ラブライブ!~蓮ノ空との新たなる日常2~   作:薮椿

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終わらぬ夢から目覚めて(入眠)

 澁谷かのんです。

 カーテンから漏れる冬暁によって目を覚ます。冬の寒さが本格的になってきた今日この頃、ベッドから抜け出すだけでも一苦労。暖房を入れたまま寝れば良かったと後悔しつつも、加湿器に水を組む一手間が面倒でやめた昨晩の自分を恨む。

 暖房をつけるなら喉を守るためにも加湿器は必須。もうすぐ『ラブライブ!』の本戦だから風邪を引かないことはもちろん喉もしっかり守らないと。私にとっては最後の『ラブライブ!』、喉の調子が悪くて負けたなんてそんなちっぽけなミスはしたくないからね。

 

 そう、全国大会の本戦。予選と東京大会を勝ち抜いて次が最後の戦い。大切な大会ではあるけど、普段は曲を作らない人が作詞をしたり、衣装や振り付け、ステージのポジションや演出もいつも以上にメンバー全員の意見を可能な限り取り入れた。つまり去年以上にみんなで繋いできたこの大会、絶対に負けたくない。

 

 それに大会で優勝した暁には先生に想いを伝える度胸も完璧に付くかもしれない。スクールアイドルを始めて3年目、おかげで自分への自信を持つことができた。1年目の頃はかなり卑屈で若干黒歴史になるくらいやさぐれキャラだったけど、今の自分であれば、『ラブライブ!』を優勝する自分であれば先生と真に真っ向から向き合える度胸と自信が手に入るはず。だからその意味でも負けるわけにはいかないんだ。

 

 そうやって決心を新たにすると身体がほんのり熱くなってきた気がするので、その勢いのままベッドから飛び出る。

 思ったより寒くて震えそうになるけど、一階の暖房がついているホールに降りるまでの辛抱。そこまで行けばお母さんが朝食を作ってくれているはず。そして私よりも早起きなありあとマルガレーテちゃんが暖かく『おはよう』と迎えてくれるはず。あったかい、あったかいよ澁谷家!

 

 着替えるのは後回しにして適当に上着だけを羽織って部屋から出ようとする。

 するとその時、部屋の前に誰かが来た気配を感じる。もしかして私を起こしに来たとか? 焦って時計を見るも特に寝坊する時間ではない。一体何の用だろう……?

 

 

『かのん起きてる? かのん!』

「マルガレーテちゃん?」

 

 

 部屋の前にいるのはマルガレーテちゃんだった。

 気になるのは声の雰囲気が緊迫していること。いつも冷静沈着な彼女があまり発さない声。一体なにが……?

 

 部屋のドアを開けると、マルガレーテちゃんはいきなり部屋に踏み込んできて私の肩を掴む。

 なんだろう、私なにかやっちゃった……??

 

 

「あなた、スクールアイドルって知ってる……?」

「へ? 何言ってるの?」

「その反応、やっぱりあなたも……」

「いやいや、知ってるも何も私たちスクールアイドルじゃん。その質問をしてきたことに驚いてるんだよ」

「そ、そう、良かった……。いや状況は良くはないけど……」

 

 

 安心したのも束の間、次は深刻そうな表情をするマルガレーテちゃん。なにやらただならぬ様子で何かあったに違いない。こんな余裕のない彼女は初めて見るから、状況を全く理解していない私も思わず身構える。

 

 

「何かあったの……?」

「信じられないと思うけど―――――『スクールアイドル』の概念がこの世から消えてるわ」

「は……?」

 

 

 信じられないというより、最初は何を言っているのか意味がさっぱり分からなかった。『スクールアイドル』ってあの『スクールアイドル』だよね? 私たちがやってる『スクールアイドル』だよね? 同音異義語じゃないよね?? その概念が消えている? どういうこと??

 

 

「そのままの意味よ。さっきありあやあなたのお母さんにスクールアイドルの話をしたとき、まるで最初からそんなことを知らないような反応をされたから……」

「そ、そうなんだ。あっ、もしかして寝ぼけてるだけじゃない。しっかり者のあの2人でもそんなことがあるんだねぇ……」

「事実から目を背けるんじゃないわよ。試しに携帯で『スクールアイドル』って調べてみなさい」

 

 

 深刻な顔をするマルガレーテちゃん。ウソを言う必要なんてないから本当のことなんだろうなと思いつつも、まだ実感がないから思ったよりも平常心を保っている。自分の手で調べたらその平静が絶望に変わりそうだと分かっていながらも、事実を知る必要があるとも分かっているのでスマホに手を伸ばす。

 

 ブラウザのアプリを立ち上げ、検索欄に文字を入力する。日頃からよく使うワードなので『す』と入力した時点で入力候補に『スクールアイドル』が出てきた。それをタップすると検索履歴に『スクールアイドル』の文字が自動で入力される。

 

 その瞬間から戦慄が走った。まだ検索はしていないけど、『スクールアイドル』と入力しても検索候補に何も表示されない。いつもであれば検索候補に『スクールアイドル ラブライブ』だの『スクールアイドル グループ一覧』だの色々表示されるはずだ。でも何も表示されない。それだけでマルガレーテちゃんの言っていたことが事実だと私の中で認識が浸透しつつあった。

 

 そして遂に検索をする。

 すると予想通り、『スクールアイドル』のことは一切合切なにも情報が出てこなかった。いや、最初から情報がないと言った方が正しい。『スクールアイドル』というワードから『スクール』と『アイドル』で分離して個別で拾った検索結果が表示されている。だから学生の年齢でアイドルをしている子、つまり事務所所属のプロの子の情報が出てくるのみだった。もちろん従来の『スクールアイドル』とは全く関係ない。

 

 

「その顔、どうやらあなたも全てを察したようね」

「そ、そんな……。そんなことって……!! ちょっと聞いてくる!!」

「えっ、かのん!?」

 

 

 私は部屋を飛び出した。

 信じなきゃいけないけど信じたくはなかった。どうしてそう思ったのかはまだ詳しく説明できない。スクールアイドルがなくなったら私はどうなってしまうのか、それを考えたくなかったんだと思う。

 

 一階の喫茶店のホールに到着すると、そこにはありあとお母さんが朝食を取っていた。大きな音を立てて階段を下りてきたこと、そして私が険しい表情をしているのを見てか2人は怪訝そうな顔を浮かべる。

 

 

「ありあ! お母さん!」

「もう、朝から騒がしい……。まずは『おはよう』でしょ」

「おはよう! そんなことより聞きたいことがあるんだけど!」

「お姉ちゃん朝から興奮し過ぎ。まずコーヒー飲んだら? ほら」

「ありがとう。って、それは後でいいから!」

 

 

 相変わらずマイペースな2人。まあ朝から騒いでる私がおかしいのはそうなんだけど、今はそんなことどうでもいい。

 

 

「ねぇ『スクールアイドル』って知ってるよね??」

「またそれ? さっきマルガレーテちゃんにも聞かれたよ。何度言われても知らないし聞いたこともない。ね、お母さん」

「えぇ。名前からすると学校のアイドルってこと? 今の子たちはどうか分からないけれど、私の頃は学校のマドンナなんて人が1人や2人はいたものよ。私だって昔は――」

「またその話? もう何度も聞き飽きたし、そんなお母さんなんて想像もできないって」

「あ~あ、ありあは今月のお小遣い減給かぁ」

「え゛っ、なんでそうなるの!? あ、相変わらず綺麗だなぁ~お母さんは!」

 

 

 知らないと一刀両断された上に全く関係ない話にシフトしてしまった。

 どうやらこの世から『スクールアイドル』の概念が消えているっていう、さっきのマルガレーテちゃんが言っていたことは事実に間違いない。どうしてこんなことになっているのか分からないけど夢ではない、多分……。

 

 私とマルガレーテちゃんは正常だ。もしかしたらLiellaのメンバーであれば同じ境遇かもしれない。

 そう思ってすぐ、まずちぃちゃんにメッセージを入れてみた。毎朝ランニングを日課しているちぃちゃんならこの時間は既に起きてるから、すぐに返信をくれるはず。

 

 

『ちぃちゃん、スクールアイドルって知ってるよね?』

 

 

 すると予想通り、すぐに返事が来た。

 

 

『知ってるも何も私たちのことじゃん。えっ、なにその質問……?』

 

 

 良かったとひとまず安堵する。マルガレーテちゃんに質問された時の私と全く同じ反応だ。まだ確認はしてないけど、恐らく他のみんなも私たちと同じ認識を持っているに違いない。

 そんな中、マルガレーテちゃんも二階から降りてきた。スマホの画面を私に見せる。

 

 

「試しに冬毬に聞いてみたけど、どうやら知ってるみたいよ」

「ちぃちゃんに聞いたけど同じ。つまり――」

「少なくともLiellaは正常みたいね。この世界の基準だと私たちの方が異物なのかもしれないけど」

「ちょっ、そんな怖いこと言わないでよ……」

 

 

 私もうっすらそう思ってたけど、いざ言葉にされるとオカルト感が増して怖くなる。今まで幽霊には会ったことあるけど、今回はまた別の怖さがある。幽霊みたいにまだ存在が認識できるだけあっちの方がマシかもしれない。

 

 それに他にも気になることは色々ある。私たち以外のスクールアイドルはどうなっているのか、学校のみんなの認識はどうか。

 そしてなにより、先生はスクールアイドルのことを、私たちのことを覚えているのか。スクールアイドル以上に先生に認知されているかの心配が大きい。今すぐに電話なりメッセージなりしてもいいけど、もし想定しうる最悪のケースだった場合にショックで動けなくなってしまうかもしれない。

 

 どのみち学校に行くんだからその時に確かめればいっか。先延ばし癖は私の悪いところだけど、今回ばかりは仕方がない。

 

 

「ほら、早く支度して学校に行くわよ。早急にみんなで今後のことを話し合った方がいいわ」

「そうだね」

 

 

 事前にグループチャットで確認はするけど、実際に対面で話し合った方がこれからどうするかを決めやすい。

 そう考えた私たちは猛スピードで朝食と身支度を済ませて家を出た。

 

 得体の知れない不安と恐怖。その中でも最も恐れていることが現実になっていないことを祈るばかりだった。

 

 

 

 

~※~

 

 

 

 

「なっ……なっ……なんということでショウ!! 『ラブライブ!』の優勝トロフィーが消えてマス!!」

 

 

 早朝の学校に集まった私たちLiella。不幸中の幸いか全員がスクールアイドルのことを認識していた。

 ただ世界からスクールアイドルの認識が消えたことは確かなようで、理事長室の近くのガラスケースに飾られているトロフィーがスクールアイドル部の物だけなくなっていた。それを見て可可ちゃんはガラスケースに顔面を潰しながら涙を流す。

 

 

「本当に驚きました。サヤさんも認知されていなかったですし、こうもスクールアイドルの痕跡が1つも残っていないだなんて……」

「私もかのんちゃんからのメッセージを読んだ時はビックリしたよ。スクールアイドル部の存在も消えちゃってるなんてね……」

「それに登校中いつも街中で『ラブライブ!』の宣伝ポスターや動画をたくさん見かけるのに、1つもなかったわ。本当に『スクールアイドル』の概念が消えちゃったのね……」

 

 

 恋ちゃん、ちぃちゃん、すみれちゃんも驚きと悲しみの狭間に埋もれてしまっている。スクールアイドルが世間に大々的に認知されるようになってきたこの時代、この季節になると『ラブライブ!』の話題は街を歩けばイヤでも目や耳に入る。でも街も学校も何もかもからその概念は消えていた。いや、消えたと言うより最初からなかったって方が状況的に意味合いは正しいのかもしれない。

 

 ちなみにさっきちぃちゃんが言っていた通りスクールアイドル部の存在もなくなっていた。スクールアイドルの概念がないから当然と言えば当然だけど、これまで積み上げてきた努力の功績が全てなかった扱いにされるのは胸が締め付けられる思いだ。可可ちゃんが大袈裟に泣く理由もちょっと分かるくらいに……。

 

 もちろん2年生や1年生たちも戸惑っている。

 

 

「私のエルチューブやスクコネに投稿した動画も漏れなくなくなっていますの! スクールアイドル関連以外は残ってるので、これはスクールアイドルに恨みがある人がピンポイントで削除したに違いないですの!」

「ただそんな人がいるとして、こんな世界の概念を変えるなんてアニメや漫画みたいなことできるのかよ。しかも私たちだけ元のままってのも意味分かんねぇ」

「もしかしたらパラレルワールドに迷い込んでしまったのかもしれない。私たちがいた世界とこの世界が違うのは、スクールアイドルの存在有無だけ」

「えぇっ!? じゃあ早く抜け出さないときな子たちどうなってしまうんすか!? あっ、もしかしてこの世界のきな子たちが存在してるとか? ドッペルゲンガーに会ったらどちらかが消える噂もあるっすよね!?」

「落ち着いてください、きな子先輩。自分の家に怪しいところはなかったはずです。この世界にもう1人の自分がいるとしたら家にいる時点で鉢合わせていたでしょうから」

「そう考えると、世界は元のままで概念だけが捻じ曲がってしまったと考える方が自然でしょうね」

 

 

 パラレルワールドとかドッペルゲンガーとかもう自分たちではどうしようもできない事態に陥ってると考えてしまうのも仕方がない。先生の周りにいると超常現象的なことに巻き込まれることも珍しくないからね、世間一般とは常識がズレちゃっている部分もある。でも今回はあまりにも難解な出来事すぎるけど……。

 

 

「かのんちゃん、スクールアイドル部も優勝トロフィーもなくなっているから、他の人たちに聞いてもあまり意味がない気もするね」

「うん。でも先生には聞いておきたいな。聞きたくない気持ちの方が大きいけど、もしかしたらスクールアイドル関係者ってことで私たちと同じ状況かもしれないしね」

「えっ、先生に連絡していなかったのデスか? 可可、てっきり先に気付いたかのんかマルマルがしていると思ってマシタ」

「しようと思ったんだけど、かのんがビビっちゃって直接会うまで先延ばしにしたのよ」

「だって怖いじゃん。先生と私たちってスクールアイドルで繋がってるんだよ? つまりスクールアイドルの概念がなくなったら……」

 

 

 及ぼす結果を理解していたマルガレーテちゃん以外のみんなが肝を冷やして黙り込む。

 スクールアイドル部の顧問と生徒として繋がっている先生と私たち。スクールアイドルの概念が消えて部が存在しない扱いとなっているこの世界で、果たして先生と繋いできた絆はどうなっているのか。紛いなりにも多少は想いを伝えていて、先生本心の想いも受け取っている。その軌跡がなかったことにされるとなると胸が張り裂けそうになる。特に去年私と同じ先生と通じ合った経験をしているであろう3年生と2年生たちは、スクールアイドルの概念消失でより困惑していると思っている。

 

 そう考え込んでいる中で、隣でマルガレーテちゃんがスマホを操作していた。

 

 

「あまり言いたくはないけど、もうすぐ分かることだから言うわ。先生の連絡先、消えてるわよ」

「「「「「「「「「「えっ!?」」」」」」」」」」

 

 

 みんなが一斉にスマホでメッセージアプリを確認する。

 マルガレーテちゃんの言った通り、先生の連絡先が消えていた。ということは私がさっき危惧していたことがほぼほぼ現実になった、ということだ。

 

 

「スクールアイドルの概念が消えたことで、私たちと先生の繋がりも消えてしまったようね」

 

 

 言葉に出されることでより一層の絶望が私たちを襲う。先生に直接確認したわけではないので確定ではないものの、スクールアイドルの概念だけ綺麗に消し去っているこの世界のことだ、スクールアイドルで繋がっていた人たちとの関係性も切れるように調整されているんだと思う。

 

 そう考えると、もしかしたら……!!

 

 

「先生以外にも連絡先から消えてる人がいる! Sunny Passionの悠奈さんと摩央さんもそうだし、侑さんや他のスクールアイドルの知り合いまで……」

「どうやらスクールアイドルで繋がっている人は消えているようですね。スクールアイドルと関係ない家族や親戚、友達などは残っています」

「ここまで徹底していると、何やら作為的なものまで感じられますね……」

「誰かがスクールアイドルを狙っているってことかしら……?」

「もしそうだとしたら、なんのためにそんなことをやるんすか!?」

「それだと私たちがスクールアイドルを知っているのは不自然。もしかしたら、他のグループの人たちも同じ状況かも」

「ありえるかもな。でも連絡先が消えちゃったから確認できないぞ」

「こうなったら動画を投稿して情報を拡散させますの! そうすればスクールアイドルを知っている人たちとコンタクトを取れるはず!」

「やめておきなさい。誰が何の目的でこんなことをしたのか知らないけど、あまり目立たない方がいいわ。もし張本人がいるとしたら、私たちにスクールアイドルの概念が残っていると知られて後追いでその認識を消してくるかもしれないから。もしそうなったら私たちからもスクールアイドルが消えて、それこそ『詰み』よ」

 

 

 みんなが考察を繰り広げる。

 世界からスクールアイドルの概念がなくなり、スクールアイドルで繋がっていた人との関係も消えてしまった。そんな中でまだ元の認識を保っている私たち。スクールアイドル関連以外は元と変わらない世界なのに、その世界から分断されている、そんな気分だ。

 

 先生の連絡先が消えちゃったのはショックだけど、まだ直接会って確かめるまで分からない。もし先生も私たちと同じ状況だったら絶対になんとかしてくれる。そうでないIFルートはあまり考えたくなかった。だからみんなも気を紛らわせるために色々と考察をしているんだと思う。

 

 そんな中、私は1つの仮説があった。

 

 

「ねぇマルガレーテちゃん。これって秋葉先生の仕業……?」

「どうかしら。でもあの人、今は海外で重要な研究に駆り出されていてこんなことをしている暇なんてないはず。ほら、今年度になってあの人一度もこの学校に来てないでしょ」

「確かに……。マルガレーテちゃんからダメ元でも連絡取れない? 私は連絡先持ってないし、マルガレーテちゃんは秋葉先生とスクールアイドルで繋がってる関係じゃないでしょ? だったら連絡先が残ってるかなと思って……」

「残ってるわ。あとでメッセージしておくから」

「ありがとう」

 

 

 秋葉先生の仕業ってことくらいすぐ思い浮かぶけど、マルガレーテちゃんが難色を示すくらいだから的外れなのかな? 確かにこの春から今まで一度も学校に来てないし、やっぱりその海外の仕事が忙しいのかな。

 

 秋葉先生ではないとなるとそれ以外に原因が考えつかない。零先生がいてくれたら打開策くらい簡単に開けそうなのに――――

 

 あぁダメだ、こういうのは苦手。何かしら事件が起こった時、いつも先生ばかり頼っていたんだと自覚する。みんなからはリーダーシップがあると言われる私だけど、もちろん先生には到底及ばない。先生に従っておけばこれまでなんとかなったので今までそうしてたけど、今回は頼れない可能性が高い。だから自分たちで突破口を探さないといけないんだけど――――

 

 

「あれぇ~? かのんちゃんたち、こんなところで集まって何してるの~?」

 

 

「な、七海ちゃん……!!」

 

 

 少し離れた廊下の先にいた。

 七草七海ちゃん。不思議そうな顔で首をかしげるあどけない姿。口調も猫を被っている時の高めのボイスだ。

 

 彼女は徐々に私たちに近づいてきた。

 この事件の更なる深みへ陥れる、そんな足音に聞こえた。                 

 

 

 

 

To Be Continued……

 




 あけましておめでとうございます!
 今回から毎章恒例となっている長編シリーズがスタートします。
 いつも以上に壮絶な事件の始まりとなっていますが、かのんたちもそうですが彼は大丈夫なのだろうか……?

 今回の話を含め4~5話程度を予定しています。
 過去の長編と同じく彼と彼女たちの関係が大きく前進するターニングポイントとなる回なので、是非最後までご覧ください!
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