司「聞いてねぇよ。」
あれそうでしたか?それでは本編の方へどうぞ。
「遂に今日私達は幻想郷を救うため……貴方を救うために戦うわ」
「紫……御免なさいね。私のせいで何だか迷惑掛けちゃったみたいね…………」
「いいのよ。だって私達友達じゃないの……私は友達の為に何かをしてあげたいの……貴方に生きてもらいたいの…………」
「優しいわね……紫は」
「そうよ。私は優しいのよ……」
二人は微笑み合いながら目の前に立ちはだかる蕾をつけた禍々しい雰囲気を放つ桜を見つめていた。
「まず初めに私と貴方の力で西行妖の力を抑え、私が封印するわ。その時に妖忌。貴方は西行妖の攻撃を食い止めて欲しいの」
「了解した」
「それじゃあ僕の力と紫の力で強引に封印に持っていくのか?」
「ええ、そうね。だけども妖忌だけでこの西行妖は止める事は出来ないでしょう。だから貴方にもあの桜を食い止めて欲しいのよ。お願いできるかしら? 」
「二つ掛け持ちってのは結構辛そうだな……願いで聞いてやるには少し割に合わない気がするね。」
「ならば今度は私が貴方の言うことを聞いてあげるわ」
「ふーん。言うことを聞く……ねぇ、その言葉忘れるなよ?」
「わ、私の出来る範囲でお願いするわ…………」
彼が悪い笑みを浮かべていうと、彼女は笑顔を引き攣らせて答えた。
「それじゃあ準備はいいかしら?」
「あぁ」
「うむ」
そう言うと紫と司は力を出し始めていった。
最初の方は順調そのものだった。彼の力で西行妖は動きを鈍らせ、妖忌一人で処理出来る範囲の攻撃だった。しかし、時間が経つにつれて西行妖の攻撃は威力や速さが徐々に増していき、司の力を使ってもギリギリ凌げる位だった。
「くそっ!どうして能力が聞きにくいんだよ!!仮にも植物だろうが!!」
彼が叫ぶのは無理もない。何故なら彼は:妖怪、妖精、動物を含まない物を操る程度の能力を持っている。だからその三つに当てはまらない植物は操る事が出来るはずだった。しかし、西行妖は妖怪桜。いくら植物とは言えど妖怪の力を持つ西行妖には効きにくかったのである
「紫!術式はまだなのか!!」
「えぇ!もう少しだけ持ちこたえて!!」
「チッ……こんなことなら藍も呼んでくればよかったんじゃないのか!!」
「無茶言わないで!幻想郷の維持で今は私だって抜けることは出来ない状況なのに、無理言って他の仕事と掛け持ちでやってもらってるんだから!!」
「これがうまく行かなかったら本末転倒だろうが!」
「そんなことくらい分かってるわ!!」
二人が言い合っている中、西行妖の攻撃をまともに喰らってしまった者がいた。
「妖忌さん!大丈夫ですか?」
司は彼に迫り来る枝を切り倒し、彼を担いだ。
「すみませぬ……司殿。あなたの手を煩わせてしまって」
「くそ、どうすれば……」
そう一人愚痴ると彼は西行妖の木の根元で一人ただずむ女性がいる事に気がついた。その女性はこちらを一瞥してニッコリと微笑んでいる
「幽々子…………」
「幽々子様?」
「嘘……どうして」
彼等がそういう頃には彼女は胸元から短剣を取り出して
ザシュッ
と静かに自分の胸を刺した。
「嘘…………でしょ」
彼女は目の前で起きた驚くべき出来事のあまり肩から力が抜けてしまい、完成しそうだった術式の展開をやめてしまった。その為術式は淡い光を放ちながら薄れていき、終いには努力虚しく消えてしまった
「そんな……幽々子様が………………」
妖忌も司の背中で言葉を漏らした。
「やっぱそうなるよな…………知ってた」
しかし司だけは狼狽える事なく妖忌を背負ったまま走り出し幽々子の遺体の元へ向かった。彼がそこにつく頃には西行妖が彼女の体に巻き付いて、彼女は宙に浮いていた。
「司殿?一体何を…………」
「司………………まさか!!」
妖忌がそう呟いていたが紫は彼の意図を理解したのか叫んでいた。
「やめて!!司。お願いだから!それだけはしないで!!」
しかし、彼は術式を展開していき、止まる気配は無かった。
「醜く咲こうとする西行妖よ。貴様に春は訪れさせはしない…………」
彼はそう言うと幽々子の体と西行妖は眩い光を放ち、
「やめてぇぇぇぇぇ!!!!」
という紫の悲痛が辺りに響き渡った。
「司殿?貴方は一体何をしたのですか?」
司の背中から降りた妖忌がそう聞くと、紫が彼に迫ってこう言い放った。
「貴方…………なんてことをしたのよ!!」
「別にただこれが一番確実だと思っただけだよ。」
「けれども!!これしか方法が無かったわけではないでしょう!!」
「一体司殿は何をしたというのですか?西行妖は封印できたのでは無いのですか?」
妖忌が彼女に問いかけると、彼女はこう返した。
「西行妖は封印できた?確かにそれは出来たわ。けど………………」
「こいつは幽々子の遺体を媒体として術式を組み、西行妖を封印したのよ!!!」
「なっ…………!」
「しかも!あの短期間でできたと言うことは幽々子を媒体として術式を組むことを予想してた!貴方は最初からそのつもりだったのでしょう!!!」
「さあね。別に良いじゃないか、封印できたのだから…………。あれ以上の方法は無かった。紫は術式を解いたんだから仕方が無い。」
「ッ…………!!でも!!」
「後、紫。藍を待たせてるんだったら早く行った方がいいんじゃないか?」
「…………見損なったわ司。貴方なら他の方法を出来たんじゃないかと信じてたのに……」
彼女はそう言い残すとスキマに消えていった。
「僕はそこまで万能じゃないんだよ…………期待しすぎだ。」
「しかし司殿!本当に他に方法はなかったのですか!」
「無かった事は無い……」
「ならば!!」
「これは西行寺幽々子の願いだ。」
「幽々子様の?……」
「あぁ。「私が覚悟を決めたときは紫や妖忌に出来るだけ被害が、及ばないようにしてね。」だってさ。」
「ならば何故!紫殿にあんな言い方を……」
「別に……そうしないと引き摺るだろう、西行寺幽々子という存在にな……」
「司殿……貴方は最初から…………」
「考え過ぎだよ。僕だって最悪の事はな…………」
「全く…………自己犠牲は感心しませんね。貴方はそういう方法を何回取るつもりですか?」
彼は悔しさのあまり唇を噛み付いていると、彼等の背後からとてもかしこまったような服装をした少女が声を掛けてきた。
「貴方は……?」
「話は後です。まずはこちらに」
彼女は二人にそう言うと屋敷の方へ歩いていった。
軽くは無い足取りのもと屋敷へ向かうととある女性が縁側から空を見ていた。
「幽々子?」
「幽々子様!!」
「あらあら何事かしら?」
二人は目を見開いて視界に映る女性をよくよく確認してみるが正真正銘の西行寺幽々子だった。
「か、彼女は一体何故?」
司は未だに目の前の光景に驚きながら隣にいる女性に話しかけた。
「彼女には生き返る代わりに仕事を授けました。亡霊や幽霊の管理です。幻想郷に彼女は必要なのですよ。なのでこの地にて働かせる事に決めました。魂魄妖忌、貴方は引き続き西行寺幽々子に仕えてください。」
それを聞いた彼は幽々子の元へ行って
「ワシの名前は魂魄妖忌。以後貴方様に仕えていくので宜しくお願いします。」
こう言った。
「えぇ、宜しくね妖忌。私の名前は西行寺幽々子って言うのよ」
幽々子は妖忌へ優しい笑みを浮かべている。その光景を尻目に彼女は司の方を向きにこう口を開き初めた。
「さて本題に入りましょうか。神楽真司」
「ッ………………!!何故僕の名前を……っ?」
彼は先程の驚いた様子とは比べ物にならない程表情を豹変させた。知らない人に本名で呼ばれたのだからそんな表情を作り出してしまうのも無理はない。
「そうそう、申し遅れました。私の名前は四季映姫。閻魔として地獄を統治しています」
「閻魔様?…………」
「えぇ、私は転生者である貴方に記憶を戻しにも来たのですから…………」
「一体何を………………」
彼がそう言うと
バタッ
と音を立ててその場に倒れ込んでしまった。
これで記憶を呼んだ妖怪桜編及び大波乱?平安の都編は終わりです。次は上手くいけば原作キャラが出てくるでしょう。一段落したためこれからは更新速度を下げて行く予定です。それでは最後まで読んでくれてありがとうございます。
言い忘れたこと無いよね…………。