ラブライブ!~蓮ノ空との新たなる日常~   作:薮椿

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 今回は夏祭り回Part2:絢瀬姉妹編です!そしてリクエスト回でもあります。

 零君と絵里、亜里沙の3人の夏祭りを亜里沙視点でお送りいたします。ちなみに前回みたいな破廉恥要素はないのでご安心(?)を!!


絢瀬姉妹との甘々なる夏祭り

 絢瀬亜里沙です。

 今日はμ'sの皆さんと一緒に夏祭りに来ています。去年までは雪穂と2人きりだったので、ここまで大人数で夏祭りを一緒に回るのは初めてです!!遅刻した零くんと穂乃果ちゃんも合流したので、さらに楽しくなりそう♪

 

 

「またあなたは遅刻をして……これが大学入試の日だったらどうなっていたことか」

「そんな大事な日に遅刻なんてしないよ!!」

「まぁまぁ2人とも。折角の夏祭りなんだし、イヤなことは忘れて楽しもうよ♪」

「さっすがことりちゃん!!話が分かる!!」

「全く都合がいいですね……」

 

 

 穂乃果ちゃんが海未ちゃんにお説教をされ、その2人をことりちゃんがなだめる。このやり取りが日常茶飯事なことは知っていましたが、まさか夏祭りの会場まで平常運転だとは驚きました。聞けばこのやり取りは10年以上行われているそうです。とっても仲がいいんですね♪

 

 

「あっ~!!かよちん頬っぺにわたあめ付いてるにゃ!!」

「えっ!?どっちに付いてるの!?」

「あなたから見て右よ」

「真姫ちゃんもりんご飴頬っぺに付いてるにゃ~!!」

「へ!?本当に!?」

「うっそぉ~~♪」

「り~~ん~~!!」

 

 

 凛ちゃんと真姫ちゃんは花陽ちゃんの周りをぐるぐる回って追いかけっこを始めてしまいました。苦労してるなぁ~花陽ちゃん。そしてこれはμ'sに入った後で分かったことなのですが、意外と真姫ちゃんが子供っぽくて微笑ましいのです。こんなことを真姫ちゃんに言ったら怒られるかな?

 

 

「雪穂雪穂!!」

「なに楓?そんなに大きな声出さなくても聞こえるけど……」

「あのひょっとこのお面、雪穂に似合うんじゃない?」

「えっ?どうして?」

「だって私と話す時、いつも難しそうな顔してるじゃん♪だからそのお堅い表情をあれで隠せると思ってね♪」

「それは楓に呆れてるだけだから……」

 

 

 楓はいつも零くんの話ばかりしています。雪穂はそれにウンザリして適当に流すことも多いのですが、無視をしない辺りやっぱり雪穂は優しいです♪それに零くんの話をしている時の楓の表情はいつもキラキラとしていて、私もスクールアイドルとして見習いたいと思っています。でもたまに悪い顔をしているのは何でだろう……?

 

 

「希、アンタ夏祭り開始早々食べ過ぎじゃない?」

「お祭りとか、こういうところに来るとつい食欲が湧いてくるんや♪」

「それは分かるけど、一応にこたちはスクールアイドルなんだから、そんなに焼き鳥や唐揚げをムシャムシャ食べてる姿は似合わないわね」

「ウチはにこっちみたいにアイドルの在り方に拘りはないから平気平気♪」

「そういう問題じゃないわよ!!女の子としてももっと気をつけなさいよ!!」

 

 

 希ちゃんの言っていること分かります!!お祭り会場に行くと美味しそうな匂いが食欲をそそりますよね!!私はそこまで食べる方ではないのですが、こういうところでは食べ過ぎてしまうんですよ♪でも何故か体重はあまり増えたことはありません。その話を以前凛ちゃんやにこちゃんに話したら、胸辺りをジーッと見られたのですがなんだったのでしょうか?

 

 

 これで全員……じゃなかった。あれ?そう言えば零くんとお姉ちゃんはどこだろう?

 

 

 周りを見渡してみると、零くんとお姉ちゃんの2人は私たちのグループから外れ、金魚すくいの屋台の前にいました。私は2人の会話が聞こえる範囲にまで近づきます。

 

 

「えっ?お前金魚すくいやったことねぇのか?」

「ええ。そもそもあまり夏祭りに来たこともないから」

「へぇ~、割と賑やかなところが好きかと思ってた」

「誰かに誘われない限り、行こうとは中々思わないわね」

「おっ、その考え俺と一緒」

「フフッ♪もしかして意外と似た者同士だったりするのかしら?」

「そうかもな」

 

 

 2人は微笑み合いながら、金魚すくいの屋台の前で楽しそうにお喋りをしています。楓曰く、こういうのをリア充って言うらしいです。そしてそんな現場を見かけたら、『リア充爆発しろ』と言うのが日本の風習で礼儀らしいんですよね。一応言った方がいいのかな?

 

 

「リア充爆発しろ」

 

 

「うおっ!!ビックリした亜里沙かよ……」

「あ、亜里沙、そんな言葉どこで覚えたの……?」

「楓が『お兄ちゃんとμ'sの誰かが2人きりでイチャイチャしていたらこう言え』とか『これは日本の風習だからね♪』って言われたから……」

「い、イチャイチャって、私たちはそんな……」

 

 

 お姉ちゃんは顔を頬を赤く染めてそっぽを向いてしまいました。

 これって……デートなのかな?しかも零くんとμ'sの皆さん9人の10人同時デート……でも私は皆さんが楽しければいいと思います!!それじゃあ今からみんなで金魚すくいでも!!

 

 

 

 

 ――――――って、あれ?

 

 

 

 

「ん?どうした亜里沙?」

「穂乃果ちゃんたちがいなくなってます……」

「あっ、ホントだ!!」

「多分私たちがここにいることに気が付かず先へ行っちゃったのね」

「まいったな。この人混みじゃあすぐに合流するのは無理だぞ」

 

 

 今日の夏祭りは規模が大きいこともあり、全国各地から人が訪れるため会場が結構な人混みとなっています。だから一度はぐれてしまうと零君の言った通り合流が難しいのです。待ち合わせをしようにもこの人混み、目印になるものさえも少ないので合流する場所もよく考えなければなりません。強いて挙げるなら会場の入口ぐらいでしょうか。

 

 

「とりあえず連絡を取っておこう。回りながらどこかで合流すればいいだろ」

「じゃあその間は……?」

「お前と俺、絵里の3人で回るしかないな」

 

 

 私とお姉ちゃんと零くんの3人かぁ……もしかして私、お邪魔だったりするのかな?

 いやいや!!あの時、零くんに振り向いてもらうためにアプローチするって決めたんだ!!この状況で引いちゃダメだよね!!ファイトだよ、私!!

 

 

 そして私たち3人の夏祭りが始まりました。

 

 

 

 

~※~

 

 

 

 

「う~ん……上手く取れないわね」

「そりゃあ初めてで金魚すくいが上手くできる奴はいねぇよ」

 

 

 早速お姉ちゃんは人生初の金魚すくいに挑戦しています。ですが結局一匹も救うことができずに終わってしまいました。私も雪穂からコツを教えてもらったのですが、未だに慣れないんですよね。手先が不器用な私にとっては至難の業です。

 

 

「最後の1つだわ。これが破れちゃったら終わりね」

「絵里、ちょっと手を借りるぞ」

「えっ!?えぇ……」

 

 

 零くんは突然お姉ちゃんの手を取って、一緒に金魚すくいを始めちゃいました。身体も抱き合っているかのように密着しています。金魚すくいの屋台のおじさんもニヤニヤしてますよ!!

 

 しかもさっきから零くんがコツを教えているのにも関わらず、お姉ちゃんは顔を真っ赤にしてずっと零くんの顔を眺めています。多分全然聞いてないだろうなぁ~……

 

 

「絵里……?」

「…………」

「絵里さ~ん、聞いてますか~?」

「…………」

 

 

 零くんがお姉ちゃんの顔の前で手をフリフリするも、お姉ちゃんは瞬き1つせずに呆然と零くんの顔を見つめるばかりです。これは恐らく妄想の世界に旅立っていますね。

 最近家でも自分と零くんの未来予想図を話すことが多くなってきています。普段は真面目なお姉ちゃんが、零くんの話をする時だけはとてもイキイキとしているんですよ!!そんなお姉ちゃんを見て、いつも"可愛いなぁ♪"と思ってます♪

 

 

「絵里!!」

「ひゃいっ!!な、なに!?」

「お前、俺のテクニックを聞いてなかったのか?この技があれば金魚すくいの金魚ぐらい全部取れるっていうのに……」

「それは悪かったけど、全部はいらない……かな?」

「そうか?全部は無理にしても、お前は何でもそつなくこなせるからすぐに慣れると思うぞ」

「そ、そう?ありがとう……」

 

 

 そして零くんはお姉ちゃんの頭を優しく撫で回しながら、さっき以上に身体を密着させて一緒に金魚を取り始めました。零くんもお姉ちゃんも、そこまで顔を赤くするならやめておけばいいのに。お姉ちゃんはかなり緊張して、堅くなっているみたいですが……。

 

 これはまた……楓から教えてもらったあの言葉を使うタイミングなのかな?

 

 

「「リア充爆発しろ」」

 

「え?」

「お嬢ちゃんもおじさんと同じ気持ちだったんだね」

「そうみたいですね♪」

 

 

 まさか金魚すくいのおじさんも同じことを思っていたとは……赤の他人から見ても零くんとお姉ちゃんはラブラブに見えるみたいです。私の目にはお祭りの明るさには似合わない、ピンク色の雰囲気が漂っているように見えます。もう私だけでもみんなと合流しちゃおうかな……?

 

 別に嫉妬はしてませんよ!!むしろ大好きな零くんとお姉ちゃんのラブラブっぷりを見られてお腹いっぱいです!!この2人を見ていると、このお祭りのどの食べ物屋台よりもお腹が膨れちゃいますよ♪

 

 

「お嬢ちゃんにはこの金魚をあげよう」

「えっ?いんですか!?」

「いいんだよ。おじさんはちょっと奥で壁を殴ってくるから」

「は、はぁ……ありがとうございます」

 

 

 そう言って私に金魚さんの入った透明な袋を渡し、おじさんは屋台の奥に行ってしまいました。そこからコンクリートをパンチする音が聞こえたのですが、アレも日本の風習なのかな?そしてその奥からおじさんの悲痛な悲鳴が聞こえてきましたけど……その悲鳴を上げるのも風習?

 

 

「絵里!!やっぱりお前すごいよ!!ちょっと教えただけでどんどん取れてるじゃん!!」

「ハラショー!!零の教え方が上手いおかげよ♪」

「いやいや、お前のセンスがいいんだよ」

「零が私の手を取って、優しく指導してくれたからよ♪」

 

 

 そして目の前からおじさんがいなくなったことなんて目もくれず、零くんとお姉ちゃんは自分たちだけの世界に没頭していました。どことなく水槽の金魚さんが元気なのは、この2人の世界に巻き込まれないようにもがいているからでしょうか?私が持っている金魚さんは大人しく、あの2人の空間から逃げられてホッとしているみたいです。

 

 

 

 

 ――――――あれ?そう言えばおじさんだけじゃなく、私のことも忘れられてる!?

 

 

 

 

~※~

 

 

 

 

「悪かったよ亜里沙。ほったらかしにしちゃって……」

「ゴメンなさい亜里沙。別に忘れていた訳じゃないのよ。だから機嫌直して……ね♪」

「…………」

「お詫びにわたあめ買ってやっただろ?」

「買ってやった?」

「買ってまいりましたお嬢様……」

 

 

 もうっ!!零くんとお姉ちゃん、やっぱり私のことを忘れていました!!しかもこんなお菓子で私の機嫌を戻そうだなんて、そんな虫のいい話はありませんよ全く!!

 

 

――――あっ、このイチゴ味のわたあめ美味しい♪

 

 

「亜里沙の怒っている顔、可愛いな」

「そうでしょそうでしょ!!頬っぺをプク~って膨らませて本当に可愛いのよ!!」

「怒っているのに微笑ましいとは……流石亜里沙だな」

「この前うっかり亜里沙のプリンを食べちゃったんだけど、あの時の亜里沙ったら可愛くて可愛くて♪」

 

 

 それって褒められているのかな?でも勝手に私のプリンを食べたお姉ちゃんは絶対に許しません!!同じプリン3個で手を打ちましたけど……ん?もしかして私って食べ物に弱い!?

 

 

「お前も可愛いよ、絵里。その青い浴衣似合いすぎ」

「ウフフ♪あなたもいつも以上にカッコいいわよ♪」

「俺がカッコいいなんて当たり前だろ。世界の真理だ」

「相変わらずね。でもあなたのそういう自信満々なところが好きなんだけど♪」

 

 

 また私だけ放っておかれている気がします!!いちいちラブラブにならないと気が済まないんですか!!そして私が段々と雪穂みたいなツッコミ役になってますよ!!でもこれで雪穂の気持ちが分かりました。

 

 

 こうしてツッコんではいますが、私としては零くんとお姉ちゃんがこうして恋人関係にまで発展したことが嬉しかったりもします。お姉ちゃんはμ'sに入る前、μ'sの皆さんのことをよく思ってはいませんでしたから。零くんとも何度か対立したと聞きます。

 

 しかし、その時のお姉ちゃんの話を聞いていて思ったことがあるのです。零くんは、あと時からお姉ちゃんの気持ちを知っていたのだと。お姉ちゃんが学院を守りたいという強い願いを抱いていることを否定せず、むしろそれを受け入れてお姉ちゃんの心の扉を開いた。もしかしたらその頃からだったかもしれません、お姉ちゃんが零くんを特別な男性として見るようになったのは。

 

 

 そして、私が零くんに惹かれたのは……

 

 

 

 

 今まで私はμ'sのことが好きな零くんが好きでした。そして零くんが好きなμ'sの皆さんのことも大好きで、私は外から見ているだけでもそれでよかったのです。

 

 でも今は違います。今は零くんのことが1人の男性として大好きです!!10番目でもいい!!何なら雪穂と楓の後の12番目でもいいんです!!あなたの隣にいたい。あなたに愛されたい。同棲生活中にあなたによって気付かされたこの気持ち。ずっと、これからも。お姉ちゃんたちと一緒に、あなたのお側に…………

 

 

 

「よしっ!!それじゃあ次は射的をしましょう!!零くん、お財布の準備を!!」

「えぇ!?まだ俺に払わせるのかよ!?」

「さっき私を無視したことは、まだ許していませんから♪」

「亜里沙……お前、楽しんでる?」

「はい♪」

「いい返事だな……」

 

 

 それに、もう私のことを無視なんてさせませんから♪あなたに振り向いてもらえるよう、精一杯頑張ります!!そのためには零くんにとびっきりに罰ゲームを与えなければいけませんね♪だから今日は零くんの財布で思いっきり楽しみます!!

 

 

「たまにあるのよね。亜里沙が小悪魔っぽくなるところ」

「知ってるなら助けてくれよ~」

「フフッ♪私も射的がしたいなぁ~、ねぇ~亜里沙♪」

「ねぇ~お姉ちゃん♪」

「お前らなぁ……」

 

 

 零くんの笑った顔も真剣な顔も呆れた顔も、全部ぜ~んぶ大好きです!!零くんが私たちの笑顔を好きなように、私も零くんの表情1つ1つに見惚れちゃいます。やっぱり好きな人……だからかな?

 

 

 

 

「えへへ……行きましょう零くん!!」

「うおっ!!」

 

 

 私は零くんを想う気持ちが抑えきれなくなり、そのまま彼の左腕に抱きつきました。大胆だけど、これくらいアプローチをしないと意外に鈍感な零くんは気付きませんから。

 

 

 それと……ちょっとだけおっぱいをくっつけた方が喜んでくれるのかな?ことりちゃんに『零くんにはおっぱいを押し付けておけばなんとかなる』と言われましたし。零くんはエッチなことが好きなので、私も零くん好みの女の子になれるよう頑張らなくては!!

 

 

「じゃあ私は反対側から♪」

「え、絵里!?お前まで!?」

 

 

 お姉ちゃんは零くんの右腕に抱きつきました。これは両手に花というものでしょうか、絢瀬姉妹サンドイッチの完成です!!零くんとても歩きにくそうですけど大丈夫!!私たちが先導してあげますよ♪

 

 

「さぁ行きますよ零くん!!」

「まだまだ回る屋台はたくさんあるわよ!!」

「お、おい!!2人共引っ張るなぁあああああああああああああああ!!」

 

 

 

 

 憧れの人から身近な人へ、身近な人から友達へ、そして友達から恋人へ……絶対になってみせます!!そのために、これからはもっともっと甘える予定なので覚悟してくださいね♪

 

 




 新キャラ:金魚すくい屋のおじさん


 そんな訳で今回は絢瀬姉妹との夏祭り編でした。亜里沙視点だったので割と淡々と話が進んでいたと思います。これが零君視点だったら絵里に密着するところや2人に抱きつかれるところで盛り上がりそうですが(笑)

 今回で一旦夏祭り編は終わりです。でも夏祭りは年に一度の行事ではないので、また夏祭りネタが思いついたらやってみます。


~次回以降の展望~

 とりあえず考えているネタ集。この順番に投稿されるかは未定です。これが見たい!!というのがあればどうぞ!!

・『狂気の南家』
ことりと理事長による、零君過労死回。R-17.9ネタあり。

・『海未と海へ行く』
海未とのほのぼの日常回。変態回のお口直しにでも。海未視点。

・『タイトル未定』
零君とまきりんぱなによる、ノーブラ回のような言葉遊び回を予定。

・『嫉妬するにこのぞえり』
大学生組嫉妬回。内容は前回の『嫉妬する~』と同じような流れ。

・『暴走天使楓ちゃん!!』
楓主人公回。μ'sのメンバーと色んな意味で親睦を深めます。


Twitter始めてみた。
 https://twitter.com/CamelliaDahlia


今回は読者様であるクレバスさんのリクエストを採用させて頂きました!
リクエストを貰ってから2ヶ月、しかもリクエストの最後の方が再現できていないなどの不備が……そこは申し訳ありません!!

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