ラブライブ!~蓮ノ空との新たなる日常3~   作:薮椿

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あの日の夢を覚えていますか

 スケートリンクでの一件から数日が経過した。

 各々がスクールアイドルの応援イベントに参加するための準備を順調に進める中で、クロエの曲作りの進捗だけは未だに乏しいままだ。村野つかさが氷上を舞う姿に感動し、曲のインスピレーションが湧き出てきたと言っていたはず。なのにあの日からほとんど手つかずなとはこりゃいかに。講義で顔を合わせるたびに進捗具合を確認しているのだが、適当な理由をつけてスルーしやがる。穂乃果も薫子も美里もそれぞれのタスクがもうすぐ終わりそうなので、アイツもそろそろ着手してもらわないと困る。

 

 ただ、進捗が滞っている理由は何となく分かる。村野と妹の話になってから、なにやら深く考え込むことが増えた。理由は分かるが原因は不明なので、またしても女性の心の中に土足で踏み込む覚悟が必要のようだ。俺、別にカウンセラーなんて目指してねぇんだけどな……。

 

 でもクロエは薫子や美里よりも口が堅そうだ。下手に探りを入れたところで素直に悩みを吐くとは思えない。これが天才が故の扱いにくさか、捻くれてるからなアイツ。

 それでも手の打ちようがないわけではない。村野のスケートに目を奪われていたんだ、誰かが自己表現を磨く姿にシンパシーを抱く性格なのは間違いない。それを利用して少しでも隙を作れれば重要な話題をぶっ込みやすくなる。

 

 だったら、次にアイツを連れていく場所は――――

 

 

「零。大学のテラス席で考え事とは、珍しいこともありますね」

「海未か。一人で作戦会議だ。また悩める子羊がいたもんでな」

「クロエのこと、ですか。穂乃果から彼女の曲がほとんど手つかずだと聞きました。大丈夫なのでしょうか?」

「大丈夫じゃねぇからこんなことになってんだよ。ま、早々に次の手を打つさ」

 

 

 大学内のテラス席で作戦を練っていたところ、海未に見つかった。コイツもクロエのことを心配しており、スケートリンクに連れて行ったことで変にトラウマを刺激してしまったとか、若干の負い目でもあるのだろうか。もちろん海未のせいではなく、むしろスケート自体には感動していたのでコイツが気にすることではないだろう。

 

 

「ちょうどいい、お前も来い。今からクロエを誘って連れていく場所がある」

「いや、私はこれから弓道でお弟子さんに稽古をつける必要があるので……。私もクロエのことが心配なのはもちろんなのですが……」

「相変わらず忙しいなお前は。分かった、こっちでなんとかしてみるよ」

「お任せします。お互いに時間が合えば、他にもインスピレーションを刺激できる場所へたくさんご案内します。と彼女にお伝えください。同じ職人気質の仲間として、他の人とは別の角度であなたの助けになることができる……と」

「あぁ、受け取った。お前の気持ちも含めて、アイツと向き合ってみるよ」

 

 

 

 

~※~

 

 

 

 

「全く……。作曲家を作曲中に無理矢理外に連れ出すなんて、どれだけの冒涜か分かっているのかしら?」

「全然進捗ないくせによく言うよ。お前の作業が滞ったままだと、他の奴らがいくら頑張っても意味ねぇんだ。なにで悩んでるのか知らねぇけど、家と大学を行き来してるだけで解決しないから何かしらアクションを起こすしかないだろ」

「浮かぶといいわね。新たなインスピレーション」

「なぜ他人事……」

 

 

 いつも素気ない感じなのだが、今日は持ち前のぶっきらぼうが天井突破してやがる。スケートリンクに連れて行った時もそうだけど、どこか他人事にして気を紛らわせようとしている節がある。普段は海未と同じく自分に厳しくストイックなので、自分の不甲斐なさを他人のせいには絶対にしない。だから今のように投げやりな態度になっているのには理由が必ずあるはずだ。

 

 

「今度はどこかと思ったら、撮影スタジオ……? まさか、実際のスクールアイドルの撮影風景を見学させてくれるのかしら?」

「そのまさかだよ。ただスクールアイドルじゃなくて、()スクールアイドルだけどな」

「どうして()が撮影をしているのよ。もしかして、スクールの修飾が取れてまさしくアイドルにでもなったとか……?」

「察しがいいな。まあ実際に見学すれば分かるよ」

 

 

 スクールアイドルは今や世間にも認知されつつあるコンテンツだけど、どこまで人気が出ようがあくまでアマチュアだ。だがA-RISEのようにスクールアイドルを下地としてプロの道を歩み始める奴も多い。

 そして、元μ'sのアイツもそうだ。俺の知る中でもトップクラスに自己表現能力が高い奴。もしかしたらクロエの想像力を刺激してくれるかもしれないし、コイツに何か悩みがあるなら聞き出す隙を作れるかもしれない。撮影をダシに使っているみたいで申し訳ないとは思うけど、これが今取れる手の最善だろう。

 

 事前に連絡をしてあるので、本人照会をするだけで撮影スタジオに入ることができた。

 廊下を進む中で、壁に貼られたとあるポスターにクロエの目が留まる。

 

 

「現在大注目のアイドル、『矢澤にこ』。この人って元μ'sの……? まさか今から見学する撮影って……」

「あぁ。スクールアイドルの曲を作るなら、参考にするのにこれほどピッタリな奴はいないだろうと思ってさ」

 

 

 撮影部屋の扉を開け放つ。

 その奥では、まさに今この瞬間に煌めきを放つアイドルの姿があった。

 

 カメラを向けられること、たくさんの人の目に晒されること、その中でも可愛いアピールを一切の迷いも曇りも緊張もなく披露できること、全てに慣れ過ぎている。μ'sとしてスクールアイドルを一年間駆け抜け、『ラブライブ!』まで優勝した勢いが今なお続いている。μ'sになる以前もアイドルになるために自分磨きを欠かさなかった下積み時代もあり、そのときに追い求めていた栄光が今まさに己の力となって輝いていた。

 

 ただの撮影なので、ステージの上でもなんでもない。それであっても世界中の全員に観られているという想定で、アイツはどれだけ狭い空間であってもいつも自分の可愛さを最大限に魅せる。

 そして、その魅力にクロエは目を奪われていた。曲作り以外には興味がないコイツが、先日に引き続き別のジャンルの自己表現者に共感している。やはり経験のない外部からの刺激はコイツにとっていい活力剤になるのだろう。ただそれでも本気になれないほどの悩みが存在するってことでもあるので、どれだけ根深い問題なんだよって話だ。

 

 

「その人が穂乃果の曲を作っている人ね」

「真姫……。穂乃果のってより、世界に発信する向けの曲だけどな。まあそれでライブするのはアイツだけど」

「その人は……?」

「西木野真姫。μ'sの作曲担当だ」

「そうなの? でも、どうして担当者さんが撮影スタジオに?」

「にこちゃんのPVの曲、私が手を加えたのよ。スペシャルサンクス枠ってことで見学が許されているわけ」

 

 

 真姫もにこのPV撮影に同行していた。俺は元々知ってはいたのだが、クロエにとってはまさか同じ作曲担当に会えるとは思っていなくて驚きだろう。しかもあのμ'sの作曲担当で、今の自分の立場とこれほど近しい人間はいない。だからこそ、この出会いで得られるものに期待しちまうな。

 

 しばらくにこの撮影を見届けた後、休憩時間になってようやく彼女と対面する。

 あれだけ全力で撮影に向き合っていたのにも関わらず、俺たちと合流した際にも疲れた表情を一切見せないのはやはり高いプロ意識が故だろう。休憩時間かつ見知った俺たちの前なら気を緩めてもいいのに、律儀な奴だ。そういうところが尊敬できるんだけどな。

 

 

「まさか世界に向けてスクールアイドルの曲作りをするなんて、穂乃果も思い切った発想をしたものね。流石の私だってまだ世界に名を轟かせようとしている途中なのに」

「でもテイラー家と言えば作曲家の中でも名家も名家。穂乃果の斜め上の発想でも想像を上手く汲み取れそう」

「そんなわけないわよ。あの子のイメージがどれも抽象的過ぎて、曲にするのがどれだけ難しいことか……」

「真姫と全く同じ悩みを抱えてるじゃない。負債は受け継がれていくものなのね~」

「私はもう解放されたけど、あなたの気持ちは分かるわ。そのためににこちゃんの撮影を観に来たのよね? 確かにやる気は貰えるかも。あの馬鹿みたいに明るい笑顔を観れば」

「あんたの憎まれ口も変わらないわね~いつだって。でも言ってることは間違ってない。私の晴れ姿で悩みの1つや2つ解決するのなら、いくらでもこの勇姿を目に焼き付けるといいわ!」

「えぇ。さっきの姿だけでも十分に伝わってきたわ。これが本物のアイドルの魅力なのね」

 

 

 クロエの奴、村野の時といいやはり相手から表現を得ることに関しては前向きのようだ。自分に悩みがあるからといって外部からの刺激を拒んだりしない。真姫やにことも友好的に接しているので、地雷さえ踏み抜かなければ他人から柔軟にアイデアを取り入れるのだろう。職人肌の奴って自分の考え以外を認めないお堅い奴もいるから、その点コイツは強情なところがないわけじゃないけど、まだマシな部類だな。

 

 

「μ'sのライブを観させてもらったわ。曲も然り、この世には人をここまで笑顔にできるパフォーマンスがあったのね。留学前は家柄もあって落ち着いた曲を作ることが多かったから、ここまで心が躍動したのはスクールアイドルの曲が初めてだった。観客の夢すらも巻き込むような、みんなとの一体感を得られる曲とライブ。感動したわ」

「ありがとう。私のおかげであなたのスランプも解消できたでしょ? 当然よね! この私の撮影を間近で見学できたんだから!」

「そう……ね」

「なによ歯切れが悪いわねー。あんたにも夢があるんでしょ? もしくはそこまで壮大じゃなくても、誰かのためにやり遂げたいことがあるんじゃないの? 名家の娘とか関係なく、自分自身のやりたいことが。それを貫きなさい。私は世界中を魅了し、自分のライブを観た人をみんな笑顔にする、そんなアイドルになりたい。心が縛られたままの曲なんて誰にも響かないわよ。文句を言いながらもずっとμ'sの曲を支え続けた真姫を見習うことね。これでも誇りは高かったわけだしね」

「相変わらずお前の激励はキッツいな」

「甘えや妥協は許さないだけよ」

 

 

 にこの厳しくも優しい激励を受け、クロエはどう思うのか。同じ自己表現者として響くものがあるのか。ぱっと見だとコイツがどれだけ影響を受けたのかは分からないが、にこから目を離さないあたり少なからず共感はできているのだろう。

 

 

「私を見習うかは置いておいて、私にとって作曲は誰かのため自分のため、どちらもあるわ。最初はピアノの延長線で始めたことで、特に誰かに評価してもらうことなんてなかった。でも穂乃果に強制されてスクールアイドルの作曲を初めて、それからμ'sの曲は私が導くんだと段々と誇りを持ち始めた。自分のスキルアップはもちろん、μ'sのみんなの喜ぶ姿、聴いた人の目が輝く様子、どれも私にとっては最高のご褒美よ。今もそのご褒美が欲しいから作曲に全力で取り組む。その誇りを、ずっと心に宿しながらね」

 

 

 感銘を受けるのか綺麗事だと冷笑するのか。人それぞれだとは思うが、現在進行形でスランプ中のクロエにとってはにこの言葉も真姫の言葉も考えさせられるものがあるだろう。今度は真姫の目をじっと見つめている。その目で何を見て、心で何を感じているのか。これで悩みが吹っ切れるとまではいかなくても、胸の内を明かしてくれるくらいに冷静になってくれるといいんだけど……。

 

 

「感謝するわ、二人共。また新しいインスピレーションが湧いて出てきた。これで曲作りが本格的に進められそうよ」

「スケートリンクのときも同じこと言ってなかったか? 結局進捗は変わらなかったし、今回もけむに巻こうとしてんじゃねぇだろうな?」

「大丈夫よ、心配しないで」

「とにかく、私たちが力になれたのならなにより! ただまだ撮影は続くから、最後まで観ていきなさい! 私の撮影現場なんて普通だと観られるものじゃないんだから! 特別サービスよ!」

「これ以上得られるものがあるかは分からないけど、元スクールアイドルの輝きは伊達じゃないわよ。それに、PVで流れる私の新曲ももっと聴いてほしいしね」

「ちょっと! 曲を作ったのは私で、あんたはあくまでアドバイザーよ! 自分の手柄みたいに言わないでくれる? まあとにかく、にこオンステージをもっと堪能したいのなら見学を続けることね。時間を無駄にしたとは言わせないわよ、絶対にね!」

 

 

 その言葉を信じることにしたのか、クロエは撮影の最後までスタジオに居続けた。

 スケートリンクで村野つかさと会話した時もそうだったけど、どいつもこいつも夢の結晶がとてつもなく大きい。俺はまだその結晶が小さいどころか無の状態だけど、このイベント参加を機に育て上げたいところだ。まあ参加できるかはコイツのやる気次第なんだけどな……。

 

 

 

 

~※~

 

 

 

 撮影が終わり、俺とクロエの二人は自販機コーナーでコーヒーを飲みながら休憩していた。

 ソファに座って一息つくクロエ。普段から表情変化が大きいわけではないため現在の心境は測りかねるが、雰囲気的にはかなり落ち着いているように感じる。コイツのお悩み解決に向け心を開かせるためにここへ来たのだが、ぶっちゃけ自己解決してくれればそれでも構わない。これで本格的に作業が進めばいいんだけど……。

 

 

「なにさっきからジロジロ見てるのよ。このご時世、眺めてるだけでもセクハラよ」

「なんでもハラスメントなんて、生きづらくなったなこの世も」

「でも良かったわね。その顔の良さがあれば、むしろ女の子の方から視界に飛び込んできてくれるわよ」

「お前もそうであったら色々楽だったんだけどな。それより、作曲は進みそうなのか? スケートリンクに行ってからずっと思い悩んでたみたいだけど」

「迷惑をかけたと思っているわ。あなたにも、みんなにも……」

 

 

 一応俺たちに負荷をかけていたことを気にしてはいたのか。むしろ平気でいられる方が異常だが、悩みを原因に逃げようとしていなかっただけでも安心したよ。このまま気まぐれで離脱でもされたら、残りの時間的にイベント参加には間に合わないからな。

 

 少し間を置き、クロエは物思いに耽る目になる。

 村野やにこ、真姫からの刺激によって開きかけていた心の扉が、いまゆっくりと開け放たれようとしている。

 

 

「妹とは仲違いをしたわけじゃない。私はあの子を救ってあげることができなかったのよ。あの子はね、元々スクールアイドルみたいに歌のライブでデビューしようとしていた。ただテイラー家の一員というだけで周りからのプレッシャーも凄まじく、大舞台の上でその重圧に押し潰されてしまったの。結果歌うことができず、それがトラウマになった影響で人前で歌えなくなった。今は私と同じ作曲の道を歩み始めてはいるけれど、それはテイラー家に認めてもらうため。それがあの子の真にやりたいことかと言われたら、そうではない」

「なるほど。罪悪感みたいなものを感じているのか」

「えぇ。ただ私も私で作曲活動に必死だったってこともあるわ。あの頃は妹の事情に構う余裕がなかったのよ。自分も重い期待を背負わされていたから……」

 

 

 なんとなく悩みの全貌が見えてきた。

 ヌルっと語り出したクロエの過去。妹を救えなかった負い目があったのか。それは別にコイツが原因ではないと思うのだが、姉妹として何も手だしできなかったことを悔いているのだろう。

 なるほど、だから村野に妹を大切にするようにと忠告していたのか。肉親とはいえ、関係が修復できないほどに亀裂が入ることもある。幸いにも仲が悪いわけではないらしいが、元の関係に戻れる可能性があるからこそ思い悩んでしまうのだろう。

 

 

「たまに思うのよ、自分が夢を追いかけてもいいのかって。妹の絶望を見て見ぬふりをした、この私が……」

「でもお前は穂乃果の手を取った。それにこの前だって村野のスケートに感動してたし、今日だってそうだ。それはお前が夢を掴みたい意志の現れなんじゃないのか?」

「二律背反。夢を語る資格があるのかと自問自答する私と、夢を掴みたい私がいるのよ。相容れない私がね」

「俺は別に両立してもいいと思うけどな。それにこれは勘だけど、お前の中ではもう答えがでているんじゃないのか?」

「どうしてそう思うの?」

「悟ったような表情をしてたからな。にこと真姫と会話をして、ある程度は納得のいく決着がついたのか?」

「えぇ、そうね」

 

 

 やっぱり。

 だから己の過去を打ち明けたのも俺に解決させようと思ったのではなく、気持ちの整理がついて話してもいい段階になったからだろう。これまでにはないパターンだ。

 

 

「みんなとの交流を経て、夢を持つことは輝かしいことだと知った。あの子がまだ道に迷い続けているのであれば、私がその道を照らす光になる。そのためにも自分の夢を貪欲に追い求め、自分で納得し、そして誇れるくらいの結果を出す。応援イベントに参加すると表明したのも、もしかしたら心の中の私は既にそれが分かっていたのかもしれないわね」

「もうとっくに答えは出ていたってことか。でも忘れんなよ、お前には仲間がいるんだ。海未も言っていた。もしインスピレーションが湧いてこないときはいつでも刺激を感じられる場所へ連れて行ってやるって。これだけ自分を後押ししてくれる奴がいるんだ、塞ぎ込んでいる暇なんてねぇよな」

 

 

 村野つかさは妹に、にこは自分のファンのため、真姫は自分の曲を聴いてくれる人たちのため、誰もが誰かの光となっている。夢の形は人それぞれであれ、その目指す方向性は一つの考え方だろう。クロエにはその方向性に共感を得ており、夢を掴むとはなんたるかを自分の中で腑に落ちて理解したようだ。自己表現をするとは言っても、評価をするのは他人だしな。その誰かの照らすくらいの輝きを放たない限り注目もされない。妹を助けたいのなら自分がまず強くなる。普通の考えのように思えても、その覚悟を持つのは中々難しいけどな。

 

 

「そうね、みんなとの出会いがあってことだわ。もちろん、あなたともね」

「俺?」

「えぇ。私にここまで気をかけてくれる、むしろ土足でプライベートな悩みに踏み込んで来るなんてあなたくらいよ。でもその図々しさに救われた。あなたが巡り合わせてくれたのだから、夢を創る人たちにね。向いていると思うわよ、人の心を癒す仕事」

「生憎カウンセラーになるつもりはねぇよ」

「そう、残念。もしかしたらあなたなら妹を任せられると思ったのに」

「アメリカにいるんだろ? 会う未来なんて想像できないけど」

「私が留学しに来ている以上、分からないでしょう」

 

 

 海外女子との交流か。あまり考えたことはなかったけど、これからスクールアイドルはワールドワイドになる。だからスクールアイドルに関わり続ければ世界中の女の子と会う機会もあるってことか。私欲が出ちゃうけど、結構いいかもしれないな。

 

 

「あなたに妹を引き合わせるかはまた考えるとして、今は自分の成すべきことをやり遂げるわ」

「吹っ切れたきっかけはあったのか?」

「幼い頃に抱いていた夢を思い出したの。まさにこの数日で出会った人たちが抱いていた純粋な夢そのもの。子供の頃の夢と侮るなかれ。純粋こそ最も光り輝く。忘れていたわ、自分が輝きたいと思うその純情な願いをね」

「いい気付きだったじゃねぇか。じゃあ期待してるよ。夢を掴んだ、お前の曲」

 

 

 結局は昔に夢を見ていたあの頃の自分こそ、本当にやりたい自分の姿だったってことか。大人になると現実を直視し過ぎて忘れちまうもんな。

 輝くことか……。クロエの悩みを解決するのがメインだったけど、俺自身も成長できたかもしれない。これで全員の足並みが揃いそうだし、そろそろ自分自身のやりたいことも考えてみるか。

 

 

 

 

To Be Continued……

 




 珍しくヒロインが悩みを自己解決しちゃってたパターン!
 でも解決に導いたのは彼なので、結局はまたしても株が爆上がり。多分この小説以外のところでも彼を慕う女の子は増え続けていることでしょう(笑)

 そして、今回のゲストは真姫とにこでした!
 元々芯が強い二人なので、クロエを激励する役目にはピッタリな人材だと思いました。憎まれ口を叩き合う会話など、久々にこのコンビが帰ってきたんだなぁと執筆して懐かしくなっちゃいました!

 これでμ'sは全員出演した? いや最後にもう一人……?
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