まして止めるわけにはいきません。部長として、みんなを牽引する存在として。
しかし、私にできるのかと不安になります。彼の手腕には間違いなく追いつけない。でも彼はいつかいなくなる。それまでに成るべき自分になれるのでしょうか。彼といる時間は楽しいけれど、同時に自分の未熟さを感じてしまうのは慈の言う通りかもしれません。
だから、今は少しでも彼と一緒にいる時間を増やして少しでもそのスキルを盗まないと――――
「おい、なんて顔してんだ」
「ッ!?」
零君に話しかけられて我に返る。
完全に作業の手が止まっていました。険しい表情をしていたのでしょう。呆れた表情を向けられてしまいます。
「お前は自分だけで色々抱えすぎだ。大方、俺との差に悩んでたんだろ」
「え、えぇ。相変わらずの察する力ね……」
「それくらい余裕だ。ってカッコよく言えれば良かったんだけど、大賀美からそれとなく聞いてたからな」
「沙知先輩が?」
「あぁ。最近のお前はちょっと焦り気味だってな。お前らの活動は順風満帆の一言だ。だけどお前は妙に焦りを感じている。大賀美はそれが気になって俺に話を振って来たんだ。ったくアイツ、いつも自分で解決せず俺に任せやがって。なんかいいように使われてる感じがして腹立つな」
「先輩が裏で誘導するのはいつものことだから……」
「まあ都合よく使われるのは慣れてるけどな。秋葉のせいで」
我が強い彼だけれど、誰かに振り回されるのは彼のお人好しな性格ということでしょうか。でもそれだけ多くの人から頼りにされているという証拠でもあります。
そしてどうやら、沙知先輩や彼にはやはり私の焦りは見抜かれていたようです。
隠しているつもりはありませんでしたが、かといって誰かに相談しているわけでもない。私の雰囲気だけで察することができるのは流石は先輩と彼と言ったところです。
「思いつめてるのも部長としての責任ってやつか?」
「そう、ね。去年は散々苦労したから、今もこの先もそんなことが起きないようにどう立ち回るかは常に念頭にあるわ。何もかもが順調に進んでいる。それを決壊させないようにするのはどうしたらいいのか、1人で悩んでしまうことがあるの」
「その責任感が周りに相談できない理由か? いや、ある程度は手伝ってもらってるけど、最終的には自分が周りを動かすしかないと思ってる。そんなところだろ」
「えぇ。部長として、何より大好きなスクールアイドルを楽しく続けたいという思いから、自分で動く必要があると強迫観念に駆られているのかもしれないわね。決してみんなのことを信頼してないとか、そういうことではないのよ」
「分かってるよんなこと」
過去に仲間と離れ離れになってしまったことがあったからこそ、今回こそは失敗しないようにと躍起になってしまうのだと思います。
ただ、彼が昨日椎葉さんに言った言葉で私の考えも少し変わった気がします。過去は過去で経験に過ぎないと。自分の行動の原因や主眼を過去に置くのではなく今を見ろということ。今がその先を作る。しかしその場合、私はその先を作れるのかが不安になりました。彼と一緒にいると嫌でもその不安定な思考が浮き彫りとなります。
「お前には余裕がない。さやかといい真面目ちゃんはどうしてこうなのかねぇ」
「さやかさんも?」
「あぁ。でもお前は責任感に囚われ過ぎてるって点でアイツと違うけどな。自分がやらないと、自分が引っ張らないと、自分が解決しないと。そうやって逸っている」
「乙宗家の教育指針だもの。自分の道は自分で切り開く」
「それは別に1人よがりって意味じゃねぇと思うけどな。ま、ガキの頃からそんな教育叩き込まれてたら捻くれるのも無理ねぇか」
「そ、それは、あなたよりはよっぽどマシよ!」
「はは、確かに。でもそういった家柄や性格も相まって、安直に誰かを頼りにするってのも憚られている。だからさっきも言った通り、まずその余裕のなさを解消するところからだ」
すると彼は自分の隣の席の椅子を引く。
まさかそこに移動しろということでしょうか? 自分が来る選択肢はなくわざわざ相手を自分に引き込む、まさに彼の性格をそのまま表してるわね……。
彼の隣に着座する。
そして一言。
「あまえてみろ、俺に」
「は……?」
あまりの突拍子もない発言に、普段出したことのない慈のような汚い疑問符が出てしまいました。
あまえる? 誰に? 彼に??
「お前は誰かに物事を頼りづらい。家柄、性格、プライド、羞恥。その全てが邪魔してるからだ。そんなものはコミュニケーションの障壁でしかない。その堅牢な壁を壊すには、誰かに心から身を預けるのが一番だ。一度でいいから何もかも忘れて相手に身を委ねてみる。それだけでも結構軽くなるもんだよ」
「わ、私が? いいのかしら、そんなことをしても……」
「いいんだよ。プレッシャーも責任も何もかも忘れる。そんな時があっても」
「いいの?」
「いいよ」
「そっちに行っても、いいの?」
「いいよ」
優しい笑顔。男らしい表情も好きだけど、こっちの顔も好きだったりします。
この時点で心が軽くなった気がしますが、ここは彼の言う通り意を決してみようと思います。
全身の力を抜き、彼の腰に腕を回しました。
そして、自分の頭を彼の胸板に置く形で身体を倒しました。
すると、頭の頂点から足のつま先まで、脳内から体中のあらゆる臓器にまで一気に多幸感が駆け巡りました。彼の香りと温もりによって急激に安心感を得られ、この一瞬でのしかかっていた重圧が全て取り払われたように感じました。煩雑な思考が全て頭から吹き飛び、残された跡はもう何もない。真っ白な世界となっています。
しかし、それが彼のみを感じられるようになって逆に心地良いです。余計なことを考えずに相手の温もりだけを享受する。傍から見ると中学1年生の男子にあまえる高校2年生の女子という、他人にあまり見られたくはない光景なのですが、もはやそんな雑念すらどうでもよくなってしまいます。些末な思考は一切存在せず、ここは私だけの世界。その世界を包み込んでくれる彼。身近にこんな幸せがあったなんて思いもしませんでした。
彼はこの状態の私に声をかけることも、触れることもしません。ただ座っているだけ。でも包み込んでくれるような感覚に陥らせてくれるのは彼自身の優しい包容力が故でしょう。
心は清々としているものの、同時に彼への想いも大きくなっていきます。だからこそ安心するのでしょう。誰でもいいというわけではないはずです。何もかも忘れてこうして身を委ね、そしてここまで穏やかな気分になれるのは私の中では唯一。もちろんそれは――――
やがて、私は頭を上げて背を伸ばします。
彼の優しい笑みはまだ消えていませんでした。またその笑みに出迎えられ、私も思わず微笑んでしましました。
「もういいのか?」
「えぇ、ありがとう。これだけの短時間で心のケアができるなんて、やっぱりあなたは凄いのね」
「またその褒め方かよ。いつかその賞賛の語彙を昇華させてやるから覚悟しておけ」
「ふふっ、楽しみにしておくわね」
「お前が意識改革すれば済む話だけどな」
こうやって少しおどけると彼とのコミュニケーションが活発になります。そうやって彼との時間を増やそうと悪い考えに至っているのは許してくださいね。あんな心地の良い時間をくれた人と一緒にいたいと思うのは当然ですから。これ、もしかして重い女と思われてしまうでしょうか……?
自分の悩みは意外とちっぽけ、いや彼がちっぽけにしてくれたのでしょう。自分の中では間違いなく堅牢で高い壁であったのに、彼がその壁を破壊してくれたと言った方がいいかもしれません。そして彼がいなくても壁を自分で打ち崩す力をくれた。心の余裕というのは素晴らしいですね。心の余裕ができて遠目で見てみたら、意外と大したことがなかったと思えるようになったからかもしれません。どんな小さな豆粒でも、至近距離で見たら目に大きく映るので当たり前と言えば当たり前ですね。
いとも簡単にそのことに気付かせてくれるなんて、さやかさんたちが解放的な様子になってたのはこれが理由だったのですね。やはり彼の存在は私たちの人生にとって革命となっているようです。
私の場合は心の安寧。責任感は重要ですが、必要以上に感じなくてもよく、時には心に余裕を持たせるためにもう少し誰かにあまえてみようと思います。
「よし。じゃあ今度は俺のワガママに付き合ってもらうぞ」
「え、零君の? もしかして私の胸に……?」
「バカ、んなことしねぇよ。ちょっと外に出るぞ」
急なお誘い。彼からそんな誘いを受けたの初めてだから緊張してしまいます。
一体何が始まるのでしょうか……?
To Be Continued……
梢の個人回の前編でした。
弱みを見せる時はあるけど誰かにあまえたりスキンシップすることはないなと思ったので、それが今回のネタに繋がりました。自分の力で道を進むのは良いですが、たまにはリフレッシュしないと疲れちゃうよってことです(笑)
次回は他の個人回と同じく零視点で後編で、スクールアイドル病の解決編です。
【キャラ設定集】
零から蓮ノ空キャラへの呼称
・日野下花帆 → 花帆
・村野さやか → さやか
・乙宗梢 → 梢
・夕霧綴理 → 綴理
・大沢瑠璃乃 → 瑠璃乃
・藤島慈 → 慈
蓮ノ空キャラから零への呼称(零への好感度 0~100で50が普通)
・日野下花帆 → 零クン (96)
・村野さやか → 零さん (94)
・乙宗梢 → 零君 (76→90)
・夕霧綴理 → れい (95)
・大沢瑠璃乃 → 零くん (96)
・藤島慈 → 零 (93)
スクールアイドル病の治療状況
・日野下花帆 → 傷の位置未特定
・村野さやか → 治療済
・乙宗梢 → 傷の位置特定済
・夕霧綴理 → 治療済
・大沢瑠璃乃 → 治療済
・藤島慈 → 治療済