ハイスクールD×D〈第三の天龍〉   作:BATTU

30 / 41
第二十五話

パンッ!

 

雨音に混じって乾いた音が響く

 

 

「どう?少しは目が覚めたかしら?」

 

 

「・・・」

 

 

無表情な木場にリアスは問いかける。彼の頬は先ほどリアスにはたかれ少し赤くなっていた

球技大会当日、いや、その前から木場祐斗はボーっとすることが多かった

 

 

そしてその心ここにあらずの状態は部活対抗戦のドッチボールでも足を引っ張ってしまったのだ

 

 

「・・・大会では申し訳ありませんでした、調子が悪かったみたいです。もういいですか?球技大会も終わりましたし・・・少し疲れましたのでしばらく部活も休ませてください」

 

 

いつもの笑顔を作り、その場から去ろうとする木場

 

 

その様子を見ていた一誠は立ち去ろうとする木場の肩を掴む

 

 

「木場、お前マジで最近変だぞ?」

 

 

「君には関係ないよ」

 

 

一誠の手を払い、心配する一誠の言葉も彼は軽く流した

そんな彼の態度に一誠は木場の胸ぐらを掴んで叫んだ

 

 

「あのなぁ・・・チーム一丸でまとまっていこうしていた矢先でこんな調子じゃ困るんだよ!ライザーとの一戦でどんだけ痛い目に遭ったか感じ取っただろう?お互いに足りない部分を補うようにしなきゃこれからダメなんじゃねぇのか!?・・・仲間なんだからさ」

 

 

「仲間か・・・キミは熱いね。イッセーくんこのところ僕は基本的な事を思い出していたんだよ、僕が何の為に戦っているか、をね」

 

 

「部長の為じゃないのか?」

 

 

「違うよ」

 

 

木場は右拳を握りしめ、険しい表情で一誠に言った

 

 

「僕は復讐の為に生きているんだ。聖剣エクスカリバー、それを破壊するのが僕の戦う意味だ」

 

 

それだけを言い残し、木場は雨の降りしきる中、濡れることも構わずその場を去った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

木場 SIDE

 

 

聖剣エクスカリバーへの復讐心を忘れたことなど無かった。ちょっと学園の空気に呆けていただけだ

 

仲間も、生活も名前も、主であるリアス・グレモリーにもらった

 

これ以上の幸せを願うのは悪い事だ。思いを果たすまで同士たちの分を生きていていいなんて思った事など―――ッ!

 

 

背後からの気配を感じ取り、魔剣を1本創り出し後ろに向けた

 

 

「やぁ、木場くん」

 

 

「・・・七志くん?」

 

 

そこには左手にたたんだままのビニール傘を持った七志くんがたっていた

魔剣の切っ先は彼の喉に向けていた。あと数cm近ければ動脈を切っていたかもしれない

 

 

「ごめん、いきなり後ろから誰かの気配がしたから」

 

 

「いいよ、声を掛けずに近づいた僕が悪いんだから」

 

 

「・・・風邪ひくよ?何で傘をささないの?」

 

 

「ん」

 

 

彼は右手に握っているものを見せた。それは傘の持ち手の部分だ、だがそこから上には傘の部分が無い

 

 

「さっきの切り払いで上が無くなった」

 

 

笑顔でそう返す七志くんの後ろには傘の部分が落ちていた。どうやら本当のようだ

だが、それでも不可解な点がいくつもある

 

 

「なら、左手にあるのを使えばいいじゃないか」

 

 

「だってこれ、君のだもん」

 

 

「・・・え?」

 

 

「イッセーくんから聞いてね。この雨の中、傘をささずに帰ったっていうから慌ててコンビニによって木場くんの分を買って追いかけてきたんだ」

 

 

「・・・どうして」

 

 

「?」

 

 

「どうして君はそんな風に他人の為に動けるの?お節介な奴って言われた事無い?」

 

 

「んー、変な事を聞くね。だって木場くんは僕のクラスメイトであり、仲間でもあり、友達なんだよ?友達を心配しない人なんていないだろ?」

 

 

「ッ・・・」

 

 

優しさ

 

 

それが彼の1番の特徴とも言える。自分のことよりも他人の事を第一に考え行動する

かつて部長の婚約パーティーでも彼は部長を助ける為にレーディングゲームの観戦室を抜け出してパーティー会場に潜入した。見つかればどうなるか考えもせずにだ

 

 

「球技大会でも元気無かったし、少しでも元気が出るように何かできないかなぁと思ってさ。まぁ、何か悩みがあるならさ、なんでも言ってよ僅かにでも力添えはできると思うし」

 

 

「ッ!君に何が分かるって言うんだ!僕の、僕の同士たちの事を君に何が理解できるっていうんだ!」

 

 

「・・・」

 

 

「聖剣を扱える為にどんな非道な実験にも耐えてきたのに、最後の最後には不良品という烙印を押されて処分された僕たちの悔しさと憎しみが君にわかるって言うのかい!?」

 

 

ついに我慢が出来ず叫んでしまった。こんな事を言っても何にもならないのに、僕は人間である彼に対して言い放ってしまった

 

 

「・・・じゃあ木場くん、質問していいかな」

 

 

「?」

 

 

「僕の両親の死に対して・・・僕は誰に“復讐”すればいいのかな?」

 

 

「ッ!」

 

 

彼の言葉に僕は口を紡いた

 

 

「あの信号無視の車との衝突事故で僕の両親が死んだ。僕をこの世に生を与えてくれたかけがえのない存在を奪った奴はその事故で一緒に死んだ・・・悔しいはずなのに許せない心で一杯のはずなのに復讐するべき人はもうこの世にいない」

 

 

「それに両親は本当にその人を恨んでいるのか分からない、僕に復讐をして欲しいのかも分からない・・・君の同士の皆は君に聖剣に対する復讐を望んでいるの?」

 

 

「そ、それは・・・ッ!」

 

 

「ぐッ!」

 

 

パシュ!

 

 

話の途中で何者かの攻撃を食らった七志くん

 

 

地に倒れた七志くんの背中に切り傷の後が残っている。幸い彼も早く反応できたおかげで傷はそこまで深くはない

 

 

「やっほ、おひさだね~」

 

 

「フリード・セルゼン・・・まだこの街に潜伏していたのか」

 

 

現れたのはかつてアーシアさんの神器を奪おうとした堕天使の下に居たはぐれエクソシストのフリード・セルゼンだ

あの他者を小馬鹿にする口調はいつも通りのようだ、はっきり言って気に入らない

 

 

「ありゃ?ご機嫌ナナメ?お友達さんを斬っちゃったからですかねぇ?俺っちはキミとの再会劇に涙ナミダでございますよ!」

 

 

「その剣は!」

 

 

フリードの手に持つ剣を見て驚愕する木場

そう、彼の手に持つ剣は・・・

 

 

「おまえさんの魔剣と俺さまのエクスカリバー、どちらが上か試させてくれないかね?お礼は殺して返すからさぁ!」

 

 

 

 

木場 SIDE 終

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。