ラブライブ!~蓮ノ空との新たなる日常2~   作:薮椿

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待ち焦がれていた王子様(後編)

 転入生活22日目。月曜日になり俺が蓮ノ空に来て4週間目となった。

 俺がこの学校に来た目的はスクールアイドルの女の子たちがスクールアイドル病を患っているかを調査し、もし確認できれば治療をすること。その使命のもとで秋葉により送り込まれたわけだが、ここまでは運の良さもあってか順調に事が進んでいる。この学校のスクールアイドルと自然に出会え、部に上手く潜入し、円滑にコミュニケーションを取って信頼関係を結び、そしてある程度であればコイツに肌を晒しても良いと思わせられる関係性となっている。スクールアイドル病はスクールアイドルの子の身体の局部に特有の傷ができ、それに俺が触れれば治療できるというもの。だからこそ肌を見られてもいいと思えるような関係を作る必要があるんだ。

 

 そうやって関係を紡いできた結果、この学校にいるスクールアイドル6人中5人の治療が完了した。全員が患っているわけではないと秋葉は言っていたが、蓋を開けてみれば俺が調査した子の疾患率は100%。これもう全員患っているんじゃないかと思えてしまう。

 

 その考えが当たっているかどうか、確かめるためにも最後の1人の様態を確認する必要がある。

 日野下花帆。俺がこの学校で一番最初に出会った生徒でありスクールアイドルの1人。最初から俺への好感度が高く物理的な距離も近かったのだが、彼女の身体に例の傷が存在するかは確認できていない。距離が近いと言っても流石に肌を晒す現場を目撃した回数なんてたかが知れているので仕方ないと言えば仕方ない。ただ他の奴らはラッキーもあって運よく傷を見つけられたもののコイツの場合はそれすらまだだ。距離が一番近かったのにそのラッキーすら発動してないのは逆に不運かもしれない。

 

 ただその幸運を待つだけってのは悠長が過ぎる。その病気は熱が出てぶっ倒れてしまい命すらも脅かすゆえ、できる限り早期に治療してやる必要がある。さやかの場合はその熱の影響が諸に出て、アイツの辛そうな表情を思い出すと他の奴らにそんな顔をさせるわけにはいかないと危機感を抱いてしまう。だからコイツの身体に傷があるかは早めに把握しておきたかったのが、意外にも自然な形でチャンスが舞い降りてきた。

 

 

「れ、零クン、本当に脱ぐの……?」

「脱がないと洗濯できねぇだろうが。着替えは秋葉が置いていったこのカバンの中にあるからそれを使え。アイツのだからサイズ大きいかもしれないけど、自分の部屋に戻って着替えるまでの辛抱だ」

「なんだか今日の零クン積極的だね。いつもはこんなグイグイ来ることないし……」

「そっちの方が好きだろ。お前の場合」

「や、やっぱりあたしってドMなの!?」

 

 

 男に踏み込まれることにドキッとするだけでM判定するなら、俺の知りあってきた女の子のほとんどがMになっちまうって。そんな独裁政権を握ってきたわけではないが性格的に攻め込むタイプなのは否めない。逆に俺がSっ気のある性格だから女の子側がMに目覚めるとかはある……かもしれない。

 

 余談はさておき、花帆が俺のコーヒーを盛大に溢して浴びてしまったことにより服を洗濯をするため急遽俺の部屋に来た。ブレザーの中のシャツにまで染みており早く洗濯しないと取れなくなる可能性を考慮しての提案だったのだが、俺の狙いは別のところにある。

 

 そんなわけで花帆に秋葉の服が入ったカバンを渡して洗面所で着替えてもらうことにした。

 流石に着替えシーンを見るわけにはいかないのでその場を離れたが、耳をすませばブレザーやスカートを次々と脱ぐ音が聞こえてきて思わず聞き入ってしまう。普段はもはやこの程度で情欲に満ちた感情は抱かないのだが、やはりガキの姿に戻ったせいで性欲も思春期相応になっているのだろうか。今思えば高校時代はメイド服姿や太ももの露出だけでも鼻血を出しそうになってたから懐かしいな。自ら風呂覗きをしようとしたり、あの頃は本当にクソガキだった。ただ今もそういった振る舞いをすれば大人っぽく見えないから正体バレを気にする必要もなかったかもな。今更子供の演技をするのは恥ずかしすぎるけど……。

 

 

「零クン……」

「ん? 着替え終わったか――――え゛っ!?」

 

 

 洗面所から花帆が出てきたので振り返ってみると、そこには文字通り『白シャツ1枚』だけを着た花帆がいた。上を着ているだけで下は履いていない。秋葉の大きめのシャツが故に下半身はギリ見えていないが太ももから下は完全に剥き出しになっていた。俗に言われる裸ワイシャツと呼ばれるもので、久しぶりにそんなハプニングに遭遇したのも相まってかこちらも一瞬言葉が詰まってしまう。

 

 ただあまりにジロジロ見ていたせいか、花帆は赤くなっている顔を更に濃く染め上げて抗議する。

 

 

「どうして下がないの!? ズボンとかスカートとか!!」

「カバンの中に入ってなかったのか? 秋葉が今度家に持って帰るものだって言ってたから、てっきり着替え一式入ってるものだと……」

「シャツか白衣しかなかった……。ていうか中身見てなかったの?」

「女の着替えを見る方がおかしいだろ」

 

 

 いくら姉弟とは言えども女の服を勝手に覗き見るのはちょっとな。恥ずかしいとか相手に迷惑だとかそういうのではなく、興味があると勘違いされてからかわれるのが鬱陶しいだけだ。別に家族の服や下着を見たところで性的な欲求は全くない。

 

 それにしても、前から思ってたが花帆って意外と肉付きのいいカラダ付きしてるよな。太っているとかではなく単に出ているところがしっかりと出ている。胸は慈と並ぶくらいに大きいし、脚も細いのに太ももだけはそれなりに肉が付いている。童顔なのに情欲を感じさせる艶めかしさやのギャップがこれまた男の目を光らせる。決してスタイルがいいわけではないが男から見れば申し分ない。

 この体型なのに昔は病弱だったって信じらねぇな。高校入学まで親に食い物を制限されていたり、スポーツで身体を動かすこともままならなかったなど豊満スタイルになる要素が一切ないのによくこんな身体に育ったものだ。

 

 制服の上から見ると分からないが着痩せするタイプだろうか。そういやナイトプールの時に水着姿を見たけど、その時にも同じ衝撃を感じたっけ。コイツこんな破壊力高めのカラダしてたのかよってな。今もシャツ越しで分かるその胸の大きさが――――って、ん??

 

 

「おい、お前もしかして下着つけてないのか?」

「う゛っ!? だ、だって洗っちゃったんだもん。下着にもコーヒー染み込んでたし……」

「胸元に入り込むように飛び散ったもんな……。てかなんで着替える前に洗濯したんだよ」

「少しでも早く洗濯しないとって思っちゃったんだよ! そしたらカバンにはシャツ1枚しかなくて……」

「そうか。下は履いてるよな……?」

「当たり前だよ!! そんな詳しく確認するなんて、零クンって意外とエッチなんだね……」

「ほっとけ……」

 

 

 コイツの場合は下は濡れてないのに下着は上下セットだから洗う時はセットで、とか思って洗濯しかねないうっかりさんだ。だから念のため確認しただけなのに何たる仕打ち……。

 

 

「俺のズボンは小さいから入らないだろうし、誰かに連絡してお前の部屋から持ってきてもらうか?」

「もう練習も始まっちゃってるし、邪魔したら悪いからこのままでいいかな。洗濯と乾燥が終わるまでこのままでいるよ」

「今日は秋葉もいねぇしな。お前がそれでいいっつうならいいか」

 

 

 花帆は俺の座っているソファに腰を下ろす。ただお互いに端に座って距離がある状態だ。

 隣に裸ワイシャツの女の子がいるなんてまさに今から営みますよと言ってるようなものだが、まさかここまで込み入ったイベントが発生するとは思わなかった。最初はコイツの身体に傷があるかを確かめるために制服を脱がせられればいい、その後にどう確認するかはその時の流れに任せようと思っていた。まあ楽に確認できることに越したことはないからメリットのある偶発イベントなら大歓迎だけどさ。

 

 しばらく花帆は無言だった。洗面所から洗濯機の回る音だけが聞こえる。いつもなら息をする暇がないくらい話題を振って来るコイツだけど、今は裸ワイシャツ状態で恥ずかしいのか黙ったままだ。それでも俺から隠れて座ろうとしなかったり、俺を遠ざけようともしていないので羞恥心はあっても嫌悪感はないようだ。

 

 にしてもさっきから俺が目を向けると高確率で花帆と目が合う。そのたびに花帆は頬を染めて目を逸らす。俺がジロジロ見ないかを監視しているのだろうか。でも俺と目が合っても何も言ってこない。それどころか身体をもじもじさせて余計に目を奪うような仕草をする。本人に誘っているつもりはないだろうしそんな知識もないだろうが、あまりその恰好で動かれると部屋が静かなのも相まって肌と服の擦れる音がとても艶めかしく聞こえ、男の淫らな欲求に火が点きそうになる。

 

 そんな中でもせっかくのチャンスを物にするため、花帆の肌剥き出しの脚を横目で確認して傷の有無を探る。

 俺の見える範囲では傷は存在しない。さっきから動いているためか裾でギリギリ隠れていたシャツが捲れ、もはや白のショーツが見えてしまっている。それを伝えないのは本人に悪いと思いつつも、隠されてしまうと傷の位置を特定できる範囲が狭まってしまうので敢えて口に出さない。女の子の下着周りを横目で盗み見するなんて実質盗撮と同じだなこれ……。

 

 自分のやっていることが非人道的だと思いながらも、もしコイツがスクールアイドル病を発症していたら治療をする必要があるため仕方のないことと思い込むことにした。

 そしてまた洗濯機が回る音だけが響く。その間も花帆に目を向けたり逸らしたり、繰り返すことを辞めなかった。何か言いたいことでもあるのだろうか。

 

 しばらくして、ソファに座って初めて口を開いた。

 

 

「ねぇ零クン、もう少しだけ近くに行っていい?」

「え、いいけどどうしたいきなり」

「零クンさっき言ってくれたよね、人との繋がりは簡単には切れないって。あたしにとって大切な人と別れるのは初めての経験で、別れたらもう何もかもなくなるって考えてたから寂しさで感情が溢れそうだったんだ。みんなの前では元気いっぱいのいつもの自分を見せてたけど、1人になると零クンがいなくなっちゃう悲しさで泣きそうだった。でも零クンは教えてくれた。人の繋がりは想いあっていれば切れないって。だから今のうちにもっと想いを繋げたい。だからできる限り一緒にいたい。だからもっと、近づきたい」

 

 

 さっき食堂でコイツの心の闇を見た。

 中学までまともに人間関係を構築できなかったため、大切な人との別れを経験することがなかった。だから俺の別れこそが人生にとって最初に経験する離別となる。寂しさで満ち溢れてしまうのは当然だろう。

 だが、人の繋がりは切ろうと思わない限り切れはしない。それを教えたらいつもの調子に戻り太陽のような笑顔も帰ってきた。

 別れは新たなドラマの始まり。自分の中には常に神崎零がいる。それが自己暗示でもいい、自分が前を進む糧となるならそれで。

 

 だからこそ、残りの短い期間で一緒にいられるのであれば一緒にいたい。半裸である羞恥心を乗り越えてでも俺に肩を寄せようとしてくるその気概は先程の決意からくるものだろう。

 花帆は俺との距離をじわりじわりと詰めてくる。お互いそれぞれソファの端に座っていたのだが、いつの間にかすぐ隣にまで迫っていた。一緒にいたいという気持ちが抑えられないのだろう。やがて俺の肩に花帆の肩が触れた。

 

 

「あたし、多分零クンのことが()()なんだと思う」

 

 

 いきなりとんでもない爆弾を投下しやがった。

 もちろんこれまであからさま過ぎる好意を伝えられていたから恋愛感情があるとは思っていたけど、まさかここで言葉にしてくるとは思っていなかった。他の奴らからも大なり小なり花帆と同じ想いを仄めかしてきたが、それを直球で伝えてきたのはコイツが初めてだ。ぶっちゃけ聞きなれた言葉ではあるけど今の静かなムードも相まって心に大きく響いた。

 

 

「零クンはあたしにとっての王子様だから。手を引いてくれて、目の前の世界を広げてくれる主人公。胸を焦がす熱さを感じさせてくれる想いの人。ずっとそんな人のことを待っていたんだ、あたし――――って、ちょっとメルヘンチック過ぎたかな、あはは……」

 

 

 親友ができ、先輩ができ、一緒の部活動を始めた。コイツにとってそれだけでも人生は満たされていたのに、俺が現れたことで女子高では絶対に叶わないだろう王子様登場の願いまで叶っちまったってわけか。そりゃ別れに対して落ち込むのも分かる気がするな。

 ただその純粋な心はずっと持ち続けて欲しい。自分が思い描いていた願いを自分で否定して欲しくはない。

 

 だから――――

 

 

「全然。俺だって人を好きになるのは単純な理由だから。てか大概そんなものだろ、人が人に惹かれるのって」

「そうなのかな? 恋愛なんてしたことないから分かんないや……」

「別に恋愛だけじゃない。お前がさやかたちの魅力に惹かれる理由も壮大なエピソードがあるわけじゃないだろ。そんなものなんだって。俺がお前を好きなのと同じようにな」

「へ? へ? も、もう一回言って!!」

「聞いてなかったのが悪い」

「ちょっと待って録音の準備するから!!」

「それはやめろ」

 

 

 自分が半裸ってことも忘れて慌てて携帯を取りに行こうとする花帆。もはやシャツが(はだ)けていることも気にしてない、いや気にしている場合ではないのか。割といい雰囲気だったのに一瞬でぶち壊されたな……。

 

 

「言っただろ。俺の夢は女の子の笑顔を見ることだって。だからその子の笑顔が綺麗だったら惚れちゃうよ。これでも意外とチョロいんだ」

「じゃああたしの笑顔が綺麗、だってこと……?」

「それがお前のチャームポイントだろ。他の奴らも言ってるし、ファンの奴らも同じこと思ってんだよ。自覚してねぇのか?」

「よく言われはするけど、零クンから直接言ってもらえたら余計に嬉しくなっちゃって。えへへ……」

 

 

 その明るい性格と太陽のような笑顔は見る物の心を晴々とさせる。それはもう満場一致の事実として知れ渡っていることだ。それに笑顔が素敵な奴ってことは俺の好みにぶっ刺さる奴ってことでもあるから、そりゃ惹かれちまうのは当たり前だろ。もしかしたら一目惚れの早さで競えば俺とコイツでほとんど差はないかもしれない。それくらいコイツのことは出会った頃から気に入っていた。

 

 そう考えると、コイツの笑顔の源ってどこから来るのか気になるな。だって中学まで閉鎖的な生活を送って来たのに、どうやらスクールアイドルなりたての頃から1週間連続ライブをやるタフネスもあったわけだし、その頃から愛嬌も十分だったそうだ。環境の切り替わりで覚醒したのか、病弱少女とは思えない快活っぷりだ。

 

 

「じゃあもしかして、あたしと零クンは……両想いってコト!?」

「別に俺が向ける矢印はお前だけじゃないけどな」

「うんうん知ってる! 多分さやかちゃんたちにも同じこと言うよね。だって零クンだもん」

「お前はそれでいいのかよ」

「いいよ。零クンと同じ気持ちを共有している、それだけでね」

 

 

 懐の広い奴だ。というより今のこの状況だけを堪能しているため深くは考えていないのだろう。それにコイツだったらみんなの告白も聞いてみようとかノリノリで言いだしそう。人との繋がりを強く意識するコイツだからこそだろう。

 

 花帆は俺に身体を寄せるどころか俺に身体を倒すような体勢になる。

 もたれかかって身体の位置が下がったことで、シャツの首周りの隙間から胸元が大いに晒された。

 

 そしてそこで見つけた。やはり花帆にもあったんだ、スクールアイドル病の病状である傷が。しかも右胸のなだらかな斜面の上、言ってしまえば上から鷲掴みにしたら手のひらに当たる部分だ。他の奴らは胸元や横に傷があることが多かったけど、乳房に直接傷があるのは初めてだ。

 

 これまでにない男女の想いが交じり合った甘い雰囲気。この機を逃すわけにはいかない。

 見ると花帆はシャツのボタンを留めているが1段ずつズレている。だったら――――

 

 

「お前ボタン付け間違えてるぞ。直してやるからじっとしてろ」

「あ、ありがとう……」

 

 

 俺は花帆のシャツのボタンを一旦全て外す。その際に前をあまり開かないように気を付けた。いいムードだと言っても流石に胸を全て見せるのは今のコイツにとってハードルは高いだろう。ここで逃げられたらせっかくのチャンスが水の泡になる。

 

 下から順番に正しくボタンを留めていく。

 1つ、また1つ。そして胸元のボタンを留める段階までやってきた。

 

 ボタンを留めるのと同時にそれっぽく指を伸ばすと、その指で――――彼女の胸の傷に触れた。

 

 

「んん……」

 

 

 今まで聞いたことのない官能的な声が漏れる花帆。傷が治る際に刺激が加わるらしいのでそのせいだろう。同時に傷口はいつも通りリアルタイムで塞がっていき、ものの数秒で完全に塞がり跡も何も残らなかった。

 

 その後にボタンを全て留め終えたが、その途中で何も言われなかったので俺の指が胸に触れた件はお咎めなしか、それかそもそも気にならなかったのだろう。

 

 これで6人全員のスクールアイドル病の治療に成功した。最初は何人なのかすらも分かっていない状況で結局全員を治療したわけだが、ようやく俺の目的は全て果たされたわけだ。

 ただ意外にも達成感みたいなものはない。もうこのミッションを背負った生活が日常となっていたこともあるし、何より今は花帆と2人きりのこの空気感の方が大事だと思っている。ミッションコンプリートを祝うのは1人になった時に秋葉とするとして、今はこの時間を楽しむ方が先決だ。

 

 

「ほら、ボタン直してやったぞ」

「ありがとう。これから毎日ボタン直して欲しいなぁ~」

「毎日味噌汁作ってもらいたいの派生にしては特殊過ぎるだろ。世話はさやかにやってもらえ」

「それくらい一緒にいたいってことだよ。でもおかげで心の中に零クンを刻みに刻み付けたから、いつお別れの時が来ても泣かないよ!」

 

 

 目的がすべて達成されたということは俺がここに居る理由はなくなったわけだ。それつまりいつここを出ても問題ないということ。別れが辛くならないように裏でコイツらの精神も育ててきたつもりだけど、果たしてどうなるかな。

 

 

「そっか。じゃあ泣いたら罰ゲームで」

「え、零クンの罰ゲーム!?」

「なんでちょっと嬉しそうなんだよ。やっぱりお前……」

「違う違うそうじゃない! それだけは別れる前に弁明させてよ~っ!!」

 

 

 花帆が近寄って来るまではお互いに喋らず静かな雰囲気だったが、この後は花帆がいつも通りのテンションに戻ったためかこれまたいつも通り俺に絡んできた。

 これがいつもの日常と思いつつも、迫る別れの時のためもこの時間をいつもより楽しもうとも思った。人には別れを惜しむなと言いながら自分も多少は名残惜しいと思ってしまうあたりこの学校での思い出が色濃くなっているのだろう。

 

 あと僅かな時間。俺もコイツに負けないくらい思い出を自分の中にたっぷり刻み込んでおこう。

 




 花帆の個人回の後半でした。
 慈の時もそうでしたが、身体がいい子の場合は脱がせたいという私の欲望が出てしまいました(笑) まあそれで彼女の命の危機は去ったので結果オーライということで……


 次回は遂に最終話となります。恐らく前後編となるため厳密には『最終話』というより『最終回』というべきでしょうか。どちらにせよ最後まで是非お楽しみください!



【キャラ設定集】
零から蓮ノ空キャラへの呼称
・日野下花帆 → 花帆
・村野さやか → さやか
・乙宗梢   → 梢
・夕霧綴理  → 綴理
・大沢瑠璃乃 → 瑠璃乃
・藤島慈   → 慈

蓮ノ空キャラから零への呼称(零への好感度 0~100で50が普通)
・日野下花帆 → 零クン  (98→100)
・村野さやか → 零さん  (94)
・乙宗梢   → 零君   (97)
・夕霧綴理  → れい   (95)
・大沢瑠璃乃 → 零くん  (96)
・藤島慈   → 零    (93)

スクールアイドル病の治療状況
・日野下花帆 → 治療済
・村野さやか → 治療済
・乙宗梢   → 治療済
・夕霧綴理  → 治療済
・大沢瑠璃乃 → 治療済
・藤島慈   → 治療済
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