神楽「まぁ、それは置いといて本編へどうぞ。」
「ハクション!!あぁ……寒いわねぇ。」
「確かに冬も深まってきたね。」
「……相変わらず薄着ね。」
「普通ぐらいでしょ?流石にマフラーとか手袋とかをつけるほど寒くはないよ。」
「うっ……。」
彼の発言で鈴仙は言葉が詰まってしまった。
「しょ、しょうがないでしょ!兎なんだから!!」
そして言い訳とも負け惜しみとれるようなよく分からない事を言うと彼は眉間に少し皺を寄せた後、何かに気づいたのか鈴仙に向かってハハッ……と軽く笑った。
「な、何よ?」
「いやぁ、別に?ハハハ……。」
「何か腹立つわね!それ!!」
彼女は彼の態度に苛立ちを覚え、人さし指と親指以外の指を曲げ、親指を空を指して人さし指を彼へと指した。そして眼の色を真っ赤に変えると彼女の人さし指から赤い光線が発射された。それは一直線に彼へと向かっていったが彼に近づくにつれ、勢いと色彩は薄れて彼に命中する頃には跡形もなく消えていた。
「くっ…………。」
彼女は彼に届くまでにその光線が消失したのが悔しかったのか再び光線を、今度は何発も放ってきた。その様子を見て彼はため息を吐きながら手を開いて腕を前へと伸ばした。するとその手から魔法陣が現れて彼女の放ってきた光線を弾いていった。弾かれた光線は 魔法陣の強度に負け、バラバラになってただキラキラと光っていた。
「鈴仙……。営業時間内でそんな事したら僕だって怒るぞ。」
「別にいいじゃない。もう夜なんだし、そろそろ店も閉める時間帯でしょ?」
彼女は空に浮かぶ月を見上げながらそう悪びれること無く言った。
「まぁ……確かにそうか。それじゃあ閉店の準備をしようか。」
彼は少し彼女の態度に呆れながら、売れ残った卵を全て割り、木製の容器の中に入れた。そしてそれを菜箸を手早く掻き混ぜ始めた。その後、塩コショウを加えて熱してあったフライパンに流し込んだ。鈴仙が一通り片付けを終えて戻ってくる頃には彼の手には大きめの卵焼きが皿の上に乗っかっていた。
「流石……長い事やってると物凄く手早く感じるわね。」
「まぁ、遅くは無いと思うけどさ。」
「味も……んんっ、申し分無いわ。」
「それはどうも。……まぁいつも通りの出来栄えかな。」
彼女は素手で卵焼きをひょいと掴むと口に運んで言った。彼は彼女の美味しそうに食べる顔に微笑みを誘われながら彼女同様に卵焼きを口に運び、いつもの出来栄えに満足すると、彼女に皿を預けて窓の鍵を締め始めた。
「この皿と卵焼きはどうするの?」
「帰りながら食べて、家に持って帰る。」
「はいはーい。」
彼女はそれ聞くと彼の店の外に出た。暫くして戸締り、点検を終えた彼も店から出ると石製の扉をゆっくり閉め、鍵をした。
「相変わらずの厳重さね。別に貴方の店なら荒らされないと思うのだけれど?」
「そうか?何があるか分かんないし、それに昔からやってて習慣になっちゃったしなぁ。」
「ふうん……まぁ神楽がいいならいいのだけどね。」
鈴仙は少し腑に落ちない様子でもあったが気にせずに卵焼きを頬張った。
「って、卵焼き残してよ。腹減ってんだから。」
「あ、ごめん。もう遅かったわ。」
彼は少し嫌そうな顔をしつつ、彼女の持つ皿をのぞき込み、もう既になくなっている卵焼きを想像して溜息をついた。
「別に僕は鈴仙の為に卵焼きを作った訳じゃないんだけど。」
「だってしょうがないじゃない、お腹すいてたんだから。」
「それはこっちも同じだ。」
彼は肩を落とすと彼女から皿を受けとり、懐の中のハンカチを取り出して、軽く皿を拭いた後にバックへとしまった。
「悪かったわよ…………あ、
それならうちで何か晩御飯を振る舞おうかしら?」
「は?」
「それでどうしたらこうなる訳?」
「「だってそれは!!」」
「何かあるのかしら……?」
「「……いえ、何も。」」
「……何かごめんね、こんなんになってると思わなくて。」
「まぁ、いいんじゃない?別に僕は気にしてないけど。」
「あら?神楽じゃないの。久しぶりに会うわね。」
竹林の中の屋敷の前で大の大人が叱られているという状況下を鈴仙と神楽が見ていると、叱りつけていた女性が彼との目が合い、彼へ声を掛けてきた。
「えぇ、そうですね。永琳さん。いつも鈴仙がお世話になっていて、ありがたいと思ってます。」
「え……?」
「あら?そういう事は本人に直接に言ってあげたらどうかしら?」
「いやぁ……照れちゃって面と向かって言ったら顔が赤くなってしまいますよ。」
「え、えぇ……!?」
彼女は彼の放たれた言葉におどおどしていると彼は最後にこう言った。
「勿論、僕でなく鈴仙がですけどね。」
「ちょ、ちょっと!!」
「へぇ……鈴仙も可愛い所あるじゃないの。」
「神楽もなかなかスミに置けない奴だと思うけど……。」
永琳が鈴仙にそうにやにやと言うと、にゅっと彼女の影からてゐが出て来た。
「あ、てゐも久し振りだね。」
「うん、私もあんまりここらからでないからねー。」
「へぇー、やっぱりここから出て無いんだね。」
「「ちょっと!私を無視しないで!(すんな!)」」
彼がていと話しているとさっきまで正座していた二人が立ち上がって言った。
「あら?まだ話し足りないのかしら。後、まだ正座をやめていいとは言ってないのだけれど。」
そんな様子を見た永琳は二人の方をじっと見つめた後にっこりと笑って何処からともなく注射器を取り出した。
「え、永琳?それを使って……何をするつもりかしら?」
「何って…………少し聞き分けがよくなってもらうだけですよ姫?」
「わ、私は知らないっと……。」
「勿論貴女もよ?妹紅。」
妹紅は輝夜を身代わりにしてその場から立ち去ろうとしたが永琳はそれを許さなく、もんぺの襟をがっちりと掴まれていた。
「お、おい!神楽!!なんか言ってくれよ!」
「えっ?何かって言われても困るんだけど。」
「何でもいいから頼むよ!!」
「んーそうだな……。迷いの竹林って言うのにここら一帯はどうして竹も何も無いんだろうな。」
「えっ……?」
周りをキョロキョロと見渡しながらそういう彼に妹紅はポカンとした。
「自然現象なら仕方無いけどもし人為的にやって、ここまで酷いと少しは当事者にお灸を据えても別に僕は問題ないと思うけどな。」
「か、か、神楽……?お前は今なんて……?」
「つまり私が煮るなり焼くなり好きにしていいって事よね?」
「……そう捉える方もいるかもしれませんね。」
「それじゃあ遠慮なく♪」
永琳はそう言うと妹紅をズルズルと引きずり、途中輝夜も捕まって永遠亭の中に入って行った。
暫くして、永遠亭の中から聞こえる何にも変えられないような声を聞いたてゐと鈴仙は顔を見合わせて苦笑いをした。更に時間が経つと声は聞こえなくなり、中から永琳が出て来た。
「待たせて悪かったわね。それで今日は何か用事があるの?」
「いや、お師匠様これには深い事情があって……。」
「「事情?」」
鈴仙がいつもとは違った態度をとったため永琳とていは反射的にそう聞き返した。
「えぇ……実は複雑な事が絡みに絡んで、
彼に晩御飯をご馳走することになったんです。」
「ふうん……そう。貴女がねぇ。」
「鈴仙もなかなか積極的になったねぇ……。」
「複雑な事って……まぁ別になんでもいいけど。」
彼女の発言に様々な反応を見せたが反対意見は一つも出て来なかった。
「それじゃあ案内するわ。ウドンゲ、急な来客で晩御飯を作り足して頂戴。具体的に二食分よ。」
「二食分?……あぁ、そう言えばそうでした。」
鈴仙は永琳の指す人物を把握出来なかったが、永琳に絞られて元気を失っているであろう白髪の女性を思い出した。そして台所へ小走りで向かった。
「あ、私は庭にいる兎達に声かけてくるから。」
てゐがそういう頃にはもう草道を掻き分ける音しか聞こえず、彼女を見る事は出来なかった。
「ふう、それじゃあ案内するわよ。」
最後に残った永琳が彼にそう言うと永遠亭の中へ入って行った。
「お邪魔します。」
彼も彼女に続き永遠亭の中へ入って行った。
フライパンを日本語っぽく言うと何ですかね?なるべく外来語は使わない様にしてますがやむを得ない時は使っています。メンバーとかもそうですね。妖怪や人間が混じっている時とかは使ってしまいます。本編ですが多分次の次で妖々夢です、多分。それでは最後まで読んでくれてありがとうございます。感想、質問、批評……なども常時待ってます。