目下の目標は、スクールアイドル公式が主催するイベントの参加権利を勝ち取ることだ。スクールアイドル界隈を盛り上げるため、その実力があることを示す必要がある。
ただ厄介なのは、その方法が自由形であること。公式としてはその盛り上げる方法すらもこっちに投げているわけだが、そのせいで何から始めればいいのか迷ってしまった。俺と穂乃果の案で、スクールアイドルの曲と衣装を作成し、世界に発信するという、具体的のようでかなり曖昧な方向でとりあえず舵を切ることにした。
しかし、ことりと海未は自分たちの用事があるのであくまでサポート程度の活動しかできない。そのため大学で知り合った新しい友達である、留学生で作曲家でもあるクロエ・テイラーと、海外でのファッションデザイナーを目指す川本美里を引き入れた。
これである程度のスキルを持った人員は揃って、これから参加権利もぎ取りのため動き出せる――――と、そう思っていた矢先の出来事だ。
「薫子ちゃんってば、急にどこか行っちゃったけど何かあったのかな? もうっ、これからだって言うのに!」
「さぁな。言い出しっぺのくせに俺たちに任せっきりで、一体なにを考えてるのやら……」
「そういえば薫子、イベントの説明のとき以外は私たちの成り行きを見守っているだけだったわね。お祭りごとには積極的になりそうなタイプだと思ったから、少し意外だわ」
「穂乃果ちゃんの方が何倍も熱心にわたしたちを勧誘してくるから、みんなを巻き込んだのは穂乃果ちゃんかと思ったわ」
そりゃそう思われても仕方ないわな。単に穂乃果の勧誘能力の高さを買って、自分は余計なことを言わないようにしていたと考えれば辛うじて辻褄は合うが……。
アイツは授業やその他でも、顔を合わせるたびに自分の挑戦していることを嬉しそうに話す。ツーリングやダイビングなど、身体を動かす系の趣味を幅広く経験するのが好きらしい。そんな奴が何故スクールアイドルの応援に携わろうとしているのかも謎だけど、それ以前に情熱がこっちに全く注がれていないことが気になる。趣味には何事も全力だと思っていたのに。哀愁を漂わせていたことと関係があるのだろうか……?
「とりあえず、メンバーは揃ったんだ。こっちはこっちでやれそうなことをやるよ」
「そうだね! 零君のことだから、薫子ちゃんのところへ行くんでしょ?」
「何も言ってないのに、どうして俺の行動が読めるんだ……」
「もう二年以上も一緒にいるんだよ? それにもう
「あなたたち、やっぱり隠しているようで全然隠しきれていないわね。女3人に男1人の集団なんて普通ではないから、最初から怪しいとは思っていたけれど」
「複雑すぎて周りに公言できない関係だと思うけど、わたしは応援してるよ!」
「理解が早くて助かるよ。変な邪推だけはやめてもらいたいけど……」
穂乃果には薫子の様子を見に行こうとしているのが見透かされてるし、クロエと美里には俺たちの関係性がバレている。俺って意外と言動に意志が出やすいタイプなのか……? これからはもっと隠密行動を心がけないと。
イベントに参加するメンバーが揃った矢先に早速一人欠けそうになっている。
それを避けるためにも、そもそも友達として相手が心配のため、俺と穂乃果は薫子のところへ向かうことにした。自分が悶々としたままでは、人を笑顔にするスクールアイドルの応援だなんて到底無理な話だしな。
~※~
「メッセージに返信ないね、薫子ちゃん。既読すら付かないよ……」
「ったく、言い出しっぺのくせに自分から出鼻を挫くなよな……」
キャンパス内を捜索しながらも薫子に連絡を取るが、やはりと言うべきか反応はない。ここまでの言動から気まぐれで戦線を離脱したとは思えないので、本人にとってはそれなりの理由があるのだろう。黙っていなくなるのは解せないが、それもこれもアイツから直接話してもらう必要がある。
とは言いつつも、十数分の捜索で見つかるはずもない。かなり広いキャンパスで、入学してから二ヶ月経った俺たちでも立ち寄ったことのない場所もある。そこに雲隠れされたら探すに探せないため、次に顔を合わせるタイミングを狙うしかないのか。でもなぁ……。
「どうする零君? また明日にする?」
「いや、できれば今日解決したい。今ならキャンパス内にいるかもしれないけど、日を跨げば大学に来なくなる可能性だってある。そうなったらもう俺たちでは追いきれないし、それにあんな侘しい様子のアイツを放っておけるわけないだろ」
「ふふっ、変わってないね。高校時代からずっと」
「なにがだよ」
「べっつに~。だったら早く薫子ちゃんを見つけないとね!」
「あぁ。ただどこを探すのかは思案中だ」
探すとは言っても、俺だって大学のキャンパスに詳しいわけじゃない。部活やサークルをしていないせいで行動範囲が限られている弊害が、まさかこんな形で裏目になるとは……。
今日中になんとかしたいと思いつつ、我武者羅に探してもこっちが疲弊するだけだ。いそうな場所をアイツの友達に訊いてみるか……?
「零、穂乃果!」
「えっ? あっ、絵里ちゃん! 希ちゃん!」
「零君と穂乃果ちゃんが研究室棟の前にいるなんて珍しいねぇ。なにかあったん?」
絢瀬絵里と東條希。俺たちの1つ上の学年で、穂乃果と同じ元μ'sのメンバーでもあった。
同じ大学に進学したので俺たちは再びコイツらの後輩となった。大学生になってからはμ's時代に比べると流石に直接交流する機会は減っているものの、それでもたまに一緒に飯を食いに出かけるなど、過去に紡いだ絆はもちろん切れてはいない。むしろ高校時代の距離感が近すぎたってのもあるかもしれないが……。
「人を探してるんだ。三船薫子、知らないか?」
「三船薫子ちゃん……? 確か零君たちが大学でお友達になったっていう、あの子?」
「まさかその子を探しに離れた研究室棟まで来たの? でもここは一年生が来るような場所ではないから、その子は来ていないと思うけど……」
「だったら二年生のお前らが来るようなところでもねぇだろ。研究室配属は三年生からだから」
「いや、ウチらは秋葉さんに用事があったんよ。だから零君たちもそうなのかなって思って」
「私たちは薫子ちゃんを探し回ってここに来ただけなんだ。実はね――――」
俺たちはここまでの経緯を話す。薫子と学年も違えば知り合いでもないコイツらが何か情報を握っているとは思えないが、捜索が行き詰まっている以上は事情を知る奴らを増やすべきだろう。
「なるほど、二人はスクールアイドルの応援イベントに参加するのね。ただお誘いしてきたその子が、物悲しい様子でいなくなってしまったと……。三船薫子さん……」
「絵里ちゃん? どうしたの?」
「その子の写真とかないかしら? どこかで見たことがある気がするから、顔を確認したいのよ」
「うん、あるよ! ちょっと待ってね」
穂乃果は薫子と一緒に撮ったであろう写真を二人に見せる。
コイツもコイツで交友範囲が広い。元々社交的な性格なので、大学に入って間もなくから今に至るまでずっと友達の輪を広げている。μ'sのメンバーを集めるほどの協調性や、本人の愛嬌の良さもあるのだろう。でも出会って二ヶ月程度でもう選ぶほど写真を撮っているなんて、女子からしてみれば普通なのか……? 俺が思い出作りに希薄なだけか。
写真で薫子の顔を見て、絵里と希は目を丸くする。
そして手持ちの大きな封筒から写真を何枚か取り出すと、その中の一枚を俺たちに渡した。
それに写っていたのは――――
「えっ、これって薫子ちゃん!? しかもこの衣装とステージ、まるでスクールアイドルみたい……」
「まるでではなくて、本当にスクールアイドルだったんよ。ただ活動していたのは高校三年生の一年間だけみたい」
「アイツ、自分がスクールアイドルをやってたなんて今まで一言も言ってなかったな。ん? じゃあアイツがスクールアイドルの応援イベントに参加したのって、自分がスクールアイドルをやってたからなのか」
「でもどうしてそれを隠してるの?」
「それは分からないけど、アイツが曇っている件と何か関係しているのは間違いないみたいだ」
ようやく点と点が線で繋がってきた。でもスクールアイドルをやっていたのなら、なおさらイベントには本気になってもいいはずだ。なんにせよ、真意は本人から直接話してもらう必要があるな。
「ていうか、どうしてお前らがこんな写真を持ってんだよ?」
「知っているでしょう? 私たち、将来のためにスクールアイドル公式でアルバイトをしているって。そして応援イベントの運営にも携わっているの。その活動の一環で、去年のスクールアイドルのライブ映像や写真を宣伝用として集めている最中なのよ」
「えぇっ!? アルバイトは知ってたけどイベントにも関わってたの!? じゃあ私たちと一緒にやろうよ!」
「ウチらはアルバイトだけど一応公式の傘下で、穂乃果ちゃんたちとは立場が違うから一緒にっていうのは難しいんよ。もちろん困っているなら今みたいにサポートはするから許して……ね」
「ことりちゃんと海未ちゃんもだけど、絵里ちゃんと希ちゃんももう未来を見据えているのか……。ぐぐぐ……」
自分より一つ上とは言え、ソイツらも自分の将来を見定めていることを知って嘆きそうになる穂乃果。
俺たちがほのぼのしていただけで、今の大学生ってこれほど早く未来設計をするのが普通なのか?? 俺も少なからずダメージを受けているわけだが、置いてけぼり感は確かにあるかもな……。
だからこそ、将来を見つけるために今の問題を解決しないと。
「とりあえず、ここまで分かればあとはアイツに会うだけだ。でもどこにいるのか――――!?」
「零君? どうしたの?」
「この写真。薫子が立っているステージって……!!」
「そうよ。私たちの大学は練習やライブの場所がないスクールアイドルたちのため、広い敷地を利用して場所を提供しているの。写真の彼女が立っているステージこそ、この大学のステージよ」
「じゃあアイツのいるところって……!! 絵里、希、助かった! 行くぞ穂乃果!」
「あっ、ちょっと待ってよ! ありがとう二人共!」
本人がいるところが分かれば、あとは自白させるだけだ。実際にスクールアイドルをやっていたのに、関連のイベントで人を誘うだけ誘って自分は退避する本当の意味。アイツの問題が解決したとき、俺たちの将来探しの本格的なスタートが切れるかもしれない。
そんな中、俺たちが去った後、絵里と希は俺たちの背中を微笑ましく眺めていた。
「あの二人、高校の時から変わらず人のために走り回るんやね」
「未来について悩んでいるってことりと海未から聞いていたけど、その立派な信念があれば見つけられるわよ、きっと」
~※~
「まさか、そんな息を切らせてまで私を探してたなんて……」
「ふふん、もう逃げられないからね!」
夕日に照らされるキャンパス内。
案の定、薫子は敷地内のステージの近くにいた。普段講義を受けている棟とはそれなりに離れているためか、実はここに来たのは初めてだったりする。絵里の言っていた通り、場所を借りているのかスクールアイドルたちが練習をしている。その近くの木陰で、薫子は彼女たちの様子をノスタルジックに眺めていた。
「勝手に抜け出したりしてゴメン。クロエと美里ちゃん、心配してたよね……?」
「あぁ。でも何かしら事情があるんだって察してたよ」
「糾弾されても構わない。あなたたちを誘った張本人なのに、活動方針の策定を任せっきりになってしまったから」
「理由があるなら話してほしいな。だって、薫子ちゃんもスクールアイドルだったんだよね?」
「っ!? あなたたちはとことん凄いね、隠していた秘密まで暴いちゃったか……」
「俺たちは大したことをしていない。知り合いが教えてくれた情報だ」
「バレちゃったのなら洗いざらい白状するしかないようだね。逃げちゃった理由を……」
夕暮れ時ももうすぐ終わる時間だからか、キャンパス内に残っている人はあまりいない。そのせいか、ステージで楽しそうに練習をしているスクールアイドルの声が離れている俺たちにもよく聞こえる。薫子はセンチな気分になりながらも、ようやく観念したようだ。
「スクールアイドルをやっていたのは本当だよ。高校三年生のとき、つまり去年のことだ。実は二年生の時にμ'sとA-RISEの『ラブライブ!』の決勝を観戦してね、仲間内で憧れとやりたい欲が湧き出ていた。もうすぐで三年生になるけど、それでも青春の最後にとっておきの思い出を残したい。みんなそう思っていたんだ。その夢が一致して、私たちはスクールアイドルを始めた。最初の頃は上手くやれてたんだよ。自分で言うのもアレだけど、私も友人たちもポテンシャルが高い人ばかりだったから。ライブも結構注目してもらえた」
「最初はってことは、途中からは……」
「お察しの通りだ。個々人、活動方針やスクールアイドルに対する熱量が徐々に変化していった。その結果、意見のすれ違いが頻繁に起きるようになってしまったんだ。『ラブライブ!』の全国大会も視野に入るくらいの実力だったんだけどね、結局は努力実らずでそのまま引退。一部の仲間との関係もギクシャクしちゃって、今でも連絡を取っていない人もいるよ」
「そんなことが……。でも、応援イベントには参加しようと思ったんだよね? 薫子ちゃんは、今でもスクールアイドルが好きってことでしょ? じゃあどうしてさっきあの二人を誘う時、私たちに任せてずっと黙ってたの? スクールアイドルをやっていたって聞いた時、だったらなおさら今回のイベントにも熱を入れるだろうって思ってたから……」
最も疑問であったことを穂乃果が投げかける。
すると、薫子は諦めたように微笑んだ。
「先に謝っておくよ。単に私の心が弱いだけだ。イベントへの参加は積極的だよ。でも過去の出来事から不安もある。だからスクールアイドルとして成功しているあなたたちを誘ったんだ。今度は挫折せず上手くいくようにね。でも、そんな成功者の隣にいると自分たちの失敗がより鮮明になる。クロエと美里ちゃんを誘っている時のあなたたちは輝いていた。未来へ進もうとする強い意志を感じた。その眩しさに怖気づいてしまったんだ。黙っていたのも抜け出したのもそれが理由。あなたたちとなら上手くいくと思っていたのに、私自身が弱かったら意味がないよね。たったそれだけの情けない話だよ」
どうやら逃げ出した理由は劣等感らしい。イベントに参加する意欲自体はあったようだが、今なお栄光で輝き続ける穂乃果を前に怖気づいてしまったようだ。
ごく普通の、誰にでもあるようなコンプレックス。それ故に原因は様々であり、他人が解決するのはかなり難しい。結局は本人の心の強さ次第なところもあるしな。
ただ――――
「いいんじゃねぇの、情けなくても」
「えっ?」
「お前が情けないんだったら、今度は俺たちが支えてやるよ。もう友達との絆で恐怖を予知する必要はない。そんな引け目を感じさせなくなるくらい、俺たちがお前を楽しませれば済む話だ」
「えぇっと……」
「なんだ? 歯切れが悪いな」
「いや、あなたたちが私を慰めに来てくれたことは大体察してるよ。でも、想像以上に大きく抱きしめられた感じ。後ろから軽くぎゅっとするのではなく、全身をがんじがらめにするくらいの勢いだったから驚いちゃって……」
「小手先の慰めなんて意味がないと思ったからだ。それに俺たちが場当たり的に慰めても、お前は更なる劣等感を抱くだけだからな」
親ガチャ成功者が親ガチャに苦言を呈するのと同じこと。だから敢えて個々の悩みに寄り添うのではなく、ソイツの全てを包み込むほどの野望を語る。そうすれば今のコイツみたいにきょとんとしてくれるだろう。一瞬だけでも、自分の悩みなんて忘れて。それが狙いだ。そうすれば援護射撃してくれる奴が隣にいる。
「そうだよ薫子ちゃん! 今を全力で楽しめばいいんだよ! 今回のイベントで過去のことも全部受け入れて、その上で私たちが笑顔にしてみせるよ! 薫子ちゃんだけじゃない、スクールアイドルを好きな人たちも、これから好きになる人たちもね!」
「それにお前、スクールアイドルが好きなんだろ? さっきからステージで練習をしているアイツらを眺めてる。寂しそうで、時折懐かしさ、そして見守ってあげたいという暖かい眼差しを送っている。そんな奴こそ今回のイベントに相応しいんじゃねぇの。スクールアイドルが大好きって、お前も最初に抱いていたその純粋な気持ち。それがあれば自分が笑顔になることも、誰かを笑顔にすることもできるよ。きっと」
当時、ただ好奇心でスクールアイドルをやっていた頃の楽しさを思い出せれば、そもそも劣等感を抱いたり過去の恐怖に苛まれる余裕もなくなるだろう。辛いことを楽しいことで上書きすればいい。その役目を俺たちが為す。友との絆が決裂してしまったのなら、今度は俺たちが繋ぎ止めればいい。μ's時代からずっとのスタンスでやってきてるわけだから、俺たちなら絶対にできる。この自信満々な態度こそ、相手を安心させる俺たちの方法だ。
未だ戸惑っている薫子。その手を、穂乃果が強く握りしめた。
「私、薫子ちゃんと一緒にスクールアイドルを応援したい! 誘ってくれたからっていうのもあるけど、それ以上にスクールアイドルが大好きな薫子ちゃんとこの界隈を盛り上げたいと思ったから! 同じスクールアイドル仲間として、一緒に!」
あまりにも眩しい告白。
だが薫子は目を逸らさなかった。今度は逃げなかった。穂乃果の太陽のような魅力から逃れられないと言ってもいいか。張っていた肩の荷が下りた、そんな感じが彼女からする。
「ぷっ、あははっ!」
「えぇっ!? なんで笑うの!? 何かおかしいこと言った!?」
「いやいや、あなたたちがあまりにも壮大なお悩み解決を提示してくるものだから、自分の不安がちっぽけに感じちゃって思わずね。なるほど、ちまちませずに『とにかく俺についてこい』って俺様系理論なんだ。でも安心しちゃうよ。あなたたちと一緒なら、なんでもできると自信が生まれてくるから」
「そうでしょそうでしょ! ちなみに私の説得は零君の受け売りだから!」
「あぁ~零君ってそういうところあるもんね。誰かを強引に引っ張っていく、オラオラ系な性格」
「そうか……?」
俺は自分の意見を述べているだけなので、あまりそういう感覚はない。でもμ's時代もこのやり方で上手く事を運んでたから、指摘されたからと言って今更変えられるものじゃないけどな。
結果的に、薫子の動揺も解消できたようだ。さっきの笑みは噴き出したような笑いだったけど、どんな形であれやっぱり女の子は笑顔が一番だよ。
「それにさ、このイベントで目立てば、もしかしたらあの時の親友ともう一度繋がれるチャンスが来るかもしれない。その友達が今でもスクールアイドルが好き、あの頃のお前との日々が楽しかった気持ちを忘れてなければ、なおさらな」
「確かに! だったら私の夢は、失った絆を取り戻す。あの頃の楽しさを思い出して、それを形にする。そうすればまた紡げるかもしれないから、あの時の絆を」
「私もいいと思う! 絶対に叶えようね!」
「うん!」
薫子は穂乃果の手を握り返した。
これで本格的にイベントに向けて始動できるな。自分の将来に迷走していることに焦りを感じ、彼女から未来への道を提示され、その張本人が逃げ出し、そして迷走中の俺たちがその本人へ道を示す。なんかもう訳の分からない怒涛の一日だったが、これも夢を見つけるための経験になるのかな。
「そういえば、薫子ちゃんも未来を見据えることができたってこと……? また置いていかれちゃった!?」
「ま、まあまだ一年生だから、そこまで焦らなくてもいいんじゃないかな……」
「ぐはっ! ことりちゃんと同じ慰められ方をされた……!!」
「穂乃果ちゃんにも結構な数の地雷が埋まってるんだね……」
コイツの場合、夢を見つけるのはまだまだ先になりそうだな……。
To Be Continued……
とりあえず、第一の問題を突破して、ようやくイベントに参加に向けて動き出すことができた彼ら。果たしてこの先は上手くいくのかどうやら……?
今回のゲストは絵里と希でした!
数年前あれだけ小説で彼女たちのことを描いたのに、口調とか喋り方とかを再確認するため過去の話を読み返したりしていました。姿を描写することはしませんでしたが、大学生のこの二人って物凄く大人の美人になってそうな気がします! 皆さんは各々の妄想で補完してください!
なお、ゲストは毎回なにかしらの形で出演させられればと思っています。今回のスピンオフがオリジナルストーリーなので、皆様の飽きがこないように別の刺激があった方がいいと思いまして……。毎回誰が出演するのか、本編とは別にそちらも期待していただければと思います。
μ'sキャラがゲストなのはちょっとおかしい気もしますが、久々の登場なので新鮮味があるってことで許してください!