ラブライブ!~蓮ノ空との新たなる日常2~   作:薮椿

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突然10人同棲生活!?(前編)

 久しぶりに蓮ノ空に戻って来た。以前は大賀美の卒業式の日にちょっと顔を出した時だから、ここへ戻ってくるのは約一年ぶりとなる。

 流石に一年では学校の雰囲気は何も変わってないか。蓮の花の咲く湖の傍らにある校舎。創立100年を越え、古くから引き継がれた伝統が今も息づいている。敷地が非常に広大で、立地は山中で湖を含む豊かな自然が特徴。ただ敷地外の山は街灯がなく夜は真っ暗になるため、ザ・田舎って感じの環境だ。

 

 学校として力を入れているのは芸術分野。外部の講師やコーチを招いて本格的な教育を施すことでも有名で、特に芸術系の部活動が毎年多くの賞を獲得していることからこの学校のスキルの高さが窺える。何を隠そう花帆たちスクールアイドルだってその功績の一端を担っている。監獄のような立地でも学内ではみんな伸び伸びと活動している、そんな学校だ。

 

 なお、生徒は全員敷地内の寮で生活している。いわゆる全寮制というやつだ。

 俺もここにいた頃は寮の部屋を宛がわれてみんなと一緒に寮暮らしをしていた。とはいえ部屋は個室を与えられるのでプライベートが阻害される心配はない。学生の寮生活は相部屋になる印象があるけど、そこは流石資金力も土地も持っている成金学校というべきか。山奥が故の閉塞感は欠点だが、それ込みでも総じて快適で過ごしやすい環境を可能な限り整えてくれていると思うよ。ま、流行に敏感な華の女子高生なのにSNS映えする店が近くにないってのはストレス感じる奴もいるかもな。

 

 舞い戻って来た蓮ノ空。三度目の高校生活を謳歌しながらスクールアイドル病の調査をすることになる。

 馴染のある自然の香りが鼻腔に流れ込む。ただ校舎を眺めると、『またお前か』と返答されたかと思うくらい懐かしさは感じられなかった。離れていたと言えども所詮は一年そこらだからそりゃノスタルジーに浸ることもないか。

 

 

「まずは寮の部屋に荷物を置いて、その後に部室に集合しましょうか。零君、自分の部屋の場所は覚えてるかしら?」

「一年ちょっとしか経ってねぇのに忘れるわけねぇだろうが。とはいいつつ、どうやら部屋の場所が変わったらしい。秋葉からここへ行けって連絡があったよ」

「えっ、せっかく私たちが直々に掃除しておいてあげたのに! って、その場所って寮の外じゃない? そんなところに建物とかあったっけ?」

「れい、野宿するの?」

「なんで待遇が下がってんだよ……。もしそうだとしたらすぐ帰ってやるからな」

 

 

 秋葉は蓮ノ空に着いたらまずここへ行けとマップ付きのメッセージを寄こした。マップにピンが立っている場所はどう見ても建物がある場所ではなく自然豊かな敷地の中。まさか前と同じ部屋が用意できなかった……はコイツらが掃除をしてくれていたからそれはないか。だったらどうしてこんなところに呼びつけるんだよ。

 

 不穏な空気が漂うが、山奥の監獄に逃げ場はない。

 

 

「とにかく指定された場所へ行ってみるよ。そのあとは部室って言ってたけど、俺の入部届でも用意してくれたのか? 一年も不在の幽霊部員じゃ、()()()に正式な資格も剝奪されてるだろ」

「うぅん、零クンはずっとスクールアイドルクラブの部員だよ!」

「えっ、取り消されなかったのか?」

「そうなんですよ~。れいくんせんぱいをクラブに在籍させるため、せんぱいたちが生徒会に相談したんです」

「ルリたちの心にはずっと零くんがいたからね。去年は6人じゃなくて7人。今年は9人じゃなくて10人。実際に零くんはいなくても、その魂はずっとルリたちのハートに宿り続けてたから!」

「新参者の私たちにも分かるくらい先輩たちは神崎先輩のことを慕っていました。まさか本当にお会いする日が来るとは思ってもいなかったですけど……」

「その熱い魂が後輩の徒町たちに受け継がれたからこそ『ラブライブ!』に優勝できた……らしいです! 先輩曰く!」

 

 

 どれだけ影響力あるんだよ俺の魂って……。

 ただ言わんとしていることは理解できる。俺とコイツらが相互にもたらした影響は大きい。俺だってスクールアイドル病を治療するためにコイツらに接触したのに、いつの間にやらコイツらの魅力に惚れて目的と手段が逆転しちまったしな。治療のために仲良くなるのではなく、笑顔が素敵なコイツらだから救ってやる。最後はそう思っていた。それくらい大きな心境の変化が俺だけでなくコイツらにもあったのだろう。だから離れ離れでも魂は心に宿り続けているって気持ち、分かるんだよ。それが離れていても切れない絆ってやつだ。

 

 

「でもこうして零さんが戻ってきてくださってわたしも嬉しいです。これで10人全員が集結。ようやくなれましたね、完全無欠なスクールアイドルクラブに!」

「お前、そんなクサいセリフ吐く性格だったっけ?」

「さやは結構カッコつけたがりなところあるよ」

「さやかちゃん意外とそういうところあるよね。ネーミングセンスも独特だしねぇ~」

「そ、そうなのでしょうか!?」

 

 

 まさかオチ要員にまで昇格(降格?)するとはコイツも変わったな。みんなの笑い声が一斉響く。

 表だけ見てると平和そのものなんだけどな。スクールアイドル病、俺だけにしか治療できない病気って一体なんなんだよ。まあここで考えても埒が明かない。新入部員が加わっても雰囲気は穏やかだから、治療に向けた傷の調査がしやすいと思って今は安心しておくか。病の重症化を考えると悠長にしている暇がないのはもちろんだけど、焦ってもいい結果は生まれない。それに焦燥感を醸し出してコイツらに勘付かれでもしたら誤魔化すのも面倒だしな。

 

 とりあえず、部屋に荷物を置いたら今後の動きでも考えるとしよう。

 

 

 

 

~※~

 

 

 

 

「えっ、なにこれ……??」

 

 

 秋葉に指定された場所へ到着した。

 そこは寮の近くの木々が生い茂っている場所だったはずだ――――かつては。

 

 鎮座するのは三階建ての一軒家。しかもたったいま建てられたかのように綺麗で、100年以上の歴史があって古臭さを感じる校舎や他の建物と比較すると明らかに異彩を放っている。まるでこの建物だけどこか別の場所から転移してきたかのようだ。

 

 建物の景観に圧倒されながらも家のドアを開けようとする。

 だが鍵なんて持っていないことに気が付き、秋葉に連絡しようとしたその矢先だった。

 

 

「やほ! やっと来たね」

「秋葉……」

 

 

 この家を建てたと思われる張本人が中から出てきた。我が物顔で出てきた時点でこの家が現れた原因がコイツの仕業であることが確定する。実際に確認するまではミリの確率で別の線もあっただろうが、それは完全に潰えた。それつまり、またスクールアイドル病に関係ない面倒なことを押し付けられるということだ。どうして毎回最短距離を走らせてくれないんだよ……。

 

 

「この家はお前が建てたのか? いつ? 蓮ノ空の奴らがまたスクールアイドル病に罹ったって知ったの数時間前じゃねぇか。どうやって建てたんだよ」

「おっと質問は役者が揃ってから。ほら、携帯の通知音が聞こえてるよ」

「んだよ……」

 

 

 コイツと話している間にメッセージの通知音が断続的に聞こえたので確認する。

 すると焦りと戸惑いの文章や絵文字が全員から送信されていた。

 

 

『ねぇねぇ! あたしの部屋がもぬけの殻なんだけど!?』

『ボクの部屋も、最初から何もなかったみたいな……』

『ルリもです! 部屋間違えたと思って確認したけど合ってるし!!』

『アタシの部屋も全ロスしちゃってます~!!』

 

 

 どういうことだ? アイツらの部屋が消えてる? 突然この建物が現れたことといい、まさかアイツらの部屋がその代償として別世界に転移させられたとか……? それとも俺たち自身が別世界に飛ばされたとか? そんなファンタジーを思い描いてしまうほど起きている事態に理解が追い付かない。

 ただこの状況を予想していたかのようなしたり顔をする秋葉を見て、アイツらの部屋の謎の原因もコイツが握っていると察する。

 

 部屋を失って路頭に迷うアイツらを放置できないため、一言だけメッセージを放つことにした。

 

 

『全員ここへ来い』

 

 

 解散する前に見せたマップをグループチャットに送り、全員をここへ呼ぶように仕向ける。秋葉は『よしよしそれでいい』と言わんばかりの憎たらしい笑みを浮かべ、今にも新たな面倒事の火種を撒こうとしている。以前に蓮ノ空にいた頃は割とおとなしかったのに今回はやたら飛ばしやがる。それとも最近はやらかし衝動が抑え気味だったから、環境が変わった今まさにそれを発散しようとしているのか。どちらにせよかなりの大事になってる気がするぞ……。

 

 

 

 

~※~

 

 

 

 

「ほぇ~っ! 立派なお家ですね!」

「でもどうしていきなりこんな家が……? (わたくし)たちがイベントに出発するときにはなかったはず……」

 

 

 再び全員集合。そして全員がまるで最初からそこにあったかのように堂々と鎮座する家を見て、俺と同じ感想を口々に述べる。

 白を基調としたその造りは古風な寮とは全く色彩が合っていない。せめて臙脂(えんじ)色であれば校舎や制服とマッチして蓮ノ空らしい建物になったのに。あまりの浮きっぷりに誰もが興味を惹かれるというよりは不気味に思っているようだ。この学校にいる期間が俺より長いコイツらだからこそ違和感も強いのだろう。

 

 

「よしみんな集まったね! 入って入って!」

 

 

 俺が来てからはもちろん全員を呼び寄せてからも秋葉から何一つ説明がない。それなのに家の中へ手招きしてくるものだから怪しくて仕方がない。

 だが俺たちは帰る場所を失ったため素直に従わざるを得なかった。

 

 恐る恐る中へ入る。

 

 

「「「「「「「「「おぉ~っ!!」」」」」」」」」

 

 

 中は外見に見合う豪華さがあった。まず最初に通されたリビングは複数人が同時に台所に立てるキッチンがあり、冷蔵庫や冷凍庫も大容量サイズを完備。テーブルもたくさんの人数で席を囲むことができるくらいに大きく、ソファから大型のテレビまであるためまるで金持ちの別荘のようだ。家具家電も一通り揃っている。

 

 最初は突然現れた高級住宅に警戒を解かなかったコイツらだが、リビングを見て回るうちにすっかり気に入ったようで、いつの間にやらルームツアーが始まっていた。

 リビングもそうだが複数人が住む想定で建てられているため、トイレが複数あったり洗面所も広く、風呂も寮の大浴場には負けるが3~4人程度であれば同時に入ることができる広さ。水回りの設備は完璧といってもいい。特に寮暮らしで自分の部屋以外を学校の生徒全員で共同で使っていたコイツらにとっては魅力的に映るだろう。

 

 あとは個室と思われる部屋が1階と2階にたくさん存在する。そこは後のお楽しみということでルームツアー中ははぐらかされてしまった。

 

 そんな感じで家の中は事前に予感していた不穏さは全くなく、至って普通の造りどころか生活に何不自由ない環境が整っていた。むしろ寮生活よりも圧倒的に利便性が高い。寮の場合は洗濯するのも風呂に入るのも、生活の最低限の日常生活すら部屋の外に出ないといけない煩わしさがある。家に住んでいれば当たり前のことでも、寮にずっといたからこそ気付く身近な利便性ってあるよな。

 

 そしてルームツアーが終わり、再びリビングへと集まる。

 

 

「キッチンも広くてオーブンも大きくて、調理器具もいいモノがたくさん揃っていて感動しちゃいました! 料理好きの血が騒ぎそうです!」

「意外としっかりとした家でビックリしました。まさか蓮ノ空にこんな立派な家ができていただなんて……」

「でもこの家って零が住む家でしょ? ただでさえ前も高級ホテル並みの部屋だったのに、今度は高級別荘だなんて生意気な待遇だなぁこのこのぉ!!」

「肘をぶつけてくんな。つうかここに住むのは俺だけじゃねぇよ」

「どういうこと? もしかして秋葉先生も?」

「いや違う」

 

 

 内見をしていいるうちに分かってきた。この家は明らかに1人2人で住むようにはできていない。そしてさっきコイツらの部屋がもぬけの殻にされていたこと。それだけ情報が揃えば秋葉がこの家を用意した意図は容易に想像できる。

 秋葉も俺に計画を見抜かれたことを察したのか、飄々とした口調で会話に割り込んできた。

 

 

「そう! これから零君がいる間はみんな一緒に暮らしてもらうから! 1つ屋根の下で!」

 

「「「「「「「「「ええっ!?」」」」」」」」」

 

 

 一斉に驚倒の声が上がる。そりゃそうなるわな。

 

 

「キミたちの部屋の荷物は全部この家の部屋に移動させておいたから。あ、でも部屋の片付けとかは気にしなくていいよ。部屋の内装をそのまま移動させたからね、今までと不自由なく生活できるはずだよ」

「いやそういうことではなく、どうしてあたしたちが共同生活を!?」

「ていうかどうやって移動させたんですか!?」

「そもそもこの家はいつ建てんですかね~」

「家は零君がここに来るって決まってからすぐ。部屋の移動は私の技術を使えば簡単だよ。どうして共同生活をしてもらうかっていうのは、まあ楽しいじゃんそっちの方が!」

「何も答えになってない!」

 

 

 やっぱり全てコイツの仕業だったか。どんなテクノロジーを発揮したのかは知らないが、こんな家を数時間で建てた上にコイツらの部屋を丸ごと移動させただなんて技術が進化してやがる。つうかそんな超次元的なことができるのならスクールアイドル病くらい俺の手を借りず自分で治せるだろ。むしろここまでの力を持つ秋葉ですら治療できないスクールアイドル病の方が凄いのか。世界的に常識改変を行う装置を作ったり、身体を幼児化させる薬を作ったりするマッドサイエンティストは、今回もその天才的頭脳をどうでもいいことに発揮していた。天才の無駄遣い過ぎる。

 

 いきなりシェアハウスすることになり戸惑う蓮ノ空連中。本当に部屋がそのまま移動させられているのか気になるためか、慈たち数人が自分に割り当てられた部屋を覗きに行った。

 少ししてすぐに帰ってきたが、驚嘆の様子がそのままだったので恐らく秋葉の言ったことがマジだったのだろう。

 

 

「ちょっと部屋を見てきたけど、間違いなく私らの部屋そのものだったよ。寮じゃないのに自分の部屋に帰ってきたみたい」

「本当に(わたくし)たちが共同生活を……? この10人で、ということでしょうか……?」

「そうだよ。さっきみんなルームツアーのときに目を光らせてたじゃん。なのに不満アリ?」

「不満というか、どうして一緒に生活をしなければならないのか分からないんですけど……」

「そりゃ見ていて面白いからだよ」

「えっ、それだけの理由で!?」

「なんか秋葉先生っぽいといえば先生っぽいなぁって」

 

 

 具体的な理由はなくても秋葉の性格を知っていれば『お遊び』で納得させられてしまうの、ある意味ですげぇよ。コイツらの部屋をこの家に全て集約されている以上ここで生活するしか選択肢がないので、もし不満があったとしても逃げるに逃げられない。それにいくら『お遊び』であってもまずこちらの退路を断って逃げ場をなくすため、秋葉と付き合うということがどういうことなのかコイツらは今まさに実感しているだろう。

 

 

「聞いたときは驚いちゃったけど、あたしはみんなと楽しく生活できるのならOKかなって思います! それになにより! 零クンと今までよりもたくさん一緒にいられるから!」

「いいのかよ。共同生活とは名ばかりの同棲生活だぞ」

「あたしはいいよ! 零クンと一緒ならなんでも!」

 

 

 なんとなく花帆なら賛同すると思っていた。そもそも俺がここに滞在するのもまた一時的だと伝えている。それがどれだけの期間になるのかはスクールアイドル病の治療が終わるまでなので俺すらも分からないが、さほど長くは続かないことを考えれば少しの間くらい特別な環境でみんなと一緒に生活をするくらいの非日常は、むしろコイツにとっては歓迎なのかもしれない。みんなや俺との距離も近くなるし、いつもとは違う刺激が加わるので日常が充実する。そう考えれば何事もとりあえず挑戦するチャレンジャーのコイツにとって、むしろ秋葉の提案は魅力的だろう。

 

 

「実はルリもアリ寄りのアリ、かな。どころか零くんやみんなと一緒なら楽しそうだなって思うよ」

「ボクも。高校生活の最後の思い出が作れそう」

「そう言われたら確かに! おっきいイベントがあとは蓮華祭だけってのも寂しいし、敢えてここで非日常を堪能してもいいかもね!」

「実はわたしも……。それに一緒に生活すれば綴理先輩や小鈴さんの面倒を見るのも楽になりますから!」

「全くあなたたちは……。吟子さんたちはどう?」

「私はまぁ、皆さんがよければ……。シェアハウスがどんなものなのか緊張半分、期待半分です」

「徒町は賛成です! なんか大型の合宿みたいでワクワクします!」

「アタシも全然歓迎ですよ~。やろうと思っても中々できることではない体験ですからね~」

 

 

 どうやら他の奴らも前向きのようだ。一緒に暮らしてもいいと思うくらいこの一年で絆を固く紡いだのだろう。そりゃ『ラブライブ!』を優勝をするくらいだから結束は強いか。それに綴理や慈の言ってた通り三年生にとっては思い出作りにもなる。10人で共同生活なんて非日常、これほど刺激のある経験は中々積めないだろう。

 

 

「梢センパイはどうですか? 共同生活をする以上、多数決で決めるっていうのはダメかなと思って……」

「う~ん、どちらかといえば賛成よりなのだけれど、懸念がないことはないのよね……」

 

 

 まさかこの時期に新生活のような引っ越しをすることになるとは思わなかったが、みんな楽しそうなので俺としても拒否する気はない。

 ただ秋葉に事の狙いを吐かせる必要はある。ここまで大がかりだから単にお遊びってわけでもないだろう。コイツらの前では誤魔化していたのでスクールアイドル病関連か。

 

 

「おい秋葉、こっち来い」

「ん?」

 

 

 俺は秋葉の白衣の袖を引いて部屋に隅に連れていく。他の奴らはこの突発イベントの話題でもちきりだから小声で話せば大丈夫だろう。

 

 

「どういうつもりだよ? こんなことして」

「だって一年生たちがスクールアイドル病を患ってるかどうかは、あの子たちの身体にキズがあるかを調べる必要がある。そのためには裸を見られてもいい、多少脱がされてもいいと思われるほどの関係性を作る必要がある。そういったのはキミでしょ。寝込みを襲うなんて女の子の尊厳を破壊することはできないからって。だから交流しやすい環境を作ってあげたんだよ」

「そりゃそうかもしれないけど、顔を合わせる機会が増えれば俺の正体がバレる可能性も高まるだろうが」

「それは零君の頑張り次第かな。タイムパラドックスを感じさせる会話をしなければいいんだよ。大丈夫、普通は大人が子供になってるなんて誰も想像したりしないんだから。疑問に思われないようにするだけ。君なら簡単でしょ」

「勝手に人をこんな身体にしておいてよく言うよ……」

 

 

 コミュニケーションしやすくなるとは思うが正体バレのリスクも上がる、まさに諸刃の剣だ。ただこれまで俺の見せかけの年齢と会話で話した内容の時系列に齟齬があることが何度もあって、コイツらに疑問を抱かせたことがあるからちょっと怖いんだよな。人数が増えたせいでボロを出した際に拾われる可能性も上がったし、これからより会話には気をつけないと。

 

 ま、なにもかもコイツがこんな身体にしなければ抱えることのなかったストレスだけどな……。

 

 

「自分の身体もそうだけど、あの子たちのことも気にかけておいてね。スクールアイドル病がいつ重症化するか分かったものじゃないから」

「あぁ、分かってるよ」

 

 

 アイツらの容態を監視できるという意味ではこの同棲生活にも意味はあるか。コミュニケーションの活性化よりもむしろそっちの方がコイツの意図に近いのかもしれない。人のことを考えてるのかそうでないのやら……。

 

 

 

 

To Be Continued……

 




 ネタの幅を広げるためにも、少し設定を変えて同棲生活の形態にしてみました。リンクラのストーリーの時系列的にも『ラブライブ!』優勝後の話なので、この設定で特に本編に影響が出ることはないです。(多分)

 実は同棲生活は以前にもやったことがあったりします。覚えている方は相当の古参読者さんだと思います(笑)

 さて、蓮ノ空に帰って来たのにまだプロローグ的な話が続いていますが、次回でプロローグ編は本当にファイナルラストになります!



【キャラ設定集】
零から蓮ノ空キャラへの呼称
・日野下花帆 → 花帆
・村野さやか → さやか
・乙宗梢   → 梢
・夕霧綴理  → 綴理
・大沢瑠璃乃 → 瑠璃乃
・藤島慈   → 慈
・百生吟子  → 百生
・徒町小鈴  → 徒町
・安養寺姫芽 → 安養寺

蓮ノ空キャラから零への呼称(零への好感度 0~100)
・日野下花帆 → 零クン   (100)
・村野さやか → 零さん   (100)
・乙宗梢   → 零君    (100)
・夕霧綴理  → れい    (100)
・大沢瑠璃乃 → 零くん   (100)
・藤島慈   → 零     (100)
・百生吟子  → 神崎先輩  (30)
・徒町小鈴  → 零師匠   (55)
・安養寺姫芽 → れいくんせんぱい(40)

スクールアイドル病の治療状況
・日野下花帆 → 治療済
・村野さやか → 治療済
・乙宗梢   → 治療済
・夕霧綴理  → 治療済
・大沢瑠璃乃 → 治療済
・藤島慈   → 治療済
・百生吟子  → 傷の位置調査中
・徒町小鈴  → 傷の位置調査中
・安養寺姫芽 → 傷の位置調査中
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