神楽「そんな時に出していいのかよ。」
それは大丈夫。塾行くまでの電車の中だから。地震で遅れそうになったけどねー。それにしても中学の時は「やべー!もうテスト一週間前になっちまった!」とか言ってたけど今じゃ「テスト?あぁもう三日前かぁ……。」何て感慨に浸っちゃうね。
神楽「それはもう落ちるとこまで落ちたな。」
至福と堕落はー紙一重なんだろうー。
神楽「歌うなよ。それでは本編へどうぞ。」
「それでは今から貴方がアリス様に相応しい方か試させて頂きます。私を降参させることが出来たらあなたの勝ちです。」
「成程。了解したよ。」
「言っておくけれども夢子ちゃんは私のお気に入りの使用人で、今まで誰一人として夢子ちゃんを負かしたことは無いわよ。」
「当たり前です。神綺様がいる前で負ける訳にはいきませんので。」
「ふーん。そんな可愛らしい子がねぇ……。」
「そうやって私を惑わそうとしても無駄ですよ!」
彼女がそう言うとポケットから短剣を取り出して投げつけてきた。
「量が多いなぁ…………。」
彼はそうボヤキつつも剣を振り回し、一つ一つの短剣を地面に叩き落としていった。
「まだまだこんな物では無いですよ!」
彼女が声を発する時には彼の後ろに回り込んで直接切り込んでいった。しかし、彼は切り付けてきた手を蹴ることにより短剣を落とし、後方ジャンプをしながら彼女の落とした短剣を投げ返した。
「クッ……!!」
かろうじて短剣を弾くが、体制を崩してしまった。その瞬間を見逃さずに彼は強く地面を踏み込み突進を仕掛けた。
「…………!!!」
彼女は体制を崩した方向に転がることにより間一髪で彼の突進をよけた。
「避けきられるなんてね。流石神綺さんのお気に入りって所か。」
神楽は前に突き出した剣を構え直し、彼女の方に向き合って言った。
「そちらこそ。アリス様と共に住んでいる事だけはありますね!」
彼女は彼の声を聞くと近くの木の上に飛び乗った。
「彼、なかなかやるわね。」
「神楽のこんな姿初めて見たわよ……。」
神楽の想像以上の動きと反応を二人はまじまじと見ていた。
「あれ?アリスちゃんの家に強引に上がり込んだんじゃないの?」
「そんなこと無いでしょ!成り行きよ。」
神綺はアリスに本気で聞いているみたいだったが、アリスには自分をバカにしているようにしか聞こえなかった。
「あらそう?それにしても夢子ちゃんが今から仕掛けるわね。彼はどこまで対応できるかしら?」
「ひょっとすると神楽が勝つかもしれないわよ?」
「あら?アリスちゃんは夢子ちゃんが負けるなんて思ってるの?」
「別にそんなこと言ったつもりじゃないわ。ただ少し押されてるって思っただけよ。」
「まぁ接近戦には彼に部があるけれど、夢子ちゃんは遠距離のエキスパートよ?」
「そう言えばそうだったわね。」
夢子の得意分野は投擲による投剣。これまでは中距離から近距離の間で戦っていたが、夢子が自分から距離を取ったことで完全に遠距離戦になった。
「ここからが見物ね。」
「そうね。」
二人はそう会話を終えると再び戦闘中の二人に意識を向けた。
「私に本気を出させる実力がある事は褒める事に値しますよ神楽。」
「それはありがたい事だね夢子。」
「しかし貴方が余裕でいられるのもこれまでです!」
彼女がそう言うと木と木を素早く飛び動きながら短剣を投げてきた。
「…………っと!」
彼はその剣を紙一重でよけ続けた。これまでなら彼の剣技で短剣を撃ち落とすことはたやすかった。しかし、今彼女が投げている剣の数、速さが上がり、さらに絶えず移動し、その度に短剣を投げていたため例え撃ち落としたとしても第二弾第三弾が彼に被弾する。彼はそれを瞬時に理解したので剣を引き抜く事はなくただ淡々とよけ続けた。
「やりますね。それでもこれで終わりですよ!!」
彼女は彼を取り囲む様な短剣の投げ方をした。しかし、剣で弾かれしまう。そこで彼女は必ず被弾するように二重、三重にも短剣を投げて彼を確実に仕留めに行った。
地面は短剣の刺さった勢いで草が舞い上がり彼女らの視界を遮った。
「あらら?少し張り切り過ぎかしら?」
「ちょ、ちょっと!!あれ大丈夫なの?」
「さぁねぇ?」
「さぁねぇって…………。」
アリスは母親の様子に呆れながら神楽の安否を祈った。
「こ、ここまで私を追い込んだのは貴方が初めてですよ……」
彼女は少し息を乱しながらそう言い木の上に座り込んだ。
「まさか短剣を全て使わせるなんて、この世界も捨てた物では無い……ということですか。」
彼女がそう呟くと何かが上から降ってきた。
ガン
彼女はこの鈍い音と共に
「神楽式刺突術……歪の型。」
と言う男の声を聞いた。
地上にその声がした後に
ガラガラガラ
と地面は大きな音を立てながら激しく地割れを引き起こした。
「!!し、しまっ…………。」
彼女が異変に気づいて立ち上がった時には彼女が上にいる木はその地割れの影響で傾いていった。その傾きにより彼女は足を滑らせて木から落ち、そのタイミングで彼は彼女のお腹にラリアットを食らわせた。彼女は地割れの影響を受けていない木々に打ち付けられた。
「カハッ!!………………。」
彼女はその木に打ち付けられると膝から崩れ落ちた。彼は彼女の顎を持ち、首筋に剣を当てた。
「チェックメイト……。」
「お見事………………です……。」
彼の言葉に彼女が答えると意識を失っていった。
「へぇー…………。やるじゃないの彼。」
「でもどうして神楽は生きているの?夢子の短剣が当たってるように見えたのだけれども……。」
神綺は面白そうに眺める中アリスはこう聞いた。
「あら、アリスちゃんには見えていないの?。彼の体には夢子ちゃんが投げた剣が刺さっているわよ?」
「え…………?」
彼女の言葉通りアリスが彼の体を見渡すと5本程夢子の持っていた剣が彼に刺さっているのを見つけた。
「一体どういう事なの?」
「きっとあれは夢子ちゃんが展開した第一弾の短剣ね。わざと当たり砂煙を出すことにより夢子ちゃんの視野を狭める視界を悪くする。もしくは注意を自分に向けにくくする。そして、その間に彼は飛び上がり技の準備をする…………。中々の実力ね。」
「じゃあ短剣が刺さってても動けたのは?」
「それは勿論。あれくらい強い妖怪が短剣数本で殺られる程やわじゃないでしょう?それに致命傷は避けてるもの。」
「成程…………。」
親子の会話が一通り終わる頃には神楽が夢子を担いで二人の前に来ていた。
「お疲れ様。神楽と言ったかしら?貴方ならアリスちゃんを任せても良さそうね。」
「ハハハ……それはどうも。」
「何なら私の孫も作っちゃっていいのよ?」
「ちょっと!!お母さん!!」
彼は苦笑いを浮かべて答えると彼女は自分の子供の前にも関わらず驚きの発言をした。
「ハハハ。アリスもとても魅力的だけと僕には心に決めた人がいるからね。」
「「えっ?」」
相変わらず笑みを浮かべている彼に対して神綺は驚いた表情をして、アリスは呆然としている。
「そんな意外かな?長く生きていれば恋はする物だと思うんだけれど…………。」
それを聞いていち早く我に返った神綺は笑みを浮かべながら言った。
「あらら?もしかしたら修羅場って奴かしら?お母さんはそう言う青春を過ごしてなかったから羨ましいわ。」
「ちょ!!えええ!!!」
「ねぇ神綺?話がややこしくなるからやめて欲しいんだけれども……」
彼がそうため息をつくと
「つれないわねぇ。あと私の事はおかーさんって呼びなさい。」
彼女はウインクをして微笑んだ。
「さっき家で神綺って呼んで頂戴って言ってなかった?」
「さっきはさっき。今は今よ?。」
「ハイハイ。ソーデスネ。」
彼は彼女の言葉を機械的に返すと彼女は脱力した。
「冷たいわねぇ…………。それじゃあ年老いたお母さんはもう帰るわ。」
そう言うと神綺は神楽の担いでいた夢子を背負って魔界へのゲートを開けた。
「それじゃあ帰るわねぇー。」
神綺がそう言うと
「もう暫く来ないでいいから。」
「次は夢子一人で充分だよ。」
アリスと神楽はこう答えた。
「……お母さん泣いちゃうわよ………………?」
彼女はしょぼくれながら魔界へ帰って行った。
「神楽………………。貴方は元に戻しなさいよ……。」
彼は彼女の言葉を聞いて後ろを向くと溜息をつき、土地の整地を始めた。
塾のエアコンの寒さで腹をやられ、トイレにての投稿です。
神楽「早く戻れよ。」
書き終わったらね。私事ですがテスト後修学旅行後のアニメのタメ取りが二十時間近くあることに気がつきました。
神楽「いいから戻れよ。」
ひでぇ。それでは最後まで読んでくれてありがとうございました。