ラブライブ!~蓮ノ空との新たなる日常~   作:薮椿

69 / 588
 今回は楓視点の楓回です。
 そして内容もノリを重視してポンポンとテンポよく進んでいきますので頭を空っぽにしてご覧下さい!(笑)

さらに楓の以下の特徴を抑えておけばより楽しめます。
・ブラコン
・自己中心主義
・μ'sの先輩に対してはクズ


暴走天使楓ちゃん!!

 最近思うことがある。

 

 この私、神崎楓がμ'sに入ってからというもの、私自身があまり目立っていないことに……。

 

 これっておかしくない!?だって私だよ神崎楓だよ!?あの神崎零と神崎秋葉の妹なんだよ!?それなのに目立っていないってどういうことさ!!穂乃果先輩たちばかりお兄ちゃんとイチャイチャイチャイチャしやがってぇええええええええ!!これじゃあ穂乃果先輩をリーダーから引きずり降ろして、私がその後釜に君臨するという素晴らしい計画がパーじゃない!!

 

 

 一部界隈では、『去年の楓ちゃんの方がμ'sのお邪魔キャラっぽくて激しかったよ』とまで言われる始末。そんなことがある訳ない!!お兄ちゃんと共に変態力を鍛えてきたこの身、去年の私なんかに負けるはずなんてないんだ!!

 

 

 

 

 こうなったらやることはただ1つ――――――

 

 

 

 

 μ'sの連中を徹底的に掻き乱してイジメてやる!!こうなったのも全部μ'sのせいなんだ。私のせいじゃない!!

 そうと決まれば早速部室へ行こう!!心躍るよ、μ'sの先輩たちを弄るのは♪

 

 

 

 

~※~

 

 

 

 

 さぁて、誰かいないっかなぁ~♪

 もうイジメるのならこの際誰でもいいや!!とりあえず部室にいる人に突っ込んで暴れてやろう。それにいつもお兄ちゃんにベタベタしている先輩たちに仕返しをしないといけないしね♪

 

 

 え?みんな私の先輩じゃないのかって?μ'sは先輩後輩の垣根をすべて取り払ってるからいいんですよぉ~だ!!

 

 

 そして私は部室の前に到着し、ドアノブに手を掛ける。

 

 

「さぁ、私に遊ばれる幸運な先輩は誰かなぁ~♪」

 

 

 穂乃果先輩やことり先輩だったら一緒に盛り上がり、凛先輩や花陽先輩だったら徹底的に弄り倒して涙目となった表情を見るのも面白いと思いながら、意気揚々とした面持ちで部室のドアを開ける。

 

 

「こんにちはーー!!今日もアルパカみたいなマヌケ面してますねぇ穂乃果先輩た……ち?」

 

 

 珍しく部室はお通夜でもあったかのように静かだった。だけど誰もいない訳ではない。

 部室内に確認できるのは3人。その全員が真剣な面持ちで自らの課題っぽいものに取り組んでいた。私1人だけアウェイな空気の中、その中の1人である海未先輩が私の方へ振り向く。

 

 

「こんにちは、楓。今日も元気ですね」

「当たり前です!!元気が取り柄ですからねぇ~♪」

「穂乃果や凛と同じこと言ってますよ」

「あの2人と一緒なのはヤダ!!だって私までおバカキャラの一員と思われるじゃん!!この前の期末テストで音ノ木坂学院1年生でブッちぎりの1位だったんだよ!?それ以前に高校の勉強課程ぐらいならお兄ちゃん以外には負けないっての!!」

 

 

「ちょっと私は!?私も2年生の中ではテストで毎回1位なんだけど」

 

 

 そして部室にいる3人の中の1人、さっきまで黙って作曲作業をしていた真姫先輩が私に突っかかってきた。全く、どれだけ自分のプライドが傷付けられるのが怖いのやら♪

 

 

「もう、真姫先輩ってば海未先輩と一緒に作詞作曲の途中でしょ?その手を止めてまで私に絡んでくるなんて嬉しいなぁ♪」

「はぁ!?用もないのに誰があなたなんかと絡むのよ!!」

「ひどぉ~い♪可愛い後輩を愛でようとは思わないんですかぁ~?」

「ウザイからヤダ」

「いや~直球ぅ~♪」

「もう分かったからどっか行って……」

「そっちから絡んできたのにぃ~?」

「そうね。人生最大の失態だわ……」

 

 

 真姫先輩はうなだれながら再び作曲の作業に戻った。

 自分から突っかかってきたクセによく言うよ!!こうなったら徹底的にイジメてやるぅ~!!

 

 

「真姫せんぱぁ~い」

「もうっ!!今度はなによ!?」

「えへへ~なんでもな~い♪」

「それ、女の私にやっても鬱陶しいだけだからやめなさい」

「でもなんだかんだで付き合ってくれる真姫先輩のこと、大好きですよ♪」

「キモチワルイ」

「またまたぁ~♪」

 

 

 嫌よ嫌よも好きのうちって言うもんね!!つまり真姫先輩もこの私が好きって認識でOK?また私のファンが1人増えちゃったぁ~♪でも残念ながら私は女の子同士は全く興味ないんで、そこのところよろしくお願いしま~す♪

 

 

「楓、海未と真姫の邪魔しちゃダメよ」

「じゃあ絵里先輩が構ってくださいよ♪うへへ……」

「なによその気持ちの悪い笑い方は……」

「ヒドぉ~イ!!さっきから寄ってたかってみんなで私のことをイジメてくるんですよぉ~海未せんぱぁ~い!!」

「な゛っ!?どうしてこっちに飛び火するのですか!?絵里に面倒を見てもらう約束だったでしょう!?」

「わ、私!?私は次のライブに向けての事務作業で忙しいから無理よ!!」

 

 

 うわぁ~なんか私疫病神扱いされてない?こんなにも可愛い巨乳美少女な疫病神がいるものですか!!むしろいるだけで周りの人を元気にする天使だよ!!だって見てごらんよ。さっきまでシーンとしていた部室が一気に賑やかになったでしょう?

 

 

「もうみんなうるさい!!海未も作詞に集中してよ!!」

「す、すみません……楓、これ以上騒がないでくださいね」

「ほいほーい♪」

「本当に分かってるのかしら……」

 

 

 正直私にとっては作詞や作曲が進まなくても全然問題ないんだけどね!!だって私、作詞や作曲に興味ないしぃ~~行き詰まっても頑張るのは海未先輩と真姫先輩だしぃ~~私にとっては全く関係のない話なのだよ!!

 

 

 

 

 でもそれにしても……

 

 

「…………」

「…………」

「…………」

 

 

 3人共何も喋らず黙々と作業に没頭している。海未先輩は作詞、真姫先輩は作曲、絵里先輩は次のライブのための事務仕事。見ればどれも最終段階でいよいよ大詰めといったところ。今日で一気に終わらせようとしている勢いだ。

 

 

 そして何よりこの3人、全員真面目で面白くな~~い!!

 

 

 只今この部室にはμ'sの各学年真面目ちゃん代表が一挙に集まっている。いつもはおちゃらけた雰囲気の部室も、この3人だけが集まれば超×100シリアスな雰囲気に変わってしまう。この3人が会議をしたら、小ネタすらも挟まないふつ~うの議論をしそう。健全すぎてつまらないよ。

 

 

 そしてそんな空間、この私には似合わないんですけど!?

 

 こんなシリアスな空間にいるだけで私の血が反発作用を起こしてしまう!!自分の身体にそぐわない空気を吸わされて、全身が拒否反応を起こしてる!!

 

 目の前におちょくる対象が3人もいるというのに……しかもいつもの雪穂と亜里沙と違ってあのみんなの憧れの先輩たち!!この私が何もしないなんてことできる訳ないでしょ!!

 

 

 

 からかいたい……

 

 弄りたい……

 

 イジメたい……

 

 そして、いつもクールな先輩たちのその表情を私の手で崩したい……

 

 

 騒ぐ……ドSの血が騒ぐぅうううううううううううううううううううううううううう!!

 

 

 

 

「絵里せんぱぁ~い♪」

「さっき海未に注意されたこと、忘れちゃったの?」

 

 

 絵里先輩は作業に集中しながら私を言葉だけであしらってくる。この私を適当にあしらってもいいのはお兄ちゃんだけだぁあああああああ!!

 最近ポンコツを脱却したのかは知らないけど、絵里先輩如きが私を軽くあしらうなんていい度胸してるね。やはり巨乳の女は自分より貧乳の女を見下す傾向にあるのか……くそっ、調子に乗りやがって!!

 

 

「もしかして手伝ってくれるの?」

「そんな訳ないでしょよく考えてみたらそんなことぐらいすぐに分かりますよねもしかしてまたポンコツーチカになっちゃったんですか笑えますねあはははははははこれだから巨乳は」

「は、早口過ぎて全然聞き取れなかったわよ!?でもそこはかとなく馬鹿にされていたのだけは確かね……」

「後輩から馬鹿にされるなんて……可哀想な先輩。うぅっ……ぐすっ」

「なに涙流してるのよ……」

 

 

 うぅっ……お兄ちゃんや凛先輩からはチョロいと言われ、私のような3つ下の後輩からもナメられる。同情して涙が出ちゃったよ☆もしかして私って演技派!?――――あっ、演技って言っちゃった♪

 

 

「絵里、楓に構っていると日が暮れるわよ」

「ところがどっこい!!私に構うと日が暮れるを通り越してまた日が昇っちゃうんですよ!!」

「自慢することそれ……?」

「もちろんです!!それだけコミュ力があるってことですからね。真姫先輩にはないスキルですよ♪」

「ちょっ!?人が密かに気にしていることを!?」

「私の趣味は人の心を抉って弄ぶことです。特に真姫先輩のような人をね♪」

「本当に零にそっくりねあなたって……」

 

 

 どちらかといえば、お兄ちゃんとそっくりと言われるようにいつも振舞っているんだけどね♪どうせならお兄ちゃんの女の子版と思ってくれても構わない。だけどお兄ちゃんですらタジタジになることがあるから、私はやっぱり私のままなのかも。

 

 

「でも真姫先輩って去年まで後輩がいなかったでしょ?こんなに可愛い後輩ができてよかったですね♪」

「はいはい」

「うわぁ~ん海未せんぱぁ~い!!真姫先輩がイジメてきますぅ~後輩イジメですぅ~♪」

「さっきのやり取りを見てどちらが100%悪いのかは明白なのですが……」

「へ?」

「コイツなに言ってんのみたいな顔しない!!どう考えてもあなたが邪魔してるのが悪いんでしょ!!」

「悪いって……どういうことなんでしょうね?先輩が見ていることは本当に悪いことなのでしょうか?」

「なに急に哲学モードに入り始めてるのよ!!全部あなたが悪いわよ!!」

 

 

 おぉ~!!ツッコミが冴え渡ってきましたねぇ~!!流石伊達にお兄ちゃんの彼女やってる訳じゃなさそうですね、なるほどなるほど……あっ、この人たちがお兄ちゃんの彼女だってことを思い出したら急に腹が立ってきた。これだけツッコミが冴えているのなら、もっと弄りまわしていいってことだよね♪

 

 

「楓、そろそろ落ち着いたらどうですか?笑顔なのはいいことですが他人の邪魔はいけませんよ」

「はぁ~?海未先輩は私が注意されてやめる人間とでも思ってるんですかぁ~?まだμ'sのメンバーのことをしっかり理解していないようですね。こうなったら理解できるまでずっと海未先輩のお側に……」

「それはやめてください!!ストレスで明日にでも死んでしまいます!!」

「そんなこと言われたら……意地でも海未先輩に寄り付きたくなりますよ♪」

「改めて一緒に住んでいる零がすごいと実感できました……」

 

 

 私が暴走することによって私自身も満足できるし、なによりお兄ちゃんが周りから評価されていく――――これぞ一石二鳥だね♪私たち神崎兄妹にとってはwin-winなんだよ!!

 

 周りへの配慮?そんなことを逐一気にしていたら私、精神力を使いすぎて倒れちゃう!!そんなことになるくらいならμ'sだろうが誰だろうが全員巻き込んでやる!!いや、μ'sだったら積極的に巻き込み事故に遭わせるけどね♪

 

 

「楓……まさか教室でもこんな感じなのですか?」

「そんな訳ないですよぉ~教室ではクールな美少女キャラを演じてますよ。あっ、演じてるんじゃなくて元々美少女だった。すみませぇ~ん♪」

「どうして私が謝られているのか分かりませんが、あまり外でこんなことをしてはいけませんよ」

「じゃあ先輩たちにはしていいんですか?」

「それは……鬱陶しく思うときもありますが、穂乃果同様元気が貰えるのもまた事実です。あなたが元気じゃなかったら私も元気でなくなってしまうくらいには、もうあなたのことを身近な存在だと思ってるのですよ」

「そ、そうですか……ありがとうございます」

 

 

 な、なに急に真面目モードに入っちゃって……しかもさっきまで軽くあしらわれていたのに突然褒め出すとかイミワカンナイ!!おっ、真姫先輩のモノマネ段々上手くなってきたんじゃない?

 

 ――――って、誤魔化しているけども、真剣な面持ちで真っ直ぐ褒められるのはちょこぉっと恥ずかしいかな……?

 

 

「亜里沙も言っていたわよ、『楓がお話をしている時、楓の顔はいつも楽しそうでキラキラ輝いている』って。スクールアイドルとして見習いたいとも言っていたわね。私も何でも楽しそうに話す楓のポジティブなところを見習いたいわ♪」

「亜里沙がそんなことを……?それに絵里先輩まで……」

「そうね。私は笑顔が苦手だから、あなたの色んな意味で輝いているその笑顔は羨ましくもあり、目標にしたいと思っているわ」

「ま、真姫先輩まで……どうしてみんな急にデレるんですか!?」

「顔赤くなってますよ楓。可愛いところもありますね♪」

「ぐぐぐ……」

 

 

 ま、まさかこの3人に主導権を握られるとは……ま、まぁ初めて素直な気持ちを聞けて嬉しいけどさ。

 

 クソォオオおおお!!どうしてこんなに動揺してるの!?さっきまで私がずっと攻めつづけてきたのに、たった1撃で撃墜されてしまうなんて……自分でも顔が熱いのが分かる!!

 

 

「あらあら、さっきまでの威勢はどうしたのかしら?楓?」

「顔赤くしちゃって、可愛いわね♪フフッ♪」

「笑顔ですよ楓。笑顔♪」

 

「う゛ぅうううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううう!!」

 

 

 こ、ここまでコケにされるなんて……海未先輩たちの笑顔がまるでさっきまでの私を見てるかのよう。羞恥心と惨めさで今にも逃げ出したくなってきた……。

 

 

 

 

 そんな時、突然私の後ろのドアがガチャリと開いた。

 

 

 

 

「…………楓?なにそんなところで膝を折ってるんだ?」

 

 

 部室に入ってきたのはお兄ちゃん!!こんなベストなタイミングで来るなんて、白馬に乗った王子様とはまさにこのこと!!イジメられているお姫様を助けに来てくれたんだね♪

 

 私はお兄ちゃんの姿を見るなり、お兄ちゃんの胸に思いっきり飛びついた。

 

 

「うおっ!?」

「お兄ちゃぁああああああああああああん!!海未先輩たちがイジメてくるよぉおおおおおおおおおおお!!」

「えっ!?むしろお前がイジメ係じゃあ――――――って、なるほどね……」

 

 

 海未先輩たちがお兄ちゃんに軽く微笑むと、お兄ちゃんも軽く微笑んですべてを察したみたいだった。

 くっ!!お兄ちゃんとあの3人の心が通じ合っているみたいじゃん!!

 

 

「楓ってば可愛かったのよ♪あなたや亜里沙にも見せたかったわ」

「可愛い後輩を持つことができて、私はとっても嬉しいわよ♪」

「妹がいない私でも、妹ができたみたいで楽しいですよ♪」

「だってよ楓。よかったな!!」

 

「うぅうううううううう!!やっぱりμ'sなんて大っ嫌いだァあああああああああああああああああ!!」

 

 

 そして部室にお兄ちゃんたち4人の笑い声が響き渡った。

 

 もう絶対に仕返ししてやるんだから!!

 

 




 ウザカワイイ妹キャラである楓に関してですが、『楓ちゃん可愛い』や『楓ちゃんのことがより好きになりました』などの声が多く、意外と人気のあるキャラみたいで嬉しいです!

 こんなウザくも可愛く、時にはエッチな妹キャラというのが個人的に大好きなので、読者様からの反応がよければもっとメインを張る回を書いてみたいと思っています。最近出番がご無沙汰でしたから。

 次回は『海未と海へ行く』。投稿日時は12日の21時です。
⇒13日の21時に変更します。
 内容は海未の個人回ですが、誰も真面目な内容とは言っていない!!


~付録:楓のμ'sメンバー見解リスト~

・穂乃果
一応リーダーとして認めているが、自分の方が断然相応しいとも思っている。

・ことり
趣味が共に『お兄ちゃん』なのでウマが合う。

・海未
頼れる先輩にしてイジリ要因その1。

・花陽
涙目の表情を常に見たがっている。ただし百合属性ではない。

・凛
テンションは似ているが、胸の大きさが違うので基本見下し。

・真姫
頼れる先輩にしてイジリ要因その2。

・にこ
歳が3つ上だけど、日頃は3つ下として見ている。

・希
μ'sの中では一番苦手。だが最凶の姉に比べればまだまだ。

・絵里
頼れる先輩にしてイジリ要因その3。

・雪穂
貴重なツッコミ役として認めている。

・亜里沙
いつかブラックに染め上げてやろうと目論む。


Twitter始めてみた。
 https://twitter.com/CamelliaDahlia

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。