ラブライブ!~蓮ノ空との新たなる日常~   作:薮椿

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 今回は前回のパンツ攻防戦(零君1人)の続きとなっています。
 戦いにボスは付き物、そして今回の話のラスボスは……

 そしてコラボ回と少し似てしまったかもしれない。


湯けむり温泉パンツの旅(後編)

 

「あぁ~もうっ!!旅館にまで来て勉強するなんてぇ~!!」

「受験生たるもの、1日でも時間を無駄にはできませんから」

「明日は観光の日だから、もう少しだけ頑張ろ穂乃果ちゃん♪」

 

 

 結局、亜里沙のパンツが俺のポケットに収められたまま勉強会が始まってしまった。

 温泉を上がって卓球やゲームコーナーで遊んだ後、俺たち4人は部屋で軽く勉強をしているのだが、その間にも俺の頭はパンツに支配されていた。

 

 ちなみに亜里沙も含め、誰も彼女がパンツを落としたことには気付いていない。多分亜里沙は脱衣所にパンツを2つ持っていったのだろう。そうでなければ騒ぎになっているはずだしな。それに自分がパンツを落としたとは普通思うまい。つまり俺は、亜里沙に自分がパンツを落としたことに気付かれる前にこのポケットにあるパンツを彼女のカバンに戻さなければならないのだ。

 

 

「零くん?」

「ど、どうしたことり?」

「温泉出てから様子が変だよ?もしかして……ことりたちの湯上りに興奮しちゃったのかな♪」

「そ、そうなんだよ!!温泉上がりの女の子って、普段と違ったエロさがあるよな~!!ほら、肌がツルツルになってるしさ」

「ふ~ん。でもそんなことで零くんが挙動不審になるのって珍しいね」

「お、お前らと久しぶりの温泉旅行だからな。あはは……」

 

 

 ことりの奴、俺の様子がおかしいことに気付いてやがったのか……察しがいいというか、普段からベタベタくっついていたらそりゃあ分かるか。

 

 

 とにかくこのパンツさえ亜里沙のカバンに戻してしまえば問題はすべて解決する。そしてこの俺がただぼぉ~っと勉強会に参加していたと思うか?その間にしっかりと作戦は練った、今晩みんなが寝静まってからが本番だ!!

 

 

「零く~ん!!早く数学教えてよぉ~」

「えっ、あ、あぁ……」

「零も合格判定がすべてAだからと言って気を抜いてはいけませんよ。脳というのは常日頃から動かしていないと、いざという時に頭が回らないものなのですから」

「やるやるやりますよ!!だから旅行にまできてお説教はやめてくれ」

「だったらこの問題を終わらせて早く寝ましょう。明日は朝早くから観光なのですから」

「そうだね。ことりも頑張る♪」

 

 

 落ち着け、まだ焦るような時間ではない。どうせみんなが寝静まるまで動けないんだ、変にキョドらないようにしねぇとな。パンツだけは見つからないようにしないといけないけど。

 

 

 そして勉強会は滞りなく順調に進み、気付けばもう午前0時を回っていた。今日は朝からみんなで観光に行くこととなっているので勉強会はこれでお開きとなり、各々就寝の準備を終え寝床につく。

 

 

 

 

 そうだ、もう少しで俺の計画が遂行される。そしてこの計画が完遂された時、晴れて俺はパンツの呪縛から解放されるのだ。初めは天使である亜里沙のパンツということで困惑していたが、今の俺にとってはRPGの呪い装備のような感覚。手放してくても手放せない。だが遂に、俺の脳内を支配し、俺に苦悩を与えてきたパンツとようやくお別れする時がやって来るのだ!!

 

 

 

 

~※~

 

 

 

 

 深夜3時。

 

 部屋から抜け出した俺は、現在亜里沙たちの部屋の前に立っていた。もちろん俺の浴衣のポケットの中には、呪い装備こと天使のパンツがある。俺は真っ暗な廊下の中でパンツを取り出し、シワを直しながら両手で広げてみる。

 

 

「もうお前ともお別れか。短い付き合いだったけど、こうして思い返せばいい思い出だったのかもな。次再会する時は、亜里沙に履かれている元気な姿を見せてくれ」

 

 

 そんな馬鹿なことを呟きながら、俺はパンツが入っていた反対側のポケットから部屋の鍵を取り出す。俺の部屋の鍵ではなく、亜里沙たちの部屋の鍵をだ。どうして他の部屋の鍵を持ってるかって?1年前、みんなの寝顔を盗撮する際に使った鍵複製マシーン改二を使ったんだよ。(『日常』21話:寝起きドッキリ! 参照)

 

 

「よしっ、神崎零、戦地へいざゆかん!!」

 

 

 意気込みを入れた掛け声と共に、亜里沙たちの部屋の鍵穴に複製した鍵をブスリと挿入する。この表現で変な想像をした奴、変態な。

 

 

 ドアを開ける音、部屋に上がる足音、完全にかき消すことはできないが漏れてしまう音の中でも最小音量になるよう、1つ1つの動作にたっぷりと時間を掛けて部屋へと侵入する。入口に置いてあるスリッパで足を滑らさないよう細心の注意を払いつつ、寝床へのふすまをまた数分もの時間を掛けて慎重に開ける。

 

 

「ほっ、よかった。3人共ぐっすり寝てるな」

 

 

 真っ暗な部屋の中で雪穂、亜里沙、楓の3人はすぅすぅと可愛い寝息を立てて眠っていた。入口側にいるのが楓、奥の窓側にいるのが雪穂、その間に亜里沙がいる。3人共仲良く川の字で寝ちゃって、とりあえずこの光景を写真に撮っておこう。なんかほっこりしたから。

 

 

「えぇ~と、カバンはどこに置いてあるんだ……?」

 

 

 暗くて部屋の状況がよく見えないため、下手にその場から動かずにまずカバンが置いてある位置を探る。

 枕元にお菓子やらジュースやら、ちゃんと片付けてから寝ろよな……しかも携帯まで床に放ってあるし、そんなに俺に踏んで欲しいか。

 

 

「あっ、あんなところにあった」

 

 

 真っ暗闇の中だが、意外にも早くカバンは見つかった。窓から部屋へ微かに月明かりが入り込んでおり、カバンが丁度その月明かりに照らされていたのだ。だが、亜里沙のカバンは雪穂と楓のカバンよりも更に奥に置かれていた。2人のカバンを乗り越えない限り、亜里沙のカバンに到達できそうにない。

 

 どうやら神は俺に試練を与えるのが好きらしいな。だが、ここまで来て諦める訳にはいかねぇだろうが!!

 

 

「だがその前に……」

 

 

 その前にこの呑気にグースカ寝ている3人衆を乗り越えなければ、カバンにパンツを戻すどころかカバンの所まで辿り着けやしない。枕元を通って行こうとしても、先ほど言った通りお菓子やらジュースやらが散乱していて足の踏み場がほぼ皆無になっている。俺に残された手段はただ1つ――――――

 

 

 

 

 コイツらの身体の上を跨いで行くしかない!!!!

 

 

 

 

 人の身体を跨ぐのは少々気が引けるが、この茨の道を通らなければ俺はずっとパンツに縛られたまま生きていくことになるだろう。ここは覚悟を決めて飛び込もう。

 

 

 コイツらの身体を踏みつけてしまわないようにするのはもちろんだが、布団で足を滑らせる、足をついた時に畳が軋む音など、微量も音が出ないよう神経を尖らせる。可愛い寝顔を横目で見つつも、足元の警戒を怠らないようゆっくりと足を動かしていく。

 

 それにしてもコイツら、どうして真っ暗闇の中で寝てるんだよ。豆電球ぐらい点けておけば俺が楽になったのに……だが俺も寝る時は真っ暗だから、そこに文句は言えねぇけど。

 

 

 

 

 まあいい。もう目も慣れてきたし、このまま俺の完全勝利でこの試合の幕を下ろしてやろう。

 

 

 

 

「ん?あ、足が……」

 

 

 

 

 楓の身体を乗り越え、次に亜里沙の身体を乗り越えるために右足を上げようとした瞬間、反対の左足が動かないことに気が付いた。

 こ、これって金縛り!?でも動かないのは左足だけだし、しかも誰かに足を掴まれているかのように暖かいのだが――――――

 

 

 

 

 俺の理解が正解へ辿り着きそうになった時、さらに次の動きがあった。

 後ろでゴソゴソと布団が擦れる音が聞こえたと思ったら、いきなり俺の口が何者かの手によって塞がれた!!

 

 

「んーー!!んーー!!」

「しっ!!静かに!!雪穂たち起きちゃうでしょ!!」

 

 

 や、やはりお前か!?

 後ろから俺の身体に抱きついて口を封じて来たのは、やはりと言うべきか楓だった。でもどうして起きてるんだよ!?俺の忍び足テクニックは、みんながみんな俺を忍者の子孫かと勘違いするほど完璧だったはずだ!!

 

 

 何とか落ち着きを取り戻した俺は、抵抗をやめてその場に座り込む。楓も俺の様子を察したようで、音がしないようゆっくりと口と身体の拘束を解いてくれる。

 

 

「ぷはっ、急に飛びかかるなよ、ビックリするだろ……」

「女の子の部屋に勝手に忍び込む人に言われたくないんだけど……むしろ私は正当防衛だよ」

 

 

 まさか楓に正論を言われるとは、世も末だな……。

 でも楓だけに見つかったのは不幸中の幸いかもしれない。とっとと亜里沙のパンツを渡して、楓から返してもらえばいいんだから。

 

 

「どうしてこんな時間の起きてんだよ……?」

「お兄ちゃんの気配と匂いがしたからだよ♪」

 

 

 全くもって予想通りの答え、本当にありがとうございました。いくら犬でも寝ている間に匂いを嗅ぎつけるなんてしないぞ……もしかして警察犬と勝負をさせたら楓が勝ってしまうかもしれない。そんなことになったら放送事故だな。

 

 

 おっと、そんなくだらないことを考えている時間はないぞ。

 

 

「で?お兄ちゃんはどうして私たちの部屋に……?」

 

 

 俺は事の事情を話して楓にパンツを渡すつもりだったのだが、コイツの顔を見て血の気が引いた。

 

 

 

 

 こ、コイツ……目が光ってやがる!!!!

 

 

 

 

 暗闇の中で獲物を狙う狼のように、目を獰猛に輝かせて俺の顔を見つめてくる。これは……明らかに俺を弄んでやろうと言わんばかりの顔だ!!今のコイツが俺の頼みを易々と聞いてくれるはずがない!!これは完全にやっちまったぁあああああああああああああ!!

 

 

「り、理由を言わずにこの場を解決するというのは……?」

「そんなことをしたら大声出しちゃうよ♪わざわざ鍵を複製してまで部屋に忍び込んでるんだから、雪穂と亜里沙にバレたらマズイんだよね?」

「ぐっ…………」

 

 

 雪穂にバレたらまた罵倒と冷徹な目線を貰うだろうし、亜里沙には俺が彼女のパンツを持っていることを知られたくない。かと言ってここで楓にバラしたところで、それが解決できると言われたら微妙な話だ。退路が……絶たれている。

 

 

 チラッと横目で雪穂と亜里沙の寝顔を見た。2人とも一定のリズムで寝息を立て、可愛い顔ですぅすぅと眠りこけている。あまりにもその寝顔が綺麗なので、その顔を羞恥に満ちた表情に変えてやりたいとドス黒い妄想をしながらも、この状況を穏便に切り抜けたいという俺の気持ちに偽りはない。

 

 

「言ってくれないのぉ~?女の子の部屋に忍び込んだだけでも犯罪なのにねぇ~♪ここで大声出してみんなの部屋を回ってもいいんだよぉ~♪」

 

 

 ウチの妹がウザ可愛いんだがどうすればいい……?絶好の獲物を見つけたかのようにニヤついてるし……ここはもう諦めるしかなさそうだな。

 

 

「分かった、全部話すよ」

「待ってました!!」

「声うるせぇって!!」

 

 

 楓の恐喝には、勝てなかったよ…………。

 

 

 

 

 俺は楓に事のあらましをすべて説明した。亜里沙のパンツを拾ったこと、木を登って露天風呂を覗きそうになったこと、そしてこの部屋に忍び込んだ理由も全部。

 

 

 そしてそれを聞いた楓は――――――

 

 

 

 

「アハハハハハハ!!バカだねぇ~お兄ちゃん!!」

「しっーーーーーー!!バカはお前だ!!大きな声出すなって言ってんだろ!?」

 

 

 コイツわざとやってるな!?俺の焦る姿を見て更に口を抑えて笑ってるし。やはりコイツがこの部屋にいる以上、例え深夜でも忍び込むのはマズかったな……。

 

 

「話は分かっただろ?だったら俺の代わりにパンツを亜里沙のカバンに戻しておいてくれ」

 

 

 

 

「い・や☆」

 

 

 

 

「は………………?今なんて?」

 

 

 

 

「い・や☆」

 

 

 この暗闇でも分かる、楓の憎たらしい笑顔と言ったら…………この笑顔も可愛いのが更にムカつく。怒るに怒れないから。

 

 

「ど、どうして?」

「そんなの、お兄ちゃんがパンツ握り締めたまま悶え苦しむ姿を見たいからに決まってるじゃん♪」

「そうだな、お前はそういう奴だった……もういい、パンツ返してくる」

「おっとそうはさせないよ!!」

「なにっ!?」

 

 

 俺が立ち上がろうとした時、楓は俺の首に手を、腰に脚を回して抱きついてきた。俗に言う『だいしゅきホールド』ってやつだ。

 

 くそぅ、無駄にいい匂いしやがって!!楓が実妹でなったら、ここでコイツのバージンは貫かれているところだっただろう。いや、実妹であっても俺の性的欲求が大いにくすぐられている。高校1年生にしては発達し過ぎているおっぱいを存分に俺へ押し付け、軽く腰を動かして俺のアレをグイグイと刺激し続ける。お互いに生地の薄い浴衣ということもあって、身体の感触がほぼ直に伝わってくる。

 

 

 いつからこんなテクニックを身に付けやがったコイツ!!

 

 

「お、おい!!」

「抵抗したら大声出すよ?」

「くっ……」

 

 

 このままでは楓の思う壺だ。何としてでもこの状況を打破し、亜里沙のパンツをカバンへ返却しなければ!!でも俺がこの部屋にいる限り楓の天下は揺るがない。作戦を考えようにも楓のおっぱいの感触と、俺のアレを楓の腰使いでシゴキ上げられる快楽でマトモに頭が回らない。流石俺の妹と言うべきか、俺の悦ぶポイントを熟知してやがる。

 

 

「お兄ちゃん気持ちよさそうだね♪でもいつまでも私の天下じゃ面白くないし、お兄ちゃんにチャンスを上げるよ♪」

「ちゃ、チャンス……?」

「明日、一緒に温泉へ入ってくれるならいいよ♪しかも2人きりでね」

「えっ、でもこの旅館に混浴温泉は……」

「この旅館にはないけど、実は近くにあるんだよねぇ~」

 

 

 それは俺の調査不足だった……かと言っても混浴温泉なんて、海未や真姫に止められるから行かせてもらえないだろう。

 でも楓となら兄妹だしやましいことは…………あるな。だがここでの選択肢は1つに絞られていると言ってもいい。

 

 

「分かった、行くよ」

「ホントに!?」

「声大きいって!!まぁ、明日何とか理由を付けて抜け出せばいいだろ」

「約束ね♪」

「へいへい……」

「よしっ、私のお願いを聞いてくれたから身体を離してあげよう」

 

 

 ようやく楓は俺の身体の上からどいてくれた。おっぱいやアレをシゴかれていた刺激が今でも残っていて、無性にムラムラする。そこへ追い討ちを掛けるように雪穂や亜里沙の寝顔が目に飛び込んできて、俺の性的欲求は更にエスカレートした。

 

 

 だ、ダメだ!!今は何としてでもこのパンツを返さなければ!!やっとラスボス(楓)を倒したんだ、エンディングでゲームオーバーなんて洒落にすらならねぇぞ。今は欲求をグッと押さえ込んでクエストの達成を目指すんだ。

 

 

 そして俺は亜里沙の身体を乗り越えようと右足を上げる。その時だった、部屋が急に明るくなり――――――

 

 

 

 

「あぁあああああああああああああああああああ!!お兄ちゃんが亜里沙のパンツ盗んでるぅううううううううううううううううううう!!お兄ちゃんに襲われるぞ!!2人共起きろぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」

 

 

 

 

「お、オイお前何言ってんだ!?」

 

 

 突如として楓が電気を点けた同時に、事実無根なことを大声で叫び始める。もちろんそんな状況で起きない奴がいない訳はなく、雪穂と亜里沙はバチッと目を開けた。

 

 

「な、なに!?どうしたの楓!?」

「も、もう朝ですか……?」

 

 

 雪穂は驚いた顔で、亜里沙は眠そうな顔で目を覚ましてしまった。対称的な表情をしていた2人だが、部屋にいたイレギュラー、つまり俺の姿を見た瞬間、2人は目を丸くして全く同じ表情になる。

 

 

「れ、れれれれ零君!?」

「ど、どうして私たちの部屋にいるんですか!?」

 

 

「か、楓……貴様ァ」

 

 

「チャンスをあげるって言っただけで、大声を出さないとは言ってないからね♪あはっ♡」

 

 

 忘れていたよ。

 楓は俺の妹でもあるが、あの神崎秋葉の妹であったことを…………。

 

 

 

 

~※~

 

 

 

 

「誠に申し訳ありませんでした」

 

 

 俺は亜里沙の前でおでこを畳に擦りつけながら土下座をしていた。ちなみにパンツはなるべくシワを取って、俺と亜里沙の間に広げて置いてある。うん、いつ見ても可愛いパンツだ!!

 

 

「もういいですから、頭を上げてください!!そこまで謝られるとこっちが申し訳ないですよ」

「いや、これは俺なりのケジメだから!!」

「お兄ちゃんにケジメとかあったんだ……」

「お前は黙ってろ、このゲス」

「ヒドイなぁ~もう♪」

「楓、これ以上零くんを困らせたらダメだよ!!」

「はぁ~い♪」

 

 

 亜里沙様天使過ぎるだろ!!もっと小悪魔である楓に天罰を……!!

 

 結局亜里沙からは怒られることはなく、むしろ見つけて返してくれたことにお礼の言葉まで貰った。よくよく考えてみれば、俺はパンツを盗んだのではなく返すために自分のポケットに入れていたんだから、流石にこれはセーフだろ。セーフだよな!?

 

 ちなみにパンツの件に関してはこの4人だけの秘密にしてくれるそうだ。楓という不安因子がいるので、どこまで信用できるのか怪しいが……。

 

「でもいちいち部屋に忍び込まなくても、普通に返したらよかったのでは?」

「普通に返したら雪穂に怒られるし……」

「怒りませんよ!!ていうか、2つ年下の女の子にどれだけ恐怖抱いてるんですか……」

「あの人をゴミのように見下す冷徹な目線は今でもトラウマだ……」

 

 

 壊れる時は穂乃果並みにはっちゃける雪穂だが、やはり普段のクールな彼女から繰り出されるその目線は、世間の男を再起不能に叩きのめすくらいの威力はある。俺以外の男だったら間違いなく立ち直れないだろうな。

 

 

「悪かったな、亜里沙。こんな形で返しちゃって」

「いえいえ!!むしろ、拾われたのが零くんでよかったなぁ~なんて♪」

 

 

 あぁ、頬をちょっぴり赤く染めながら恥じる亜里沙の顔、可愛過ぎて悶絶しそう。この表情が見れただけでもパンツを死守した甲斐があったってもんだ。変態野郎やレズ女の手に渡らなくて、本当によかったよかった!!どうせなら木に登った時に露天風呂を覗けられれば一番よかったんだがな。

 

 

 あぁ~パンツも無事に返せたし、これでめでたしめでたし!!今日はいい気分で寝られそうだ。

 

 

 

 

「それじゃあお兄ちゃん、明日の混浴温泉よろしくね♪」

 

 

 

 

 ――――――空気が、凍った。

 

 

 

 

「お、オイ!!どうして今それを言う!?」

 

 

「「こ、混浴!?」」

 

 

 ほらぁ2人が反応しちゃったじゃねぇか!!もうどこまで行っても油断のできない奴だ!!1つ試練を乗り越えたって言うのに、また俺に試練を与えようっていうのかぁああああああ!?

 

 

「どういうことですか……零君?」

「こ、混浴温泉なら私も一緒に入りたいです!!」

「ふ、2人共!!落ち着いて!!」

 

 

「あはは♪楽しみだねぇ~お兄ちゃん♪」

 

 

 

 

 俺の夜は、まだまだ終わりそうにもない…………。

 

 

 




 その後、混浴温泉に入ったのかはまたいつか語られるでしょう(フラグ)


 割と穏便(?)なオチになった気もします。正直元ネタの木に登って露天風呂を覗きそうになるというシーンが強すぎて、後半のシーンはあまり覚えてなかったんですよね。まるっきりコピーもあれなので、これでよかったのかな?

 そして前回今回と温泉に来ているのにも関わらず入浴描写が少なめだったので、次回は予告通りのお風呂回です。(旅行編は終わりなので全く別の話)

 ちなみに次回の混浴相手はのぞえりコンビ!!


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 https://twitter.com/CamelliaDahlia

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