司「このシーンは絶妙に微妙な尺だからね。」
それでは、本編の方へどうぞ。
「な、何故お前がこれを?……」
ツクヨミは一通り紙束に目を通したあと、司に聞いた。
「最重要機密情報がいっぱい詰まってた部屋に行って情報を得てきただけだよ」
彼は少しばかり殺気を抑え、彼女の質問を簡潔に答えた。
「馬鹿な……あそこは簡単には入れないはずだ……」
「簡単には入れなかったさ。敵を倒して、入り口を見つけて、扉を斬って、パスワードを入力しなくちゃいけなかったからね」
「そうだ……何故貴様がパスワードを知っているのだ!」
「そんなことよりそっちの計画を潰さなくちゃいけないんだから時間を食っている場合じゃない……どうする気なんだ?」
彼女は激昂して彼の胸ぐらを掴んだが司は彼女に胸ぐらを掴まれたまま声色を変えずに静かに言った。
「フン、貴様程度に力を借りなくても倒せるわ……」
ツクヨミはそう言ったが声が消えてしまいそうなくらい小さかった。なぜなら
「ならば、今ここに来た妖怪の何倍の量の宇宙生命体とこの星並の大きさの隕石を防ぐことができるとでもいうのか!」
司は彼女にそう問いかけると掴んでいた胸ぐらを話してこう言った。
「なら!!ならばどうすればいいのだ…………。貴様には出来るというのか…………」
彼女の目には涙を浮かべていた。胸ぐらを掴む手は緩んでいき遂には彼から手を離した。
「すまない…………皆のもの私が不甲斐ないばかりに………………」
それを聞いた彼は彼女を優しく抱きしめて言った。
「バーカ諦めんな。そんな事は最後まで足掻いてから言えよ」
それを聞いた彼女はキョトンとした後に無理に笑みを作り軽く笑い声をあげた。
「フフ、前に私の親友がそんなことと似たことを言ってくれたのを思い出した。それも辛い時は何時も何時も私の傷付く時を待っていたかの様に凄まじくいい時期に声を掛けてくれた今は無き彼の姿を……」
彼女は涙を払いのけ彼をしっかりと見据えた。
「そんな事を言ってくれるのなら手伝ってくれるのであろう?」
今度は司が軽く笑いこう答えた。
「そうだね。僕の言う通りにしてくれたらこの地を救って見せるさ」
「ほう?ならば月の代表としてこのツクヨミが月の民の命すべてを、貴様に託そう。」
彼は彼女が見えない仮面の中の目を大きく開いてこう返した。
「おいおい、僕が工作員なら大負けじゃないか」
「生憎、見る目はある方だからな」
「おいおい……まぁいいか。それじゃあ言う通りに動いてね…………」
彼は彼女の即断即決する神としての、月のリーダーとしての態度に面を喰らいながらもこれからの計画を話していった。
「まぁ、と言うことがあったのだ」
ツクヨミがそう言い終わると彼女の部屋に来た三人の女性が溜息をついた。
「そんなんで大丈夫なんですか!!もしもの事が起きてからでは遅いんですよ!分かっているんですか!」
「まぁまぁ、落ち着きましょう。妖怪達も退散してくれたのだし」
「それで私達はこれからどうするのですか?」
最後の女性が言うとツクヨミは再び真剣な表情で言った。
「ふむ、それで依姫と妃奈乃には都市の北と南に分かれて警護に当たって欲しい。兵士の配置は二人に任せる」
「……分かりました。」
「了解です」
「そして、豊姫には…………」
「私には?」
彼女が聞き返すとツクヨミはこう言い放った。
「豊姫には月の裏側で彼とともに敵を迎撃ってもらう」
「「は?」」
姉妹の間抜けな声と
「ふーん」
妃奈乃の声がツクヨミの部屋に響いていった。
今日は色々な事が月に起きていた。私は地球の監視をしているから、穢れを持つ存在が月を襲ってくるのは知っていた。しかし、ツクヨミ様が言うには一人の妖怪がやって来て更なる月の危機を知らせたというのだ。それを聞いた私達はツクヨミ様の冗談かと思ったが、持っていた資料と壊れていた通路を見て事実であることを理解した。そこまではいい。そこまではいいのだが…………
「どうして私が一人で行かなくては行けないのよ!」
そう叫ぶと依姫も私に同調して愚痴を吐いた。
「本当ですよ!姉上にそんな事させるなんて……全てが終わったらあの人は死刑にすべきです!」
「…………」
私は行き過ぎた妹の持つ姉への愛に引いていた。
「文句言うならツクヨミ様より、その妖怪にするのが一番じゃない?」
妃奈乃は何時も通り落ち着いていた。
「そうですね!そいつは月で永遠に私が痛ぶって反省させましょう」
彼女に同調した私の実の妹の態度に実の姉は引くどころか妹に恐怖を覚えていた。
ふふっ
(あれ?)
私は妃奈乃の方から笑い声が聞こえた……気がした。
私が整備された道から歩いて五、六分歩くと人影が見えてきた。近づいてみるとツクヨミ様が言っていた、青い髪に赤い仮面を持つ、人型の妖怪が立っていた。
私の接近に気づくと歩み寄ってきたので私は反射的にそいつに扇子を構えた。
「来ないでくれる。近づくと私の扇子で分子レベルで分解するから!」
私の言葉を聞くと彼は満足そうに頷き立ち止まった。
「了解。言いつけ通りもって来てくれたみたいだね。」
「それってどういう…………」
私は彼の言葉を疑問に思いどういう意味か聞こうとしたが
ヴッーヴッーヴッー
「月に向かってくる複数の隕石を探知。防衛システムを展開せよ。」
すると突然アナウンスが響き私の考えを掻き消してしまっていた。
私は何事かと思い辺りを見渡してみたが何も起こらない。防衛システムは作動せず、敵も現れてはいなかった。
「残念だが防衛システムは作動しない。さっき見てきたがコードがやられていた……」
「なっ!そ、それは!!」
私は彼の溢した言葉の意味を理解すると、彼は再び近づいて来てこう言った。
「周りになるべく被害が出ずに、この隕石を無力化出来るのは豊姫……君しかいない」
「そ、そんな…………。」
私は事の重大さと自らの任務の重要さを改めて理解した。私には出来るのだろうか……いくらこの扇子があるとは言え相手に出来るのだろうか…そんな風に考えている私に彼は前より柔らかな口調でこう言った。
「大丈夫さ、この星を乗っ取りにくる宇宙生命体は僕が殺す。豊姫は隕石をその扇子で分解をしてくれればいいんだ。危険かもしれない……無意味かもしれない……でも、やらないよりやった方がまだましだろう?」
それを聞いた私は深呼吸をし、覚悟を決めて笑顔を作った。
「わかったわ。その代わりこのか弱い女の子を守ってね」
彼は私のした笑顔を溜息一つで片付けつまらなそうに呟いた。
「君はそんな年じゃないだろう…………」
私は問答無用で彼の顔にエルボーを食らわした。
仮面のせいで私の肘の方が痛かったが…………
司は隕石が後数分で来るという時に話しかけていた。
「さぁて……今回も力を貸してもらうよ。神様……」
彼がそう一人囁くと彼にしか聞こえない大きな声が聞こえた。
…………フハハハハ、この状況下は汝にはあまり利益が無いどころか、寧ろ損だと言うのにまた力を使うか。本当にお人好しだな…………
「僕はそこまで優しい奴じゃないって知ってるでしょ?今からする行為は相手に得かもしれないけど」
…………汝にも意地があると、再び言うつもりか?…………
「流石神様。よく分かってるね」
…………ククク、相変わらず汝は面白い奴だな。そんな汝にいい事を教えてやろう…………
「いい事?」
…………あぁ、汝が後約三度程我に力を求めると我に完全に支配される。汝は我に乗っ取られ、我が実体つきの神になるのだ。そうなった我は何をするか予想がつかない…………
その言葉を聞いた彼は笑い飛ばした。
「世界征服するって言っていたのによく言うよ。」
…………さてなんのことかな?…………
「まぁいいや。ご忠告ありがとうございます。因みにそうなった時の僕の生存率は?」
…………おそらく意識も我に支配されるであろうからゼロになるだろう。…………
この時彼は絶対に生き延びてやろうと心に誓った。
そして、
月面戦争第二弾が勃発した。
豊姫の他人への口調が難しい……なんか変だったらすみません。あと、この編の名前書いてませんでしたねすいません。月と妖怪と……編は後一話で終わる予定です。多分……それでは、最後まで読んでくれてありがとうございます。
司「書いてなかったけ?」
……………………………………。