ラブライブ!~蓮ノ空との新たなる日常2~   作:薮椿

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卒業式の主役

 編入生活リトライ18日目。

 今日のイベントは、なんと言っても卒業式だろう。これまで何度も体験したイベントではあるものの、この涙と笑顔が交差する情緒的な空間に毎度のこと身が引き締まってしまう。多分ここ数年は教師として結ヶ丘の生徒たちの卒業を見送り続けたってのもあるのだろう。去年から結ヶ丘から離れたので二年ぶりの典となるが、この雰囲気は流石の俺も堅苦しさを覚える。自分が学生だった頃はもっと緩い気分だったんだけどな。今も見かけ上は生徒なんだけど、どうも肩が凝るのは教師時代の記憶が自分の中で鮮明に残っているからか。

 

 卒業生の門出を祝うにはいい天気で、桜も舞い散って風情が広がる蓮ノ空。

 典の前半は緊迫感のある厳かな雰囲気だったが、答辞や別れの歌のシーンでは感動に包まれて涙する参加者も多かった。

 式後は恩師や友人との別れを惜しみ、感謝の気持ちを伝え合う時間。校舎前、教室、思い出の場所での記念撮影は欠かせない。あちらこちらで集合写真を撮っている奴らばかりだ。

 

 そんな学校最大のイベントで盛り上がる中、俺は持ち場から離れようと講堂を後にしている。そしてそんな俺を見かけた一年生ズが金魚のフンのごとく追従してきた。

 

 

「いいんですか先輩……? まだみんな講堂の周りにいますけど……」

「堅苦しいのはゴメンだね。それに卒業っつっても、まだ蓮華祭があるからしばらく学校にいるだろ。だったら今別れを惜しむ必要はねぇよ」

「流石は師匠! 相変わらず敷かれたレールに乗らず我が道を歩んでますね!」

「敷かれたもなにも、俺が蓮ノ空にいた期間って合計すると1ヶ月ちょっとだぞ? なのに何の思い入れがあるってんだよ。俺に未練がある卒業生がいるってのならお前から会いに来いよって話だ」

「れいくんせんぱい相変わらずですね~。でもまあ、せんぱいの威厳があれば本当に向こうから会いに来そうな気もしますけど……」

 

 

 直近で参加した卒業式は俺が教師だったってのもあり、それなりに感極まりそうなこともあった。かのんたちの卒業、きな子たちの卒業、冬毬とマルガレーテの卒業と、深く関わった奴らの卒業が毎年続いたらそりゃ多少はしんみりするだろう。

 でも今回は生徒側での参加だし、そもそもこの学校に在籍していた期間も短いしでなんら感動も起こらない。一応梢、綴理、慈の三人の卒業でもあるんだけど、さっきも言った通りまだ蓮華祭があるので別れではない。それにコイツら含め蓮ノ空スクールアイドルの連中はLiellaの奴らとは違って学校生活を共にしてきた仲間、ってより日常生活を共にしている感が強い。部活仲間よりも昨年度の寮生活や今の同棲生活で苦楽を元にしたことが多いから、あまり学校での仲間って意識はないんだ。朝も夜も一緒にいることが多いから、家族的な関係性が構築されているのかもしれない。家族っぽいと言われたら卒業なんて実感が湧かないのも当然だろう。

 

 

「よし、腹減ったし飯でも食って帰るか。食堂って今日開いてんのか?」

「いや今日は流石に閉まってます――――って、先輩こんなときでもマイペースすぎ!」

「じゃあお前らが作ってくれれば問題ないな。早く家に戻るぞ」

「師匠、なんだか今日は一段と横暴な気が……」

「誰かさんのせいで昨晩は寝不足なんだよ。ただでさえ昼間に訳分かんねぇ淫乱神様のワガママに付き合ってたってのによ」

「え~せんぱいにヒドいことする人がいるなんて許せませんね~」

 

 

 お前だよお前。ゲームに誘われたと思ったらいつの間にかベッドの上にいたんだからな。まあそのおかげでコイツのスクールアイドル病を治療することができたわけだから、別に昨晩の出来事がマイナスだとは思ってない。むしろ俺が蓮ノ空に来た目的がまた一つ達成されたので、どちらかと言えばプラスだろう。

 

 

「でもお前らはいいのかよ? アイツらと一緒にいなくても。蓮華祭があると言っても卒業式ってイベントは今この瞬間しかないんだ。記念写真祭りに混ざるなら早く戻った方がいいぞ」

「そういえば確かに……。でも先輩が講堂を離れる姿を見て、何故か足が勝手に動いてしまったので……」

「それに先輩方とは一緒に暮らしているので、蓮華祭までにお話しできる機会も多いかなと思ってこっちに来ちゃいました!」

「アタシもれいくんせんぱいに誘われてってカンジですかね~」

「思考停止でふらっとついてきたのかよ。俺が不審者だったら誘拐されてるぞお前ら」

 

 

 尊敬する先輩たちの卒業式なのに、主役ではなく俺を相手にするってアイツらが不憫すぎるだろ。どれだけ俺と一緒にいたいんだっつうの。てか俺こそ同棲していていつでも会えるんだから、なおさらアイツらのところに行ってやれよと思う。

 

 

「それに心配しなくても大丈夫です。多分もうすぐ来ると思うので」

「あん?」

 

 

 含みのある吟子の言葉。

 その直後、来た道の方から全速力で走って来る何者かの影が見えた。

 ソイツは光の速さで俺に駆け寄ると、胸ぐらをつかんで顔を眼前にまで近づけて来た。

 

 

「ごるぅぁああああああああああっ!! なんで先に帰ってんだ!?」

「慈……。いや式が終わったのなら帰るだろ」

「主役を差し置いてなに勝手に帰ってんのって話だよ! 全く、めぐちゃんたちの門出を祝おうって気はないのか!」

「お前らの卒業に感慨深くなるほどこの学校に浸かってねぇよ」

「この薄情なやつめぇえええええ!!」

 

 

 慈は俺の胸ぐらをつかみながら身体を揺らしてくる。コイツも俺が離れただけでどれだけ文句言ってくるんだよ。まあ承認欲求が凄まじいコイツのことだ、俺から祝われたいって思惑があったのだろう。そう考えるととっとと帰りたくなってくるな。

 

 そんな話をしている間に梢と綴理も合流した。花のコサージュを左胸の鎖骨付近に装着し、賞状筒を手にして如何にも卒業生と言わんばかりの雰囲気。同棲しているせいで朝昼晩と一緒にいることも多いから普段はあまり大人っぽくは見えないんだけど、今の佇まいを見ると一歩成長したなと感じるよ。

 

 

「めぐは卒業式でも変わらないね。れいのことになると熱くなっちゃうところ」

「は、はぁ!? 先輩の門出を祝わずに帰ろうとする恩知らずの後輩を、徹底的に躾けてやろうと思っただけ!」

「お世話になったのは(わたくし)たちの方な気もするけれど……。それにしても、卒業式なんて一大イベントななのにも関わらず零君のところへ集まるなんて、(わたくし)たちも相変わらずなのかもしれないわね」

「確かに! あっ、そう考えると姫芽ちゃんたちも私たちじゃなくて零を追いかけちゃって! このぉ~!」

「い、いやぁ~それはれいくんせんぱいの磁力が強すぎて思わず引き寄せられちゃったと言いますか……。小鈴ちゃん曰く、先輩方とはまだ一緒にいられるからって……」

「徒町を売った!? いやその! 無視したとかそういう意図はなくて! 最初は先輩方のところへ戻らないかと説得はしてました! 結果はお察しの通りですけど……」

「分かってるよ、すず。だってれいだもんね。ボクだってれいを見かけたら思わず駆け寄っちゃうから、気持ちはわかるよ」

「でも結局は吟子さんに連絡をもらって(わたくし)たちも零君のところへ集まったのだから、あなたたちを責めることなんて到底できないわ」

 

 

 つまりみんな本能的に俺のもとへ集結してるってことか? せっかくの卒業式で今まさに恩師や友人、家族で集まって盛り上がってる最中なのに、こんなガキのところに集まるなんてコイツらどうかしてるぞ。まあ女の子に群がられるのは悪くないが、事件や厄介事もこんな感じで気軽に舞い込んでくるのかねぇ。幸運も不運も見境なく運んでくるからフィルタ機能をつけて欲しいよ、この引き寄せ体質。

 

 

「じゃあさ、せっかく集まったんだから写真撮ろうよ! 私たちはまだ一緒にいるけどさ、卒業式に作れる思い出は今日この日しかないんだから!」

「だったら俺が撮ってやるよ。スマホ渡せ」

「いやアンタが写らないと意味ないでしょうが!」

「いや俺が写らなくてもいいだろ。主役はお前らだからな?」

「慈先輩が零先輩に毒されてる……」

「だまらっしゃい! 零と写真を撮るタイミングなんてこういう機会しか――――って、そもそも一緒に撮ったことあったっけ?」

 

 

 全員が沈黙する。恐らく記憶を掘り起こすが俺と一緒に写真に写った記憶なんて皆無、もしくは朧気になるほど回数も少ないのだろう。俺だって覚えてない。ていうか写真には強制されない限り入らないようにしている。嫌いとかそうではなく、ただなんとなくイヤってことくらい人間なら誰しもあるだろ。

 

 

「少なくとも徒町は一回もないかも……」

「ボクはあるよ。ナイトプールで撮ったときの写真」

「むしろそのときだけではないかしら。零君がいる間にもみんなで何枚も撮っていた気がするけれど、どの写真にも彼が写っているものはなかった気がするわ」

「えっ、どうしてですか?」

「別に俺が写る必要がないだけだ」

「妙に協調性のないところはせんぱいらしいですけど……」

「えぇいっ! じゃあ今日はたくさん撮るよ! ほら真ん中に来て!」

 

 

 慈に無理矢理引っ張られ、何故か卒業生であるコイツらを押しのけてセンターポジションに連れ込まれる。もはや主役が完全に交代してるぞ……。

 

 

「あっ、じゃあ私が撮ります」

「いや吟子ちゃんも入って入って!」

「えっ、私も!?」

「そうね。せっかくだから小鈴さんも姫芽さんもどうかしら?」

「えぇっ!? 徒町たちもいいんですか!? 先輩方の思い出なのに……」

「すずたちと一緒にいるのもボクたちの大切な思い出だよ」

「そうですか~。じゃあお言葉にあまえさせてもらいます~」

「自撮り棒OK! じゃあ撮るよーっ!」

 

 

 そんなものまで持ってきて、イマドキの卒業式って一種のアミューズイベントになってるよな。結ヶ丘の卒業式でもやたらと卒業したことをSNSでアピールする奴ら多かった気がする。

 

 そんな中でスマホカメラのシャッターが切られる。何故か誘われた一年生がセンターの俺を取り囲むように配置され、本来主役であるはずの卒業生が一番外側にいる謎の構図。卒業式の主役って誰だっけ??

 

 

「徒町の人生史上初めての師匠との写真です! 額縁に飾ります! どんな天災が起きてもこれだけは必死に守り抜いてみせます!」

「これで夜もれいくんせんぱいと疑似的に一緒にいられちゃいますね~」

「扱い方が大袈裟だったり意味深だったり、そんな嬉しいのかお前ら……」

「あれ~? 吟子ちゃんも嬉しそうだね! スマホの待ち受けにしちゃう?」

「し、しません!!」

 

 

 俺と写った初めての写真に一年生たちは満足感を得ている。小鈴と姫芽は分かりやすいけど、吟子も笑みを隠しきれてないので嬉しそうなのが丸分かり。写真ごときそんなに欲しいかねぇ。

 

 

「それじゃあ今度はアタシが先輩方とれいくんせんぱいを撮ってあげますね~」

「えっ、一枚だけじゃねぇのかよ……」

「ボクはれいとの写真、もっといっぱいほしいな。もちろん直接お話しするのが一番だけど、またいついなくなっちゃうか分からないから、いつでも隣にれいを感じるためにももっと思い出を作りたい」

「好きにしろ。自分からは写りにいかないけど、お願いされたのなら断る理由もねぇしな」

 

 

 逆にみんなが求めてるのに逃げ続けたらそれはそれで冷淡すぎる。人の心がないと罵られてもおかしくないのでここはコイツらの希望を叶えることにした。さっきも言ったけど、女の子から求められることに悪い気はしないからな。

 

 

「んじゃあ姫芽ちゃんヨロシク!」

「なんで腕に抱き着く……」

「いいじゃんいいじゃん細かいことは! ね、綴理!」

「うん。抱き着いた方が思い出も深まるよ」

「思い出って言っておけばなんでも許されると思ってねぇか……?」

「えぇっと、(わたくし)はどこで写ればいいのかしら……?」

「れいの後ろが空いてるよ。ぎゅって抱き寄せてみて。れい、暖かいから」

「後ろから!? 零君、それでもいいかしら……?」

「好きにしろ」

 

 

 綴理の突然の提案に最初は戸惑いを露わにした梢だが、俺に許可を貰って気が緩んだのかこちらの背に回り込んで腕を回してきた。抱き着くってほど接着はしてないものの、その温もりは十分に伝わってくる。更には左に慈、右に綴理。なんつう贅沢な構図だ。

 

 

「おぉおおっ!! こんな写真、絶対に世には出せませんよ! あの蓮の大三角がショタとこんなに密着してる姿なんて……でもアタシ的にはそれがいい! れいくんせんぱいが男らしく女侍らせてふんぞり返ってる姿が!!」

「いやふんぞり返ってって、先輩とても肩身が狭そうなんだけど……。身長差が露骨に出てるって言うか……」

「姫芽ちゃんずっと師匠に対して強火だよね。昨晩一緒にいたみたいだけど、なにかあったのかな……?」

「いいから早く撮れ。こんなの他の奴らに見られたら、いつもの如くまた群がって来るから。もう誰が主役なのか分かったものじゃない」

「せんぱいは大人気ですもんね~。じゃあ撮りますよ~」

 

 

 そしてどうにも卒業式とは思えない構図での写真が撮られた。何も知らない奴が見たら俺まで卒業生だと勘違いされそうだ。まあ男と一緒にいる写真な時点でどのみち誰にも見せられないな。

 

 

「次は姫芽ちゃんたちだね! ほらほら、みんなで集まって!」

「えっ、私たちも零先輩と撮るんですか!? もはや卒業式とか関係ないんじゃ……」

「零君が写真を撮らせてくれる機会なんてまたとないから、今のうちに枚数を稼いだ方がいいのではないかしら」

「だったらアタシは昨晩みたいにこう肩を寄せ合って……」

「姫芽くっつき過ぎ! だ、だったら私も……いいですか?」

「徒町の場所がなくなった! えぇっと、後ろからは梢先輩がやってたから徒町は……そうだ! 師匠が後ろからぎゅってしてくれませんか!?」

「いいけど、それだと身長差で俺が見えなくなるだろ」

「じゃあちょっとだけ屈みます!」

 

 

 なんだよまたこの構図は。背の高い吟子と姫芽に両側から飲み込まれるくらい密着されてるかと思えば、前からは俺が小鈴を襲っているかのように見える。もはや思春期の男女がしていいポジショニングじゃねぇだろこれ。まあ俺の中身は思春期ではないんだけど、だったら女子高生相手になおさらマズイ。だってこれでも元教師なんだから……。

 

 そして慈によって写真が撮られる。

 最近心の距離が近くなった小鈴や姫芽はともかく、吟子がここまで積極的なのには驚いた。人を警戒する派閥に属しているが、心を許した相手にはその警戒心も解かれるのか。花帆や姫芽みたいにグイグイ来る奴の対処には困っているようだが、一定の距離感を保っている俺のような存在はコイツにとっても居心地がいいのかもしれない。

 ただいずれスクールアイドル病を治療するためにはコイツの心にもっと踏み込む必要があるので、どこまで接近するかの塩梅は他に二人に比べると結構重要だな。

 

 密着し合って写真を撮っているこの状況、傍から見れば卒業式特有の撮影会イベントだと思われるかもしれない。

 だが中にはそう思わない奴もいる。俺たちの関係性をよく知っている奴だ。

 

 つまり――――

 

 

「あぁぁぁああああああああああっ!? 零クンがみんなと写真撮ってる!?」

「これから片付けがあるのにどこへ行ったのかと思ったら、まさかこんなところにいるなんて……」

「しかもそんなにくっついちゃって! ルリたちがいない間にとんでもないことになってない!?」

 

 

 こうして余計な疑いを向けられるわけだ。

 早くここから退散できなかったせいで花帆、さやか、瑠璃乃の二年生組にこの状況を目撃されてしまった。しかも一年生たちとまだ密着している最中に。

 三人は目を丸くしてこちらを凝視する。二年生は卒業式の片付けの役目があるため、コイツらは俺を連れ戻しにきたのだろう。そして見つけたはいいもののその男は自分の先輩と後輩を侍らせている、と勘違いするのも無理はない。そりゃ唖然とするよな。

 

 

「ズルい! あたしだって零クンと一緒に写真撮りたいのに!」

「俺とかよ。そこは卒業生と、じゃないのか……」

「めぐちゃんたちとはチャンスがまだあるからね。でも零くんとの写真なんて、タイミングを逃すと次はいつ撮ってくれるか分からないから」

「実は少し前に三人で話題にしていたんです。そういえば零さんが写っている写真が全然ないな、と」

「え~でも花帆ちゃんたちはクラスの集合写真とかで一緒に撮ってるんじゃないの?」

「集合写真じゃダメなんです! プライベートで撮らなきゃ意味ないですから!」

 

 

 思い出を作りたいのは分かるけど、そこまでして俺と一緒に写りたいのかよ。記憶と記録が両方残ると考えれば思い出作りの最も有効な手なのは理解できるけど、みんなそれなりに必死なのはやっぱりそれだけ好意を抱いてくれているという証明だろう。もしかして一緒に写真を撮ってやると言えば簡単に好感度を上げられるのではと思ってしまう。スクールアイドル病を治療するために二人きりになる常套句としても使用できるため、だったらもっと早く知りたかったよ。

 

 

「卒業式だってのに俺と写真だなんて、暇だなお前らも。講堂の前では笑顔や涙が交錯するエモい雰囲気になってるのに、こんな校舎の横で男と写真だなんて」

「ボクたちにとって、いつだって主役はれいだからね」

「いや自分の人生なんだから自分を主役にしろよ……」

「それだけ私たちの心に土足で踏み入ってるってことだよ。自分の中で自分が一番と思えなくなるなんて、とんでもない異常事態なんだから」

「あの自己顕示欲が強い慈にここまで言わせるくらい、相当な魅力を持っているのよあなたは」

 

 

 それだけ俺に影響力があるってことか。そりゃ自分に惹かれるように仕向けてると言えばそうなんだけど、昨晩の姫芽みたいに段々と依存されてきているような気がしてならない。残る吟子のスクールアイドル病を解決したら多分またここを離れることになるだろうけど、そのときコイツらの精神は大丈夫なんだろうな。コイツらの心や思考回路を俺好みに変えすぎてしまった感もあるから……。

 

 

「みんなとも写真を撮ったのなら、あたしたちとも一緒に撮ってくれるよね? ね?」

「あぁ。勝手にしろ」

「おっ、零くんにしては潔いじゃん!」

「どうせ回避しても後から文句を言われるだけなんだから、だったらここで満足させてやるだけだよ」

「ふふっ、まさか卒業式なのにこんな幸運が訪れるなんて。先輩方の卒業でしんみりしていた雰囲気が全部吹き飛んでしまいました」

「よっしゃっ! じゃあ私らが満足するまでってお墨付きだから、今日はスクールアイドルクラブ撮影会だーっ!」

 

 

 何故か卒業とか全く関係ない話題で盛り上がるコイツら。てか花帆たちだけじゃなくてお前らもまだ撮るのかよ……。

 一人に気を許せば他の奴らに対しても同じ寵愛を与えてやる必要があるため、親しくなる女の子が増えれば増えるほど分け与える人数も増える。今がまさにその状況。もちろん女の子からアピールしてくれるのは嬉しくはあるんだけど、これは卒業式に参加すること以上に体力をもっていかれそうだ。

 

 そして案の定、まるでテーマパークのマスコットキャラのように撮影の象徴としてたらい回しにされてしまった。最期の方は疲れた顔をしてたような気もするが、コイツらはそれで満足なんだろうか。まあ俺と一緒に写れただけでも嬉しそうにしてたし、それでいいんだろうな。これだけでコイツらの笑顔が見られるなら、事件に見舞われるよりもよっぽど安いもんだ。

 




 当然ですがまだ完結じゃないです! 唐突な打ち切りエンドではないのでご安心を!
 アプリの活動記録の方では卒業式の描写が一切なかったのですが、この小説は零が転入して○○日目と詳細にしている都合上、卒業式の話を織り込んでみました。
 ただ結局は本編中でも語られてる通り、卒業とは全く関係のないネタになっちゃいましたが……




【キャラ設定集】
零から蓮ノ空キャラへの呼称
・日野下花帆 → 花帆
・村野さやか → さやか
・乙宗梢   → 梢
・夕霧綴理  → 綴理
・大沢瑠璃乃 → 瑠璃乃
・藤島慈   → 慈
・百生吟子  → 吟子
・徒町小鈴  → 小鈴
・安養寺姫芽 → 姫芽

蓮ノ空キャラから零への呼称(零への好感度 0~100 ※限界突破アリ)
・日野下花帆 → 零クン   (120)
・村野さやか → 零さん   (120)
・乙宗梢   → 零君    (120)
・夕霧綴理  → れい    (120)
・大沢瑠璃乃 → 零くん   (120)
・藤島慈   → 零     (120)
・百生吟子  → 零先輩   (84)
・徒町小鈴  → 零師匠   (100)
・安養寺姫芽 → れいくんせんぱい(100)

スクールアイドル病の治療状況
・日野下花帆 → 治療済
・村野さやか → 治療済
・乙宗梢   → 治療済
・夕霧綴理  → 治療済
・大沢瑠璃乃 → 治療済
・藤島慈   → 治療済
・百生吟子  → 傷の位置調査中
・徒町小鈴  → 治療済
・安養寺姫芽 → 治療済
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