ラブライブ!~蓮ノ空との新たなる日常2~   作:薮椿

661 / 704
蓮ノ空ファンタジー2~スクールアイドル大冒険~

 何の前触れもなく、いきなり俺たちの住む世界がファンタジー風に様変わりした。着ていた服もそれぞれのジョブに合わせた衣装に変わり武器も装備されている。HPとMPも目視できるので完全にファンタジーが舞台のRPGのようだ。

 

 何が起こっているのか分からず戸惑う花帆たちだが、状況を理解する前に更なるイベントが降りかかる。

 突然の悲鳴。校内がお城風のダンジョンに切り替わっていること、そしてご丁寧にHPが設定されていることを考慮すると敵がいてもおかしくない。学校がそのままダンジョンになっているのだとしたら他の生徒たちもこの現象に巻き込まれているはずだ。となると誰かが襲われているのか。

 

 そう考えた瞬間に反射的に駆け出していた。角を曲がるとすぐに悲鳴の主が見つかる。

 だがそこにいたのは女の子だけじゃない。周りに敵キャラのようなものが三体。今まさに襲われようとしている。

 

 

「師匠いきなり走り出してどうした――――って、えぇぇええええっ!? なにアレ!?」

「ゴブリンですかね~。あっ、誰かが襲われそうになってます!」

「お前らはここにいろ!」

「神崎先輩!?」

 

 

 背中に刺している剣を引き抜きながらゴブリンの群れに突撃する。

 一体、二体、三体とそれぞれ一振りで倒す。所詮は雑魚、大したことはない。ファンタジーの世界だけあってか普段よりも身のこなしが軽くなり、剣も手に馴染むので扱いは見様見真似でもなんとなった。

 ゴブリンはHPがゼロになった瞬間にその場から消滅し、一先ずの危機は去ったようだ。

 

 

「零クンすごい! 実は秘かに剣士のアルバイトでもやってたの!?」

「んなわけねぇだろ。適当だよ」

「適当でもこの順応力。流石だわ」

 

 

 学生時代にリアルの冒険をしたことがあるから、そのときの勘が今でも残っているらしい。それ以前にこういった急な事件が発生した際の対応力が他の奴らより圧倒的に磨かれている、ってのもあるかもしれない。ただそんなスキルを持っている時点で巻き込まれ体質って意味だから、あまり所持したくはないスキルではあるな……。

 

 ゴブリンに襲われていたのは一年生の女の子。どうやらブラスバンド部の部室へ向かう最中に世界が変わり、その直後にゴブリンと相対してしまったらしい。一人のときに襲われるなんてなんとも不幸だが、いきなりファンタジー世界に変わったせいでそういった危機に陥っている奴は何人もいる可能性がある。しかも蓮ノ空は女子高でそれなりに上品な学校、つまりゲーム慣れしていない奴らも多いだろう。となると今の蓮ノ空の状況はかなりピンチかもしれない。

 

 とりあえずその女の子をブラスバンド部の部室へ送り届ける。どうやら教室の中はモンスターとエンカウントはしないようなので一安心だ。

 ただ今なお状況は混迷を極める。右も左も何もかもが不明な中、俺たちは今後を話し合うことにした。

 

 

「どうやら学校全体がダンジョンになってるっぽいね。ルリたちも下手に歩き回らない方がいいかも……」

「だけど待ってるだけじゃ何も解決しない。どうしてこんなことになっているのか突き止めねぇと」

「れい、これからどうするの?」

「秋葉と合流する。秋葉のせいではなさそうだからアイツの教室に行くのが先決だ。あとは職員室や生徒会が機能しているかどうかだ。外部の連絡手段が絶たれてないか確認しねぇと。個人の携帯はステータス確認しかできなくなってるしな」

「外部へ連絡できなくても、校内放送が使えれば避難誘導はできそうですね。ただモンスターが闊歩しているのでそれも難しそうですが……」

 

 

 大体わかる。外へ連絡することなんてできっこないと。こういった事件のときは毎回そうなんだよな、幽霊騒動然り楓の襲来然り。都合のいいことで。

 でもダメ元って言葉がある通り確かめておきたくはある。それに秋葉なら不可能すら可能にしちまうからもしかしたらって線もあるしな。

 

 

「モンスターが来ても大丈夫! RPGマスターのめぐちゃんに任せておきんしゃい!」

「バカ、お前らは部室で待機しとけ。HPがゼロになったらどうなるか分かんねぇんだぞ」

「それは私らのセリフでもあるでしょ。零、あんたを一人で行かせるわけにはいかない。それにこっちはプロゲーマーの姫芽ちゃんもいるんだから! ね、姫芽ちゃん!」

「ふぇっ!? あ、そ、そうですね~……」

「どうしたお前? それに百生も徒町も元気ねぇな。こんな状況でやる気がある奴の方がおかしいけどさ」

 

 

 一年生組は心許なげな表情を浮かべている。もちろんこれが普通の反応だから不思議ではないのだが、どちらかと言えば世界の変化ってよりも俺たちに焦点が当てられている気がする。コイツらさっきから俺たちばかり目を配らせ、会話が進むたびに怪訝な雰囲気を放出させていた。

 

 

「どうしたって、先輩方こそどうしてそんな前向きなんですか……? 世界が急に変わって怖いとか、そういうのってないんですか……?」

「徒町はもう何が何だか分からなくて、本物のモンスターも現れてもうビックリで、気持ちの整理が全然追いついていません!」

「ファンタジーの世界と言われればゲーマーとして興奮しますけど、実際に自分の住む世界がここまで変わっちゃうと落ち着かないと言いますか、どうしたらいいのかなって……」

 

 

 そりゃそうだ。自分が必死に状況の理解をしようとしている中、目の前の奴があっさり受け入れて平然と今後の対策を考えてたらドン引きだよ。むしろ平常心を保ってるソイツこそこの事件の元凶なのではと疑うね、俺がコイツらの立場なら。

 

 コイツらの疑問は最もだが、それに回答するのは俺ではない。どうやらソイツらは最初は戸惑っていながらも俺が先陣を切る姿を見て心を突き動かされたようだ。

 

 

「それはね、あたしたちは何回か事件に巻き込まれて慣れてるからだよ!」

「なんか俺の思ってた回答と違うな。事実は事実だけどさ」

「慣れていると言われるとそうではなく、零君がいてくれるから(わたくし)たちも鼓舞されるの。正直(わたくし)もファンタジーの世界と言われて物凄く戸惑っているけれど、零君がいるからという理由だけで前向きになれるわ」

「うん、れいはさいきょーだから。れいがいれば事件なんて10秒後には解決してるよ」

「それは盛り過ぎですけど、でもこんなお先真っ暗な状況でも光を見失わないのは零さんがいるからですよ」

「去年に比べて成長したのはいいけど、結局俺頼みかよ。俺がいなかったらどうすんだっつうの」

「いやぁ~ルリたちだけのときはこういったこと起こらないから……」

 

 

 だと思った。なんで俺がいるときにだけこんな面倒な事件が起こるんだろうな。俺の再編入が一週間ズレてたらこの状況をコイツらだけで解決するハメになってたが、俺がいなかったらそもそも事件が起きもしないのだろう。もしかして俺、疫病神か……?

 

 

「私たち去年は零に任せっきりで全然活躍できなかったから、今回こそは一緒に解決したいんだよ。もちろん不安に思うところはあるけど、零と一緒なら成し遂げられるって感じがするんだよね」

「結局行く気は満々なんだな。あぶねぇから部室で待機しとけと思ったけど、決意が固いならもう止めはしないよ」

「あたしたちも頑張るよ! こういうゲームは全然やったことないけど!」

「手のひら返しそうになる発言すんなよ……」

 

 

 花帆たち6人のやる気は俺が止めても無駄なくらいに漲っている。以前に俺と共に何度か事件に巻き込まれたおかげである程度の度胸はついたようだ。一般の女子高生に宿る気概を超えてる気がするけどな。もはや俺と一緒にいるってことは幾度とない困難に立ち向かう覚悟を持たないといけない。過去のスクールアイドルたちともそうだったから、コイツらも同じように洗礼を浴びる必要があるのだろう。

 

 そして今回初参戦の一年生たち。俺と関わったことでこんな大規模騒動に苛まれて不幸な奴らだが、ここで嘆いてもどうにもならない。

 悩む様子を見せる三人。今まで平和な生活を送ってきたからこそ突然の世界改変に対する戸惑いも大きい。本音でぶつけた疑問に対し、先輩たちからの答えを聞いてコイツらが導き出す今の思いは如何ほどか。

 

 

「徒町、先輩方と一緒に行きたいです! 足手纏いになる可能性も否定できないどころかなっちゃうかもですが、師匠や先輩方が頑張っている片隅で部室で待っているだけなんてできません!」

「アタシも小鈴ちゃんと同じ気持ちです。先輩たちがれいくんせんぱいと共に強くなったというのであれば、アタシも心を強くしたいので~」

「私はまだ、いや結構怖いですけど、みんなと一緒でただ待っているだけというのも不安です。だから皆さんと行動して、僅かでも良いので助力できればと。それに神崎先輩がいるから安心という先輩方の気持ち、私も分かる気がしますから」

 

 

 どうやら全員やる気のようだ。入学してからの一年で先輩たちの影響の煽りを受けたのだろう。不安に思うところはあれど、先輩たちが胸に抱く勇気はしっかりコイツらにも共有されているみたいだ。一年目にして『ラブライブ!』を優勝するくらいの実力を持ってるんだ、花帆たちの育て方が良かったんだろうな。

 

 

「分かった。じゃあ全員で行動しよう。たださっきも言ったけどHPがゼロになった場合どうなるかまだ分かってない。だからそうならないように戦い方を覚えるんだ。慈、瑠璃乃、安養寺。お前らRPGを知ってるのなら他の奴らに教えてやれ。RPGの基礎知識もな」

「「「了解!」」」

「お前らも足手纏いになりたくないなら教えられたことを頭に叩き込んでおけ。状況が状況だ、明日明後日までに覚えるなんて悠長なことを言ってる暇はないからな」

「「「「「「はい!」」」」」」

「くれぐれも周りに気をつけろよ。さっきは雑魚相手だったから良かったけど、難易度が適切に調整されてるとは限らねぇからな。いきなり強敵が襲ってきてもおかしくない」

「教えている間に襲われでもしたら大変ですね~」

「俺が常に前に出る。だからお前らは自分のやるべきことに集中しろ」

 

 

 勇気と蛮勇は違う。やる気だけでパーティに加入されても邪魔なだけ。一緒に行動するって決めたからには最低限RPGの知識と戦い方くらいは覚えて欲しいものだ。だからこの中でゲームに慣れているみらぱの三人に他の6人のコーチを任せた。これで戦力として使えるようになってくれればいいけどな。

 

 そんなわけでファンタジーの世界での冒険が幕を開けた。

 ただ場所が変わっていなければ職員室も秋葉の教室も場所を知っているのですぐに到着できる。だから最短経路で向かえば敵と遭遇する確率も下げられる、そう思っていたのだが――――

 

 

「思ったんだけど、蓮ノ空ってこんなに広かったっけ? 廊下の幅も広いし、ルリの知ってるところじゃないんだけど……」

「どうやらダンジョン化に伴って巨大化してるみてぇだな。目的地に簡単に辿り着けないようになってやがる」

 

 

 数分もかからず達成できそうな目的だったのに、蓮ノ空の校舎内が広くなっているせいでそう簡単に事は運べないみたいだ。それに歩く距離も時間も長くなれば必然的に敵と会う可能性も高くなる。花帆たちのRPGの知識を積ませるという点ではいいかもしれないけど、教師や秋葉、生徒会など学校の中枢を握る人たちとは手早く合流しておきたかったな。

 

 文句を言っても仕方がないのでひたすらに道中を進む。

 その中で手頃な敵が出現した場合は慈たちが初心者たちに戦いの指導をしている。みらぱは軽装備の戦士系、スリブは白いローブの白魔導士系、ドルケは黒いローブの黒魔導士系。職業ごとに戦い方は異なれど共通知識は同じだからなんとかなるだろう。

 

 しかし――――

 

 

「えぇっと慈、魔法を使うためのウィンドウを開くにはどうしたいいのかしら……?」

「ここでも機械オンチ発揮するのか! てか機械じゃないのに!」

 

「回復魔法ってホントに癒される感じがして気持ちいいから、どんどん使っちゃうよ――――って、アレ? 使えない?」

「花帆ちゃんMP切れだから! 無駄なときに乱発しちゃダメだって!」

 

「すず、この炎が出る魔法を合体させてみよう。もっと強い魔法ができるはず」

「やりましょう! これでどんな敵が出てきてもイチコロですね!」

「つづりせんぱいも小鈴ちゃんもステイステイ! そんな慣れないことをしたら暴発して……って、あちちっ!」

 

「この周辺の敵であれば上位魔法でなくともこっちの魔法でも十分対処可能ですね。魔法使い職はMPの残量が命ですから、気を付けて進まないといけません。既に綴理先輩と小鈴さんがMPを無駄にしてしまいそうなので……」

「アイテムが十分に用意できない以上、回復魔法が重要なので私もMPを温存して進もうと思います。花帆先輩は早速切らしてるし、梢先輩はウィンドウが開くのが遅くて有事の際に回復が間に合わなかったら最悪なので……」

「逆にお前らは理解が早くて助かるよ……」

 

 

 意気揚々と出発したのも束の間、割と前途多難な状態であることを眼前に突き付けられた。梢はいつも通りの機械オンチを発揮し、花帆はファンタジー好きなのも相まってか魔法を操れることに興奮して無駄打ちし、綴理と徒町も楽しさのあまり慣れてもない創作技を編み出そうとしている。安養寺がちょっと焼けたけど大丈夫かよ……。

 その中でさやかと百生は慎重な性格のおかげか冷静にRPGの基礎知識を蓄えている。元々事前準備をしっかりする二人だからこそアイテムが十全に揃っていないこの状況を加味した適切な行動を取っている。回復ポイントがどこにあるのかも分からないし、そもそも存在しないかもしれないからな。なにもかもを温存しながら進むのが重要だ。

 

 幸先が不安になりながらも世界改変直後の戸惑いや不安は少し和らいでいる。和気藹々としている姿を見ると俺も保護者の観点では安心できるからな。警戒を怠ることはできないが、暗い雰囲気でいるよりも今のテンションの方が攻略もしやすいだろう。

 

 道中では敵を倒しながら先へ進み、取り残された生徒を救出しては近くの教室へと避難させる。

 ここまで進んで分かったのは教室など開けた場所は安全地帯のようでエンカウントは発生しない。廊下や階段では容赦なく襲ってくるため油断できないが、休める場所の条件を見つけることができただけでもかなりの収穫だ。

 あともう1つ分かったのは校舎内の構造自体は変わっていないということ。巨大化しただけで教室や階段の位置も変化がないため、場所を知っていれば必ず目的地に辿り着くことができる。無意味に歩き回る必要がないってのは朗報だ。ただ窓から外に出ることはできないので、正規ルートを外れてショートカットすることは不可能らしい。

 

 そんな状況を理解しつつ、ようやく職員室へと到着する。冒険初心者ばかりのパーティだが流石にここまでで戦闘不能になった奴はおらず、無事に全員が生存している。HPがゼロになったらどうなるのか、知ってはおきたいけど誰かが犠牲にならないといけないってのがジレンマだな。

 

 

「職員室に誰かいないか――――って、誰もいねぇ……」

「本当にもぬけの殻だね。みんなの救助に向かったのな?」

「いや、だとしても職員室に誰も残っていないのはおかしいと思います。わたしたちみたいに誰かが訪れてくる可能性もありますから」

「それに机の上とか見てみろ、飲みかけのコーヒーやら作業中の書類やらが散乱してる。多分世界が変わったときに消えたんだ」

「今さっきまでいたみたいな雰囲気なのは、先生たちが急にいなくなったからなんだね。いや怖すぎるよ!」

「あぁ。大人がいなくなってるってことは秋葉もいるか分からなくなったな……」

 

 

 アイツがいれば非常事態の打開案も浮かびやすいのだが、ここへ来る道中も然り大人が全くいなかった。俺が大人と言えばそうなんだけど、こっちは前線に出てるから後方でバックアップしてくれる人が欲しいんだよ。情報を管理する元締めみたいな奴がな。

 

 

「電話も繋がらないみたいね。外部への連絡手段は徹底的に絶たれていると思った方がよさそうだわ」

「外には出られないの? ボクたちみんなで外に出れば……」

「期待はあまりできないな。さっき窓の外を見たけど、蓮ノ空の周りがオーロラみたいなもので包まれてたんだ。俺たちを逃がさないように、子供だけを隔離した世界になっちまってる」

「えっ、じゃあ私たちだけでなんとかしなきゃいけないってコト!?」

 

 

 大規模な事件なのに頼れる大人が存在しないという恐怖の事実。もしかしたらどこかにいるのかもしれないけど望み薄だろう。

 かつてないほどの緊張感がコイツらの中で流れる。なんだかんだ生徒数や教師数も多い学校だから、みんなで力を合わせればなんとかなると無意識に思っていたのだろう。例え俺という頼れる存在がいたとしても、バックアップしてくれる人が存在しない事実にはみんな不安を募らせるしかないか。俺としても秋葉がいてくれた方が作戦を立てやすかったが……。まあまだいないと決めつけるのは早計だ。

 

 

「じゃあ徒町たち、これからどうすれば良いのでしょうか!?」

「ここから近い生徒会室に行こう。椎葉ならそこらの大人よりもよっぽど後方支援に向いてる。それにアイツの調査能力があれば分かるかもな、噂の楽譜の意味も」

「え、ここにきて楽譜の話ですか? 神崎先輩ずっと気になっていたみたいですけど……」

「だって噂が広まり出した途端にこの現象だぞ? なにか関係があると思えるだろ」

「他に手がかりもないので、その夢を見る楽譜について調べるしかないですもんね~」

 

 

 徒町が持ってきた『夢を見る楽譜』の噂。

 持っているだけで自分のインスピレーションが曲になり詩になる、音楽を嗜む生徒なら誰もが夢を見る楽譜だ。それがあればスランプ知らず。曲を自分の思いのままに作成できる。過去のそれを使って大会に優勝した奴らもいるらしいが、そんな歴史はこの学校に一切残されていない。単なる噂なのか本当の話なのか。そんな噂が今になって広まり始めた理由とファンタジー世界への改変。全くの無関係とは思えない。だからこそ昔の話を知ってそうな奴に色々訊きたいことがあるんだけど……。

 

 これ以上ここにいても仕方がないので職員室を出て生徒会室へ向かう。

 その道中でももちろん敵にエンカウントした。

 

 

「行きますよ~! うりゃりゃりゃりゃりゃりゃ~っ!」

「後方からの魔法は任せて姫芽ちゃん! 突撃徒町流ファイヤー! うべっ!」

「後衛が突撃しちゃそりゃ敵の飛び道具に当たるでしょ! ほら回復してあげるから! 姫芽も!」

「せんきゅ~吟子ちゃん!」

 

「いや~さやかちゃんの作戦おかげでルリの剣術も磨きがかかりますな~」

「と言いながら笑って敵を倒してる姿、ちょっと怖いです瑠璃乃さん!」

「ていうかさやかちゃんの作戦のおかげでHP減らないから、あたしの出番全然ないじゃん!」

「かといってMPの無駄遣いはダメですよ!」

 

「綴理! 今だよ特大魔法をぶっかましちゃって!」

「お~っ、どんどん火の玉が大きくなる。もっと、もっと大きくしたい」

「それは大きくしすぎじゃないかしら……? つ、綴理!?」

「梢! 念のため回復準備を! 周りが焼けちゃうかもしれないから!」

 

 

 まだまだ連携はあまいが戦い方はそれなりになってきたようだ。危なげながらも無事に敵を殲滅する各パーティ。俺は一人だがコイツらに負けじと先陣を切って敵を倒す。

 そして一通り一掃したところで、矢継ぎ早にモンスターの声が響いた。だが俺たちの周りではない。ほぼ同時に女の子の鈍い声も聞こえたので俺たちは戦慄する。

 

 

「あっちだ! 行くぞ!」

 

 

 また誰かが襲われているのか。俺たちは廊下を駆け抜けて上の階へと移動する。

 するとすぐに女の子たちの集団に出くわした。つうかコイツらは――――

 

 

「英川! 美堂!」

「零!」

「零君!」

 

 

 英川(えいかわ) 英奈(えな)美堂(びどう) 美和子(びわこ)。そして二人が所属する合唱部の奴らが集まっていた。。

 だが周りに敵はいない。もう倒したのか。

 

 そう思ったとき、英川に抱えられた女の子のステータスを見て俺たちは目を丸くする。

 

 

「HPが、ゼロ!?」

 

 

 その女の子は目を見開いたまま、ただ何かにお怯える様子を見せている。

 遂に初めて目撃することになるHPゼロになった奴の末路。一体何が起きるのか。俺たちを待ち受けるゲームオーバーの真実とは……。

 

 

 

 

To Be Continued……

 




 本格的にファンタジー世界での冒険がスタートしました!
 とはいえ等身大モンスターが目の前に現れたのに戦う勇気を持てる花帆たちも凄い気がします。これも零が隣にいるゆえの安心感なのか。それにしてももう普通の女子高生とは呼べない気もしてきました(笑)

 でもこうして見ると零ってちゃんと主人公なんだなと思いつつ、彼がいなかったら事件をどう解決するのかと疑問に思っちゃいますが、話にもあった通りそもそも彼がいなかったら多分何も起きずに平和なんでしょうね(笑)

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。