大賀美が残したタイムカプセルの場所を探るため、ヒントが書かれている蓮ノ空とその周辺のマップから手がかりを得ようとしている俺と三年生の三人。
地図には各場所に番号が振ってあること、そして大賀美が音楽を匂わせる発言をしていたこと、更には思い出を掘り返すことを促していたことから、その場所にゆかりのある曲をピックアップしてみようってことになった。
ただコイツらの脳内メモリーは相当鮮明に保存されているようで、この場に留まるだけで曲名が出てくることから一旦思考を止めてもらい、敢えて地図にマークされている場所に行くことを提案した。大賀美の狙いはコイツらにノスタルジーに浸ってもらうこと、そして俺をその追憶に同行させることにある。この場で謎を解くのは時短で楽だがせっかくだしアイツの思惑に乗ってやろうって話だ。
それに俺もコイツらの過去のことをもう少し知りたいと思っていた。辛気臭い昔話は聞くに堪えないのでいつも避けているのだが、思い出話くらいなら華を咲かせてやってもいい。侑が来たときに決心した、コイツらの心からの想いに応えるという新たな目的を達成するためにも相手のことを理解するのは重要だろう。
そんなわけで俺たちは大倉庫に来ていた。薄暗い中に色んな物が雑多に置かれているため思い出に浸る場所にしては景色が良くないが、この学校の歴史を感じるのなら絶好のスポットらしい。
「『Dream Believers』を聴くと様々な出会いを思い出すの。この曲は毎年新入部員が入ってきて一番最初のライブで披露する全体曲。みんなで最初の第一歩を踏み出すため、クラブに代々受け継がれているのよ」
「ボクたちがさちと最初に歌って、さやたちが入ってきたときも歌って、すずたちが入ってきたときも歌った。実はれいが来たあとのライブでも歌ってたんだ」
「へぇ、そんな大事にしてる曲なんだな」
「なんでそんな興味なさそうなの……。誰かが仲間になったときは歓迎と未来への期待を込めて披露するんだから、もっとありがたがって欲しいよ!」
「どうして俺が人のサプライズに媚びなきゃいけぇねんだよ」
「本当に可愛くないね、あんた。まあそれが零らしいけどさ」
自分でもそう思うよ。言いたいことがあるなら遠回しではなく直接コンタクトを取れ。それが俺のやり方で今も昔も変わらない。幾多のスクールアイドルに関わっておきながらこんなことを言うのはおかしいかもしれないが、俺はステージの上で魅力的に映る女の子が好きなのであって歌や曲に興味があるわけじゃないからな。今回の思い出話だって別にその内容が知りたいわけではなく、それを通じてコイツらの解像度が上がればいいとしか思ってない。だからこうしてたまに反感を買うんだけど……。
「あっ、これボクたちが入部してすぐに取った写真だ。こずの髪型が今と違うの懐かしいな」
「なんか子供っぽく見えるよね。このときは先輩にも反抗的で子供っぽかったもんな~」
「あなただってそうでしょう! そう考えるとみんな顔付きが幼く見えるわね」
「さちは変わらずだね」
「こら」
「三年もあれば大人にもなるだろ。それまでに出会ってきた奴らがお前らにとって大切な人であればあるほどな」
「「「それはもちろん!」」」
三人の声が元気よくハモる。どうやら誰もがこの学校での出会いを最高だと思っているらしい。まあ俺の目から見ても大賀美はもちろん、花帆たちや吟子たち後輩もいい子ばかりでハズレはいないからな。現在に至るまでに確執は何度かあっただろうが無難に先輩を発揮して乗り越えてきたのだろう。あそこまでいい子の先輩をやってりゃ顔つきも大人びるってもんだ。
「れいと出会ったことも大切な思い出だよ。出会っていなかったら今のボクたちはいないと思う」
「大袈裟だな。俺と一緒にいた期間なんて合計して1カ月くらいしかねぇだろうが」
「あなたにとってはたかが1カ月かもしれないけれど、それまでに幾多のトラブルを一緒に解決したり、
「沙知先輩とかこの二人とか、出会って衝撃を感じた人は何人かいるんだけど、私にとってはあんたとの出会いが一番電流が走ったかな。こんな無礼で失礼で、何もかも見透かして生意気で、そして心から頼りになる男がいるんだって」
出会いのワードから今度は俺との初対面を想起する三人。俺としても子供の姿になって初のスクールアイドルとの対面だったけど、結局はいつも通りの傍若無人で貫き通した。そのせいで梢と慈からはかなり警戒されてたな。ま、今となってはその凝り固まった感情がドロドロに溶かされちまっているわけだが。
対して綴理は最初から交友的だった。本人が直感的な性格なのも相まってか俺の内面を早々に見抜いていたのだろう。最初はコイツに正体バレするんじゃないかって肝を冷やしたときもあったな。そんな推理力がないってすぐに気付いたから結局は安心してたけど。
「誰かを信じ続けて諦めずに前へ進む勇気。去年の幽霊騒動のときにあなたのその姿を見て思い知ったわ。
「そういやそんなことがあったって言ってたな。詳しくは知らねぇけど」
「あまり掘り返すことじゃないけどね。でもあのときの私たちは確実に弱かったよ。沙知先輩を含めてね」
「でもかほ、さや、るりのおかげでこずとめぐとも仲直りできたし、さちとも話し合うことができた。それでもボクたちはまだまだだったけど、れいが来てくれたおかげで強くなったよ」
「そうね。この前の事件のとき、あなたや吟子さんたちという希望を信じ続けられたのは間違いなくあなたの逞しい背中を見続けてきたおかげよ」
「こんなちっちゃいのに大きく見えるなんて、沙知先輩もそうだけど風格って大事なんだなって思ったよ。私も二人を目標にもっとビッグになってみせる!」
そりゃ幽霊に狙われるとか、楽譜に悪夢を見せられるとかそんな経験普通はしないからな。それを乗り越えたんだから成長するのは当たり前だ。実際に花帆たちも含めコイツらは前回の事件で大活躍だった。一年生たちが最後まで希望を持ち続けられたのもコイツらが諦めずに信じ続けた結果だしな。俺だけでは解決できなかっただけに大助かりだったよ。
人との絆を重要視する点はコイツらは特に大切にしていることだろう。仲間同士で決裂し、先輩とも離れ離れになった過去があるからこそだ。俺はその話を初めて詳しく聞いた。さっきも言った通り内容に興味はないが、そこからどう再起したのかは気になっていた。仲間のことを信じられなくなったのなら、意を決してもう一度信じてみる。俺が好きな展開だったので内容に興味がないとは言えど聞いた満足感は結構高かった。少なくともコイツらの解像度が上がったので時間を無駄にした感覚はない。
「でも急に私たちの過去を知りたいなんて、もしかしてめぐちゃんたちに惚れちゃったか~?」
「バーカ、惚れてんのはお前らだろ。気付いてねぇのか? 思い出話をするたびに最終的には俺の話題に帰着してること」
「そういえば、そうね……。一挙手一投足が魅力的に映るあなただもの、どんな話題からでも結びついてしまうわ」
「今なら連想ゲームでどんな言葉が来ても『れい』って答えれば正解になっちゃうね」
「どれだけ思考を俺に支配されてんだよ……」
「それくらいなくてはならない存在になっているのよ、あなたはね」
大賀美や今の後輩たちと出会って良かったの話から俺と出会った感謝の話に。自分たちの成長した話から俺の背中を見て更に強くなった話に。コイツらの過去話を聞いていたはずなのに最終地点にはいつも俺がいる。それだけ気になる奴への意識が膨れ上がっている、ということか。なんにせよコイツらのことを今まで以上に知ることができ、この目により輝かしく映るようになればそれでいい。
~※~
それから三人の馴れ初めや初めての後輩(慈の場合は幼馴染なので異なるが)との初コミュニケーションの話を聞いた。当然出会ったばかりだろうがスクールアイドルをする以上は曲作りは必須。まだ関係が初々しかった頃に作ったであろう曲が思い出として語られる。それぞれ作詞をするときに部屋に籠りきりではなく外出していたようで、当初から作詞の難易度の高さに苦労していたことが窺える。
そしてそれからも次々と思い出の場所を巡ることになり――――
「『Trick & Cute』を披露したときも懐かしいね~。梢が風邪でダウンしちゃって、さやかちゃんが部長代理として結構無理して頑張ってたのを思い出すよ」
「その節は本当に申し訳ないと思ったけれど、それでさやかさんの成長に繋がったと思って自分を納得させているわ。それに綴理の成長にも繋がったようだから」
「うん。さやが先に進み過ぎてボクはその背中を追いかけるので精一杯になっちゃったから。でもその前に進む力のおかげでさちとも和解できたから、結果オーライかな」
「『ツバサ・ラ・リベルテ』はそのとき沙知先輩から送られた曲だよね。まさか私たちに隠している曲があったなんて、先輩も渡す暇がないほど追い込まれてたんだなって」
「ここはボクとるりが一緒に曲を作った場所だ。めぐとるりが喧嘩してユニットがシャッフルされたときの。懐かしいな『Colorfulness』」
「シャッフルユニットもいつもとは違う刺激を感じられて新鮮だったわ。
「思い返せば最初はどうなることかと思った事件も、最終的に結果オーライになること多かったね。零がいてもそれは相変わらずか~」
「そうね。でも迷っているばかりの
「何か問題が起きたとき、『れいならどうするかな』っていつも考えてたもんね」
各地で思い出話に花を咲かせる様子を横耳で聞きつつ、会話の中に現れた曲名をメモしていく。
蓮ノ空内の部室や校庭、練習場、外に行くと海や近江町市場、バス停なんてところもあった。どこへ行っても話題が尽きないので思ったより曲作りのためにアグレッシブだったようだ。
こうして聞いていると大賀美が言っていた『思い出を曲に乗せる』って意味も鮮明に理解できる。曲の源が追想になっているからこそだろう。その逆も然り。思い出話をすると曲の話題になり、曲の話題をすると思い出話になる。そして俺の話題に辿り着くのが定番の流れとなっていた。
そんな感じで地図に描かれている場所を全て巡ったため、ここで各地の話題に出た曲をリスト化する。
1. Dream Believers
2. 眩耀夜行
3. フォーチュンムービー
4. ツバサ・ラ・リベルテ
5. 謳歌爛漫
6. Kawaii no susume
7. シュガーメルト
8. 青春の輪郭
9. アイデンティティ
10. Trick & Cute
11. Colorfulness
12. 天才なのかもしれない
「で? ここからどうすればいいわけ? 忘れてたけど私たちタイムカプセルの場所を探してるんだよね? 曲名だけ並べても全然分かんないんだけど!」
「番号が振られていることに何か意味があるのかしら?」
「その番号と一緒に前奏曲と後奏曲って書いてあるけど、これはなにかな?」
「うちらの曲ってそんなのなくない? イントロやアウトロなら意味は分かるけどさ……」
ここまではコイツらの回想や音楽に基づいていた。でも本質は謎解きだ。つまり謎解きを音楽に落とし込むのではなく音楽側を謎解きとして落とし込んでいるはず。だったら音楽の俗称を使用しているだけで、実はもっと単純な解釈なんじゃ……。
となると――――
「てか沙知先輩ってさぁ、なんでもかんでも素直に言ってくれないよね。毎回意味ありげな発言でこっちを試すような真似しちゃってくれちゃってさ。私らが出会った頃に反発してたのって、先輩のそういうところが原因だったんじゃない?」
「さちは難しい言葉をよく使うけど、でも心にはちゃんと響くよ。仲直りするまで1年もかかっちゃったけど、多分素直になれないんだよ」
「はっきり言うのね綴理……。花帆たちが一年生のときもスクールアイドルの本質を理解させるためにテストをしていたみたいだから、そういうのが好きなのよきっと」
「あぁ、ホントだよ。だからこうやって俺が出動させられるハメになる。なんでもすぐに解決できると思ってんだろ――――今回みたいにな」
「零! まさか!」
三人がこちらに駆け寄って来る。さっきまで頭を回転させて難しい顔をしていたとは思えないほど表情が明るくなっていた。
「でも出来上がった言葉の意味は分からない。ただお前らなら理解できるかもな」
「出来上がった言葉? それって一体……? それに前奏曲と後奏曲の意味は……?」
「それは単なる謎解きを示唆する言葉だから音楽的な意味はない。まず地図に描かれている場所にまつわる曲名と、そこに描かれている前奏曲か後奏曲の組み合わせをまとめるとこんな風になる」
1. Dream Believers (前奏曲)
2. 眩耀夜行 (後奏曲)
3. フォーチュンムービー (前奏曲)
4. ツバサ・ラ・リベルテ (前奏曲)
5. 謳歌爛漫 (前奏曲)
6. Kawaii no susume (前奏曲)
7. シュガーメルト (前奏曲)
8. 青春の輪郭 (前奏曲)
9. アイデンティティ (後奏曲)
10. Trick & Cute (前奏曲)
11. Colorfulness (前奏曲)
12. 天才なのかもしれない (後奏曲)
「音楽的な意味を考えちまうとハマるけど、これは普通の謎解きだから考え方は単純だよ。前奏曲は曲名の読みをひらがなにしたときの一番最初の文字、後奏曲は逆に最後の文字。それをこの番号の順番に並べればいいんだ」
「じゃあ『Dream Believers』は『どりーむびりーばーず』で、前奏曲だから最初の一文字目の『ど』ってこと?」
「あぁ、その調子で文字を繋げてみろ」
「おぉ~それならボクでもできるかも。えぇっと、『ど』『う』『ふ』『つ』『お』『か』『し』『せ』『い』『と』『か』『い』……?」
「なんだか意味が通りそうね」
「最後の仕上げに地図の三番目の場所。ここに意味深な濁点マークがあるだろ? だったらその三文字目の『ふ』に濁点を点けて、4文字目と5文字目、7文字目と8文字目に区切りを入れて読んでみろ」
「最初の4文字は、『どうぶつ』……あ、『動物』!」
「次は『おかし』……これはボクが好きな『お菓子』?」
「最後のブロックは『せいとかい』……これはまさしく『生徒会』ね――――あっ!」
梢と同時に綴理と慈も何か気付いたようだ。残念ながら俺はここまでしか解けていない。コイツらに向けたワードであれば、その言葉から連想できるタイムカプセルの場所はコイツらにしか分からないだろう。これで理解できるのか心配だったけど杞憂だったようだな。
「沙知先輩に関連する動物のお菓子と言えば、私たちを苦しめた『まねっこドーブツ』!」
「それがいつも置いてあった場所は、こずがさちの心を折ったあの戸棚の奥だね」
「良かれと思ってやったのよアレは! でもこれで場所は分かったわね。結局スタート地点がゴールだったなんて拍子抜けだけれど……」
「よっしゃ! そうと分かれば早速戻ろ! 一年もかかると思ってどっしり構えてたあのちびっこを驚かせに行くよ!」
~※~
「まさか半日もかからずに戻って来るとは、流石は少年だねぃ」
「こらこら! めぐちゃんたちの功績でもあるんだぞ!」
「うん。ボクたちの思い出とれいの頭脳の勝利だ」
「最後は彼に頼りきりだったのに態度が大きいわねあなたたち……」
「最後の場所は俺でも分からなかったから、それはお前らのおかげだ。だから4人での勝利でいいんじゃねぇの」
生徒会室に戻った俺たちは待ち受けていた大賀美に堂々と正解を披露する。あまりの短時間で戻って来たので驚いているようだが、よく考えれば俺抜きでこれを解かせようとしていたこと、そして色々な場所を巡らせようとしていたことを考えると時間がかかる前提なのも頷ける。本来は一年かけて隙間時間で解いてもらうという想定は間違ってはいなかったのだろう。だからこそ今の今まで全く手を付けていなかったことに大賀美が焦るのも無理ねぇわな。
「じゃあ目的のブツをその目に拝んでみるといい!」
「って、お菓子が置いてあった戸棚ってあんな高い位置にあったっけ? 綴理でも届かないんじゃない!?」
「実は生徒会室に資料を置く場所がなくなってしまい、スペース的に収納を横には広げられなかったので普段使いしない戸棚を天井近くに配置しました」
「椎菜……。そんなことをするから謎解きを伝え忘れたんじゃないかい……」
そういやいつの間にか意識高い系の図書館みたいに上まで本が敷き詰められてる本棚みたいになってるな。あんな上の戸棚なんて誰も見ないだろうし、そりゃ忘れ去られても仕方ねぇよ。
「脚立もないみたいだし、綴理、俺を肩車しろ」
「うん、分かった」
一番の背の高い綴理に肩車をしてもらい、俺が代わりに『まねっこドーブツ』なるお菓子が収納されていたとされる思い出の戸棚を調べることにする。
綴理が屈み、俺が彼女の首元に下半身を乗せて立ち上がる――――が!
「おいフラフラすんな! あぶねぇ!」
「れい、暴れちゃダメ」
「綴理は
「ほらほら早く戸棚を調べて!」
体幹のいい梢に肩車してもらえば良かったと後悔しつつ例の戸棚を調べる。不要っぽい書類がたくさんあるが、奥に『まねっこドーブツ』の空箱があるのを発見する。
中を見てみるとカードが一枚だけ入っていた。その内容は――――
「『おめでとう! この謎ときの過程こそキミたちの宝物だ!』って、これだけ?」
「えっ!? なんかもっとエモい代物が入ってるとかそんなのじゃないの!?」
「お菓子が貰えるかと思った」
「いやいや、あたしは言葉で伝えるのは苦手だからこのような形にしただけだ。キミたちが見て感じたここまでの軌跡こそが宝物なのだよ」
「気持ちは分かりますが……。でも沙知先輩の仕組んだと考えればそれなりに納得はいくような……」
「の割に釈然としなさそうじゃないか梢……」
コイツ、あの宝探しのときと同じ手法を使ってやがる。あの宝探しも実質はこの三人が一年生、しかもクラブに入部したての頃にレクリエーションとして計画されたものが実施されず、たまたま現一年生と俺が挑戦した。そして苦労して手に入れたお宝が『経験』と『仲間との絆』を説くものだった。確かにコイツは綴理と拗れた原因でもあるコミュニケーションに若干の難があるので、こうしてゲームにするのは間違っちゃいないが……まさか同じ手とは。しかも全然タイムカプセルでもなんでもねぇし。やっぱコイツらを焚きつけるための方便か。
しかし、手が同じだけで伝えたい内容は全く異なる。宝探しはまだ初々しい一年生の未来を導くため、今回は卒業で人生に一区切りがつく三年生に過去を振り返させ今の決意を固めさせるため。
なんとなく分かっていた。コイツがこれを仕組んだ意図が。
「余計なお世話かもしれないけどね。でも伝えておきたかったんだ。一度でも胸を焦がすような出会いがあったらそれを手放さないようにって。あたしは早々に卒業しちゃったけど、こうしてまた戻ってきて彼と相対できたことが嬉しいんだよ。だけどキミたちはまだ最後の時間がある。後悔しないようにその気持ちをしっかりと伝えて、卒業するときには最高の笑顔を披露できるようにすること。これがタイムカプセルにしてまで伝えたかったことだ」
大賀美がコイツらに謎解きを焚きつけたのは俺との距離を縮めさせるためだった。運命的な出会いをしたけど数週間で離れてしまい、いつ戻って来るか分からなく想いだけが心に留まり続けたあの日。恐らくまた俺が戻ってきたときのため、今度は自分の本当の想いを伝えられるように準備しておけと言いたかったのだろう。椎葉のせいでタイミングがズレて俺が再編入したピンポイントの時期になってしまったが、むしろシチュエーション的にはちょうど良かったのかもしれない。
謎解きをコイツらの思い出に基づかせたのも、後輩との輝かしい出会いを通じて俺との出会いを想起させるものだった。思い出話が最終的に俺の話に繋がっていたあたり、大賀美の作戦は大成功だっただろう。
卒業しちまったら俺といつ会えるかも分からなくなる。もしかしたらそんな焦りをコイツらは感じていたのかもしれない。最後の最後で後悔させないためにも先輩として最後の一押しをしてあげたかったのだろうか。本当に余計なお世話だな。
でもおかげでコイツらがより前向きな気持ちになることはできたと思う。こればっかりは俺からアドバイスできることじゃないからありがたいことだよ。アプローチをかけるように俺から言うのも変だしな。
「ホントにおせっかいが好きなんだから先輩は! 大丈夫安心して! 私の中で決心はついてるから!」
「ボクも伝えたいことは心の中にたくさん書き留めてある。あとは向かい合って吐き出すだけだよ」
「
「おっ、意外とみんなやる気だね! 成長した我が子を観てるようで嬉しい限りだ!」
準備がここまでできてるってことは、やはり俺がいなくなってからもその想いを馳せていたのだろう。その対象が自分のことながらそこまで恋情の照準を向けてもらえると嬉しいし、それに応えたくなってくる。スクールアイドル病の調査でこの学校に来てるはずなのに、もはややるべきことの順位が逆転してしまいそうだ。
面倒事はサッサと片付け、余計な雑念なくみんなと向き合う準備をしないと。なんとしてでもスクールアイドル病を治療しなきゃいけない理由がまた1つ生まれちまったな。
105期のストーリーを見ていると、卒業した102期生って結構偉大な存在だったんだなって実感しました。だからこそこの小説でも彼女たちに悔いを残させないよう話を描いていきたいと思っています!
と思っていたら、どうやら今日のライブで映画が決まったようで、そこで102期制がちょい役でも出てくれたら嬉しいです!
次回も引き続きゲスト回。小三角+ゲストの予定です。
【キャラ設定集】
零から蓮ノ空キャラへの呼称
・日野下花帆 → 花帆
・村野さやか → さやか
・乙宗梢 → 梢
・夕霧綴理 → 綴理
・大沢瑠璃乃 → 瑠璃乃
・藤島慈 → 慈
・百生吟子 → 吟子
・徒町小鈴 → 小鈴
・安養寺姫芽 → 姫芽
蓮ノ空キャラから零への呼称(零への好感度 0~100 ※限界突破アリ)
・日野下花帆 → 零クン (120)
・村野さやか → 零さん (120)
・乙宗梢 → 零君 (120)
・夕霧綴理 → れい (120)
・大沢瑠璃乃 → 零くん (120)
・藤島慈 → 零 (120)
・百生吟子 → 零先輩 (81)
・徒町小鈴 → 零師匠 (88)
・安養寺姫芽 → れいくんせんぱい(85)
スクールアイドル病の治療状況
・日野下花帆 → 治療済
・村野さやか → 治療済
・乙宗梢 → 治療済
・夕霧綴理 → 治療済
・大沢瑠璃乃 → 治療済
・藤島慈 → 治療済
・百生吟子 → 傷の位置調査中
・徒町小鈴 → 傷の位置調査中
・安養寺姫芽 → 傷の位置調査中