そして今回は解決編!元ネタはありますが、後半は割とオリジナルの展開となっているので、ネタを知っている方も知らない方も楽しんでいってください!
この学院に怪しい奴がいることが分かった。そしてソイツが何か目的を持って、俺たちの行動を阻害しようとしているのも分かった。
ここからすべきことはソイツの妨害を如何に掻い潜り、その正体を暴くことだ。オバケだとかオカルトでないことは既に証明された。今から俺たちが相手にするのは、オバケのような紛い物の存在ではない。種も仕掛けもある人間だ。ある意味でオバケなんかより遥かに恐ろしい存在だけどな……。
「ねぇ零君、これからどうする……?」
「奴が俺たちの存在に気付いていることは確かだ。それに人体モデルの件からすると、相当焦ってように見えるし、逃げられる前に捕まえられればいいけど――――――な、なんだ!?」
何やら目線を感じたので振り返ると――――――窓越しに俺たちを覗く人影が見えた……!!
「だ、誰だ!?」
「な、何ですか!?」
「見えたんだよ!!向こうの窓から俺たちを覗いている人影がな!!」
俺は廊下を回り込み、怪しい人影が見えた窓へと向かう。
俺たちのいた場所と人影がいた場所は近いから、もしかしたら追いつけるかも!!
だが――――――
「っ……」
「だ、誰もいないじゃん……」
「いるわけないじゃないですか。私たちが人体モデルを見たのは、保健室の向かいの教室の窓からです。その人が私の叫び声を聞いて人体モデルを保健室へ戻し、その後でこの窓から私たちを見ていたのだとしたら……保健室に駆けつけた私たちとどこかですれ違っているはずでは?」
海未の言っていることも最もだが、保健室の周りには柱や階段があり隠れるところはいくらでもある。あの時の俺たちは人体モデルの行方を探ることに躍起となっていたため、怪しい奴の動向は疎かになっていた。もう少し気を配っておくべきだったか……。
――――ん?確かこの窓から人影が覗いてたんだよな……?これってまさか……。
「きっと零くんの見間違えだったんだよ」
「いいや、誰かここにいたのは間違いないよ。人影のいた窓を見てみろ」
「窓?」
「白く曇ってるだろ?誰かが頬を窓ガラスにくっつけて、俺たちを覗いていた証拠だ」
窓ガラスのそこそこ背の高い位置に、頬を擦り付けていたと思われる白い曇りがある。こんなものすぐに消えるはずなのに、それを俺たちが確認できているってことは、俺が見た人影は見間違えでないことが分かってもらえるだろう。
さて、ここからどうしようか……?
相手がどんな奴なのかは知らないが、俺たちだけでは危険かもしれない。かと言って警備の人はもう帰っちまってるだろうし、事件も起こっていないのに警察を呼ぶわけにもいかない。秋葉に連絡するのも1つの手だが、イマイチ信用できねぇんだよなアイツ……こんな状況でも遊びそうだし。
何かあった場合、コイツらだけでもここから逃がさねぇとな……。
「職員室に誰か残ってないかな?残ってたら助けを求められるし。穂乃果行ってくる!!」
「ほ、穂乃果ちゃん、1人じゃ危ないよぉ~!!」
「ったくアイツは……」
ここで俺たちがバラバラになるのはマズイので、仕方なく穂乃果の後を追い掛ける。
もう夜もいい時間なのに、職員室に人がいる訳ないだろ……そもそも職員室に明かりも点いてないし。
そして職員室なんかに行っても無駄な一番の理由は――――――
「あれぇ~誰もいない」
「やはりもう帰ってしまわれたみたいですね。こんな時間なので仕方ないと言えば仕方ないですが……」
「え?」
一番の理由を言おうとした時、穂乃果たちが職員室の扉を開けて中を確認する。
そもそもの話、誰もいないなら職員室に鍵が掛かっているはずだ。俺の言いたかったのはそのことなんだが……やはり俺たちを監視している奴は、学校の関係者である可能性が高いな。
「もう少しこの学院を探ってみるか……お前らはどうする?怖いなら帰ってもいいんだぞ?」
俺は若干煽りを含めた言葉を穂乃果たちに投げ掛ける。そこには遠まわしに帰った方がいいという意図を含めたのだが――――――
「穂乃果は絶対に帰らないよ!!零君たちと一緒に、この学院の謎を解き明かすまではね!!」
「ことりも零くんだけを残して帰るなんてできない!!もし零くんに何かあったら、ことりたちが支えてあげるんだもん!!」
「今更1人だけで解決しようだなんて、それで私たちが満足するとでも思いますか?私たちも精一杯お手伝いさせて頂きます」
「お前ら……」
初めは危険だからどこかでコイツらを帰らせる予定だったのだが、やはり隣にいてくれるだけで暖かい気持ちになり安心できる。俺がここまで落ち着いて推理や行動ができたのは、もしかしたら穂乃果たちのお陰なのかもしれない。それにことりのハンカチや海未が目撃した人体モデルの件は、真相の解明へ向けて前進させてくれた。
全く……しょうがねぇなコイツらは!!
「分かった、一緒に行こう」
「やった!!ありがとう零君♪ぎゅ~♪」
「ことりもぎゅ~♪」
「むぐっ!!きゅ、急にどうした!?」
「やっぱり変わりませんね、私たちは……フフッ♪」
俺は身体の両サイドから穂乃果とことりに抱きつかれる。
う、嬉しいけど状況を考えると素直に喜べねぇ!!うわぁあん、いい匂いする!!この2人、お風呂に入った後だな……いつものシャンプーの匂いがする。
そしてさっきの怪しい奴がこの光景を見ていたとしたら……こんな可愛い子たちに抱きつかれているから、別の意味で俺が恨まれそうだな。まだソイツが男だと決まった訳じゃないけど。
そんなこんなで俺たちは、4人で再び学院の探索を開始した。
~※~
「しかし、あの人は夜の学院で何をやっているのでしょう……?」
「う~ん……ことりには分かんないや」
俺たちは1階から2階への階段を上りつつ、怪しい奴の動向について考えていた。
俺たちを直接襲って来ないということは、よほど自分の存在を俺たちの知られたくないのだろう。それに人体モデルも見せつけるように窓際に置いてやがったし……どうにかして俺たちを追っ払おうとしているみたいだ。ビビっているのか、それとも相当用心しているのか……どちらにせよこちらも慎重に行動しなければならない。
「でもこの4人で夜の学院を探索していると、RPGの世界に行ったことを思い出すよね。穂乃果またウキウキしてきちゃった♪」
「呑気だなお前……」
「だってほら、なんか階段がモクモクとした雲みたいなのになってるよ!!夢の中にいるみたい♪」
「えっ!?」
懐中電灯で足元を照らしてみると、そこには穂乃果の言う通り白い煙のようなもので階段が敷き詰められていた。
綿にしては足に掛かる感触に物理感がないし……そもそもどこから流れてきてるんだ!?さっきこの階段で美術室へ行った時にはこんなものなかったぞ!?
そして、更に俺たちへ追い討ちが掛けられる。
「えっ……あ、あわわわ……!!れ、れれ零くん……!!」
「どうしたことり!?」
「こ、ことり……手が真っ赤ですよ!?」
「血が……階段の手すりに血が流れてる!?!?」
懐中電灯で手すりを照らしてみると、赤い液体が怪しい線を描きながら流れていた。ビチャビチャと怪しい音を立てながら、俺たちのいる階の手すりを伝って上方からダラダラと垂れる。
でも血にしては少し鮮やかすぎるような……これってまさか――――――
「慌てるな、これは血じゃねぇよ。ただの赤い絵の具だ」
「え、絵の具……?」
「誰かが上から、手すりの隙間を通して絵の具を垂らしてるんだよ」
俺は穂乃果たちに絵の具の仕掛けが見えるよう、懐中電灯を上げて上の階を照らす。
赤い絵の具は俺たちのいる階段の手すりを目掛けて、上の階から一直線に垂れていた。手すりが折り返す部分に紙を貼り付け、そこを伝うように絵の具が手すりを流れるようにしているんだ。
「じゃあこの煙は一体なんです……?」
「理科で使われる、実験用のドライアイスだよ。ビーカーに水を入れて煙を出していたんだ」
俺は階段の踊り場にあったビーカーを持ち海未たちに見せる。
これは本格的に俺たちをビビらせて、この学院から追い出そうとしてやがるな。こんな付け焼刃の子供騙しを仕掛けるくらいだから、お相手さんも相当焦っているようだ。しかしわざわざ俺たちの邪魔をするくらいだから、逃げる気は更々ないらしい。
上に行って捕まえようにも、既に逃げられちまってるだろうし……。よしっ、奴がその気ならこっちも……!!
俺は携帯の連絡アプリを起動し、俺たち3年生組のグループトークにこう書き込んだ。
『零:今からみんなで怖がって、ここから帰るフリをするぞ』
『穂乃果:どうして?』
『海未:あの人を油断させるためですか?』
『零:そうだ。俺たちが逃げたと知ったら、尻尾を出すかもしれない』
『ことり:いいね!やってみよう!!』
『零:近くにいない可能性もあるから、できるだけ声を大きくだ。いくぞ』
「もうこれ以上ここにいるのか危険だ!!帰るぞ!!」
「そうだね!!穂乃果ももう怖くなってきたよ!!」
「ことりも血がついっちゃたから早く帰りた~い!!」
「オバケの仕業だったら私たちじゃ相手できません!!」
さて、これで奴がどう動くかどうか。俺たちがこの学院から立ち去ったと思わせれれば万々歳なんだがな……。
とりあえず俺たちは、どこかの教室に息を潜めておくか。時間が経ち次第、奴の尻尾を掴みに行けばいい。
~※~
30分後。空き教室で待機していた俺たちは、遂に行動を開始することにした。窓からも見つからないよう、頭を下げて長時間座っていたため多少身体が痛い。奴はこの30分、俺たちを探すような真似もしていなかったみたいなので、もしかしたらアイツの行動を垣間見れる時が来たのかもしれない。
「さぁて、奴を探しに行くぞ……って、お前ら何してんだ?」
空き教室を出た途端、穂乃果たちは揃って窓を見つめたまま驚愕していた。
も、もしかして奴を見つけたのか!?
「どうしたんだ?」
「い、いるんです……人が!!」
「ことりたちの教室に……!!」
「それも1人や2人じゃないんだよ!!たくさんいる!!」
「なんだって!?」
窓越しに見えるのは俺たちの教室。そこには背の低い人から高い人まで、ざっと数えても10人以上もいる。しかもあんな真っ暗な部屋で……一体何やってんだ?
そして海未の話に出ていた、大きなマスクを着けた奴もいるじゃねぇか。黒板の前でウロウロしてるけど、アイツだけやけに動いている。逆に他の奴らが一切動いていないような気も……それにマスクの奴、右手に何か持ってる?
あれは……指し棒?
――――――!!!!
なるほど、そういうことか!!
「よしっ、行くぞ」
「えっ、行くってどこに……?」
「決まってんだろ、こんな真夜中に学院をコソコソしている、怪しい奴を捕まえにな」
「「「へ?」」」
怪しい奴がいる教室の窓からこちらの存在を気付かれないよう、俺は身を屈めて教室に近付く。
その途中で何度か穂乃果たちに話し掛けられるも、『すぐに分かる』と一言で片付けながら彼女たちに静寂を促す。
ここまで来てアイツに逃げられたらアホらしいからな……でもそこまで慎重になる必要はあまりなかったりもする。その理由?すぐに分かる。
教室の前まで来ると、これまで以上に息を潜めつつ扉に近付く。
さぁて、どんな反応を見せてくれるのかな~?
教室の扉をコンコンとノックする。俺の行動が予想外過ぎたのか、穂乃果たちは目を見開いて驚いているがそんなものは無視して、相手の返事を待たず勢いよく扉を開ける。
もう俺たちの存在を隠す必要はない。とりあえず明かりを点けるか。
真っ暗だった教室が、一瞬にして光に照らされる。
真っ暗闇からいきなり明るくなったので目が慣れるまで多少時間が掛かったが、それさえ乗り越え教室中を見てみれば、今までの謎も暗闇と同じくすべて明るく照らされるだろう。
「わぁ~なにこれ!!さっきのお人形さんたちがいっぱい並んでる!!穂乃果たちのもあるよ!!」
「窓際には美術室の石膏像もありますね」
「あっ、さっきの人体モデルまである!!」
教室の机の上には名札が貼られた人形が、その周りには机たちを囲むように石膏像や人体モデルが置かれていた。俺の名札が付いた人形が俺の席に置かれているなど、人形の名札に書かれている苗字と俺たちの座席は一致している。
「ん?なんだろ、人体モデルの顔に貼られているあの紙……父兄って書かれてるよ」
「この石膏像にも父兄と書かれています。しかもすべての石膏像に……」
「なんか授業参観みたいだね!!」
おっ、穂乃果の奴いい線いってるじゃん!!
それじゃあそろそろ謎解きかな。
「そう、噂に出ていた怪しい奴は人形を生徒に、石膏像と人体モデルを父兄や教師に見立てて、夜な夜な練習していたんだよ。来週行われる学院開放日に、俺たちの親や他の教師が見に来ることを想定した練習をな……声が外にもれないように、大きなマスクを着けて……そうだろ?教壇の中に隠れている、俺たちの国語教師の――――
山内奈々子先生!!」
俺が先生の名前を名指ししたその時、教壇がガタンと揺れる。
驚きすぎだろ、一瞬地震が起こったかと思って身構えちまったじゃねぇか……。
「あ、ホントに山内先生だ!!」
「こ、高坂さん!?」
穂乃果が教壇の中を覗き込むと、そこには山内奈々子先生が膝を抱えて丸まっていた。
教師であるが如く指し棒を握り締めながら……あっ、教師だったな。まだあの人が教師に見えていない俺がいる……。
「それでは、毎日位置が変わる石膏像や走る人体モデルの噂は……山内先生の仕業だったのですか?」
「先生が毎晩教室に運んでいたんだよ。8体の像の視線が生徒に集中していたのはたまたまで、走る人体モデルは先生が急いで運んでいたのを見間違えたんだよ」
つまり今回の噂の現況は、すべて山内先生だったという訳だ。人騒がせにも程があるというか、教師にもなって人形を使って練習をしていて可愛いというか……どちらにせよ怪しい奴がいなくてよかったよ。
「でも、練習するくらいなら怒りっぽい性格を直した方がいいと思うんだけどなぁ~」
「穂乃果!!先生に向かって何を!?」
「えぇ~でも本当のことだし……」
「もしかして、ことりたちのこと……嫌いなんですか!?」
「ち、違うんです!!その逆なんですよ!!先生は――――――皆さんのことが大好きなんです!!」
「「「「え?」」」」
山内先生は顔を曇らせ、俯いたまま心中を吐露し始めた。
授業中あんなに頬を膨らまして、プリプリと可愛らしく怒っていたというのに……甘々声過ぎて怒られている感覚は皆無に等しいけどな。でも先生のこんなに落ち込んだ顔を見るのは、新任以来初めてだ。
「夢だったんです、生徒さんたちに授業を教えることが。私が学生の頃、教えを被っていた先生方がとても魅力的で、私も先生方のように生徒を導く存在になりたい。そう思って教師の道を選んだんです」
先生は更に表情を暗くし、身を縮こませながら話を続ける。
「でも、いざ教師に新任して授業をしてみると緊張しちゃって……教育実習の時は担当の先生が見守ってくれていたからよかったのですが、1人で授業をするとなるとつい冷静さを失っちゃうんです。だから感情を上手く抑えきれずに、言葉が強くなってしまいます……」
「先生……」
「そのことを笹原先生に相談したら、『とりあえず慣れることだ』と言われ、笹原先生がまとめた問題児リストを渡されました。その生徒たちの相手をしていれば、自ずと生徒への対応が慣れていくと……」
「ま、まさかその問題児って……」
「はい。神崎君に高坂さん、南さんに園田さんです」
マジかよ……あの先生やってくれたな。まさか新任の教師にまで俺たちの危険を教えるとは……逆効果な気もするが。でも笹原先生はスパルタだから、こんな暴挙に出るのも考えられなくはない。
「その問題児に私が入っているのが気になるのですが……」
「海未ちゃんも穂乃果たちの仲間だね♪」
「流石ことりたちの幼馴染♪」
「便利ですねぇ~仲間や幼馴染という言葉は……!!」
海未が眉を小刻みに動かしながら怒ってるぞ……。本人はこう言っているが、コイツだって俺たちとよく騒いでるからな。初めは俺たちを注意するけど、そのあと穂乃果やことりの挑発で俺たちの闘争に参戦するのが定例だ。
「もしかして屋上掃除の監視が、笹原先生から山内先生に変わったのも?」
「はい。笹原先生が私を生徒に慣れさせるために交代を命じられたのです。でもすぐに慣れることなんてできませんでした。来週に行われる学院開放日は、生徒の親御さんや他の先生方、地域の方々も見に来られるので、せめて無様な姿だけは見せたくないと思い、こうして毎晩こっそり練習していたんです」
なるほど、俺たちの人形が他の生徒の人形に比べてボロボロだったのは、こうした経緯で俺たちに目を付けていたからだったのか。
待てよ。この4人の中でも俺の人形が一番ボロボロだったということは、俺が一番の問題児なんじゃ……?ひ、否定できないけども……穂乃果やことりもかなり暴れてると思うぞ。
「怒ろうにも上手く怒れないし、生徒さんの前でずっと緊張しっぱなしだし……向いてないのかな、私が先生だなんて……」
「そんなことないよ!!穂乃果、先生が優しいこと知ってるもん!!」
山内先生の辛い心境を聞いて張り詰めた雰囲気の中、穂乃果は一歩前へ出て、先生にとびきりの笑顔を見せる。暗雲が掛かった心を明るく照らす光のような、そんな笑顔で――――――
「山内先生だけだよ、穂乃果たちと一緒にお掃除のお手伝いしてくれるの!!それに水槽の水を取り替えたり花壇のお花にお水をあげたり……でも穂乃果たちのことをいつも怒ってたから、穂乃果たちのことは好きじゃないのかなぁ~って思ってたけど、今の話を聞いて分かったよ!!先生は、この学院や穂乃果たちのことが大好きなんだって!!」
「ことりはよくアルパカさんに会いに行くんですけど、飼育小屋の掃除もしているんですよね?飼育係の花陽ちゃんが言ってました、自分が生徒会の部長会議に参加している時、先生が代わりに掃除をやってくれていたということ、そしてさっきの話……先生がことりたちを大好きだって気持ちがたくさん伝わってきました!!」
「自分に厳しすぎるがゆえ、素っ気ない態度を取られていたのですね。しかしそれは私たちへの愛情であること、しかとこの心で受け止めました。私は穂乃果やことりと違って、何も知らず先生のことを誤解していたことをお詫びします。ですがこれからは、私たちも先生を精一杯支えていけるよう頑張りますね!!」
「皆さん……」
「要するに、いくら自分を偽っても生徒の目は誤魔化しきれないってことだよ。現に無理して怒っているのはバレバレだったし。どうせバレてるのなら、本当の自分をさらけ出した方がいいんじゃねぇの?先生の優しさは、もう結構な生徒が知っていると思うしさ。まぁ先生の場合は、あがり性な性格からなんとかする方が先だと思うけど」
「わ、分かってますよ!!」
生徒に励まされる先生か……それもいいんじゃねぇか?こうして俺たちが先生の心の扉を開いたおかげで、ほら――――先生も笑顔になった。やっぱり無理をして怒っている表情より、そうして生徒たちと一緒に笑っている方が魅力的だな。
「でも先生ヒドイよぉ~!!煙や絵の具で穂乃果たちを脅かすんだもん!!」
「え?」
「先生ですよね?窓越しにことりたちを覗いていたのって……」
そうだそうだ。いくら自分の存在が知られたくないからって、煙を出したり赤い絵の具て血を表現したりするかね……意外にエグい思考も持ち合わせてるのな。
だが――――――
「違いますよ。今夜神崎君たちを見たのは今が初めてなんです。だって園田さんの声に驚いて、人体モデルを戻した後、しばらく保健室の中に隠れていたんですから……」
「え……!?じゃ、じゃあ職員室の鍵を開けたのは!?」
「えっ!?な、なんのことですか!?」
「くそっ!!」
「れ、零君!?」
「零くんどこへ行くの!?」
「零!?突然どうしたのです!?」
俺は先生の言葉を聞いた瞬間、教室の扉を乱暴に開けて外へ飛び出す。
やっぱり……やっぱりいたんだ!!山内先生以外にも、もう1人!!この学院内で怪しい行動をしていた奴が!!どこだ……どこにいる!?
――――ん?職員室から光が!!
「誰だお前は!!」
俺は薄らと見えた人影に、懐中電灯の光をMAXにして照らす。同時に穂乃果たちと先生も到着した。
――――――って、あれ?この人は見覚えがあるというか、見覚え過ぎて逆に呆れそうなくらいの…………
「「「「「笹原先生!?」」」」」
「うっ、見つかったか……」
なんと、俺たちを帰らせようと脅かしていたのは笹原先生だった。
実は笹原先生と山内先生は大学の先輩後輩の関係であり、笹原先生は山内先生から教師として相談を受けていたらしい。そして教師として生徒たちと馴染めない山内先生のことを気遣って、笹原先生は山内先生が夜な夜な学院で練習していたことを黙認していたそうだ。
だがもしそんな夜中に誰かが訪れて山内先生の行動がバレたら、先生がバッシングの被害を受けるかもしれない。そう危惧した笹原先生は、夜中にこっそり山内先生のことを見守っていたそうだ。そこで俺たちが現れたから、脅かして帰らせようとした訳。
なんというか……あの堅物だと思っていた笹原先生がこんなことをねぇ~~。
「どうして俺たちの前に姿を現さなかったんですか?」
「…………かっただけだ」
「えっ?今なんて――――」
「恥ずかしかっただけだ!!」
「あっ……意外と可愛いところもあるんですね」
「神崎……お前、一生屋上掃除な」
「なんで!?そして卒業させて!!!!」
こうして俺たち生徒と先生の信頼は、より密接になっていきましたとさ。
「休日も屋上掃除な」
「なんでやねん!!」
ほ、本当に信頼関係築けてる!?
これで先生たちもある程度キャラ付けできたかな?
前回と今回は音ノ木坂学院に起こる怪現象の謎解き回でした。
私は登場キャラを増やしすぎるのはそこまで好きではないのですが、スクフェスで出ているのなら思い切って登場させて、話のネタの幅を広げてもいいかなぁと思い、今回は2人の先生を前面に押し出してキャラを確立させてみました。
先生キャラはまだあと1人いるので、そちらも近いうちに登場させるつもりです。
次回は遂に話数二桁の最後、第99話目です。実はネタは数個思い浮かんでいるのですが、まだどれを採用しようか検討中です。折角二桁最後の話なのですから、思い切って弾けてやろうと思います!
そしてここからは本編とは全く関係がないのですが、11月7日に私が小説投稿から一周年、そして新日常も同時期に100話を突破するということで、11月にちょっとした企画を立てるつもりです(もう水面下で進行してますが)。
新作小説ではないのですが、『新日常』の一風変わった話がたくさん見られると思うので、是非ご期待ください!!
投稿は11月1日からスタートし、毎日投稿の予定です。
Twitter始めてみた。
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