神楽「けれど待ち合わせ場所、待ち合わせ時間を前にして待ち人が起床するという荒事が発生しました。」
十五分以上遅れると言われ、時間の十分前に来た作者は三十分近く待つことになりました……な泣きそ泣きそうです……。
神楽「それ、泣くな泣きそうとか言う意味わかんない文になってるから。」
それでは本編へどうぞ!
神楽(……)
「……何だよその顔は。復讐相手がいるってのがそんなに面白いのか?」
妹紅は彼の何気なく見せた笑顔が気に障ったのか少しイライラとしながら彼に言った。彼へと向けられた言葉はいくらか棘があり、妹紅の心そのものであった。
「別に?復讐相手でも何ででも楽しくやってれば毎日が充実してるんじゃない?」
「何だそれ……確かに充実して無いことは無いけどさ。神楽は別にどう思ってんだ?」
「どう思ってるって?」
「輝夜と私がほぼ毎日の様に殺し合いに明け暮れててどう思ってるか知りたくなったって事だよ。」
彼女は気恥ずかしいのか後ろめたいのか言葉を乱暴に切った。彼は暫く考えた後言った。
「はっきり言って今は関心も興味も無い。」
「はっ?」
「その問題は今は僕と関係が無いからどうでもいい。」
「お前……。私の事を馬鹿にしているのか!?」
彼女は急に立ち上がると彼の胸ぐらを掴んで壁へと思いっ切り打ち付けた。屋敷には鈍い音が鳴り響いたが二人の足元にいた兎達は起きる気配を見せなかった。
「うっ……痛ってぇ。じゃあお前は僕に一々口を挟む事を要求してるのか?」
「何だと……。」
「僕の人生じゃないんだから口出ししてもしょうがないだろ。現時点で僕は輝夜と妹紅の仲を取り持っている訳でも無く、更に悪化させた訳でも無く、復讐相手が僕に変わった訳でも無いじゃんか。」
「確かにそうだけど……。」
彼が言葉を重ねるに連れ、妹紅の腕の力は段々と抜けていった。
「復讐をするなとは言わないし、増して復讐しろなんては言わない。どうせ慧音さんや永琳さんから言われるんのに一人増えてもやかましいだけだろ?それなら別に加担する事、関わる事もしない。」
「……そっか。神楽は不思議な考えを持ってるんだな。」
彼が一通り話し終わると彼女は窓の外を向いてぽつりと呟いた。
「不思議な……ねぇ。永く独りで生きてりゃ誰だってこうなるわ。」
「そうか?私もかなり長く一人で生きてるけど神楽みたいな考えの妖怪は初めて見たな。」
「まぁそうかもな……。僕は色々と考える事とか思う事とかあるからそういう傾向にあるのかもしれない。」
「へぇ……その内容聞いてもいい?」
「………………秘密だよ。」
「……あっそ。」
彼がそう囁くと彼女も深く聞こうとはしなかった。
「夢とか目標とかって自分の知らない内とか実感がしない内に達成される事もある……。妹紅はそうなった時に目標が無くなったからって道を失うなよ……。」
「?、それってどういう……。」
彼は再び笑みを浮かべると部屋から出ていった。
「何だったんだ……?」
彼女が彼の発した言葉の意味を理解するのはそう遠い話では無かった。
「……さて、もうそろそろ朝の準備をしないといけないわね。」
「もうそんな時間でしたっけ?」
永琳が輝夜の部屋から出て暫く歩いてからそう呟くと彼は彼女に声を掛けた。
「あら、貴方寝てなくても大丈夫なの?」
「まぁ、これでも妖怪ですからね。」
「ふうん、そう。それで何か用かしら?」
彼女はそう言うと彼は彼女へと向かい合って頭を下げて言った。
「いえ、もうそろそろ朝の準備をし始めないといけないと分かったので、挨拶をと。」
「そう?少し寝た方がいいんじゃないかしら?」
「それは永琳さんも同じなのでは?徹夜は美容にあまり良くありませんよ。」
彼女の提案に彼は笑い飛ばして逆に彼女に提案し返した。すると彼女は表情を少し暗い物にして呟いた。
「…………随分昔、それと似た事を言われたわね。あの人は……私よりも色々と大変だったはずなのに………………。」
「……永琳さん?」
彼は俯いた彼女を軽く覗き込んで言った。
「えっ?あ、あぁ何でもないわ。それじゃあまた誘った時は来て頂戴。貴方の話はなかなか魅力的なんだから。」
すると彼女ははっとしてから彼へとこう告げた。
「分かりました。あ、それと鈴仙には今日は休みでいいと伝えておいて下さい。」
「えぇ、それじゃあさよなら。」
「お邪魔しました。」
彼は再びぺこりとお辞儀した後に小走りで永遠亭を後にした。
「過ぎた事だろうに……、俺よりも友好関係築いた奴はいなかったのか?…………馬鹿な奴。」
彼はふとした事で蘇ってきた過去を恨みながら竹を掻き分ける時にでる音に愚痴を隠して人里へと向かった。
またその日から彼は卵を売っていった。その日、何時ものように片付けをしていると鈴仙が物凄い勢いで走ってきた。何事だ?と彼が思う頃にはもう彼女は凄い勢いで頭を下げていた。彼は首をかしげていると彼女はゼイゼイと息を切らしながら話を始めた。何でも元々は宴会中で昨日の事で謝る予定だったにも関わらず、てゐの用意した酒によって直ぐに眠りこけてしまったからである。その上、起きたのは昼近くで永琳の手伝いをしてようやくいけると思った後にまたもやてゐの悪戯に引っかかって今日の夜までもつれ込んでしまったと言う。
「本当!本当にごめん!!今日の仕事も休んじゃったし。あとついでに卵も食べちゃったし。」
「それはついでなのか……まぁ、いいけどさ。僕は何時も鈴仙の世話になってるしこの位の事は気にしないでいいよ。」
「本当に?迷惑ばかりかけてごめんね……。」
鈴仙は息を整えて顔を上げてからそう言った。
「まぁまぁ、僕だって紅魔館の一件や射命丸の件の時に任せっ放しになっちゃったからね。」
彼は彼女の元気が無さそうに見えるのに気が付きとっさにそう言った。
「そ、そう?それなら良かったのだけれど……。」
彼女は溜息をふうっと履いてから耳をピンと立てていった。
「ごめん!お師匠様に長く居座るなって言われてたから帰るね!!」
「お、おう。慌ただしいね。」
「ま、まぁね……それじゃあまた明日!」
「じゃあねー…。」
彼が手を振る頃には彼女は遠くなっていた。
「さて……僕もそろそろ帰るとするかな。」
彼がそう言うと背後から声がした。
「あら、じゃあ今は暇かしら?」
振り向くと金髪の女性がそこには立っていた。
「あれ……?あぁ、そういや今日は人形劇をする日だって慧音さんが言ってたっけか。」
「えぇそうよ。貴方の耳にも入っていたのね。なら見に来てくれれば良かったのに。」
彼がそう言うと彼女は少し不機嫌そうな声色で返した。
「いやぁ、今日は色々と忙しくてね。昨日、永遠亭で臨時の宴会みたいなのに呼ばれて早朝まで迷いの竹林の方にいたんだよ。」
「ふうん……通りであの兎がいなかったのね。」
彼女は訳を聞くと心無しか雰囲気を和らげてる様になった。
「でも何でこんなにも遅くに?早ければ夕方頃には帰れたんじゃないの?」
「えぇ、けれど人形劇が終わった後に慧音と今後の予定について話し合ったりしたのよ。冬の間の人形劇の予定や春になったらどんな題材の物にするのかとかね。」
「成程……。それじゃあ僕のとこを訪ねてきたのは。」
「えっ?そ、それは……気分よ気分!たまたまこの時間までいたから誰かなって思って近づいてみただけ!それだけよ!!」
「あ、うん。はい……」
彼女は早口で捲し立てる様にしたため彼はコクコクと頷く事しか出来なかった。
「ま、まぁ強いてあげるとしたら……久し振りに私の家に来てくれないかしら?」
彼女は一方的に喋った後、顔を赤くして言った。
「アリスの……?またどうして?」
彼は彼女から突然発せられた言葉に疑問を覚えて訳を聞いた。
「ど、どうしてって……?えぇっと……たまには神楽の意見も聞きたいかなって……深い意味は無いから!」
「わ、分かった分かったって。夜なんだからあんまり叫ぶなよ……。」
彼女の返しに耐性がついたのか彼は幾らか冷静を保ちながら言った。そして更に赤い顔をする彼女にこう添えた。
「まぁ……この冬が終わったらね。」
彼女は彼のその言葉を聞くと満足そうな顔をして帰っていった。
次編から妖々夢に入るでしょう。萃夢想とその後の閑話を合わせて……十話くらいになると予定しています。小説構成はふわふわしてても物語はきちんとしているので安心してください。文才?何それ食えるの?それでは最後まで読んでくださってありがとうございます。感想、質問、批評……等々常時お待ちしています。