ラブライブ!~蓮ノ空との新たなる日常2~   作:薮椿

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蓮ノ空ファンタジー1~夢を見る楽譜~

 俺が再編入してから今日で7日目。

 再び蔓延したスクールアイドル病の調査の進捗はいかほどかと言われると、それなりに上手くは進んでいるのではなかろうか。対象の百生、徒町、安養寺の三人とはそれなりに友好的な関係を築けている。最初は大なり小なり警戒されることは会ったけど、宝探しを機に仲が一気に深まった気がする。やはり危機的状況からの吊り橋効果はてきめんだ。ただ去年の幽霊騒動のような大事件は起こって欲しくないな。

 

 ただ進捗がそれなりと言っても本番はこれから。仲良くなっているのもスクールアイドル病の原因たる身体の傷の位置を探るため。だから身体を見られてもいい関係を作るために日々奮闘しているってわけだ。寝ている間にこっそり脱がすとか、尊厳を破壊するようなことはしたくねぇしな。

 

 スクールアイドル病とはその名の通りスクールアイドルが患う病気のこと。身体のどこかに本人や周りの人までもが視認できない小さな傷ができ、その傷口は時が経過するにつれてどんどん赤くなり広がっていく。その広がりに際限はなく、やがて全身を蝕み身体の崩壊を招く中々に危険な病気だ。しかも本人が自分の病状を知ってしまうと、その瞬間に傷口が全身に蔓延する厄介な特性を持っている。つまり誰にも詳細を話せない。俺が秘密の学校生活を送っているのもそれが理由だ。

 その病気を治療する唯一の方法は、俺の手でその傷口に触れること。そうすれば傷口は瞬く間に塞がり、ものの数秒で真っ新で綺麗な肌に戻る。何故俺だけが治療できるのかは秋葉曰く不明らしい。なんせその傷を視覚できる存在も俺ただ一人。なんとも都合のいい病気だ。

 

 いつ重症化するか分からないから急いだほうがいいけど、だからといって無理矢理覗き見たり脱がすわけにもいかない。命が天秤にかかっているので万が一の場合は強硬手段に出るしかないが、それまでは可能な限りコイツらの尊厳は守ってやりたいと思っている。

 とはいえ、前回は花帆たちの身体の傷の位置をラッキーで発見したことも多い。事故で水着が脱げたり服が破れたり、今回もそのハプニングが起こってくれると楽っちゃ楽なんだけど期待し過ぎは禁物。そもそもはそんなことが起こるってことは事件が発生してるってことだから、事件解決の手間を考えるとトレードオフか。まあできれば面倒事は避けたいものだけどな。

 

 そんなこんなで一週間。アイツらともそれなりに関係が進展したし、次なるアクションに移りたいとか考えつつスクールアイドルクラブの部室に向かう。

 明日は土曜だし誰かを外出に誘ってみるか。百生はまだしも徒町や安養寺なら余裕で釣れると思う。そんな打算を抱きながら部室へ入る。

 

 既に全員集まっているようだ。何やら盛り上がっている様子だけど、変なことに巻き込まれなきゃいいが……。

 

 

「師匠! お疲れ様です!」

「なんだお前、放課後だってのに元気だな」

「面白い噂が広がってるんですよ! 師匠はご存知ですか?」

「噂を聞くと事件を呼び寄せてしまう体質だから、あまり耳に入れないようにしてるんだ」

「この噂通りならスクールアイドルのレベルアップ間違いなし! 教えて差し上げます!」

「話聞けよ……」

「小鈴さん、その噂を聞いてからずっとハイテンションなんです。聞くだけでいいので聞いてあげてください……」

 

 

 親であるさやかですら徒町の勢いは止められなかったようだ。

 そして盛り上がっていたのは徒町が噂を広めていたかららしい。この前も宝の地図を持ってきたせいで苦労したの忘れたのかよ。結果的に大団円で終わったがその裏でそれなりに痛い目を見てたぞコイツら。

 

 

「師匠は蓮ノ空に伝わる『夢を見る楽譜』をご存じですか?」

「何も知らねぇから、いちいち訊かずに通しで話せ」

「承知です! それは人に希望を与える音色を奏でられる、まさに夢も見させてくれる楽譜だそうです。楽譜を所持する人によってその音色を変えるらしく、どうやら昔の蓮ノ空ではその楽譜のおかげで大型大会に優勝した部活もあるとのこと。更に噂によるとスクールアイドルクラブの前身、芸楽部もとある世代で楽譜によって大会優勝を掴み取ったとか取らないとか……。とにかく、そんな凄い楽譜が存在しているんです!」

「なんか胡散くせぇな。真実にせよウソにせよ、どうして今頃そんな噂が? 実物が発掘でもされたか?」

「いえそのような話は……」

 

 

 なんだよ。夢のような代物が見つかったのかと思ったが、本当にただの噂話だったようだ。まあ芸術を磨く奴らが集まるこの学校だからこそ広まりそうな噂でもあるか。

 

 

「でも希望を与えて夢を見させてくれる楽譜かぁ~。あたしはちょっと、いや結構気になっちゃうよ! それがあれば作曲もちょちょいのちょいってできそうだから!」

「もう、そんな調子で梢先輩が卒業した後はどうするの……」

「そ、それは吟子ちゃんと一緒に作詞作曲を覚えるか、期待の新人がスリーズブーケに入ってくれれば……!!」

「今更ながら、花帆にスリーズブーケを任せるのが心配になってきたわ……」

「えぇっ!? なんでですか梢センパイ!!」

 

 

 楽譜を所持する人によってその音楽を変えるって、花帆でなくとも誰でも喉から手が出るほど欲しくなるだろう。ただそんなAI生成のような技術が昔から存在しているなんて思えない。そう考えるとやっぱりただの都市伝説なんだろうな。

 

 

「ルリ思うのは、夢を叶えるなら自分で叶えないと意味ないかなぁって。キレイごとかもしれないけどね」

「いや実際にそうだと思うよ。ま、私たちは自分たちの力で『ラブライブ!』を制したわけだし、そんな楽譜は必要ないけどね!」

「そうですよ! るりちゃんせんぱいとめぐちゃんせんぱいが振りまく夢はその楽譜以上ですから! そのおかげで優勝できましたもんね~」

「ひめっちもしっかり功労者だからね!」

 

 

 瑠璃乃みたいに欲に流されない奴もいるようだ。しかし実際に自分のインスピレーション通りに作詞作曲ができる楽譜が手に入ったとして、それを有効活用しない奴が存在するのかって話だ。噂の出どころも、中々インスピレーションが湧かない中でこんな楽譜があったらいいなと妄想が膨らみ、それを周りに冗談混じりで話したことで広まったとかそんなところだろう。芸術学校だからこそ真実味を帯びた話題になっただけだ、多分な。

 

 

「ボクは気になる。チョコケーキを出してってお願いすれば出してくれるかな?」

「魔法のランプじゃないんですから、流石にそれはないですよ! あくまで作詞作曲ができるだけで……と思いましたが、綴理先輩語を楽譜が理解できるとは思えませんね」

「ボクなんなの」

「その楽譜を使う使わない以前に、そういうのがあるって噂だけでも徒町のトレジャーハントの血が騒ぎます!」

「また宝探しですか!? 一昨日の件もまだ完全に許したわけじゃないですからね! あんな危険なことをして……」

 

 

 あの宝探しのことか。あのときは何の連絡もなく帰りが遅かったせいでコイツらに余計な心配をかけてしまった。しかも過酷な冒険で全員ボロボロになっていたので身を案じられる始末。怒られはしなかったものの、母親役のさやかや梢にはやんわり咎められてしまった。まあ中には一緒に行きたかったとごねた奴もいたけどな。

 

 

「でも零クンも言ってたけど、どうしてその噂が急に広まったのかな? 去年は全く聞かなかったし、そんな昔話があるなんて全然知らなかったよ。梢センパイたちは知ってましたか?」

「沙知先輩から軽く聞いていたけれど、実は今の今まで忘れていたのよ。聞いた当時もあまりにも夢物語すぎて誰も本気にしていなかったから、記憶にあまり残っていなかったのだと思うわ」

「さちが『夢は自分で叶えるものだ』っていつも言ってたから、噂を聞いてもボクたち『ふ~ん』って感じだったよね」

「所詮はおとぎ話レベルだから、実在してるなんて誰も思ってないない! そんなのがあったら蓮ノ空の部活は今頃大会で連戦連勝、話題にならないはずがないからね!」

「祖母からもそういう話は聞いたことがありません。なのでやはり都市伝説だと思います。それになによりその楽譜の力で芸楽部が勝利を収めていたなんて事実、伝統破壊も甚だしくてなんか怒りが……」

「吟子ちゃんまた伝統病になってるから、どうどう~」

 

 

 確かにそんな核兵器のようなものが投入されていたとしたら、歴史の長いこの学校に記録が残っていないわけがない。まあ何らかの事情で抹消された説もあるけど。実際以前の幽霊騒動の原因だって意図的に隠蔽されてたし、伝統が続く歴史の長い学校だからこそ裏に隠していることも多いだろう。この学校がどうかは知らねぇけどさ。

 

 だが噂の出どころだけは気になるところだ。今まで風化していた噂が今このタイミングでまた広まり出した。単に誰かが昔の話を聞いて、それを広めただけって線もありえるから考えすぎは時間の無駄か。

 

 

「あっ、そろそろ練習室の予約時間です。噂の話はこれくらいにして準備しましょうか」

「蓮華祭の準備もあるので一分一秒も気が抜けないですね! 余計な話で時間を無駄にするわけにはいきません!」

「話題を持ってきたの小鈴ちゃんだけどね……。でもルリも蓮華祭に向けて炎を燃やしてるから、噂にかまけている暇はないぜーっ!」

「ふふっ、みんなやる気満々みたいね。それじゃあ行きましょうか」

 

 

 じゃあここでその楽譜を探してみようってならないあたり、コイツらも噂を信じちゃいないのだろう。そもそもどこにあるのか分からないから探すことすらできないけどな。

 しかし、この世には現代科学で説明できないことが多々ある。俺がガキの姿になっていることがまさにそれだし、幽霊だの超現象だの俺の回りではイレギュラーが勃発しやすい。噂もその類じゃなければいいんだけどな。

 

 

 

 

~※~

 

 

 

 

 俺たちは壁一面に鏡がある練習部屋へと向かう。

 その部屋は数に限りがあるため予約制で、ダンス部やバレエ部など特に鏡を必要とする部活と取り合いになることが多い。特にこの時期は三年生の卒業が見えており、最後の学祭である蓮華祭に向けてどの部活も活動に躍起になっている。だからこそ予約時間の一分一秒が重要ってのはあながち誇張表現でもないんだ。

 

 誰もが残る時間を捧げて先輩たちと最後の夢を見ようとしている。先輩たちも後輩たちに可能な限りの希望を残そうとしている。大型大会が集中する時期もそうらしいが、卒業が迫ってくるこの時期も学校中の一体感が凄まじい。周りと切磋琢磨して自分のスキルを伸ばし、その姿を見た仲間も鼓舞される。長い歴史を持つ芸術学校だからこそ形成されてきた流れだろう。

 ちなみにこの時期は半日程度で一日の授業が終わることもあり、残りの時間は蓮華祭の準備に充てられている。だからこそ仲間と活動する機会も増えるため、その一体感の大きさも学校を歩いているだけで感じられる。

 

 こうして廊下を歩いているだけでも和気藹々とした雰囲気が各所から漂ってくる。それはスクールアイドルクラブも同じようで、『ラブライブ!』を優勝しただけでは止まらない勢いを9人全員が持っていた。

 

 そんな中、廊下の向こうから周りの高揚したテンションとは真逆の幸薄そうな女の子がやって来る。髪は葦毛で背は俺と同じくらい低い。周りの生徒からの誰からも目を向けられていないほど存在感が希薄だ。

 リボンの色的には黄色だから一年生か。再編入してまだ一週間しか経ってないから一年生にどんな子がいるのか把握していない。俺に興味津々でよく話しかけてくれる子なら良くも悪くも覚えちゃってるけど、あそこまで存在感がないと俺が知らないのも無理はないか。

 

 やがてその子とすれ違う。

 今後特に交流が発生するわけでもなさそうな子だ。だから俺もすぐ興味をなくし、すれ違うときには既に思考回路がその子から逸れていた。

 

 しかし、ちょうどお互いの姿が見えなくなるタイミングで暗めの声が聞こえてきた。

 

 

「もしたった一人に夢と希望を託すとしたら、あなたは誰に託す?」

 

 

 言葉の意味が分からず一瞬考え込んだが、振り向いたときには既に視界に姿はなかった。近くにある階段を下ったのか。

 

 

「えっ、さっきのどういう意味でしょうか!?」

「小鈴も聞こえてたの? ていうかあれ、誰に向かって言ってたんだろう……?」

「なんだか心の奥底に問いかけるような、そんなカンジがしたよね~」

 

 

 どうやら他の奴らにもアイツの声が聞こえていたようだ。かなり小さい声だったから俺に質問してきたのかと思ってたけど、となると誰に喋りかけてきたのか分からなくなったな。それかただの独り言か。

 

 

「あの子のリボン黄色だったけど、吟子ちゃんたちあの子のこと知ってる? あたし、今までで見たことないような……」

「確か年明けくらいに別のクラスに転校してきた……誰だっけ?」

「あの頃は『ラブライブ!』の決勝で忙しくて、徒町も詳しくは……」

「別のクラスの人たちとも結構喋るけど、あの子が喋っているところは一回も見たことないかも……」

「気にすることないんじゃない。考え事をしていて口にポロっと出ちゃうことなんて、私もよくあるし」

 

 

 慈の言う通り考え過ぎな気もするな。妙に心に訴えかけられてるような感じがしたから気になりはするけど。

 ただ、さっきの『希望を与えて夢を見させてくれる楽譜』の噂。そしてすれ違ったアイツの言葉。どっちも『夢』と『希望』のワードが共通している。偶然かやはり考えすぎなのか。念のため秋葉に連絡をして噂の出どころを探ってもらうか。こういうときにしか役に立たないからな。

 

 

 

 

~※~

 

 

 

 

 一通りの練習を終えた頃、部屋の使用時間が迫っていたので急いで片づけをする。

 いつも通りに練習をし、いつも通りに俺がアドバイスをし、残った時間で蓮華祭の準備を進める。俺が再編入してからの日常は大体がこの流れで進行している。特に何も変わらない毎日。むしろ変わって欲しくはなく、穏便な日常を過ごさせてくれと毎日祈るばかりだ。ただでさえ子供の姿でスクールアイドル病なんて奇病を調査してんだから、余計なイベントは発生しないよう祈るに限る。

 

 

「いい汗かいたから、この勢いで蓮華祭の準備も頑張るよ!」

「元気だねぇ花帆ちゃんは。ルリは歳だからもう動けないねぇ」

「同い年だよね!? ともかく、今のあたしは活気に満ち溢れてるんだよ! 今ならどんな事件が降りかかってこようが解決できるくらいにね!」

「おーっ、かほ凄い。じゃあもうれいがいなくてもかほに任せれば安心だね」

「そ、それは零クンがいるからこその活力花帆なので……」

「結局彼頼みなのね……」

 

 

 くだらない会話をしながら片付けと着替えを終え、使用時間の終わりのギリギリに部屋を出る。このまままた次の日常へ、そう思った矢先のことだった。

 

 何やら周りの様子がおかしい。校内が古臭い様式の建物の内装とは思えないくらい豪華になっており、まるでお城の中のようだ。ブラウン系を基調とした木目からグレー系を主とした大理石の構造に変わっている。

 呆気に取られていると、後ろにいたみんなが騒ぎ出したのでそちらを振り向く。

 

 すると――――全員の服が変わっていた。制服ではなくファンタジー風の衣装になっており、更に全員が武器を装備している。

 それだけではない、各々の近くにウィンドウが表示されており、ご丁寧にRPGですよと言わんばかりのHPとMPの表示があった。

 

 

「え、えっ!? なにこれ!? あたしいつの間にこんな衣装を!?」

「これは剣? ルリ剣士になっちゃった!?」

「突然なんですかこれは!? なんなんですか!?」

「おぉ~。カッコイイかも」

「理解が追い付かないのだけれど……」

「これってもしかしてファンタジーの世界ってやつ!?」

「もしそうだとすると凄い燃えてきました~っ!!」

「いやいやそんなこと言ってる場合じゃないでしょ! なんなんこれ!?」

「この武器とか本物っぽくて、徒町震えてます!」

 

 

 全員が困惑していると思いきや一部は喜んでやがる。

 一体なにが起きているのか。練習部屋から出た瞬間に周りの環境が変わり、俺たちも洋風ファンタジーの衣装を着せられていた。衣装はある程度共通点があり、スリブは白魔導士系、ドルケが黒魔導士系、みらぱが戦士系となっている。ちなみに俺も剣士系であり前衛職のようだ。

 

 と、冷静に解説しているように見えるが俺だって何が何だか分からない。

 とりあえず秋葉に連絡しようと思いスマホを取り出すのだが、ファンタジー風に合わせてなのか自分の持ち物やステータス、パーティの確認程度しかできないようになっていた。

 

 これはVRの世界なのか? でも今の技術ではゴーグルも何もなく人に違った世界を見せるのは不可能なはずだ。部屋を出る瞬間も全く違和感がなかった。気付いたら服も周りの景色も変わっていた。

 何もかもが分からない。分かっていることはただ一つ。また厄介な事件に巻き込まれたってことだけだ。

 

 

「ねぇねぇ零クン! これどうすればいいの!?」

「さぁな。とりあえず学校を見て回ろう。他の生徒がいるかもしれない。ただご丁寧にHPとMPがあるってことはもしかして敵キャラも出てくるかも……」

「えっ、それって私たちが戦うってことですか!?」

「そういうことだよ吟子ちゃん! 楽しくなってきたねぇ~」

「姫芽ちゃんさっきからやる気満々だね!」

「そりゃひめっちにとっては夢のような空間かもしれないけど、ここ得体が知れなさ過ぎてちょっと怖いよ……」

 

 

 こういうときは真っ先に秋葉を疑うのだが、アイツの仕業かそうでないかは長年の経験で感覚的に分かるんだよ。今回は違う。今日はアイツも学校にいるはずだから、校内の様子を確認しがてらまずアイツと合流することを目標にした方が良さそうだ。幸いにもゲームが得意な奴もいるし、いきなり全滅で野垂れ死ぬことはないだろう。HPがゼロになったどうなるか分かんねぇけど。

 

 

(わたくし)はこのようなゲームはやったことがないから、足を引っ張ってしまわないか心配だわ……」

「大丈夫だって梢! 私たちが介護してあげるから!」

「ボクもお願い、めぐ」

「はいはい分かってる。そう考えるとRPG経験ある人が少ないな……」

「そうですね。零さんはどうですか?」

「経験はある。こういった身体を動かす体験型の経験もな」

「そうなんですか!? やはり経験豊富ですね……」

 

 

 嘘ではない。高校時代に一度だけゲームの世界に連行されたことがある。あのときは妹たちの願いを叶えるために仕向けた秋葉の策略だったけど、今回は明らかに雰囲気が違う。何やら嫌な予感がする。

 

 今すぐに動き出したかったが、俺みたいに急な事件に慣れてる奴はいないのでここは場を宥めることに集中しよう。幸いにもゲーム慣れしているみらぱの連中がいるため、コイツらが他の奴らの落ち着きを取り戻してくれるだろう。だったら俺は今後どうするかを考えた方がいいか。久々だな、この感じ。懐かしむ余裕なんて一切ねぇけど。

 

 しかしまだみんなの動揺が冷めきらぬとき、その焦りを更に昂らせることが発生する。

 

 

『きゃあぁぁぁあああああああっ!!』

 

 

 誰かの悲鳴が聞こえた。俺たちは戦慄する。自分たち以外にもこの世界に誰かいるのか。学校がそのままファンタジーの世界に変わったのであれば、残された生徒たちはそのままってことになる。

 さっきも言ったが敵がいる可能性が高く、もしかしたら誰かが危険に晒されているのかもしれない。俺は無意識に駆けだした。

 

 

「零クン!!」

 

 

 突如として蓮ノ空がファンタジーの世界に様変わりした。何が起こっているのかまだ全然不明だが、またしても大規模な事件が発生したのは確かなようだ。

 そしてあの楽譜の噂。噂が突然広まり出したことと今回のことは何かしら関連があるのか。また長い冒険が始まる予感がする。

 

 

 

 

To Be Continued……

 




 そんなわけで予告していませんでしたが、今回から毎章恒例の長編シリーズがスタートします。
 長編の主題はファンタジーの世界ということで、本編でも語られていましたがμ's編以来のネタになります。(超懐かしい)
 一応前回はDQ風、今回はFF風と雰囲気を変えるつもりです(笑)


 次回の投稿はいつも通りの時間となります!
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