神楽「自堕落乙。ちょっとは動いたり勉強しろよ。」
という訳でこの話から異変が始まります。皆様お待ちかねのあの方々登場です。先に行っておきますが彼は積極的に異変にはかかわらない事になっています。0ではありませんが……それでは本編へどうぞ。
神楽(逃げたな。)
森の中に血のように赤い色をした建物がただずんでいた。その中で片手に扇子を持った女性とナイトキャップを被り、少し気だるそうな顔で頬杖をついている女が向かい合って話していていた。
「……以上、話はこれで終わりですわ。ここからは貴女達の行動次第となってきます。」
「ほう……分かった。私からも以上よ。」
「それでは今からこの建物ごと幻想郷へと送りますので、暫くの間は建物から出ないように……それでは失礼します。行くわよ藍。」
「はい、それでは私も失礼する。」
二人はそう告げると空間から奇妙な裂け目を作り出しそこへ入って行った。暫くすると先程まであった裂け目は綺麗さっぱりと消え、その建物に一瞬の静寂が訪れた。
「それじゃあ行くわよ、貴女達。」
「分かっています。お嬢様のこの命が尽きるまでついて行きます。」
「私は何時も通りに暮らせれば何も言うことは無いわ。」
「パチェリー様は平常運転ですね。」
「そうですか?私もパチェリー様と同じ考えですけど。」
「さて……どうなるかしらねぇ。
ま、私の能力は使うまでも無いけれども……ね」
そう言って黒い羽を持つ女は愉快そうな顔で立ち上がると彼女達の視界は暗転した。
「ふはぁ……おはよー、今日も早いね。」
彼はカウンターに突っ伏しているうさ耳の女性に声を掛けた。
「う、うん……けれど眠くって。」
「へぇ、珍しいね。何かあったの?」
彼女は手を口に当てて欠伸をして言った。
「えぇ、姫様やお師匠様と一緒に夜に小さな宴会があってね……。」
「宴会?昨日は何か特別な日だった?」
「まぁ、私達にとってはね。永遠亭では満月の日にそういう小さなイベントがあるのよ。」
「成程ねぇ……。ま、鈴仙は開店時間までは軽く寝てていいよ?」
「いいの……?悪いけど宜しく……。」
彼女は耳をへにょと傾けた後に可愛らしい寝息をたてて眠り出した。
彼が第二の家を建ててから十年近く経ったある日の事。彼はいつも通り朝起き、いつも通り鈴仙に挨拶をして、いつも通り卵を売ったり、卵焼きを作ったりという平凡な毎日を送る予定だった。しかし唐突に日常という物はガラリと景色を変える。
「血液……ですか?」
私は自身の主の言葉に少し驚きを覚えた。
「えぇ、そうよ。最近血を摂る行為をしてないから少し気だるいのよね。」
「はぁ、しかしお嬢様、今人里へ行けばこれから起こす事に支障が出るのでは無いでしょうか?」
「少しくらいなら大丈夫よ。貴女の能力を使えば人一人は攫ってこれるでしょ?」
「し、しかし……。」
「ふふふ、冗談よ。攫わなくてもいいから少し血をわけに行って頂戴。」
「畏まりました。」
私はお嬢様のブラックジョークに溜息を出さない様にしつつ部屋を出た。
という事があり、私は建物から出てこの地の人里という場所へ行く事となった。お嬢様はメイドの格好では目立つからといい、違う服を着ていくよう私に命じた。早速私は着替えて人里という所へと向かった。
あの館から少し離れた場所にある人里という場所は朝だという事もあってまだ人が家の扉を閉めて寝ているみたいであった。私は周りの様子を見つつどのように血を手に入れようか迷っていると他とは少し違った造りの家を見つけた。遠くから覗いてみると一人の男性がてきぱきと何かの準備をしているのが見えた。私は彼にターゲットを決めて近づいて行った。
「んーしょっと。さてそろそろ卵焼きでも作っかな。」
彼は伸びをした後にフライパンに油を垂らして卵を木でできたボウルの中に卵を割って掻き混ぜ始めた。すると後ろからサッとある物が彼に向かって飛んできた。しかし彼はそれを予期してたかのように左へ体を傾けて避けた。カンッと甲高い音が鳴って、それは地面に落ちた。
「塩、胡椒、あと砂糖を入れて……。」
しかし彼は彼に投げられた物にも投げてきた者にも気にする事はなく、作業を続けた。投げた本人は驚き、得体の知れない彼に恐怖を感じ、能力を使って近づき彼の喉へとその物を突きつけた。
「はぁ。僕は憎まれる様な事をしたつもりは……無くないな。要件は?」
彼はボウルと掻き混ぜる棒を脇に置いてから首に突きつけていた物を手で掴み力を込めて握りつぶした。彼女は更に驚いて距離をとろうとして地面を強く蹴った。しかしいつの間にか握られていた手に強い力が込められて動く事が出来なくなり、彼女は軽いパニック状態に陥り喋る事もままならなくなった。
「それで、要件は?」
「あ、あああ……。」
彼が再び彼女に問いかけるも彼女は掠れた声でそう言うだけだった。彼は溜息を覚えて脇に置いたボウルを再び持ち、熱したままのフライパンに卵を入れた。ジュウと音が鳴る中、手際よく料理を始めた。彼女は彼の様子をキョトンとして見ていたが、数分経つと彼女の目の前には皿に盛られた卵焼きがそこにはあった。
「はい、取り敢えず食べたら?」
彼はそう言うと箸を渡した。彼女は言われるがまま箸を受け取り、卵焼きを口に運んだ。
「おいしい……。」
「それは良かったよ。」
彼女はそう呟いて卵焼きを口に運び続けた。彼女は卵焼きを食べ終わると、その卵焼きが乗っていた皿を彼へと返した。
「ありがとう。」
彼は渡されたピカピカの皿に目をやった後棚の中にしまった。
「何も聞かないんですか……?」
「聞いてるよ。要件は何かってね。」
「いえ、そういう訳ではなく……。」
「能力を持ってるんでしょ?」
彼のその一言に彼女ははっとした。
「それだけでいい。それだけで充分だ。そのことに関してはね。」
彼はそう告げながら先程皿をしまった棚に視線を向けた。
「今必要なのは何が目的か、何故こんなナイフを投げてきたか……。今はそれを教えて欲しい。僕が何かしたなら謝る。」
そして視線を彼女に戻した。彼女は彼の立ち振る舞いや態度に驚きを隠せずにドキドキとした。そして彼に敵対意識が無い事で落ち着きを取り戻し話題を切り出した。
「いえ、貴方様は何もしていません。私が一方的にしたことですから忘れて下さい。」
「そっか、因みにどうしてこんな早い時間から人里に?」
「あ、いえ。お嬢様の命でして……。」
「お嬢様……?まぁ大変だね。」
仕えたい者がいるというのはいい事だけどね……と呟きながら彼は話を続けた。
「取り敢えずそんな物騒な物は使わない方がいいね。そんな事で自由を制限されても馬鹿みたいだし。」
「し、しかしお嬢様が……。」
「というかそんな物が必要な事なの?事と次第によっては僕も止めざるをえないんだけど。」
「それは……分かっていますが。」
「その命を聞いていい?」
「血液を採集してこいと……。」
彼がそう聞くと彼女は何処から取り出した容器を彼へと見せながら呟いた。
「はぁ……そゆことね。だったらさ
僕ので済ませちゃっていいから。」
彼は彼女へと腕を差し出して答えた。彼女は目をぱちくりしながらおずおずと問いかけた。
「いいんですか?」
「というかして、やって。そういうのが秘密裏に行われて調査とかされんの僕とかだから。早くしないとみんな起きてくるし。」
「それでは……遠慮なく。」
そう言った瞬間、彼に軽い眩暈が起き容器は赤く染まった。
「随分と採ったな。」
「ごめんなさい。これくらいお嬢様は満足しなくて。」
「まぁ、気にしてないけどさ。それじゃあ気をつけて帰れよ。」
「えぇ……最後に名前を聞いていいかしら。」
「僕のか?僕の名前は「神楽?他に誰かいるの?」起きたのか。」
彼は声のする方へ視線を向けると目を擦りながら鈴仙が部屋に入ってきた。
「うん、今さっきね。それにしても声が聞こえたんだけど誰かいたんじゃ?」
彼女は部屋の中をグルリと見渡しながら言った。
「んー、いや誰とも話してないし、居なかったよ。」
彼は彼女の問いかけをサラリと流して台所へと向かった。彼は卵焼きを作ったフライパンが綺麗になっているのを見てにやりと笑った。
コンコン
「お嬢様、私です。」
「入りなさい。」
「失礼します。」
キィっと静かに扉が開いて彼女は自らの主の部屋に入った。そして机の上にあるワイングラスに何処からとも無く取り出した容器に入っていた血を注いだ。
「お疲れ様。咲夜、私の我侭を聞いてくれてありがとう。」
「いえ、お嬢様の命ですから。」
「ふふふ、そう言ってくれるとありがたいわね。それじゃあ早速頂くわ。」
彼女はワイングラスに注がれた血の匂い嗅いだ。すると彼女は従者に向かってこう言った。
「咲夜、この血はどうやって手に入れたのかしら?」
「これですか?これは事情を話した卵屋の男性からわけてもらったものです。」
「わけてもらったって……まぁいいわ。その男、そうねぇ……アレが終わってから連れてきてくれないかしら?」
「その男性をですか……?畏まりました、それでは失礼します。」
彼女は深々とお辞儀をしてから部屋を後にした。
従者が出ていった後、彼女はそのワイングラスをクルクルと回し再び匂いを嗅いでこう呟いた。
「人間特有の香り、そしてその中に混ざる雑味……。こんな異質な血なんて初めてだわ。」
そして彼女はグラスに口を付け一気に飲み干した。
上手くかけん……いつもの事だけど。小説を書いている皆様マジリスですわ……。九月上旬にオフ会という物をするらしく学校帰りに行けるか行けないかマジ不安です。文化祭の用意くらい夏休みに招集かけろよ、こちとら塾が入ってんだから……などなど現実に不満と不安がタラタラと漏れています。それはともかく最後まで読んでくれてありがとうございました。感想、批評……も常時受け付けているので良かったらお願いします。