ラブライブ!~蓮ノ空との新たなる日常2~   作:薮椿

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スクールアイドルクラブ、恋の試練!(後編)

 楓が蓮ノ空に襲来したのは俺を連れ戻すためだったらしい。

 ただコイツ、前回の襲撃時に花帆たちが俺に向ける想いを受け取って一応納得はしたんじゃなかったのか。コイツのことだから納得はしたが腹の虫は収まっていなかったのだろう。こんな奴ら如きに言いくるめられるなんてとか思ったに違いない。あのとき俺が大人の姿に戻ってなきゃずっとその恨みつらみを抱えてただろうな。

 

 しかし今回、実は微かに残り続けていたストレスが噴出してしまったのだろう。俺が遠征するとなった場合に当然コイツに事情を話すのだが、これまで一度もいい顔をしたことがない。大好きな兄が重大な役目を担ってくるんだから笑顔で送り出してくれてもいいように思えるが、大人になっても特大級のワガママだから絶対に納得しない。それで後輩のスクールアイドルに迷惑をかけるのはどうかと思うけど、これも元祖おじゃまキャラの本領発揮ってか。

 

 

「今後もこの子と一緒にいたいのなら、この子のことを骨の髄まで理解しておく必要があるからね。だから今からこの子に関するクイズを出すよ。不正解が積もった暁には、もうその瞬間にこの子を連れて抜け出すから」

「そ、そんな横暴な……!! 零さんはいいんですか!?」

「言って聞く奴じゃないからやらせておけ。それにお前らがクイズに正解すりゃ問題ねぇだろ」

「零クンからも物凄いプレッシャー!? でもこれからも一緒にいるためにあたし頑張るよ!」

「それにルリたち、なんたって零くんと一緒に住んでるからね! そりゃもう髪の先から足の指の先まで理解してるつもりだよ!」

「それはそれでこえぇけどな……」

 

 

 どうせ何かしら反論したところで楓が退くわけでもない。だったら真正面から立ち向かって俺との生活を守ってみせる。その意気込みは十分のようだ。

 

 

「零君のクイズであれば自信がないわけではないのですが、許容していただける不正解数は何回まででしょうか……?」

「それは回答の内容次第かなぁ。簡単な問題で間違えたら当然一発アウトだし、私があまりに『コイツらダメだ』と判断するようなヒドイ回答をしたら即終了の可能性もあるね」

「それじゃあ楓さんの胸三寸で決まるってことですか!? き、厳しい……」

「でも常に崖っぷちってのはテンション上がりますよ~! アタシは追い込まれてこそ実力を発揮できるタイプなので~!」

「姫芽ちゃんゲーム感覚!? 徒町たちは零師匠と出会ってまだ二週間程度ですけど、出会ったときから衣食住を共にしているので善戦できるよう頑張ります!」

「ま、そもそも善戦できなきゃ終わりだけどね! ここは私たちと離れ離れになることに内心で寂しがっているこのおこちゃまを救ってあげようじゃん!」

「うん。みんなで力を合わせて頑張ろー」

 

 

 コイツらやけに自信満々だな。吟子は心配しているが姫芽と小鈴はやる気に満ち溢れてるし、他の奴らも全く気後れしていない。どう考えても楓の匙加減一つで決まるコイツらが圧倒的不利なルールなんだけどな。

 とはいえ対抗策はなく楓の土俵に上がるしかないのはコイツらも分かっているだろう。それであっても自信があるのは無謀なのか、それとも自分たちが勝利できると確信しているのか。なんにせよコイツらの俺に対する透明性が判明する瞬間だな。もしかしたら今回の結果が今後コイツらと接するためのいい指標になるかもしれない。自分のことをどう思われているのか、それを知ればコミュニケーションも取りやすくなる。

 

 

「じゃあまずは第1問! この子がこの世で一番好きな料理はなんでしょう?」

「あっ、これは簡単だよ! ズバリ、愛情たっぷりの女の子の手料理!」

「料理の中身ではなく誰が作ったかに好みの比重が置かれているのが如何にも零くんっぽいよね」

「めぐちゃんたちの愛を胃袋でたっぷり味わえるなんて、贅沢な奴め~このこの~」

「正解。まあこの程度は余裕か。ていうかこれで間違えたら即終了レベルだから当然だよね」

「いきなりドボン問題でしたか~。危ない危ない……」

 

 

 最初の問題は難なく突破。花帆が回答していたが恐らく誰が答えても内容は同じだっただろう。俺と一緒に衣食住を共にしてるんだ、これくらいは容易だったか。

 それでもコイツらは簡単だと思ってなくとも楓がそう思った問題を間違えたら、その瞬間に俺たちの生活は引き裂かれる。だからコイツらとしてはどんな簡単な問題でさえ言葉選びには慎重になるだろう。

 

 

「第2問! 愛情盛り盛りの美味しい料理を堪能したこの子の気分は有頂天。そんな今ならどんなお願いでも聞き入れてくれるチャンスかも? じゃああなたたちはどうする?」

「いきなり心理テストみたいに!? でも徒町だったら師匠にお悩み相談しちゃうかもしれません! いつもお忙しそうにしてるので、師匠の余裕があるときにこそチャンスかと!」

「うん、私も。家だったらゆっくり時間も取れるし、タイミング的にもいいのかなって」

「ファイナルアンサー?」

「えっ、なんですかその揺さぶり!? ちょ、ちょっと待ってください! もう少し考えて――――」

「ファイナルアンサーです!」

「小鈴!?」

 

 

 聞き返されたことで回答を練り直そうとする吟子を余所に小鈴はそのまま押し通る。

 つうかその答え、俺だって知らねぇよ。自身で見えない自分の印象ってのはあると思うが、それを赤裸々にされようとしているのは今更ながらに少し恥ずかしくなってくるな……。

 

 

「残念!」

「えぇっ!? ていうかこの問題、正解とかあるんですか!?」

「そりゃもうね。正解は何もしないこと。この子の気分のいい時に横槍を入れるなんて言語道断なんだから。求められたら動けばいいの。自分の私欲のためにこの子の至福のひと時を邪魔をするなんて、そんな奴はもう同居人になる資格すらない」

「えぇっ!? そんなの分からないですよ!! 師匠どうなんですか!? 楓さんの答えは合っていますか!?」

「いや別に相談くらい普通に来てくれてもいいけど」

「お兄ちゃんは自分自身に気付いてないんだよ、自分だけの時間が邪魔されるときに放たれる底知れぬ怒りってやつを。だって寝てる時だって、目覚めが悪い方法で起こされると超キレるじゃん」

「そりゃ誰だってそうだろ……」

「えぇっと、今お兄ちゃんって言いませんでしたか……?」

「はいざんね~ん! これで不正解1個目ね!」

 

 

 自然過ぎて俺も吟子に指摘されるまで気が付かなかった。楓は強引に不正解数を突きつけることで注意を逸らす。

 にしても今回の問題と模範解答でこの茶番が如何に楓の主観で成り立っているのかよく分かる。これ例えコイツらが正解を出していたとしても模範解答を歪めて不正解にしそうだな……。

 

 

「なんだか腑に落ちないって顔してるね。でもね、私はイジワルをしてるわけじゃないの。この回答に至るまでに語るも涙のエピソードがあったんだよ。あれはそう、お兄ちゃんが高校を卒業して私が取り残されてしまったときの話……」

「唐突な自分語り始まった!?」

「お兄ちゃんと一緒の高校だったのに、卒業しちゃったから同じ学校にいられたのはたったの一年だけ。その事実に荒れてしまった私は、その慰めのため親友との絆を壊してまでお兄ちゃんにご奉仕しようとした。でもいつもの手料理を振舞っても『不味い』と一蹴。そこで気付いたの、お兄ちゃんはこっちの事情なんて関係ない。料理には一切の曇りもない愛情が注がれてなきゃいけない。どんなことがあろうともお兄ちゃんの優雅な時間と気分を邪魔しちゃいけないんだって。お兄ちゃんが横暴なんじゃなくて、全面的に私の配慮が足りてないせいなんだって……」

「お兄ちゃんって、零君のお話をされている……のではないのでしょうか? なんだかさっきから別の方のお話と混在されているような……」

「そうやって揚げ足を取ってるとこの子にも嫌われちゃうよ? 余計な自我を出すなってことだよ!」

「いや零は態度も大きいけど、流石にそんな暴君みたいじゃないかなぁ……。私たちが慣れただけかもしれませんけど、家では結構普通ですよ?」

 

 

 カウンター貰ってんじゃねぇか。自分がスクールアイドルの伝説で頂点に立っているという驕りで自分語りを仕掛けたが、花帆たちを見る限りその話が突き刺さっている奴は誰もいないようだ。そりゃ俺は懐かしく思えるけどコイツらは背景ストーリー分かんねぇだもん。

 

 

「気を取り直して第3問目。この子と一緒に住むうえで気をつけなきゃいけないこと、ルールは?」

「気をつけること……。わたしが思うのはやはり楓さんも言っていた通りのご奉仕力でしょうか。零さんは普段から誰かのために奔走しています。なので自宅くらいはゆっくりできるよう、わたしたちで最大限のサポートして差し上げること。それがわたしが気をつけていることです」

「家事もアタシたちだけで回してますしね~。最初せんぱいたちがれいくんせんぱいを家事の割り当てから外したときは『なんで!?』って思いましたけど、忙しさを考えると納得しちゃいました」

「ボクもみんなに教えてもらって家事頑張ってるよ。やってみると意外と楽しいね」

「ファイナルアンサー?」

「またそれですか!? そもそも決まった答えがあるんですか!?」

「あるかもしれないしないかもしれない。要するにあなたたちの回答で私を納得させられるかってことだよ」

 

 

 俺なんかよりコイツの方がよっぽど理不尽だろ……。後輩イビって楽しいかと問いかけたい。絶対に愉しいって言うだろうけど……。

 

 

「わたしの答えが合っているかは分かりません。皆さんはどうですか?」

「お世話力の高いさやの答えなら自信を持って送り出せるよ。行っておいで」

「いやみんなで一丸となって決めないと! 既に1つバツがついているので……」

「大丈夫、(わたくし)たちもさやかさんと同じ答えよ。普段は学校中を駆け巡って誰かを助けているのだから、家でくらいは休めるようにサポートしてあげたいわ」

「梢先輩が言うのなら……。分かりました、これでファイナルアンサーです」

「残念!」

「はやっ!? ルリまだ心の準備なにもできてなかったんですけど!?」

 

 

 いや俺も合ってると思うけど。やはり何もかも楓の裁量で決まるためこれはもはやクイズでもなんでもない。ただコイツのストレス発散だ。いつも通りっちゃいつも通りだけど、案外俺自身が気付いてないだけでコイツの回答が正解だったりするのか……? すげぇ人を支配するのに長けた奴みたいになってるけど……。

 

 

「残念って、私たち零のために身を粉にして家事してるんですけど!?」

「それだよ! そのやってあげてる感がダメ! この子にご奉仕すること、それは義務感じゃなくて自分から進んでやるのが普通なの! 普段誰かのために頑張ってるからとか自分たちを助けてくれた恩返しだからとか、そんな言い訳も一切必要ない! この子のお世話をすることに理由なんて不要なんだから!」

「また納得感が薄いような……」

「そう、じゃあ伝え方を変えてあげる。ご奉仕力は求められて鍛えられるものじゃない。自分で積極的に動いてこそ真に相手の欲求を満たすんだよ。この子の要求を先読みし、かつそれを悟られないようにさりげなく手を回しておく。これが重要だから」

「なるほど。相手の求めていることを察知してさりげなくフォローする能力が必要なのは、まさにその通りだと思います」

「徒町が師匠の思考を読み取るなんておこがましい気もしますが、これから精進します!」

 

 

 めちゃくちゃなことを言ってるけどたまにまともなことを織り交ぜてくる。ブラコンが故に思考がぶっ飛んでいるものの俺と一緒にいる期間は誰よりも圧倒的に長いため、俺の取扱説明書の観点で言えばコイツ以上に俺を熟知している奴はいない。だからこそ要所要所では正確なアドバイスができる。侑みたいにストレートに助言すればだれからも尊敬される存在になれるのに、やはりコイツは自分の評価を俺からしか受け付けないようだ。

 

 

「3問中正解は1回だけ。問題はもっと考えてたんだけどやる必要はなさそう。これじゃあこの学校にいさせるわけにはいかないね」

「おい、もう冗談はそれくらいにしておけ」

「冗談じゃないよ? 本気で連れて帰るから」

「俺が全力で拒んでもか?」

「うん」

 

 

 ナチュラルに相手の欲求を満たすってアドバイスしたのはなんだったんだよ。完全に自分だけの欲望で動いてるじゃねぇか。自我を出すなとか言ってたくせに全く説得力がない。

 ただコイツ、己の中に巣食う病み成分が濃くなってくると何をしでかすか分からない。以前に蓮ノ空を崩壊させたときだってそうだから今回も秘かに病んでいるのか……? 自分の妹のことながらコイツってふとしたトリガーで豹変するから、俺ですら手を付けられないことあるんだよな……。

 

 楓が俺の手首を握る。本気なのかどうなのかは分からないが、コイツらは楓がマジなんだと焦っているようだ。理不尽すぎるクイズに敗北し、このままだと最初の公約通り俺を連れ去られてしまう。過去に蓮ノ空を荒らしに荒らした張本人の言うことだ、冗談には全く聞こえていないのだろう。

 

 

「じゃあ私の作ったこの料理はみんなで食べてもらって大丈夫だから。じゃあね」

「「「待ってください!!」」」

「えっ?」

「「「あっ!?」」」

 

 

 なんと吟子、小鈴、姫芽の三人が同時に俺の手首を掴んだ。コイツらも想定外だったようでお互いの顔を見合わせて驚く。俺は楓とは反対側の手首を掴まれたことで女の子たちに両側から引っ張られる形となった。

 三人は焦りもあるが表情は真剣そのものだ。そもそもコイツらが真っ先に止めに入るとは思ってもいなかった。花帆たちが必死に止めるのならまだ分かるが、まだ出会って二週間程度しか経っていない関係なのに……。

 

 

「邪魔するんだ。この子のこと何も分かってなかったのに?」

「確かに楓さんからすればそうかもしれませんし、まだ先輩と出会って間もないですけど、それでも既に先輩とたくさんのことを経験してきました。この短期間での思い出はもう忘れられないくらい濃くて、それでもなお先輩ともっと一緒に思い出を作りたいと思っている欲張りな自分がいます。だから連れて行かないでください。私はもっと、先輩と一緒にいたいです」

「徒町だって同じです! 先輩方からお話を聞いて出会う前なのに勝手に尊敬していましたが、実際に出会ってみてその憧れは間違いじゃなかったって実感しました! たくさんの人を先導して、その使命を完璧に果たすお姿はまさに何者になれるか悩む徒町にとってはお手本になる存在です! なのでそのカッコいいお姿をこれからもこの眼にたくさん焼き付けたいです!」

「最初出会った頃は小さくて可愛いなぁ~とだけ思ってたんですけど、宝探しとか事件とかに巻き込まれてれいくんせんぱいと一緒にいるうちに、まるでヒーローのように颯爽と解決する姿にキュンと来ちゃいまして……。それにれいくんせんぱいといるとこの先なにが起こるか分からないワクワクとハラハラ連発で、もうこのスリルと体験はせんぱいなしでは味わえないです!」

「ふ~ん……」

 

 

 例え相手がレジェンドスクールアイドルでも怯まない。自分の大切な人が奪われそうになってるんだから、相手が誰であろうが自分の想いを打ち明けて絆の強さをアピールする。

 正直コイツらがここまで強気に出るとは思っていなかった。コイツらも言ってた通りたった二週間であっても既に多くのことを一緒に経験している。中には余計な事件に巻き込まれたりと不運なこともあったが、逆にそのおかげで心同士で繋がることができたのだろう。ただ単に1つ屋根の下で生活しているだけではコイツらはここまでの感情を抱かなかったかもしれない。余計な横槍もスクールアイドル病の調査の邪魔としか思ってなかったが、案外必要なイベントだったのかもな。

 

 

「あたしたちも吟子ちゃんたちに負けてられないですよ! 以前も言いましたが何度でも言います! 大切な人だから、大好きな人だから、この想いは決して零クンを離したりしません!」

「愛は目で見るものではなく、心で見るもの。(わたくし)たちに彼が必要な理由に特別なことはなく、もう既に心で繋がっているが故に引き離すことはできない。そう思っています」

「一緒にいてこれほど情熱を感じさせてくれる人はいません。この人がいるから頑張れる。この人のために頑張れる。もしそれが依存と呼ばれるものであれば、それでも良いと思ってしまいます」

「好きって感情はこんなにも暖かいんだね。もうずっとこの暖かさを感じていたい。隣にいるだけで拠り所になってくれる、だからもっと一緒に……」

「零くんはルリにとっての目標で憧れでヒーローだから。救われたヒロインはヒーローと共に未来を歩むって相場は決まってるんですよ。だから離れ離れなんてありえないです」

「零にはめぐちゃんワールドを支配した責任を取ってもらわないと! つまりもう私から逃げられる術はないってこと! 世界の支配者同士で私たちの魅力、大衆に見せつけてやろうじゃん!」

 

 

 コイツらの想いの強さは相変わらずか。楓の前で披露するのも二回目だからか流石に気持ちの暴露に何の躊躇もない。むしろ自分たちの関係性を突きつけ足りないのかまだ何か言いたそうにしている。

 対して楓は一瞬眉をしかめたが、その後は読み取りづらい平凡な面持ちで俺の手首を離した。気が済んだのか急に冷めたのかは知らないが、どうやらコイツらの告白に心を揺らされるほどの感情のブレはあったらしい。

 

 

「あっそ。じゃあその気持ち、大切にしなよ」

「お、おい!」

 

 

 楓はそのまま家を出た。花帆たちはあっさり引き下がった楓を見て唖然とする。

 このまま帰宅させてもいいけど、どうも気になることがあるので俺も家を出てアイツのことを追いかけた。

 

 

「おい! お前結局なにしに来たんだよ?」

「言ったでしょ、連れ戻しに来たって」

「お前が本気になればアイツらが束になっても論破できるはずだ。でもそれをしなかった。前に来たときもそうだったし、お前何がしたかったんだよ」

「別にそんな大層な理由じゃないよ。お兄ちゃんが現地の女の子と良好な関係を築けてるかなって気になっただけ。だって現地妻の素行調査をするのは本妻の役目でしょ? どうやらあの子たちは私の想像以上にお兄ちゃんにお熱なみたいだし、これならあと少しはお兄ちゃんと一緒にいさせてあげてもいいかなって」

「自分が憎まれ役になるとか余計なことをしてまでもか?」

「憎まれって、あの子たちにどう思われようが私にとってはどうでもいいから。レジェンドスクールアイドルって神の立場を崩せる子はいない。だから何があろうとあの子たちは私を尊敬する。そうでしょ?」

 

 

 兄が現地の女の子とどういう生活をしていてどんな想いを抱かれているのか、それを知りたかったってことか。そのために敵キャラみたいなムーブをして反感を買う可能性もあったものの、確かに出会う機会もほとんどないので今更アイツらにどんな目で見られようが関係ないってか。それにしても普通に確かめればいいだけなのに無駄な茶番しやがって。これもスクールアイドルの伝説だからこそできる業か。花帆たちではコイツの立場は崩せないからな。

 

 

「それにね、お兄ちゃんのことが心配なんだよ。子供の姿になってまで何をしてるのかは知らないけど、無茶してたらどうしようってやっぱり心配になるわけ。お兄ちゃんなら絶対に大丈夫だと思っててもね。だからお兄ちゃんを支える女の子がどんな子たちなのか気になっただけ。ほら、前回はストレスで頭も上手く回ってなかったからさ。だから改めて確認しに来たの。新しい子も入ったみたいだしね。にしてもこんな短期間で新しい子たちにもあそこまで言わせるなんて、流石はお兄ちゃんだよ」

「だったら大丈夫だ。アイツらなら俺の目に適ってる」

「相思相愛ってことか。でも思春期女子たちの清涼感のある告白を聞かされるとなんかムカついちゃうんだよね~。同族嫌悪ってやつ?」

「お前の愛が清潔なことがこれまであったか……? 単に若い奴のフレッシュな告白が染みるだけだろ」

「あはは、そうかも」

 

 

 一応俺のことを心配してたのか。そりゃガキの姿になってまで何をしているのか明かされてないから気になるのは当然か。

 でも様子を確かめるために現地のスクールアイドルたちにちょっかいをかけ、そしてフレッシュな告白でダメージを受けてストレスを溜めて帰宅する。コイツも結構難儀だな。

 

 

「じゃあもう帰るよ。あの子たちによろしく」

「あぁ」

「仕方ないから待っててあげるよ。その代わり家に帰ってきたらたっぷり甘えさせてもらうから」

「なんだよそれ。好きにしろ」

 

 

 花帆たちみたいに今まさに俺との関係がリアルタイムで進行している奴もいれば、こうして心配してくれて待っている奴もいる。どちらをないがしろにするわけでもない。ただ帰る場所を守って待ってくれている人がいるってことは、どんな事件でどこに飛ばされようが忘れてはいけないことだな。

 




 敵キャラっぽくなってる楓ですが、何気に蓮ノ空に来るときは毎回女の子たちの本心を引きずり出すのでストーリーの進展に一役買っています。ゲスト回って何気に外部の刺激で女の子たちが想いに気付く流れもあるので、ネタに見えて意外と恋模様に絡んでたりしています。
 その代わりスクールアイドル病のことがずっとほったらかしですが(笑)




【キャラ設定集】
零から蓮ノ空キャラへの呼称
・日野下花帆 → 花帆
・村野さやか → さやか
・乙宗梢   → 梢
・夕霧綴理  → 綴理
・大沢瑠璃乃 → 瑠璃乃
・藤島慈   → 慈
・百生吟子  → 吟子
・徒町小鈴  → 小鈴
・安養寺姫芽 → 姫芽

蓮ノ空キャラから零への呼称(零への好感度 0~100 ※限界突破アリ)
・日野下花帆 → 零クン   (120)
・村野さやか → 零さん   (120)
・乙宗梢   → 零君    (120)
・夕霧綴理  → れい    (120)
・大沢瑠璃乃 → 零くん   (120)
・藤島慈   → 零     (120)
・百生吟子  → 零先輩   (81→84)
・徒町小鈴  → 零師匠   (88→89)
・安養寺姫芽 → れいくんせんぱい(85→87)

スクールアイドル病の治療状況
・日野下花帆 → 治療済
・村野さやか → 治療済
・乙宗梢   → 治療済
・夕霧綴理  → 治療済
・大沢瑠璃乃 → 治療済
・藤島慈   → 治療済
・百生吟子  → 傷の位置調査中
・徒町小鈴  → 傷の位置特定済
・安養寺姫芽 → 傷の位置調査中
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