「…………聞こえていたのか?」
彼女は少し間を置いてから彼にこう尋ねた。
「えぇ、まぁ。」
彼女の問いに彼は特に疑問を持たずに冷淡に返した。
「分かった……その代わりこのことは誰にもいうんじゃないぞ?」
「まぁそれはその時の僕の気分というわけで。」
彼女は彼の様子を見て声を低くして聞いたが、彼女の真剣な思惑も彼の見た目と声に合わないウインクによって打ち砕かれてしまい、溜息をついた。
「話したくないんだが…………。」
彼女はそう初めに告げると話しをし始めた。
「…………成程。それでその方は妹紅さんの恨みを買ってるというわけですか。」
慧音の話を一通り聞いた神楽はそう呟いた。
「あぁ、そうだ。名前は確か……蓬莱山輝夜と言ったかな。」
彼女は顎に手を当てながらそう言った。
「やっぱアイツか。となるとこの件は…………。」
彼女の言葉聞いた彼はそう
「ん?何か言ったか?」
「いえ別に。」
「それで妹紅は迷いの竹林に住んでいるのだがな、輝夜もその奥の森に住んでいる。それでよく妹紅が輝夜をけしかける事があると言うわけなんだ。」
「それはお遊びをするというよりむしろ……。」
彼はそう言いかけると彼女は首を縦に振り、更に続けた。
「そう、輝夜の事を恨みに思っている妹紅は殺す気で挑んでいる。例えではなくて本気でな。」
「そう……ですか。」
「悪いな。彼女の過去は何分重くてな……。」
「いえいえお気になさらずに。元はといえば私の頼んだことですから。」
慧音は頭を下げたが神楽も頭を下げた。彼女は彼よりも少し早く顔を上げると立ち上がって彼に向けていった。
「それでは私はそろそろ行く。夕方頃に再び寄るからな。」
「えぇ、慧音さん。お勤め頑張って下さい。」
「あぁ。」
彼女はそう言って去っていった。
彼は彼女が家から出ると懐から筆と墨を出し、部屋の角に積み上がっている書物の白紙のページに
「行動範囲と言動には気をつける……っと。」
と書き加えた。
日がすっかり昇りきる頃には神楽は仕事に復帰し、何軒かの家を建て終わっていた。皆が昼食を食べるために家へと戻るころ、彼は建設材料に座り遠い空を見ていた。すると近くから目玉をぎょろつかせて
隙間から妖怪が現れた。
彼はその様子を見ると立ち上がり頭を下げていった。
「これはこれは妖怪の賢者様、こんにちは。」
「え?あぁこんにちは。」
彼女は突然の挨拶に驚きながらもそう返した。
「面と向かって話すのはこれが初めてだと思うので自己紹介からさせて頂きます。私の名前は神楽、最近の妖怪の幻想入りの時に一人紛れさせてもらった者です。」
「最近のというのはついこの間のことかしら?」
「えぇ、そうです。」
「貴方みたいな妖怪は目立つと思うのだけれど?」
彼の淀みない反応に少し戸惑いを覚えつつ、彼女は更に続けた。
「まぁ妖怪にも種類がありますし?妖怪の中では霞んで見えると思いますが。」
「ふーん……そう。少し質問があるのだけれどもいいかしら?」
彼女は彼を自分より胡散臭いと思いながら話題を変えた。
「はい?構いませんが。私の知っていることはたかが知れていますが……」
「構わないわ。ある男を探しているのだけれども……。手がかりが少なくてね。」
「男、どのような?」
「それは
蒼紅の化け物とも言われた赤い左目で青い髪をした司……という人物よ。」
彼は少しの間、顎に手を当て思案し、その格好のまま口を開いた。
「蒼紅の化け物?……昔何処かで聞いたことのあるような名前ですね。」
「最近彼の噂を聞かないかしら?」
「いえ全く。二百年以上も聞いていませんね……」
彼の言葉を聞いて彼女は肩を少し落としてこう呟いた。
「そう…………。ごめんなさいね、こんなこと聞いて。その特徴があまりに貴方に似ていた気がしたから……。」
「その人?は一体何者なんですか。そもそも妖怪なんですか?」
彼は彼女の言葉に興味を示し今度は彼から質問をした。
「それが分からないのよ……普段は霊力を使って過ごしていたみたいなのだけれどたまに神力を使うし、ずっと仮面を付けていたから素顔は見たこと無いし、私以上に強いし、自分勝手だし、私の事を馬鹿にするし…………!!。」
彼女は不満にも愚痴にも聞こえるような言葉を彼にぶつけた。
「そうですか……。」
彼は少し目を逸らしながら苦笑いを浮かべていた。
「時間とって悪かったわね。私はこれで失礼するわ。」
彼女は再び隙間を開くと彼は彼女を呼んだ。
「あの賢者様……」
「八雲紫よ。」
彼の言葉は彼女の言葉に一度遮られてしまったが彼は気にせずに続けた。
「ここいいところですね紫さん。僕は気に入ってますよ。」
「ふふっ当たり前よ。」
彼女は少し驚いた表情を浮かべたが直ぐに笑みに変えて隙間の中へ入り込んで行った。
彼女の生み出した隙間が消えきる頃
「ったく……何時まで悪い男に振り回されてる気だよ…………。」
彼はそう呟いた。
神楽は八雲紫から別れてしばらくすると、部屋にいくつかある木材を加工して釣り道具作り出した。それを持って彼は人里から離れた川へ向かった。
彼はそこに着くと近くにいた虫をひょいと木製の針に引っ掛けて川へ投げ込んだ。手のひらサイズの魚が何匹が釣れた頃に後ろから近づいてくる足音に気が付いた。
「珍しい所で会うもんだね。」
彼は地面に落ちていた木々を魔力を使い火を起こし、魚を残りの枝で刺して火の中に放り込みながら言った。
「そう言われてみればそうね。魔法の森には近いけれどもここに来るのは初めてだわ。」
足音の主はそう言いながら火を挟み川を見向いて彼の横へと座った。
「よいしょっと。」
彼は少し手を伸ばした所に落ちていたクルミに似た木のみの殻を砕き、中の実を粉々にして、焼いていた魚に掛けてから
「食べる?」
と問いかけた。
「頂くわ。」
金髪の女性が美味しそうに食べる姿を見て彼は頬を緩ませた。
「それでアリス?なんか用か。」
彼は釣った魚を食べきった後に彼女へと問いかけた。
「えぇとりあえず、はいこれね。」
彼女はそう言いながらバックから一体の上海人形を取り出した。
「おぉ。思ったより早いじゃんか、ありがとう。」
彼は彼女から人形を受け取ると嬉しそうにまじまじと見つめながら言った。
「べ、別になんてことないわ。因みにそれ何に使うのかしら?」
彼女はうすら笑いを浮かべながらそう聞いた。
「まぁ。お店に飾ろうかなぁ……なんて?」
「卵屋にそんなの飾ってあるかしら?というか男がそう言うの持ってるのって大丈夫なのかしら……?」
「さぁ?まぁ何にしろ目立つし、それに…………。」
「ん?何か言ったかしら。」
「別に何でもないよ。それにしてもこの為だけに来てくれたの?わざわざそんなことしなくても良かったのに。」
「いえ、今日は貴方に聞きたい事があって来たの。」
「僕に?研究の事?」
「いえ、違うわ。
八雲紫という妖怪と貴方との関わりよ。」
「あの妖怪の賢者様と?別に大した関わりはなかったけれども…………。」
「嘘ね。」
神楽の言葉をばっさりと切り伏せてこう続けた。
「だったらなんで嘘つく必要があるの?直接貴方の家に行こうと思って成り行きで話を聞いちゃったけど、彼女に知られたら不味いものなのかしら?」
「いや、だってさ男女が同じ屋根の下で三十年も暮らし続k…「別に知られたって構わないでしょ?」別にそうでもないでsy…「大体この時期に人里にでようと思ったのも、他の妖怪たちに紛れれると思ったからでしょ?」いやいや!僕の話を聞いt…「じゃあ貴方と私が最初に会った時に空高くから落ちてきたのは何故?」それは…………。」
彼は彼女のペースに乗せられないように気をつけたが、彼女の畳み掛けるような発言によって勢いを失っていた。
「神楽……貴方はどうして魔法や家事、雑学の事を何でも教えてくれるのに、貴方自身の事は教えてくれないの……?」
「………………。」
アリスは悲しそうな表情でそう言うも、彼は何も答えない。
「…………帰るわ。またね神楽。」
彼女は溜息をついて立ち上がると来た道を戻っていった。
川の流れる音が聞こえる森の中、神楽はアリスが去ったあと、地面に寝っ転がり空を見ていた。
「何をしてるんだか…………僕は。」
彼はブチブチと地面に生えている雑草を毟りながらそう呟いた。
相変わらず駄文だなぁ……なんて思いながら書いています。次にあの原作キャラをだします。乞うご期待です。感想、アドバイスなどなど常時お待ちしてますので宜しくお願いします。それでは最後まで読んでくれた方々ありがとうございました。