そうは言っても今回はギャグ路線の話がメインですが……(笑)
再び砂でお城とその城下町の作成を開始したシスターズと別れ、俺たちは一度荷物を見張っている秋葉の元へと戻ってきた。
今日は普段より涼しいといっても夏の暑さなことには変わりはなく、虎太郎が熱中症になってしまわぬよう水分の補給をしに来たのだ。俺って気が利くぅ~!!
俺たちの荷物が置いてあるパラソルに戻ってみると、何故かそこにいるはずの秋葉がおらず、代わりに赤毛のツンデレちゃんが俺のカバンを枕にして優雅に本を読んでいた。
「何してんだ、真姫ちゃんよぉ」
「どうしてヤクザ口調なのよ……。ただ本を読んでるだけだけど。騒がしいのは好きじゃないし」
「お前らしいな」
そういや去年の夏合宿の時も、みんながビーチで遊んでいたのにも関わらずずっと本を読んでいたっけ。
スクールアイドルとして舞台に上がっている時のテンションと比べてみると、真姫って普段と全然キャラが違うよな。アイドル姿の真姫は可愛い印象だが、こうしてサングラスを頭に掛け、持ち前のスタイルを見せびらかすように仰向けで横になっているその姿は、まさに気品溢れるお嬢様だ。本当に高校2年生かよ……。
真姫の水着はヘソ出しワンピースって言ったらいいのかな?結構生地が厚めの水着だ。下は紺色ヒラヒラの付いたスカートで、見た目だけでも高級感しか感じられない。
つうか運動嫌いなのに、どうしてここまでスタイルも肉付きもよくなれるんだ?明らかに彼氏である俺を誘ってるよね!?そうだよな!?しかも真姫が堂々とヘソや太ももを晒すことは日常でもないため、これは襲ってOKのサインだったり!?
でも虎太郎にはまだ刺激が強すぎるな。流石の俺でも幼稚園児を性欲に目覚めさせるほど外道ではない。ここはグッと抑えよう。
「そういや、秋葉はどうした?」
「みんなの分のお昼ご飯を買いに行ったわよ。私たちが持ち寄ったお弁当だけだと、どう考えても少なかったし」
「それでお前が荷物番を任された訳か。俺のカバンは枕にされてるけど……」
「近くにあって、頭の高さ的にもピッタリだったから使わせてもらってるわ」
「枕にする前に断ってくれませんかねぇ……」
しかもコイツ、俺の目を見ず読書をしながら適当に会話してやがる……人と話す時は相手の目を見ろって子供の時に習わなかったのかぁああああああああ!!
まぁそんなツンデレかつクーデレな性格が真姫なんだろうけども。
「じゅーす~」
ピコッ!!
「だからいちいちハンマーで叩かなくても分かってるって」
「おれんじ~」
「へいへい」
俺はクーラーボックスから程よく冷えたペットボトルを取り出し、キャップを開けて虎太郎に渡す。
虎太郎はペットボトルに口を付け、小さな喉をコクコクと可愛らしく鳴らしてオレンジジュースを飲み始めた。
こうして見るとやっぱり幼い子供って可愛いな――――――ハッ!!ち、違うんだ!!さっきの発言は決してロリコンやショタコンを意識した発言じゃないからな!!気にするんじゃねぇぞ!!
「なに1人で頭抱えて震えてるのよ……」
「俺は何も悪くない……自分の中の純粋な気持ちを素直に吐き出しただけなんだ」
「なにそれイミワカンナイ……」
でも邪な気持ちを抜きにしても、こころやここあ、虎太郎ってすごく可愛くないか?どこか危なっかしいから面倒を見てやりたいという、お兄さん心が生まれてしまうほどには。にこがいいお姉さんになった理由が分かる気がするよ。
「読書もいいけど、ちょっとくらいはみんなと遊ぼうぜ。真姫が来たら、穂乃果や凛や俺が喜ぶと思うぞ」
「さっきさらっとあなたまでいなかった……?ま、後から適当に合流するわ」
「おう、じゃあ俺たちはみんなに昼飯だって伝えてくるよ」
「えぇ」
結局真姫は俺の顔を一度も見ることなく読書を続けていた。
でも俺は知ってるぞ、アイツの顔が赤くなっていたことを!!多分だけど、自分の水着姿見られるのが恥ずかしくて、俺に興味がないよう装ってたな。もう付き合い始めてから半年以上も経ってんだ、それくらい余裕で分かるって。
お昼ご飯の時に、敢えてみんなの前で水着を褒めてやるか!!
真姫の羞恥に悶える顔を想像すると……うん、ゾクゾクしてきた。
~※~
俺と虎太郎はみんなに昼飯の招集を掛けるため、再びビーチへと繰り出す。
屋台や海の家へ昼飯を買いに行った人も続々と自分の陣地に戻りつつあり、また浜辺に人が多くなってきてアイツらの捜索は困難になるかと思われたのだが――――――
「いた~」
「ホントにな。アイツらどんだけ騒いでるんだよ……」
女の子同士でキャッキャウフフしている声が聞こえたと思って近付いてみたら、ギャーギャーと叫び声と怒声が飛び交う怪しい集団だった。それが俺の彼女たちだとは思いたくなかったのだが、現実は非情である……。
試合を見てみると、穂乃果・楓ペアvsにこ・凛ペアのバトルらしい。審判・得点ボード係には希が任命されている。
「穂乃果先輩!!あんなひんにゅー組なんて、とっとと蹴散らしてくださいよ!!」
「モチのロンだよ!!にこちゃんの無い乳に、この希ちゃんクラスのビーチボールぶち込んであげるから!!」
「流石のウチでもそこまで大きくはないんやけど……」
楓の奴、また胸の大きさであの2人を煽っているのか……いつも通りと言われればいつも通りだけども。それより穂乃果まで楓に便乗するとは珍しい。胸が去年よりも一回り大きくなったとは言え、そこまで友達を煽る奴じゃないんだけど……希もちょっと呆気に取られてるじゃん。
「そんな脂肪の塊、なくたって零くんは凛たちを愛してくれるもん!!」
「その通り!!大切なのは、零から手を出されるか出されないかよ!!」
オイ!!大きな声で手を出されるとか言うんじゃない!!まるで俺が所構わず女の子を食い荒らすクズ野郎にしか聞こえねぇだろ!!自重しろよお前ら!!――――とか言っても、恐らく試合に燃えているコイツらの耳には入らないんだろうな……。
ここで一気に4人の水着を解説するぞ。にこは一番初めにやったからカットで。
穂乃果の水着は、自分のイメージカラーと同様であるオレンジ色のビキニだ。ちょっと生地が薄めなのは俺を誘っているからなのだろうか……?ビーチバレーの試合が激化しているせいか、お尻に水着がキュッと食い込んでいるのが何ともエロい。
凛の水着は、これまた彼女のイメージカラーである鮮やかな黄色の水着だ。下はスカートになっているのだが、若干露出が多くて、彼女のカラダ付きから見ると色気はないがエロさはある。恋人同士になるとやっぱりカラダがちょっとばかり貧相でも、そういう目で見てしまうんだよな。
希の水着は白を基調とし、周りに紫色の装飾が付いている水着だ。よく見てみれば、にこの水着と非常によく似ていて、ヒラヒラのスカートに紫の薔薇が際立っている。それに何より、一番目立つのは彼女の豊満な胸!!通りがかる男も振り返ってしまうようなその果実が、水着によって締め付けられ、その大きさをより主張させている。クソエロい……。
楓の水着は紐のような際どいを通り越した究極の水着……ではなくて、ちょっと大人びた黒のビキニだ。どちらかといえば色白なコイツが黒を身に纏っているため、逆にその綺麗な白い素肌がより強調されている。妹にこんな目を向けるのはどうかと思うのだが……。
「このゲームさえ取れば私たちの勝利ですよ、穂乃果先輩!!」
「うん!!にこちゃんと凛ちゃんには悪いけど、ボコボコにしてあげるよ!!」
楓と穂乃果の殺気がヤバイ。同じアイドルグループで活動しているメンバーにそこまで言うのか……やはり恐ろしいな、女の争いは。デパートの安売り商品に群がる、何が何でも商品をもぎ取らんとするおばさんの鉄の強さと鋼の意志とまるで同等だ。何で争っているのかは知らないけども。
「凛!!いくらあと1点取られたら負けだからって、怯んじゃダメよ!!」
「分かってるにゃ!!だって凛たちもあと2点取れば勝てるもん!!」
も、燃えている……4人の闘志が燃え盛る火炎のように熱い。目は相手を突き刺すような目線をしていて、舞台に立っている穂乃果たちとはまた別の意味で輝いている。
一体何故ビーチバレー如きでここまで盛り上がれるんだよ……。
そう思った時、希がボソッと声を漏らした。
「零君の水着を賭けるだけでこんなことになっちゃうとは……にこっちを焚きつけるためとは言え、少しやり過ぎたかな?」
――――あれれ~?おっかしいぞぉ~?どうして俺の水着が、俺の知らないところで譲渡されようとしているんだ~?
こ、コイツら……!!
「おいお前ら!!勝手に人の水着で賭けバレーやってんじゃねぇぞ!!」
だがこの直後、この集団の中へ出しゃばったことを後悔することになる……。
「あっ、零君だ!!穂乃果の応援に来てくれたの?」
「何を言ってるの!?零くんは凛の応援に来てくれたに決まってるにゃ!!」
「はぁ?アンタたちの脳内は本当にお花畑ね。にこの応援に間違いないでしょ!!」
「ハッ!!お兄ちゃんが妹である私を応援しない訳ないじゃないですか、この雌豚共!!」
ぐわぁああああああ!!何この殺気!?心地よい潮の空気が一瞬にして、息が詰まりそうなくらいのおどろおどろしい空気に変わったぞ!?水を刺さなければよかった……。
虎太郎は大丈夫か!?――――と思ったが、心配する必要もないみたいだな、いつも通りぼぉ~としている。どちらかといえば、この状況を理解できていないまである。
「零君」
「なんだ希。悪いが今それどころじゃあ……」
「逃げるなら早く逃げた方がいいよ。穂乃果ちゃんたち……獰猛なる獣やから」
「は、はい……?」
意味は何となく把握できたが、希の口調はいつものゆったりとした口調ではなく、今まさに緊急事態のような真剣な口ぶりだった。もしかして……またしても俺が怪我するオチとか!?今回俺何も悪くねぇよな!?
そこで突然、穂乃果がビーチボールを上へ放り投げ、その場で大きく飛び上がる。
どう考えても人間業とは思えない跳躍力。これは明らかにサーブの体勢……しかも俺に向かって!?!?
「零く~ん♪穂乃果の愛を受け止めてぇえええええええ!!」
「ふ、ふざけんな!?」
ビーチボールが穂乃果の手のひらによって鈍い音を立てて叩きつけられ、勢いが付いたボールが俺の元へ一直線に飛び掛ってくる。
つうかボールのスピードが速すぎる!!バレー選手でもこんな速度でサーブできねぇぞ!?なんか空気を切り裂く音が聞こえてくるし!!これも愛の力なのか……!?
――――って、そんな馬鹿なことを言っている場合じゃねぇ!!もう避けられないぞこれ!?どうする……?レシーブするしかないか?でもあんな速度のボールを、バレード素人の俺がレシーブできるのか!?
えっ、これってもしかして……詰んだ?あんな速度のボールをぶつけられたら、吹き飛ばされる距離数十メートルは硬いぞ……。
もう諦めて覚悟を決めよう。
だがそんな俺の前に、俺を庇うようにして立つ影があった。それは、今日ずっと俺の隣にいたアイツ――――――
「こ、虎太郎!?何してんだ!?」
「…………」
な、何も喋らない!?
だけどその冷静さのせいか、何故か俺の目から見たら虎太郎の背中が頼もしく見えてきた。でもこのままだと俺と一緒に吹き飛ばされるのがオチだ。コイツ、一体何を考えて……?
頭の中がパニックになっている俺は、とりあえず虎太郎だけでも逃がそうと手を伸ばしたのだが、虎太郎は突如ピコピコハンマーを強く握り締める。
え……まさかコイツ!?
穂乃果の愛が籠ったビーチボールは、空気を切り裂く音を轟かせながら俺たちを射程圏内に捉える。そして俺の目の前にはピコピコハンマーを構える虎太郎。
そして。
ついに。
両者がぶつかり合う。
――――あれ?この話って、俺の彼女たちとシスターズ+αを紹介する話だよな!?
無駄に臨場感溢れる戦闘シーン(?)があるって何事!?しかもショタっ子に庇われる始末……うわぁ~俺、悲劇のヒロインっぽい。
~※~
あの場を何とか鎮圧し、俺たちはトボトボと浜辺を歩いていた。
まさか時空を切り裂く勢いで迫ってきたビーチボールを、小さなピコピコハンマー1つで打ち返してしまうとは……穂乃果たち唖然として立ち尽くしてたぞ。過程はどうであれ、燃え上がりすぎた闘志を押さえ込めたことに関してはよくやってくれたとしか言い様がない。今まで冗談混じりで虎太郎が大物になるとか言っていたのだが、これはもしかすると、もしかするかもしれないな。
一応穂乃果たちには昼飯だからパラソルへ戻れと伝えた(唖然としていた彼女たちに伝わっているかどうかは別として)ので、最後は海未と絵里だけなんだけど……アイツらどこにいるんだ?水着だから携帯も持ち歩けないし、不便だな。
すると突然後ろから、甲高い女性の声が聞こえてきた。
「零くーーーん!!」
「ん?俺?――――――ああっ!!お前は!?」
まだ俺と同じ高校生のはずなのに、そこら辺の女子高校生とは違い、その姿を見るだけで気品やオーラをひしひしと感じる、まさにスクールアイドル王者の貫禄。背は低いのだが、溢れ出る大人の魅力は男性だけではなく女性の目も惹きつける。そして何より、夏の日差しによって一際輝くおでこがチャームポイントなコイツは――――
「つ、ツバサ!?」
「久しぶりだね零君!!元気にしてた?」
綺羅ツバサ。
あのスクールアイドルの頂点であるA-RISEのリーダーだ。前回の『ラブライブ!』ではμ'sが優勝したのだが、今回の予選では堂々の1位通過。やはり人間の底力っていうのは敗北から湧き上がるものなんだな。コイツらの今年のPV、音楽にさほど興味がない俺でも凄く感動したし。
ツバサの水着は、シンプルに紺色のビキニだ。さっきも言ったけど、背は低いのにどことなく大人の色気を感じるのはスクールアイドルをやっている影響だからなのか、それともコイツ自身の魅力だからなのか……。
「お前、こんなところで何してんだ!?」
「何って、ただ遊びに来てるだけだけど。なに?私が海に来てたらおかしい?私だって女の子なんだから、たまには羽を伸ばして遊びたいの」
「そこまで言ってないだろ」
「零君と……その子は?」
「矢澤虎太郎。にこの弟だよ」
「へぇ矢澤さんの……ということは、μ'sのみんなで来てるんだ」
「あぁ。それに加えてあと数人の大所帯でな」
俺+μ's12人+秋葉+矢澤のちびたち3人の合計17人。その中でも男が俺と虎太郎しかいないという、明らかに不釣合いな男女比だ。しかも虎太郎はまだ幼稚園児だから、年頃の男は俺しかないことになる。これをハーレムと言わずに何と呼ぶ。
「それで今日はお前だけなのか?英玲奈とあんじゅは?」
「ここにいるよ~♪」
「うおっ!!」
ことりと同じく力が抜けるくらいの甘ったるい声が、俺の背中をくすぐる。振り返ってみると、してやったり顔の優木あんじゅが、更にその後ろには呆れた表情の統堂英玲奈の姿があった。
あんじゅの水着は、髪の色と同じ鮮やかな茶色の水着だ。普段から髪にウェーブを掛けているせいか、水着に付いているヒラヒラの装飾が髪の靡きとマッチしてとても似合っている。あとやはりおっぱい大きいな。ことりや花陽もそうだけど、おっとり組は胸がデカイのが通例なのか?
英玲奈の水着は、かなり濃い紫のビキニだ。自身のスタイルの良さと相まって、大人っぽさはμ'sを含めたとしても一番高いと思う。胸はそこまで大きい訳じゃないが、彼女の引き締まったカラダのくびれを見ていると、両手でワシワシっと揉みしだきたくなってくる。頼んだらやらせてもらえるかな……?
「お前らいつの間に……」
「ツバサが君を見つけて全速力で走っていってしまったから、私たちは後を追ってきたんだ。文句を言うならツバサに言ってくれ」
「でもツバサちゃん、日頃から『零君に会いたいなぁ~』とか言ってたし、零くんの姿を見て我慢できなかったんだよね♪」
「ちょっとあんじゅ!!それは言わない約束でしょ!?」
「へぇ~」
「ち、違うから!!いちいち携帯でやり取りするより、喋った方が早いって意味だから!!」
いやいや、どう考えてもその意味には聞こえないだろ……お前のような美人さんに『会いたい』とか言われたら、普通に勘違いしちゃうからやめなさい。俺には可愛い9人の彼女と、3人のシスターズたちが……でも友達だったらいいかな?流石に浮気じゃないと思うし……しょっちゅう連絡は取ってるし。
「会うくらいなら、適当に休みの日を見つけて会わないか?」
「ホントに!?」
「お、おう……」
突然ツバサは背伸びをして、俺の顔に自分の顔をグイッと近付けてきた。
いい匂い、いい匂い、いい匂い、いい匂い、いい匂い、いい匂い、いい匂い、いい匂い……ハッ!!危ない危ない、彼女の芳香に惑わされるところだった。でも彼女の輝く目を見ていると、油断してなくても吸い込まれそうになる。今はプライベートでアイドル活動中ではないのに、ここまで自分を魅せることができるのか……そりゃあこの俺も惹きつけられちゃうよ。言っておくけど浮気じゃないからね。
「あらあら、ツバサちゃんったら……可愛い♪」
「アイドルとはまた違って意味で輝いてるな。でもスクールアイドル一辺倒だったあのツバサが、男に興味を持つとはね」
「しょうがないよ~。だって女の子だもん♪好きな男の子がいたら、それ以外のことなんて霞んじゃうから」
「フッ、だけど零が相手なら分かる気がするよ」
「ちょっとそこ!!変な被害妄想しないでくれる!?あらぬ誤解を植え付けるだけじゃない!!」
えっ、誤解だったの!?あんじゅと英玲奈の会話を聞いている間、心臓バクバクだったんですけど!?安易に男の純情な心を弄ぶのはやめてもらっていいですかねぇ!!
でもツバサは否定はしているものの、顔を真っ赤にし大きく腕を振ってまるで子供のような身振りで弁解する。
ふ、普通に可愛いじゃねぇか……。
「か、勘違いしないでね零君!!私はあんじゅや英玲奈が言っていることなんて事実無根だから!!私はそんな――――」
「分かったから落ち着け!!アイツらからかってるだけだから」
俺はツバサの肩に両手を当て彼女を静止させようとする。だがツバサが暴れていたこともあってか、彼女の肩に手を当てようとした瞬間、手が滑って俺の身体が彼女に向かって大きく傾いてしまった。
「うわぁあ!!」
「きゃあっ!!」
ま、マズイ!!このままではビーチの真ん中で女の子を押し倒して――――――!!
「ツバサ!!」
「零くん!?」
「お~」
この砂の音は――――うん、やってしまったようだ……。
「いてて……」
「んっ、れ、零君……」
「わ、悪い!!」
「いいから早く……手を」
「手……?」
"手"と言われて反射的に自分の右手を動かしてみると、とてつもなく柔らかい、でもどことなく馴染みのある感触が伝わってきた。俺の右手にジャストフィットするこのプリンのような柔軟さ。そのてっぺんには小さな突起物があり、それを指で転がすと、ツバサの口から小さく嬌声が漏れ出す。
これは間違いなく――――――ツバサの……!!
「れ、零君……?」
「あっ、いや、悪い、没頭してた……って、何言ってんだ俺!?」
「フフッ、でも女の子としては……ちょっと嬉しい、かな?」
「え……?」
「そのまんまの意味だよ」
「ツバサ……」
ツバサは顔を茹で上がらせながらも、その綺麗な瞳で真っ直ぐ俺の瞳を捕える。
未だに右手はツバサの胸を鷲掴みにしたまま、俺たちはしばらくの間、お互いの瞳をずっと眺めていた。まるで俺たち2人だけが別世界にいるかのように……。
ピコッ!!
「いてっ、こ、虎太郎……?」
「2人共その辺でやめておけ。周りに人もいるというのに……」
「零くんとツバサちゃんが熱すぎて、ビーチに立っていられないよぉ♪」
「あっ、すまんツバサ!!」
「えっ、う、うぅん!!全然大丈夫だから、アハハ……」
虎太郎のハンマー攻撃、そして英玲奈とあんじゅの声が聞こえ、ようやく俺たちは元の世界へと帰ってきた。
おっぱいを揉んでしまった時は、この身をボコボコにされることを覚悟したのだが、当の本人は怒るどころか逆に笑って済ませてくれた。助かったのか、それとも……。
そして周りの目が俺たちに集中する前に、俺はようやくツバサの上から離れた。
「わ、私お昼ご飯買ってくるよ!!英玲奈とあんじゅは先に戻ってて!!」
「お、おいツバサ!?――――行っちゃったよ」
ツバサは起き上がってから俺の顔を見ることなく、そのまま屋台へと走っていってしまった。
頬を赤く染め上げながら―――――
「これはちゃんと責任取ってあげないとね、零くん♪」
「せ、責任って……確かに俺が悪かったけどさぁ」
「ま、次に会う時にしっかり埋め合わせをしておくんだな。ツバサは結構容赦ないぞ」
「もちろん分かってるけど、何もここで脅さなくてもいいだろ……」
英玲奈もあんじゅもここぞとばかりに俺の懐を啄いてきやがって……これは後でツバサも散々弄られるな。
よしっ、俺も男だ!!こうなったからには全力でアイツを楽しませてやるか!!
今回はビーチバレーやらA-RISEにエンカウントやらラッキースケベやら、色々なことがあったが結局まだμ'sの全員に会っていないという事実。
とりあえず、また次回へと続く。
A-RISEのメンバーにもフラグを立てていく、ハーレム主人公の鏡!
そんな訳で今回は水着&ハーレム回の第二弾でした。しかも収まり切らなかったのでまた次回に続くという……。A-RISEのメンバーを含めたら登場人物は総勢で20人、これを1話や2話で終わらせる実力が欲しい!!一応全員に見せ場を作っているので、引き伸ばしているという感覚はありませんがね。
よって次回がラストです。ちなみに夏編も次回で終了して、秋編に移行したいと思っています。
そしてここからは本編とは全く関係がないのですが、11月7日に私が小説投稿から一周年、そして新日常も同時期に100話を突破するということで、11月にちょっとした企画を立てるつもりです(もう水面下で進行してますが)。
新作小説ではないのですが、『新日常』の一風変わった話がたくさん見られると思うので、是非ご期待ください!!
投稿は11月1日からを予定しています。
新たに高評価をくださった 19:10さん、ありがとうございます!
Twitter始めてみた。
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