ある日、妹紅にいつもの様に昔話をしていると、僕に客が来た。
「ごめんください。司殿はいらっしゃいますか?」
「はーい、ただいま。」
僕に用件?不比等さんじゃなくて?少し呼び主や目的が気になりながら扉を開けると、そこには何処かで見た事があるよるようなお爺さんがたっていた。
「あのーどちら様ですか?」
「私は讃岐の国からの造であった者です。今はかぐや姫と一緒に暮らしております。」
讃岐の造……あ、あぁかぐや姫のところの
「これはこれはどうも。以前あなたのお屋敷で何度かお会いしましたよね?あの時はどうも。」
「いえいえお気になさらずに。かぐやも貴方とお話はとても興味深かったと言っておりましたので、また来てください。」
「ハハハ、そう何度も行くと不審がられてしまいますので。それで今日はどう言ったご用件で?」
「そうでした。かぐやが至急貴方とお話がしたいと言っておりましたので、伺ったまででございます。」
話?何だろうか。
「了解しました。妹紅!少し出掛けてくるから。」
「ん?分かった。行ってらっしゃい。」
「あぁ、行ってくる。」
そう言うと、僕達はかぐや姫の元へ向かった。
「かぐや。司殿を連れてきたぞ。」
「ありがとうございます。」
「それではお二人さんごゆっくりと。」
「お爺さん、ありがとうございます。」
お爺さんが部屋から出ていくとかぐや姫は座る体制を崩して言った。
「さて、早速だけれども用件を伝えるわ。」
「やっぱり猫を被っていたのですね……」
「まぁ、お姫様も楽じゃないって事ね。」
「はぁ。」
別に素でいいんじゃないかって思うんだけどね。あれか、親しき仲にも礼儀ありって奴か?
「まぁ、私の意地が許さないだけなのよね。」
違ったか。それで用件って言うのは?
「そうそう、三日後の晩の満月の日に私は月に帰らなくちゃいけなくなっちゃったのよ……」
「はぁ。それはまぁ突然ですね。おめでたい話なのですか?」
僕がそう言うと彼女は畳を強く叩いてこう言った。
「本気で言ってるの……私はあんな所に帰りたくなんてないの。言ったでしょう…あんな奴等がいる所に帰りたくない……人の命なんかおもちゃみたいに扱う奴らの元へ行くなんて真っ平ごめんだわ!」
「人の命をおもちゃ?」
僕がそう聞き返すと彼女は荒らげていた声を抑えて
「そう……私は罪を犯した。それはそれはアナタ達にとっては夢のような事なのかもしれないけど、穢れを持ち、死なない体だと言うことは永久的に実験資料になるか、隔離されて生きるかのどちらかよ……」
と言った。お姫様も大変だな……もはやお姫様としても見られてはいないか。
「一人で逃げるつもりですか?」
「いえ、そんなつもりではないわ。月から永琳も来るつもりだからお願いするつもりよ。」
「…………か。」
「何か言ったかしら?」
「いえ?何も。」
不覚にも出てしまった言葉、幸いにも聞かれてなかったようだ。
「それでアナタを呼んだのは他でもないわ。他の人達に呼び掛けて私達を守ってほしいのよ。」
「えー嫌だよ。」
僕はその話をさらりと流した。
「えっ…………ちょっとどういう事よ!。」
彼女には理解出来なかったみたいだね。
「だから、嫌だって。」
「どうしてよ!なんでよ!どうして助けてくれないの!」
胸ぐらをがっちりと掴み、姫としての威厳も尊厳も見当たらないような彼女へ僕は言葉を連ねた。
「えーじゃあ聞きたいことがあるんだけどさー
どうして暇潰しの相手にそんなこと頼むの?」
「…………ッ!!」
かぐや姫は口を噤んでしまった。
「ほかの貴族達は分かるよ?命を賭けてでも貢ぎ物をしようとしたんだからね。だけど僕はただ君の暇潰しの相手になっていただけだ。確かに面白い話を聞かせてもらったことについてはありがたいと思ってはいるよ?だけど命を賭ける程の物では無いのではないでしょう?だから僕はかぐや姫を助けるつもりはない。」
「そっ、それは………………。」
「まぁ、僕なんかにそんなことが出来る訳じゃないんですけどね。まぁ兵士たちは呼んでおいてあげますよ。」
「……………………。」
彼女は何か言いたげな顔していたが何も言えない状況だと理解していた。
都の姫君と一階の付き人、二人の関係はそれまでのものだという事を理解していない程彼女は愚かでは無かった。
「僕なんかがいなくたって大丈夫ですよきっと。変わんないと思いますよ。」
「アナタは………………私のことをどう思っているのかしら……。」
「僕?そうだねぇ……」
僕はそんなことを言われるなんて思ってなかったし考えても無かったので自分の思った以上に考えてこう言った。
「他力本願で我侭なお姫様ってとこかな?」
心当たりがあったのか知らないが彼女は黙り込んでしまった。
「………………。」
「でも、そんなお姫様が抗う姿を見てみたいね。」
僕はこう言うと、彼女は俯いていた顔を上げてニヤリと笑ってこう言った?
「へぇ、アナタって相変わらず面白い事言うわね……。」
そして、僕の胸ぐらから手を離して立ち上がった。
「そこまで言うならやって見せるわ。私は私自身で運命を掴んで見せるわ!!」
「じゃあそんなお姫様にこれをあげるよ。」
僕は彼女の姿を見て、右腕につけていた腕輪を渡した。
「これは?」
「僕が大好きだった人から貰ったものの一つだよ。」
「大好きだった人?」
「うん。でも、その人の事を思い過ぎてその思いが枯れちゃったんだよね。」
「どゆこと?」
「まぁ、色々あったってことだね。」
少し強引だったかな。
「ふーん、まぁ詮索はしないわ。」
「それはそれは助かりますよ。」
そう言って彼女は僕の腕輪を受け取った。
「うわぁ、見た目以上に重いわね。」
「そうですか?まぁ僕の大切な物だから大事にしてください。」
「えぇ、わかったわ。」
「それでは、私は帰りますので。」
「……司。」
彼女は悠然と立ちながら少し自信なさげに告げた。
「ありがとう。また会いましょう。」
「えぇ、また会える事を楽しみにしています。
全てはあなた次第ですよ……」
僕はこの日から彼女の屋敷に行くことは無かった。
そして三日後、満月の日になった。
かぐや姫の屋敷には帝や不平等さんから派遣された兵士や陰陽師が多く来ていた。絵面は総勢三百人近くの人々が一人の女の子を守りに来たという、傍から見ると凄い事態に見えた。まぁすごい事態なんだけどね。
さて、今晩は月から永琳達が来る予定だ。少しだけだが楽しみではあるけど僕は彼女に合わす顔が無い。まず、仮面つけてるからバレることはないと思うがな……何が起きるかなんて彼女次第と言ったところかな。僕はそんなことを思いながら、夜空に浮かぶ星を見ながらこう言った。
「あーあ、僕ってこんなにもお人好しで、人間っぽかったけ?」
…………フン、もともと人間だったろうに…………
「何か言った?と言うか最近よく出てくるね。」
…………まぁな。汝は二度も力を使った。よって、汝は我との魂の繋がりが強くなり、我も力を取り戻してきた。後何回か使えば汝は我に支配されるだろう。気をつけるがよい。…………
僕はその言葉を聞いて吹き出してしまった。
「ハハハ、貴方も優しいじゃないですか。人の事言えませんね。」
…………ほっとけ…………
「さて、見せてみろかぐや姫。お前の本気をな……」
もう月から来たロケットは見え初めていた。
遂に永琳さんが再登場します。期待していた方々お待たせしました。今日はクラス会があるので書けるかわかりません……それでは最後まで見てくれた方々ありがとうございます。