目の前に映るこの光景は現実か?
一人の青年の体に大きな光の槍の様な物が突き刺さり血を流している、その近くに黒い翼を生やした女性が笑っていた
何故こんな事が起きてしまったのか、どうして彼が殺されているのか
僕は呟いた
槍が突き刺さった青年の名を
「・・・イ、イッセーくん?」
数日前
駒王学園
今日はイッセーくんから呼び出しがあり、昼休みに彼のクラスに向かった
「イッセーくん、来たけどどうしたの?学食奢る話しならまだいらないけど」
「いやいや、今日はお前にも紹介したい人が居てな」
そんな上機嫌なイッセーくんの隣に見知らぬ黒髪の女性がいた
「初めまして、天野夕麻と申します」
「俺の彼女なんだぜ!」
「ほう、イッセーくんの彼女だったのか。僕は秋上七志、イッセーくんとは幼馴染みだ。よろしく」
冷静に返しているが本当に驚いた。まさかイッセーくんに彼女が出来るとは思わなかった
今日、呼び出されたのは彼女の紹介らしい。教室の端にはイッセーくんの友達の二人が落ち込んでいた
綺麗な女性で他学園の制服を着ていた。しかし、まだ昼なのに此処に来て大丈夫かな?・・・まあいいや。
「おめでとうイッセーくん。幼馴染みとして祝福するよ」
「ありがとう七志。お前だけだ、そう言ってくれるのは(泣)」
なんか泣いちゃったよ
とりあえず少し話したあと、元の教室に戻った
「ふぅ・・・しかし、彼女か」
「やぁ、七志くん。どうしたんだい?」
「ん、祐斗くんか。いや、イッセーくんに彼女が出来たのを聞いて少し驚いていたんだ。幼馴染みの僕にも紹介してきたよ」
彼はクラスメイトの木場 祐斗(きば ゆうと)
顔立ちの良い美男子で女子に人気がある。一応、少し話すくらいの友達だ
「あぁ、そうなんだ。それにしても嬉しそうだね」
「そう見えるか?」
「普通、そういう惚気話を聞いてると呆れたり疲れたりしない?」
「赤の他人ならしたかもね。でも、大切な幼馴染みに彼女が出来た事を喜ばない訳にはいかないだろ?」
「本当に優しいね、七志くんも彼女とかほしいと思うのかい?」
「僕はもう諦めてるから。顔立ちも良くないし、こんな普通な僕に女性が来る筈なんてないさ」
その後も祐斗と談笑し、午後の授業を受けた
その間クラスメイトの女子たちから聞こえた
「や、やはり木場きゅんとあっきゅんは鉄板なのね!」
「あの木場くんが自分から他の男子に話すことなんて滅多にないのに・・・」
「木場×秋上・・・薄い本が厚くなるわ」
「木場きゅんハァハァ///、あっきゅんhshs///」
等の会話は聞こえなかった事にしよう、そうしよう
イッセーくんに彼女が出来て数日後
その間、イッセーくんからデートのプランやら服装について相談を受けた
僕自身もそんな経験ないのに相談されても困る。まぁ、とりあえずデートは軽いショッピングや映画を見に行き、最後は夜の静かな公園へというシンプル、違う言い方では王道のプランを立て、服装はモノクロの組み合わせを意識した服装を提案してみた
協力した事をイッセーくんから感謝され、早速準備に取り掛かるそうだ
やれやれ、上手く行く事を祈ろう
そんなイッセーくんの初デートの日の夜
「・・・ん~、なんか落ち着かない」
夕食も食べ終え、風呂にも入り、特にやることもなくソファーで読書をしていたが妙に落ち着かないのだ
別にイッセーくんのデートが心配と言うわけでは無いのだが、何故か胸騒ぎがして落ち着かない
「・・・はぁ、少し散歩でもするかな」
ケータイと財布、家の鍵を持ち暗い夜の中、散歩に出掛けた
少し体を動かせば眠気が出て、早く眠れるだろうと考えて歩みを進めた
気がつけば、近くの公園まで来ていた。その時公園から2人くらいの声が聞こえて来た
(む?この声はイッセーくんに・・・夕麻さん?)
僕はそっと木の後ろから覗きこむ、あまり良い行為ではないが好奇心が勝ってしまい2人の現場を覗く
しかし、何やら様子が変だ。イッセーくんは困惑したような表情になっている
その時だった
ザシュ!!
(・・・え?)
衝撃的な瞬間だった。突然、夕麻さんの背中から黒い翼が出てきたと思ったら手から光輝く槍の様な物を出して・・・イッセーくんの胴体に槍が突き刺さったのだ
「イ、イッセーくん?」
これは夢なのか?現実なのか?それさえも分からなかった
だが、今目の前で幼馴染みが・・・殺されたのだ
「あ・・・あぁ、うっ・・・」
腕が震える、脚が震える、幼馴染みが殺された事によるショックからか、はたまたもしバレたら自分も殺されてしまうのではないかという恐怖からか。
僕はゆっくり後ろに下がる。とにかく一旦離れ、警察と救急車を呼ばねはならない、バレない様にゆっくりと離れるが事は簡単にはいかなかった
「・・・(ニヤッ)」
「!」
天野夕麻がこちらを向き、笑った!あの表情からして既にバレていたのか!
「くっ!」
僕は走った。とにかく、逃げなければ殺される
家の前
「ハァ、ハァ、ハァ、ハァ・・・・」
全力で走り、僕は何とか家の前まで戻ってきた。天野夕麻は追ってきていない
とりあえず、警察と救急車を呼ぶためにケータイを取り出し番号を打つ・・・だが、不幸はまた起きた
スパッ!
「ッ!!」
突然、頬に何かが掠り血が流れる
地面に目を向けると天野夕麻が使っていた槍の小さい物が突き刺さっていた
「いけませんな。勝手に場を覗いただけでなく、余計なことまでしてもらうのは」
突然現れたのは天野夕麻ではない、スーツに身を包んだ見知らぬ年上の男性だ。だが、人じゃない。その背中には天野夕麻と同じ様に黒い翼もあった
「申し訳ないが人間よ。見てしまったからには消えて貰わなければならない、恨まないでくれたまえ」
手から光の槍を作り出し、それを握り締めてじわじわと近づいてくる
死ぬのか?イッセーくんが殺され、何も出来ずに俺も死ぬのか?
・・・いや、死にたくない。死んでたまるか!
僕は覚悟を決め、構えをとった
「ほう、向かってくるのかね?無駄な事を」
男は一気に距離を詰め、光の槍を振りおろした
「ふっ!」
「なに?」
僕は振りおろされる男の右の手首を掴み、そのまま後ろへ投げるように受け流した
しかし、男は翼を広げ空中で体制を整えた
「ふむ、多少ながら武に心得があるようだな」
「・・・」
何も答えずにゆっくり呼吸をしながら相手を見つめる
先ほどの技は合気道の一つの「四方投げ」
相手の手首を持ち、入身・転換によって相手を崩し、両腕を振りかぶりつつ両腕を180°背転し、刀を斬るように腕を振り落とすことにより、相手の肘を頭の後に屈曲させ脇を伸ばし仰け反らせて倒すと言う技だ
両親が死んでからもしもの為にと護身用に合気道術を習っていて良かった
だが、これでは駄目だ。投げたり押さえるだけではコイツは倒せない
だが、死ぬ気なんて無い。そしてあの女だけは絶対に許さない!
必ず捕まえて、あのにやついた顔に一発殴った後にイッセーくんを殺した事を後悔させてやる!!絶対にだ!!
“・・・オモシロイヤツダ。キョウミガデタ、チカラヲカシテヤル”
「?!な、なんだ!」
突然だった、右腕から蒼い光が現れ数秒後には光はおさまった
「なんだ・・・これ?」
光が消え変わりに現れたのは深い蒼の篭手の様な物
拳の両側に甲から下へと伸びる毒々しい蒼紫の色をした恐竜の牙を思わせる装飾が2本存在した
遂に神器が来ました
能力と神器名は次の話で
※漫画版で天野夕麻は他学園の制服を着ていたのでちょっと修正しました