ハイスクールD×D〈第三の天龍〉   作:BATTU

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主人公のセリフ『』から「」に変えました


第三十五話

 

イッセーSIDE

 

 

 

「・・・ずっと、ずっと思っていたんだ。どうして僕が、僕だけが生き残ってしまったのかって・・・」

 

 

 

遂に姿を現したコカビエル

 

駒王学園での決戦の最中に語られたバルパーのクソ野郎の過去の所業。ヤツは木場の仲間達を殺したんだ。聖剣を扱う為に必要な因子・・・たったそれだけの物を手に入れる為に

 

 

 

全てを話したバルパーは木場の仲間達から抜いた因子の結晶を木場に投げた

 

「どうせ余り物だ。これはくれてやろう、貴様の同士とやらの成れの果てだ」

 

人の命を奪ってまで手に入れた物を、最早ゴミだと言わんばかりに!

 

 

 

木場が涙を流しながらそれを拾い上げた

 

・・・その時だった。因子の結晶が光を発し始めた。それは徐々に大きさを増して行き、やがてその光は小さな人の姿へと形を変えた

 

 

 

俺はわかった。あれは・・・あの子達は木場の・・・

 

 

 

傍にいた朱乃さんが言う。今この戦いの場に渦巻く力が、あの結晶から彼らの魂を解き放ったと

 

 

「僕よりも夢を持った子がいた・・・! 僕よりも生きたかった子がいた・・・! なのに僕だけがこうしてのうのうと生きて・・・!」

 

 

・・・違う、違うぞ木場!その子達の顔を見てみろよ!

 

お前を羨んでるように見えるか?

お前を恨んでいる様に見えるか?

 

違うだろ!

その子達は笑ってるだろ!

お前が生きている事を喜んでくれてるだろ!

 

 

ようやく彼らの思いが届いたのか、木場の目から涙が溢れ始める。そして、仲間達の口が一斉に動き出す。木場もそれに合わせて口を動かす

 

 

「あれは・・・聖歌です」

 

 

アーシアが呟く。聖歌・・・それは、『聖剣計画』という辛い実験の日々の中で、彼らが夢と希望を持ち続ける為の手段。今幼子のような無垢な笑顔を見せている木場も、きっと当時は・・・

 

 

 

『僕らは、1人ではダメだった――』

 

 

 

『私たちは聖剣を扱える因子が足りなかった。けど――』

 

 

 

『皆が集まれば、きっとだいじょうぶ――』

 

 

 

ッ・・・! 聞こえる! 俺にもあの子たち声が・・・! 彼らの声を聞いている内に、俺は自然と涙を流していた。俺だけじゃない、アーシアもだ。あの子にもきっと、彼らの歌が特別に聞こえるんだろうな・・・

 

 

 

『聖剣を受け入れるんだ――』

 

 

 

『怖くなんてない――』

 

 

 

『たとえ、神がいなくても――』

 

 

 

『神が見ていなくても――』

 

 

 

『僕たちの心はいつだって――』

 

 

 

「――ひとつだ」

 

 

 

仲間達の魂が天へと昇り、それは一つの大きな光となって木場の元へ降りる。そして、木場の体をどこまでも優しく、温かな光が包みこんだ。

 

 

 

【相棒】

 

(ド、ドライグ?どうしたんだよ?)

 

【あの『騎士』は至った。所有者の思いや願いがこの世界の『流れ』にすら逆らった時・・・神器は至る。そう・・・あれはまさしく禁手だ】

 

(ッ!それって俺の『赤龍帝の鎧』と同じ・・・!)

 

【そうだ、ヤツは至ったのだ。もうあの『騎士』は今までの『騎士』では無い。相棒、うかうかしていると追い越されるぞ?】

 

 

そっか・・・

 

木場、やったな。あの子達はずっとお前の中で生き続ける。それに俺達だっている!

 

オカルト部のみんなが、そしてここには居ないが七志の奴だってお前を支えてやる! 

 

 

「木場ぁぁぁぁぁぁぁ!!! お前はもう一人じゃねえぇぇぇぇぇぇぇ!!! だからお前が! お前の手で! エクスカリバーをブチ壊せぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」

 

「そうよ、祐斗!やりなさい!自分の手で全てに決着をつけなさい! エクスカリバーを越えるのよ!あなたなら出来る!私の『騎士』はエクスカリバーごときに負けるはずが無い!そうでしょ、祐斗!」

 

「祐斗君、信じてますわよ!」 

 

「祐斗先輩・・・!」 

 

「全力で応援させて頂きます!」

 

 

俺だけじゃない! みんなだってお前を信じてる!

 

だから見せてやれ、木場!お前を失敗作なんていいやがったあのクソ野郎に!

 

お前と、お前の仲間達の思いと力を!!

 

 

「・・・ありがとう。みんな。ならば僕は・・・剣になる。僕を想ってくれる部長や仲間達を守る為に。何ものにも負ける事の無い、最強の剣にッ!!」

 

 

木場の想いに応えるように、あいつの神器が変化していく。元々の闇色のオーラに、あの子達の光が混じり合い、一つになる。あれが、あれこそが木場の禁手・・・!

 

 

「禁手・・・『双覇の聖魔剣』。聖と魔・・・その二つを有する剣の力、その身で受けるといい!」

 

 

神々しい光と禍々しい光。まさに聖魔剣というに相応しいその一本の剣を手に、木場はフリードへ襲い掛かった

 

ヤツはイリナから奪った一本を含めた四本のエクスカリバーを合体させた物で木場の攻撃を受け止めるが、木場の剣がフリードの剣のオーラを瞬く間に飲み込んでいく。それに驚愕しつつ反撃するフリードだが、木場はそれを完璧と言っていい動きで全て避けてみせた。

 

そこへさらにゼノヴィアが、デュランダルというトンデモ秘密兵器を解放して乱入する。これにはバルパーどころかコカビエルまでも驚いていやがった

 

 

「感謝するぞ、フリード・セルゼン。お前のおかげで、デュランダル対エクスカリバーという頂上決戦が出来る。はは、歓喜で体が震えそうだ! せいぜい一太刀目で死んでくれるなよ!」

 

 

・・・もしかしなくても、あいつって戦闘狂?

 

そんなことを思いつつ見守る俺達の前で、木場とゼノヴィアは確実にフリードを追い詰めていた。

 

 

そして・・・

 

 

「チェックメイトだ!」

 

 

木場が聖魔剣を一閃させる。直後、フリードのエクスカリバーが甲高い金属音を発しながら刀身をへし折った

 

 

「マジかよ!伝説のエクスカリバーちゃんが!酷い!これは酷すぎる!!」

 

 

折れたエクスカリバーをみて驚愕するフリードに、木場は容赦無く剣を振り降ろした。肩から脇腹まで深々と切り裂かれ、フリードがその場に崩れ落ちる

 

 

「・・・やったよ、みんな。僕らの力は今・・・エクスカリバーを越えたんだ!」

 

 

天に向かって剣を掲げる木場。その叫びは、天国にいるであろう仲間達へ勝利を届けようとしているかのようだった。おめでとう、木場。しっかり見せてもらったぜ。お前とお前の仲間達の完全勝利を!

 

そんな木場に対し、バルパーが信じられないといった様子で顔を強張らせていた。

 

 

「せ、聖魔剣だと!? そんな事が・・・。聖と魔・・・反発しあう二つの要素が何故・・・」

 

「さあ、バルパー・ガリレイ。覚悟を決めてもらう」

 

 

木場がバルパーに剣を向けても、ヤツはブツブツと呟いている。と思っていたらバルパーが突然閃いたように叫んだ。

 

 

「・・・そうか!そういう事か!聖と魔のバランスが崩れたのだな! それならば説明がつくぞ!つまり、過去の対戦で魔王だけではなく神も」

 

「そこまでだ、バルパー」

 

「なっ!?」

 

 

バルパーの言葉は最後まで続かなかった

 

ヤツの胸を貫く光の槍がその命を刈り取ったからだ。倒れ伏したバルパーに向かい、ヤツを殺した張本人・・・コカビエルが口を開く

 

 

「バルパー。お前は確かに優秀だった。だからこそそれに気付いたのだろうが・・・。残念だな、最早お前は必要無い。いや・・・最初から俺だけでもよかったんだよ」

 

 

こいつ・・・協力者をこんな躊躇いも無く殺せるのか!? たった今起きた惨劇に固まる俺達の前で、コカビエルが静かに大地へと舞い降りる

 

 

「さて、余興は終わりだ。赤龍帝、限界まで高めた力を誰でも構わん。譲渡しろ」

 

「ッ!それだけ余裕だって言いたいのか、なめやがって・・・!」

 

「ふん、なめているのはお前たちの方だ。貴様ら如きで俺を倒せると本気で思ってるのか?」

 

 

翼を広げて強大なオーラを纏うコカビエル。なんて奴だ、確かに今までの奴らとは格の違いを思わせやがる!

 

 

「くっ・・・イッセー私に譲渡を!」

 

「はい!」

 

『Transfer!!』

 

 

今の俺が限界まで溜められる力を部長に譲渡する

その瞬間部長の纏う魔力がさらに膨れ上がる

 

 

「ふはは!いいぞ魔王の妹よ!もう少しで魔王クラスの魔力にたどり着きそうだ!貴様もサーゼクスに劣らず才に恵まれているようだな!」

 

「消し飛びなさい!!」

 

 

部長の両手から放たれた巨大な魔力の塊がコカビエルに放たれた。だがコカビエルはそれを両手を差し出し、真っ向から挑んで行きやがった

 

 

「ぐっ!」

 

「ぬぅぅぅぅぅんッ!フンッ!!」

 

「ッ!そんな、あれだけの魔力でも届かないの・・・」

 

 

コカビエルは部長の魔力塊を引き裂くように払いやがった!ふざけんなよ!あれでも駄目なのかよ!?

 

そんな風に絶望してると

 

 

 

---どけって言ってるだろう!!!

 

 

 

「?・・・ふぁ!?」

 

「な!全員伏せて!!」

 

 

部長の叫び声と同時に青白い閃光が校門の方から放たれた

 

 

「なに!?ぬおぉぉぉぉぉ!!」

 

 

コカビエルの奴は回避に間に合わずその閃光に呑み込まれた

 

一体なにがどうなってんだ?!

 

 

【この忌々しい蒼い雷・・・奴か】

 

「・・・ま、まさか」

 

 

そんな嘘だろ?!部長に来ちゃダメだって言われたのに?!

 

 

「やぁ、イッセー君。来れないイリナの代わりに援軍として来たよ」

 

 

なんで来ちゃったんだよ七志ーーー!!

 

 

イッセーSIDE 終

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

七志SIDE

 

 

到達する数分前

 

 

なにやら学園の方から凄い輝きが見える

なにがおこってるかは知らないが急がないと

 

ようやく校門までたどり着くと見慣れた人たちが立っていた

 

 

「支取先輩」

 

「ッ、七志くん?なぜ貴方がここに?」

 

 

支取先輩だけじゃない。生徒会副会長の真羅椿姫先輩に匙くんもいた

 

 

「支取先輩たちは?」

 

「私たち生徒会は外に被害が出ないよう学園周りに結界を貼っています・・・リアスからは貴方は来ないようにしたと聞いていましたが」

 

「今回の事件に関してはリアスさんは僕を巻き込みたくないと言って、ここには来ないようにと言われました」

 

「ではなぜここにきたのですか?」

 

「もちろん助けに行くために来ました」

 

「分かりません。貴方はリアスの忠告を無視してここに来た、今回の事件はライザーとの件とは比にならないものだと告げた、つまりはっきり言って貴方は足でまといにしかならないと言われたというのにそれでもリアスたちの元に行こうとする。死に行くようなものなのですよ?」

 

 

支取先輩の口から告げられたきつい一言

しかし、先輩の言葉は全て事実だ

 

 

だけど

 

 

「それでも僕は彼らの為に戦いに行きます。結界を解いて中に入れてください」

 

「それは出来ません。リアスからも、もし七志くんが来た場合は必ず帰らすようにとも言われています、匙」

 

「はい、会長」

 

 

僕の前に立ちふさがる匙くん

腕には既に神器を取り出し臨戦態勢を取っていた

 

 

「悪いな七志、会長の命令なんだ。今から家に帰れば見逃してやるぜ?」

 

「・・・匙くん、君にはいつもあまり好感を持たれた事はなかったね」

 

「は?」

 

「きっと知らない内に僕が君に嫌われるような事をしてしまったのだと悩んでもいたんだ。なにをしたかは分からないけどそれでも先に謝りたい、ごめん」

 

 

僕は匙くんに頭を下げた。前々から彼には頭を下げて謝らなければとずっと思っていた

 

 

「お、おい、七志?」

 

「そして、たぶん今からもっと嫌われるかもしれない。恨んでくれてもいい、それでも僕は君を恨んだりはしない・・・だから、押し通らせてもらう」

 

 

「ッ、そういう事か。なら手は抜かねぇ、大人しく寝ててもらうぜ!!伸びろライン!」

 

 

匙くんの伸びるラインが左腕に巻き付く

 

 

「あのイカれた神父の時にも見せたが一度捕まったら簡単には離さないし力も吸い取る。いくら神器を持ってるお前でも簡単には引き剥がせないぜ!」

 

 

ラインに繋がった者の力を吸い取る匙くんの神器

「黒い龍脈(アブソーブション・ライン)」

 

僕のと同じドラゴン系神器だとあの強姦魔も言っていた

 

確かに弱体化させる力は厄介だ・・・だけど

 

 

「匙くん、その力を吸い取る能力は"どこまでが限界"?」

 

「は?なに言ってやがる」

 

「その能力は"吸うだけの力も無くても吸える"・・・の、かな」ドサッ

 

「ッ、七志、"なんで脚を着いた"?」

 

「匙?」

 

「俺はまだ"なにも吸いとってないぞ"」

 

 

そう匙はラインで七志を捕らえてはいるがまだ能力を使ってはいない

 

なのに七志はまるで力が抜けたかのように徐々に弱っていく

その理由は彼の左腕にあった

 

 

『DownDownDownDownDownDownDownDownDownDown』

 

 

「ッ!!七志お前まさか!?」

 

「へへ、どうやら・・・・マイナスにいた・・・のまで、は・・・無、り・・・・・だね」

 

 

もはや声さえもはっきり出せない七志

 

そう、彼は既にデッド・ペイルタスクの能力で下げられる限界値以下まで下げさせていた

限界値を超えてもなお力を下げ続ける彼の神器、もはや彼の力は少ないどころ皆無に等しい

 

 

「や、やめなさい七志くん!それ以上は貴方が死んでしまいます!」

 

「くそ!この!!」

 

 

匙は七志を止める為にラインを解いて気絶させようと試みる

しかし、それは七志が狙っていた行動だ

 

 

「・・・・・・・今だ」

 

 

『Release!!』

 

 

「「「ッ!!」」」

 

 

急激に増す七志の力に3人は驚愕する

 

デッド・ペイルタスクは下げた分の力を倍増させる能力

倍増は下げた今の力の分にではなく彼が現に持つ力に対して倍増する

 

つまりいくらマイナス値まで力を下げようと解放される時には元の力に戻り、それから倍増されるのだ

 

 

「な、あ・・・あ」

 

「どいてくれ匙くん。僕は・・・行かなきゃ」

 

 

七志から放たれる圧に意識を手放しそうになる匙。それでも意地をはるように七志を止めようとする

 

 

「七志!おめぇは!」

 

「匙くん・・・」

 

「ッ?!」

 

 

七志の右手が光る

 

蒼く、触れた物を全てを貫かんとするほどに輝く雷を纏いその右手を突き出す

 

 

 

「どけって言ってるだろう!!!」

 

 

 

その言葉と共に匙は逃げた。いや、逃げないとやばいと本能が察したのだ

 

放たれた蒼い閃光。冥界で赤龍帝のドラゴンショットを相殺したかつてのイグドラの息吹

 

激しい雷とは裏腹に静かに放たれた蒼雷は学園の結界に当たり、貫通した

 

 

「け、結界が・・・」

 

 

蒼雷の波動に体制を崩したソーナ

結界には人1人入れるくらいの穴が開いただけで済み、何故か崩壊には至らなかった

 

七志はその穴の中を振り返りもせず躊躇なく潜っていった




これでもチートではない
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