ラブライブ!~蓮ノ空との新たなる日常2~   作:薮椿

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小三角のサバイバル(後編)

 ロープを伝って崖を登っている最中の徒町にリスが飛び込んできた。思わず手を放してしまった彼女を百生と安養寺が受け止めようとするが、落下の勢いを支えきれずに共に背後の芝の急斜面を転がり落ちてしまう。

 幸いにも下が流れが緩やかな浅い川なので一命は取り留めたものの、服が濡れてしまったのでこのまま宝探しを続行するかは要検討となる。怪我をしているのであれば早々に切り上げた方がいいだろう。

 

 俺も芝を滑り降りて三人と合流する。芝はかなり柔らかく、落下の勢いもある程度は吸収されているのが不幸中の幸いだろう。ただ、宝探しの旅は一旦の休息を余儀なくされた。

 

 

「おい大丈夫か!?」

「はい! ラッキーなことに誰もケガありません!」

「でも川に飛び込んじゃったからちょっとびしょびしょになっちゃったね~……」

「うん、上着は脱いだ方がいいかもね。今日は涼しいから脱いだら脱いだで身体が冷えそうだけど……」

 

 

 川が浅かったおかげで全身びしょ濡れにはなっていないものの、今日の気温を考えると濡れた服をこのまま着続けるのは自殺行為だ。晴れているとはいえまだ春の入り口。午後から日暮れにかけて下がっていく気温は冬にも相当する。山だから気温の低さはなおさらだ。

 

 

「とりあえず服を乾かすためにも休憩するか。火を点けられればいいんだけど……」

「あっ、徒町マッチ持ってきますよ! もしかしたら遭難してサバイバルをすることになるかもって! 瑠璃乃先輩に貰った、風が吹いていても火が点くキャンプ用のマッチです!」

「お~小鈴ちゃん。失敗のリスクを考慮してチャレンジに挑むようになったなんて、成長したね~」

「小鈴がマッチを持ち出したときに『まさかそんなこと』とは思ったけど、本当にしちゃうとは思わなかったけどね……」

 

 

 徒町の奴、蛮勇を発揮して何事もチャレンジしているのかと思っていたが意外とリスクヘッジはしてるんだな。ただ安養寺の発言的に過去は無鉄砲だったらしい。まあコイツらもスクールアイドルに加入して一年が経とうとしている頃だし、その途中で成長イベントがあったのだろう。

 

 徒町からマッチを受け取る。これで休憩で暖まりながら服を乾かすこともできるので一石二鳥。だが直後に問題が発覚する。

 

 

「これポケットに入ってたから濡れてんじゃねぇか……」

「もしかして、もしかしなくてもさっき川に落ちたときに!?」

「えっ、じゃあ服を乾かせないってことですよね……? どうすれば……」

「問題ない。安養寺、懐中電灯をリュックに入れてただろ?」

「はい。でもこれでどうするんですか?」

「任せろ。百生、徒町。そこに転がってる乾いた木ををここに集めてくれ」

「はい!」

 

 

 二人に木材を集めさせている間、俺は安養寺から懐中電灯を受け取る。

 てかこんなものを持ってきてるってことは、最悪夜にまでもつれ込むことを想定していたってことか。まあマジで遭難する可能性もあるし、例の宝が洞窟とかに眠っている可能性もあるしな。そう考えると事前に準備万端をしておけと俺の言いつけをしっかり守れている。みんなそれなりにしっかりしているところを見ると、アイツら先輩たちの指導や賜物なんだって思うよ。

 

 

「師匠! 集めました!」

「先輩、でもどうやってマッチに火を?」

「見てな。懐中電灯の頭部を外して中のリフレクターも取り出す。そしてお皿型のリフレクターの底側の穴からマッチを刺して、マッチの先端を太陽に向けると――――ほら」

「おぉ~凄い! 煙が出てきましたね~!」

「師匠早く! 早く焚火を!」

「分かってる!」

 

 

 お皿型になっているおかげで太陽光を一点に集中させることができ、湿ったマッチでも火を点けることができた。キャンプ用だったのが効いたのかもな。

 誤って消さないように慎重に枯れ木にマッチを向けると、木が乾いているおかげかすぐに火が広がって焚火ができる。気温が少し低く空気も乾燥しているため火が燃えやすくて助かったよ。

 

 とりあえず焚火を囲う形で服を乾かしながら休憩をすることにした俺たち。

 ここまでほぼ休みなく進み続けてきたからか、はたまたしばらく濡れたままだったので体力を奪われたのか、座り込んだ瞬間に三人共ぐったりとしてしまった。宝を見つけ出そうと意気込む最初の勢いはどこへやら、焚火の火が燃える音しか聞こえない程に静まり返っていた。

 

 特に徒町はさっきから俯いている。トレジャーハントに情熱を燃やしていた頃がウソのようなテンション差だ。

 しばらくして、安養寺が口火を切る。

 

 

「小鈴ちゃんどうしたの? さっきから浮かない顔してるけど……」

「あ、うん……。みんなに迷惑かけちゃったなって」

「迷惑?」

「だってこのお宝探しに誘ったのも徒町だし、さっき崖を登っているときにロープから手を放しちゃって二人を巻き込んだのも徒町だし……。さっき姫芽ちゃんが徒町に『失敗のリスクを考慮してチャレンジに挑むようになった』って言ってたけど、そう簡単に上手くはいかないし、またそれで迷惑をかけちゃってるなって」

「小鈴……」

 

 

 なるほど、自分のやらかしで俺たちを危険に晒したと思っているのか。そんなことなんて気にしない奴だと思ってたけど意外と繊細なんだな。

 

 

「そんなことないよ~。宝探しに参加するって決めたのはアタシ自身だし、ロープを手放しちゃったのはリスが飛び込んできたからだしね~」

「うん、落ち込む必要はないよ。そもそも私は小鈴を先に行かせただけじゃなくて、落ちてくる小鈴を受け止められなかったわけだし……」

「吊り橋のときもせんぱいと小鈴ちゃんを先頭にしちゃったしね……」

「それは徒町が言い出しっぺだから、みんなを引っ張っていかないとって思って……!」

 

 

 お互いにお互いのことを申し訳なく思ったりするのはコイツらの性格なんだな。いい子ちゃんに育ったゆえか相手に迷惑をかけまいと責任を自分で抱えようとする。俺が関わってきたスクールアイドルにはよくある話だ。絆の強さを感じられるようで謙遜が連続するから話が進まないこともある。それで悶着が起こることも往々にしてあった。空気もよくないし俺はあまり好きな展開ではない。

 

 仕方ない。口を挟んでやるか。

 

 

「誰がどうこうの問題じゃねぇよ。こんなミスなんて生きてりゃ普通に起こる些細なことだ。そんなことを気にするなら前を向け」

「師匠……」

「俺は付き合わされた身だけど、お前らと一緒に冒険をする中で宝物っつうのがどんなモノか気になっちまった。だからそれを拝みたい。それにせっかくみんなで苦労してここまで来たんだから、ちょっとのミスで凹んで退散なんてしたくねぇだろ」

「それは、確かに……」

「俺たちで見つけよう、そのお宝ってやつを。その地図、空き教室で埃を被ってたって言ってたろ? だったらまだ誰にも見つかってない可能性が高い。それを全部持ち帰って、お前らの先輩たちにも学校にも自分たちが見つけたんだって自慢してやろう。どうだ? またワクワクしてこねぇか?」

「します!」

 

 

 安養寺が珍しく大きな声を上げた。続いて百生と徒町の表情が晴れやかになり、その瞳に光が戻ってきた。

 些細なミスで落ち込むことは誰にでもある。だったらそれ以上の高揚感で上書きしてやればいい。そんなミスが本当に些細で気にしなくてもいい、むしろ忘れちまうくらいにな。コイツらが最初に抱いていた浮き立つ気持ちを掘り返してやれば簡単なことだ。

 

 

「それに徒町、お前がこの話を持って来なければ高鳴る刺激を受けることもなかったんだ。たまにはいいんじゃねぇか、こうしてボロボロになって冒険するってのも。お前らそういうことやったことねぇだろ? 意外と楽しいぞ。なのにここで引き返すなんて勿体ないこと、俺はしたくない。心配はしなくてもいい、俺がいる。財宝でも埋蔵金でもいい、俺たちで見つけよう」

「神崎先輩……。はい、私も実はちょっと楽しいなって思ってました! いつもの仲間といつもとは違う日常を進むワクワクがあって、この一年では経験してこなかった体験。それを与えてくれたのは小鈴なんだよ」

「徒町のおかげ……?」

「そうだよ~。リアルアドベンチャーゲームだと思えばたのしいしねぇ。って言いたかったんだけど、吟子ちゃんと同じく小鈴ちゃんに余計なプレッシャーを与えちゃうと思って……。でも今なら言える。この楽しみは間違いなく小鈴ちゃんのおかげ!」

「吟子ちゃん、姫芽ちゃん……!! うん、徒町も楽しいよ!」

「じゃあこの調子でお宝もちょちょいと見つけちゃいますか~!」

「でもそんな簡単に見つかるかな……?」

「見つかるかじゃない、見つけるんだよ吟子ちゃん! やるぞーっ! ちぇすとー!」

 

 

 よし、これでみんなのやる気が戻ったな。子供の相手をするのも楽じゃない。ま、今の俺の方がコイツらよりよっぽど子供なんだけどさ。

 ただこれで俺の目的もかなり達成されたと言える。その目的は俺とコイツらの繋がりをワンランク上げること。俺がコイツらを知るいい機会だし、逆にコイツらに俺を知ってもらう絶好のチャンスでもある。そしてその目論見通りに事が進んでいる。もちろんそんな打算はついでであり、さっきコイツらに発破をかけたのもこの冒険に沸き立つ少年心をより疼かせるため、ここで冒険が終わって欲しくないって純粋な気持ちゆえだ。なによりコイツらのためにもな。

 

 

 

 

~※~

 

 

 

 

 心機一転して再び冒険を続けることになった俺たち。服もそれなりに乾いて着続けても特に違和感がなくなったようなので、昂る気持ちを遮る障壁はなにもなくこれからは効率良くチェックポイントを通過していけるだろう。

 その読みは当たっており、以前にも増してみんなで協力して困難を乗り越えることが多くなった。さながらアスレチックコースを回っているようで、多少の危険は見え隠れしていたのものの談笑しながら切り抜けられるほどみんなに余裕ができていた。木から生えていた太いツルでターザン風に向こう岸へ渡ったり、石と石を飛び移って川の上を横断したり、時には可愛い動物たちを発見して和やかな雰囲気になったりと各々アドベンチャーを楽しんでいるようだ。

 

 そしていつの間にか、最後のチェックポイントの1つ前まで到着していた。

 

 

「地図には『運命の別れ道』って書かれてますね~」

「もしかして間違った道を進むと落とし穴に落ちてゲームオーバーとか!?」

「だからゲームオーバーになった終わりだから! ここ現実!」

「冗談だよ吟子ちゃん! でも道がたくさんあってどっちに進むか迷っちゃうね」

「ここに来る途中でまた方角が分からなくなっちゃったもんね~。今回はさっきみたいに切株もないから……」

 

 

 ここでまた立ち往生。再起して以降はノンストップで進んできた俺たち。アスレチック型のチェックポイントであれば勇気を出して踏み出すことで簡単にパスすることができたからだ。だから今回のような単純な分岐の方がかえって踏み止まってしまう。

 

 もう日も暮れかけている。帰りのことも考えると適当な道を行って引き返すなんてタイムロスは避けたいところだ。

 

 

「れいくんせんぱい、正解の道が一発で分かるような閃きあったりしますか?」

「見せつけてくださいお師匠様! 徒町、頭を使うのは苦手なので!」

「ここにきて他人任せかよ。周りに何かヒントになるものはないか?」

「ヒント、ヒント……。あっ先輩、看板がありました。でも描かれているのは案内ではなくて、『太陽の針が示す東へ進め』って」

「太陽の針……って、なんだろう……? 太陽を描くときってとげとげをいっぱい付けるよね! あれのことかな?」

「でもそれが針だとしたら全方向に進めってことになるから違うんじゃないかにゃ~」

「あっ、それもそっか」

 

 

 方角を示されても何の手がかりもなしに判断できない。

 太陽と方角で思いつくのは時計。そして時計には針がある。あぁなるほど、だとしたらすぐに分かりそうだ。

 

 

「先輩? なにをしているんですか?」

「これで方角が分かるんだよ。時計の短針を太陽の方向に向けて、短針と文字盤の12時の位置の中間が南になるんだ。だから東はそこから90度左に傾けた位置。つまりそっちの道が正解だよ」

「おおっ! 流石は師匠!」

「ていうか、れいくんせんぱい抜きだったら絶対に途中で詰んでるよね~」

「そんなにこやかに言わないで! ちょっと惨めになりそうだから! でも今日は本当に先輩に驚かされっぱなしです。花帆先輩が自慢ばかりしていた気持ち、なんとなく分かった気がします」

「んだよそれ。とっとと行くぞ」

「「「おーっ!」」」

 

 

 どうしてただの付き添いの俺がリーダーシップを取ってるんだか。でも従順な後輩たちばかりで、俺も進んでコイツらを引っ張りたいと思ってしまうあたり自分の性格が出ているか。ナチュラルに己の性が表面化しているため、やはり俺もコイツらとの宝探しを楽しんでいるのだろう。ここへ来る間にもコイツらはお互いに励まし合い協力し合いでチェックポイントをクリアしていった。人と人の繋がりがリアルタイムで強化される、そんな場面を見られて俺も満足しているのかもしれない。

 

 

 

 

~※~

 

 

 

 

「わぁ~っ! いい眺め!」

「凄い……! まさか蓮ノ空が一望できるなんて……!!」

「まさか夕焼けに照らされた蓮ノ空を見られる絶好のスポットがあったなんてね~」

 

 

 最後のチェックポイント。辿り着いた先には蓮ノ空が見渡せる場所だった。

 日も暮れてきた影響からか暁が蓮ノ空を朱色に照らしており、まるで山を抜けた先に黄金郷を見つけたときのような感動がコイツらの中で生まれていた。あまりに荘厳な光景を目の当たりにし、三人は目を見開いて目の前に広がる我が校に釘付けになっている。

 

 なお気が付けばなんてことなかったのだが、実は山の入り口が下の方に見えるため山を登りながら一周したことになる。その気になれば下から辛うじてこの場所が見えるかもしれない。蓮ノ空の景色を見るなら同じ方角の入り口から入るしかないので、そりゃそうかって話でもあるが。

 

 ここまでの疲れを吹き飛ばすかのような壮麗な景色を目に焼き付ける。この山に来た本当の目的を忘れてしまいそうなくらいだったが、それに真っ先に気付いたのは徒町だった。

 

 

「はっ! そういえばお宝は!? 財宝! 埋蔵金はどこでしょうか!?」

「もしかしてだけど、この景色がお宝だったとか? ここまで蓮ノ空を綺麗に一望できる場所なんて他にないから」

「それはそれでアリだけど、やっぱりブツも欲しいかな~って思うよ。周りに何かあったりするかな~?」

「せっかくここまで来たんだ。ちょっと探してみるか」

 

 

 まあ景色がいいっちゃいいし、これがお宝でしたと結論付けてもオチとしては悪くない。だが地図自体がファンタジー風で冒険感を醸し出していた以上、実物のお宝が存在する可能性に賭けたくなる気持ちもある。最初から期待し過ぎただけかもしれないが、このまま探さずに帰るのは尻切れトンボで心残りがある。ただ既に最後のチェックポイント到達でやり切った感があるので、実物のお宝がないならないでそれはそれで『まあいっか』と流せるくらいの心の広さはあった。つまりここからは延長戦だ。

 

 俺たちは軽く周りを探索することにした。

 目立つようなものは何もないようだったが、離れたところに大きめの石が鎮座しているのを見つけた。しかも何やら文字が彫ってある。

 

 

「もしかして石を動かせばその下にお宝が!?」

「いよいよクライマックスって感じだね~。まさか本当にお宝を拝むときが来るなんて、期待はしてたけど現実味はなかったから驚きだよ~」

「先輩、石に彫られた文字はなんて書いてあるんですか? まさかまた謎解き要素とか?」

「…………いや、違うみたいだ」

「「「えっ?」」」

 

 

 俺の言葉に驚きと若干残念そうな表情を見せる三人。

 だけど、俺たちはどんなお宝よりもお宝を手に入れたかもしれない。

 

 

「石にはこう彫ってある。『お宝はここに辿り着くまでに経験した全てのこと。ここに来るまで様々な困難を乗り越えてきたことだろう。時には危ない橋を渡り、時には険しい道や崖を進み、時には川に落ちる。だがその難所を君たちは乗り越えた。それは紛れもない仲間との絆だ。今はまだ分からないかもしれない。でも一年先、二年先、君たちの将来を照らしてくれるのが仲間の絆だ。そして今後、君たちの仲間になるであろう子たちにもこのことを語り継いでほしい。君たち個々の力は凄まじいけど、一人では乗り越えられないこともある。そのときに信じるべきが、仲間との絆なのだと』」

 

「経験……。確かに、またみんなとの結束が強くなった気がする。 『ラブライブ!』を優勝して満足してたけど、まだまだ自分だけでなくみんなとの絆も成長の余地があったんだなって」

「うん! 徒町、とっても楽しかったよ! また失敗することもあったけど、それすらも忘れちゃうくらいみんなとの思い出ができちゃった!」

「みんなでアドベンチャーなんて中々経験できることじゃなかったしね~。直面したことのない困難が訪れてこそ真の絆が試される、ってところかな~」

 

 

 マジモノのお宝は見つからなかったけど、三人共ここまでの経験を振り返って満足はしているようだ。なんだかんだ途中からは少々危なそうな場所でも楽しそうに切り抜けていたから、その体験を思い出とすることもできるのだろう。これまで味わったことのない刺激を感じ、それを一番の仲間たちと一緒に乗り越えた。絆をより強く育むためのいい経験になったと思うよ。

 

 ただ、お宝のことは解決しても最後に1つだけ謎が残っている。

 この地図を作ったり石に文字を刻んだのは誰かってことだ。この文章を見るに俺の信念と同じく人と人の繋がりを大切にしている奴に違いない。

 

 と、そう思ったとき、文章の最後に一回り小さく何かが刻まれていることに気が付いた。

 それは三年前の春の日付と共に『S・O』と書かれている。これは恐らくイニシャル。人の絆を重要視していてその名前で当てはまりそうなこの学校の関係者と言えば――――

 

 

 沙知(S)・大賀美(O)

 

 

 なるほど、そういうことか。

 三年前の春の日付ってことは、恐らくこの地図は梢たちが入部した直後くらいに作られたものだろう。当時のアイツらは問題児と呼ばれるくらい大賀美を困らせていたみたいで、結束力もあったものじゃないと聞いたことがある。

 つまり、これは大賀美がアイツら向けに仕組んだオリエンテーションだったってことだ。経験が絆を生むように仕向けているのも当時のアイツらの仲を考えれば納得がいく。

 ただこの地図が実際に使われたのかは謎のままだ。もしアイツらがこんな思い出に残ることを経験したのであれば、この地図が空き教室に放置されっぱなしなわけがない。なんらかの理由でこのオリエンテーションが実行されなかったのか。まあここで考えても仕方ない。

 

 

「師匠! 今日はありがとうございました!」

「なんだよいきなり……」

「無事にお宝をゲットできたのも師匠のおかげですから!」

「噂通りのリーダーシップ力、せんぱいたちが惚れ惚れするのも分かる気がしました~!」

「私も、こんなこと言ったら上から目線だって思われるかもしれないですけど、見直したと言いますか先輩たちが慕う理由も理解できました。ありがとうございました!」

「お前ら……。こっちこそ、お前らの表裏を一通り見せてもらったから感謝してるよ」

「えっ、それ徒町たち褒められてますか!?」

「褒めてるよ。じゃあ、そろそろ帰るか。アイツらが心配しちまう前にな」

「「はいっ!」」

 

 

 冒険ってのは男が持つ少年心をくすぐられる。大人になった今でも今回のトレジャーハントは心が躍った。厄介事に巻き込まれるのはできる限り勘弁だけど、たまにはこういうひと時の旅も悪くない。必然的に協力し合う関係になるから、仲間との絆を育むいい機会だしな。

 

 なお、後から大賀美に訊いたら予想通り当時この冒険は実行されなかったらしい。大賀美自体3つのユニットを全て兼務して、曲作りや衣装作りなどで大忙しだったからだそうだ。そして時が経つにつれ三人がいつの間にか仲良くなってたから、地図は不要と判断してかつて生徒会の倉庫として使ってたところに放置し、卒業した今なお忘れてしまっていたとのこと。

 

 なんとも人騒がせだが、 確かにここに宝物はあったよ大賀美。本当の宝物が。

 




 小三角の三人の後輩感が好きといいますか、零君が周りを引っ張ていく人間なのでそれについていく後輩キャラのセットがいい感じに型にハマっていて話を描きやすかったりします!
 今回で彼と小三角の仲も大きく進展しました。でもスクールアイドル病を患ってイルカの調査はまだまだこれから。今後はもっと仲を深めていく予定です! もちろんそれは花帆たち先輩メンバーも忘れません!(笑)



【キャラ設定集】
零から蓮ノ空キャラへの呼称
・日野下花帆 → 花帆
・村野さやか → さやか
・乙宗梢   → 梢
・夕霧綴理  → 綴理
・大沢瑠璃乃 → 瑠璃乃
・藤島慈   → 慈
・百生吟子  → 百生
・徒町小鈴  → 徒町
・安養寺姫芽 → 安養寺

蓮ノ空キャラから零への呼称(零への好感度 0~100)
・日野下花帆 → 零クン   (100)
・村野さやか → 零さん   (100)
・乙宗梢   → 零君    (100)
・夕霧綴理  → れい    (100)
・大沢瑠璃乃 → 零くん   (100)
・藤島慈   → 零     (100)
・百生吟子  → 神崎先輩  (32→48)
・徒町小鈴  → 零師匠   (60→72)
・安養寺姫芽 → れいくんせんぱい(43→58)

スクールアイドル病の治療状況
・日野下花帆 → 治療済
・村野さやか → 治療済
・乙宗梢   → 治療済
・夕霧綴理  → 治療済
・大沢瑠璃乃 → 治療済
・藤島慈   → 治療済
・百生吟子  → 傷の位置調査中
・徒町小鈴  → 傷の位置調査中
・安養寺姫芽 → 傷の位置調査中
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