蓮ノ空女学院が山奥の監獄とはよく言われたものだが、それも生徒を俗物に塗れさせないようにするための防壁なのだろう。
ただ完全に防御したいかと言われたらそうではなく、そもそもスクールアイドルなんて俗物がこの学校の功績として一定の価値を収めている時点である程度は容認されている。まあそれは昔は芸楽部なんて呼ばれていたらしいので、認める認めない以前に形は変われど伝統の活動として認知されているのかもしれない。
そんな規律正しい校風に煽られているのか、学校中の秩序もかなり良い部類だ。生徒たちも礼儀正しく、女子高によくありがちな厚化粧やメイクをしたり制服を過度に気崩す輩はいない。いわゆるギャル系みたいなのも極端に少なく、そんなことに現を抜かす暇もないのだろう。みんな学校の理念である芸術分野の才能の開花に一心不乱となっている。
ただ、百年以上も守られてきた風紀が崩壊した瞬間があった。
言わずもがなそれは以前に俺がこの学校に転入したときの話。俺の目に魅力的に映りたいがためかメイクを覚えたり制服のスカートをちょっと短くしてみたり、コミュニケーション面でもボディタッチを増やしたりなど露骨なアピールが増えた。そのせいで秩序崩壊の前兆となり、元凶として危うくこの学校を追放されそうになった過去がある。まあその追放令もアイツが大賀美に発破をかけるための建前だったわけだが、生徒たちの風紀が乱れていたのは事実。当時は軽く問題になっていた。
そして俺が再びこの学校を訪れた6日目の今、どうなっているかと言うと――――
「いや~零が戻って来てくれてウチの人生はバラ色だよ! 零がいない間ずっと干からびてたからねぇ~」
「…………」
「英奈ちゃん、あまり零君を困らせるものではありませんよ。そんなに抱き着いては彼の可愛いらしい肢体が折れてしまいます」
「…………」
「そう言いながら美和子も容赦なく頭を撫で回してるじゃん! あまり圧迫しすぎると零ハゲちゃうかもよ~?」
「問題ありません。私の家には代々植毛のおクスリが伝わっていますので、美堂家に身を置いてくだされば老化の心配はないのです」
「ちゃっかり嫁いでください宣言しちゃってる! ウチだって男性ホルモンをドバドバ生産できるくらいの快楽を与えてあげられるんだから!」
「…………」
この通りだ。いやコイツらは極端だからこれが一般生徒の風紀だとは思って欲しくないが、似たようなことをされているのは事実。
俺に纏わりついているのは花帆たちの友人でもあり俺のクラスメイトでもある
英川英奈はこの学校では珍しいギャル系。濃い茶色の髪で前髪を上げており言動も軽く活発な印象だ。対して美堂美和子はおっとり系であり、焦げ茶色の髪を三つ編みおさげにしている。どうやら梢以上の名家のお嬢様らしく非常にお淑やかだ。
そんなの二人は教室内なのにも関わらずボディランゲージが多い。座っていようがお構いなしだ。二人共性格的にこんなガキを相手にしなさそうだが一年生の頃からやたらと気に入られている。再会できたのが嬉しい気持ちはわかるのだが、だからといってこんなにベタベタする必要があるのかよ……。
そして、そんな様子を見せ付けたら焦る奴が一人――――
「もう英奈ちゃん! 美和子ちゃん! 零クンが困ってるから! そんなにくっついちゃダメ!」
「え~いいじゃん別に! 花帆ちゃんは毎晩愛の巣でちゅっちゅしてるわけだしぃ~」
「だからしてないって! その噂、前から結構なペースで広まってるから勘弁してよ~っ!!」
「でも魅力的な女性が同じ屋根の下に9人もいらっしゃるのですから、何も起きないはずもなく……」
「起きないよ!!」
花帆が割り込んで邪魔をしようとするが、英川と美堂の事実無根の反撃によって撃退されてしまう。まあ年頃の男女が同棲しているって聞けば性事情を察するのも仕方がないか。昨晩も下着騒動があったわけだから俺たちが完全にシロかと言われたらそうじゃねぇんだよな……。
「花帆ちゃんの言い分はホントなの?」
「ホントだよ! ルリたちも誓って健全な生活を送っていると主張する!」
「はい! 男女の関係を疑われるようなことは何も……あ、ありません!」
「なんださっき妙な間がなかったですか~?」
「き、気のせいですよ……」
さやかの奴、俺と一緒で昨晩の下着騒動のことが脳裏にチラついたな。瑠璃乃もちょっと苦笑いだし、完璧に否定できないところが説得力の無さに拍車をかける。まあ流石に口外しなけりゃ、まして誰かを招かなければ俺たちの生活模様がバレることはないので大丈夫だとは思うが……。
未だに俺に密着し続ける英川と美堂、およびそれを引きはがそうとする花帆の間で悶着を繰り返す。
そんな中、突然校内放送が鳴った。
『二年生の神崎零さん。二年生の神崎零さん。至急寮の隣のシェアハウス前へ来てください。繰り返します。二年生の神崎零さん。至急寮の隣のシェアハウス前へ来てください』
「この声、椎葉かよ……」
「椎菜ちゃん……。零クンまたなにかやったの!? それにシェアハウスってあたしたちの家だよね!?」
「俺がやらかす前提かよ……。どうせまた難癖をつけたいだけだろ。どうしてそこに集合なのかは分からねぇけどな」
てかどうして校内放送で呼び出すんだよ。同じクラスなんだから最初から口で言えよな恥ずかしい……。
呼び出すっつうことはまたそれなりの重要案件があるわけだ。アイツは無駄なことはしない。生徒会室ではなくシェアハウス前に呼び出したのも話題のネタがそこだからだろう。どうして生徒会で話さず現地で話すのかは気になるけども。
「どうする零くん、行くの?」
「アイツのことだから、行かないとどんな理詰めでまた追放令を出されるか分かったものじゃない。そうなると面倒だから一応行くよ」
「じゃあわたしたちも行きます。シェアハウス絡みでしたらわたしたちにも少なからず関係のあることですから」
「勝手にしろ」
~※~
「来ましたか――――って、相も変わらずそんなに女性を侍らせて、いい御身分ですね。自分が獲得したトロフィーを見せ付けて優越感に浸る気分はさぞ至福でしょう」
「お前、相変わらずキッツいなぁ……」
家の前に行くと既に椎葉が来ていた。一年前と違わぬ憎まれ口で俺を歓迎する。隙のない立ち振る舞いは会話相手を圧倒させるほどの威圧を感じさせる。もちろん俺には通用しないが、ここで反撃しても話が脇道に逸れるだけなのでこれ以上は言い返さないようにしよう。コイツも無駄な話は望んでいないだろうしな。
『ABCトリオ』の一角である『C』の方で、卒業した大賀美に代わる生徒会の会長だ。薄茶色の髪を肩まで伸ばしており、目がツリ目で瞳に強烈な意志を宿すくらいに眼光が強く存在感が凄まじい。
性格は正論を振りかざす正義の執行者。事前に事実ベースでの証拠を揃え、相手の逃げ場を徹底的に潰す。だから相手と同じ土俵に立った時には既にコイツの勝ちが確定している状況となる。幼い頃から帝王学を身に着けてきた影響か相手を説き伏せる手腕を会得しているようで、コイツに呼び出されたら弁解などできず完全に詰みとまで噂されているようだ。もう会長じゃなくて女王だな。
だからこそ、花帆たちはこうやって警戒しているわけだが……。
「で? なんの用だよ? 小言は同じクラスになった時点で聞き飽きたぞ」
「もしかしてまた追放令!? 椎菜ちゃん考え直して! 零クンはあたしたちにとって必要な存在だから!」
「周りの女性は既に調教済み……と。弁解を周りにさせることで説得力を持たせようとする。
「んなわけねぇだろ。早く用件を言えよ」
蓮ノ空の生徒が大なり小なり俺を受け入れてるから、今なお俺を異物な存在だと断定するコイツがいると今の立場の現実味が増す。ちやほやされるのは悪くないが、その環境に骨の髄まで浸かっていると自分がガキの姿になってまでこの学校に来ている目的を忘れそうになるからな。その点、コイツとの会話は自分を現実に引き戻してくれる。まあ言葉のトゲの鋭さは勘弁してほしいものだが。カロリー高いんだよなコイツと会話するのは……。
「今日は追放の件ではありません。彼はこの学校にとって一定の利用価値がありますから」
「零くんを簡単に認めないの椎菜ちゃんらしいなぁ……」
「それはともかく、今日は監査に来ました。神崎二年生の再編入を歓迎する声が多い一方、突如して現れたこのシェアハウスに驚いている方も多く、中には年頃の男女が同棲生活をしていることに風紀の乱れを感じている方もいるようです」
「それはまぁ、わたしたちも一つ屋根の下で一緒に暮らすことに最初は驚きましたけど……。でも花帆さんが言っていた通り、最後のは全くの誤解かと」
「ではそれを証明できますか? あなたたちが異性に対して性的欲求を抱いていないと断言できる、その証拠はありますか?」
「「「う゛っ!?」」」
まさに昨晩の下着騒動が思いっきり引き金になりそうじゃねぇか。三人共後ろめたさに苛まれている。事の発端が慈(もしくは俺)だったとは言えども自分たちが関与していることに変わりねぇからな。
「まあいきなり証拠を出せと言われても実物を伴うものではないので難しいでしょう。悪魔の証明に近いものですから」
「なるほど、だから家の中を抜き打ちで調べて男女淫行に繋がる証拠がないか調査するってわけか」
「淫行!?」
「話が早いところだけは好感ですよ、神崎二年生。そういうわけです。今から痴情の縺れがないか調べさせてもらいます。やましいことがなければ特に問題ないはず、ですよね?」
「「「えぇっ!?」」」
まるで警察のガサ入れだな。拒否したらしたで俺たちが誰の目も届かない家の中で淫行をしている噂を途絶えさせることができないし、ここは受け入れるしかなさそうだ。
ただ事実として昨晩の下着騒動があったにせよ、今は既に俺とみんなの洗濯物を入れるカゴは分けてある。つまり何も恐れることはないし、むしろ堂々としていればいい。まあプライベートを勝手に覗かれてるようなものだから警戒するのは当然と言えば当然か。
椎葉の圧に負けてガサ入れを拒否することができない花帆たち。
そして遂にシェアハウス生活で初めて他人を家に上げることを許してしまった。言っても俺たちもまだこの生活6日目なので住み慣れてはいないのだが、他人が自分の敷地を跨いでくる緊張はある。相手は高潔な生徒会長の椎葉だからなおさらだ。
そんな緊張もあってか初めての来訪者なのに歓迎の言葉をかけることもなく、椎葉の監査を黙って見ているしかない三人だった。
「リビングはかなり片付いているようですね。多人数で住んでいながら整理整頓が行き届いているのは感心です」
「ふふん! なんたってこっちにはお掃除好きのさやかちゃんがいるからね!」
「さやかちゃんのおかげでルリたちも快適に生活できて良きかな良きかな!」
「褒めていただけるのは嬉しいですが、皆さん交代交代でやっているので皆さんの功績でもありますよ!」
「交代交代?」
「はい。家事をするなら全員で。でも同じことばかりするとマンネリ化するので、毎日やることを変えているんです」
「ほらこれ! ルーレット式の担当表!」
徒町の提案で作ったものだ。1日に1回転させることで全員が毎日違う作業を割り振られる方式。
だが、その担当表の違和感に椎葉はすぐ気づいたようだ。
「これ、彼の名前がないようですが?」
「あ、あぁ~それは零くんだからって理由が全てちゅーか、それ以外に理由がないっちゅーか……」
「なるほど、女性に身の回りの世話を任せて自分はふんぞり返っていると。やはりいい御身分ですね。多数の女性をこき使う気分はいかがですか?」
「別に。なんとも思ってねぇよ」
「あたしたちが好きでやってることだから! だってほら、零クンがせっせと家事しているところなんて似合わないもん!」
「想いの人への愛ゆえなのか、それとも彼に周りを動かすほどの風格があるのか、どちらにせよ少し歪んでいますね。まあ恋愛の方法は人それぞれなので口出しはしませんが」
咎められると思ったけどそこはスルーなのか。淑女を育てる学校だから恋愛禁止とか言い出すのかと思ったけど、そこまで追求する気はないらしい。厳しいようだけどルールさえ守っていれば向こうから踏み込んでこない。それを徹底しているからこそ生徒会長の座として君臨しているのだろう。横暴だったら生徒からの反発も半端ないだろうし、実際に花帆たち含めコイツの支持率はかなり高いと聞く。理路整然としているだけで一定の評価は得られるものだな。
「次は脱衣所とお風呂場ですけど、ここも綺麗にしていますよ」
「流石は村野二年生と言ったところでしょうか。細かいところまで手入れは行き届いています。ただ今回は嫁姑問題のような細かな粗を指摘しに来たのではありません。淫らな行為の証拠がないかを主眼に調査しています。そして一つ屋根の下での入浴とあれば最も証拠が出やすいところでしょう。ちなみに混浴はしていますか?」
「自然な流れで訊かれた!? シレっととんでもないことを!! してないしてない! ルリたちは健全だから!」
「今後もそのような予定は?」
「そ、そりゃあたしは零クンと一緒なら――――って、今のナシ!!」
「なるほど、やはりそういった対象として彼を見ていると」
「誘導尋問に引っかかってんじゃねぇよ……」
ただ花帆が俺に向ける好意は誰の目から見ても明らかだから、今更確認するほどのことでもない。特に親友として近しい関係にある椎葉ならそのことを知っていただろうし、完全にブラフの質問だった。ちょっと遊ばれてねぇか……?
「でもこれだけの女性に囲まれて暮らしていると、男性の方も気が気ではないのではないですか? しかも寮とは違って部屋の外に音が漏れない。男性の欲望を発揮するのには絶好の場所と言えます」
「知るか。俺は女慣れしてるんだよ。だから同棲生活ごときで興奮するかっつうの」
「その堂々たる姿勢、あなた本当に中学生ですか? 背が低いだけの大人の可能性とも考えられますが?」
「んなわけねぇだろ」
いきなり核心を突いてくるな心臓飛び出そうになったぞ……。
相変わらず椎葉の観察眼は鋭い。俺たちが性的に組んず解れつしてることを暴くのが目的だったくせに別の謎まで解明しようとしやがる。やっぱりコイツとの会話は気を遣うのでカロリーがたけぇな。
「洗濯はどのように行っているのですか? 彼は家事をしていないとのことなので、あなたたちが彼の分を洗濯していると?」
「はい、そうなりますね」
「つがいではない男性に女性の下着を見せるのは道徳的に問題ですから、無難な落としどころでしょう。まあ子供に自分の下着を見られて恥ずかしがる、なんてことはないと思いますが」
「「「…………」」」
「まるでそんなことがあったかのような間ですね」
「想像してるだけだ。気にすんな」
やはり的確に核心に迫ってきやがるコイツ。一応フォローしてやったけどどこまで誤魔化せるか分からねぇぞ。
どうしてここまで読めるのか。そう考えたときに1つの仮説が思い浮かんだ。椎葉の奴、さっきから淫行調査と言いながらも言葉の節々にやたらとその手の話題に詳しい匂いを醸し出している。清廉潔白なのはそうだけどある程度の知識はあるわけだ。そう考えると外面は真面目系だけど内面はむっつり系とかあり得るかもしれない。だって類は友を呼ぶって言うだろ? コイツの友達の英川や美堂は俺に絡むときにガッツリ猥談を絡めてくるし、裏付けとしての根拠は弱いがコイツも類友の可能性はある。
ただ、それを指摘しても澄ました顔で合理的に論破してくるだろう。まあレスバトルなら負ける気はしないがここで争っても不毛なだけだからやめておこう。コイツは敵に回したくない。
そんな感じで時々怪しいところにツッコミを入れられ、時には図星なこともあったけど危機一髪のところでスルーできた。確かに俺たちの距離は普通の友達感覚と比べれば近い方だが、言ってもその程度なので節度を持った距離感だとは思う。だから昨晩みたいに多少やましいことはあれど摘発されるほどではないんだ。
「一通り見て回ったけど、これでルリたちの冤罪は晴れた……ってコトでオーケー?」
「はい。まあほぼほぼ無駄足であることは分かっていましたが」
「じゃあどうしてこんなことを?」
「あなたたちへの疑いの声が出ているので、生徒会長として形だけでも調査する必要があったのです。放送で彼を呼び出したのも『自分は仕事』をしているアピールをするため。やってる感が伝われば周りがとやかく言ってくることも減るでしょう。私は忙しいので、あまり確証のない噂に振り回されてる場合ではありませんから」
「じゃあ椎菜ちゃんは最初からあたしたちを信じてくれてたんだね! 友達だもんね! そりゃそうだよ!」
「信じる信じない以前に、ただの人読みです」
なんにせよ無事に切り抜けられて良かったな。こじ付けで淫行の証拠をでっち上げられたらどうしようかと反撃の手を考えていたが、どうやらその対抗策を発動する必要はないようだ。将来はどうなるか分かんねぇけど。
調査結果に特に問題がなかったので帰宅体勢に入る椎葉。コイツらの緊張も落ち着き緩い雰囲気が戻る。
「あっ、衣装案を吟子ちゃんに見せる予定だったの忘れてた! ノート取ってくるからちょっと待ってて!」
「ここが日野下二年生の部屋ですか―――――ん?」
花帆が自分の部屋を開けた、そのときだった。
開けたドアから彼女の部屋の中が見えたのだが、床に布のようなものが落ちていた。女物の服でもハンカチやスカーフなんてものでもない。その形は明らかにパンツ。だが女物ではない形状。となるとその正体は――――
「それ、明らかに男物の下着ですよね? そしてこの家に住んでいる男性はたった一人……」
「え゛っ!? なんで零クンのがここに!? 違うのあたし知らない! これはワナだよ!!」
「なるほど。共用部分を調べても何も出てこないわけですか。個人の部屋に隠してあったと」
「違うの椎菜ちゃん! だよねさやかちゃん! 瑠璃乃ちゃん!」
「花帆ちゃん、めぐちゃんのこと言えないんじゃ……」
「な、なにも見なかったことにしてあげますから!」
「だから違うの!!」
あれ俺のだったのか。自分の下着なんて何を持っていたのかいちいち覚えていない。基本は誰かに洗濯してもらって乾かしたものすら片付けてくれてるから、自分が何を持っているのかあまり把握していないことが多い。だから奪われても気付けないのだが、まさかこの家でそんなことが起こるとは。
しかし花帆はやっていないらしい。誤魔化しではなくガチの焦りに見える。じゃあこんなことをした犯人は……?
「あっ、それ多分綴理先輩が犯人だと思います」
「えっ、つづパイセンが花帆ちゃんを罠に!?」
「違います! 昨晩は色々あってまともに洗濯できませんでしたから、今朝洗濯機を回しました。そして昨日の洗濯係は綴理先輩。各洗濯物をそれぞれの持ち主に届けるのも洗濯係の役目です。多分ですが、花帆さんの部屋に入ったときに零さんの下着を落としてしまったのだと思います。ただその作業をしていたのが登校時間ギリギリだったので、花帆さんはもう既に部屋にいなかったのだと」
「なるほど、パイセンならうっかりやっちゃいそ~」
「というわけだよ椎菜ちゃん! これでQ.E.D!!」
マジであり得そうな展開だな。それが真実でないにせよ、ここで椎葉を納得させられないとこれまでの積み重ねてきた信頼が根元から崩れてしまう。ただ花帆のことだから、俺のパンツをこっそり拝借していても性格的にも俺への好感度的にもおかしくなさそうなのがなんとも……。
「ふむ……。では仮に彼の下着が落ちていたとして、あなたはすぐに返しに行きますか?」
「それは……って、今のナシ!!」
「一瞬迷いましたね。報告書の結果を『問題なし』から『要観察』に変更しておきます」
「だから誘導尋問だよ今のはーーっ!!」
無事に切り抜けられたと思ったら、花帆の刹那の迷いによって結果をワンランク上に格上げされてしまった。以降も生徒会に目を光らされることになるだろうが、いずれ俺たちの関係が進んでいけば警戒されても仕方ないことになりそうな気もするけどな。ま、昨晩みたいに混浴の想像で赤面している間は大丈夫だろう。
ただ、椎葉は悪い笑みを浮かべている。帰るまでは仕事として真っ当に調査していたと思うが、最後のだけは遊びだったんじゃないか疑惑が……。
コイツも悪戯心なんてあるんだな。意外な一面を知った気がする。そのダシにされた花帆は不純ではない様子だけど……。
今回はABCトリオ登場回。もはやアプリのストーリーや漫画とは違うオリキャラっぽくなっていますが、Liella編での七海のような扱いだと思っていただければと。
友達だけどスクールアイドルではないキャラや生徒会のキャラがいると話のネタが広がって、作者的には嬉しかったりします。ただ読者様的にはオリキャラの増えすぎはあまり好まれないと思うので、原作キャラの名前だけ借りてる分オリキャラ感を緩和できればいいかなぁとか思ってます(笑)
次回の投稿はお盆休みで少し時間があるため、13日(水)の0時(=12日の24時)の予定です!
【キャラ設定集】
零から蓮ノ空キャラへの呼称
・日野下花帆 → 花帆
・村野さやか → さやか
・乙宗梢 → 梢
・夕霧綴理 → 綴理
・大沢瑠璃乃 → 瑠璃乃
・藤島慈 → 慈
・百生吟子 → 百生
・徒町小鈴 → 徒町
・安養寺姫芽 → 安養寺
蓮ノ空キャラから零への呼称(零への好感度 0~100)
・日野下花帆 → 零クン (100)
・村野さやか → 零さん (100)
・乙宗梢 → 零君 (100)
・夕霧綴理 → れい (100)
・大沢瑠璃乃 → 零くん (100)
・藤島慈 → 零 (100)
・百生吟子 → 神崎先輩 (48)
・徒町小鈴 → 零師匠 (72)
・安養寺姫芽 → れいくんせんぱい(58)
スクールアイドル病の治療状況
・日野下花帆 → 治療済
・村野さやか → 治療済
・乙宗梢 → 治療済
・夕霧綴理 → 治療済
・大沢瑠璃乃 → 治療済
・藤島慈 → 治療済
・百生吟子 → 傷の位置調査中
・徒町小鈴 → 傷の位置調査中
・安養寺姫芽 → 傷の位置調査中